ディアブルノアール



<オープニング>


 小さな村。
 だった。
 あれが、あの悪魔が来るまでは――

 ――廃村に、黒い影一つ。
 緩やかな流線型。
 滑らかな光沢を有す漆黒の鎧は、暗雲立ち込める中に在って、鈍く煌く。
 黒。
 それが、悪魔の異名。
 歪に生え揃った武骨な六肢で、悪魔は足早に暗がりへ身を寄せる。
 朽ちた家々は――兜の下に潜むあぎとが、もたらした。
 かぶりつき、砕く。
 手持ち無沙汰な悪魔の戯れ。
 ――悪魔は、弱い者から、喰らっていった。
 遅れた者から。
 小さな者から。
 後ろから。
 後ろから……

 寂れた寒村に響く、破砕の音。
 兜の天辺より勇み伸びる二つの髭が、鞭のようにしなやかに揺れる。
 ぴしり、と。
 軽くはたかれた壁が、崩れた。
 瓦礫の後ろ、灰色に渦巻く空を、漆黒の眼差しが捕らえる。
 不意に。
 艶やかな鎧の背が、開く。
 薄く、硬く、暗く。
 景色を透かし見るそれが、瓦礫より吹き荒ぶ風を捉えた。
 悪魔の体が、浮き上がる。
 支える六肢が一斉にしなり、風を手伝い、悪魔の身体を宙へと踊らせ――それだけで、精一杯。
 頑丈なりに、重苦しい鎧纏う身体は、飛ぶまでには及ばず。
 さりとて。
 軽々と家一件を跳び越えて、黒い悪魔は頭上より迫る。身の丈を覆ってまだ余りある悪魔に――人々がどう、対処できるというのか。
 衝撃もなく。
 棘生え揃う六肢に支えられ、悪魔の身体は再び地に降り立つ。
 暗い双眸が、薄暗い景色を映す。
 次の獲物を求め。
 ――肉の気配を求め。

 黒き悪魔は、暗がりに潜む。
 我が身の暗さを、溶かし込むように。

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参加者
嵐との契約者・ヴィナ(a09787)
黒焔の執行者・レグルス(a20725)
紅い瞳の黒刃使い・ルチア(a22362)
華紬の伶・ミンリーシャン(a22811)
空仰鵬程・ヴィカル(a27792)
護る盾・ロディウム(a35987)
剣豪を目指す南国の侍・ムサシ(a44107)
空游・ユーティス(a46504)
晴天戴風・マルクドゥ(a66351)
天逆猟兵・ゼオヴァイン(a70505)


<リプレイ>

●廃墟
 薄暗い。
 朽ち果てた家屋の陰に目を凝らし、迷走大風・マルクドゥ(a66351)は蛮刀を握る。こんな危険なのを放置する訳には、断じていかない。
 この村にも、沢山の幸福があった筈なのに。
 崩壊は、一瞬。
 随分理不尽な話だと、虚殻・ユーティス(a46504)は思う。負けたくない。
 されども、聞き及ぶその形容は……人が忌み嫌う『あれ』に酷似してもいた。
 出てくるところは台所だけで十分、ごちる言葉は心中に、紅い瞳の黒刃使い・ルチア(a22362)の瞳が前方と頭上とを、幾度となく行き交う。
 あれはまっこと厄介なもの。度々食糧を掠め取られ悩んだものだと、剣豪を目指す南国の侍・ムサシ(a44107)は故郷での出来事を思い出す。
 だが、これから対峙するのは……
 成れの果て、ならば、生前はどんな冒険者だったのか。
 最早知る術もなく、悪魔と化した者を探し、護る盾・ロディウム(a35987)の視線が瓦礫を走る。
 背を合わせた円陣。外周に前衛を、外周に後衛を配し、全方位へ予断なく気を配り、緩やかに進む。
 その内円、永久に奏でる愛想曲・ミンリーシャン(a22811)の足は、震えていた。無事に帰れる自身はあまりない……だが、自分だってやるときはやる。涙目を凝らして暗がりを探し、静まり返った中に耳を澄ます。
 僅かな音。
 ……風か。
 強張った体が、再び緩む。
 人の気配はない。
 皆、やられてしまったのか……知る程に、敵を討ちたいと沸き上がる想い。強く強く握り締められた弓が、空仰鵬程・ヴィカル(a27792)の手の中で軋んだ音を立てる。
 何だってこんな寒い時期に動くのか。くそ……と、内心に零して、黒焔の執行者・レグルス(a20725)は咄嗟に見上げた空から、積み上がる家屋瓦礫の隙間に不穏な気配を探す。
 開けた視界。
 やってやろうじゃない、言い放つ、嵐と共に進みゆく・ヴィナ(a09787)は対照的に、何処か自然なたたずまい。
 ずっと緊張していたのでは疲れる。
 気分転換にどう? と、何故か紫色をした蜂蜜レモンを勧めるが……正直、それに応じている余裕はなかった。
 羽音が。
 壁の向こうに――

