振動掌!



<オープニング>


●超振動掌
「今回は、体術に優れたモンスターを退治して頂きます」
 真実求む霊査士・ゼロ(a90250)の言葉に無双華・リョウコ(a90264)を始めとした何人かの冒険者が視線を上げる。
「どうも山の中に古びた木造の建物があり、その中の広間にモンスターは居座っているようです。武器は持たず、武道着を身にまとった姿をしています」
 元は武道家だったのだろうか、腕がなるとリョウコは小さくつぶやく。
「その素早い身のこなしから拳の間合いでの接近戦闘を得意とし、掌を突き出して繰り出してくる攻撃は威力が高いようです。どうも霊査によれば闘気が相手の体内で振動し、鎧強度に関係なく肉体の内部を破壊する技だと視えました」
 掌の一撃だけに注意すればいいのかと尋ねる冒険者に、ゼロは首を振った。
「確かに強力なのは先述のそれですが、両手を突き出して振動する闘気を放出することも可能な様子です。これはそれ程遠くまでは伝わらないようなのですが、近接距離の敵を吹き飛ばすほどの威力があるでしょう」
 間合いを外し、攻撃のタイミングを巧みに掴みにかかる。上手く対応を考えておかないとかく乱されてしまうかもしれない。
「何とか隙を見つけ、退治して頂きますようお願いします」
 ゼロはそう言って冒険者たちに一礼を贈るのだった。

マスターからのコメントを見る

参加者
フレイハルトの護衛士ー紅神の・フーリィ(a00685)
木漏れ日に舞う舞闘拳士・シャロン(a32664)
守護と慈愛の拳闘淑女・クレア(a37112)
小さな探究者・シルス(a38751)
真紅障壁・シズキ(a41815)
落花流水・ソウジュ(a62831)
槍を持って進む者・ベディヴィア(a63439)
樹霊・シフィル(a64372)
其の瞬間に総てを賭す・フィエル(a65023)

NPC:無双華・リョウコ(a90264)



