≪さいはての村パルシア≫花祭りの日



<オープニング>


 パルシアへの春の訪れは遅めだけれど、ある一点を過ぎると他の地域に追いつくほど急速に暖かくなる。
 春から初夏にかけ、季節に負けじと働くパルシアの人々は忙しい。それがひと段落ついてようやく、春女神の花祭りが始まる。
 この頃になると野原も緑に覆われ、春から夏へと移り変わる花々がそれを彩り。
 パルシアで一番華やかな季節に行われる春女神の花祭りでは、老いも若きも花で身を飾り、やっと訪れた暖かな日々を喜び合う。
 広場の端には料理が置かれた台が並び、広場の中央では奏でられる曲に踊る人々の姿が見られ。
 野の花に見守られる田舎の素朴な花祭り。

 外の華やかな祭りと逆に、パルシアグリモアガード本部の一角は、そばを通る足音まで潜ませるような静けさがあった。
 空から落ちてきた翼ある少年、ロルカの状態は思わしくなく、病気でもなさそうなのに高熱が続いている。日々、護衛士たちの手によって看病がなされているが、今日もまた熱は下がらない。
 身体の数箇所にあるかすり傷。翼の付け根あたりにある不思議な星形の痣……。
 空から落下してくる前に、彼の身に一体何が起きていたというのだろうか。

 そしてグリモアガード本部の中庭に近い一角では、賑やかな人の出入りがあった。窓からはノソリンがのぞき、部屋の中には仔猫に絵本、お手玉に音楽、テーブルに並ぶ不思議な種族見本人形。
 翼ある少女ミルカは、日に日に元気を取り戻し、笑顔を見せることも多くなっていた。
 失った記憶は戻らず、夢にうなされ怯えることもあったが……それでも彼女は間違いなく回復へと向かっている。
 彼女の身体のどこにも星形の痣は見られない。
 空からきた双子の運命の明暗を分けることになった、何か。それが何なのか判明する日は来るのだろうか。


「ロルカさんの病状は思わしくないようだけれど、ミルカさんは随分良くなったわね」
 心配と安心と。両方を覗かせたグリシナは、ひだまりのホールの窓から外を見る。
 中央通りを行く人々は、髪に胸に花を飾り、一様に楽しそうに見えた。
「ずっと部屋の中にいるのも退屈でしょうし、足も弱ってしまうわ。ミルカさんの方だけでも、少し外を散歩してもらったらどうかしら」
 外の空気を吸えば気も晴れるかもしれないから、とグリシナはホールを出て、ミルカの部屋へ向かった。
 ベッドの上に絵本を広げて眺めていたミルカは、ノックの音にびくりと顔を上げ、怯えた目で扉の開くのを見守った。入ってきたのが、知っている顔なのを知ると、その緊張はすぐにゆるみ。
「身体の具合はどう?」
 問いかけるグリシナに、ミルカは小さな声で答える。
「もう大丈夫……です。ありがとうございます」
「それは良かったわ」
 グリシナが微笑むのにつられたように、ミルカも笑顔になった。笑顔になるとミルカは一層幼く見える。何歳なのだろう。それも彼女は憶えていない。
「もし良かったら、外に出てみない? パルシアは何もない田舎の村だけれど、お散歩するには良い処よ」
 グリシナに言われ、ミルカはわずかに迷う様子を見せた。
 その紫の瞳にはやはり怯えの色。
「気が進まないのなら無理しなくてもいいのよ」
 ミルカの紫の瞳に怯えの色を見て取ったグリシナは、またいつか落ち着いたら時にしましょうね、とすぐに申し出を引っ込めたが、ミルカはいいえと首を振った。
「わたしもお外を見てみたい……ここがどんな処なのか知りたいです。少し怖いですけれど……でも行ってみたいです」
 運ばれて来てからずっとグリモアガード本部の中にいて、ミルカは外のことを何も知らない。これがミルカがはじめてパルシア村とそこに住む村人に触れる時となる。
 ミルカが少しでも怖がらずに済むように、とグリシナは護衛士たちの何人もにミルカとの同行を頼んだ。