●黒
 警戒の声を最初に発したのは、誰だったか。
「あの壁!」
「飛んだっ」
「上です!」
 悪魔の駿足に、複数の声が混ざる。流れるように動く視線。
 全ての声が耳に届き、十人十色な二十の眼が見たのは、真上から落ちてくる、巨大な黒の甲冑だった。
 こいつはカーネルの町で猛威を振るったあれの仲間か!?
 見る間に迫り来る鈍い光沢に、天逆猟兵・ゼオヴァイン(a70505)の脳裏で過ぎるそんな言葉。しかもこのでかさでは、抵抗力のある奴でも厭な夢に見そうだ――
 傍らに居たムサシが、身構える肩に触れて誓いの言葉を唱えている。
 すかさずに、青い鎧纏う四足の獣が地を蹴り、騎上のロディウムが落ちる黒い悪魔へと無造作に二振りの剣を繰り出す。
 透き通った刀身。されども、その涼やかな煌きは空を切り。
 負けじと透き通る薄暗い翅を折畳み舞い降りた甲冑。伸びる六つ足が、振り上げようとしたゼオヴァインの腕諸共に、身体をがっしりと掴まえていた。
 黒光りする顎が、ムサシが触れるとは逆の肩に食い込む。
 ぱみっ。
 余りにも軽い音で、革鎧が軋み、割れる。
 いや、この音は――骨?
「引き離してー!」
 鋭く響く、ユーティスの声。それは直様に力強く。歌声に換わった力は、よろめくゼオヴァインと、痛みを分かつムサシへ。
 幾重にも重なる足音。
 円から半円へ。前・後、波状に位置を移す最中、ミンリーシャンと身を繋ぐ少女の髪が、銀から虹色へと明滅する。
「お願い、当たって!!」
 咄嗟に突き出した両の手。填めた術手の鈴が、小さく音を立てる。
 輝き現れた紋章は天を照らさんばかりに輝く火球と化し、悪魔に衝突した。
 散り消える虹色の火の粉。
 衝撃に六つの脚は力を緩め……その隙を見て取ったヴィカルの身を包む黄の蛇が、黒い吐息を吐き零す。
 握る弓は逆の手に。今、その掌に浮かぶのは、不吉な絵柄。
 風を切って飛ぶ、不幸の便り。
 背に突き立って、されど、艶消しの黒を染めつけるには叶わず。
 ただ、続く衝撃に悪魔は遂に引き剥がされ、ヴィナはその脇へとにじり寄る。
「これで終わり……貴方にとって悪夢の始まり」
 唱え力を注げば、握る鎌に際立つ闇の印象。
 素早く、悪魔は壁際へ距離を取る。亀裂の隙間へ半身を埋めようと、だが、逃しはすまい。
「状況開始。これより目標を拘束する」
 借りを返そうとでもいうかのように。形容し難き弓はまだ脇に、今度こそはゼオヴァインの腕から糸の束が降り注ぐ。
 俄に、風を切る音。
 複雑に蠢く二振りの鞭。それは折角降り注いだそれを、いとも容易く切り裂き――
 ――しかし、悪魔の眼前に、頑強な鱗の鎧が立ち塞がる。
 波打つ鼓動。覚醒した血潮が、全身を駆ける。掘り込まれるのは殲滅の意志。厚い刀身に刻まれた鮮血色の獣爪痕を、マルクドゥは騎上から真っ直ぐ振り落とす。
「硬いぞッ」
 あの出で立ちを見れば、予測はつく。
 改めて確認されたそれに、レグルスの腕が、ゆっくりと持ち上がる。
 黒尽くめた容姿。同じ黒だからとて、仲間ではない……改めてそんなことを思いながら、新しく沸き上がる黒を纏う。
「猛き邪竜よ、捧げし我が身と引き換えに一時の力を」
 鎌首を持ち上げた大蛇の杖の先に渦巻く黒炎。それよりもなお大きくとぐろを巻いて身を包む黒き蛇が、いよいよ現れた虚無の腕へと、紫のガスを溶け込ませた。
 貫通して装甲を剥ぐ一撃に、悪魔がまた一歩後退する。