<リプレイ>

●古き道場にて
 ぎし……小さな軋む音を立てて扉が開かれる。その古びた屋敷を訪れた冒険者たちが目にしたのは広い部屋とその中央に立ち尽くす一人の武道家だった。
「同じ武道家としてボクの技がどこまで通用するか試させてもらうよ」
 木漏れ日に舞う舞闘拳士・シャロン(a32664)はそう言って護りの天使達を召喚した。奴はこの屋敷に現れたモンスターであり、冒険者たちはそれを退治するために集まったのだ。
「私のパンチでノックアウトといきたいけど……どうなるかな?」
 気を吐き、剛拳麗女・クレア(a37112)はワイルドキャノンを解き放つ! 迫り来る闘気に魔物は軽く地を蹴ってステップを踏むように詰め寄ってくる。
 ぺたん。
 正面から迎え撃つ真紅障壁・シズキ(a41815)の儀礼用盾『紅鳳』に敵の手が置かれた。何も起きないかと思われた……次の瞬間!
「くっ!?」
 腕の中で何かが弾け、衝撃でシズキの体が後方へと勢い良く吹き飛んだ! シズキは何とか踏ん張って体勢を立て直し、盾を携える手を握り直す。
「まだ……まだ」
 盾も鎧も関係なく、体の中に伝わる衝撃。その威力に自分の腕がどうにかなってしまったのではないかと一瞬思ったシズキだったが、まだ腕は繋がっており盾も握れる。シズキは急いで前線へと戻るべく駆け出した。
「人里に降りて被害を出さないうちに、なんとか退治しておきたいです」
 小さな探究者・シルス(a38751)はそう言って気高き銀狼を解き放つ。魔物は僅かに体を屈めて銀狼を紙一重でかわすが、その間に樹霊・シフィル(a64372)は黒炎覚醒を発動させた。
「後ろで、皆さんの支援いたしますわ……」
 落花流水落ちる花は水に流れ・ソウジュ(a62831)も黒炎覚醒の力で邪竜の黒き炎を立ち昇らせる。そして側面から攻めるように踏み込んだのは無双華・リョウコ(a90264)だ。
「はっ!」
 リョウコから繰り出された蹴りを魔物は片腕を立てて受け止める。しかしそこに正面から槍を持って進む者・ベディヴィア(a63439)がホーリースマッシュを振り下ろす!
 がっ!
 もう片方の腕で直撃だけは防いだ魔物だが、完全に防御はできなかったらしくじりっと僅かに足元が下がる。
「……見えるだろうか」
 其の瞬間に総てを賭す・フィエル(a65023)は無風の構えを発動させようとするものの、そのアビリティは活性化されておらず使用することが出来なかった。
「見せてあげるわ。老いて一線を退いたとはいえ、まだまだ若いものには負けないわっ」
 フレイハルトの護衛士ー紅神の・フーリィ(a00685)はライクアフェザーの構えを取りながら相手の側面へと回る。
「幻惑して間合いを外す……胡蝶の舞」
 イリュージョンステップのリズムを刻むシャロンに、クレアも前線に立つべく相手との距離を詰めにかかる。無数の敵を前にして武道家の魔物はちらりと視線を巡らせつつ、立てた掌をすっと横に流した。――まるで狙いをつけるかのように。
 じじじじじじ……。
 何か金属が小刻みに擦れるような音が響いたかと思えば、前に立っていた冒険者たちが衝撃に押されて吹き飛ばされてゆく!
「あれが……」
 霊査士の話していた『振動する闘気』の攻撃なのだろう。体勢を立て直す仲間達に向けて、シルスは護りの天使達を召喚してゆく。
「わたくし達重騎士が苦手とするタイプの敵のようですね、しかし逃げることは許されません」
 この技は鎧強度を無視してダメージを与えてくる。先ほど攻撃を受けたシズキは奥歯を噛み締め、しかし変わらぬ意志を示すかのように蛮刀『朱雀紅蓮』を振り上げる!
「はっ!」
 気合と共に振り下ろされたホーリースマッシュが魔物の肩を叩き、ずしんと響く。吹き飛ばされた者達にはシフィルがヒーリングウェーブを施し、ソウジュは高らかな凱歌を奏でて仲間達の傷を癒してゆく。
「すっごく強そうな敵さんです。でもでも、不法滞在はモンスターさんでも駄目だから力ずくでも立ち退いてもらうですよ」
 ベディヴィアはじめ飛ばされた冒険者たちも前線へと戻ってゆく。フーリィは側面から『技』の攻撃を仕掛けるも、フーリィの装備する術手袋は技の攻撃力があまり高くなく、その体を傷付けることは出来なかった。
「確実に当てて力を削ぐ……風雅の舞!」
 踏み切り、軽く跳んで旋空脚を繰り出すシャロン! 高速の蹴りは鋭く魔物の脇腹へと突き刺さった。
「貴方の拳と私の拳、どっちが上か……勝負です!」
 続いてクレアが指天殺を突き出すが、魔物はそれを片腕で捌き、退かずに逆の掌を突き出す。
 どん!
 胸の辺りで闘気が炸裂し、血を噴きながらクレアの体が吹っ飛ぶ。シルスは急いでヒーリングウェーブでその傷を回復させる。
 だが攻撃を繰り出した魔物に向けてシズキが再度ホーリースマッシュを繰り出す。守護天使の力を借りた一撃を察知したか、魔物は横に跳んでこれをかわした。
 ざざざっ!
 しかしそこに無数の木の葉が纏わりつき、魔物の動きを縛ってゆく。緑の縛撃を放ったのはシフィル!
「しばらくじっとしていて下さいですの〜」
 ソウジュの放つ気高き銀狼が喰らいつく。魔物の動きが縛られた好機を逃さぬよう、冒険者たちは床を蹴った!
 リョウコの旋空脚が突き刺さり、ベディヴィアの大岩斬が魔物の胸を袈裟懸けに薙ぐ。
「必ず倒します……」
 輝く軌跡を描きながら、フィエルの疾風斬鉄脚が繰り出された。魔物は拘束された身ながらも腕の部分で受け、防御したようだ。
「医術士の戦いで一番重要なのは見る力よ、相手の動きを良く見て動けば……」
 がぁんっ!
