葉巻と煙とチョコポッキー



<オープニング>


 天地が逆様に映る。
 底抜け、何処までも落ちてゆけそうな空を足元に、地平線の境界から頭上まで続く大地の天井を見上げた。
 うねうねと揺れる、黒い尻尾。
 さてこれで、何回目。
 暇つぶしであるかのように逆立ちし、支える腕を折り曲げて、腕立てし終えた緋色の髪が、ざらりと肩まで垂れ落ちる。

 元に戻った天と地と。踏み締め手に取る箱一つ。
 探って取り出すその端を、親指の先で跳ね上げて、蓋を開いたケースには、廃れた色の筒一本。頭を覗かすごんぶとは、あっさり指の二本分。
 摘んで取り出し、蓋を閉め。仕舞ったケースと引き換えに、取り出すのはギロチンカッター。手馴れた様子で二枚刃広げ、閉じた筒へと宛がって、迷いも苦も無く削ぎ落とす。
 開いた口は一旦置いて、次に手に取る火口箱。
 ちっ、と掠れた音一つ。散った火花を紙縒りに移し、じきに育った火の種に、筒を翳してゆっくり炙る。
 じっくりのんびり均一に。濃淡薄く焦がし終え、揺れる火種を掻き消して、箱の類を皆仕舞う。
 切った口を咥え込み、ふっと軽く一噴かし。
 やがて紫煙がくゆるのを、色眼鏡越しに一瞥し、咥えた筒を一旦離し、今度は奥歯で噛み直す。
 ギチギチ鳴るのも構わずに、根元を噛み締めまた噴かす。一本一度は二時間弱、のんびりするならもう二時間。
 時には尻尾を振り回し、びたんびたんと地を鳴らす。流れる雲でも眺めつつ、自然に灰が落ちるまで、煙を味わい棚引かす。
 次第にちびてく、筒の先。いい頃合いを見計らい、もう一度だけ、ひと噴かし。口に残った最後の味は、細くふーっと噴き出した。
 糸の如くに宙に散る、細い煙を見送って、端を摘んで口から離し、灰は落さず、灰皿へ。いらうことがなくなれば、火は自然と消えていく。
 最早昇る煙もなく。
 そこでやっと、『一服』終わり。

 再び弾いた、ケースの蓋。
「……なぁ〜ん」
 眉根を寄せて、ふと零す。
 中身が、空っぽだったから。
 しゃーねーなぁ〜んと髪を掻き、吸殻一本拾い上げ、奥歯の端にぎちりと噛んだ。空のケースはまた仕舞う。
「貰い行くかァ、なぁ〜ん」
 嘆息交じりに吐き出すと、しおれた尻尾を引き摺って、葉巻野郎は歩き出す。

「――つーコトでだ、なぁ〜ん」
 葉巻切らしちまったンで、貰いに行こうと思う。
 刹那五月雨霊査撃士・ショットガン(a90352)はそう言って、ちびた葉巻の残骸を、肉食獣みたいな八重歯も剥き出しに、ぎちぎち音を立てて噛み締める。
 葉巻なら、そう珍しい物でなし。
 少し大きな街を巡れば、苦も無く見つかるもの。
 さりとて、それはランドアースでの話。
 この霊査士の好むそれは、ワイルドファイア産で、ということは葉巻の葉自体が大きい訳であり、大きいと言う事は巻きを入れれば必然的に太くなる訳でもあり。
 詰まる所、長さが50cm近くなる、もうそれ葉巻じゃなくてもいいんじゃないかと思わなくもない、とても長い葉巻だったりするのである。
 あと、宴会で酒を飲む習慣は割とあるが、喫煙の習慣は余りないようで、葉巻を作っている――というより、巻くのがとても上手い人がいる――のは、ごく限られてしまうのだとか。
 それを今から、取りに行こうという。
 で、それをわざわざ告知するのは何故かというと。
「道中、凄ぇ暇なんだぜなぁ〜ん」
 一人だと、つまんないらしい。

