醜き美女



<オープニング>


●醜き美女
 チキンレッグ領の辺境にある森で、全裸の美女に擬態したモンスターが確認された。
 このモンスターはヒトからチキンレッグまであらゆる美女を擬態として利用しており、髪の毛状の蔦を絡めて獲物の血をチューチューと吸っている。
 外見的には色んなモノが混ざっているから、間違ってもムラムラする事はないのだが、美女である事は間違いない。
 まぁ、モンスターが人間の美的センスを理解する事が出来るわけがないから、当然の結果なのかも知れないが……。
 ほとんどの村人達が気味悪がって近づかないのだが、モンスターが少しずつ移動を始めたため、早めに退治して欲しい。
 こんなにモノが村にやって来たら、子供達がトラウマになってしまうからな。
 ただし、モンスターの身体からはフェロモンが漂っているため、迂闊に近づくと間違いを犯してしまうかも知れないから気をつけてくれ。


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参加者
玄鱗屠竜道士・バジヤベル(a08014)
ソニックハウンド・カリウス(a19832)
混沌の群・フォアブロ(a20627)
華紬の伶・ミンリーシャン(a22811)
守護と慈愛の拳闘淑女・クレア(a37112)
煌めく仔猫な爆裂少女剣士・ザッハトルテー(a62373)
金翼の紋章術士・リュカリナ(a66079)
晴天戴風・マルクドゥ(a66351)
蒼き撲殺居眠り絵師・マーモ(a68303)
雪の鱗片・スノゥ(a71494)


<リプレイ>

●チキンレッグ領辺境
「むう、様々な姿を取り入れた美女とはのぅ……。実に惜し……いや、実に判っておらんな。美しさは一部分一部分で成り立つもので無し、いいとこ取りしても実に無意味、じゃな。まったく惜し……ゲフンゲフン」
 チキンフォーメーションを展開しながら、玄鱗屠竜道士・バジヤベル(a08014)がモンスターの姿を想像した。
 モンスターはベッピンサンと呼ばれており、ヒト族からチキンレッグまで、あらゆる美女を網羅し、奇跡的に生き残った村人達の心にもトラウマを植え付けている。
 そのせいで女性恐怖症になった村人もいるらしく、ここ数日で被害が拡大しているらしい。
「……美女、か。何を以って美女と形容するかは、主観に依る所が大きい。種族的な観念はもとより、個々の嗜好の違いもあるだろう。いわゆる美人と言うのは、そのコミュニティにおいて平均的な容姿の者という説もある、大多数が受け入れ易いと言う事だな。ヒトとストライダーなんて尻尾の有無くらいしか違いが無いし、他の種族も大体は似たようなものだ。だが、リザードマンとチキンレッグは、何と言うか、少々違いが大きいと言うか、うむ……。まぁ、何だ、全種族的な美女と言う定義としての平均値ともなると、どんな姿だか想像もつかん」
 ベッピンサンの姿を思い浮かべながら、ソニックハウンド・カリウス(a19832)が汗を流す。
 ヒト族や、エルフ、ストライダー、セイレーン、エンジェルまでは想像する事が出来るのだが、そこにチキンレッグや、リザードマンが混ざると、どうしてもグロテスクな姿を想像してしまう。
 そのため、モンスターの姿が美しいとは、とても思う事が出来なかった。
「あんまりグロテスクなモンスターは、私達でも見たくないですよね……。ましてや、普通の村人さんは尚の事。綺麗なものをたくさん集めても、必ずしも魅力的になるわけじゃないのです。しっかり片付けて、村人さん達に安心してもらいましょう。物理的にだけではなく、精神的にも……」
 自分自身に言い聞かせるようにしながら、剛拳麗女・クレア(a37112)が拳をギュッと握り締める。
 ベッピンサンが村に辿り着くまで、それほど時間が掛からないはずなので、その前に何としても阻止しなければならなかった。
「特に子供には醜いモンスターを見せたくないですね。子供達の心に傷を残したくありません」
 ここに来るまで色々な噂を耳にして、金翼の紋章術士・リュカリナ(a66079)が表情を強ばらせる。
 ペッピンサンを見た子供達はあまりの恐怖で塞ぎ込み、夜な夜な悪夢にうなされているらしい。
「……全裸の美女に擬態するなんて、悪趣味です。しかも蜘蛛の動き……蜘蛛、あまり好きじゃないのに……。まあ、泣き言も言ってられませんよね……」
 今にも泣きそうな表情を浮かべ、雪の鱗片・スノゥ(a71494)が村に視線を送る。
 村人達はモンスターが近くにいる事さえ知らないため、のんびりと畑仕事に精を出していた。
「でも、美女って、いいよな〜♪ ただし、モンスターで蜘蛛みたいな美人は……ちょっと嫌かも。そういや、こういうの『ふぇち』の人にはたまんね〜んだって?」
 今回の相手が人食いモンスターと知って殺る気満々になりながら、どげんかせんといかん・マルクドゥ(a66351)がニヤリと笑う。
 ベッピンサンは全身からフェロモンを漂わせ、獲物を骨抜きにしてしまうのだが、効果が切れたのと同時にそれが恐怖に変わるので、村人達にとっては脅威であった。
「モンスターだから人間の美的センスを理解出来ないのではなく、モンスター化する前から他人に理解されない美的センスの持ち主だったのであろう。現在の冒険者の中にも奇抜な服装をしている奴は居るしな」
 フェロモンの影響を受けないように風上に立ち、混沌の群・フォアブロ(a20627)が遠眼鏡を覗き込む。
 しかし、ベッピンサンのフェロモンが村に流れ込んでいるため、このまま黙ってみているわけにはいかなかった。
「フェロモン? フェロモン? もう! 不潔ですわー!! エッチですわー!!」
 フォロモンの毒気にやられて恥ずかしそうに頬を染め、煌めく仔猫な爆裂少女剣士・ザッハトルテー(a62373)が仲間達の背中をバンバン叩く。
 だが、残された時間がわずかなため、早く村人達を避難させる必要があった……。

