えもり。



<オープニング>


 泡の木。
 その樹液は琥珀色で、苦味があり、器に注ぐときめ細やかな泡が立つ……
 一見すればまるで『ビール』。
 しかし、酒に類する成分、つまり、アルコールは全く入っていない。ランドアースでこれに一番近いのは……たぶん、『思いっきり振り回して泡立てた麦茶』。
 とにかく、お子様にも安心、かつ、めんつゆになる心配もない、至極安全な飲み物だ。
 しかしながら、長い間泡の残る飲み物というのはそうそうないので、物珍しさもあり、集落の酒盛りに時々出されたりする。
「その泡の木が、『えもり』という怪獣に占拠されてしまったんじゃなぁ〜ん」
 あの泡を髭にくっ付けながら飲むのが美味いんじゃがなぁ〜んと、長老はなんだか残念そうに……もう既に酔っているかのように揺れながら、言う。

 怪獣『えもり』。
 ハチドリとキツツキを足して、二で割らずに四倍掛けしたような怪獣で、巨大な身体でホバリング、泡の木に穴をあけ、その樹液を啜るのが大好き。
 幾ら大好物とはいえ、普段は追い掛け回されてまで執着することはないそうなのだが……
 この最近、特に身体のでかい個体が現れた。困ったことに、そいつは独占欲の非常に強い性格だったようで、泡の木の樹液を採取しに寄って来る者を、人も怪獣も構わず追い散らしてしまうのだ。同種の『えもり』すらも追い払う、なんとも強欲な奴である。
 他の『えもり』達も、樹液を頂こうとやっては来るものの、何せ大きさが段違い、物凄い勢いで突付き回され、あっという間に追い出される。
 勿論、地上を歩いている他の怪獣も、泡の大木を貫く強靭で鋭い嘴に超高速で連打されれば、たまったものではなく。のしのししていたカメ怪獣が、移動が遅かったが為に甲羅に穴を開けられ、大変可哀相な目に遭ってしまった、なんていう目撃証言もある。
「泡の木はとても大きいなぁ〜ん。一周するのに歩いて三日掛かる位の大木じゃなぁ〜ん。それを特大えもりは、一日に何週もしてしまうんじゃなぁ〜ん。それくらい、大きくて素早いんじゃなぁ〜ん」
 鳥なので当然と言えば当然かもしれないが……それだけ機動力があるということは、逆側からこっそり、というのも難しそうだ。飛んでいる以上、索敵もえもりのほうが圧倒的に有利だろう。
「嘴のつんつんもとても痛いのじゃがなぁ〜ん、『えもり』はよく通る声をしておってなぁ〜ん……それを聞くと、思わず身がすくんでしまうんじゃなぁ〜ん」
 奇声というか、雄叫びというか。とにかく、物凄い音量で物凄い鳴き声を発し、それを聞いた者を金縛りのようにしてしまうのだとか。
 そんな面倒な『えもり』だが、一つだけこちらに有利な条件もある。
「『えもり』は邪魔者を追い払うのに必死なぁ〜ん。見つかればきっと勝手に寄って来るじゃろうし、必死すぎて自分が逃げるとかはきっと考えないなぁ〜ん」
 要は、一旦小競り合いが始まれば、『えもり』の飛行能力に悩まされることはないだろう、と言う事らしい。
「とにかく、泡の木に近づけるようにして欲しいんじゃなぁ〜ん。『えもり』が他所に逃げるように仕向けても良いし、『えもり』も食べられるから、やっつけてしまっても構わないなぁ〜ん」
 この辺は、仕事を引き受けてくれる者のやり易い方で構わないなぁ〜ん、そう付け加え、長老はまた、ゆらゆらと舟を漕ぐのであった。


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参加者
還送せし者・アーシア(a01410)
ヒトの剣聖・ジュダス(a12538)
碧洋の翔剣士・レイナ(a37725)
幻葬舞踏・エミリオ(a48690)
時空を彷徨う・ルシファ(a59028)
万色を纏いし者・クロウハット(a60081)
樹霊・シフィル(a64372)
黒狐・キオ(a68532)
月下黎明の・アオイ(a68811)
天翔ける銀鴉・カラン(a71104)