 ちなみに、行く先はとある集落である。
 色んな葉っぱをくるくるするのがとても上手い、くるくるな集落。
 かといって、葉巻ばっかり作っている訳ではなく、普段は料理の味付けに使う野草などを、干したり乾かしたり刻んだりくるくるしたりしているらしい。
「野草ってのァ、アレだ、格好良く言やァ『ハーブ』って奴なぁ〜ん。結構色々あるみてーだから、いいのあったら貴様らもなんか貰って帰りゃァいいんじゃねぇかなぁ〜ん?」
 勿論、貰いっぱなしにはできない。
 かといって、金品は余り意味がない。そういう訳で、葉巻野郎が巻き巻きな人達へのお土産に準備したのは、色んな海産物。
「判ってると思うが、未成年は煙の出るモン貰うんじゃねぇぞなぁ〜ん」
 どーしても欲しがるよーな奴には……
 言って、葉巻野郎が取り出したのは。
 葉巻に負けないくらいごんぶとな、特大チョコポッキー。
「問答無用で口ン中ぶっこむかンな、覚悟しろなぁ〜ん」
 最後にそれだけ念を押し、背負い込むと……何となく嬉しげに尻尾をうねうねさせながら、小旅行に出かけてゆくのであった。


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参加者
NPC:刹那五月雨霊査撃士・ショットガン(a90352)



<リプレイ>

●ぽきぽっきー
「ショットガンさん、筋トレが日常に組み込まれててすごいなぁ〜ん!」
 後で真似っこしてみるなぁ〜ん! と心の中で決意するヴィカル。
「しょとがんは大きいなぁんね〜。三角形なのなぁ〜ん♪」
 ベチーもお出かけを楽しみにしながら、霊査士の周りをうろうろちょろちょろ。
 そんなヒトノソリンズのすぐ側にはウラが。
「とても可愛いウラ様もショットガン様も、一月ぶりくらいですわね」
 前半を強調してきたレムに、ウラは思わずむむっと振り返る。
「あ、ショットガンさは初めましてだべ〜。噂どおりのすごいグラマ〜さんだべな〜……」
 しみじみ零し、ちょっと見惚れてみるウィルカナ。その後、おもむろにカーツェットを見て。
「溜息!?」
 おいちゃんぷちしょっく。
 まぁしかし、煙物が手に入ると聞いて来てみたはいいが。
「ワイルドファイアサイズの葉巻かぁ……ほんにそれ葉巻でなくていいじゃんて気が」
 咥え煙草で隣を歩きながら、そんな事を考える。
「ショットガンさん、初めまして」
「初めまして、道中宜しくお願いしますね」
 ピヨピヨとキュイの挨拶にも、尻尾を打ち鳴らし応じる霊査士。
 ……と、そこで首を傾げるセリア。
「ポッキーって何だろ……?」
 あれですよと、レムが荷物の中の棒を指差す。
「というかそれ……どこに売ってるものなんでしょうか」
「こいつァ自家製なぁ〜ん」
 曰く、ワイルドランララの時に作ったとかなんとか。
 クレアも気になるのか、ちらちら確認。一方、種ガン見しているのはシフィル。
 何かぶつぶついいながら、霊査士を……いや、背中の物体をストーキング。
「……いえ、直射日光に晒されては折角のお土産も傷んでしまいましょう」
 大量に準備してきた土塊の下僕を効果が切れる度に召喚、日傘を持たせて、やっぱりストーキング。
 そんな、虎視眈々気味なシフィルとは対照的に、ピヨピヨは。
「口寂しいからチョコポッキー囓りながら行きたいな」
「ホントは対未成年喫煙対策なぁ〜ん」
「え? 葉巻を欲しがればもらえる?」
 ほほう、と悪い顔をするレム。
 シフィルもなんか一瞬、目が光っ……
 そこに突如差し出される虫!
「でっかい虫がいたのなぁんよ〜」
 嬉しそうに尻尾を揺らし見せてくるベチー。ウラはここはおねーさんとしてしっかりせねば、なんて思いつつ。
「脅かしてはいかんぞ」
「かわいいの拾ったなぁ〜ん♪」
「なぬ!?」
 言ってる端から蛇を持ってこられたり。無邪気だ。
 なんてやってるうちに、貰った棒に齧りついてるピヨピヨ。
「シガーにもチョコレートフレーバーがあるんだってね?」
「煙草を吸える年齢だけど、チョコポッキーの方が、ぶっちゃけ好みです」
 ぼりぼり。
 ……アーケィが何か齧ってる!?
「貴様いつの間に……って自前かよなぁ〜ん!」
「おやつはたくさんあります、どんどん食べてね」
 周りの皆にも配りつつ、お喋りしながらまったり進む。
 ふとクレアが見渡せば、ランドアースより明らかに大きな植物やら、それを食む怪獣やら……あ、ラウルがすっげぇ遠くで狩りしてる。
「パセリなんかも大きいのかな……?」
 あんまり大きいと、香り等が大雑把だったりしそうで不安だが、パセリなら乾燥させて粉にすれば、普通のものと同じに使えるかな? クレアはそんなことを考える。
 ……結局、タイミング逃した気がするレムとシフィル。
 そんなポッキー狙いの皆をウォッチング☆ エミスは楽しげに微笑むのだった。

