【小噺見聞録】しかけがいっぱい。



<オープニング>


 金の髪なびかせ駆け抜ける駿馬の足音を聞いたのは、山に雪降らす黒雲が、逃げるように消え失せた朝方のことだった。

 天上からのお客様、エンジェルの少女・リャカ。
 彼女は今、故郷であるホワイトガーデンに帰る為、遂にランドアースを発つことになった。
 一年と少しの間、その身柄を預かっていた料理人夫妻は、かつて彼女を招いた伯爵――今は亡き領主の遺言に従い、その里帰りの助力を冒険者に要請する。
 それを受け、霊査士は護衛計画を立てる。

 さいはて山脈を登り、ルシール=クァル神殿入口までの送迎を担当する、『登山隊』。
 次に、ルシール=クァル神殿本殿を突破する、『本殿隊』。
 本殿突破後、サブゲートにて進行を引き継ぎ、ディアスポラの神槍入口までの突破を受け持つ、『副殿隊』。
 ……まずは、隊をこの三つに分ける。
 その後、『副殿隊』の偵察情報によって、ディアスポラの神槍踏破に向けた隊編成を行なう……これが、現段階の計画。

 現在、少女の身柄は『本殿隊』へと引き継がれ、本格的にドラゴンズゲート内の踏破の真っ最中。第一の隊である『登山隊』も、『本殿隊』への引継ぎを終え間もなく帰還、その役目を終える。
 そして、それからまた少しの時を経て。
 『副殿隊』結成の日――『本殿隊』よりの伝令が、酒場へと姿を現したのだ。

 第三の隊、『副殿隊』は、ルシール=クァル神殿サブゲート、『動き出した歯車』入口にて少女の身柄を『本殿隊』から引継ぎ、ディアスポラの真槍までの道程を突破する。
 サブゲートへの合流は、これもまた『本殿隊』と同じくゲート転送を使うだけなので、問題ないだろう。
 やはり十二分に注意すべきは、突破すべき道程が、ドラゴンズゲートであるということ……一見すれば、通常時に探索を行なう倍以上の人数、攻略するだけならば、何の問題もないといっていい。
 だが、やはり。
 護衛対象の少女・リャカが、一般人であること。これが最大の問題。
 冒険者と一般人の耐久力の差は、周知の通り。ましてや、場所はモンスターの闊歩するドラゴンズゲート。万が一の流れ弾一つで、簡単に命を落としてしまう可能性がある。
 そうはさせない。そのために、この人数が召集されたのだ。

 さてここで、伝令の話すところに依れば。
 離脱時までのリャカの体調は至って良好。今の所はまだ、進行を楽しんでいる様子もあるらしい。
 また、神殿内パワーポイントは、やはり通常探索者との兼ね合いか、消え掛かってものがあったという。その後の利用については、伝令の与する所ではないので、定かではないが……
 これを参考にするならば、『副殿隊』が踏破するサブゲート内も、消えかかったり、或いは、消えて使えないパワーポイントが存在する可能性もある。また、通常の倍以上で一斉利用するため、パワーポイントが十分に健在であっても、あっという間にその力を使い尽くしてしまう。
 この点は、再三ながら、注意するべきであろう。

 そして、『副殿隊』には、先発二隊と異なり、引継ぎをスムーズにする為の到着予報伝令の他、もう一つ確認せねばならぬ、重要な案件がある。
 ディアスポラの神槍の、エレベーター使用の是非だ。
 リャカが地上へやってくる時には、それを動かす鍵が見つからず、使用が不可であったエレベーター。理由は定かでないにしろ、今回は順路進行、当時の逆順進行とは状況が異なる為、もしかすれば今回は使用が可能かもしれない――霊査士は、その一握の望みに賭ける。
 もし、使用可能であれば、護衛の安全性は飛躍的に高まる上、期間を大幅短縮することが出来、旅の疲労も最小限に押さえることができるのだ。

 ……やるべき事は多いやも知れぬ。
 それでも、沢山の思い出を胸に帰途についた小さな身体を、無事に天上に届けるられるように。
 集った冒険者達を見回し、霊査士はそう締め括った。