●村人達
「いきなり現われて避難しろだ? お前達、何を訳が分からねぇ事を言ってやがる。そのベッピンサンって言うのが襲ってくるのなら、ぜひとも見てみたいね」
 冒険者達からの話を聞き、村長が鼻で笑って答えを返す。
 村長にとってベッピンサンは脅威として感じられないため、彼らの説得にも応じようとしない。
「……困りましたね。ベッピンサンがもう目と鼻の先まで来ているのに。……と言うか誰ですか。ベッピンサンとか言う変な名前をつけたのは……」
 こめかみをピクピクとさせながら、永久に捧げる友への愛想曲・ミンリーシャン(a22811)が拳をぶるりと震わせる。
 ベッピンサンというどうしようもない名前は、霊査士であるガイが命名したモノ。
 本当なら口に出す事さえ恥ずかしいため、ガイに対する怒りが沸々と込み上げてくる。
「まぁ……、いいか。お前達の忠告を無視して村が全滅したんじゃ、俺の立場もねぇからな。その代わり、大した事がねぇ相手だったら、きっちり責任は取って貰うぜ」
 含みのある笑みを浮かべながら、村長が冒険者達に警告する。
 それは冒険者達に対する脅しのようにも思えたが、村長には村長の事情があるので黙って条件を飲む事にした。
「それじゃ、村人全員を煙突が無く、なるべく広い家に集めてもらえますか」
 沸き上がる怒りをグッと堪え、ミンリーシャンが土塊の下僕を召喚する。
 召喚された下僕達はフェロモンが入ってこないようにするため、窓などの隙間を塞いでいった。
「やれやれ、交渉成立と言う訳じゃな」
 苦笑いを浮かべながら、バジヤベルが警戒用の罠を作る。
 それは人型の骨組みに服を着せて人に見立て、内部に生肉、腕などの素材にしなる物を使って重りをつけ、風の吹き止みで手を振る動作をするように仕立てたもので、鳴り物と繋いでベッピンサンの襲撃に備える事にした。
「フェロモンの濃度が徐々に増しているようです。多分、ベッピンサンが攻めてくるのは時間の問題。もうあまり時間が残されていません。……急ぎましょう」
 森で倒してきた木を抱え、クレアが村の入り口にバリケードを作っていく。
 その間もフェロモンが漂ってくるため、危うく意識を失いそうになった。
「まだお年寄りの避難が……終わっていません……」
 消え去りそうな声を出しながら、スノゥが土塊の下僕を召喚する。
 村の年寄り達は身体を小刻みに震わせ、何とか自力で避難しようとしている最中だった。
 そのため、紫陽花・スィ(a72818)が年寄り達に肩を貸し、ゆっくりとした足取りで家の中に入っていく。
「……」
 村人達の人数を確認した後、スノゥが小さくコクンとうなずいた。
 しかし、ベッピンサンのフェロモンが漂っているため、激しい頭痛と目眩に襲われている。
「やはり完全にフェロモンを防ぐ事は不可能か。……仕方ない。モンスターを倒し終わるまで、大人しくしていてくれ」
 険しい表情を浮かべながら、スィが家の扉をガッチリと閉めた。
 それと同時に頭に稲妻が走ったような衝撃を受け、その場にグッタリと倒れ込む。
「この村が風下にあったのが敗因ですね。フェロモンの効果を浴びすぎました」
 青ざめた表情を浮かべながら、ミンリーシャンがガックリと膝をつく。
 今まで高らかな凱歌を歌ってフェロモンを防いできたのだが、ここに来てアビリティが尽きてしまったため、抵抗する事さえ出来なくなっている。
「……女はいつも男を引き付け、そして脅威となる存在と言うが……、今回もそのようじゃったな」
 薄れゆく意識の中で村人達の安全を確認し、バジヤベルがホッとした様子で膝をつく。
 ベッピンサンと戦っている冒険者達は風上から攻撃を仕掛けているため、フェロモン攻撃を何とか防ぐ事が出来るはずである。
 後は仲間達の事を信じて、ここで待っているしかない。
 回復系のアビリティが尽きてしまった以上、何もする事が出来ないのだから……。
「ホントに良い女ってのは、手当たり次第に男の人を誘ったりしないものなんですっ!」
 自分の作ったバリケードに手を掛け、クレアがキッパリと答えを返す。
 彼女の意識もだんだん朦朧としているが、仲間達なら必ずベッピンサンを倒してくれると信じ、眠るようにしてその場に座り込んだ。

