罠張る者



<オープニング>


「罠を張って、人々を攫っていっている……ねぇ」
 呟く護りの幻影姫・キラ(a90153)に、花車の霊査士・ヴァルナ(a90183)は頷いた。
 依頼の話をしているのだと察知した冒険者たちが集まってくる。
「場所は、ある街道と、道を反れたところにある洞窟よ。敵は、街道に罠を張って、街道を通る人々を捕らえているモンスター。小柄で、すばしっこくて、攻撃を回避することも多いかもね。捕まえた人々は、洞窟の奥に捕らえられているのよ。ただ、身動き取れないよう縛って放置しているだけで、怪我を負ってるわけではないのだけど、中には長いこと捕らえられている人も居て、かなり衰弱してしまっているみたい。こちらの救助も急を要するわね」
 冒険者たちを前にヴァルナは、依頼内容を説明していく。
「被害者が増えないようにモンスターを退治することも大事だけど、洞窟の方の捕らえられた人を救助して、どこか近くの町まで運ぶことも大事ってことだね」
「そういうこと。お願いします、なの」
 キラの言葉に頷いて、ヴァルナは冒険者たちにぺこりと頭を下げるのであった。

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参加者
六風の・ソルトムーン(a00180)
幼い幻想曲・カナ(a24865)
蒼穹に閃く刃・ジギィ(a34507)
黄色の羽毛・ピヨピヨ(a57902)
灰影・ハヤテ(a59487)
壮麗なる銀の波濤・シェリア(a60357)
樹霊・シフィル(a64372)
緑の渡河渓・ファシュナ(a69649)
NPC:護りの幻影姫・キラ(a90153)



<リプレイ>

●街道を往く
 樹霊・シフィル(a64372)の呼びかけに、一行は召喚獣には着いてこないように命じておいて、街道脇の草むらや木陰に注意を払いながら、街道を進んでいた。
 瀬を渡る緑鱗・ファシュナ(a69649)が予め通りかかった村や町に、街道を通らないように指示しておいたため、街道に彼ら以外の姿は見えない。
(「! 皆さん、あれではっ!?」)
 周りに気を配っていたファシュナは、木の枝の合間に人らしき形をした何かを見つけ、心の声で皆に伝えた。
 パッと見た限りでは、木々の枝や葉に隠れているのだけれど、良く観察すると姿が見える辺り、忍びのような姿をしているモンスターであれども何処か抜けているところがあるのかもしれない。
「では我らは洞窟の方を探しに向かおう」
 相手に気づかれぬよう小声で六風の・ソルトムーン(a00180)は仲間たちに告げる。
「これを衰弱した人に……。被害者の方々を、どうか宜しくお願いしますね」
 蒼穹に閃く刃・ジギィ(a34507)は水を入れてきた水筒を救護班である仲間たちに渡した。
 ソルトムーンを含め、救護班である4人の冒険者たちは一行から離れ、山肌などを中心に洞窟探しに向かった。
 黄色の羽毛・ピヨピヨ(a57902)は、仲間たちの中の体力の低い者たちの身にまとう鎧などの強度を増させると、自分自身のスーツアーマーの強度も上げた。その際、一般人に見えるような普段着のような形状にし、マントを羽織ることで武器や盾を隠し持った。更に腰にはロープを括り付け、落とし穴などの罠に引っ掛かったとき、仲間たちに上げてもらえるように備える。
「じゃぁ、引っ掛かってくるね……」
 ピヨピヨ自身、ドキドキと胸の鼓動が早鐘を打つのが分かる。そんな胸を抑えながら仲間たちに告げ、土の塊に仮初の生命を与えて下僕を何体か召喚すると、それを先行させながら、街道を歩き始める。
「気をつけてくださいですぅ」
 幼い幻想曲・カナ(a24865)は、木陰に身を低くして隠れながら、ピヨピヨを送り出した。
 カサッとモンスターの潜む木の枝が揺れた。街道をピヨピヨと何体かの下僕が歩くことで、カモ――もとい、罠に嵌める相手が来たと気づいたのか。
 多少気にしながら、領域が関係した力を使われていたときのため、ギリギリの範囲までピヨピヨは近づいた。
 敵は動く様子はないが、先行していた1体の下僕が、1歩踏み出したことによって、落とし穴へと落ちた。ダメージを受け、落とし穴の底で、ただの土塊に戻ってしまう。
 もう1体が進み出ると、足元を縄で捉えられ、街道傍の木に逆さ吊り状態になってしまった。
 それでも敵は動き出す様子がない。
「……うぅ、よしっ」
 ピヨピヨは涙で瞳を潤ませながらも覚悟を決め、一歩を踏み出した。
「わぁっ!?」
 落とし穴に落ちてしまうけれど、強度を上げた鎧がその身を守ってくれたため、大した怪我は受けなくて済む。それに、腰に結んだロープが地上へと続いているため、仲間たちが駆けつけ次第、引き上げてくれるだろう。
 不意に落とし穴の入り口に何かが立ち、光が遮られる。見上げると、忍びのような姿をしたモンスターが、穴の中を覗き込んでいた。
 敵はピヨピヨへと手を伸ばしてくる。それと同時に、草むらや木陰に身を隠していた冒険者たちも飛び出した。

