≪密林の楽園Gパンポルナ≫ヒトノソリン漂流記



<オープニング>


 その日も、常夏らしい、いい天気だった。
 密林に引っ越してはや一年。『川方面』と呼ばれる道の先、密林を流れる川岸に腰を落ち着けた、ヒトノソリン集落。
 ご近所さんな彼らは、今日も護衛士らの整備した道を行ったり来たり、狩りへ向かったり、帰ってきたり。
 そんな彼らは、入り江と化してしまった海岸の岬の先、停泊する船のように浮かぶ『ロロサ跡』が、釣りに丁度いいと気付いて、この最近は代わる代わるにずっと入り浸っているのであった。

 ロロサを倒してからも、もう随分経つ。
 この殻も、一度は沖に流されそうになったが、護衛士らが浜に近いうちから縄や鎖で繋ぎ止める作業を行なったため、岸近くにぷかぷか浮かぶに留まっていた。結構な大きさの為、高さが拮抗している岬の先から飛び移るのが、一番楽な移動方。

 先日に来訪者があった時もそうであったが。
 内部はいつの間にか怪獣が入り込んでいたりして、少しばかり危険。穴があいた部分には柵が設けてあったり、危険を示す看板が立っていたりもする。
 なので、護衛士らはヒトノソリン達に『危ないから中に入らないように』と言い含め、ヒトノソリン達もその言いつけをちゃんと守って、殻の上の端の方から、釣り糸を垂らしている。
 そして、今日もまた、海産怪獣を釣り上げようと、釣り糸を垂らし、尻尾を揺らして待っていた。
 ……の、だが。
「沢山釣れたなぁ〜ん」
「今日も豊漁なぁ〜ん♪」
 うきうきと、釣り上げた魚や海老怪獣を、腹の上にほっぽり出すヒトノソリン達。
 その時ふと、殻を繋いでいる鎖や縄が、視界に映った。
「このロープぼろぼろなぁ〜ん」
「鎖もさびさびなぁ〜ん」
 縁から乗り出して見てみれば……海藻のこびり付いた縄には貝怪獣がへばりつき、鎖も腐食してすっかり色が変わっていた。
 そして、別の一人が、辺りの景色を見て言ったのだ。
「……動いてるなぁ〜ん?」

 その様子に、岸辺まで巡回に着ていた、星薙ギノ剣・ミズチ(a46091)は思わず叫んだ。
「ちょ、何かあったら教えなさいって言っただろー!」
 岬から叫んでるその姿に、ヒトノソリン達は。
「じゃあ何かあったから言うなぁ〜ん!」
「錆びた鎖が千ん切れてますなぁ〜ん」
「ロープも海藻と一緒に貝怪獣さんに食べられて千切れてますなぁ〜ん」
「というわけで流されてますなぁ〜ん」
「という訳で、じゃねぇー!?」
 言ってる間に、ヒトノソリン達を乗せたまま、ぐんぐん岬から離れて行くロロサ殻。
 折り悪く引き潮だったのか……殻が余りに大きい為、対比でそんなに動いてないように見えるが、その実結構な速さ。
 殻は十分見えるが、ヒトノソリン達が段々豆粒のように……!
「このまま沖まで行っちゃうなぁ〜ん?」
「もうかなり沖だぞお前らー!」
 その声も段々遠く……時間差が激しくなっていくのだった。

「……あれか、最近は海に旅立つのが流行かなぁ〜ん?」
 報告を受けた霊査士は、嘆息と一緒に煙を噴く。
 取り残されたヒトノソリンは五人。
 ロロサ殻との距離は……もう既に、数十メートル。行動を起こす頃には、数百メートル単位で沖に出ていることだろう。
「で、助けなきゃなンねぇ訳だが……追いつけっか、貴様ら? なぁ〜ん?」
 ワイルドファイアにある船といえば、精々漁に使うウレタン船か、いかだくらいしかない。冒険者パウアーということで、気合で漕げば何とかならないこともないかも知れないが……漕いでる間にも沖へ流れているので、きっと凄く時間がかかる。
「食い物の心配はねぇがな。幾らでも釣れるだろうし……時間かかっていい、っつーなら、必死こいて漕ぎまくンのでも構わねぇがなぁ〜ん」
 もっとも、その途中で海洋性の怪獣に襲われる可能性はあるが。
 どっちにしろ、海を通って帰ることになるので、怪獣に対処する方法はある程度考えておくべきだろう。
「一日じゃ無理、っつーなら、何回かに分けてもいいかンな。まァ、とにかく、なんとかして連れて帰って来いなぁ〜ん」


