【シフォンの冒険日記】ロポサ村の春祭り〜七つの首を持つ土竜



<オープニング>


●ロポサ村の春祭り
「ロポサ村にやっと春が来たらしいねぇ」
 キセルをくゆらせながら、霊査士のアリシューザは言った。酒場のテーブルを挟んで、エルル、レナ、シフォン、そしてキィルスの目の前では、暖かいお茶が湯気を立てている。
「いつもより予定が遅れているんだけど、ロポサ村で春祭りをやるんだよ」
「春祭りですか?」
 シフォンの問いに頷くアリシューザ。
「そう。春の種まきに合わせて、今年1年の収穫を祈願するんだよ。いい具合に暖かくなってきたし、今なら遅咲きの桜も見られるよ。どうだい、行かないかい?」
 顔を見合わせて頷く4人。アリシューザの眼鏡の向こうで、きらりと目が光った。
「そうかい。じゃあ、安心して頼めるねぇ」
 え?となったレナの目の前に、1枚の羊皮紙が差し出された。他の3人にも。
「えー、また依頼ですかぁ?」
 口をとがらせるシフォンにアリシューザは言った。
「すんなり祭りを楽しめたら、つまんないじゃないか」
 非難めいた視線の4人に苦笑するアリシューザ。
「春祭りの準備、いろいろと問題が起きてて遅れてるんだよ。祭りにいくついでに、ぱぱっと片づけちまいな。ま、あたしが見たかぎりじゃ大した依頼じゃないよ。じゃ、頼んだよ」
 一同はなぜアリシューザがお茶を奢ってくれたのかを理解した。全員は、振る舞われた紅茶を飲み干すと、テーブルから三々五々立ち上がるのであった。

●七つの首を持つ土竜
「ん?」
 畑の種まき準備のために、ノソリンに鍬を引かせていた農夫は、不意にノソリンが動きを止めたことに気がついた。
「どうした?」
 ノソリンが振り返る。農夫が前に出ると、畑から何かが頭をのぞかせていた。それはモグラのようだった。農夫は手に鋤を握りしめると、モグラを捕まえようと歩み寄りながら、あることに気がついた。このモグラ、大きすぎやしないか?
 モグラは、農夫が近づいてくると畑の中に姿を消した。やれやれ、と農夫が戻りかけたとき、今度はノソリンが声を挙げた。
「なぁ〜ん、なぁ〜ん」
 農夫の目の前で、ノソリンに引かせていた鍬が、畑の中に引きずり込まれようとしていた。鳴きながらじたばたと暴れるノソリンに、大慌てで駆け寄る農夫。必死に引っぱり上げようとした農夫の足元がゆっくりと陥没しはじめる。その足元で、何かが突然畑から顔をのぞかせた。人間の胴体ほどもあるモグラ……にみえたそれは、モグラというよりはミミズだった。土まみれのその物体は、農夫の目の前でカッと口を開いた。鮮やかな紅の口にずらりと並ぶ鋭い歯。同じものが、二つ、三つ畑から頭をのぞかせると、農夫は悲鳴を挙げて畑を逃げ出した。

「モグラ、なんですかそれ?」
 二つお下げの戦乙女・シフォンの問いに、霊査士のアリシューザは頷いた。
「正確にはモグラじゃない。モグラのような怪物さ。そいつは、モグラのような頭がついた、触手のような胴体を七本持っていて、それを畑の中に張り巡らせているんだよ。農夫が見たモグラってのは、多分その胴体のことを言っているんだろうね」
 アリシューザは、キセルをくゆらせた。
「今回の相手は、畑に巣食ったその七つ首のモグラだよ。奴は、土の中に潜ってるけど、人間が近づくと頭を出す。そいつは鋭い歯を持っている上に力が強い。土の中に引きずり込まれないようにしな。農夫のノソリンを引きずり込むほどだからね」
「首を全部倒せばいいんですよね?」
 シフォンの問いに、アリシューザは首を横に振ると、キセルを煙草盆の縁に叩き付けた。
「七つのモグラの首は、地中に潜っている本体につながってる。そいつを潰さないとダメだ」
「えーっ? じゃあどうやって本体を引きずり出すんですか?」
「首の一つを引っ張って掘り起こすか、畑に大きな震動を与えれば驚いて飛び出してくるよ」
 そういうと、キセルに火を入れ直すアリシューザ。
「ちょいとばかり厄介な相手だけど、こいつを倒さないと春祭りどころじゃない上に、ロポサ村名産のじゃがいもが食べられなくなっちまうからね」
 素晴らしいタイミングで、ゆで上がったじゃがいもがテーブルの上に並んだ。美味しそうなじゃがいもに、目を輝かせるシフォンと冒険者達。
「塩ゆでしてあるよ。バターを載せて食べな。そいつを食ってしっかり……」
 アリシューザの言葉が終わる前に、シフォンはじゃがいもを口にしていた。
「美味しいです!」
「モンスターもそれくらい素早く倒しとくれよ、シフォン」
 爆笑する冒険者達。
「じゃ、そいつを食ってしっかり稼ぎな!」

