フランダース



<オープニング>


●フランダース
 チキンレッグ領の辺境にある村で、腐乱死体と同じ臭いがしている植物型のモンスターが確認された。
 このモンスターは近づかなければ攻撃してくる事もないんだが、日が経つにつれて死臭が強くなっているので、村人達が困っているらしい。
 モンスターは村中に根を張り巡らせており、テリトリー内に入ってきた敵に攻撃を仕掛けてくる。
 一度、モンスターの根に捕まると次々と絡まってくるため、逃げ出す事が出来なくなるから気をつけてくれ。
 しかも、どこから攻撃を仕掛けてくるのか分からないため、根が出てくるまで迂闊に動く事が出来ない。
 モンスターの根を見つける方法はただひとつ。
 それは犬の遠吠えだ。
 何故か、モンスターは犬の遠吠えが苦手らしく、驚いた拍子に地中から根が飛び出してしまうらしい。
 そのため、モンスターはひどく犬を嫌っており、真っ先に狙ってくるから要注意だ。
 また、モンスターの本体である花から、凄まじい死臭が漂っているから、念のため着替えを用意しておくといい。
 一度、臭いがこびりついてしまったら、なかなか取る事が出来ないからな。


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参加者
哲学する弓手・バスマティ(a43726)
雪桜嵐花・アキラ(a46182)
灰影・ハヤテ(a59487)
草を撫でる風・スージィ(a63178)
レッドライオット・ジャニス(a64948)
月を好む狼犬・ティア(a65500)
銀刃の姫騎士・メリル(a67374)
夜空を見上げし・カルネイヒ(a70130)
遊休の堕天使・クロセル(a70309)
射通す白羽・ミスティ(a72785)


<リプレイ>

●フランダース
「ううわぁ、なんでこんな無茶な成長の仕方しちゃったのかなぁ〜ん……。悪いけど駆除させて貰うなぁ〜ん、よっしゃ、トレ(キルドレッドブルーの名前)。アタシ達の連携プレーを見せてやろうなぁ〜ん!」
 頼もしげにキルドレッドブルーの背中をポンポンと叩き、ウォークディスウェイ・ジャニス(a64948)がニコリと微笑んだ。
 既にモンスターの根は村全体に広がっており、本体にダメージを与えるためには、敵のテリトリー内に入らなければならない。
「これは……、腐りきっているな。何でこんなになるまで放置されていたのか……。ゴミは腐る前に処理するのが当たり前だろうに……。何にせよ、とっとと終わりにしよう。元が冒険者だけに……、憐れでならん」
 険しい表情を浮かべながら、哲学する弓手・バスマティ(a43726)がボソリと呟いた。
 村は異様な臭いに包まれており、黒い塵のような物が舞っている。
 そのせいで視界が悪くなっており、モンスターの本体に近づくのが困難になっていた。
「村中に根を張る植物か……。まったく迷惑極まりないのう……。まぁ、植物には罪はないがの……。じゃが、雑草駆除も仕事の内。人に危害が及ぶと言うならなおさらじゃ。悪いが、排除させて頂くゾイ」
 三角頭巾で鼻と口を覆うようにして巻き、風皇殿を守りし銀の猫・ハヤテ(a59487)がモンスターを睨む。
 だが、あまりにもニオイがキツ過ぎるため、それだけでは完璧に防ぐ事が出来なかった。
「それにしても……、犬の遠吠えが苦手だなんて、変わったお花だよね〜! 重傷になっちゃうような怖さはなさそうだけど……、5日間くらいは余裕で寝込みかねないような攻撃があるみたいだし、街の人に被害が出ないように頑張るぞっ! わおおお〜ん」
 自分自身に気合いを入れながら、スカンク・スージィ(a63178)が犬の鳴き真似をする。
 しかし、モンスターにはまったく効果が無く、代わりに空を飛んでいたカラスが落ちた。
「なんだかもう、聞くだけでも煙草が不味くなさそうなモンスターね……」
 念のため、キルドレッドブルーに吠えさせ、夜空を見上げし・カルネイヒ(a70130)が様子を見る。
 それでもモンスターには反応が無く、言葉は土の中から顔を出したモグラが昇天した。
「やはりキルドレッドブルーじゃ駄目か。ならば猫で遠吠えを……」
 頭に上に乗せた仔猫に希望を託し、布団の堕天使・クロセル(a70309)がグッと拳を握り締める。
 だが、仔猫は一向に鳴こうとせず、仲間達の方が泣きたくなった。
「死臭漂う敵か……犬の遠吠えが苦手な理由は解らないけれど、苦手ならそれを有効活用しない手はないよね。それじゃ、頼んだよ。しっかりね」
 ゴールデン・レトリバーの頭を撫でながら、銀刃の姫騎士・メリル(a67374)が一時の別れを告げる。
 それと同時にゴールデン・レトリバーが吠え始め、モンスターの根が土の中から突きだしてくるのであった……。