<リプレイ>

●泡の木
 でかい。
 癒しの術の遣い手・アーシア(a01410)の覗く遠眼鏡に映るのは、幹の茶色一色。木というよりは山肌を見ているような気分にさせられる。
 その中腹付近を飛んでいる、眼鏡をかけたような模様の鳥怪獣……あれが噂のえもりなのだろう。
 あちらが胡麻ならこちらは砂粒。えもりはまだ冒険者を敵と捉えていないようで、哨戒の為に裏側へすーっと飛び消えて行く。
 接近は今のうち。念の為、まばらに生えている木の陰を渡るように近付く、時空を彷徨う・ルシファ(a59028)。
 なんにせよ、独り占めはよくない。
 生きること自体は悪くないが、周りに害が及ぶようでは、
「失礼……」
 呟く、碧洋の翔剣士・レイナ(a37725)。再生の銀翼・カラン(a71104)も命を奪うのは気が引けるが、やはり現地の人の安全には代えられない。
 強欲が仇になりましたね、これから相対するえもりへ、月下黎明の・アオイ(a68811)も内心で零す。
 その一方で、ヤキトリヤキトリ、嬉しいな〜♪ と、美味しく頂ける巨大鳥怪獣に何処か心躍る、脳天ストライカー・キオ(a68532)も居たり。
 ……そういえば、酒盛りに使う飲み物の周りを、肴になる獲物が飛んでいるんだった。
「なんと言いますか、鴨が葱しょって土鍋を掲げた大名行列じゃないですか」
 獲物、宴会。この流れに疑問を抱かなくなってきた辺り、幻葬舞踏・エミリオ(a48690)は、我ながら思考がワイルドファイア化してきた気がしないでもない。
 二週、三週。
 近付く度にくっきりするえもりの姿が、泡の木を巡る。
 慎重に進む仲間が居る中、樹霊・シフィル(a64372)はどうせ見つけて寄って来るなら、隠れなくてものんびり待てばいいやの精神で、既に戦闘形態でとぐろを巻いているペインヴァイパーを枕代わりに、寝転んで空を見上げていた。
「ふふふ、空がとっても青うございます。不謹慎かと存じますが、このまま一日を過ごしてしまいたい……とさえ思えてきますわ」
 のーんびり……
 している、一方。
 常夏の熱さにやられているのは、ヒトの剣聖・ジュダス(a12538)だった。
「………」
 こちらもまた、既に戦闘形態なグランスティードの上で……ばてている。
 全く、大きければいいってわけじゃないことを教えてやらないとな、思いつつも、ばてている。
 俄に、万色を纏いし者・クロウハット(a60081)が覗いていた遠眼鏡を視線から外す。
 エンジン全開になる前に退治したい……色んな意味で。
 思うのはそこそこ、ついにこちらを敵とみなし急降下を始めたえもりの巨影が、もう真上にまで迫っていた……!