●罠張る者
 ジギィは素早く戦況を把握すると、落とし穴を覗き込むモンスターの目の前に立った。
 草むらや木陰から現れた冒険者たちにモンスターは驚きながらも素早い動作で数歩後ろに下がる。その間に、ロープを使って、一行はピヨピヨを落とし穴から救い出した。
 救い出してから、シフィルは土の塊に生命を与え、人の形をした召喚生物を呼び出した。それを自身の前方に居るように命じ、予め罠の存在に気づくことが出来るようにする。
 救い出されたピヨピヨは、心臓に絶大な負荷を掛け、破壊の衝動を呼び起こした。
 カナが魔楽器を奏でる。戦場となった街道の地面がぼんやりと光り出す。
「スピード勝負なら……負けませんよ!」
 仲間たちが予め決めてきた布陣通りに配置に付くと、ジギィはサーベルを構え、残像が残るほどの素早い足捌きでモンスターへと一撃を放った。残像を伴って放たれた一撃に、モンスターは素早い対応が出来ず、その一撃を食らってしまう。
 受けた傷口を気にしながらもモンスターは反撃と言わんばかりにジギィへ何処からともなく取り出した刃を次から次へと投げつけた。ジギィは掠り傷程度ではあるが、いくらかの傷を受けてしまった。
 シフィルは木の葉を作り出すと、それをモンスターに向けて放った。木の葉はモンスターの体を捕らえ、縛り上げると共に痛みを与える。
「ふふふ、簡単には解けのうございますよ?」
 拘束され、もがくモンスターにシフィルは笑みを向けながら、そう告げた。
 ピヨピヨは己の力を最大限に高めると蛮刀を構え、モンスターへと一撃を放つ。交わし切れなかったモンスターは通常の2倍もの痛みを受けた。
 カナの身体から淡く光る波が発せられ、皆を包み込んだ。先ほど受けたジギィの傷が癒えていく。
「文字通り矢継ぎ早に、矢を浴びせてやる!」
 ファシュナは大弓の弦を爪弾いた。一本の矢が避けようとするモンスターに容赦なく突き刺さった。
 残像の残るような素早い足捌きでジギィが、一撃を放つ。
 モンスターはその攻撃を受けてから、拘束していた木の葉を振り払うと、再度ジギィへと向かって、手にした小刀のような短剣で急所を狙い澄ませて攻撃してきた。
「……っ!」
 間一髪で急所を刺されるのを避けたものの短剣は腕に深く突き刺さる。
「大丈夫でございましょうか?」
 シフィルは心配しながらも励ますような力強い歌を歌い、ジギィの受けたその傷を癒していく。
「ちょこまか動かないでよ!」
 裂帛の気合と共にピヨピヨは雄叫びを上げた。それにより、モンスターは身体が麻痺してしまい、動きが鈍る。
 ファシュナが相手を追尾する一矢を射った。鈍い動きながらも避けようとするモンスターに、矢は容赦なく襲い掛かり、その一撃で地へと伏した。