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参加者
陽だまりの風に舞う・シルキス(a00939)
櫻塚護・トウマ(a01292)
レグルスに吹く爽やかな風・キャロル(a02583)
お日さまの匂い・リトル(a03000)
真白に閃く空ろ・エスペシャル(a03671)
緑の拳・シャリアーナ(a04082)
白き一陣の旋風・ロウハート(a04483)
凛花姫・シャルラハ(a05856)
此岸現想・レビルフィーダ(a06863)

NPC:二つお下げの戦乙女・シフォン(a90090)



<リプレイ>

「じゃがいも畑のモグラかぁ」
 怪物が現れた畑に向かう道すがら、二つお下げの戦乙女・シフォン(a90090)が言った。
「これを倒さないと、お祭りの準備どころじゃないみたいだし」
「祭りは良いものだ」
 櫻塚護・トウマ(a01292)が、のどかな景色に目を細める。
「されば、我が祖国にも伝わる八俣大蛇にも似たその怪物……疾く、退治してやらねばなるまい」
「トウマさんは難しい話し方するんだね」
 陽だまりの風に舞う・シルキス(a00939)が不思議そうに言った。
「私のことは、シラヌイと呼んで欲しい。それと、この話し方は私の癖だ。気にしないでいい」
 トウマのせりふに、にっこりするシルキス。
「うに! モグラをお仕置きなのね!」
 お日さまの匂い・リトル(a03000)が拳を握りしめた。
「美味しいおじゃがを守るのね!」
「モグラ……ねぇ」
 頭をかくのは、此岸現想・レビルフィーダ(a06863)。
「首が七つある段階で、いろいろ間違ってる気がするんだけど」
「いいんじゃない?」
 緑の拳・シャリアーナ(a04082)が髪をかき上げながら答えた。
「出てきた首は、みんな潰すだけだしぃ」
「頑張ってモグタンを倒しましょう」
 白き一陣の旋風・ロウハート(a04483)のせりふに、シフォンが首を振る。
「それを言うなら、モグドンじゃないかなぁ」
「えー、モグランじゃないの?」 
 シフォンに反論したのはレグルスに吹く爽やかな風・キャロル(a02583)。
「だって、モグドンだとモグラグドンと紛らわしいやいっ」
 怪物の名前について、みんながやいのやいのと、言い合いを始めるのを横目に、白閃空・エスペシャル(a03671)がぼそりと言った。
「7本首だなんて。そんな派手な、モグラやらミミズやら、居てたまるか」
「じゃがいも、もらえるなりか?」
 シフォンと冒険すると食べ物が絡むよね、と付け加えつつ凛花姫・シャルラハ(a05856)が尋ねた。
「畑の持ち主は、じゃがいもでよければって言ってたなりよ」
「あー、シフォンさん真似したにゃりね!」
 シャルラハとシフォンが顔を見合わせて笑う。
「ここ、だな」
 トウマが立ち止まった。一同の目の前に、広大な畑が広がっていた。畑のあちこちに、モグラがいたことを示す土の盛り上がりがいくつもあった。
「この下に、いるんだよね?」
 生つばを飲み込むシルキス。
「ちょっと怖いのね」
 と、リトル。畑に素早く目を走らせるトウマ。
「モグラらしき気配は見受けられぬが」
「地中から様子を伺っているかもしれません。皆さん、気をつけてくださいね」
 ロウハートの言葉に、全員が頷いた。
「何しろ、首が7本だからねぇ」
 レビルフィーダの言葉に、エスペシャルは、それって触手っていうんじゃないのか?と思いつつ、言葉を飲み込んだ。
「で、どうやってモグランを引っ張りだすの?」
 キャロルの問いに、シャルラハが言った。
「ボクは囮用の土塊の下僕を用意するね」
「私は、モグラを釣上げられないか試してみよう」
 トウマが、肉塊をくくり付けた釣り針のようなものを取り出す。
「モグラをいぶりだせないかしらね」
 レビルフィーダが、畑に開いた穴に目をやる。
「とにかく、いろいろとやってみるといいんじゃないかな?」
 シフォンの言葉と共に、冒険者達は一斉に畑へと散った。