●異臭
「うー……、臭い。まさか、これほどまでとは……」
 青ざめた表情を浮かべながら、哭耀・アキラ(a46182)が黒炎覚醒を発動させる。
 モンスター根が出た途端に臭いが強くなってきたため、ゴールデン・トレリーバーが転がるようにして逃げていく。
 それに合わせてモンスターの根がゴールデン・レトリーバーを追うようにして、ウネウネと地面を這っていった。
「よほど犬の鳴き声が苦手なようじゃな。だが、そう簡単に殺らせはせん!」
 少しずつ間合いを取りながら、クロセルがエンブレムノヴァを撃ち込んだ。
 それでもモンスターが根を伸ばしてきたため、頭の上に乗っていた仔猫が飛び上がる。
 そのせいで行動範囲が限られてしまったが、着地地点を見定めて見事にキャッチした。
「あ、危なかったね……」
 内心ヒヤヒヤとしながら、アキラがモンスターの根を避けていく。
 その間も仔猫が宙を舞っているため、『どこかに置いておいた方がいいのでは』と思った。
「よし、トレ。アンタとアタシの友情プレーを見せてやろうじゃんなぁ〜ん! トレ!! レッツシャウト!!」
 すぐさまトレに合図を送り、ジャニスがモンスターの根を避ける。
 それと同時にトレが遠吠えを浴びせ、彼女も紅蓮の雄叫びをあげた。
 しかし、モンスターは麻痺系の攻撃に対して耐性があるらしく、彼女達の動きを封じ込めてジリジリと締め上げていく。
「攻撃の手を休めちゃ駄目よっ!」
 巨大な根が地面からつきだしてきたため、カルネイヒがサンダークラッシュを炸裂させる。
 その一撃を食らって死臭にも似た匂いが、辺りに撒き散らされるのであった。

●モンスター
「……これがモンスターの本体!?」
 唖然とした表情を浮かべながら、白羽の牙狩人・ミスティ(a72785)が汗を流す。
 モンスターの本体はとても美しい花だったが、口らしき場所からジュクジュクとした塊が飛び出している。
 霊査士の言っていた事が本当なら、これがモンスターの痰。
 肉体的なダメージは大した事がないようだが、精神的な破壊力は計り知れない物らしい。
「服に臭いが染み付かなければ良いが……」
 鎧聖降臨を発動させながら、月を好む狼犬・ティア(a65500)が後ろに下がる。
 アビリティの効果によって鎧がローブ状に変化して、口と鼻を覆うようなマスクがついたのだが、それでも何処からか臭っているような錯覚に襲われた。
「根っこさえ抑えれば、怖いのは痰だけだが……。何があっても、死んでも食らいたくない。これだけは絶対避ける。……痰まみれとかありえないぞ」
 自分自身に言い聞かせる陽にしながら、バスマティがイリュージョンステップを発動させる。
 しかし、痰が雨のように降り注いできたため、心臓が飛び出るほどの恐怖感に包まれた。
 だからと言って攻撃を避けなければ、必ず痰を食らってしまう。
 そのため、反撃する余裕すら、いつの間にかなくなっている。
「花びらを1枚1枚落として、花占いみたいにお花を丸裸にしちゃうぞ〜〜っ!」
 すぐさま粘り蜘蛛糸を放ち、スージィがジリジリと間合いを詰めていく。
 次の瞬間、黄ばんだ痰が花から飛び出し、彼女の後元にネットリと広がっていった。
 それだけで身体を動かす事が出来なくなり、全身がカタカタと震えだした。
「ほ、ほがぁ……! なんという臭いじゃ……っ! しかも、この痰……、こんなモノを浴びたら、一生トラウマになりそうじゃのぉ……」
 チキンフォーメーションで巧みに避けながら、ハヤテが飛燕連撃を炸裂させる。
 だが、モンスターの本体を攻撃するたび、痰を浴びる可能性が高まっていくため、全身に鳥肌が立ち始めていた。
「こんなモンに怯んでちゃ、冒険者の名前が泣くよっ!」
 全身にモンスターの痰を浴びながら、メリルが本体にデストロイブレードを放つ。
 その姿を見て仲間達が感動し、次々と攻撃に加わった。
「うっ……、鼻がおかしくなりそうだ……」
 全身を単に浸食されていくような錯覚を受け、ティアが思わず口元を押さえる。
 鎧聖降臨の効果で口元はマスクでガードしているはずなのに、例えようのない嫌悪感が彼の心を支配した。
「もう少しだけ頑張ってくだい。本体さえ倒す事が出来れば、すべてが終わるはずです」
 痰の射程範囲から外れるようにしながら、ミスティがライトニングアローを放つ。
 モンスターを倒すまでもうしばらく掛かりそうだが、徐々に弱ってきているのは間違いなかった。