●のんびり行脚
「ワイルドファイアは、初めてだな……」
 雄大な景色を見回すマルガレーテ。その体は、エルの操る金一色のグランスティードの後ろにあった。
「グレタはハーブティか」
「貴方は」
「うちの店で使う食材でもありゃいいなぁってな」
 ぱかぽこ、と足音を響かせ、進みゆく二人。
 巻くのが上手い人達なら、これで手巻き寿司もできそうだ……なんて、ウィルカナもお土産の海産物を手に考える。
「なんだかオラほうも作りたくなったから、村さ着いたら巻き方のコツとか教わろうかな〜だべよ」
「その集落もけったい……じゃなく、ちと変わってるわな」
 改めて思う、カーツェット。
 少し先では、綺麗な石を拾い上げ、「この石きらきらなぁ〜ん♪」と嬉しそうに耳を揺らしてベチーが霊査士に見せ行っている。
「あ……そだ☆」
 俄に思い出し、霊査士にグランスティードで近付くエミス。
「団長さん、よかったら乗ってみない……?」
「を? をう、なぁ〜ん」
 よっこいせと乗り込んでくる霊査士。エミスも初めての二人乗りに、うふふ、と笑顔を零しながら、またぽっくりぽっくり進む。
「コレ、いいよなァ。ハビたんも変形すりゃいいのになぁ〜ん……」
「わたしでよければ、いつでも乗せてあげるよ〜☆」
 揺れる二人乗りの影。
 後方に伸びる、霊査士の黒い尻尾……
 なんだかうずうずして、ぺちぺち……おおっと、ホールド!
 あっ、持ち上がった。
「おっ、おお、ふほほ」
 ウラ、嬉しそう。
 それを横目に、アーケィは。
「冬は雪がかなりお気に入りだったみたいだけど、これからの季節は何して遊ぶんですか〜?」
「あの白くて冷たい物は、『ユキ』って言うんですか……」
 会話を耳に、思わず苦笑するキュイ。『フユ』のランドアースは凄く寒いし……たまに積もるあの白い物が、どうにも苦手だ。
「やっぱりこっちの方が落ち着きます」
 生まれ育った土地だからでしょうか、呟いて、キュイは降り注ぐ日差しを見上げる。
 昼時。
 ラウルは狩った獲物をバーベキューにして、皆に振舞った。
 ……そういえば。
「葉巻切れて禁断症状なんて出ないよな……?」
 俄に心配になり、視線を向けると。
 丁度クエスが、持参の紙巻を差入れ中。勿論、携帯灰も忘れない。マナーは大切。
「こっちの葉巻ってのも興味深いねぇ……楽しみでいけねぇな」
「俺もこっち出身だが、これから行く所の葉巻は知らねぇな」
 今からどんな味か楽しみだぜ、とシャドウもまだまだ続く地平線の先を見渡す。
「そう言えば初対面だったな、まあよろしく頼むぜ」
「をう、なぁ〜ん」
「僕は、濃ーくて、重ーい紙巻が好きなんだけど、葉巻の良さも知りたいんだー」
 折角だからとユーティスも混ぜ込んで、ぷかーと漂う重い香りと煙が四本。カーツェットも居るが、彼の紙巻は煙が出ない特別製だ。
「ショットガンさんの好みや、初心者にお勧めな葉巻とか、教えてくれないかなー?」
「『イカす大人の葉巻の嗜み方』ってのも」
「葉巻の煙はアレだ、『吸う』んじゃなくて、『含む』んだぜなぁ〜ん」
 口の中で転がして、味を楽しむのが醍醐味、らしい。
「まァ、俺ァすぐ噴かしちまうンな、ちびンの早ぇから、長ェのがいいなぁ〜ん」
 ちなみに初心者にも長くて太いのがお勧め。葉巻はそれ自身がフィルタの役割を果たす為、長い方が口に届くまでに煙がまろやかになるのだとか。
 また、燃えていく過程で、凡そ三段階に味が変化して行くのも魅力……らしい。
 更に同じ葉巻でも、切り口や吸い方で味が変わる。
 それをのんびり楽しむのが、イカす大人。
 ……っぽいことを、言う霊査士。
 すると、シャドウはそんなのんびりした時の一服も好いが、と言葉を継ぐ。
「やっぱり勝利の後の一服だろうな、こいつに勝るものはないぜ」
「冒険職の特権だなぁ〜ん」
 何となくあだるてぃな雰囲気を漂わせつつ、食後の一服を楽しむ野郎共なのであった。

