イズノオドリコ



<オープニング>


●イズノオドリコ
 チキンレッグ領の辺境にある村で、妖艶な踊り子姿をしたモンスターが確認された。
 このモンスターは真夜中にのみ活動していたため、今まで発見する事が出来なかったらしい。
 例え目撃者がいたとしても、酔っぱらいの戯言として相手にされなかったからな。
 モンスターはイズノ村で最初に確認された事から、『イズノオドリコ』と呼ばれている。
 イズノオドリコは人間の女性の姿をしているが、人間の言葉を話す事が出来ないため見分ける事は簡単だ。
 しかし、男達を誘惑する事の出来る艶めかしいダンスを踊ってくるため、イズノオドリコを退治するためには彼らを大人しくさせる必要がある。
 イズノオドリコのダンスは冒険者達なら簡単に抵抗する事が出来るものの、何だか物凄く損をした気分になってしまうらしい。
 そのため、誘惑された相手を羨ましく思ったり、逆に腹が立ってくるようだ。
 そのせいで殴り合いの喧嘩になった事もあるようだから、くれぐれも気をつけてくれ。

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参加者
暴風の・オーソン(a00242)
決別を呼ぶ吠響・ファウ(a05055)
雲路の果てで微笑う・クーナン(a08813)
緋桜の獅子・オウカ(a10970)
阿蒙・クエス(a17037)
やわらかな陽光・アリステア(a41392)
空を翔る蒼き王者・ツルギ(a48040)
裏山の百鬼夜行・タクミ(a52755)
鋼鉄の闘士・シン(a63104)
圧殺運命・アヤ(a66727)
気ままな風船・ルキフージュ(a68818)
葡萄科・ネイリー(a71110)
NPC:魅惑の谷間・ドーラ(a90075)