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参加者
毒林檎・ヘルガ(a00829)
衝撃の緑鱗・ズク(a07531)
暴れノソリン・タニア(a19371)
寒月の舞・エミス(a20226)
流れる白波と潮風に舞う・ハルト(a36576)
清浄なる茉莉花の風・エルノアーレ(a39852)
怪獣王使い・ラウル(a47393)
若緑樹へ寄り添う紫眼竜・シェルディン(a49340)
三賞太夫・ツァド(a51649)
樹霊・シフィル(a64372)


<リプレイ>

●漕ぎ出せ青春
 時間(とき)の流れと共に……ゆっくりと脆く儚くなってく……
 ここに……留められなくなった……つなぐものたち……
「……ってセンチしてる場合じゃな〜いっ」
 あせあせとグランスティードを繰り、寒月の舞・エミス(a20226)が向かうのは大樹。その上に住まう『ハル様』こと、猛禽怪獣・ハルパゴルニスへ助力を請う為だ。
 手早く大樹を登り、いつも通り太い枝に留まっている巨鳥へ、これまたいつも通りに魅了の歌で話し掛ける――

 ――遠く見える、ロロサ殻。
「……ああ、なんということでしょう。皆様、わたくしが颯爽と助けに参りますので、今暫くご辛抱くださいまし」
 届かない思いを告げる、清浄なる茉莉花の風・エルノアーレ(a39852)。
 衝撃の緑鱗・ズク(a07531)もウレタン船を繋ぎ合わせ、筏風の船を拵えていた。
「急がないと、ロロサ殻がどんどん沖に流されているぞ!」
「あ〜、離岸流とか言うのに捕まったか?」
 背伸びして海を見据える、流れる白波と潮風に舞う・ハルト(a36576)。
 沖まで行くと戻るとも聞くが、別の流れに捕まったりするのはまずい。
 皆と共にウレタンの木で筏船を製作しながら、一握の良識・シェルディン(a49340)はふと。
「一つ思うのですが、気付かなかったのでしょうか?」
「一度に色々な事があって目が届いていませんでした……」
 何たる失態。けれど、それは後。三賞太夫・ツァド(a51649)は大岩斬でウレタンの木を切り出し、素材を確保。
 まさに海難救助。でも、ほぼ海水浴なノリな気がしないでもないと、樹霊・シフィル(a64372)は思う。
 ……と、そこに、森の中から金色の輝き。
「ミスター到着だぜ!」
 全速力で戻ってきたのは、駆け抜ける疾風・ラウル(a47393)。後部には、毒林檎・ヘルガ(a00829)が相乗りしている。
「ハル様はエミス連れて直で行くってよ」
 そういって浜に下りる背中に……白地に黒い斑点模様の巨大昆虫がへばりついていた。
 護衛士らに『ミスター』と呼ばれているカブトムシ怪獣だ。
『これ、はこぶのか』
 ウレタン製の筏。うち一つには、帆柱と帆が――

 ――水泳なら任せろ! もう陸サーファーとは言わせないぜ!
 と、ズクが筏と共に海に漕ぎ出した頃。
「ふああ。おはようなぁ〜ん」
 暴れノソリン・タニア(a19371)が目を覚ます。
 ロロサ殻の中で!
「これはいったい、どうしたことなぁ〜ん」
 涼んで昼寝していたら、いつの間にか陸地が無くなってる。
 暇なので釣りをしっぱなしなヒトノソリン達に合流し、話を聞くこと暫し。
「……漂流したなぁ〜んね」
 ザッツライ。