 花祭りの日。
 ミルカの目にパルシアはどんな場所として映るのだろうか。

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参加者
荷葉・リン(a00070)
記録者の眼・フォルムアイ(a00380)
喰い盛りの牙狩人・ジャム(a00470)
妖精弓の射手・シズク(a00786)
邪風の黒騎士・ツキト(a02530)
儚月華・ネフェル(a02933)
葬焔の・アーサス(a03967)
元リディアの護衛士・バルトロー(a04273)
NPC:紅雪白華・シルエラ(a90056)



<リプレイ>

●花祭りのその前に
 明日に花祭りを控えた日。
 喰い盛りの牙狩人・ジャム(a00470)はパルシアの子供たちを引き連れて、護衛士本部にやってきた。
 物珍しそうに声を挙げながら本部内を眺める子供たちを、両手を広げて静かにさせ。
「今日みんなに来て貰ったのは、頼みがあるからなんだ」
 これっ、とジャムは絵を見せる。
「……蝿?」
「違うにゅ!」
 ……描き直しっ。今度はなんとか翼の生えた人の姿に見えるようになった絵を示し、ジャムは子供たちに依頼する。
 2人のことを祭りが終わるまで秘密にすること。身体を花で飾って通りの角に立ち、祭りや通りの様子を伝令で送ってくれること。
「協力してくれるご褒美は、もちろんこれっ♪」
 ジャムはりりかる絵本最新刊をばーんと出す。
「それと、新しい友達が出来ることだな。羽のある友達だぞ」
 子供たちはどうしようかと相談した。お祭りで遊びたい気持ちと、絵本+友達を天秤にかけ。決め手となったのはりりかるか翼人の友達か。子供たちはジャムの申し出に頷いてくれたのだった。

●花祭りの病室
「着心地はどうでしょうか」
 羽根が自由に出せる服を作った優しき想いの毒姫・リルフィールは、ミルカの分は邪風の黒騎士・ツキト(a02530)に渡し、ロルカの着替えを手伝った。
 ロルカは着替えさせられていることにも気づいているのかいないのか、朦朧としてなされるがままになっている。リルフィールは服の具合を見ると、また新しく服を縫い始めた。寝ていても楽なように工夫しながら。
 新しい服に着替え、シーツも取り替えられ、ロルカはこざっぱりと整えられてベッドに横たわった。
「お熱、下がりませんね……」
 成長期の頃に続く高熱は、後々まで身体に影響を及ぼすことがあるとも聞く。奇跡の為に・リン(a00070)はロルカに浮かぶ汗を気がかりな目で見つめると、そっと布に吸わせ。
 今の処、看病する護衛士の誰も発熱していないし、ロルカを診た医者にも感染等はしていない。これが伝染性の病である可能性は低いだろう。
 それなら何であるのか。医者に診せても霊査でも解らない現状では、それを知る方法がない。
 ロルカに果物と野菜の裏ごしを緩めたものを食べさせ終えたリンは、柔らかいタオルで少し強めにロルカの痣をこすってみた。だが痣は薄くなる様子もない。染料で描かれたものではないようだ。
 リンは一旦部屋を出ると、今度はグリシナにペンダントを借りて戻ってくる。小さな羽根がついた楕円の水晶体は、薄青い光を帯びている。ペンダントをロルカに触れさせると、その光は強くなる。が、痣に近づけた途端に光は失われた。
「……?」
 不思議がりながら何度か試してはみたけれど、ペンダントによって痣に変化が現れることはなかった。
「……ロルカは見知らぬ旅人と関係あるのかも知れませんね」
 記録者の眼・フォルムアイ(a00380)はリンが試しているのを見て呟くと、熱ですぐに温かくなってしまう濡れタオルを取り替え、外に通じる窓を開けた。
 風に乗り、外の音が部屋に届く。
 すっかり夏めいてきた空には白い雲が浮かんでいる。パルシアでは晴れの日はそれなりにあるのに、雲1つない、という日は少ない。
 あの雲のさらに上にロルカ達の住んでいた国があるのか。それともさいはて山脈の奥深くにひっそりと国があるのか……。
 今の処追手の気配はないけれど、ロルカの怪我の様子とミルカの怯えぶりから、何かが彼らの上に起きたのだということは推測できる。
 追手はどこから……? 空を見上げるフォルムアイの背後で、ロルカが小さくうめいた。
「……して……」
 ロルカの譫言に、フォルムアイは耳を近づける。
「ぼくを……ころして……ほしがかえる……まえに……」
 かすれた声でそう言うと、ロルカはまた深い昏睡の中に引き込まれていった……。

