【宝剣を求めて】領主の館



<オープニング>


 とある地方の領主の遠縁の者より冒険者の酒場に変わった依頼が持ち込まれた。
 なんでも、その領主の一族には代々継承されている伝家の宝剣が存在しているのだが、その剣が未だに領主の館に存在しているので、それを回収してきてもらいたいというのだ。
 その領主の一族は、モンスターに殺されてしまって、唯一逃げ出して助かった生き残りがこの依頼人なのである。
 この剣を得て領主としての家を継ぐことを決めた依頼人であったが、何と領主の館は、いつの間にか危険な生物が多数入り込み棲家となった危険な場所に成り果てていた。
 またその剣は館のどこかに隠されているようなのであるが、その隠し場所は代々の領主しか知らない秘密であるため、その隠し場所も探す必要がある。
 館はそれなりに広く、危険な生物の他に領主を殺したモンスターも存在しているため、探索にはかなりの時間と危険が伴う事が予測される。
 そこで霊査士は、まず冒険者たちに館に赴き危険な生物を排除した上で隠し場所の探索を行ない、それが判明したところで一度引き上げてもらい、次の機会に剣の探索を行うという二段構えの方針をとることにした。
 館の見取り図は依頼人より得ているため、後は依頼にあたる冒険者がそれを参考にしながら調査にあたることになる。
 霊査士の見立てでは、館には少なくともモンスターが1匹、それに危険な生物が十匹以上棲息しているという。
 各自手分けをして、何とか宝剣が隠されている場所を見つけ出して欲しいと霊査士は冒険者たちに依頼するのだった。

※補足情報
 屋敷までの道のりや内部の構造に関しては依頼人から教えてもらえるが、モンスターや危険な生物に関しての具体的な情報を得られていない。
 依頼人に宝剣が隠された場所に関しての心当たりはない。
 宝剣が隠されている場所を探し出す事が重要となるが、今後の事も考えて敵の排除もできるだけやっておいたほうが望ましい。
 屋敷は広い作りではあるが、狭い場所もあるためあまり固まって行動していると身動きが取りづらくなるかもしれない。
 屋敷は二階建て。一階には広間、食堂、使用人の部屋、厨房、応接間。二階には領主の寝室、図書室、客用の寝室、領主の夫人の寝室がある。これらを手分けして探してもらいたい。
 依頼人に途中経過を伝える必要があるので、屋敷の探索は一日までとして帰還すること。

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参加者
黄金の牙・シシリー(a00502)
狂刻の牙・ウォーレン(a01908)
終焉・アーネスト(a02350)
鐘楼守・グリム(a03431)
闇夜の鴉・タカテル(a03876)
名も無き冒険者・ソウル(a05564)
ドリアッドの紋章術士・カミュー(a08411)
虚飾の迷図・リゼルヴァ(a08872)


<リプレイ>

●領主の館
 かつては領主一家が住まう屋敷であった場所。
 しかし、今やそこは領主一家を殺したモンスターや危険な生物が入り込んだ化け物の巣窟と化しているという。
 領主の家に代々伝えられているという宝剣を探索するという依頼を受けた冒険者たちは、早速その屋敷へと向かい探索を開始することした。
 モンスターに破壊されたのだろうか、既に残骸と化している木製の大きな扉を潜り抜けた先には、かび臭い匂いが立ちこめ薄暗いホールが広がっている。
 どこに何が潜んでいるか分からない室内を注意深く見渡しながら、瀲漣に沈む黒耀龍・アーネスト(a02350)は宝剣に関しての感想を漏らした。
「地位の証明である宝剣……か。やはり象徴として形になるものは重要なんだな……」
 この館の主であった領主の地位を継ぐには、どうしても宝剣が必要になるという。
 形式といってしまえばそこまでであるが、やはり一族にとってみれば重要なものなのだろう。
 この宝剣は屋敷の中のどこかに隠されている場所から入れる、いわゆる隠し部屋に存在しているという。
 この隠し部屋が一体どこに存在するのか、一階を探索する組に回った虚飾の迷図・リゼルヴァ(a08872)は、ある程度検討をつける事にした。
「使用人の部屋や客用の寝室みたいに、一族以外の人間が生活する空間は、何かのはずみで隠し場所がバレてしまうかもしれないからNG。厨房や食堂は保存の点で隠し場所には向かないだろうし……。そうすると、1階なら広間か応接間が妥当といったところかしらね」
「まぁ、どこにあるか分からない以上、一応は全ての部屋を見て回るしかないだろうな。それじゃあ、探索を始めるとするか」
 代々の領主が一体どのような思惑をもって宝剣を隠したのか、その事を考えればいくらでも隠し場所を仮定することはできるが、どこもが怪しくもあり、また怪しくなくも考えられる。
 探索の期限が一日と指定されている以上、あまり長期に渡って探索を行っても仕方がない。
 依頼人から教わった館の大体の見取りを思い出しながら、漆黒の剣狼・ソウル(a05564)たち一階の探索班の者たちは調査を開始する事にした。
 まずは大広間。
 玄関のロビーを抜けた先に広がるそこには、もはや使う者もいなくなって久しい埃のつもったソファに、ぼろぼろになって色あせた赤い絨毯が広がっていた。
 大きな暖炉に壁には代々の領主であろうか、立派な服を着た壮年の男たちの肖像画が飾られている。
 天井には大きなシャンデリアが吊るされ、その豪華な調度品から領主が客を迎えていた当時がしのばれる。
 しかし、そこは既に怪物たちの棲み家と化しており、暗闇の中に光る幾つもの赤い輝きをみとめた闇夜の鴉・タカテル(a03876)は、武器に手をかけて臨戦態勢をとった。
「……早速おでましですか。いきなりモンスターと遭遇という訳でなければいいですが。さて、きますよ!」