 後退りたいのはこちらのほうだ。
 改めて目の当たりにした容姿に……覚悟はしていたが、やはりこの形・この大きさを前にすれば、動揺の一つや二つ。
 だが、緊張から来る鼓動を今は闘気に換えて、ルチアは早鐘を打つ鼓動の力を握る漆黒の刃へと注ぎ込む。
「吹っ飛べっ、この料理する者の敵が〜!!」
 ……手応えは少し弱い気がした。これも、動揺からくる無意識のずれなのか。
 だが、甲冑を削がれた今、直撃に等しく。溜め込まれた力は煌く剣の接触と共に弾け、悪魔を激しく揺さぶる。
 もう一回。
 整えた陣の後方で、ヴィカルが二枚目の絵札を生み出す。
 だが、蠢く六肢に動きを察したユーティスが――呼びかけるより、行く方が早い。
 駆け込んで、進行方向へ振り落とした篭手。だが、黒光りする鎧はそれを寸前でかわし、まるで重みなどないかの如く、崩れかけた壁を上へと駆け上る。
「屋根から飛ぶつもりだよー……!」
 咄嗟に、後方へと喚起を投げる。
「弱いもの狙いですか……上等じゃない」
 不敵な笑み浮かぶヴィナの表情が、淡く照らされる。
 ゆらり、鎌もて移動するその刃に、青白く迸る稲妻。
 果たして、通じているのか否か。今はただ、落雷の如き一閃のみが、壁際に佇む黒へと打ち下ろされる。
 受けて痺れ、しかし、六肢はしかと壁を掴んだまま。探るように蠢く頭部が、僅か反り返るように眼下を映し――
 来るか。鎧への加護を終え、聳える盾を地に打ち立て、立ち塞がる如く構えるムサシの視線の先で……飛んだ。
 二度目はさせまい。
 再び、薄い翅に暗雲を移し、頭上から降るように落ちる悪魔へ、ロディウムは水霊の加護を受けたかのごとき透き通った刃を、二振り。
 跨る青の獣が、剣握る両腕に力を注ぐ。
 すい、と。
 脇から回り込んだか、それとも、元から居たのか。飛び掛る黒に目掛け、宙で交差する一撃。
 達人のみが成し得る無造作な一閃。打たれた悪魔は進路を歪め、叩き落とされるように着地する。そこは折りしも、庇うように進路を塞ぎ立つムサシの正面。
 戦意を奪うまでには届かなかったのか、悪魔は唯で終らぬとばかり、頭部より伸びる鞭を居座るムサシへ打ち付ける。
 翻る布。背に浮かぶ闇色が鞭よりもなおしなやかに舞い、隙間を縫って身を打とうとする一対を、いなし、弾く。
 痛みはない。耐え凌げばそれだけで、鎧に与えた加護が守りを十倍に引き上げてくれるのだから。
 奇しくも、敵陣真中、後衛圏内に囲い込まれる形になったそこへ。
 より近く距離を詰めたヴィカルの片腕が、停止する悪魔の横腹に添えられる。
 ダメージという点では、雀の涙に等しかろう。さりとてその衝撃の真意は。
「そっちに吹っ飛ばすなぁ〜ん!」
 喚起と共に、触れた掌を伝い送り込まれる気。
 ぱちん。何処か乾いた頼りない音と共に、悪魔の体が捲れあがるようにして浮かび上がった。
 ばたつく六脚が、横滑りする地を掻いて身を留める。
 今一度整えられる、半円の陣形。
 悪魔もまた、未だ健勝に……聳えるように立ちはだかる者らを退けんと、撫でるように頭部の鞭を振り翳し、恐るべき勢いでその壁を切り崩す。
 激しく打ち据えられて態勢を崩し、或いは、弾かれ……そこへ届く、高らかな歌声。
「皆さん! お気をつけ下さいっ!」
 心と体と。立ち上がらせる凱歌。
 ミンリーシャンの歌い上げるその声を聞きながら、悪魔はまるで探るように、狙うべき者を不気味に見つめていた。