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参加者
阿蒙・クエス(a17037)
輪廻の翼・フィード(a35267)
弓腰姫・ヴェルーガ(a42019)
鍵護り人・フィーツァ(a42749)
空游・ユーティス(a46504)
怪獣王使い・ラウル(a47393)
ふわふわ綿毛のヒヨコ・ネック(a48213)
若緑樹へ寄り添う紫眼竜・シェルディン(a49340)
青雪の狂花・ローザマリア(a60096)
樹霊・シフィル(a64372)


<リプレイ>

●こうたい
 鍵穴に鍵を差し込み……未だ、回さずに。
「はじめましてー」
 岩の扉の前に集う十と十と一。『本殿隊』が導いてきた小さな身柄に、虚殻・ユーティス(a46504)は身を屈めて笑みを浮かべる。
「短いお付き合いになっちゃうのは寂しいけど、会えて嬉しいよー。よろくしよろくしー」
「よろくしよろくし♪」
 捕まえた手をぶんぶか上下に振り回す。その姿が思ったよりずっと元気そうで、蒼穹のマージナル・フィード(a35267)は、良かった……! と心中で深く安堵の息を吐く。
「海以来だね……覚えてるかな」
 まだまだ冒険続くけど、もう少し頑張ろうねと、くたびれた帽子越しに頭を撫でてやると、リャカはまたにこにこ。
 年の割には確かにタフな子だ。
 話には聞いていたが、やっぱり生で見ると可愛い。よーし、頑張っちゃうぞーと、弓腰姫・ヴェルーガ(a42019)も軽く気合を入れる。
「初めましてリャカちゃん♪ ヴェルーガっていうの、宜しくね」
「わふぃ……はじめて?」
「見たことある?」
「にてるー」
 と、その頭がもう一回帽子越しに撫で回される。
「おう、豆っこいの皆の言うこと聞いて元気でやってたか?」
 上から降ってくる、阿蒙・クエス(a17037)の声に、リャカはずれ落ちてきた帽子の鍔を持ち上げ、視界を確保。
「おーらいと!」
 元気良く万歳!
 ……したら、また帽子がずるり。
「うわぷ……おそろい♪」
 再び見上げてくるのを、クエスはまたくしゃくしゃにしてやる。
 その傍らに自然と歩みを寄せる長身。
「次はDGでと申し上げましたので、お迎えにあがりました」
 何か欲しいものがあれば仰ってくださいね? と淡く微笑む、鍵護り人・フィーツァ(a42749)に、リャカは「みんないるー」とご満悦。
 と、今度はぺこりと頭を下げるふわふわの塊。
「リャカさん、よろしくねぇ〜」
「ふわふわ!」
「こんな姿だけど着ぐるみじゃないよぉ〜」
 有無を言わさず埋れてくるリャカに、ふわふわ綿毛のヒヨコ・ネック(a48213)は笑顔半分、羽毛は沢山。
 そんな姿を、樹霊・シフィル(a64372)は少し遠巻きに。
「リャカ様はいわば親善大使。万が一が遭っては、国際問題に成りかねませんわ」
 まずはメモを取り出し、軽く段取りをおさらい。
「何度か踏破してはございますが、油断は禁物ですわ」
 副殿隊』のうち、シフィル、ユーティス、そして、青雪の狂花・ローザマリア(a60096)の三名は、先行班として出発し仕掛けの解除とディアスポラの神槍のエレベータ調査を行う手筈になっている。
 歯車、神槍、そしてその先にあるのは、ホワイトガーデン――全てのエンジェルの故郷。
「長らく行っていないけど、あそこへ行けばアタシの中の歯車も、動き出すかしら?」
 一人ごちて、ローザマリアは差し込まれたままだった鍵を捻る。
 俄に開く、石の扉。
 一足先に中へと進み出す三人へ、一握の良識・シェルディン(a49340)は改めて。
「宜しくお願いします」
「それじゃ、行ってくるねー」
 軽い調子で、一度だけ振り返って頷き、ユーティスの姿は壁の奥に消えていった。
 暫し見送り……預けていた荷物を引き取った、駆け抜ける疾風・ラウル(a47393)がようやくリャカと顔を合わす。
「空の上で会えたら、と思ってたけど早めに会いに来たぜ!」
 同じく『本殿隊』への労いを済ませてから、シェルディンも。
「リャカさんお久し振りです。お体は宜しいでしょうか?」
「おーらいと!」
 それから、数十分。
 頃合いを見計らい、先ずはフィードが背にリャカを招く。
 その上からラウルが防寒具を、更にフィーツァが盾を被せる。
「では、参りましょうか。家への道を」
 そうして、最後まで残ってくれた『本殿隊』に見送られながら、『副殿隊』もまた、壁の中へと消えていくのだった。