●漕ぎ出した青春
「冒険者パワーをなめるなよ。そーれ! オーエス! オーエス!」
 言葉通りに漕ぎまくるズク。ハルトも力の限り漕ぎつつ、波の様子を窺う。
「同じ潮に乗っていけると楽なんだが」
 ロロサ殻のあった岬周辺を重点的に。ヘルガが遠眼鏡を覗いて、沖へ出る流れを探す。
「やっぱ離岸流だな」
 指し示された方向。エルノアーレは船に繋いだ縄を握ると、召喚したフワリンに騎乗し、自ら筏を牽引。当初はロロサ殻の破片を船代わりにするつもりだったが、荷物や自分が乗ると沈みかけた為、急遽ウレタンで補強した筏だ。
「……落ちたりしませんか?」
「水着を来てきましたから、大丈夫ですわ」
 縄を結びなおす手間には代えられないと答えるエルノアーレに、隣の筏船に乗るシェルディンは少し感心。何しろ泳げないものだから……保険にこっそりコートの裏にウレタンを縫い付けていたりする。
 一方で、帆付きの筏に乗ったシフィルは帆へ手を翳し……
 描かれた紋章から噴出す、無数の木の葉。
 打ち出された緑の突風は、帆にぶち当たり、それを見事に切り裂いた!
「……進んでくれませんわね」
 では、岸の方に向けて放ってみてはどうか?
 再び噴き出す、何十枚の木の葉と猛烈な風。
 風……
「……まあ、当然といえば当然ですわね」
 反作用での出航も見込めないと判ると、シフィルは潔くいつでもフワリンを行使、筏の牽引をさせる。
「岬の方に寄せてけー」
「ミスター、あの辺まで飛んでくれ」
 ヘルガの指示に、ラウルは魅了の歌を掛けなおすと、ミスターに牽引用ロープを握らせる。
『おれ、がんばる』
 ぶーん……低周波のような、昆虫独特の羽音が響き、すーっと動き出す筏。勿論、ラウル自身も櫂で水をかき、労力軽減に努める。
「効果切れに注意しないとな……」
 日頃から親睦を深めているとはいえ、怪獣は怪獣。魅了の歌の効果が切れれば、ただの怪獣に戻って、何処かに飛んで行ってしまうだろう。
「息を合わせて」
 手透きのヘルガが隣の筏から銅鑼を鳴らすリズムに合わせ、ツァドが同席の三人――ズク、ハルト、シェルディンに声を書ける。とにかく漕いで進む為、この筏だけ体職四人詰め合わせ状態だ。
 そして、そんな皆の頭上を、巨大な影が――

 ――密林はあっという間に過ぎ去って、見えてくるのは青々とした地平線。グランスティードがもし空を飛べたら、こんな風に景色が変わって行くのかな? そんな事をふと思う。
「空から見たら、こんな感じなんだね〜♪」
 エミスは今、武骨なハル様の脚に掴まれていた。
「ハルパゴルニスさまはすっごく遠くのことも見ることができちゃうんだよね☆ ここからヒトノソリンさん達も見えるのかな?」
『あの殻の上に乗っている者達か?』
 エミスにはまだ黒っぽいおわんにしか見えないのに。流石猛禽類。
 もっとも、数分後にはエミスにも現場の様子が判るようになるのだが。
「あれ、タニアさんがシェルハザードと戦ってるよ〜?」
 エミスはいつの間にと小首を傾げる。
 と思ったら既に狩り終わって、ヒトノソリン達の釣った魚と一緒に怪獣さんごはんになってくれて有難うの儀を執り行っていた。嬉しさの余り踊っているともいう。
 程なく、風の確認を終えたハル様が、エミスと共に殻の上へと舞い降りる。
「鳥怪獣なぁ〜ん!」
「ごはんにするなぁ〜ん?」
「でも誰か一緒にいるなぁ〜ん」
 口々に言うのを聞いてタニアは一緒に振り返ると、
「いつの間にか増えてるなぁ〜ん?」
 その増えたのが護衛士であると判り、ヒトノソリン達は一先ずハル様を捕食対象から外す。なんと言う狩猟精神。
「みんな無事かな? 痛いとことか元気ないとかないかな?」
 エミスに問われて、皆は元気そうに返事をしつつ、食事中の獲物を見せ。
「一緒に食べようなぁ〜ん」
『……困っていなさそうだが、よいのか』
「大らかなのが皆さんのいい所だよ☆」
 いいんだろうか。