 一階のロビーにある螺旋階段を昇り、二階を探索する班の者たちは領主一家の寝室などが存在している二階へとやってきた。
 途中きしむ音を上げる階段などに気を配りながら移動してきた黄金の牙・シシリー(a00502)は、カンテラに灯りを灯しながら辺りを見回し、まずは一番近い部屋の扉に手をかけた。
「今のところ、モンスターも危険な生物もいないようだが、いつどこからやってくるか分からんからな。皆も油断するなよ」
「黄金でできた宝剣の柄には葡萄の房の模様があるらしいから、それが探索する上での手がかりになるかもな。もっとも、今回は現物を拝める可能性はほとんどないだろうが……」
 今回の探索の期限は一日限りであり、内容としてもひとまずは宝剣が隠されているであろう隠し部屋を探し当てることなので、宝剣がどのようなものであるかを知る必要はそれほどない。
 しかし、宝剣に関して興味のあった静斬の黒琥・ウォーレン(a01908)は、依頼人に宝剣に関して色々と尋ねてみた結果、その剣にはこの地域の特産品である葡萄の紋様が柄に施されているという情報を得ることができた。
 剣自体儀礼的なものであるため実戦に耐えうるような造りではないが、柄や鞘には目を見張るような意匠が施された芸術品であるという。
 その事を話しながら冒険者たちが脚を踏み入れた部屋は、壁一面に棚が並び本がぎっしりと並んでいる図書室であった。
 様々な書物が置かれている棚から適当に一冊を選び出し、そのページを捲りながらドリアッドの紋章術士・カミュー(a08411)は敵の存在が感じられない事に首を傾げた。
「……妙ですね。敵がいるならば先に掃討してしまったほうが後腐れがなくて良いかと思いましたが、まったく敵の姿が見受けられないとは……」
 一行としては、まず館に潜む危険な生物を一掃してからゆっくりと館の探索を行うつもりであったのだが、二階にはモンスターはおろか危険な生物の姿すらも見受けられない。
 敵は全て一階に存在していたのだろうか。
しかし、いないものをいつまで探していてもラチが開かないため、銀の狂刃・グリム(a03431)はひとまず領主の寝室に向かう事にした。
「まぁ、こちらにモンスターがいないのであれば調査するのには好都合だ。今の内に他の場所も回っておくとするか」
 だが、既に一行の背後には音も無く静かに闇の中を這いずり回るモノが迫っていたのである。