●花祭りの村
 リルフィールの作った服に着替えてきたミルカを、銀凌焔柢・アーサス(a03967)が褒める。
「よく似合ってるな。可愛いよ」
 照れてうつむいたミルカの頭を、妹であるかのように撫で。似合う服を着て出かけるのも、祭りの楽しみ。少しでもミルカが今日という日を楽しめるようにと願いながら。
「翼は隠しておいた方がいいだろう」
 ツキトは翼が隠せるようにゆったりと作られたマントをミルカに差し出した。パルシア村の人々には、まだミルカたちのことを説明していない。翼を見たらきっと驚くだろう。
「お祭りの間は無理に隠さなくとも良いのではないですかな?」
 春を告げる鳥の翼は花祭りには相応しいものですから、と、パルシアの護衛士・バルトロー(a04273)は摘んできたばかりの花々を護衛士たちに渡していった。丁寧に摘まれた瑞々しい花々は、ふわりと良い香りを辺りに放つ。
 花を摘まれる森の木や草には申し訳ないが、春と夏を祝うお祝いだから、その綺麗さを分けてもらい、祭りの喜びとする。
「ジャムくんにはこれを。お祝いに参加する動物役だよ」
 バルトローはそう言いながらジャムの頭に猫耳バンドをつけた。
「ほんとの猫みたいだにゅ」
 ジャムは手探りで猫耳を確かめた後、せっせとミルカの翼を花で飾り、祭りの扮装に見せかけた。これで誤魔化せるだろうか。
 花祭りらしい装いとなった皆にグリシナが手を振る。
「気をつけて。でも楽しんできてね。緑と花の季節を迎えたパルシアはとてもきれいだから」
 グリシナに送り出されて外に出ると、空気の中にまで花の香りが感じられた。
「そういえば、パルシアをゆっくり回った事がなかったかもしれんな……」
 うららかな陽光に、銀麗月華・ネフェル(a02933)が頬を緩ませた。降る光が緑に反射し、周囲に充ち満ちている。
「歩行器具がなくても歩けそうかな」
 妖精弓の射手・シズク(a00786)は松葉杖を片手にまとめて持ち、もう片方の手でミルカの手を取った。ゆっくりと歩きながら、ジャムの誘導で裏通りへ。
 角に立った子供たちが、まじめくさった顔で伝令を務めているのが妙に可笑しく見える。ジャムから言い含められているため、子供たちはミルカを見ても手を振るだけで声は出さなかった。
 人通りが少ない裏通りを、ミルカを伴った護衛士たちは歩いて行った。ミルカの歩く速度に合わせるように気をつけながら、アーサスが声をかける。
「ゆっくりでいいからなー? 祭りは逃げないから」
 のんびりと、ゆったりと。ぽかぽか陽気にはこんな散歩がぴったりだ。
 ミルカの歩く速度が落ちてくると、ツキトがひょいと持ち上げて、休めそうな場所に座らせた。
 無理をさせないことを重点に置いて、護衛士はミルカに花祭りの村を案内する。
「ここから大通りに出た方がいいんだって」
 子供達からの情報を受け、ジャムが大通りに通じる路地を指差した。