●えもり
 ふわふわと、白い塊が皆の傍らに現れて浮かぶ。
 アーシアの遣わした護りの天使達を引き連れ、迫る敵影に備え陣形を整える冒険者達。その足元はアオイの敷いたヘブンズフィールドによって、淡い光を放っていた。
 先手を取ったのはえもり。
 きらーん。
 そんな擬音が似合う形容で、鋭く尖った嘴が真上から襲い掛かる!
 翻ったのは、青いマント。
「さあ……こちらにいらっしゃいませ」
 イリュージョンステップの構えで、召喚獣を背に華麗で軽やかな足捌きで地を跳ねるレイナ。その脇を一拍遅れで通り過ぎたえもり。目標を失った嘴が、凄まじい連打と共に地面を削る。
 そのえもりの脇に、黒い鎧纏う召喚獣に跨った人影が、ぬっと近付く。
 ばてていた身体をしゃきっと起こしたジュダスの両手、掲げ上げた巨大剣に宿る闘気が常夏の景色を陽炎で揺らす。
 さっさと終らせたい。そんな気持ちを刃に乗せて、初撃から全力デストロイブレード!
 噴き出す力が爆発を起こし、その衝撃にえもりの巨体が大きく揺れる。
 体制を立て直そうと羽ばたくえもり。だが、その背面には既にキオが。
「はっはっは! 隙アリィイイ!!!」
 大きくてうまそう……と涎が出るのをこらえつつ、ぐぐっと押し付けたキオの指天殺が火を噴く!(気分的に)
 一点集中、撲殺君(大棍棒)から送り込まれた闘気が、急所を超刺激。思わぬ痛みに若干痙攣しながらばったばった暴れるえもり。
 その頭上に、今度は氷炎を纏う一矢が振り落ちてくる。
 構えた弓、番えられた何の変哲もない矢に、ルシファの半身から噴出す紅蓮と銀の魔炎魔氷が、弓を握り弦を引き絞る両腕を伝い、風を切って飛ぶ矢へと封じ込められる。
 突き立った途端、解放される召喚獣の力。
 あっという間にえもりの全身を覆い尽くす氷。ちょっと変なポーズで動きを止めるえもり。
 そんな眼前に、今度は何だか凄く嫌な感じの火炎が迫っていた。
「鶏肉は良く火を通しませんとね?」
 攻撃するなら今のうち、そんな様相でシフィルが描き出した紋章が、白から赤へと色を変え、やがて激しく燃え盛るエンブレムノヴァとなってえもりに襲い掛かった。
 その脇からもう一つ。
 漆黒の霊布を螺旋のようにくるくると宙に舞わせるクロウハットの背面で、身を繋ぐ召喚獣の髪が黒から虹色へと明滅する。
「いくら好きだからと言っても、独り占めはよろしくないのですよ」
 浮かび上がった紋章が、こちらもまたエンブレムノヴァの火炎と化し、火球は召喚獣の力を得て虹色に輝きながら、えもりへと向かい飛ぶ。
 衝突した途端、炸裂する二つの火球。
 降って散る、赤と虹色の火の粉。
 その衝撃音すら掻き消す勢いで、今度は常夏の青空の下に雷鳴が轟く。
 射放たれたのはライトニングアロー。エミリオの握る緋染めの弓、引き絞った弦を軽く爪弾けば、生まれたばかりの青白い光は、落雷の如く凍って燃えてやられ放題なえもりへ突き刺さった。
 そんな光の下を駆け抜けるカランの姿が、えもりの眼前で三つに分身する。
「さあ、避けられるかな?」
 煌く双頭剣。常夏には見られない、淡い雪のような白銀の刃が、ミラージュアタックによって三方から叩き込まれる。
 しかし、えもりもやらっぱなしではない。身を包む氷炎を振り払い、光る大地を踏み締めて、すぅうーっと胸一杯に空気を吸い込む。
『コラァー!!』
 ……と、怒鳴っているかのような音程で、良く通る不可思議な声が真正面から浴びせ掛けられる!
 何この凄く怒られたような気分。
 射程の関係もあって、前後構わず、次々金縛りに捕らえられて行く冒険者。
 だが、その怒号の音波をも、翻るマントと軽やかな足捌きで回避したレイナが、反撃宜しく鋼糸を煌かせる。
「参ります」
 ひゅっ、と細い筋が風を切った途端、軌跡に生まれるソニックウェーブ。
 装甲を貫通する衝撃波は、耐え凌いだはずのえもりの内部に到達、そのダメージは直撃と同じ。
 そして、間髪入れず戦場を包むのは、ルシファの清らかな祈り。
 布陣は前衛・術士・最後方の三段構え。
 最後方でえもりの声から逃れたルシファの捧げる静謐の祈りが、運悪くえもりの声に捉えられた術士達を真っ先に解放。
 その後を継ぐように、今度はアーシアが祈りを捧げ、固まってしまった前衛の身体を解きほぐしていく。
 その間に、えもりは丁度目の前にいたキオに目掛け、怒涛の嘴連打攻撃!
 なんの、こんな物、避ける。避ける。避け……いたいいたいいたい!
 穴が空きそうな勢いで突付かれているキオへ、咄嗟に叫ぶアオイ。
「すぐ回復します!」
 両の手で握る杖の先が、星の瞬きの如く輝く。生まれた光はやがて人の形を取り、光を纏った小さな聖女として生まれ変わった。
 啄ばみに消し飛ばされた護りの天使の代わりに、アオイから遣わされた癒しの聖女。額への口づけはキオの身を癒し……その両腕が、えもりをがっと掴み取る!
 やってくれたな! とばかり、反撃に繰り出されたのは剛鬼投げ!
 天地逆さまに投げ落とされ、うおーとおっさんのような声を上げて痙攣するえもり。
 その腹部へ、再び、ジュダスのデストロイブレードが炸裂!
 爆発に弾け飛ぶ羽毛。
 更に続いて落ちてくる、エミリオのライトニングアロー。その光が失せぬうちに、クロウハットからもエンブレムノヴァが叩き込まれる。
 高威力の攻撃連打に、ひっくり返ったままもがいているえもり。
 このまま押し切れるか……祈りを続けながら、戦況を見守るルシファ。
 しかし、激しく揺さぶられつつも、えもりは見るからに『むかっ!』と眉間に皺を寄せると、いきなり飛び上がるのだった。

