<リプレイ>
●太陽のモンスター 「想像以上に暑いですなぁ〜ん」 ダラダラと汗を掻きながら、嵐を呼ぶ風雲児・ミミュ(a42672)がモンスターの現れた村にむかう。 モンスターが現れたせいで村は異様な暑さに包まれており、冬場にも関わらずみんな半袖姿である。 そのため、ミミュはモンスターが攻撃を仕掛ける前に避難誘導を始め、消火に必要な水を確保しようとした。 しかし、暑さで井戸が枯れ果ててしまったため、森の中にある湖まで水を汲みに行かねばならないようだ。 「太陽のモンスターと言うだけあって……眩しいです……」 あまりにもモンスターの身体が光り輝いていたため、小さい守護者・ツルギ(a48040)が眩しそうに目を細めた。 モンスターは地面に半分ほど埋まっており、少しずつ膨らみ始めている。 「何も被害がねぇなら、おらも村さ暮してた時に、うっかり利用してたかも知んねぇべ……。冬場に作物さ採れそうだべ、えれぇ重宝しそうだっぺ〜♪ んだども、本当に自爆するかはわかんねぇけんど、何かあってからでは遅いべ、きっちり片を付けるっぺ〜!」 なるべくモンスターを刺激しないように距離を保ち、陽だまりに響く牧歌・アリア(a60003)がバケツを掴む。 だが、そこでモンスターがゆっくりと目を覚ましたため、まるで蛇に睨まれた蛙のような状態になって動けなくなった。 「あ、暖かい……と言うより、暑くなっていますものね。た、確かにこれなら爆発しそうだという村の人達の話も頷けます。が、頑張って、おひさま退治しましょう」 膨らみ続けるモンスター(以下おひさま)を見つめ、黒百合の魔女・リリム(a50830)が拳をギュッと握り締める。 おひさまは冒険者達のいる方向を見つめており、何やら口をモゴモゴとさせ始めた。 「ポカポカまでは良いですが、灼熱地獄と化す前に何とかして止めませんとね」 右手を団扇代わりにしながら、紺碧を掌る蒼葬者・レアノ(a36188)がパタパタと扇ぐ。 おひさまは徐々に温度を上げており、洗濯物が燃えている。 「またまた危険なモンスターが出たなぁ〜んね。しかも村人達は荷物を荷車に運び終えるまで避難としようとしないなんて、まったく命あっての物種って事を知らないのかなぁ〜んね。それともそんなに焼き鳥になりたいのかなぁ〜ん?」 何やら村人達がゴネている事に気づき、森羅万象の野獣・グリュウ(a39510)が納得のいかない様子で溜め息を漏らす。 村人達は避難している間に何か盗まれるのではないかと懸念しており、すぐに避難所に向かう事が出来ないようである。 「荷物を積み込むまで動かないんなら、手伝うしかねーか、やっぱ!」 チキンフォーメーションを展開し、破剣の・サンカイト(a69489)が荷物を運ぶ。 おひさまがいつ自爆するのか分からないため、村人達に残されている時間はあまりない。 「でも、季節が夏でなくてよかったんだよ。これが夏の時期だったら、チキンレッグの丸焼きだらけだったんだよ。……ちょっと美味しそうかも」 チキンレッグの丸焼きを思い浮かべ、鋼の戦乙女・カレン(a62590)がヨダレを拭う。 おひさま(以下ひまわり1号に改名)は冒険者達の事を警戒しているらしく、いまにも火の塊を吐き出して攻撃を仕掛けてきそうである。 「どこぞに『芸術は爆発だ』とか言う芸術家の作った作品で、太陽の何とかいう物があったような気が……、やはり爆発するのだろうか? いや、火の塊を出すという時点で、危険な存在である事は間違いないな」 警戒した様子で後ろに下がり、ソニックハウンド・カリウス(a19832)がゴクリと唾を飲み込んだ。 ひまわり1号が自爆した場合、村全体に被害が及ぶ可能性があるため、何とかして被害を最小限に食い止めておく必要があった。 「ルウが育った村が燃えて無くなってしまったら、そう考えただけで、ルウは悲しくていっぱい泣いちゃうわ。村の人達にそんな悲しい思いはさせたくないよ。