≪密林の楽園Gパンポルナ≫魅惑のバカンス〜ロロサ跡探検ツアー



<オープニング>


●魅惑のバカンス
「ご機嫌いかがかね、冒険者諸君」
 紺碧の子爵・ロラン(a90363)は冒険者達を見回すと、「そういえばランララ聖花祭は盛況だったそうだね」と切り出した。
「この南方セイレーン王国でも、近年ランララ聖花祭を祝う動きが広まっている。我がイケメン領も同様だ。このような文化交流が行われる事は、非常に望ましい状況とは思うのだが……」
 ロランは僅かに眉を寄せ、悩ましげにひとつ溜息を吐いた。
「少女達は私にも菓子を贈ってくれてね。……そう、我が屋敷の部屋を5つほど、埋め尽くしているだろうか」
 要するに、多くの者から好意を得たイケメン子爵は『いかに彼女達の気持ちに応えるか』に頭を悩ませているらしい。
 まさか貰った気持ちに返礼もせず、そこで終わりにする訳にもいかない。
 紳士としては当然だが、どうすればその好意に応えられるだろうか。そう考えたロランは1つの結論を導き出したらしい。
「少女達に、素晴らしいバカンスを手配しようと思うのだよ。本当は我が別荘に招こうと考えていたのだが、反対に、このようなバカンスを過ごしたいと申し出てきた者達がいてね」
 ロラン曰く、それは領内に暮らすセイレーンの冒険者達であるという。
 彼らの言い分は、こうだ。
「常夏の大陸ワイルドファイアの噂を聞き、ぜひそこでバカンスを楽しみたい……とね。私としても、その願いは叶えてあげたい。そこで、だ」
 ロランは、ここからが本題だとばかりに笑みを深めた。
「生まれて初めてワイルドファイアに行く、彼女達のガイドを頼みたい」
 彼女達が素晴らしいバカンスを過ごせるように取り計らって欲しい。それがロランからの依頼だった。

●ロロサ跡探検ツアー
 ロランに案内を依頼されたのは、紋章術士の女性だった。見た目は二十台半ば、落ち着いた雰囲気を纏い、思慮深そうな印象を抱く。
 趣味は遺跡巡り……つまり、これから行く場所は、まさにうってつけという訳だ。
「彼女は古い物、歴史ある物にとても興味があるらしくてね。聞けば、大怪獣ロロサは古代生物だそうじゃないか。その殻が綺麗に残っていると知って、それなら是非見てみたい、と」
 要は『ロロサ跡』を案内して欲しい、そういうことらしい。
「あとのことは……きっと、そちら方が詳しいだろう?」
 それじゃ、任せたよ。
 ロランはそう言って、優雅に微笑むのだった。

 ――とかそんな情景を、霊査士は説明した。割と淡々と。
「で、ロロサ跡は一応俺らの管轄だかンな、案内役もそのまままるっと回って来ちまったっつー訳だなぁ〜ん」
 火の付いていない葉巻をぎちぎち噛みつつ、色眼鏡越しに視線を投げれば。……そこには、見たことのない青い髪の女性。
 明らかにセイレーン。
 間違いなく、ロランの手配でバカンスにやってきた冒険者だ。
 腰丈ほどの軽やかな印象の髪。常夏に合わせてか、今はそれも高く結われている。着衣も薄手で、しかし何処か上品に。ローブの代わりに軽く羽織ったストールの裾をつまみ、女性は優雅にお辞儀をした。
「シサ、と申す。どうぞ宜しく……」
「つわけで、このねーちゃん案内してやれなぁ〜ん」
 うねうねっ、と尻尾を揺らし、霊査士はまた護衛士らへと視線を戻す。
「っても、案内っつーよりァ護衛になっちまいそうだがなぁ〜ん……ザリガニ怪獣やらタコ怪獣やら居るしよ。まァ、迷わねぇ程度に探検してきやがれなぁ〜ん」
 なお、タコはついこの間、とどめを刺されたらしい。
「……あァ、そういやァ、ミズチとトラスが集落のヒトノソリン共と一緒にうろついてんだっけか。ついでだから、適当に合流して、交流深めたりもして来りゃァいいんじゃねぇかなぁ〜ん」
 そんなこんなで、突如回ってきた案内役。
 こんなバカンスでいいのか。
 むしろこんな場所でいいのか。
 そして、シサはノリと勢いについていけるのか。
 ついて来なかったらどうしよう。
 様々な思惑とともに、護衛士はロロサ跡へと向かうのだった……!


