特大料理を喰らえ!巨大カピバラで鍋!



<オープニング>


 カピバラ……それは巨大な鼠。
 しかし、ワイルドファイアにおける巨大は通常のそれとは一線を越えて違っている。
 ある村で巨大カピバラが暴れ、村人が困っているという。
 そんな話を聞いた蒼き激流の舞闘士・ニルギン(a55447)は鼠年だからといってそんなにアピールしなくても、と思いながら同時にもう一つの話を思い出していた。
『なんでも、ファイルドファイア産の巨大カピバラは臭みが少なく、鍋にするととても美味しいらしい』
 そんな話を思い出し、眼鏡を光らせるニルギン。
「寒い季節ですし……いいですねぇ……カピパラで鍋というのも」
「カピパラ鍋か……。最近まともな鍋食べた記憶が無いし……よし、その話に乗った!」
 ニルギンの申し出に二つ返事で頷く運命に縛られない白鱗・ブリザック(a60343)は久々にありつけるまともな鍋に期待し、瞬時に準備を整えていた。
 ちなみにカピパラではなくカピバラが正解である。
「鍋はいいよな、豪快に材料をぶち込む……なんつーか漢の料理?」
 何故か紅蓮咆哮・ルオン(a90378)までしっかりと準備をしてついていく気満々である。
 こうして、冒険者達のカピバラ鍋を求める戦いが始まった。

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参加者
吟遊詩人・アカネ(a43373)
蒼き激流の舞闘士・ニルギン(a55447)
逆位置の運命・ブリザック(a60343)
守護拳士・クゥ(a62976)
深淵に守護されし蒼璧の神竜姫・ミナルディア(a64280)
疾風の幻舞龍・レイト(a67181)
剣舞二重奏・カレル(a69454)
黄金の雷竜・ゼル(a71447)
NPC:灼熱怒号・ルオン(a90378)



<リプレイ>

●カピバラでつ
「巨大カピバラで美味しい鍋を食べられるって聞いて、とてもわくわくしているんだ〜」
 木漏れ日の風竜・レイト(a67181)は期待に胸を膨らませながらワイルドファイアの広大な大地を踏みしめる。その目に映るのは広大な大地に広がる自然と、まだ見ぬカピバラ鍋。
「カピバラ鍋……どんな味か想像できないのです。だからすごく楽しみなのです♪」
 守護拳士・クゥ(a62976)はノソリンのぬいぐるみ『トゥラスト』を抱きしめ、尻尾をぺちぺちと振った。
「鍋は鍋の味だろう」
 紅蓮咆哮・ルオン(a90378)はあっさりとそう答える。彼の脳内では料理毎に味が決まっているようだ。食材の違いの認識はあるのだろうか。いや、ない。
「それにしても……暑いのです……ワイルドファイアは暑いと聞いて薄着ですがこんなに暑いなんて……僕暑いの駄目なのです〜……」
 ルオンを蔑ろにして、袖なしの武道着を着たクゥは暑さにふらふらとよろめいた。照りつける日差しが肌を焦がし、水分を奪っていく。火種にするつもりで持ってきた燭台の蝋燭が熱でぐにゃぐにゃに曲がっていた。
「カピパラじゃなくて、カピバラなんですね。でもって、暴れているんですよね、巨大カピバラ。村の人も困っているようですし、捕まえて皆でおいしく鍋にしましょう」
 蒼き激流の舞闘士・ニルギン(a55447)はこっそりと訂正してから目的を高らかに宣言した。その隣でキルドレッドブルーの『ユラヴィカ』が後ろ足でかかかかっと首の付け根を掻いた。誤魔化してる雰囲気が思いっきり表に出ている。
「力を合わせて巨大カピバラを捕まえよう!」
 空気を読んだ月陰の剣匠・カレル(a69454)がニルギンの呼びかけに応じて拳を突き上げる。
「……でも、大きな鼠っておいしいのかな? ……みんなが言うからおいしいに違いない!」
 カレルは疑問を自己解決すると一度下げかけた拳をこれ以上は無理というくらいまで突き上げた。
「カピバラさんですか……かわいそうですが、これ以上村人の迷惑にならないうちにお腹に納めておきましょうか……」
 村人からの情報収集を終えた深淵に守護されし蒼璧の神竜姫・ミナルディア(a64280)はカピバラに同情しながらも食べる気満々だった。
「さあ、頑張って捕獲して美味しく食べさせて貰うよ!」
 レイトは大きな傘で日差しを避けながらカピバラの目撃地点へと元気一杯に歩き出す。
「初めての団体行動だ。慣れてないが、頑張るつもりだ」
「何はともあれ、まともな鍋になることを祈るだけだ」
 リザードマンの狂戦士・ゼル(a71447)は巨大な剣を軽々と持ち上げ、それに続き、運命に縛られない白鱗・ブリザック(a60343)はどこからともなく湧き上がる不安を押し込め、まともな鍋になる『かもしれない』という、かすかな希望を胸に最後尾から仲間達を追いかけた。