●おさきに
 道を塞ぎ立つ敵。
 暗い穴よりの使者に、ローザマリアは二振りの大刀を振るう。
 青く澄み切った刀身。流水のように振るわれたそれは、神殿内を照らす薄明かりを弾き、舞い散る氷雪を髣髴とさせる。
「はいはーい。其処退け其処退けアタシが通る、っと」
 そして、その太刀筋によって雪の如く散らされるのは、活路を塞ぐ無粋な連中。
 再び静まり返る通路。
 一息ついて、ユーティスは幾度目かメモを……シフィルも自分用に写した同様のメモを取り出す。
「ここは……丸印で宜しくてございますね」
「うん、復活しちゃうほどの時間は掛からない……はずだし」
 互いに次の注意点を確認、メモを懐に仕舞う。
 そして、シフィルは用意してきたチョークを手に……万が一消えても大丈夫なように、ローザマリアと手分けして複数個の印を書き付けておく。
「最短通過だから、この先の隠し部屋と石像は無視していいのよね?」
「ええ、真っ直ぐ参りましょう」
 頷き応じて、ひっそりと続く細い通路の先を見据えるシフィル。
 ローザマリアは変わらず涼やかな大刀を両手に先だって通路をゆく。
 そして、三つの影は、足早に神殿の奥へと通り過ぎていった。

●ゆっくり
 掲げたランプの明りに、長く伸びる影。
 シェルディンは先行してその先を覗き込み……時に遠眼鏡を使って通路の奥の敵影を探す。
 今、視界にあるのは、大きく開けた部屋とその中をうろつく複数の不穏な影。
「突っ走れるか?」
 共に様子を窺うクエスが、視線で敵の動きを追い……
「いや、やっぱ潰してく」
 いつもの探索ならやり過ごせる。
 が、今は、自分の後ろ約10mに中衛、更に10m後方に後衛……もし、自分達の足音を聞きつけたとしたら、遅れて出てきた中衛――リャカとその護衛が一番狙われ易い。
『ちょっくら目障りなの片付けるわ』
『前衛さんが露払いするそうだから、待機しててねぇ〜』
 リレーのように、タスクリーダーで届いた声を、ネックが更に後衛へとタスクリーダーで繋ぐ。
 ――初依頼は、キャベツ採りだった。それは、リャカを呼び寄せた人が存命であった頃。
「あの時はまだ弱いひよっこだったねぇ〜」
 しみじみと、だからこそ、故人の遺した最後の仕事は、しっかりこなさねば。
 今度はフィーツァの背中に負われ、盾の隙間からフィードにいないないばぁをして遊んでいるリャカを目に、ネックは改めて思う。
 俄に、前方から聞こえていた音が消える。
『進行再開だよぉ〜』
 また、リレーで聞こえて来た声。同時に、動き出した前方の人影を追って、ラウルとヴェルーガも歩みを再開する。
「楽しそうだな」
「ほんっとにタフな子ー」
 ずり落ちたりしないか、盾を被った背中を後方から見つめ……ネックに貰ったのかきび団子を頬張って御機嫌なリャカに、安堵の混じった溜息一つ。
 ――その時。
『来る!』
 咄嗟にヴェルーガがタスクリーダーで警戒を発する。
 様子を窺おうと一旦停止した分かれ道。奥から沸いて出る複数の影に、ラウルはすかさず二振りの斧を構える。
「団体さんでお出ましか」
 待機を命じていた召喚獣が自然と現れ……先制の一閃。騎上から放った流水撃が集団の前衛を薙ぎ倒す。
 その隙間を抜け出ようとした一体を射抜く鋭い矢。
「あんな可愛い子に手を出そうとする奴はボッコボコにしてやんよ!」
 通路を照らし飛ぶ、ヴェルーガのライトニングアロー。
 そして、中衛位置。方向を転じたフィードが最大射程でソニックウェーブを打ち込めば、残る一体も物言わぬ塊と化した。
『片付いたよぉ〜』
 今度は後方から送られてくる言葉。
 シェルディンは胸を撫で下ろし……前方にも何の気配もないことを確認、細く続く通路へと、また一歩を踏み出す。
 一つ一つ、確かめるような歩み。
 それでも、先行の三人が仕掛けや、その一部として待ち受ける敵を蹴散らしてくれたお陰で、進行は存外にスムーズだ。
「思ったより、早く着けるかも知れませんね」
 進む先に温かい光が見え始めたのは、それからまた暫くしてのことだった。