●悪魔
 艶の消えた黒。
 染み付けた不幸の印が消えぬようにと祈り込めながら、ヴィカルは携えた大振りな弓の弦を引き絞る。
 戦況は一進一退……痛々しき棘の矢を番え、少しでも多く傷を穿たんと解き放つ。
 絶対に行かせる訳にはいかない。
 ――四度目の襲撃の折り、悪魔の痛打にゼオヴァインが倒れ、ユーティスとミンリーシャンはすかさずに戦線離脱に肩を貸す。
 しかし、悪魔は倒れてなお、むしろ、健勝であった頃よりも激しく、負傷者を狙った。
 弱い者から……弱った者から、狙う。
 庇うムサシを何度も跳び越えた。反撃に転ずユーティスを時に弾き飛ばし、ミンリーシャンが迎撃に放つ火球を掠めながら、その手足に齧りつく。
 凱歌一曲では事足りず、幾度となく、ゆく手を阻もうと割り込むルチアやマルクドゥから、気合を根源とした癒しの歌声が響いた。
 それでも、悪魔の恐るべき顎に急所でも噛み砕かれようものなら、痛みを分かつムサシの意識すら遠く揺らぎかけ……続いて誓いを施したはずのミンリーシャンは、既に膝を折っている。
 ロディウムが射落として射落として、戦意を奪い去ってようやく。
 悪魔の目の届かぬ所へゼオヴァインとミンリーシャンの身体は運び去られ……
「二人共、もう少しだからー……!」
 左右に肩を貸すユーティス。退避に距離を取り、歌声が届かぬことを気にしてか幾度も振り返るその姿へ、マルクドゥは頼もしく視線を投げる。
「任せろッ」
 沸き上がるような気。続くロディウムの歌声と合わせ、遠退いた意識を一気に引き戻す。
 そして、負傷者が去った後、標的とされるのは……今度は自分か。ムサシの誓いの言葉を受けながら、レグルスは低く唱える。冗談じゃねー、そんな言葉が容易に浮かぶ表情。
「従いて疾く地の底より来たれ 我の前に立ち塞がりし敵を焼き尽くせ」
 うねる黒炎。練りあがる黒はやがて三つ首を模し、戦意のみは辛うじてに甦らせ、壁際を這う悪魔へと投げ寄越される。
 炸裂に燃え盛る炎。失血は棘の矢と合わせ益々激しさを増し、その血潮もまた冒された毒に暗く濁る。
 その翅が、再び開いた。
 寸前、仕掛けたルチアの漆黒の刃が、滑る様に甲冑の脇を逸れ、脇の瓦礫を爆ぜ弾く。
「悪魔め……!」
 忌々しげに唱えたその時には、黒い鎧は頭上を跳び越えていた。
 翅は片方獲った。脚も二つ。それでも、残る四肢で瓦礫の壁を這い、悪魔は目の高さから後ろへ目掛け、跳ねて飛ぶ。
 最後の雷撃。ヴィナの鎌から迸る稲妻が、中空の悪魔を捉える。
 だが、それは眼前への着地をも意味していた。
 駆け巡る電流に身を揺らし、体液を零し燃え盛ってなお、乗り上げて齧り付く巨大な顎。
 脇腹。内臓が、焼け付く。立って居られない――
 限界の最中、這い上がってくる血の味に、しかし、ヴィナは叫ぶ。
「敵が羽を広げたときの背を狙え……大概の昆虫はそこが心臓です!」
 もうこれ以上はさせるものか!
 息荒く戦線へと復帰したユーティスが、倒れるヴィナを越えて更に後方へ至ろうとするのを、渾身の一撃で以って食い止める。
 頭部に直撃した拳。脳震盪を起こしたように揺れる鞭を、闇色の布翻してかわし、次々に集う皆の為、素早く飛び退く。
「皆、今なぁ〜ん!」
 ヴィカルの声が、弧を描く一矢と共に、戦場を渡る。
 呼応して……いや、いつの間にそこに居たのか。
 騎上のロディウムの両腕で、透き通った青が煌く。
「……ここで止めさせてもらいます」
 青い鎧纏う獣の四足が、無造作に地を進み入り込んだ悪魔の間合い。その主が放つ一撃もまた、無造作に。
 差し込む、ような、何処か静かな一閃。
 されどそれは確かに、悪魔の背を割って、その戦意を奪い去る。
 項垂れる体。
 期は満ちた。言わぬばかりに歩を進めたムサシの腕が、神の名を頂く剣を高く掲げる。
「チェストォーーーーーーー!!」
 気合裂帛。岩をも砕く一撃が、ひび割れた黒の鎧を、今度こそ真っ二つにかち割る。
 遂に、真に鎧を剥がれ、剥き出される悪魔の体。
 入れ替わり、幾度目か肉薄する、黒い鎧の獣。
 跨るマルクドゥの腕から立ち昇る闘気。刃に集うそれが溢れ出し、辺りの景色を歪ませる。
「スティード憑きの底力、舐めんなよッ」
 与えられる突撃の力。未だ剥されたままの装甲を容赦なく叩く、殲滅の一撃。
 爆発が残る薄い翅を弾き折る。抉り取られた背の肉。
 否、もう一度。
 背には青い髪靡かせる少女を連れて。ルチアが今度こそ叩き付ける、渾身の……
「爆ぜ逝け!!」
 溜め込まれた闘気。
 暗雲すら吹き飛ばす気概で以って、振り落とされる漆黒の刃。
 黒い鎧の内部へ届けられた漆黒の刀身が、その力を解放し……爆ぜた。