以前のように、安心して住める村を取り戻して、村の人達が全員揃って暮らせるように、仲間と協力して避難させるよ」 自分自身に言い聞かせるようにしながら、天陽に瞬く竪琴・ルウティア(a70638)がひまわり1号(以下メラメラッチョに改名)を睨む。 メラメラッチョはルウティア達を敵として認識したらしく、口をモゴモゴとさせて火の塊を吐き出してきた。 「燃え盛る太陽のようなモンスターか。夏場に出会うよりマシなんだろうが、どっちにしろお呼びじゃないぜ。太陽だろうが何だろうが、ぶっ潰すまでだ!」 すぐさまサングラスを掛け、竜戦士・バジリスク(a10588)が炎の塊を避ける。 次の瞬間、炎の塊が弾け飛び、藁ぶき屋根の家に燃え広がった。 「もぅ、太陽のぉ、季節はぁ、(きせつ)遅れなのですぅ。不要なのですぅ」 不機嫌な表情を浮かべながら、吟遊詩人・アカネ(a43373)がメラメラッチョ(以下死ンタロウに固定)に攻撃を仕掛けていく。 例え死ンタロウが自爆するとしても、ここで逃げ出すわけにはいかなかった。
●避難活動 「そっとしておけば、何とかなると思っていましたが……、そこまで甘くはないようですね」 険しい表情を浮かべながら、レアノが水の入ったバケツを掴む。 あらかじめ水を汲んでおいたため、大惨事になるという事はないのだが、こうしている間にも炎が燃え移っているので油断は出来ない。 「どっちにしても、いつ自爆するのか分からねえんだから、早めに始末しちまおうぜ!」 ラージシールドをロープで縛って背負い込み、サンカイトが両手に持った荷物を荷車に積み込んだ。 それと同時に火の塊が荷車に落下し、村人達の荷物が炎に包まれる。 「わ、わしの荷物がっ!」 唖然とした表情を浮かべ、村人達がガックリと膝をつく。 ……炎に包まれる大人の絵本。 その後ろで奥さんが冷ややかな視線を送っている。 「たった一発の炎が家族をバラバラにするなんて……。恐ろしい光景ね、色々な意味で……」 生暖かい視線を送りながら、ルウティアが乾いた笑いを響かせた。 村人達は大人の絵本を回収する事に夢中で、我を忘れているようである。 「何事も命あってこそだっぺ〜」 同情した様子で村人達を慰めながら、アリアがぽふりと肩を叩く。 村人達は消し炭と化した大人の絵本を握り締め、まるですべてを失ってしまったような気分に陥っている。 「いい加減に諦めて避難するなぁ〜ん。このままじゃ、大人の絵本どころじゃ、済まなくなるなぁ〜ん」 呆れた様子で溜息をつきながら、グリュウが村人達の腕を掴む。 しかし、村人達は大人の絵本を失ったショックで、立ち直る事さえ出来ないようだ。 「太陽の歌姫と田舎で(お年寄り3人ぐらいに)評判の歌声を聴くと良いべ〜♪」 タンバリンで軽快なリズムを取りながら、アリアが村人達を奮い立てるようにして高らかな凱歌を歌う。 そのおかげで村人達が何とか元気を取り戻し、奥さんらしき人物に蹴り飛ばされるようにして避難していった。 「……時間がないわ。急ぐわよっ!」 建物に村人達が残っていないか確認した後、ルウティアが土塊の下僕を召喚して消火作業を急ぐ。 その間も火の塊が飛んできたため、次々と下僕達が土塊と化した。 「早くっ! こっちへ!」 水に濡れたマントを羽織り、レアノが鎧進化を発動させる。 それに合わせて退治班が死ンタロウに攻撃を仕掛け、村人達が避難するまでの時間を稼ぐ。 「死ンタロウの退治は任せたなぁ〜ん」 村人達を守るようにしながら、グリュウが避難所まで誘導する。 現時点で村の被害は50パーセント強。 未だに炎の勢いが衰えないため、このままでは村が焦土と化してしまう。 「それじゃ、消火活動を急ごうぜ!」 仲間達を励ましながら、サンカイトがガッツソングを歌い出す。 少しでも被害の拡大を食い止めるため、彼らに休んでいる暇はなかった。
