【お姉さま天獄】蜜柑のお姉さま



<オープニング>


 ランドアースの冬、蜜柑の冬。
 外はやっぱり冷えるけど、この時期はこの時期で楽しみがあるもの。たとえば、温かくした室内で食べるみかんはそのひとつである。橙色のたわわな皮は、親指でかんたんに剥けるほどやわらかで、その下からあらわれる実はぷりぷりと甘く水気に満ち、舌にも体にも高い満足をあたえてくれるだろう。
「蜜柑って、食べはじめると止まらなくなるよな……」
 葵桂の霊査士・アイ(a90289)は、もう本日何個目になるのかわからない蜜柑に手を伸ばす。
 地方によっては味のよい蜜柑のことを、よく「焼けた」と称するという。成長に太陽をたっぷり浴びたのか、アイの前に積まれた蜜柑はじつによく「焼け」ているようだ。色を見るだけでも甘いのがわかる。
「はいー」
 ご相伴するのは はじまりは・プルミエール(a90091)である。アイに負けず劣らずの勢いで蜜柑を消費している。ただ、アイとプルミーの食べ方はちとちがうようだ。
「プルミーって、蜜柑の房だけ食べて、房の薄い皮は出すのだな」
「だってそのほうがおいしいじゃないですかー」
 ぶちゅっ、とプルミーは口から皮をつまんで出す。なのでプルミーの目の前には外皮と同じく薄皮も積まれていた。よく見ると彼女は、房のあいだの白いスジまで丁寧にはがしている。
「うーん……なんかそれ、面倒じゃないか?」
「こっちのほうが美容にいーんですもーん☆」
「絶対それいま思いつきでいったろ?」
 と、ここでアイは首をめぐらせて、
「諸君らはどう食べるタイプかな?」
 と問いかけるのである。参加者は集まったようだ。
 そろそろ蜜柑の季節は終わりだが、蜜柑をテーマとした敵はいまから本番といったところの模様。

●ごしっくろりーたおねえさま
 単刀直入にいうと、野性の蜜柑の実る地にいわゆる「お姉さま」が出現したという話だ。お姉さまといっても通常の女性ではない。女性を模したモンスターなのである。
「ああいう格好をなんというのだったかな? 黒を基調にしたブラウスに、同じテーマのミニスカート、いずれもレース、それも、凝ったボルドーレースで飾り付けている。ツーサイドアップにした髪は鮮烈なオレンジ、よく見ると袖やガーターベルトにもさりげなく蜜柑色がちりばめられている――そういう姿の若い娘だ」
「ツインテールのゴスロリちゃんですね☆」
 アイの説明にプルミエールが即座に注釈をつけた。
「ツインテ……? ゴスロリ?」
「やだなあ、アイさん、なにをいまさら。定番 ファッションですよ〜」
「妙に色白で、どことなく不健康そうなメイクなのもか?」
「もちろんです。で、その『お姉さま』はきっと黒のブーツ装備で、オーバーニーソックスをはいているのでしょう?」
「オーバーニー? サイハイソックスのことだな。たしかにそうだが、なぜわかる?」
「それが掟ですから。そして、ソックスとスカートの合間のわずかな柔肌こそが絶対りょーいきです!!」
「絶対……??」
 なんとなく、ついていけてないアイなのである。
 それはともかく、とアイは咳払いして、
「見てくれは可憐な少女だがこのモンスター、実像は恐るべき凶悪さだぞ。奇策を好まずほぼ正攻法で向かってくるが、これまでの連中とはちがい、敢然と拳で殴ってくる」
「グーで殴る!?」
 プルミーは怯えた。
「岩をも砕く破壊力、おまけに、打撃を受けた箇所が爆発して追加被害を与えてくるという。おまけに、ことばの意味がわかっている様子はないが、『不潔!』と大音量で叫ぶという攻撃をしばしばくりだしてくるという。これを下手に聞けば、体が麻痺して動けなくなるらしい」
 なにが不潔だというのか!? 敵はモンスターゆえ知性はないので、あまりことばの意味にとらわれず警戒したい。 
 このお姉さまも手下を連れている。うっすらオレンジ色をした白に近い球体で大きさは枕程度、しかもこれが九体もいるそうだ。いずれも四肢があり両手に長い剣を装備して斬りつけてくる。そして残らず黒革の眼帯を両目(!)にしているそうだ。
「うむぅ、みかんのイメージから飛躍したゴシックな世界観……でも、そういう子にかぎってツンな皮をはいでみればスウィートなデレだったりしそうですね」
「今日のプルミーのいっていることはかなりわからん」

