ゼロの誕生日 〜 守護するモノ



<オープニング>


●御守り
「さて、どうしたものでしょうか……?」
 思案顔の真実求む霊査士・ゼロ(a90250)の様子に冒険者たちも何かの依頼かと視線を向けるが、ゼロはぱたぱたと慌てて手を振る。
「いえ、そういう訳では無く……今年の誕生日は何をしようかと思いましてね」
 ゼロ曰く、誕生日は自分が生まれた日。自分が生きていられることに感謝し、その気持ちをみんなに返す日にしたいのだという。それで昨年はホットケーキを振る舞ったりしたらしい。
「毎年同じというのも芸がありませんし、何かよい案があればいいのですが……」
 本をめくったり外を眺めたりしながらゼロはいろいろと思案を巡らせ、やがてぽんと手を叩いた。
「御守りがいいですね。冒険者の皆さんなら危険なことに相対することが多いですし……戦うことの少ない方でも、健康や金運、恋愛成就などを願った御守りがあるのだと聞きます」
 現実的な効果はほとんどなく、気休め程度なのかもしれないが、無事を願う想いや何かを願う想いはそれだけでも力になるのでは無いかとゼロは言う。
「そうと決まれば材料集めですね。袋に入った物や武器飾り、宝石や護符など色々なタイプの御守りがあるそうですから……どんな形にしようか考えるだけでもワクワクしますね」
 ゼロはそういって材料集めに出かけていった。そうして残された冒険者たちは、ゼロの誕生日をどう盛り上げるかの相談を開始するのであった。

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参加者
NPC:真実求む霊査士・ゼロ(a90250)



<リプレイ>

●材料集め
「植物をモチーフにしたものなら、魔よけのヒイラギであったり、恋の成就にアンスリウムなどがありますね」
 森の中で植物採取に取り掛かっていたのは真実求む霊査士・ゼロ(a90250)と楽風の・ニューラ(a00126)であった。今回のゼロの誕生日では御守り作りを行うらしく、その材料を集めようということなのである。
 森で目的とされたのは草木の葉、花びらなどである。その植物によって意味を持っているものもあるらしく、御守りの材料になりそうなものも数多くあった。
「俺も色々集めるのを手伝うんだなぁ〜ん」
 戯風狂月の輪舞・ナディア(a26028)も植物を採取すると共に、動物の骨や爪、皮などで何か出来ないかと思案していた。そういえば爪を首飾りなどに使用している人を見たことがあるとゼロは小さく頷く。
 魔銃狼・ズィヴェン(a59254)も集められた材料を運びつつ、何を作ろうかと考えを膨らませているようだった。

 一方山では鉱石や宝石の採取が行われていた。
「良質の鉱物があれば、鋳造して細工ができますからね」
 エメラルドの電戟・フリント(a37791)は銀や鉛、青銅などを探して細工に使おうということを考えていたらしい。そうして汎用的に使える鎖や留め具など作っておけば、御守り作りにも役立つだろうと。
「やれやれ、見つけるのも一苦労じゃて」
 宝石を探すのは半身・アヤ(a66727)だった。市場に並んでいるものでも構わないが、やはり自分の手で採取してやると意気込んで宝石探しに訪れたものの、情報集めや採取作業と中々大変であった。それでも苦労の末に幾らかの原石を入手できたらしく、満足気に岩山を後にする。

 更に町の市場でも材料集めは行われていた。
「普通の誕生会に出たことなくて……どうやってお祝いしてよいのやら?」
 市場で材料集めを行うのは青・ケロ(a45847)だ。どうやって誕生日であるゼロを祝おうかと考えつつも、ひとまずその趣旨である御守り作りの材料となりそうな布や紐、紙などを集めてゆく。
 そうして各々が目指すは町にある工房。元々はアクセサリーや金属の装飾品を作っている所だが、そのお休みの日に場所を貸してもらうことになっていたのである。

