温泉宿で猿グドン退治



<オープニング>


●湯けむり
「とある山中に、疲労回復によいとされる温泉があり……そこを訪れる人々のために、温泉宿が一軒あります」
 真実求む霊査士・ゼロ(a90250)の話に冒険者たちも興味津々で耳を傾けていた。
「ところが最近その温泉宿付近に猿グドンの群れが出没するようになり、宿の食料を奪ったり、温泉入浴中のお客さんが襲われたりするそうです。今回はその猿グドンたちを退治する依頼になります」
 霊査ではピルグリムグドンも存在していない様子だし、戦力的には大した相手ではないだろうとゼロは言う。
「そうですね……確かに大した相手ではないのですが、注意するとすれば何処を襲撃されるか、といったところでしょうか? 温泉の男湯か女湯か、宿の厨房付近がよく狙われるそうですが……」
 上手く迎撃しないと、被害が出る恐れもあるだろう。
「グドンの数は全部で40から50といったところでしょうか。無事に退治に成功すれば、温泉で一休みしてきてもいいかもしれませんね」
 ゼロはそう言って、冒険者達に一礼を送るのだった。

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参加者
白鴉・シルヴァ(a13552)
ソニックハウンド・カリウス(a19832)
根無し姫・セイフィール(a60475)
樹霊・シフィル(a64372)
清流の歌声・レイネリア(a65670)
始まりはいつも突然・ヤミー(a66309)
閃光の一矢を放つ牙狩人・ビアンカ(a68109)
着せ替え武人・タリム(a68968)
槍の女当主・スアラ(a69356)
紅夜の幻・レイン(a69402)


<リプレイ>

●いろいろ準備中
「これでよしと」
 準備中と札を立て、小さく頷く白鴉・シルヴァ(a13552)。何でもこの温泉宿に現れる猿グドンを退治すべく訪れた冒険者たちは、その戦闘に一般のお客や従業員たちが巻き込まれることが無いように配慮している様子であった。掃除のおねえさんに変装した清流の歌声・レイネリア(a65670)も男湯で掃除の作業を行いながらグドンの出現に備えている。
「……決して、依頼にかこつけて温泉を貸切状態にしている訳ではないぞ」
 ソニックハウンド・カリウス(a19832)は実際に温泉に浸かりながら猿グドンたちを待っていた。少しでも向こうに異変を察知されないよう、冒険者たちはその力を隠しつつ周囲の気配を伺っていた。

 がさがさ
 それから暫くの後、男湯から見える茂みが揺れて猿グドンたちが姿を見せ始める。シルヴァが血の覚醒を発動させ、カリウスは隠しておいた防具を取ってウェポン・オーバーロードを発動させた。
 その間にも近づいてくる猿グドンたちに向けてレイネリアが眠りの歌を浴びせるように唄い始め、その接近を阻む。
「近づかせるかよっ!」
 シルヴァが紅蓮の雄叫びで相手の動きを麻痺させる。男湯への侵入を阻んだことで、カリウスは心置きなくナパームアローを射出した!
 づがん!
 爆炎が猿グドンたちを飲み込んで焼き尽くす。レイネリアはリングスラッシャーを召喚し、シルヴァは動きを止めて居らず近づいてくるグドンの前に立ち塞がり、巨大剣の一撃で叩き潰した。
「見えないように気をつけねばな」
 カリウスの矢にはキルドレッドブルーの力が宿り、射抜いた猿グドンを魔氷で縛って魔炎が蝕んでゆく。レイネリアはもう一つリングスラッシャーを召喚し、先ほど召喚したリングは猿グドンに向かって突っ込んでいた。
「面倒だ、一気に行くぜ!」
 再びシルヴァの紅蓮の雄叫びが響き渡り、まだ動いていたグドンたちがビクリとマヒして立ち竦む。そこを狙ってカリウスは弓を引き絞る!
「相手がグドンと言えど油断なく臨むとしよう」
 ナパームアローの爆炎が、猿グドンたちを焼き尽くして燃え上がるのだった。
 男湯に向かっていた猿グドンたちは数が少なかったこともあり、侵入を許さず迎撃することが出来た。レイネリアはヒーリングウェーブで仲間達の疲労を回復させようとするものの、レイネリアの武器には『心』の攻撃力が無いためほとんど回復しない。まぁ回復の必要もあまりないかと、一同は小さく息を吐くのだった。