●隠し部屋
 一階の大広間に棲みついていたもの。
 それは、巨大な吸血蝙蝠の集団であった。
 天井にひっそりと止まっていたそれらは、侵入者の存在を感知すると一斉に羽を羽ばたかせ、耳障りな音を立てながら冒険者たちの首元目掛けて襲い掛かる。
 これに対し、冒険者たちの反撃は辛辣なものだった。
「まったく何がいるのかと思いきや、何十匹もの蝙蝠なんてね。あんたたちに付き合っている暇なんてないのよ。殺されたくなかったらさっさとここを出て行きなさい」
 リゼルヴァの放ったエンブレムシャワーが、閃光の雨となって蝙蝠たちの体を打ち貫く。
 これによって全ての蝙蝠が撃退された訳ではなく、エンブレムシャワーの影響を受けなかった残りの蝙蝠たちが冒険者たちに接近してきたが、それらはアーネストが武器を振るい切り払った。
「こいつら、数は多いが耐久力などは大したものではないな。首に噛み付かれさえしなければ危険じゃない」
「それでも油断は大敵だ。ソレイユ、俺の傍から離れるんじゃないぞ」
「はいっ」
 大蝙蝠たちは冒険者たちの武器の一撃を受ければ簡単に撃破されたが、うるさく飛び回り隙を見てはその首筋に牙をつきたてようとする。
 回復役の笑顔の約束・ソレイユ(a06226)を庇いながら、ソウルも武器を振るってこれらの撃退を図る。
 それからしばらくの間、冒険者たちは連携しながら攻撃を続け大蝙蝠の群れの撃退に成功した。
 他にも敵が潜んでいないかとタカテルは辺りを注意深く伺ったが、特に今のところ敵に該当する存在は見受けられなかった。
「……どうやら今のところこの部屋には敵はいなくなったようですね。それでは探索を続けるとしましょうか……ん?」
 その時、一階にいた冒険者たちは二階から聞こえてきた笛の音に気付き、一様に視線を二階に向けるのだった。

「……こいつがモンスターか! どうりで姿が見つけにくいわけだ」
 闇と同じような色をした甲殻に包まれたその生物に対し、ブレイブタックルを仕掛けたシシリーは自分達が事前にモンスターを発見できなかった理由を理解した。
 敵の姿が見受けられないため、二階の図書室より調査を行おうとしていた冒険者たちの背後を、いきなり巨大なムカデが強襲してきたのである。
 人間の体長のゆうに三倍近くもあるそのムカデは、闇に溶け込むような色をしており、尚且つ百本近い足を静かに、しかし素早く柔軟に動かしてかなりの速度で移動する。
 シシリーの捨て身の一撃を難なくかわした巨大なムカデは、冒険者たちに対して緑色の液体を吹きかけてきた。
 ファイアブレードを食らわせようとそれに近付いていたウォーレンは、それをまともに受けてしまい、液体を浴びた箇所に強烈な痛みを感じて後退した。
「ちっ、こいつは……! 皆気をつけろ、そいつのかけてきたのは毒だ! まともに喰らうとかなりきついぞ!!」
 そう、ムカデが吐きかけてきたのは強烈な痛みを与える毒液だったのだ。
 毒液は触れた部分に痛みを与えるだけではなく、その後もじわじわと体を蝕み体力を奪っていく。
 彷徨の星姫・ユイ(a00901)がかけた毒消しの風によりこの効果は無効化されるが、その間にもムカデは冒険者たちの周りを素早く動き回り、攻撃を回避しながら人間の頭など一撃で噛みくわえて粉砕できそうな強靭な顎をもって攻撃を仕掛けてくる。
「このままでは回復が追いつきません……! グリムさん、一階の方たちに救援を!!」
「……今やっている! だが、あいつらが来るまで少し時間がかかるはずだ。それまで何とか持ちこたえるしかない!!」
 これほどの力をもつものが、ただの危険な生物であるはずがない。
 恐らくはこれこそが霊査士の語っていたモンスターであり、グリムは一階を探索しているであろう仲間達に救援を求めて笛を吹き鳴らす。
 しかし、その間もモンスターの執拗な攻撃は続き、冒険者たちは何とか回避するのが手一杯の状況だった。
 そしてカミューがモンスターからの攻撃を何とか回避したとき、誤って後方の本棚にぶつかってしまう。
 すると本棚から一冊の本が落ち、それと共に何とその本棚が奥の壁に収まったではないか。
 本棚が収まった壁がゆっくりときしんだ音を立てると、横にスライドして下へと続く階段が見つかった。
「これは! ……これがどうやら隠し部屋へと向かう入り口なわけですね」
 偶然の発見ではあったが、どうやらこれでひとまず依頼を果たすことには成功したようだ。
 狭い図書室の中での戦闘は辛いため、何とか開けた場所にでようとひとまず冒険者たちは部屋の外にでることにした。
 そこで一階の仲間たちと何とか合流することに成功するものの、そこは螺旋階段が広がるロビーであり、調度品などが並びかなり戦い辛い場所である。
 この状況ではモンスターと戦い続けることは難しいと判断した一行は、ひとまず隠し部屋の存在を依頼人に伝えるため、急ぎ領主の館より脱出するのだった。


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