●カウントダウン 「た、大変なぁ〜ん。バケツの水まで蒸発し始めたなぁ〜ん」 信じられない様子で辺りを見回しながら、ミミュが大声を上げてダラリと汗を流す。 死ンタロウが膨らみ始めたのと同時に温度が急上昇したため、水が蒸発してあちこちから水蒸気が上がっている。 「焼きトカゲはぁ、勘弁なのですぅ」 汗が蒸発するほどの熱さに襲われながら、アカネが高らかな凱歌を歌い出す。 しかし、暑さのせいで意識が朦朧としているため、いまにも倒れそうになっている。 『村人達の避難が終了したようだ。これで遠慮なく戦えるな』 タスクリーダーで仲間達と連絡を取りながら、カリウスが警戒した様子で攻撃を仕掛けていく。 その一撃を喰らって死ンタロウが一気に膨れ上がり、爆発しそうなくらいにまでパンパンになった。 「貴様の炎と俺の牙、どちらが上か確かめてやる!」 一気に間合いを詰めて死ンタロウをジロリと睨み、バジリスクが近距離からデストロイブレードを叩き込む。 それと同時に死ンタロウが火の塊を吐き出してきたため、攻撃を避ける事が出来ずに大火傷を負った。 「は、離れて戦わないと、ま、巻き添えを食らっちゃいますよ」 死ンタロウにヴォイドスクラッチを放ち、リリムが心配した様子で声をかける。 その間に死ンタロウの身体に血管が浮かび上がり、顔らしき部分が怒っているような表情に変化した。 「みんな、下がって! これでトドメをさすんだよ!」 鎧聖降臨でフルアーマーを変化させ、カレンが死ンタロウにワイルドキャノンを撃ち込んだ。 そのため、死ンタロウの身体が爆発寸前まで膨らみ、大地が揺れるほどの咆哮が辺りに響く。 「秘技! サンダークラッシュなぁ〜ん!!」 仲間達が避難した事を確認し、ミミュがサンダークラッシュを炸裂させる。 次の瞬間、死ンタロウが咆哮を上げて膨張し、炎の塊となって辺りに飛び散った。 「このままじゃ、村が大変な事になるです」 炎の塊が雨のように降り注いできたため、ツルギがニードルスピアを放って破壊する。 だが、すべての塊を破壊する事が出来なかったため、藁ぶき屋根の家が炎に包まれた。 「こんな時ぃ、ラルフさんがいればぁ、被害を最小限にぃ、食い止められたのにぃ」 炎の塊を避けながら、アカネが困った様子で溜息をつく。 その間にも炎の勢いが増しているため、バケツの水だけでは間に合わなくなった。 『消火していたら間に合わない。燃え移る前に家を壊すんだ』 最悪の事態が脳裏を過ったため、カリウスがタスクリーダーで仲間達と連絡を取る。 それ以外に被害を食い止める方法がないので、彼にとっても辛い決断をしなければならなくなった。 「みんなには後で謝っておくんだよ」 自分自身に言い聞かせながら、カレンが藁ぶき屋根の家を壊していく。 幸い貴重品は運び終えていたため、それだけが救いとなった。 そして、しばらくして……。 「消火完了……です」 完全に火が消えた事を確認し、ツルギがホッとした様子で高らかな凱歌を歌う。 仲間達はみんな煤だらけになっており、服が汚れて真っ黒である。 「ふぅ、ちょっとくらい日焼けしたか?」 苦笑いを浮かべながら、バジリスクが真っ黒に汚れた汗を拭う。 ようやく落ち着いたのも束の間、先程の戦闘で負った傷が痛み出してきた。 「か、帰ってシャワーでも浴びたいな。でも、その前にお家の建て直しを手伝った方がいいかなぁ?」 疲れた様子で溜め息をつきながら、リリムが気まずい様子で汗を流す。 だが、いつまでもこの村に滞在しているわけにはいかないため、家の建て直しはこの地域を管轄している七色鶏冠が担当する事になった……。
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参加者:12人
作成日:2007/12/15
得票数:冒険活劇4
戦闘11
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冒険結果:成功!
重傷者:竜戦士・バジリスク(a10588)
死亡者:なし
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