●狩りからでつ
 村人からの情報によると問題の巨大カピバラは群れから離れ、単独で川から現れると、畑を荒らして帰っていくという。
「風下でしたらぁ、臭いがぁ、判り難いでしょうからぁ、変装してぇ、いくとぉ、良いのですぅ」
 吟遊詩人・アカネ(a43373)はその辺りに生えていた草木を集めて、カムフラージュしようと試みた……が、思いっきりその草は枯れ果てていた。誤魔化すどころか逆に目立っている。
「おう、俺も変装するか」
 ルオンはルオンで畑のど真ん中に丸太を立てて、適当に枝を取り付け変装して隠れ……尻尾がでている。違和感も限界ぎりぎりまで溢れていた。
「巨大な岩でもあったらそこに隠れたいのです……日陰で少しは暑さがましでしょうし……」
 暑さでばててしまっているクゥは草むらに身を潜め……というよりは倒れこみ、突っ込みを入れる気力もなく、カピバラの出現を待っていた。
 時折、川から吹く風が心地よく頬を撫でる。村人からの情報によれば、夕方の涼しくなる時間帯に現れ、寒くなる前に去っていくということだった。
「ぐっぐぐ〜」
 妙に可愛らしい鳴き声が聞こえた。
 ふと、川のほうを見ると巨大なカピバラがぽてぽてと歩いてくる。移動に妨げになる樹木をカリカリと齧り、道を切り開く。
 立ち止まり、空の彼方を見つめる。まんまるの目が陽光を反射しキラキラと輝く。僅かに首を傾げるその仕草がでっかいくせに妙に可愛らしい。
 ……などと、見とれている場合ではない。ニルギンは食べかけの『カツオエビドライブ煎餅』を頬張るとぽへーっとしているカピバラを包囲すべく移動を開始した。
「俺に鍋を食わせろおおおお!」
 ブリザックの魂の詰まった雄叫びがカピバラに向けられる。
「暑くてもう限界なんです〜!」
 クゥの悲痛な雄叫びが、カピバラの動きを止めた。
「逃がしませんよっ!」
「逃がさないです……!」
 カピバラを囲むようにに散ったニルギンとミナルディア、レイトの網状に形成した蜘蛛糸が、カピバラを確実に捉える。
「そうか、今日は倒すのが目的じゃないんだっけ」
 魔物を狩ることを専業としているカレルはいつもの癖で、ついつい退治する方向に考えてしまっていた。
「始まったか。……クックック! カッハッハッハッハ!!! 久々の戦だ! ずっと前衛に居座らせてもらうぜぇ!」
 そして、ゼルは完全に目的を忘れていた。巨大な剣を手に、破壊衝動の赴くままに突撃する。
「クゥさん、いきますよっ!」
 ニルギンはカピバラの右前足を掴む。掛け声に併せ、クゥは左前足を掴むと10メートルを超えるカピバラの巨体をが持ち上がった。そして、カピバラを頭部から地面に叩きつける。
「きゅるるる〜」
 カピバラがなんだか可愛らしい鳴き声で鳴いた。脳震盪でも起こしたのか、ぴくりとも動かない。
「起きてるとぉ、痛いのでぇ、大人しくぅ、寝るといいのですぅ♪」
 アカネの歌声が眠りを誘い。巨大カピバラはすやすやと寝息を立て始める。
「わ〜、大きなカピバラ捕獲成功だね!」
「……みゅう……」
 元気一杯、喜び一杯のレイトにミナルディアは尻尾を揺らしながら嬉しそうに微笑んだ。
「クックック! カッーハッハッハッハ!!! 今宵のジャイアントソードは血に飢えておるわッ!!!!」
 そして、ゼルのカピバラ解体ショーが始まった。
「大切な命、奪っちゃってごめんね……美味しく、食べてあげるからね」
「カピバラさん、美味しく戴きますね」
 レイトとニルギンはもはや完全に食材以外の何者でもなくなったカピバラに複雑な感情を抱きながら鍋の準備を始めるのだった。
 ……ルオンは畑のど真ん中で丸太と一緒に干からびていた。