マスターからのコメントを見る

参加者
嵐を呼ぶ蒼き雨・レイニー(a35909)
天に抗う誓約者・トワイライト(a43304)
チキンレッグの伊達ペンギン・マカロニ(a43490)
月の姫を抱く者・ミレイラル(a43722)
戦争屋・ヒレン(a47525)
数多の武具を求める収集家・シルト(a48677)
手のひらの鼓動・アールコート(a57343)
荘厳な・オペラ(a60053)
銀之刀匠・クオン(a65674)
碧色重騎・ルシエラ(a66054)


<リプレイ>

●さぁて、散らしましょうか
 くわわっ!
「妾とかぶっておる!」
 激怒していた。嵐を呼ぶ蒼き雨・レイニー(a35909)は、頭から湯気を噴くくらい激怒していた。
「……どこがどうかぶってるんだ、ってツッコむのは野暮か?」
 天に抗う誓約者・トワイライト(a43304)はおうかかがいを立てる。
「ごしっくろりーた! これ以上妾とキャラかぶりする存在があろうか!? いや、ない!」
「レイニーは黒服でもミニスカートでも、完全なツインテールでもないような……」
 しかし都合の悪いことはまったく聞こえない(しかし称賛は数倍にして聴く)のがレイニーの耳だ。
「モンスターの分際で妾を差しおいて美女を語ってきおった不埒者の中で、群を抜いて許せぬのじゃ! 妾が成敗してくれるわっ!」
 いうなり大剣の鞘、ざらりと抜き捨てて敵に突進する。
 敵は眼前、小首をかしげるようにして立つ。蜜柑畑のなかの黒姫君ゴシック・アンド・ロリータ、それは人形のような美少女――黒基調、レースひらひらひらづくしの服、骨よりも白い肌して、オレンジの髪はツーサイドアップ、蜜柑色の大きな瞳、半閉じにして気だるげに、冒険者たちを見下すように一瞥した。
「……色白の肌に黒の衣装……色々と、解ってるよね」
 レイニーの背を追いながら、色無き少女を護る盾・シルト(a48677)は深く納得しうなずく。ゴスロリ少女は黒のパラソルをさし、所在なげにこれをくるくる回している。
 音もなくつづく銀色の影、それは戦争屋・ヒレン(a47525)だ。
「シルト、今日は彼女と一緒じゃねぇのか。気楽でホッとするねぇ」
 かく軽口するヒレンは黒服で色白くてぞっとするほど端正な顔つきで、どことなく「お姉さま」と対のように見える。ならんで立てばさぞや似合うだろう。とはいえ二人は敵同士、そして敵に一切の加減はしないのがヒレンだ。
「さぁて、散らしましょうか……」
 ヒレンが向かったのは敵本体ではなくその手下、九体もいる丸っこい手下に裁きを下す。
「テメェ等をな!」
 白銀太刀ふるえばハートクエイクナパーム、ヒレンの攻撃の効果や如何。

 前衛陣にあって碧色重騎・ルシエラ(a66054)は、いささか動きが固いのである。足がすくみ出遅れてしまう。なぜって……なぜって、蜜柑もまた彼女のトラウマフルーツだから!
「……以前、どこぞの家でなっていた蜜柑を無断で食べたら、想像を絶する酸っぱさに悶絶しているところを家の人に見つかってコッテリ絞られてしまったのですっ! なぁん」
 暗く切なく酸味のきいた思い出であった。
「そりゃ単に、ルシエラさんが悪いだけのような気もしますのん?」
 情熱的な・オペラ(a60053)はいつもの、ふにふにやわらか口調でソフトに指摘する。
「は、はぅぅぅ!」
 気づかなかった! ルシエラは激しくショックを受けた。
「まあまあ、そんな記憶は今日のびくとりーで解消すればいいだけですよん?」
 ひし、と行く手を指し、片手でルシエラの鎖骨あたりを揉みつつオペラは彼女を力づけた。
「いつにも増して数が多いようですけど、頑張りましょーねん」
「そ、そうでしたなぁん。今回のお姉さまは狂戦士っぽいと聞いて、同じ狂戦士の師母サマに稽古をつけてもらったのですっ! なぁん」
 たちまち立ち直りルシエラは猛然と敵前へと飛びこむのだった。そういえば今日のルシエラは、戦う前からいささかボロボロだ。師母サマにシゴかれすぎたらしい。