 鳥のさえずりだけが聞こえる畑の中を、土塊の下僕がひょこひょこと歩いていく。途中で、土まんじゅうにけつまづいて倒れたが、再び立ち上がって歩き始める。
「反応、ないなりね」
 シャルラハが残念そうに呟き、ロウハートが首をひねった。
「畑の上を、人間が歩く震動か何かで反応するかと思ったのですが」
「シャラ、下僕じゃ、ダメかもしれない」
 エスペシャルが立ち上がった。
「んー。私が、囮、やってみる」
 そう言うと、畑を駆け出すエスペシャル。
「ボクも行くよ!」
「あー、リトも行くのね!」
 エスペシャルの後を追って畑に入るシルキスにリトルが加わり、畑の上を動き回り始める。同じころ、レビルフィーダは畑の中ほどにあった穴の前にいた。穴を埋めようとしたが、数が多過ぎた。そこで、穴のいくつかに油入りの樽でフタをしてから、穴の一つに集めた枯れ枝を放り込み、火を付けた。
「いぶされて出てきてくれると、嬉しいわね」
 別の穴では、トウマが思案していた。1番深いとおぼしき穴をしばらく見つめていたが、畑の側に一本だけ立っている桜の樹を見上げてから、細工を始めた。
「しばし許せ、桜の樹よ」
 そう言うと、射干玉を桜の樹の幹にくぐらせた。その鋼糸はそのまま穴の中へと続き、その先には、大きな鉤針のついた肉塊が仕掛けられていた。
 
「きゃははは」
「シルキスさん、待つのねー!」
 囮のシルキスとリトルは、気がつくと畑の中で鬼ごっこを始めていた。その様子に、畑の外からヘビーボウを構えていたレビルフィーダが苦笑した。
「囮が遊んで、どーするのよ。あ、コケた」
 リトルが土まんじゅうにけつまづいて倒れた。
「リトルさん、つーかまえたー!」
 不意に、シルキスとリトルは固まったように動かなかくなった。
「2人とも、大丈夫?」
 駆け寄ったエスペシャルの目に飛び込んできたのは、シルキスたちの目の前で、頭を出している「それ」だった。土まみれのそれは、ミミズのような、薄茶色のつるりとした頭を向けていた。口が開き、鋭い歯がみえた。
「うわーん!」
 悲鳴を最初にあげたのはリトルだった。べそをかきながら飛び退き、我に返ったシルキスも、後ずさった。エスペシャルの目の前で、それは土の中に引っ込んだ。が、今度は、別のところから頭をのぞかせた。一つ、また一つ。それらは、歯をむき出しにすると、シャーッといううなり声をあげた。
「しまった!」
 ロウハートがその様子に気がつくと、パタを引き抜いて畑へと走った。シルキスたちの目の前で、風切り音がしたかと思うと、モグラの頭が吹き飛び、ぐらりと倒れた。
「何してんの! 早く逃げなさいッ!」
 次の矢をつがえながら怒鳴るレビルフィーダ。応援に向かうべきかと逡巡したトウマの手の中で、射干玉がいきなりピンと張られた。
「掛かったかッ!」
 トウマは渾身の力を込めて鋼糸を引くと、桜の樹から飛び降りた。引き上げられた鋼糸が桜の樹の枝を支点に張られると、グギャッという悲鳴と共に、モグラの頭の一つが飛び出した。肉塊を飲み込んだのか、鋼糸はその口の中に消えていた。モグラが鋼糸を切ろうともがき暴れた。
「シラヌイサン、援護します!」
 駆けつけたシャルラハがエンブレムシュートを放った。胴体とも首ともつかない、長いモグラの体に命中すると、モグラの動きが若干弱った。
「シャラ殿、銀狼を!」
「はいッ!」
 気高き銀狼を放つシャルラハ。動きを押さえ込まれたモグラに、トウマのカラミティエッジが一閃した。血吹雪と共にモグラの首が切断され、桜の樹にぶら下がるモグラの首。トウマが射干玉を弾くと、吊るされたモグラの頭がビクリと跳ね、そのまま動かなくなった。
「まずは1匹、だね」
「うむ」