<リプレイ>

●村人
「イズノオドリコかぁ……。どんな踊りをするんだろうなぁ〜♪」
 ワクワクとした表情を浮かべながら、気ままな風船・ルキフージュ(a68818)がイズノオドリコの確認された村に向かう。
 イズノオドリコは妖しげなダンスを踊って、チキンレッグの男達を魅了しているらしい。
 魅了された村人達は飲まず食わずで踊りを見ているため、大半の物が病的なまでに痩せ細っている。
 ルキフージュは村に着くと仲間達と協力し合い、村の広場に簡易ステージを作っていく。
「踊り子……ねぇ? オレはそーいうのに、あんまり興味ないんだけど……、オトナってスケベでヤダねーホント、ホント。だが、そんな不埒なモンでひとさまを惑わそうたぁイイ度胸じゃないかー。お天道様に代わってオレが成敗してやるー」
 艶めかしい踊りとやらが気になってたまらないお年頃にも拘らず、裏山の百鬼夜行・タクミ(a52755)がまったく興味がなさそうに呟いた。
 しかし、セリフが棒読みなので勘のいい仲間なら、タクミの本音を理解する事が出来るだろう。
「……なんか一見、大した被害はなさそうだし、むしろチキンレッグさん達が幸せそうなんで放置してもいいような気になっちゃうけど……、そうは言ってられないか」
 苦笑いを浮かべながら、決別を呼ぶ吠響・ファウ(a05055)が汗を流す。
 イズノオドリコは弱ったチキンレッグを襲っているようだが、まったく痕跡を残さず平らげてしまうので怪しまれる事がなかったようだ。
「さーて、今回は…ひさびっさにサービスするかぁ。……って、オイ。触るのはNGだって言っているだろうが!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、緋桜の獅子・オウカ(a10970)が自分の胸を触った犯人を捜す。
 だが、近くにいるはずの犯人が見つからず、彼女の怒りがピークに達した。
「いまのは……ドーラ?」
 不思議そうに首を傾げながら、葡萄科・ネイリー(a71110)が口を開く。
 悲鳴が聞こえた途端にカンテラを向けたのだが、動きが素早かったので断言する事が出来ない。
「次に現れたら容赦しませんわよ。粘り蜘蛛糸でふん縛って大人しくさせますわ。それでも暴れるようでしたら、荒縄で緊縛するのもようございますわね。きっと新しい地平が垣間見えるかも知れませんわ」
 含みのある笑みを浮かべながら、雲路の果てで微笑う・クーナン(a08813)が舞台袖に潜む。
 チキンレッグ達は冒険者達の作った舞台に気づき、巨大なハンマーを構えて近づいてきた。
「さぁて。それじゃ、そろそろ始めるか」
 白を基調としたビキニ水着のような露出度の高い踊り子衣装を身に纏い、オウカが妖艶な笑みを浮かべてダンスを踊る。
 だが、村人達はイズノオドリコの魅了されているため、彼女の姿を見ても虜になる事はない。
「オウカさん! 頑張って!」
 タンバリンを叩きながら、ルキフージュがオウカを応援する。
 それに合わせてオウカが激しく腰を振り、村人達の心を徐々に引きつけていく。
「……もう少しね」
 すぐさまスーパースポットライトを放ち、麗しき剣士・シャルナ(a34468)が村人達を注目させる。
 村人達は次第に鼻の下を伸ばし、導かれるようにしてステージに近づいていく。
「こっちにはスゴイ踊り子さんが、おふたりもいるんだよー。早くしないと特等席が埋まっちゃうからね」
 満面の笑みを浮かべながら、タクミが村人達にアピールした。
 だが、イズノオドリコの呪縛が残っているため、虜になる寸前でブンブンに首を横に振る。
「せめて、この人達だけでも……」
 舞台袖に隠れて村人達の様子を窺いながら、ネイリーが眠りの歌を歌い出す。
 村人達は疲れ果てていたためか、そのまま崩れるようにして眠りについた。
「味気無かろうが、豚骨醤油だろうが、安全第一で御座いますわよ」
 問答無用で毒消しの風を発動させ、クーナンが村人達を落ち着かせる。
 村人達は何が起こったのか理解しておらず、不安げな表情を浮かべてザワザワと騒ぎ始めた。
「詳しい話は後回しだよ☆ いまはみんなを大人しくさせなきゃ駄目だから……」
 冷静になった村人達を守るようにして陣取りながら、ファウがハンマーを振り上げて襲いかかってきた村人に粘り蜘蛛糸を放つ。
 それと同時にイズノオドリコの周りにいた村人達も騒ぎに気づき、鬼のような形相を浮かべてハンマーを掴む。
「そーんな下手クソな踊りに惑わされて、ダサいダサーい!」
 ひとり残らず村人達を引きつけるため、タクミがお腹に顔を書いて奇妙なダンスを踊り出す。
 そのダンスがあまりにも挑発的だったため、村人達が一斉にハンマーを振り上げて襲いかかってきた。
「……早く正気に戻ってっ」
 祈るような表情を浮かべながら、ファウが先頭の村人に粘り蜘蛛糸を放つ。
 次の瞬間、先頭の村人が派手に転び、他の村人達もバランスを崩して転倒した。
 だが、まったく戦意を失っておらず、唸り声をあげてハンマーを持ち上げる。
「これだけの美人がいるんだから、見るだけなんて言わないで、そんな物騒なモノなんか捨てて、コッチにいらっしゃいな」
 妖艶な笑みを浮かべて胸の谷間を作り、オウカが村人達にウインクした。
 そのため、村人達が鼻の下を伸ばしてステージにかじりつき、興奮した様子で鼻を鳴らす。
 それとは別に誰かがオウカの胸を触ってきたため、ボディブローを放って茂みに吹っ飛ばした。
「踊り子さんに御触りするような不埒者は、すんご〜いぃ御・仕・置・きですわよ」
 警告混じりに呟きながら、クーナンがホーリーライトを放つ。
 その光は色香の匂いたちそうな雰囲気が漂っており、村人達の視線をステージに向けるには充分であった。
 そして、村人達はシャルナが歌声を聴き、とろんとした表情を浮かべて眠りにつく。
「これでしばらく時間が稼げるね」
 念のため村人達を縛りあげ、ネイリーがホッとした様子で汗を拭う。
 既に仲間達がイズノオドリコに攻撃を仕掛けているため、村人達に被害が及ぶ前に避難した方がよさそうだ。
「イズノオドリコって、本当は寂しかったんじゃないのかなぁ」
 村人達を荷車に載せ、ルキフージュがボソリと呟いた。
 誰もモンスターの気持ちは分からないが、ルキフージにはイズノオドリコの踊りが悲しげに見えたらしい。