●フッ、脱がすのは得意さ
 ゴスロリ少女はパラソルを捨てると一気呵成、レイニーをかわしシルトの攻撃もいなして攻め込んでくる。これまでの「お姉さま」はどちらかといえば出現地点から前進することは少なかったゆえ、これに虚を突かれたか冒険者の前衛はいささか乱れた。
「不潔」
 少女は声を荒げない。投げ捨てるようにポツリといった。かためた拳ごと彗星のように突きこむ。
「……」
 だがその攻撃は、白銀の刃に勢いを殺されていた。
「貴女がその拳で砕くなら、私はこの太刀で断ち斬りましょう」
 銀の刀匠・クオン(a65674)である。切れ長の瞳を流していいはなつ。これにたいし怪物少女は、驚きからか眼を見開いていた。されどそれも一瞬、オーバーニーソックスの脚で地を蹴り後転して着地する。
 両者はほぼ無傷であった。クオンも使い手、少女もまた然り。相対する互い、着衣にも呼吸にも一切の乱れがない。
 手のひらの鼓動・アールコート(a57343)は両者の対峙に目を奪われつつ、少女の服装にも注目した。
「わ、真っ白な肌と黒い服、すっごく綺麗です☆」
 ただしアールコートも もう駆け出しの冒険者ではない。ことばを紡ぎながらも仲間に鎧聖降臨をかけてゆく。
「今度は蜜柑で絶対領域なお姉さまとはね……てっきり胸が蜜柑サイ」
 と、「らしい」感想を述べるは、チキンレッグの伊達ペンギン・マカロニ(a43490)だ。かれの発言「蜜柑サイ」のあとの一文字は、残念ながら手下たちの攻撃音でかき消された。なんと言っていたのだろう?
 さてその「お姉さま」に対し、二代目ドジ巫女・ミレイラル(a43722)の指摘はいささか手厳しい。
「そろそろ『少女』というのがギリギリの外観ですね、こういう服を持ってる私が言うのもなんですけど……年齢考えましょう?」
「『少女』と『オンナ』の境界線もまた魅力なのだよ。しかし彼女、やはり蜜柑か、ボリュームがやや足りない。こちらの女性陣の胸はスイカだと」
 またもマカロニは最後まで台詞を述べられない。ミレイラルのすさまじいツッコミに吹き飛ばされたからだ。
「協力して早く倒してあの服も手に入れますよ!?」
「フッ、脱がすのは得意さ」
 だけどめげないマカロニである。もう立ち上がってトサカきらん、なのだ。
 