●エンジン全開?
 消えていた護りの天使達が、アオイの手によって呼び戻される。
 至極良く通る鳴き声に捕われた体……その痺れがアーシアの癒しの聖女に拭い去られるや、クロウハットは動けぬ間に削り取られた皆の体力を、ヒーリングウェーブで取り戻させる。
「いけぇッ!」
 痛みの消えた体で、カランが鋭い叫びと共にソニックウェーブを撃ち放つ。
 防いだはずが、無関係に入り込んでくる衝撃に、えもりがまた『むかっ』と眉間に皺を寄せた。
 その身体は今、空にある。
 羽ばたき、頭上を覆う巨影。
 しかし、それは遠ざかる為ではなく。
 えもりは布陣の真中に飛び込むと物凄い羽音でホバリング、そのまま空中静止状態で回転して、全方位に嘴攻撃を仕掛けてきた!
「遅いよ!」
 武器でいなし、軽やかな足取りでそれをやり過ごすカラン。レイナもまた同じく軽やかに嘴をかわす。しかし、ジュダスとキオはぐっさぐっさ。直撃でないのが不幸中の幸い。
 折角呼び戻されたのが、またも次々と消えていく護りの天使達。
 クロウハットとアーシアもなんとかガードで耐え凌ぎ……一方で、シフィルとアオイは思いっきり突付かれていた。
「イタタ……わたくしは、美味しくありませんわ!」
 抗議もそこそこ、極最近も突付かれたような記憶と共に、シフィルはすかさず喉を震わせる。
 響き渡る、高らかな凱歌。歌声は差し伸べるように掲げた手に填めた術手袋を介し、爽やかな風と暖かな癒しの光となって、皆を包み込む。
 護りの天使のお陰もあり、凱歌の癒しはあっという間に皆に力を取り戻させる。
 同時に、この瞬間を逃す手があろうかとばかり、レイナは嘴をいなした鋼糸を今度は攻撃の為に振るう。
 風を切る激しい斬撃が、続け様にえもりを襲う。
 羽音に紛れて叩き込まれるスピードラッシュ。
 この様子なら耐えられる、察したアーシアは回復に回す手を止め、レイナの攻撃に態勢を崩した眼前のえもりに、両の手で握る杖をぐっと突き出した。
 途端に、燃え盛る紅蓮と銀の氷炎が左右の腕を伝う。二色は交じり合うように杖の先端に達すると……瞬間、かぱっと開いた杖の先端のオブジェの口から、心の衝撃波と共がえもりへ向かって打ち出される!
 ブレスのように叩き付けられる衝撃波から、解放される魔炎魔氷。
 再び、氷の中に閉ざされて行くえもり。
 羽ばたく事を強制的に止められ、一拍遅れて大地に落下する巨体。
 その背に、幾度目かジュダスより叩き込まれる闘気の一撃。
「飛ばぬなら、殺してしまえ、デカエモリ……無理、あるか」
 呟きはデストロイブレードの炸裂音に掻き消え、その爆心地目掛け、今度は氷炎を携えた一矢が降り注ぐ。
「美味しく焼けて下さい!」
 紅蓮と銀を乗せやって来た矢が、既にえもりを取り巻いていた魔炎魔氷を更に分厚く、熱くする。
 その頭上を、また眩い閃光が彩る。
 エミリオの射放ったライトニングアローが、雷鳴を伴ってえもりの天誅に落雷。
 そして、光が消えた眼前に、堂々と経つ人影一つ。
 手にするのはいかにも撲殺専用っぽいシルエット。
 振り上げた大棍棒に注ぎ込むのは、指天殺!
「僕は肉を食うんだぁあ!!」
 突き刺すどころか、捻り込む勢いで。
 キオの叩き落した撲殺君を伝う力が、えもりに一気に流れ込む!
『ばかやろう!』
 そんなことを言われた気がしつつ。
 そのまま意識をあの世に叩き込まれたえもりは、それっきり、二度と動き出すことはなかったのであった。