●くるくる
 あっちもくるくる。
 こっちもくるくる。
 ……あれ、なんだか、目が回っ……
「……あ! んと、元気一杯になれる様なハーブが欲しいって思って来たのなぁ〜ん」
 我に返るヴィカル。一緒に見ていたウラも、いかんいかんと頭を振っている。
「色も綺麗で生葉は怪我にも効く、蓬(ロクシタン)のくるくるを作って下さいなぁ〜ん!」
 ぺこち、と丁寧にお辞儀する姿に、ヒトノソリンは快くくるくる。ウラはそれを暫し見つつ考え。
「ワイルドファイアらしい大きい物が欲しいのぅ。ハーブの葉を用いた栞とかどうじゃろう?」
「じゃあ、ぺたんこにしてあげるなぁ〜ん♪」
 エミスもそんな様子を邪魔にならないように見学中。勿論、お土産も忘れない。
「Made in ランドアースの、すっごく効く『塗り薬』とふぁいと〜いっぱぁつ☆ な『干物』だよ〜」
 よかったら試してみてねっ♪ と渡された品物を、とても嬉しそうに受け取るヒトノソリン。
 アーケィからは岩塩を貰い……そのアーケィは、お土産用とは別に持参した岩塩を、貰ったばかりの野草と一緒にすり鉢へ。
「胡椒、オニオン、ガーリック、セロリ、タイム、オレガノで……ハーブソルトの出来上がり〜」
 いらっしゃいませ〜。これ、肉を焼く時の味付けにもいいんですよ〜。気になっちゃう感じですかぁ? おひとつどうぞ〜。
 そんな風に、興味を惹かれ集ってきたヒトノソリン達に店員宜しく勧めてみたり。
 さり気無くお土産交換される中、クレアはこれと言ったものが手元にないからと、肉体労働でお返し中。
「物運びでも穴掘りでも、お申し付けくださいなのです」
「助かるなぁ〜ん♪」
 赤い鎧のグランスティードを操って、摘み取ったばかりの野草とヒトノソリンさんを一緒に運んで回っていた。
 摘んだ葉を何故かくるくる巻いてから乾かしているヒトノソリンを、順に巡ってみるセリア。
 料理に使えそうな物を雑多に。
 ハーブティにできそうなのも欲しいなぁ。
 思い、足を運ぶと、既にマルガレーテがいて、試飲をしている所だった。
 香りを嗅ぎ、口に含み。満足げに頷いて、自身の焼き菓子を交換でヒトノソリンへ手渡す。
 一方で、エルはウィスキーと交換で、特大バジルを仕入れ中。くるくる巻きになって乾いた葉を粉にし、それを特大の瓶に詰めていく。
 そんな鼻腔に、ふと漂う香り。
「これならいい料理ができそうだよ」
 ピヨピヨが自らの嗅ぎ別けて選んだ、料理向きの香りのよい野草。あとはこれを、くるくるっと糸で縛ってもらえば、ブーケガルニの完成だ。
 そこへレムが!
「料理が上手になるハーブをください……!」
「なぁ〜ん!?」
 困ってる。
「うーん……レモングラスも良いし、ジャム用のレモンバーベナでも良いなぁ……どっちでも良いので強いレモンの香りがするものをくださいな」
「判ったなぁ〜ん」
 交換で♪ と差し出したのはオルゴール。ユーティスもお土産にと、山菜盛り合わせを御進呈。
「山菜採りの季節にはまだちょっと早いんだけど、頑張って探してきたよー」
 ランドアースの春を味わって欲しいなー。言って淡く目を細めれば、ヒトノソリン達は嬉しそうに踊り出す。
「でね、このくらいの長さに葉っぱをまきまきして欲しいんだー」
 そして、両手で隙間を作り、10cmくらいを示して見せる。
「そんな小さくていいのなぁ〜ん?」
「ちっちゃくて物足りないかもだけど、出来たらよろしくお願いします」
 ぺこり、と一礼するユーティスに、ヒトノソリン達は任せるなぁ〜ん! と意気込む。
「べちーもお土産もってきたなぁんよ〜♪」
 拾った石を渡し、しかし存外に気に入ったのか、ヒトノソリン達はご機嫌だ。
「でっかい葉巻すごいなぁんね〜巻き巻きお手伝いするなぁ〜ん」
「ベチー殿、巻くのはよいが持って帰ってはいかんぞ」
 しかし、ウラは知らなかった。
 ベチーは実は超童顔なのだと……!
 別の場所では、ウィルカナが一緒に……本当に巻き寿司をこさえつつ、世間話。
「タイムさ生えてるべかね?」
「生えてるなあ〜ん」
「お肉の臭みとりだけじゃなくて石鹸にもなるんだべよ」
「そうなのなぁ〜ん!」
「……やっぱこれもデカいなぁ」
 眺めているだけも難だと、タイムを貰ってきたカーツェットが、幾度目だかしみじみ。
「つか、普通に考えたら野草は巻く必要ないんじゃない?」
「き、気にしちゃ駄目なぁ〜ん!」
 そんな中、シフィルは。
「これが葉巻になるんですのね」
 などと、くるくるに興味を示す……視界に、しゃきーんと特大ポッキーを構えた誰かさんが!
「あぁん、無理やりは嫌でございます。……その、もう少し優しゅう願えません?」
「……何言ってるなぁ〜ん?」
 普通に渡された。
 それを見ていたキュイ――暫く集落の中を見学していたが、野草は詳しくないし、葉巻は無理だし……と、戻ってきたらしい――も。
「えっと……ポッキー下さいとか言ったらダメですか……?」
「ァんだ、何気に大人気じゃねぇかなぁ〜ん」
 あいよ、と手渡され、淡く微笑むキュイ。
「ところで。ベチー殿は……よいのか?」
「あァ、奴、24歳らしいぜなぁ〜ん」
「なんじゃとー!?」
「べちーはおねえさんなぁ〜ん♪」
 ウラの驚愕を他所に、ベチーは葉巻をくるんくるんしているのであった。