●湯けむりの中で
「せっかくいい雰囲気の温泉宿なのにグドンが現れるなんてねぇ」
 一方の女湯では愛の戦士・タリム(a68968)が客のフリをして温泉に浸かりながら猿グドンたちの接近を待っていた。
「本当はゆっくり時間を気にせず入りたかったんですけどね……退治が終わるまでお預けですわね」
 同じく温泉に入っているのは始まりはいつも突然・ヤミー(a66309)だ。如何に暖かいお湯に包まれているとは言え、何時襲撃を受けるか分からない状態では気も安らがない。早いとこ猿グドンの退治を完了させたいと言いながら、体が冷えないようぱしゃんと自身の方に湯を浴びせている。
 駆け出し剣士・スアラ(a69356)は女湯の掃除をするように振舞いながら待ち、根無し姫・セイフィール(a60475)もエプロンを装着し従業員に変装してグドンの接近が無いか気を巡らせていた。

 ざばーん!
『きゃぁぁぁぁっ!』
 そして唐突に、激しい水音が上がり湯煙がもうもうと立ち込める。どうやら高い位置から猿グドンの一匹が女湯の湯船に向けて飛び込んできたようだった。そしてその混乱に乗じて次々に壁を乗り越え、猿グドンたちが踏み込んでくる!
 普通なら女湯の客たちは混乱し、浮き足立っていただろう。しかし猿グドンたちに取って不運だったのは、そこに居たのはただの女性達ではなく、自分達を滅ぼすべく待ち構える冒険者だったこと。
「来たわね〜、あんた達の入る温泉は無いのよ!」
 湯船の傍に隠しておいた大鎌『Reaper’s Crow』を握って湯船から飛び出すタリム。イロイロぷるんぷるんだったりするが、此処は覗き防止の壁に囲まれた女湯ということもあってか気にしていないようだ。
「よしっ、頑張っていこー!」
 スーパースポットライトを輝かせるスアラに注目が集まり、光を浴びて猿グドンたちの動きが止まった。そしてもくもくと立ち込める湯けむりを破り、ヤミーが走る!
「食料を奪ったり、人に怪我をさせるなんて許せませんわ!」
 ざざざざざざざん!
 両手斧の刃を寝かし、流れるような斬撃で猿グドンたちを斬り伏せてゆく。ヤミーは水着を着用していたものの、激しい動きにこちらでもイロイロぷるんぷるんだ。
「さっさとお猿どもをやっつけて、料理を楽しむとするかのぅ」
 苦戦の様子が無いことを確認しつつ、セイフィールは跳びかかって来るグドンへ儀礼用長剣を突き出していた。そのまま『心』の衝撃波を放って攻撃し、見事に打ち倒す。
「せっかく人が温泉に入ってていい気分でいたのに、本当に空気が読めてないわね〜」
 タリムは大鎌を振り抜き、流水撃を一閃させる。斬られ倒れてゆく猿グドンたちは、確かに空気が読めていなかったのかもしれない。何とかマヒから立ち直った者はスアラへ攻撃しようと跳びかかるが、スアラはライクアフェザーを発動させ、ダークネスクロークを翻しながら次々に回避してゆく。
「足場は悪いけど……」
 猿グドンの爪を紙一重で避け、別の一体の攻撃はダークネスクロークが受け流す。
「ボクに当てるにはまだまだだね」
 そのまま槍の柄を支えにして体勢の乱れを防ぎ、くるりと猿グドンたちと向き合うスアラ。攻撃を回避された猿グドンたちの背を、ヤミーの両手斧が薙ぎ払って裂いていった。
「無理して足を滑らせないようにな」
 グドンの動きと仲間達の様子に注意しながら戦況を伺い、ヒーリングウェーブをかけるセイフィール。
「もぉ〜、しつこいわね〜」
 タリムの一撃が猿グドンを斬り伏せ、スアラもかわしざまに槍を突き出して攻撃している。こうして冒険者たちは女湯へ侵入してきた猿グドンの迎撃に成功したのだった。