●光明
 完膚なきまでに。
 悪魔が動きとめてなお、皆は攻撃の手を休めはしなかった。
 粉々になるまで。
 『黒い悪魔』の生命力を知るからには、容赦しない。
 やがて、くびれた首と胴と、深々と矢の刺さる亀裂と。あらゆる傷が繋がって、装甲内部で掻き混ざり、その隙間から雫のように零れ落ちる。
 止んだ音。
 全てを終えたと知って……退避を終えたゼオヴァインは、言う。
「現時刻を以って目標の殲滅を確認。索敵警戒態勢で生存者の捜索に移行する」
 瓦礫の中。
「どなたか、いらっしゃいませんか……!」
 ミンリーシャンの呼びかける声は、薄い反響だけを残し、暗雲の空に消える。
 命ある者は……逃げたのか。それとも――
 ただ、ここにあったのは、亡骸だけだった。
「生者には安寧を、死者には安息を」
「死者には黙祷を、生者には明日への希望を」
 弔い。
 丁重に埋葬されていくその様に、ルチアとレグルスの言葉が重なる。
 今はただ、真摯な祈りを捧げる。
 やがて、顔をあげたヴィカルの瞳に。
 雲間から差し込む一筋の細い光が、静かに映し出されていた。


マスター:BOSS 紹介ページ
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作成日:2008/01/30
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