●ベッピンサン
「これがフェロモンの力か。確かにマトモに食らったら、5分も持たないな」
 風上からフェロモンの匂いを辿っていき、フォアブロが黒炎覚醒を発動させる。
 彼らの位置から見えるのは、ベッピンサンの綺麗な生足のみ。
 それだけ見ているとグッと来るモノがあるのだが、全身像を想像すると途端に吐き気がこみ上げてくる。
「こ、これの何処が美女ですの!?」
 信じられない様子でベッピンサンを見つめ、リュカリナがヘブンスフィールドを展開した。
 確かに個々のパーツだけで見た場合は美しいと思えるのだが、それが寄せ鍋の如く合わさっているだけなので醜いバケモノにしか見えない。
「確かにあんなモンを見たら、トラウマになるな。俺だって……、トラウマになりそうだ」
 だんだん気分が悪くなってきたため、カリウスがフェロモン対策用のマスクをつける。
 フェロモンの影響を受けていないせいもあってか、ベッピンサンが余計に醜く見えていた。
「だが、一部分だけ見ると、確かに綺麗だな。同性でもドキッとするし……」
 ウットリとした表情を浮かべながら、マルクドゥが血の覚醒を発動させる。
 それと同時にベッピンサンが冒険者達の気配に気づき、口から粘り気のある糸を吐きだした。
「うお! こいつは粘り蜘蛛糸が使えるのか!? 負けるか!」
 ハイドインシャドウを解除し、小さな風景画描き・マーモ(a68303)が粘り蜘蛛糸を放つ。
 しかし、ベッピンサンの方が素早く動いため、彼の攻撃は擦りもしなかった。
「つーか、本当に全裸なんですの!? は、はしたないですわ!! しかも、子供の教育に悪いですわよ。それにセクシーじゃありませんの!! ダメダメですわ!!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、ザッハトルテーがライクアフェザーで、ベッピンサンの口から放たれる糸を避けていく。
 そのたびベッピンサンの無数の乳房が揺れるため、彼女の怒りが頂点に達していた。
「次は外さないっ!」
 ベッピンサンの背後に回り込み、マーモが再び粘り蜘蛛糸を放つ。
 それと同時にベッピンサンの動きが封じられ、大量のフェロモンが辺りを包む。
「クッ……、卑怯な真似を」
 思わずベッピンサンの虜になりそうになりながら、カリウスが一気に間合いを詰めて毒消しの風を発動させる。
 その間にベッピンサンが拘束から逃れ、全身から無数の針を飛ばしてきた。
「ま、まさか、こんなに早く!」
 ハッとした表情を浮かべながら、マーモがペッピンサンの飛ばした針を避けていく。
 だが、ベッピンサンがしつこく追いかけ回してきたため、蛇毒刃を放って茂みに飛び込んだ。
「あ――! もう、しつこい女って最低ですわよ――!!」
 イライラとした様子でベッピンサンを睨みつけ、ザッハトルテーがソニックウェーブを炸裂させる。
 その一撃を食らってヒト族の頭が吹っ飛び、余計に気持ちが悪くなった。
 そもそも、金の匂いがしないところが気にくわない。
 フェロモンの匂いが漂っていても、一銭の価値にもならないからだ。
「く、黒髪美人の……生首って、気持ち悪いだけじゃん」
 ヒト族の生首を偶然キャッチしてしまい、マルクドゥが青ざめた表情を浮かべて放り投げる。
 次の瞬間、ベッピンサンが物凄い勢いで迫ってきたため、デストロイブレードを放ってチキンレッグの首を吹っ飛ばした。
「……来ますわよ」
 ヒーリングウェーブを発動させながら、リュカリナが仲間達に対して警告する。
 それに合わせてベッピンサンが飛び上がり、無数の針を雨の如く飛ばしていく。
「喰らい尽くせ」
 次の瞬間、フォアブロがヴォイドスクラッチを放ち、ベッピンサンの身体を貫いた。
 そのため、ベッピンサンが血反吐を吐き、落下したショックで肉塊と化す。
 こうして冒険者達はベッピンサンを見事倒し、村を守り抜く事に成功するのであった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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参加者:10人
作成日:2008/03/31
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