 大通りに出ると雰囲気は一転する。
 家々すべてに花が飾られ、道行く人も花を飾り。いつもは地味な色彩の多いパルシアが、祭りの日ばかりはひらひらと鮮やかにドレスアップ。
 通りに見える花々と聞こえてくる音楽に誘われて、ミルカは駆け出そうとした。が、足の方がついてゆかずにもつれ、躓いた。地面に手をつくその前に、アーサスがミルカの身体を抱き留める。
「人混みの中はまだちょっと無理そうだな」
 そのまま抱き上げると、ミルカはふわりと赤くなる。
「ちっちゃな子供みたいです……」
 子供よりは重いけれど、とはにかむミルカに、アーサスは気にしないでいいよと笑う。
「ウチには一杯弟とか妹いるから。好きなんだ、こういうの」
 こうして抱えている限りでは、ミルカの体重は他の種族と比べて非常に軽いという感じはしない。空からゆっくりと落ちてこられるとは思えないのだが……。
 ネフェルはアーサスとミルカの様子を微笑ましく眺めた。子供は苦手なのだけれど、こうしていると温かい気持ちになってくる。こういうのもいいかも知れない。
 そう思った途端、アーサスと目が合い。ネフェルはちょっと照れ笑いを浮かべた。
  さすがに1人では大変なので、アーサスとツキトが交替でミルカを抱き上げて大通りを進む。人の行き来が激しい通りは、ふらふらと歩いていると、走る子供に弾かれかねない。
「ねぇ、ミルカは何が好き? 食べてみたいものとかある?」
 すっかり食べ歩きモードになっているシズクが、出店をのぞきながら声をかけた。プディングに焼き菓子、豪快に焼かれるバーベキュー。
 ミルカが指差したフルーツのシロップ漬けをシズクは購入する。
「はい、どうぞ」
「でもわたし……何も持ってなくて……」
 着の身着のままで落ちてきたミルカには、代金として差し出すものがない。
「大丈夫。気にしなくていいから。あ、あっちにも美味しそうなものがある。今度はミルカもお店の人に話しかけてみてよ」
 自然な形で村人とミルカを交流させられたら、と促した時。
「あっ……!」
 子供の撒く餌につられて降りてきた鳥たちに気づき、シズクは慌てて自分の身体でそれを隠す。が、ばさばさと降りてくるすべてを隠すことは出来ず。
 ミルカは、と見ると。
 特に怖がる様子もなく、餌をついばむ鳥を眺めている。
「あれ? 鳥、怖くないの? この間、鳩を出した時、怯えてたから怖いのかと思ってたんだけど」
 あの時はごめん、と謝りながらも、シズクは怯えたわけを聞いてみる。
「ないはずの処から……何かが飛び出てきたから……まるで……」
 そこまで言ってミルカはぎゅっと目を瞑る。
「ごめんごめん、思い出させちゃったね」
 シズクはミルカを安心させるよう頭を撫でた。
「ミルカ殿、これをあげよう」
 ネフェルは瓶に入った金平糖をミルカの前に翳した。
「日の光できらきら光って綺麗だろう? 甘くて美味しいよ」
 色とりどりの金平糖にミルカも目を奪われる。
 きらりきらきら日光にも消えぬ昼の星。