●漕ぎ付いた青春
 どぼーん、どぼーん。
 筏の下に見える怪獣の影に、ヘルガが積んで来た食糧を投げ入れる。
「よーしいい子だ」
 餌に気を取られ置き去りにされる怪獣にひらひらと手を振りさようなら。隣の筏では、ハルトが牽制の紅蓮の雄叫びを海中へ放っている。
「都度都度で海に落ちてしまうのも難点ですわね」
 慌てず船に掴まり……牽引ロープを持ったまま、エルノアーレがツァド達の居る船へと這い上がる。ついて来ようとした不届きな怪獣には、シフィルが気高き銀狼を打ち込んで、動きを止めている間に通り過ぎる。
「こう騒がしいと、フワリンが中々出てくれなくて大変ですわ」
 そういう意味では、餌を投げ込むヘルガの策はかなり有効だった。潮の流れもあって、怪獣との遭遇回避率は上々。
「ヒトノソリン達が怪獣に襲われる前に救出しないと」
 ズクが遠眼鏡を覗き距離を測る。じわじわ横に動くロロサ殻……どうやら、別の流れに捕まったらしい。
「さて、ヒトノソさんは無事でしょうか」
 シェルディンが遠眼鏡で確認すると……
 ……なんだか、宴会っぽい。
 突っ込みは置いて、シェルディンは愛用の突撃槍に、ウェポン・オーバードライブ。
 出発前にロロサ殻の残骸で試すと、穴は空かずも一回で突き刺す事が出来た。あとは、チェインシュートで……
 ……思うその横で、先に放たれるチェインシュート。
「これで引き離されないか?」
 前方、突き刺さったのはズクの長剣。すぐに巻き戻り始める鎖……アレ?
「うわっ! うわぁぁぁ!」
「おや、ズクさん一番乗りですね」
「ロープ握ってって貰えば良かったな」
 そんな会話を交わしつつ、殻の方へ引き寄せられていくズクを見送る、ツァドとハルト。
 こうなるのは予想がついていたので、シェルディンは自分の尻尾と筏を縄で繋いでいる。
 そして、狙いを定め……射出!
 ラウルも櫂を漕ぐ手を止めると、縄を手に。
「ミスター、俺を殻の上まで運んでくれないか?」
『わかった』
 わきわきとラウルの背中に取り付くと、ミスターは再び翅を広げて一気に飛翔!
 ぺちっ。
 ちょっと着地に失敗しつつも、無事に辿り着いた二人に、エミスの手が差し伸べられる。
「うふふ、お疲れ様だよ〜♪」
 殻へ這い上がったシェルディンも尻尾に繋いだ縄を解き、遅れて登ってきたズクと協力して、筏を殻の側に引き寄せる。
 シフィル、エルノアーレもフワリンに乗って海面を渡ると、牽引の縄をハルトとツァドに預け、一緒に引っ張り込んで貰う。
 程なく到着する、四艘。
「ほらよー」
 ヘルガが縄梯子を投げ上げる。受け取り、殻の上に固定するラウル。
 一方、お腹一杯のヒトノソリン達と、食事の跡を片していたタニアは。
「これにメガドリルで穴を開けてロープを通し、それにみんなで乗ってハルパゴルニスに引っ張ってもらうのはどうなぁ〜ん」
 手にしていたのは、さっき美味しく頂いたシェルハザードの貝殻。大岩斬と、ウェポン・オーバードライブの鎧砕き、それぞれでロロサ殻を割って材料を確保していたツァドとラウルが、顔を見合わせる。
「……どうします?」
「どっちかいいだろ?」
「両方使えば宜しいと思いますわ」
 筏の側に残って作業していたエルノアーレはそう答えつつ、筏をばらしたウレタンと、積んで来たウレタンを殻の上にいる二人へ輸送する。それをロロサ殻に縄で固定、フロート代わりにすることでヒトノソリン達全員が乗り込める脱出用ボートを拵える。
「ちゃんと降りてくるんだぞ」
 ロロサ殻の縁から筏までダイブしてきそうなヒトノソリン達をたしなめ、縄梯子の下部を持って支えるハルト。
 ……俄に、海面に不穏な影。
「ちょっとだけお待ちくださいましね。食料を調達いたしますわ」
 降りようとするのを一旦止め、身構えるエルノアーレ。
 ここで餌を撒いても、逆に真下に沢山怪獣を誘き寄せるだけ。早々に片付けるのが賢明と、シフィルは素早く紋章を描き出す。
 迷いなく迅速に。水面下へ突撃する気高き銀狼。召喚獣の黒いガスは、通常より長く動きを止めてくれるだろう。
「さあ、どんどん乗り込め!」
 今のうちとばかり、ヒトノソリンを促すズク。
 ツァドは同じく乗り込んでくる護衛士らに鎧聖降臨を施し、船の縁の方に配置乗って貰う。
 ……それで丁度水着になったハルトは、突然、海へとダイブ!
「……何してるんです?」
「折角だから網でも仕掛けようかと」
 置物化して背に乗るグランスティードのマルガレーテと一緒に、網を手に軽やかに泳ぐ姿を、いいのでしょうか、といった表情で見つめるシェルディンであった。