●モンスターの根
「……んにゃろ……トレ! シャウト!! ……って、逃げるななぁ〜ん」
 大粒の涙を浮かべながら、ジャニスがトレにツッコミを入れる。
 実際はモンスターの根に捕まって、彼女の方が連れ去られているだけだが、そこまで考える余裕がないため、逃げられてしまったと勘違いをしているらしい。
 その間にモンスターの根が絡みつき、ジリジリと彼女の身体を締め上げていく。
 そのせいで息をする事さえ難しくなっており、だんだん意識も遠のいていった。
「待ってろ! いま助ける!」
 ようやく彼女の所まで辿り着き、アキラがニードルスピアを放つ。
 その一撃を食らってモンスターの根が千切れ、辺りに生ゴミの臭いが漂った。
「……危ないところだったな。まぁ、無事では済まなかったようだが……」
 冗談混じりに微笑みながら、クロセルがジリジリと後ろに下がる。
 彼女の身体からは腐臭がオーラとなって漂っているため、迂闊に近づく事さえ出来なくなっていた。
「なんだかホントに嫌な相手だったわ」
 ホッとした表情を浮かべながら、カルネイヒが煙草に火をつける。
 しかし、辺りに異臭が漂っているせいで、煙草の味も不味かった……。

●モンスターの本体
「みんな、もう少しじゃゾイ!」
 仲間達を励ましながら、ハヤテが本体に飛燕連撃を放つ。
 そのたび、大量の痰を浴びているが、鼻がおかしくなっているせいか、まったく気にならなくなってきた。
 しかし、遠くで様子を見ている仲間達が加勢に来る事なく、生暖かい視線を送っているという事は、よほど臭っているのだろう。
 そのため、ハヤテは戦いが終わったら、仲間達にもお裾分け(主にジャニス)してやろうと心に誓った。
「ううっ……」
 右腕にベットリとこびりついた痰を見つめ、ティアが左腕を鼻に押し当てて悶絶する。
 本当なら、このまま逃げ出して風呂に入りたかったのだが、モンスターを放っておく訳にもいかないので我慢した。
 そのため、痰のこびりついた右手でヴォイドスクラッチを放ち、モンスターの花びらを散らす。
 だが、そこまでが限界だったらしく、あまりの臭さに気絶した。
「……やはり限界だったか。だが、俺はまだ倒れるわけにはいかない」
 顔にベットリとこびりついた痰を拭い、バスマティがホーミングアローを撃ち込んだ。
 その一撃を食らってモンスターが悲鳴をあげ、すべての根を戻して自分の身を守らせた。
「頑張って! 私の乙女根性っ!」
 今にも泣きそうな表情を浮かべ、スージィがブラッディエッジを放つ。
 既に両足が痰に埋まって動けなくなっているが、気にする事なくモンスターの根を切り裂いていく。
 そして、モンスターの本体めがけてトドメの一撃。
 一瞬、花畑の向こうで誰かが手招きしている光景が過ぎったが、何とかモンスターを倒す事が出来たようである。
 しかし、彼女の意識もそこで途切れてしまったため、ハッキリとした事は覚えていない。
「わ、私は何を……」
 ハッとした表情を浮かべ、メリルがダラリと汗を流す。
 どうやら彼女は途中から理性が吹っ飛び、戦闘マシーンと化していたらしい。
 そうしなければ今頃は臭いにやられて、あっちの世界に旅立っていた事だろう。
「とにかく戦いが終わったようですね。この様子じゃ、お風呂を貸してもらえませんから、何処か湖でも行きましょうか」
 臭いを消すため香草を焚きながら、ミスティが深い溜息を漏らす。
 何とかモンスターを倒す事には成功したが、物凄い置き土産を残していったため、村人達が帰ってくるのはしばらく先になりそうだ。
 そして、モンスターの根と戦った仲間達が近寄ってくるのも、それなりに時間が掛かりそうである。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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射通す白羽・ミスティ(a72785)  2009年12月16日 02時  通報
私にとっては初めての依頼です。
いろんな意味で印象的でした(主に臭いが)