マスターからのコメントを見る

参加者
毒林檎・ヘルガ(a00829)
暴れノソリン・タニア(a19371)
しっぽふわふわ・イツキ(a33018)
神を斬り竜をも屠るメイドガイ・イズミ(a36220)
狂気が乱舞の赤ペンギン・ヒナタ(a40516)
星薙ギノ剣・ミズチ(a46091)
怪獣王使い・ラウル(a47393)
三賞太夫・ツァド(a51649)
人形遣い・トラス(a58973)
樹霊・シフィル(a64372)


<リプレイ>

●歓迎
『あ、おいでませ常夏の秘境パンポルナへ』
 お手製の幟を手に、狂気が乱舞の赤ペンギン・ヒナタ(a40516)は、円滑な人間関係は第一印象からとばかり、早速挨拶。
「くぁ〜はぁ〜〜♪ あ、パンポルナへよ〜こそのオチ♪」
 案内役の護衛士らは、本部前に集合し……
「セセセセセイレーンなんてみみみ身内にションベン臭いガキンチョが居るだけだったからきききき緊張してごごごごご……」
 緊張が頂点に達した、しっぽふわふわ・イツキ(a33018)は、突如!
「落ち着け拙者ー!!!」
「ま、気にすんな」
 その辺の木にヘッドバッドしてるのを背景に笑う、毒林檎・ヘルガ(a00829)。
 神を斬り竜をも屠るメイドガイ・イズミ(a36220)も丁寧に御挨拶。
「メイドガイのイズミと申します。本日はよろしくお願いいたしますね。御用が御座いましたら遠慮なくお申し付け下さい」
 何なりと……と、頭を垂れるイズミ。
 三賞太夫・ツァド(a51649)もロッサロサにしてやんよっ、な心中はさて置いて、丁寧に挨拶をしてから一通りの説明。
「今日はこの十名で護衛と案内をします」
 あらかじめ準備しておいた地図とレポートを渡し……GG本部も遺跡である事を伝えると、シサは俄に興味を抱いたようだが、戻ってからでもいいと言う事で、見学は後回し。
「出発なぁ〜ん……なぁ〜んはヒトノソリン語尾だから気にしないでなぁ〜ん」
 先だって歩きつつ言う、暴れノソリン・タニア(a19371)。
「なぁ〜んをつけないヒトノソリンは耳と尻尾引っこ抜きの刑になってしまうと誰かが言っていたなぁ〜ん」
 そういえば、自分もロロサ跡に行くのは初めてのような。思いつつ進む、サマードレス姿の、樹霊・シフィル(a64372)。
 その更に後ろからは、駆け抜ける疾風・ラウル(a47393)が。
「行けー行けー川ぐt」
 言いかけて、不穏な気配を感じそこで止めておく。
 でも、転がってるロロサの遺骸をピカピカに磨いてから見せたり素手がピラニア怪獣に噛まれたり! なんて想像してみたりもする。
 かくして、ヒナタ曰く『甘く酸っぱく、ちょっとキケンなバカンス』に、出発するのであった。

●海岸方面
 一行が、本部を発った頃。
「俺らから離れんなよー」
「はぐれない様に注意して下さいねー」
 星薙ギノ剣・ミズチ(a46091)と、人形遣い・トラス(a58973)は、紛れ込んだヒトノソリン達と、現地・ロロサ跡で皆の到着を待っていた。
 なぁ〜んなぁ〜んと落ち着かないヒトノソリン達を宥めつつ――