●イズノオドリコ
「なんじゃ、この無駄に情熱的な腰つきは……。大胆に行くなら、これぐらいはしないといけないのかのぅ……」
 茂みに隠れてイズノオドリコの様子を窺いながら、半身・アヤ(a66727)が顔を真っ赤にして汗を流す。
 ランララ聖花祭に絡んで思うところがあったらししく、イズノオドリコのダンスを見てもイライラするだけだった。
 その上、偵察に向かった魅惑の谷間・ドーラ(a90075)が腹部に負傷を負って、いきなり抱きついてきたので余計に腹が立っているようだ。
「俺にとっちゃ、こんなの序の口だぜ。まっ、モンスターにしちゃ、上出来だな」
 イズノオドリコに魅了されながら、暴風の・オーソン(a00242)が拳を握る。
 本能に忠実過ぎるためかそれほど変化はないのだが、少しずつモンスター寄りの発言が増えているようだ。
「ボンキュッボンらしいんだが、モンスターじゃなぁ。乳尻ありゃ良いってもんじゃねーし、キィキィ鳴かれちゃ立つもんも立たねぇだろ、実際」
 イズノオドリコのダンスを視線で追いながら、阿蒙・クエス(a17037)がキッパリと言い放つ。
 クエスの場合は何とか理性を保っているようだが、ダンスに魅了効果があるとは知らなかったため、虜になっている事さえ気づいていない。
「ふたりとも釘づけですね?」
 不思議そうに首を傾げながら、小さい守護者・ツルギ(a48040)がボソリと呟いた。
 どうやらイズノオドリコのダンスは未成年と女性には効果がないらしく、成人した男性にのみ効果があるらしい。
「グハッ……、これほどまでに魅了の力が強いとは……」
 悔しそうな表情を浮かべながら、鋼鉄の闘士・シン(a63104)がイズノオドリコを睨む。
 魅了のダンスに抵抗しようとすると、何だか損をした気分になってしまうため、どうしても抵抗する事が出来ない。
 それに例え混乱したとしても、仲間達が何とかしてくれると思ってしまうので、わざわざ抵抗する必要もないという判断に達した。
「悲しきオトコのサガですね。だからと言って、このまま放っておくわけにはいきません。人に迷惑をかけるなら、やっぱり退治しませんと……」
 自分自身に言い聞かせながら、やわらかな陽光・アリステア(a41392)がディバインヒールを発動させる。
 人型のモンスターを退治するのはあまり好きではないが、仲間達を呪縛から解き放つためにも退治するしか方法がなかった。
「ふと思ったがドーラとどっちのがでかいのやら。意外と良い勝負かねぇ? おっ、ドーラ。まさか殺る気なのか。……やめておけ。お前じゃ勝ち目はねぇ。……って衣装を奪いに行っただけか」
 生暖かい視線を送りながら、クエスが乾いた笑いを響かせる。
 次の瞬間、ドーラはイズノオドリコの反撃をモロに食らい、血反吐を吐いて血溜まりに沈む。
 しかし、ドーラが踊り子衣装を奪ったおかげでイズノオドリコの肌が露わになったため、男性陣が身を乗り出す勢いで釘づけになった。
「ええい、倒す! 完膚なきまでに倒す!!」
 色々な意味で敗北感に襲われたため、アヤが涙を浮かべて破鎧拳を叩き込む。
 それに合わせてツルギがスキュラフレイムを放ち、イズノオドリコの身体を魔炎で包んだ。
「あー。勿体ねー。ぼんきゅっぼんが台無しだー……」
 ガックリと肩を落としながら、オーソンが深い溜息を漏らす。
 天国から一気に地獄へと叩き落されたような気分に陥ったため、イズノオドリコの呪縛から解放されたようである。
「まぁ……、こうなっちまった以上は仕方がねぇ。踊るからには相応の格好ってのがあるからなぁ、派手にいこうぜ!」
 薄らと笑みを浮かべて鎧聖降臨を発動させ、シンが身に纏っている鎧を豪華で素敵な衣装に変化させた。
 そして、仲間達にも鎧聖降臨を付与した後、次々とイズノオドリコに攻撃を仕掛けていく。
「皆さんも冷静になった事ですし、落ち込む前に片づけちゃいましょうか」
 セクシーな踊り子衣装姿になり、アリステアがホーリーライトを放つ。
 戦闘が長引けば罪悪感が増してしまうため、細かい事は考えずイズノオドリコを倒す事だけに集中した。
「モンスターさんよ、こっちともひとつ踊ってもらうぜ。ただし、俺のステップはちょいと荒っぽいけどな! 人間なら拍手してやりたいが、お前にはこいつをくれてやる!」
 イズノオドリコが牙を剥いて襲いかかってきたため、シンが一気に間合いを詰めて兜割りを炸裂させる。
 その一撃を食らってイズノオドリコの頭から血が吹き出し、辺りに耳障りな悲鳴が響き渡る。
「こーゆーのを色っぽいって言うのかな?」
 キョトンとした表情を浮かべ、ツルギがボソリと呟いた。
 ツルギにはイズノオドリコの魅力が分からないため、男性陣がどうして残念がっているのか分からなかった。
 その上、牙を剥き出しにして襲い掛かってきたのだから、彼にとってはハッキリ言って怖いだけである。
「おかげさまで気合十分じゃ。妾に屈辱感を与えた罪……。その身で償うがよいっ!」
 月を背に高く飛び上がって宙返りした後、アヤがイズノオドリコに疾風斬鉄脚を炸裂させた。
 次の瞬間、イズノオドリコが断末魔をあげ、空に手を伸ばしてガクンと崩れ落ちる。
「あちゃー、やっちまったな。これじゃ、その辺のオンナより、何倍も美人じゃねえか。こら、暫く酒が不味そうだ。こりゃ不味かろうと呑まなきゃやってられねぇな」
 イズノオドリコのヴェールをぺらっと捲り、クエスが額に手を当て空を仰いだ。
 モンスターという事を除けば絶世の美女だったため、もっといい方法があったのでは、と後悔する。
「あー、勿体ねー。迷わず成仏しろよ」
 残念そうに溜息をつきながら、オーソンがイズノオドリコに両手を合わす。
 さのため、チキンレッグ達もイズノオドリコのまわりを囲み、『いいオンナだったのになー』と叫んで涙を流した。
「男の人って妖艶な魅力を持った女性に弱いんですね」
 しみじみとした表情を浮かべながら、アリステアが乾いた笑いを響かせた。
 この勢いだと酔った勢いでイズノオドリコを口説いた男(そして、食われた)もいそうである。


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