●お帰り青春
 皆が船に乗り込んだのを確認すると、エミスはハル様へと再び魅了の歌。
「それじゃ、今度は陸までよろしくお願いしま〜すっ」
『承知した』
 深々とお辞儀するエミスの身体を、再び鋭い爪の生えた脚が鷲掴む。
 ……飛行中に効果が切れると面倒なので、牽引縄はエミスが持ち、そのエミスをハル様が抱えて飛ぶ算段だ。
 下降の勢いと、向かい風。瞬く間に上空へ舞い上がると共に、たるんでいた縄が徐々に張る。
 動き出した船の上からは、ヘルガが進路指示。
「最初は右に飛んでくれ、逆だとまた沖に流されちまうから」
 滑るように動き出す船。勿論、航行速度を上げる為、皆も息を合わせて漕ぎまくる。
 だが、それを追って……また別の怪獣らしき影が、船底を右往左往し始める。
 素早く、同乗のヒトノソリン達へ天使達を施すエルノアーレ。前方にも怪獣が出現したのか、
「邪魔しないで欲しいんだよ〜」
 と、エミスが海面に向かって粘り蜘蛛糸を投げ落としている。
 一方で。
「通り道の怪獣は、晩ごはんになってもらうのがいいなぁ〜ん」
 タニアは手にした怪獣用釣竿で、海中から接近してくる怪獣を……一本釣り!
 海面近くまで引っ張られたそこへ、シフィルがすかさずに気高き銀狼。そうして弱った所を引き揚げられ、びっちびっち跳ねてる魚怪獣。
 これは豊漁の予感。
「大きめに船を作って正解だったな」
 海面近くを追い縋る怪獣に紅蓮の雄叫びを浴びせつつ、ハルトは何か確信めいたものを感じる。絶対、麻痺して沈んでった奴が、全部網に掛かってる。
『……重くなって来た気がするのだが』
「怪獣沢山取れたら、ハル様のごはんも増えるなぁ〜ん」
『そうか、ならばよい』
「……ところで、一人足りなくありません?」
 言われて、皆ははっと振り返った。
 そして、ロロサ殻から呼ぶ声に気付く。
「まて! 俺が船に乗ってねー!!」
「……ミスター、ちょっと迎えに行ってくれるか?」
『わかった』
 ぶーんと、殻へ向け飛び立っていくミスター。
 なお、戻る途中で魅了の歌の効果が切れ、ズクはうっかり海に投げ出されたらしい。

「帰って来たなぁ〜ん」
「お世話掛けましたなぁ〜ん」
 岸に着いた船から飛び降りて、ヒトノソリン達は口々に礼を言う。
「みなさんが無事でよかったよ〜☆」
 笑顔で答えるエミス。
 その後、最後に皆でえーんやこらと網を引き……トロール漁法に上手いこと引っ掛ったズクと一緒に、沢山の魚や貝怪獣を手に入れる事が出来た。
 ハル様は上空からその様子を確認、ご馳走の約束だけすると、大樹へと飛び去って行った。
「うん、豊漁だ」
「浜焼きにしよーぜ!」
 満足げなハルトに、ラウルも貝怪獣を選り分ける……と、そこに、既に何か香ばしい匂いが!
「ちょっとだけならもう出来てるなぁ〜ん」
 揺れる炎の側で魚を焼いているのはタニア。
 一方。
「さて、お腹が減った事ですし山の幸でも如何でしょうか?」
 暫く海にいたのだから、陸地産の食材も恋しいだろう。そんなシェルディンの心遣いに、ヒトノソリン達は大層嬉しそうに尻尾を揺らす。
 程なくして始まる晩御飯。
 食事をしつつ、ヘルガはふと沖へ目をやり。
「あのままロロサの殻に乗って、何処まで流れて行くのか見てもみたかったな」
「いや、本当惜しい事をしてしまいましたよ」
 再会した時なんと言えばよいのやら。笑うヘルガと対照的に、ツァドは先日のお客様の顔を思い浮かべてちょっぴりセンチ。
 とかいいつつも、段々盛り上がってくる夕食。
「家に帰るまで、が遠足でございますわ」
 最後にしっかり釘を刺し、後片付けまでしっかりと見届ける、シフィルであった。


マスター:BOSS 紹介ページ
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