 ――何か額割れてるけど気にせんといて、な感じのイツキを先頭に、石畳……というよりは、石が敷いてあるだけの簡素な道を進む。
「この道は?」
「日々の業務で拵えました」
 側に付き歩くイズミが答えると、ほう、と一声漏らすシサ。
「道路工事……はパンポルナでは年中整備やってるぜ。セイレーン王国では、この時期に集中するのか?」
「そうでもない……いや、判らない、というべきか」
 ……と、シサは若干前をゆくヒナタやタニアの背を見つめ、何か出るのかと尋ねる。
「怪獣は何処にでも居ますからね」
「今の時期はネンドマツって植物怪獣が暴れてるんだ」
 奴はこの手で倒したかった……遠い目をして言うラウルに、イズミも同意。
「最近はジャースラ・クックとかネンドマツとかPAIの実とか厄介な怪獣が多いですからね……」
「それでも、この付近でしたら、さほどの脅威は無いはず……」
 言ってから、ツァドの頭をみて、シフィルははっとした。
「いえ、PAIの実に要注意でございます。あれは色々な意味で危険ですわ……」
 なんか危険らしい。
「怪獣っつーと、こないだのアリもだな」
 身の丈の三倍の穴掘る蟻なんだぜと、ヘルガは先日制圧した巨大蟻の巣の話をして聞かせる。その奥には、輪を掛けて巨大な琥珀が鎮座していることも。
「俄には信じ難いが」
 ランドアースの常識は通用しないんだろうな、そんなシサの呟きに、ヒナタは同意を示す。
「あ、ロロサ〜も、大怪獣。怪獣の一種のオ〜チね」
 全長200m以上。石化液で密林や内陸の大地は一時灰色に染まり……それを直す為に、材料を集めに奔走したり。
「くぁ、当〜時は飛〜んでたから、大〜変だったのオチよ」
 さっき渡されたレポートに目を通しながら、ヒナタの話を聴くシサ。
 やがて、その行く先に、大きく開けた青……海の景色が広がる。
 その浜の一角に、巨大な器のようなものが、鎮座していた。

●ロロサ跡
 浜につくと、シフィルは砂を一掴みし、土塊の下僕を召喚。
 そして、持参してきた日傘を広げ、持つように命じる。
「南国の陽射しは強うございます。長く当たりますとお肌に良くありませんわ」
「有り難う」
 一体はシサの側に。傘持ち係を引き連れ、どこか優雅に進む二人。
 段々と近付く大きな塊。
「……凄いな」
「あの上には、遺跡が乗っかってたなぁ〜ん」
 『カブトムシ遺跡』の在りし日の姿のスケッチを見せるタニア。それから、ともう一枚取り出したのは、ロロサが現れる前の浜のスケッチ。
「これがロロサを倒した直後のこの辺りの地形なぁ〜ん」
 と、目の前に広がる景色を指し示す。
「入り江になってしまったのか」
 暫し立ち止まって景色の差を眺めている一行。
 そこに、トラスが迎えにやってくる。
「今日はよろしくお願いします」
 穏やかに挨拶し、だが、内心には密かな野望を抱いていた。
 シサをワイルドファイア色に染める、と……!
 ロロサの腹の上では、ミズチがヒトノソリンズと一緒に皆をお出迎え。全員揃った所で、添乗員宜しく辺りを指し示す。
「みなさま〜、あちらに見えるのがロロサの残骸でーす。こちらに見えますのもロロサの残骸でーす。全部ロロサの残骸でーす」
 言うたび、手の動きに合わせて皆が顔を動かすのが、ちょっと面白い。
「退治したのは俺たちでーす。というわけで、ツアー会社Gパンポルナのロロサツアーの始まりでございまーす!」
「楽しみなぁ〜ん」
「なぁ〜ん!」
「こちらがお客様のシサさんです。仲良くして下さいね」
「はーいなぁ〜ん!」
「こにちはなぁ〜ん」
 トラスに言われ早速シサに纏わりついてるヒトノソリン達。
「彼らは?」
「迷い込んでしまったようでして」
 答えるイズミに、不思議そうに首を傾げるシサ。その疑問を汲み取ったのか、トラスは後ろに付いて歩きながら。
「楽しい事には率先して参加。ワイルドファイアクオリティですよ」
「折角来たんだから、郷に入らば郷に従えってなモンだ」
 強制はしねーケドも。付け加えるヘルガに、シサは、そうだな、と頷く。
 先ずは、柵があったり矢印看板があったりする腹の上を、てくてく歩いて一回り。
「ここから光の球が現れたなぁ〜ん。光線はこっちから出てたなぁ〜ん」
 居並んで聳え立つ壁のようなものや、触覚の残骸を示し言うタニア。そして、そのすぐ側にある、まあるいものへと視線を移動し。
「そこの透明な窓みたいな部分が眼だったなぁ〜ん」
「こっち側の、眼の跡の穴から、中に入れます」
「少し『ぬめり』が残っているので気を付けて下さいね」
「薬の材料になった物質か?」
「くぁ、そのと〜り」
 するするっ、と慣れた様子で中に滑り落ちていく皆やヒトノソリンの後に続き、シサはイズミに手を引かれ、傘を畳んだシフィルと一緒にゆっくりと中へ進んで行く。
 内部で再び人員点呼。ミズチは改めて、しっかり俺らの言う事聞くようにとヒトノソリン達に言い聞かせる。
「安全だけど安全じゃねーぜ、ここ」
 下りてすぐは、少し広い空間。そこにはかつて石化用の海水を貯めたり射出する器官や、脳に値する様々な器官が収められていた。
 故に、タニアはここをこう表現する。
「ここが艦橋部分になるなぁ〜ん」
「しかしロロサ跡なんて、貪欲な護衛士たちに何もかも吸い尽くされて、骨と皮しか残ってないと思うのだがなぁ……」
「ふむ」
「ちょ、今の呟きメモせんといて!」
 本土に報告されたら、色んな意味であらぬ誤解を招くから! と大慌てなイツキに、シサはしれっとした様子で。
「時既に遅し」
「中々やるな……!」
 何故かラウルがサムズアップ。
 とにかく、露払いの意も込め、挙動不審なイツキを先頭、最後尾にラウルを配置し、残る皆はシサとヒトノソリン達を囲むように隊列を組む。
「艦橋は第3艦橋まであるなぁ〜ん。ピンチを演出するときに真っ先に破壊される場所が第3艦橋なぁ〜ん」
 という、嘘か真か判らないタニアの説明を聞きつつ、ロロサの中を進んで行く。
 すると、急に明るい光の差しこむ場所に出た。
「ロロサの弱点があったのがこの辺りなぁ〜ん」
「さっき上で見た穴がここです」
 大きく破けた天井。高さは、四、五階建ての建物くらい。床には雨水が貯まって、差し込む光をきらきらと反射していた。
 更にそこから、壁に開いた穴を潜り、奥へと進む。
 薄暗い内部に灯る、ランタンの明かり。
 その時、ごそごそっと動く影が……!
「はーい、こちらがロロサ跡名物のフナムシ怪獣になります……って、え?」
 トラスが改めて目を瞬かせた時!