●救助せよ!
 救助班4人は、2頭の召喚獣――グランスティードに2人ずつ乗り、街道脇の森の奥に広がる山肌沿いに駆けていた。
 幾分か探して回っていると、入り口の狭い洞窟を見つけることが出来た。
「縛るだけで他に手を講じない様から洞窟内にも罠や敵が複数の可能性も0とは言えん。油断するな。備えぬから『不測の事態』になるのだ、予測し備えれば其は回避できよう」
 ソルトムーンは、街道にて仲間たちが立ち向かっている敵が逃げてきたときのため、洞窟の入り口の近くで周囲と溶け込むように同化した。
 壮麗なる銀の波濤・シェリア(a60357)が土の塊に生気を分け与え、下僕を1体、作り出す。それを先行させながら、3人は洞窟へと足を踏み入れた。
 洞窟は深いようで、入り口からの光が届かなくなってもなお、道は続いていた。
 暫く歩くと、広くなった空間で行き止まりとなる。その広い、部屋のような空間の奥の方に、縄で縛られ身動きを封じられた幾人かの人が座ったり、横になっていたりした。
「助けませんと……!」
 それを見たシェリアは、ジギィから預かっていた水筒を取り出しながら、まず先行する土塊の下僕を空間へと進めた。
 それと同時に、カランカランと乾いた竹がぶつかりあったような音がその場に響いた。暗くてすぐに見つけられなかったけれど、空間の入り口に鳴子が仕掛けられていたようだ。
 空間の天井の方から、先ほど街道に居たモンスターと同じモンスターが現れる。
「いつの間にっ!?」
 驚いた護りの幻影姫・キラ(a90153)は、即座に太刀を構えた。
「元から2体居たのじゃろうか? どちらにしろ、ここでは捕まった者たちが危ないのう。ソルトムーン殿のところまで、惹きつけながら戻るとしよう」
 風皇殿を守りし銀の猫・ハヤテ(a59487)もそう言って、仲間たちが頷き合うのを確認すると、モンスターが後を追ってくることを確認しながら、入り口の方へと駆け出した。
 洞窟から3人が駆け出して来た後ろをモンスターが追いかけてくる。モンスターは3人に気をとられているため、周囲に溶け合うように隠れているソルトムーンには気づいていないようであった。
 彼は武器を収めた状態で稲妻の闘気を込めると、抜き打ちの一撃をモンスターへと放った。
 その一撃で周囲と同化していた効果が切れ、ソルトムーンの姿が露になる。追いかけていた3人だけでなく、更に相手が居たことにモンスターは驚き、その一撃を回避することが出来なかったけれど、麻痺した身体をすぐに立て直すと、ハヤテに向かって、次から次へと何処からともなく取り出した刃を投げつけ始めた。
 ハヤテはその攻撃を素早い動きで回避した。
 そして、両の手にそれぞれサーベルを構えると全身の力を振り絞り、螺旋の如く回転を加えながらモンスターに向かって突撃をする。
 キラも太刀を構え直すと、狙い澄ました一撃をモンスターへと放った。
 それぞれの攻撃を受けて、モンスターは相手に怯んだのか、逃げ道を探すように辺りの様子を伺った。
「この風で、回復を……」
 シェリアの言葉に、癒しの力を秘めた心地よい風が辺りに吹き渡る。先ほどの一撃で力を封じられていたソルトムーンであったが、風を受け、封じられていた力が使えるように、戻ってきた。
「逃がす訳には行かぬ」
 手にしたポールアームからソルトムーンは、神の裁きをも思わせるような強烈な電撃を放った。モンスターに向かった電撃は、一撃を与えてもなお、その身体を駆け巡り、更なる痛みを与える。
 足元がふらつきながらもモンスターは、ソルトムーンへと急所を狙い澄ました一撃を放った。金属鎧の合間を突かれ、痛みを受ける。
「この勝負、絶対に負けられぬ!」
 叫んだハヤテは再度、回転しながらモンスターに突撃していく。その一撃は通常より大きな痛みを与え、体力の限界が近づいていたモンスターの命を奪った。
 シェリアがソルトムーンの傷を癒してから、一行は再度、洞窟の奥へと向かった。
「大丈夫かの? 儂らが来たからもう安心じゃぞ……!」
 ハヤテは縄を解いて、持って来ていた食料を少しずつ配る。シェリアも水筒の中の水を配って回った。
 そうしている間にも街道にてモンスターを退治した仲間たちがやって来て、捕まっていた者たちに肩を貸したり背負ったりしながら、近くの町まで送り届けた。

終。


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