 さて目を転じて手下だ。九体もいるそいつらは、なぜか両目に眼帯、そしてごろりごろり攻めてくる。チームワークも悪くない。
「両目に眼帯って見えてんのか!?」
 トワイライトが思わず叫ぶが、実際、見えているらしいので始末が悪い。
「絶対意味なくつけてるだけだろそれっ!」
 本当に意味ない模様。ダークオレンジの球体たちは、両刀振り乱して続々襲いかかってくるのだ。されど敵もそうそう好きにはできないようだ。
「好き勝手に暴れられると思うなよテメェ等?」
 迎撃するのはヒレンだ。雨よと降らすは銀の軌跡、目にもとまらぬ刃物三昧。
 シルトはガッツソングを口にしながら、そんなヒレンと呼吸をあわせる。
「心なしか今日のヒレンさん、動きがいいよね」
 そんなシルトの太刀筋も歌うようだ。今日は心配事(?)がないせいか、流水撃のキレ目に見えてちがう。若い肉体はその秘めた力を存分に発散していた。
 されど敵の攻撃も厚い。一丸、手下が足元をうかがい、その上から、
「不潔!」
 カッ、と若木をあわせたよう、ゴスロリお姉さまの咆吼であった。
 レイニーはこれをまともに浴びてしまう。
(「うがーっ!」)
 レイニーは心中じたんだを踏みまくった。不潔の声に麻痺させられてしまったのだ。
 ルシエラも同じだ。蛮刀を地面に突き刺し膝をついた。血の気が引いていく。まるで力が入らなかった。
「し、師母さまに鍛えられたこの身……この程度で……なぁん……」
 くじけるなルシエラ、師の教えを思い出すのだ。
 その二人を食い殺さんという勢いで、丸い玉が迫り来る。
「……来ます……」
 だが案ずるな、クオンがいる。疾風さながらに地駆し流水撃、手下の凶刃に傷つきながらもクオンは、味方をかばいつつ反撃した。
 持ち直した冒険者たち、そうはさせじと一斉にかかる手下とゴスロリ、かくて戦いはいささか乱戦の様相を呈す。その間隙をついて拳が飛ぶ。
「不潔」
 ゴスロリお姉さまは華奢な躰なれど、そこからくりだす攻撃はさながら暴虎、ふたたび冒険者たちの布陣が乱れはじめる。その一手を受けそこね、ミレイラルは肋に強烈な打撃を受けた。ダメージの勢いをそぐためあえて跳ぶ。
「む……聞いていた通りタフですね。顔色悪いくせに元気じゃないですか?」
 ですが、といったときすでにミレイラルは、空中で姿勢を整えていた。
「不潔って……これだけ綺麗なお姉さんに向かって不潔とはなんですか!」
 逆襲は飛燕連撃。煌めく刃閃光となりて、ゴシックロリータ衣装を裂いた。
 きっ、と視線を上げたゴスロリに、飛びつき抱きつく小さな影。マカロニか!? 思わずメンバーの視線がむかうが、しかし
「ふふ、少々手強そうなので、今回ばかりは僕も真剣に狙わせてもらっているよ」
 トサカかきあげクチバシきらん、マカロニは距離をとったまま、男前なポーズで平然としている。バトルに真剣ではあるがさすがマカロニ、女性陣には無意識的に熱視線となっているのが見事だ。
 とするといま、ゴスロリ少女を悶えさせているのは!?
「気にしなくていい。あれはおなじみ土塊の下僕、その名も『ラスダブルゼータ』の登場だ」
 トワイライトは小悪魔的に微笑した。そういえば今回の『ラス』はどことなく太めな気がしないでもない。乱戦に生じた一瞬の虚をついて、トワイライトはこれをけしかけたのだ。
「しっかりオリジナルの本懐は遂げたようだな」
 抱きつかれたお姉さまはこれをすぐさま砕いてふりほどいたが、この短い時間でアールコートはすぐに、味方二人の硬直を解いていた。
「ラウレックさま、戦うみんなに加護を下さい☆」
 その呼びかけは届いたようだ。アールコートは誇らしげにいう。
「私は、私に出来ることを★」
 その「出来ること」が目に見えて伸びはじめているアールコートだ。この戦いにおける自分の使命は、最後まで生き残って癒しつづけること、そう彼女はみずからに命じている。
「オペラさん、シルトさんも、後方は支えますから戦いに専念してください♪」
 アールコートの声は優しいが芯に強い意志を感じさせる。
「それでは遠慮なく」
 と、オペラは杖をふりあげて、
「おっとっと、そっちは通行禁止だよん?」
 包囲せんと動く手下たちにエンブレムシャワーを浴びせかける。降る降る光が降りそそぐのだ。