●えっびまよ
 突如、響くトランペット。
 前方、イツキから届く警告に、皆は素早く前・中・後に布陣。進路を塞ぐ敵は……
「海老なぁ〜ん!」
「ごちそうなぁ〜ん!」
 ヒトノソリンさん大興奮。
「嬉しいのは判るが、ちゃんと下がってろよ」
 デモニックフレイムの炎を練りつつ言うヘルガ。少し前方では、シフィルが緑の縛撃を解き放っていた。
 捕縛される寸前、ぶん回された長い触角を盾で受け流したり、跳んでかわしたり、うっかり食らったりしつつ、前衛陣は緑塗れになった海老へ、一気に仕掛ける。
「くぁ! あ、喰〜らうのオチ!」
 叩き込まれるパワーブレード。いきなり触覚を一本折られる海老。きっと涙目になっているに違いない。
「気性は荒いが、そんなに強くはないかもな」
「でもでっけぇ!」
「食べ応えがあってよさそうです」
 血の覚醒して駆けつけたラウルと、デストロイブレードを仕掛けるミズチを支援するように、エンブレムシャワーを撒き散らすイズミとトラス。
「……おや、もう終わりましたか」
「支援してる間に……」
 そんな呟きを零しているツァドとイツキ。しかし、安全が最優先。何事もなかったのなら、それに越した事はない。
 海老は帰りに小分けにして回収することにして、再び内部進行を始める一行。
「まだまだ何が残ってるか解んねーから、今日歴史の目撃者になるかもしんねーぜ? もちろん、こわーい目にもあう可能性あるけどな?」
「本当に遺跡のようだな。生物だったとは思えん位だ」
 ミズチに応じながら、不可思議な模様のある壁を撫でるシサ。ふと、その上の方に……
「どうぞ」
「済まない」
 屈んで促すツァドを踏み台に、シサは綺麗な立方体の物質を、興味深げに見つめている。
「取れそうなら取っちまっていいぜ。多分角質とかだろうし」
 ミズチに言われ、早速剥し取るシサ。それをトラスの灯したホーリーライトの明かりで透かし見て、何だか満足そうにするのだった。