●あわあわ
「皆さん、ご無事ですか?」
 終焉を悟った瞬間、カランは真っ先に皆の安否を確認。すると、ジュダスがいきなりグランスティードの上にぐったり。
 咄嗟に癒しの聖女を要請するカランに、ジュダスは手をひらひら。
「………」
「……ばててるだけみたいですね」
 なんて光景を傍らに、近付いてくるヒトノソリン達。出かける前にエミリオが人手を貸して欲しいと頼んでおいたのだ。
 また、巨大えもりが居なくなった事で、普通のえもり達が戻ってきたらしく、何だかちょっといい声が、木の上の方から聞こえてくる。
「これで他のえもりも安心できるでしょうか」
 見上げて零すクロウハット。
 ルシファはそんなえもりの一羽に魅了の歌を仕掛け……上手く協力を取り付けると、手伝いヒトノソリン達と一緒に、樹液の採取に取り掛かる。
 さて、こっちはえもり。
 キオは宴会を推進するべく。
「きっと炙って食べたら美味しいよ?」
「どうしますか?」
 処遇を尋ねるアオイに、ヒトノソリン達は。
「食べるなぁ〜ん」
 余裕の表情!
 そんなこんなで、樹液も無事に採取完了。
「飲み過ぎて身体を壊さないようにして下さいね」
 手伝ってくれた普通えもりを見送り、皆は揃って集落へと戻って行った。

 相変らずだれてるジュダス。
 は、脇に置いといて。
 手伝いを申し出たレイナと一緒に、えもりは宴会料理へと次々大変身。まぁ、ある種焼きっ放しな気もしないではないが。
「あーっわあーっわ、あわわなぁ〜ん」
 尻尾振り振り、配った器にどんどこ泡の樹液を注ぎ込むヒトノソリンさん。
 巨大えもりが独占したがったという味。
 そんなに美味いのか、それとも、単にえもりがビール味が好きなだけなのか。注がれた液体をみて、ふと思うクロウハット。
「それじゃ、乾杯なぁ〜ん!」
 音頭と共に、わーと上がる杯。
「あわあわ〜♪」
 早速きゅーっと行くキオ。永遠の未成年としてはとても有り難いと思いつつ、ルシファも大ジョッキでごぎゅごぎゅ。
 一方、カランは一口飲んで。
「……うーん……苦い……」
「ちょっと苦味がございますが、ワイルドファイアに似合いの爽やかな飲み物でございますね」
 納得したような表情のシフィル。アーシアも誰にともなく頷き、確かにそうかも知れないと、ふかふかした泡を湛える器を透かし見る。
 切り分けた特大の鶏肉を頬張りつつ、アオイも確かにビールっぽい味だと思う。麦茶よりは若干濃いような……今度、飲み比べてみよう。
 しかし、それよりも気になるのは。
「如何見てもビールと焼き鳥で宴会をしてるようにしか見えませんね……」
 その一言に、シフィルは自分の感じていた激しい既視感の正体に……あ、あら?
「赤い提灯の幻影が……」
 とかなんとか、目ごしごしやってる横で、次第に盛り上がり、踊って歌って混ざって騒ぐキオ。
 ここまで来たらとエミリオも最後まで付き合う覚悟。今夜はナイトフィーバー。
 騒ぐのは苦手。でも、雰囲気を味わうのは、悪くない……
 皆の様子を少し離れた所から眺め、レイナは手にした飲み物を、口に含むのであった。


マスター:BOSS 紹介ページ
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