●御守り作り
「そうそう、これはプレゼントですわ」
 緑薔薇さま・エレナ(a06559)は早速ゼロにランタンを渡している。誕生日の贈り物として準備してきたものだそうだ。
「ゼロさんと聞いても誰のことか思い出せない位薄い影が、少しでも濃くなるように買って来ましたの。良かったら使ってやって下さいな」
 まぁ、霊査士は目立たなくてもいいと思うと苦笑を浮かべつつ、ゼロはランタンを受け取って笑顔を見せる。
「では、エレナさんにも御守りを作らないといけませんね」
 ゼロは早速取り掛かろうと御守りを作り始める。
「皆と御守り作るぜなぁん〜解らねぇとこは教えてくれなぁん?」
 ナディアはアクセサリーの製作を始めているようだが、中々に細かい作業があり苦戦しているようだ。そんなナディアを見かねてズィヴェンは大まかな形を作ってから細かい部分に取り組めばいいとアドバイスしている。
「皆の御守り作りの工程に必要なら提供しますね」
 準備していた鎖や留め具、装飾用の金属などを披露するフリント。メインとなる宝石やネックレスの核となる部分は準備されていても、そういった部品は考慮されていないこともあった。フリントの準備に皆が感謝しつつ、御守り作りの作業は続く。
「今年は御守りか……全く『らしい』っていうか」
 蒼き戦乙女・アリア(a37121)は微笑を浮かべながらゼロと皆の作業する姿を見守っていた。何か思うところがあるのか、今年は大人しくしようと考えているらしい。
「御守り……アミュレットがよろしゅうございましょうか?」
 宝石を加工した御守り、アミュレットを作るのは樹霊・シフィル(a64372)だ。綺麗なものならば女性受けもいいだろうとゼロへの配慮も忘れない。
「出来の方は……ちょっとだけ悪いかも……しれませんけど。まぁ、魔除けにはなりましょう……」
 苦笑を浮かべながらシフィルはアミュレットを差し出す。ゼロはそれを懐にしまって一つお礼と、お返しに何か作らねばなりませんねと笑顔を見せる。
「苦労して見つけてきた宝石なら、効果抜群じゃ」
 アヤは自分で採取してきた宝石を磨き、小さな巾着に入れてお守りとしていた。
「肩こりに効くんじゃ、嘘ではない!」
 何故肩こりなのかは不明だが、石の御守りは効果抜群と信じて疑わないアヤであった。
 ニューラが作るのは古いレースから作ったリボンである。
「白は一番光を撥ねる色だから、悪いものも跳ね返してくれそうで」
 まさに守護する物を示すことができればいいのだけれどと思いながら、ニューラはレースのリボンを見つめていた。
「うーん、御札、それとも首飾りとかブレスレットみたいなもの作りますか……?」
 自分はどうしようか、それとも作るのは手伝わない方がいいのだろうかと迷うケロに、ゼロはそんなことはないと言う。
「どうして作らない方がいいと思うのかは存じませんが、御守りに大切なのは技術や素材よりも思いの力ではないかと思います」
 ゼロの話に一同は耳を傾ける。
「御守りなんて、どうやっても鎧や盾のように物理的に人を守るものではありませんし、武器に特殊な威力を追加するものでもありません。しかし我々には感情があり、それによって力が左右されることもあります」
 良くも悪くも、とゼロは付け加えつつ話を続けた。
「絶対に無事で居て欲しいという想い、絶対に帰るんだという想い。本当にギリギリの所で生死を分けるのはそんな想いの力かもしれません」
 感情だけで全てが解決できるわけではありませんけれどと苦笑を浮かべながら、ゼロは作業を続けるのだった。冒険者たちもそれぞれが想いを込め、御守りを作成していった。

●祝われろ
「もう! 自分の誕生日なんだから大人しく祝われなさい!」
 いつまで経っても御守り作りを止めないゼロに業を煮やし、アリアはやや強引にテーブルの前へと座らせる。
「ゼロさん、お誕生日おめでとうございます。日頃お世話になってるゼロさんのお祝いに、お誕生日の時に食べる料理を作ってきましたわ」
「定番のケーキもお誕生日には欠かせませんよね」
 そう言ってエレナとニューラが料理やらケーキを運んで来る。
「ローソクもいっぱい立てて、明かりを消せばきっとワクワク気分ですよ〜? あと、大きな何かの丸焼きとかも欲しいな?」
 自分のことのように嬉しそうに言うケロに、エレナは七面鳥の料理を示す。
「誕生日にはケーキに蝋燭を立てて、シャンパンで乾杯して七面鳥を食べて、赤字に白い縁取りの服を着て大きな袋をもってプレゼントを贈ったりするんですよね」
 何だか色々別のことが混ざっている気がしてならないが、エレナもとても満足気だ。
「ゼロさんの前途と、希望のグリモアに乾杯!」
 フリントの声で皆で乾杯し、御守りをゼロに贈るつもりだった者は次々に渡してゆく。
「同盟の要、霊査士さんへの勲章……ってほど大袈裟なものじゃないですけどね。日頃の感謝をこめて」
 フリントからは銀のメダルを、そして何か印象深かったことは無いかと話しかける。
「そうですね、やはり皆さんがドラゴンウォリアーの力を得ることになったことが一つでしょうか」
 フリントからメダルを受け取って答えるゼロであった。
「これはゼロ殿のじゃ。駆け出しで初めてうまくいった依頼が、ゼロ殿の依頼じゃった。おぬしのおかげで今の妾がおる。ありがとうの」
 アヤからはトルマリンの宝石を使った御守りを、何でも緑の中に赤い色を持った珍しいものらしい。
「ありがとうございます。しかし依頼を成功させたのは皆さんのご活躍あってのものですよ」
 ゼロが答えるそこにシフィルも言葉を伝えにやってくる。
「ゼロ様の依頼は、色々な意味で良い経験となっております。これからも何かとお世話になる機会がございましょうから、その際もどうぞよろしゅう」
 シフィルの言葉に会釈して応え、ゼロは少しだけ瞑目した。
「確か……幾つか報告書を纏めたと記憶していますが……」
「思い出さなくて結構です」
 ゼロの回想を、シフィルは慌てて断ち切るのであった。
「誕生日オメデトウ。これからも健康で元気でいてくれ。んで、またオモシレェ冒険させてクレヨナ? ま年もチケェし、良けりゃ依頼以外でも仲良くシヨウゼ」
 ズィヴェンはそう言ってゼロにお酒を勧める。
「酒飲むのか? じゃ俺がお酌するぜなぁん」
 ナディアもそこに加わって勧める。ナディア自身は未成年なので酌だけであったが。
「お酒ですか、あまり強くは無いのですが……」
 やや渋るゼロであったが、二人の進めに一つ、また一つと飲み下してゆく。

「ゼロ、鬱憤を晴らすんだなぁーん!」
「ギャハハハハハッハァ!」
 何だか異常に盛り上がっていたような気がするが、きっとお酒のせいなのだろう。全く恐ろしいことである。

 色々と疲れたのか、その場で眠ってしまったゼロ。冒険者たちはそんなゼロを起こさぬようにと気をつけながら帰っていった。
 ニューラとアリアは後片付けをしておこうと、使った食器やら工房の中を整えてゆく。
「……お誕生日、おめでとう」
 休養が必要なのかもしれない。ゼロが風邪を引かぬようにとアリアは上着を掛け、ゼロの誕生日は幕を閉じるのであった。

 (おわり)


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