 フーリィは突き出した両手、嵌められた術手袋『菩薩掌』から『心』の衝撃波を魔物の体に叩き込む。この一撃にはミレナリィドールの力も融合して威力を上げていた。
 シャロンは護りの天使達を召喚して仲間達の守りを固め、リョウコは側面から蹴りを放つ。
 そして正面からはシズキとベティヴィアがホーリースマッシュを叩き込む! 二つの斬撃が正面から魔物の体を裂いて揺るがし、動けないながらも怯んでいるようであった。
「さぁ、真打登場ですよ?」
 間合いと仲間達の配置を確認し、クレアはその場からワイルドキャノンを解き放つ! クレアの拳から放たれた闘気の砲撃がビシビシと魔物の体を打つ所へシフィルも緑の縛撃を放ち、ソウジュは高らかな凱歌を奏でて相手が動いても深刻な被害を受けないように備える。
 どん!
 右手にエンブレムブロウの力を込めてフーリィは魔物の脇腹を殴りつける。この一撃は痛かったか、魔物の体がくの字に曲がった所へフィエルも踏み込んだ。
『……っ!』
 しかしよろめきながらも束縛を打ち破ったか、そのまま身を沈めて片手を着き、魔物はフィエルの蹴りを回避した。そこから腕の力で立ち上がり、両手の平を突き出して構える。
「来るっ!」
 イリュージョンステップの構えを取り直しながらシャロンが言った次の瞬間、先ほども聞いた耳障りな音が辺りに響き渡った。
 じじじじじ……。
 前に出ていた冒険者たちが吹き飛ぶ中、即座に戦況を判断したクレアとシフィルが前へ出る。
 ぱしっ!
 突き出すクレアの爆砕拳を魔物は手で受け止める。
「参ります。胸をお貸し下さいませね?」
 だがシフィルのエンブレムブロウが迫る! この一撃は避けることも受けることも出来なかったか、シフィルの術手袋『緑樹手套』で握られた拳が魔物の体にめり込んだ。
「無理なさらぬよう……支援いたしますわ」
 再び動きを封じようとソウジュが気高き銀狼を放つものの、魔物は片方の拳でこれを振り払い防御する。そして床を踏み締め僅かに身を沈め、勢いをつけて掌を突き出した!
「か……はっ……」
 みしり、とシフィルの胸に掌がめり込み、中で爆ぜる。ぶちぶちと体の中が潰れて口の中に血の味が広がった。
 吹き飛んで倒れるシフィルに向けてフーリィは癒しの聖女を飛ばして回復を施す。
「退きません、あなたは大いなる災いに為りかねないのですから」
 シズキの仕掛けるホーリースマッシュから身をかわし、冒険者たちの包囲から抜けようと地を蹴る魔物。しかしそうはさせないとリョウコも蹴りを放つ!
「こっちは通行止めよ」
 その蹴りは何とか避けた魔物だったが、その動きによって出来た隙をベディヴィアが撃ち抜く。
「決め技で使ってやるのです!」
 ずがんと頭に一撃がヒットし、魔物が僅かに体勢を崩した。
「もう少しです」
 シルスが護りの天使達を召喚する中、フィエルも疾風斬鉄脚を放つ。ばしっと腕を立てて蹴りを防御する魔物だが、その腕を掻い潜ってフーリィがエンブレムブロウを叩き込んだ。
「もう防御で手一杯みたいね、隙だらけだわ」
 崩れそうな魔物、だがまだ戦意は失っていないらしく掌を突き出して構えている。そんな相手に応えるべく、シャロンは闘志を胸に床を蹴った。
「一気に決めるよ……いっけ〜弧月の舞」
 じゃっ!
 空気と魔物の胸を引き裂いて、輝く疾風斬鉄脚が蹴り上げられた。魔物は大きく仰け反りつつ、それでも掌を突き出す。
 たんっ、と触れたのはベディヴィアのスーツアーマー。そのままずばんと闘気が炸裂した。
「ぐぁっ!?」
 後方へと押し下がらせる威力は相変わらずで、ベディヴィアは顔をしかめて胸を押さえる。
「皆さん……すごいですの」
「たまには体も動かさないと……しかしそろそろ終わりにして頂きましょう」
 ソウジュとシフィルは一瞬だけ視線を交わし、それぞれ気高き銀狼と緑の縛撃を放つ。銀狼が喰らい付いて組み伏せ、無数の木の葉が纏わりついていった。
「せめて戦いで葬ってあげる!」
 拳に高めた闘気を込めて突き出し、クレアはワイルドキャノンを放つ!
 ががががっ!
 素手追撃が乗って魔物の体がびしびし跳ねる。冒険者たちの猛攻を受け、動きを封じられ……魔物はもう完全にグロッキーだ。
「その実力と闘志に応え、こちらも全力でいかせていただきます」
 シズキが蛮刀を振り上げ、守護天使を召喚する。そのまま全霊を込めた一撃を振り下ろす!
 ざんっ!
 斬撃は魔物の体を大きく裂き、ずしんと仰向けに倒れさせた。それがトドメとなったか魔物はそれ切り動かなくなる。

「ふー、強いモンスターでしたね。皆さん大丈夫ですか?」
 戦いの終わりにシルスは息を吐き、仲間達に労いの言葉をかける。
「その実力を称え、穴を掘りキチンと弔う必要があるでしょう」
 シズキの提案に一同は頷き、魔物の亡骸を外へと運んで埋葬することとなった。
「この戦いで得た経験、しかとこの身に叩き込みましたわ」
「グリモアの元でお休み……今度は友達として組み手をやろうね」
 モンスター、かつて冒険者だった者にシフィルとシャロンは別れを告げる。クレアも鍛えた技を存分に披露できたかと冥福を祈る。
「本当に、適材適所、私は私のできることをこれからも頑張りましょう」
 ソウジュの言葉に一同は頷いて。無事にモンスターを退治できたことに安堵を抱きながら帰路につくのであった。

 (おわり)


マスター:零風堂 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:9人
作成日:2008/01/27
得票数:冒険活劇2  戦闘16 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。