●えれべた
 パワーポイントは、思ったより元気だった。
 爛々と、それでいて優しく発せられている光に後続の皆が安堵する表情を思い浮かべつつ、ユーティスは目の前に現れた、この副殿内最大の脅威を見据える。
 波打つ血潮。血の覚醒に呼び覚まされた力が、ローザマリアの両腕に漲る。
 与えられる、突撃の力。
 四足で強く床を蹴って前進する頭上、神殿内を煌々と照らし出す灼熱の火炎が飛び越える。
「ふふふ、道を開けて下さいませね?」
 シフィルの両手が宙に円を描けばそれは紋章となり、紋章は燃え盛るエンブレムノヴァと化して立ち塞がる者へと衝突した。
 ぱっと散る火花。
 その下を掻い潜り、ローザマリアの凍るような二刀が一閃。
 迎え撃つように振り翳される腕。
 圧し折って、しかし、まだ残る腕に弾き飛ばされたその身に届くガッツソング。
 握るようにして力込め差し伸べた腕の先、しっかりと填められた漆黒の篭手。蓄えられた力は喉振るわせるユーティスの歌声に、強い癒しの力を齎す。
 消える傷。直様に身を翻し、ローザマリアは再び地を蹴った。
 向かい来る腕を潜り抜け、何処か冷ややかな音が、神殿内に響く。
 それが終焉の音であると気付いたのは……飛び越えた背面で、崩れ落ちる音を聞いた時だった。

 雲のような道を抜けた先。
 天を衝いて聳える神の槍は、そこに在る。
 硬質な床。足音に気付いて近付く敵を蹴散らして、三人は真っ直ぐに昇降機へと進み出る。
「先ずは百階辺りまで使用が確認できれば御の字でございますね」
「ローザマリアさんどうする? 百階で離脱して伝令する?」
「できれば上まで往復確認しておきたいわ」
 後続の伝令出発まで、まだ時間はあるだろうし。
 零す言葉に頷きを返し、三人は一先ず最上階までの動作確認をすることにした。