●エッチなのはいけないと思いますっ、なぁん!
「邪魔だては許さんっ!」
 レイニーの声だ。お姉さまを狙う気だったが、あまりの雑魚の多さに腹立ち、手下の掃討に奮戦していた。
「あんまり離れちゃダメですよ〜? レイニーさんの力もないと、こちらも辛いんですから」
 ミレイラルがこう呼びかけるから、レイニーも無謀はしない。
「うむ、頼りにするがよい!」
 褒め言葉は意味以上に喜び、素直に期待にこたえようとする。それがレイニーなのである。単純? いやいや、純粋なのだといいたい。
 冒険者たちの思わぬ抵抗の強さに焦ったか、ゴスロリ少女は得意技を繰り返した。
「不潔! 不潔!」
 だがルシエラは両脚で大地ふみしめ今度はしのいだ。すかさず叫び返す。
「エッチなのはいけないと思いますっ、なぁん!」
 敵にちょっと親近感を感じつつルシエラは一閃、パワーブレードを喰らわせるのだ。
 つづくはミレイラル、手下を焼くべくナパームアローで洗礼だ。
「あの手下たちも、皮むいたらデレたりするんですかね〜?」
 火炎爆裂によりたちまち、手下たちがはじけて飛んだ。
「どーしてこー神が降りまくったりしているような状況ってときに狙いすましてくるんだろーなこういうモンスター」
 多少ぼやくような口調だが、トワイライトは戦いに手抜きをしない。エンブレムシャワーで手下を逃さない。
 浮き足立つ手下たちを確実に仕留めていくのは、ヒレンの冴えた皇剣さばき。
「完全撃破といこうじゃねえか」
 敵はたしかにこれまでの「お姉さま」集団のいずれよりも能力が高いだろう。しかしその戦略はあまりに正攻法すぎた。きっちりと守れば冒険者にとってはむしろ与しやすい相手といえた。
 剣が舞う。刃が徐々にお姉さまの柔肌を傷つける。
「……ゴスロリの風体に凄惨な戦いっていうのも、結構乙なものじゃないかな?」 
 といったシルトはそのあごに、強烈なアッパーカットを浴びてのけぞった。
「っく……だけど!」
 瞬時意識が飛びかけたシルトだがよく堪えた。サンダークラッシュで反撃も成功する。
 そのときフールダンス♪ それはマカロニのフールダンス♪
「不潔? 僕が純粋な気持ちからスカートをまくりたいという、この爽やかな気持ちを誤解しないでほしいな。さあ、その絶対領域の上の秘密の部分を見せるくらい踊りたくってくれないか」
 尾羽ぴきん。敵は踊りにのってこないが、マカロニが純度百%の本心でこれをいっているのだけはよくわかった。
 クオンはそのとき敵の胴を凪いだ。これまでのお姉さまならこれで両断されていただろう。だが敵は驚くべき頑丈さをほこるゴスロリ蜜柑のお姉さま、これでなお立ち向かってくる。
「ふ、不けつ……」
 声がよくでていない。これでは麻痺効果は狙えないだろう。
「不潔とは失礼ですねん。お風呂にはちゃーんと毎日入ってるのだよん?」
 オペラは律儀にかく返答して、エンブレムシャワーで残りわずかな手下を討ちつくしていた。 
 ぎらり、ここで瀑凌剣『蒼雨』をレイニーは両手で頭上に掲げた。
「さあ、かかってくるがよい。妾とキャラのかぶる偽物!」
「ふ、ふけ……つ……」
「何を申すか! 妾は日に3度の湯浴みを欠かしておらぬわ!」
 ずん、と大地が揺れるほどの一撃が叩き落とされた。
 偽物かどうかは知らないが、役者としてはあきらかにレイニーが上だった。
 そしてお姉さまは、服だけ残し気化して霧散したのである。

「………良い立会いでした……」
 クオンがそういったのは、お姉さまとの戦いのことであったろう。
 しかしもしかしたら、その後に行われた「衣装争奪ジャンケン大会」のことだったかもしれない。
 ジャンケン、勝ってしまった。
「それではさっそく」
 試着しましょうか? とミレイラルがクオンを茂みにいざなう。
「手伝いますよん」
 とオペラもつづいた。

「見事な絶対領域、美しすぎるといわせてもらうよ」
 くちばしきらん、そのままごくナチュラルにスカートの下にもぐろうとするマカロニをルシエラは引っぱってとめつつ、
「本当によくお似合いですっ、なぁん」
 とにっこりする。
 レイニーはジャンケンに負けたので
「わーん! 蜜柑をむいてよこすのじゃー!」
 と駄々をこねているが、それでも彼女の姿を目で追っていた。
「いつも和装だけど、そういうのも似合うもんだな」
 というトワイライト、拍手で応じるシルト、いずれの仲間たちも、クオンのゴスロリ姿に惜しみない称賛を送るのである。ストレートの黒髪にフリル全開な衣装、そして麗しのオーバーニーソックスは、元の所有者以上にぴったりと彼女の身にあっていた。
(「……ん……恥ずかしい……でも……」)
 パラソルを肩にのせ、耳まで紅くしながらクオンは思った。
 この扮装……クセになるかも。

 今回は、これまで。


マスター:桂木京介 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:10人
作成日:2008/02/16
得票数:コメディ13  えっち1 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。