 次々とモグラの頭が、畑から姿を見せた。それは、高さ1メートル以上の高さまでその首をもたげると、一斉にリトルとシルキス目掛けて襲いかかってきた。
「てぃやーっ!」
 モグラの首の一つが、横っ面を張られて頭を畑に叩き付けられた。横合いから飛び込んだシャリアーナの一撃だった。
「貴様らの相手は、この私よ!」
 身構えるシャリアーナ。叩き付けられた頭は、土の中へと引っ込んだ。
「来るよッ!」
 襲いかかるモグラの首に、キャロルが眠りの歌を歌った。3体のモグラの首が、キャロルの目の前で畑に頭を突っ込ませて動かなくなった。
「お返しだよ!」
 シルキスが、動かなくなったモグラの頭目掛けてスピードラッシュを叩き込む。
「お、お仕置きなのね」
 リトルのバトルアクスが、モグラの頭を叩き潰し、シフォンが止めを刺した。
「やっぱり、触手だった」
 エスペシャルは呟くと、最後のモグラの頭にパタを突き立てた。体を大きく震わせると、モグラは動かなくなった。
「全部倒したなりか?」
 シャルラハの問いに、キャロルが数える。
「2匹足りないっ!」
「潜られたかもしれないですぅ」
 シャリアーナが言ったその時だった。背後で、次々に油樽が宙に舞った。レビルフィーダの仕掛けた油樽だ。レビルフィーダはその時を待っていたかのように、矢を放った。地面に落ちる前に、油樽の一つに矢が命中して空中で爆発する。だが、吹き飛んだのは油樽だけで、穴から肝心のモグラは出てこなかった。だが、穴から煙が立ち上り、レビルフィーダの仕掛けたたき火の煙が穴の中に充満しつつあった。
 不意に、エスペシャルが足をすくわれた。その足元にモグラの首が食らいつき、エスペシャルを土中に引きずりこもうとする。
「シャル!」
 畑の中に引きずり込まれそうになるエスペシャルの腕を、シフォンとシャルラハが慌ててつかんだ。もう1匹のモグラの頭が、そのすぐ側に頭を見せた。
「シフォンさん、危ないッ!」
 シフォンの前に割って入ったロウハートを、モグラの頭が突き飛ばした。土の中に引っ込もうとする、首根っこをつかんだのはシャリアーナだった。
「くぉのー!!」
 シャリアーナは、モグラの頭をつかんだまま剛鬼投げをしようとしたが、あえなく失敗し、モグラに突き飛ばされた。
「私を怒らせましたね」
 ロウハートが、口からしたたり落ちる血を拭うと、大地斬を畑に叩き付けた。派手な土ぼこりがあがり、エスペシャルに噛みついていたモグラの頭が、慌てたように土の中に逃げ込む。さらに2回、大地斬を放つロウハート。気がつくと、モグラの姿は消えていた。腰まで土に引きずり込まれかけていたエスペシャルを、リトルとシフォンが引っ張りあげる。
「自分が、じゃがいもに、なった気分だ」
「誰か、癒しの水滴を持ってないの?」
 キャロルの問いに、全員が首を横に振った。
「私なら、大丈夫。たぶん」
 気丈に振る舞うエスペシャルが、痛みに顔を歪ませる。
「そういう問題じゃないよ!」
 シフォンは自分の着ていた服の裾を引きちぎると、エスペシャルの左足に巻き付けて仮包帯とした。
「痛む?」
「少し。嬢、ありがとう」
 シフォンがにっこりとした時だった。足元が揺れた。
「な、何か揺れてるのね!」
「モグラの本体が出るぞ」
 トウマの言葉に、全員が身構える。
「みんなここから離れて下さいッ!」