●カピバラ鍋でつ
「よいかルオン。我々はインペリアルクロスという陣形で戦う。育ち盛りのクゥが北、西と東をクゥとミナルディアが固める」
 ブリザックはくつくつと煮え始めた鍋を前に、ルオンに真顔で語りかけた。癒しの水滴で意識を取り戻したばかりのルオンも真顔で聞き入っている。
「鍋はお前の前にある。お前のポジションが一番鍋奉行に最適だ。覚悟して戦え」
「おうよッ!」
 ブリザックに肩をがっしりと掴まれ、ルオンは熱く答えた。
「暴れ足りネェ!! もっと暴れさせろーー!!」
 ある程度解体したところでゼルは叫びながら皆に羽交い絞めにされていた。これ以上やられるとカピバラが食べ物ですらなくなる。
「カピバラの肉はやや硬いそうですし……」
 ニルギンは食材となったカピバラの肉を包丁の背で叩き、肉の筋を断つ事で柔らかくなるように下拵えをする。同時に村人から許可を貰って畑からとってきた野菜を包丁で巧みに刻み、鍋の前まで運んでいく。
「ついでにぃ、春菊さんとかぁ、一緒にぃ、煮込むのですぅ」
「おう、任せる」
 鍋奉行のはずのルオンを無視して、アカネは鍋の味付けを整え、すでに盛り付けまで終えていた。
「焼き豆腐は鍋には欠かせない」
 カレルはそう言いながら焼き豆腐を鍋に突っ込む。カピバラをそのまま豪快に入れようとしたルオンはすでに鍋の前で座って火の番をしているだけである。
「鍋の近くは暑いのです〜……でも、沢山食べたいので暑さはがんばって我慢して食べるのです」
 戦闘後、再び暑さにばて始めたクゥは鍋の前で不器用に箸を握りながら鍋の熱気と戦っていた。カピバラよりも鍋のほうが強敵に思える。
 ぐつぐつといい感じに煮え始めた鍋は美味しそうな香りを漂わせていた。
「野菜ぃ、にくぅ、野菜なのですぅ」
 アカネが俊敏にカピバラ鍋を皆に取り分ける。その機敏な動作の合間にカピバラ肉をお持ち帰りできるように加工までしていた。
「……ふぅ。取りあえず、鍋でも頂くとするか」
 一通り叫んだゼルは鍋の完成後、急に落ち着いて鍋の前に座り、皿を受け取った。
「感謝を込めて、いただきます♪」
 レイトの号令で皆で一斉にカピバラ肉を口へと運ぶ。
「想像以上に大きいよ〜! それにいままでに食べたことがない味だ〜」
 大きなカピバラの肉を頬張りながらカレルは嬉しさと驚きからそう叫んだ。
「寒い季節には暖かい鍋がいいですよね。でも、湯気で眼鏡が曇るのが困ります。外すと見えないのでこれも困るんですが」
 ニルギンも眼鏡を曇らせながらカピバラ肉を頬張る。
「モグモグ……はぅ……すごく美味しいのです〜♪」
「どんなものもお鍋にすれば美味しいでしょうか……?」
 クゥとミナルディアは尻尾を揺らし、上機嫌だった。
「ところでこんな物を持ってきたのだが」
「む? お酒……ですか?」
 ブリザックが皆にと差し出した『清酒【百鱗】』をミナルディアは一口……。
「……これはわらわには良い味よのう」
 たった一口で瞬時に壊れた。
 広大な大地の向こうに日が沈む中、大人達はお酒に次々と沈み……未成年の冒険者達はその扱いに困りながらも介抱するのだった。


マスター:草根胡丹 紹介ページ
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作成日:2008/02/16
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