●食を求めて
「めっきり寒うなって参りましたし……是非とも温泉を堪能しとうございますわ」
 厨房の防衛に回った樹霊・シフィル(a64372)は、窓や出入り口などの閉鎖に問題が無いかどうかチェックしていた。従業員へは百発百中じゃない・ビアンカ(a68109)が説明し、グドン退治が終わるまでは近づかないようにとお願いもしている。
「タダの猿なら可愛えもんやけど、グドンはちいとも可愛ないわ」
 出口の守りを固める紅夜の幻・レイン(a69402)が言う中、猿グドンたちが食料を求めて飛び出してくる。援護を頼むと仲間達に告げてレインは走り出した。
 シフィルが眠りの歌を奏でて動きを封じ、ビアンカがコンフューズナパームの黄色い矢を放つ! 乱れる猿グドンの前線へレインが切り込んだ。
「こいつらは農家の敵や、絶対いてこましたる……」
 ざざざっ!
 敵の先陣を流水撃で薙ぎ払うレインだが、まだまだグドンの生き残りは多い。混乱した一体の爪が向かってきてザクリと腕を薙いだ。
「ふふふ、つまみ食いはご遠慮願いますわ」
 シフィルは術手袋を嵌めた指で紋章を描き、力を込める。そして無数の光となって放たれるエンブレムシャワーが猿グドンたちを次々に貫き、打ち倒していった。
「あぶないっ、そこっ!」
 ひゅんっ!
 ビアンカがホーミングアローを射出して、レインの背後に迫るグドンを射抜いて倒す。それに小さく頷いて、レインは大鎌を握り直した。
 先ほどのシフィルの眠りの歌も、ビアンカのコンフューズナパームもペインヴァイパーの力を宿しており、数多く居るグドンも眠ったり混乱して同士討ちしたりしてまともに戦闘できる者は少ない様子だ。今のうちに出来るだけ攻撃し、数を減らしておくべきだろう。
「やぁぁっ!」
 刃を寝かせ振りかぶる。グランスティードと共に駆けながら流水撃の斬撃を繰り出し、レインは次々に猿グドンの命を刈り取っていった。
「せめて最期は安らぎの中で……」
 シフィルの眠りの歌が、まだ動いていた奴や眼を覚ました猿グドンを眠りへと落としてゆく。動けない猿グドンをビアンカの貫き通す矢が貫通した。
「貴様らに食い荒らされた野菜の恨み、纏めて返したる……」
 ばぢっ!
 レインの放つサンダークラッシュがグドンの体を駆け巡り、どさりと倒す。こうして厨房を守る冒険者たちも次々に猿グドンたちを打ち倒し、見事に退治を完了させるのであった。

●りふれっしゅ
「死骸やら何やらを片付けて、皆に退治が終わった事を伝えないとな」
 近づかないようにと温泉宿の従業員たちや客たちに伝えていた為、このままでは何時までたっても利用が再開されない。しかし戦闘の後で死屍累々としたこの状態を見せては温泉宿のイメージも悪くなってしまうだろう。
「あっ、そこの血痕も良く拭き取りくださいませ」
 シフィルが土塊の下僕で死骸を運び出したり、残る戦闘の跡を片付けて綺麗にしようとしていた。
「大変だけど、無事に終わったんだし。ちゃんと後片付けしなきゃね」
 冒険者たちはそれぞれの配置に分かれて後片付けを実施していた。タリムも仲間達と共に女湯の清掃に当たり、湯船の湯を入れ替える方法などを従業員から聞いたりと大忙しだ。
「きっとお客さんたちも、血とか見たくはないと思うしね」
 掃除は大変だけどと言いながら、スアラはブラシでごしごしと清掃を続ける。
「まず血まみれになった制服をちゃんと洗って返さんと……」
 従業員への変装で使用した服をレインは洗濯し、干しに回る。来る前よりも綺麗にして帰ってやるのだと、レインは微笑むのだった。

「動いたら腹減ったー。酒もあるといいなぁ」
 男湯ではシルヴァとカリウスが温泉を堪能していた。未成年なのでお酒は飲めないカリウスは、まぁ後で料理を頂こうかと頷く。
「こっちが本職なので」
 レイネリアが歌と踊りを披露する中、女性冒険者たちは女湯へと身を沈めていた。
「施設に被害が出なくて良かったですわね」
「さっきは入浴客としての張り込みだったから、温泉入ってる気がほとんどしなかったけど、やっぱりいいわね〜」
 ぱしゃりと肌の上を流れる温かい湯に、シフィルもタリムもふぅ〜と息をつく。
「はぁ〜いいお湯。蕩けてしまいそうですわ」
 女湯から見える紅葉の美しさに見惚れながら、うっとりとした様子でヤミーは温泉を堪能していた。
「やっぱりこの季節での温泉って気持ちいいねー」
 ビアンカは頭にタオルを乗せながら言う。肌寒さと湯の温かさのギャップが一層気持ちよさを高めてくれるのかもしれない。入った瞬間は寒さから開放されて温められる気持ちよさが、出る時は火照ったからだを冷ます心地よい清涼感が。
「やっぱり、広いお風呂っていいなぁ……」
 今日一日の疲れと汚れを落としてから帰ろうとスアラも言う。
「温泉も良いが、私は料理を楽しみたいぞ」
 あがったら皆で食事を頂こうというセイフィールに、一同は満面の笑みで頷くのであった。

 こうして無事に温泉宿に迫る猿グドンを退治した冒険者は、山の幸の料理を堪能し、さっぱりとした気持ち良さを得るのであった。
 (おわり)


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