 ロウハートの言葉に急かされるように、畑の中心部から逃げ出す一同。背後で、何かが爆発したかと思わせるような震動と共に、畑の土が土柱をあげる。その様子に、弓を構えていたレビルフィーダが、呟いた。
「こんなの、聞いてないわよ」
 土の中から姿を見せたのは、横幅8メートル近い、球根のような本体だった。どうみてもモグラにみえなかったが、本体には、確かに手足のようなものがついていることから、やはりモグラらしい。2本だけ残った首が、触手のようにうねりながら、冒険者たちを見下ろす。
「モグラの正体見たり!」
 射干玉を放つトウマ。
「私の友達に怪我させるなんて許さない!」
 怒りの形相で、モグラ本体に突撃するシフォン。
「シフォンサン、援護します!」
 シャルラハが放ったエンブレムシャワーが、モグラの本体に次々と浴びせられた。畑の上で、巨体をのたうつモグラの懐に、シャリアーナが飛び込む。気合一閃、シャリアーナの拳が深々とモグラ本体に突き刺さり、爆砕拳がモグラの本体に大ダメージを与えた。次々と襲いかかるモグラの首を、キャロルはライクアフェザーでやすやすとかわすと、双頭剣でモグラを切り刻む。シフォンの怒りの一撃が、モグラに突き立てられた。
「シラヌイさん、危ない!」
 シルキスが叫んだ。ハッとなったトウマの背後目掛けて、モグラの頭が飛んできた。かわせない、トウマは思った。だが、それをレビルフィーダが見逃すはずがなかった。放たれたナパームアローが、モグラを吹き飛ばした。
「わんしょっと、わんきるってね」
 モグラは、再び畑の中にその体を沈めて逃走を計った。
「逃がすもんかっ」
 シルキスが、畑に大地斬を放った。モグラが巨体をよじりながら逃げようとするところに、リトルが渾身の力でバトルアクスを振り下ろす。
「嬢、後ろっ!」
 リトルに続いて攻撃をくわえようとしたシフォン目掛けて、モグラの頭が襲いかかってきた。エスペシャルがそれを見て飛び出すと、ミラージュアタックで叩き落とした。
「ヴァイスヴィルヴェルヴィント、参る!」
 ロウハートの電刃衝が、モグラに命中した。動けなくなったところに、シャルラハのエンブレムシュートがさらに命中し、シフォンの一撃が、モグラに止めを刺した。モグラは、そのまま畑の真ん中で動かなくなった。
「やった、かしら?」
 レビルフィーダが呟いた。
「か、勝ったのね」
 へたり込むリトル。畑に転がるモグラの首を見て、泣きそうになるのを必死でこらえる。
「みんな無事ですか?」
 パタを鞘にロウハートの言葉に、無言でうなずくシャリアーナ。
「脅威は去ったとみえるな」
「うん」
 エスペシャルに肩を貸しながら、トウマの言葉にシフォンは笑顔を浮かべた。
「じゃがいも畑、しっちゃかめっちゃかにしちゃったけど、どうしよう」
「どのみち耕すんだから、これでいいんじゃない?」
 心配そうなシルキスに、のほほんと答えるキャロル。
「みんな、帰ってじゃがいも食べるなりよ」
 シャルラハの言葉に、シフォンがお腹を鳴らした。
「嬢、お腹すいてるの?」
 エスペシャルの問いに、シフォンは真っ赤になり全員が笑った。

 怪物モグランは、こうして冒険者たちの手によって倒され、ロポサ村に再び平和が訪れた。それからほどなく、ロポサ村の春祭りは滞りなく開催され、祭りを楽しむシャルラハたちの姿があったという。


マスター:氷魚中将 紹介ページ
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