 パルシア中央部にある広場は花で飾られ、そこここで楽しげな音楽が奏でられていた。広場の端に並べられたテーブルには、持ち寄られた料理が大皿に盛られている。
 広場には人は多いが、大通りほど流れてはいない。
 祭りで浮かれ、羽目を外しすぎている人々を、バルトローはさりげなくミルカの近くから遠ざける。ミルカを傷つけはしないだろうが、不意の大声やからかいで脅かしたりすることのないように、と。
「ここなら大丈夫だろう」
 ツキトは抱いていたミルカを広場へと下ろした。
「ねぇねぇ、どの花が好き?」
 ジャムは広場の花売りから両手にいっぱい花を買い、ミルカに見せる。これ、と指差したスイートピーやマーガレットを、シズクが編んで花冠を作り、ミルカにかぶせた。
「フォルムアイさんからロルカさんの部屋に飾る花を頼まれていたんでしたわ。ミルカさんの好きな花にしておきましょうか」
 シルエラはスイートピーとマーガレットを束ねてもらい、両腕でそっと抱える。花の香りがこの祭りの賑わいの片鱗でも、病室に届けてくれると良いのだが。
 花冠をのせたミルカは物珍しそうに広場のあちこちに目をやった。
 踊る人、笑う子供、屋台の呼び込み、花の香り、太陽のぬくもり。広場はさまざまなものに満ち。
 ツキトは横笛を取り出すと、祭りで演奏されている曲を吹きだした。ミルカは笑顔でそれを聞いていたが、不意に、曲に合わせて歌い出す。
 まだ子供の甘さが残る澄んだ声で歌われる歌は、ところどころ歌詞の違いはあれども、確かにパルシアの花祭りの歌だ。
「この歌を知っているのか?」
 笛を吹くのを中断してツキトが尋ねると、ミルカは首を傾げて考え……思い出せないのかきゅっと眉根を寄せる。
「無理に思い出すことはない」
 ツキトは再び笛を吹き始めた。まだ気が晴れない様子のミルカに、ネフェルはにっこりと微笑みを向けると、軽やかにステップを踏み始めた。腕を掲げ、身を反らし。曲を身体に受けて踊れば、さらりと銀の髪が揺れる。
 ミルカはうっとりと、笛の音と踊りを観賞した。初夏の広場に流れるゆるやかな時。
 さらりと風が吹き抜けて……。
「あ!」
 す……とミルカの身体が風に流されるままに、広場をすべった。足の先がわずかに宙に浮いている。
「危ないですぞ」
 バルトローに捕まえられたミルカが、きょとんとその顔を見上げた途端、すとんと身体は地について、風を受けてもただ髪がふわふわと揺れるだけになる。
 ミルカが風に流される様子を見ていた数人の村人が、ぎょっとした顔になるのに、アーサスは慌てて説明する。
「この子はパルシア護衛士団の客人で……友人で妹みたいなものなんだ。怪しい者じゃないから」
 護衛士の保証があるならと大人は納得したが、子供は奇異な物を見る目をぶしつけに向け。
「あの子、ヘン〜」
「こら。そうやって人を指差さない。そういうことをやってると〜……りりかるな人達にオシオキされるぞ?」
 そう言って注意したアーサスの背後で、ジャムが思いっきり笑い声を挙げた。

●花祭りのお裾分け
 そうして無事に花祭り見物も終わり。
「ただいま〜」
 花と菓子を抱えたジャムはロルカの病室を訪れた。
「アーサス兄ちゃんのツケでいっぱいお土産買ってきたにゅ」
「頼まれていたお花、生けてきますわね」
 シルエラはフォルムアイに声をかけると、花瓶を手に部屋を出て行った。
 ミルカは病室に入ると、ロルカのベッドの傍らに膝をつき、蒼白な顔を悲しそうな目で見つめた。こうして並んでいると、本当によく似ている。だが、その上にある運命は、生と死という全くの逆方向にむかって進み出している……。
「ミルカさんにはこれをあげよう。お守りだよ」
 バルトローは祭りで売られていた小さな袋をミルカに渡した。幸福を運ぶと言われている石を入れたこのお守りは、パルシアでよく見られるものだ。
「もう1つお揃いのお守りがあるんだよ。ロルカさんが起きた後、このお祭りの話をミルカさんから聞かせてあげる時に役立ててもらえると嬉しいですな」
 バルトローがもう1つのお守りを見せた時。
 ぽろ……。
 ミルカの頬を涙が伝った。
「どうかしたの?」
 心配するシズクに、ミルカは泣きながら首を振る。
「わからないけど……涙が出るの……」
「う〜ん……。ほらほら、しっぽだよ〜」
 ふさふさの狐尻尾を振ってみせると、ミルカはこくこく頷きながら尻尾を両手で包み持つ。顔は笑顔になったけれど、涙は止まらない。
「…………」
 フォルムアイはそんなミルカの様子にじっと目を注いだ後、意識なく横たわるロルカにその視線を移すのだった。


マスター:香月深里 紹介ページ
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参加者:8人
作成日:2004/06/02
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