 海老怪獣を戦利品にロロサ殻内部から出たのは、太陽が西に傾いた頃。
「随分長く探検していたのだな」
「おなかすいたなぁ〜ん」
「海老食べるなぁ〜ん?」
「ばばーんと火焚いてバーベキューとか良くね?」
 採りたて新鮮魚介類とかご当地ならではな感じプラス獲り立て怪獣焼きとかワイルドちっくな感じで!
 と、提案するヘルガに、ヒトノソリン達は勢いよく賛成。
「狩っといたまんもー肉、本部に置いて来たなぁ〜ん」
「くぁ、そ〜れじゃ、ワタ〜シも果物取りに戻るのオチ」
「つわけで用意しとくから、腹ごなし兼ホコリ落としつー事で、海水浴でも楽しんでくりゃイイんじゃね」
 言われた途端、泳ぐなぁ〜ん! と服を脱ぎ捨てるのはヒトノソリン。
 ……普段から変身しまくってる彼らは、裸に対しての羞恥心が薄い。
 流石に少し面食らっている様子のシサに、ヘルガは笑いながら。
「ハダカの付き合いして来いや、オレは野郎共が来ねー様に見張っとくし」
「う、うむ……」
 なお、覗くつもりはないがうっかり近付いたせいで、誰かがデモニックフレイムの餌食になったという噂があるが、それは当人だけの秘密らしい。
 ともかく、着々と進む準備。
 シフィルの呼び出した土塊の下僕が走り回る中、てきぱきと給仕しつつ、イズミはふと。
「ここに来て私の怪獣料理のレパートリーも増えましたね……」
 何だか嘘みたいだが、イズミも同じ南方セイレーン。シサも長くこちらで過ごせばいずれは……そんなことを考えてみたり。
 やがて、海から上がると、食事どころか見事な宴会状態になっている現場。
「ワイルドファイアに来た以上、宴会参加は必須なのですよ、シサさん」
「ふふ、驚かれまして?」
 気圧されないようにと気遣いながら、シフィルはシサを特等席に御案内。
 そして、大人はワイルドワイン、未成年は絞りたて果物ジュースを配り。
「王国に帰っても元気でなー。乾杯!」
 ラウルの音頭で、掲げられる杯。
 既に腹ぺこなヒトノソリン達は、あっという間に全力全開。歌って踊って飲んで食う。
「ロロサの中身も、こうやって皆で食べたのか?」
「まあ、大体そんな所ですね」
 これもここにしかないのですよと、ツァドが珍味系を色々紹介しつつ、シサに振舞っていく。シサも段々『ここはこういう所だ』と認識してきたようで、少々の妙なものも、皆と一緒なら拒否する事無く味わっていた。
「今日はど〜だったのオチ?」
 この地には、まだ他にも古代の神秘が眠って居そう。巨大琥珀や、森の大樹を例に上げ話すヒナタに、シサはほんのり桜色に染まった頬で、淡く微笑む。
 と、そんなシサに、トラスは何かを差し出した。
「この実、ワイルドファイアの名物なんですよ。一ついかがです?」
 なお、正しくは『Gパンポルナの名物』。他の地域の人はきっと知らない。
「それはPAIの……」
 気付いた時には既に遅し。
 トラスが持ってくるのは大抵、『アタリ』系なので、つまりこれは……
「おおっ、シサもノってきたな!」
 ラウルは締めのオコノミヤキを暖めながら、ヒトノソリンと踊るシサを微笑ましげに眺めるのであった。

 ――翌日。
「き、きちょうなたいけんだった……」
「ふふふ、これに懲りずにまたお越しくださいませね?」
 ちょっぴりふらついてるシサに、シフィルは少し悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「おし。手出してみな」
 不意に言われ、しかし、ヘルガの言うままにシサが手を差し出すと。
「これは……蟻の巣にあったという?」
「うむ、お土産に」
 頷くイツキ。明らかに大きな琥珀。だが、これが『欠片』だと聞いて、シサの瞳にまた強い興味の色が宿る。
「もし再びこの地を訪れる事があればまた全力で歓迎させていただきます!」
「有難う」
 見送るツァド。
 シサは最後に、皆へ感謝の笑みを返すと、密林を後にして行った。


マスター:BOSS 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:10人
作成日:2008/03/23
得票数:冒険活劇5  ほのぼの17  コメディ2 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。