●きゅうけい
 パワーポイントの部屋……は、通路が三つで見張りが不安。
 故に、皆は一つ戻った部屋の隅の窪みで、野営の準備に取り掛かる。
「この調子だと、明日には神槍到着しちまうかな」
 一緒に居られるのはこの休息で最後……ラウルは椅子さんの上で少しぼーっとしているリャカに、PAIの実を半分こしてあげる。
 昼夜がわからぬ程閉ざされている割に、地割れのせいなのか時折隙間風の吹き込む神殿内。
「くまさんのふわふわ毛皮を着せてあげるねぇ〜」
「きゃあ♪」
 ある意味ネックと御そろいのもこもこになっているリャカに、フィーツァもマントを羽織らせてやりながら。
「……お寒いでしょうか? どうかあまりぼーっとなさいませんよう」
「わふぃー」
 流石にそろそろ疲れが出てきたのだろうか……飛んでいったりしないよう、フィードとヴェルーガも側に付き、時には手を繋ぐ。
「どんな事が一番楽しかった?」
「んとーねー」
 ひそひそと会話弾ませるうち、テントの準備も整い、皆で揃って夕食時間。
 ネックが幸せの運び手で披露するのは、とても可愛らしいヒヨコのダンス。が、あんまりにふかふかぽよぽよしているものだから、結局一緒になって踊りだす始末。
「仕方ないなぁ〜」
「ふふ、ではこちらをどうぞ」
 言って、シェルディンが荷物から取り出したのは、スパイスキッシュと鰯のオイル漬け。
「あ、こちらは唐辛子を少し加えてますから一度に食べないで下さいね」
 キッシュを振る舞いつつ、笑顔で零す。
 冷たくても体がじんわり温かくなるように。そしてこれは、匂いで敵を誘き寄せてしまわないようにとの配慮でもある。
 それに、クエスの持ってきた携帯食――干し椎茸や鶏肉のスープに漬け込んだやまいも、ごま、もち米を固めて作ったもの――を加えると、ささやかながらも、舌には嬉しい夕食となった。
「運び手の後で美味しいもの食べると、後味残って結構いいかも」
「しっかしこんなもの喰ってると去年大隊でのトロウル相手を思い出すねぇ」
「とろーる?」
「あぁ、豆っこいのは知らねぇよな」
 ゆっくりと過ぎるひととき。
 ラウルはカンテラの明りを頼りに、持参の画材で絵の描き方を教え、リャカに練習で皆の顔を描くのを勧める。
「できた!」
「お、良く描けてるぞ」
「これわたし?」
「うん。こっちふぃーど」
 そんなお絵かきを傍らに、フィーツァはまだ行った事のない、ホワイトガーデンの話をリャカに聞いてみる。
「どんな場所でしょうか? お話いただけますか」
「うんー。じゃあー、かくー」
 挿絵付きでお話を始めるリャカ。
 けれど、その手も次第に止まり。ふと見れば、リャカは色鉛筆を握ったまま、寝息を立てている。
 シェルディンはその手をそっと毛布の中に仕舞い……
「もし……思い出したら、どうかその時はあの方を憎まないで下さいね」
 あなたが人を憎むのは悲しい事ですし……あの方も悲しむと思います。
 囁くように一人ごちて、同じくらいに優しく、手にしたアメシストの指輪をそっと撫でるのだった。

●こうたい
 夜半過ぎ、ラウルは不寝番を終えたその足で伝令に発ち、翌朝からは六名編成での進行となった。
 けれども、仕掛けを解かれた神殿の進行は、それこそ、当人らが思うより存外に早く。
『よし、甦ってねぇな。このまま抜けて終いだ』
『真っ直ぐ行くよぉ〜』
『真っ直ぐね、了解』
 また行ったり来たりする伝言。
 そして、皆は、先発の三人が倒した残骸を踏み越えて……神槍の入口へと、到達する。
 そこには、調査を終えたユーティスとシフィルの姿があった。
「塔内はいかがでしたか?」
 尋ねるフィーツァに、ばっちり、と答えるユーティス。だが、それにすぐ、「ですが」と若干気になる繋ぎで言葉を続けたのはシフィル。どうやら、退去してしまうと、仕掛けが戻る場合があるらしい。
「鍵も一度差し込みますとそのままになってしまい……やむなく、百階の通用までは確保することに致しました」
「だからローザマリアさんには『百階までは確実』って伝えるようにお願いしておいたよ」
 合流の時間もあり半分が限界だったと、四枚のプレートを見せる二人。
 そして、折り良く。
 そこに次々と転送されてくる人影――それこそが、最後の送迎を担う冒険者、『神槍隊』。
 またやってきた別れの時。
「いい子だったご褒美にお菓子をあげるわよ」
「わふぃ!」
 ヴェルーガに金平糖を貰い、また万歳するリャカ。
 そして、労いと信頼の言葉がかけられている中、ネックは自身の灰色の羽と、リャカの白い羽を、友達の印として一枚ずつ交換した。
「さて、いよいよ搭か」
「あ、そうだ」
 俄に、思い出したように手を打つユーティス。
「ひとつ教えて欲しいんだけどー……」
 また、帽子の鍔を持ちあげ、リャカは目を瞬かせてその顔を見上げる。
「……あなたは、『ランドアースへ来て良かった』って、思ってくれてるかい?」
「うん。だーいすき!」
 大きく頷き、返された笑顔。
 その笑顔に『あの人』を重ねて、フィードは向こうでの食事はきっと美味しくなるはずさと、胸の内で呟いた。


マスター:BOSS 紹介ページ
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作成日:2007/12/24
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