●ヤニーズ
 吸い口を専用のカッターで削ぎ落とす手元を、ユーティスが覗き込む。
「道具も揃えた方がいいのかなー?」
「なくてもいいが、有った方がきっと格好いいなぁ〜ん」
「そっかー」
 何処かのんびり、並んで腰を下ろし……ゆったり炙ってふっと一口。
「かーっ、こりゃ効くねぇ」
 連れ立って葉巻を噴かし、クエスが帽子の下に見え隠れする目を細める。
 ラウルも霊査士と同じ、出来たての葉巻を一本、味見がてらに吸ってみる。
 甘味の中に俄に広がる渋み。肺には入れず、口の中で何度か転がしてから、吐き出す。
 まったり過ごす、イカす野郎共。
 暫く煙の味を楽しんでから、クエスはよれたコートを探る。
「やるかい?」
 手にしているのは酒瓶に入った琥珀色の――グレーン・ウイスキー。
 一応礼だと差出一杯。
「頂きなぁ〜ん」
「お、いける口か。いいねぇ」
 きゅーっと二人でやりながら、揺らめく煙をまた含む。
 やがて一服終えるのに……
 ……二時間くらい。
「よし、これで完成だ」
 一服後、持ち帰り用に貰った葉巻に自前で作ってきた焼印を押すラウル。丸黒眼鏡の口元に、葉巻と八重歯……図案はどうやら、霊査士の顔を模したものらしい。
 なお集落ではお土産や、シャドウが狩ってきた怪獣を使って、宴会準備が始まりかけていた。
 そんな情景を背面に、マルガレーテとエルもポッキー片手に酒盛りで一休み。
 これが普通のサイズならムードあるのに……いやまぁ、これはこれで仲良くっていいのか、思いつつエルは「甘ぇの好きだろ?」と半分を差し出す。
「む? チョコのほうをくれるのか? ありがとう」
 ぽりぽり。
 もぐもぐ。
「いやまぁアレだな……こーゆーのもアレだ、うん」
「アレ? 何かわからないが、貴方が楽しんでるならそれでいいのではないか?」
 そうマルガレーテに言われ。
 ……ま、飲むかっ。
 何処か誤魔化すように、杯を煽る……
「青春っていいねぇ」
「いいなぁ〜ん」
「エルさんより年上なのがクエスさんだけなのは言ってもいいのかなー」
「まじか」
「ところでポッキーって大丈夫か?」
 不意に零したシャドウの言葉に、皆は一斉に視線を逸らしたとか、そんな噂。


マスター:BOSS 紹介ページ
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