助けて! カボチャマン!! 〜春花繚乱! 花には嵐のさわりあり!〜



<オープニング>


●春花繚乱! 花には嵐のさわりあり!
 正義の使者・カボチャマン。
 カボチャマスクを被った正義の味方がフィーネの街に現れるようになってから――早二年超。
 フィーネの街に危機が訪れるたび何処からともなく数十人単位のカボチャマンが押し寄せて、怒涛の如く街を救って去っていく。その光景は最早フィーネの街の名物でもあった。
 だが、それでも街にはびこる悪が消え去ることはない。寧ろ近隣から押し寄せてくる始末。
 この春もまた、まるでそれがお約束であると言わんばかりに――フィーネの街に危機が訪れた。

 春の盛りを迎えたフィーネの街は花に満ちていた。
 街を流れる川のほとりには八重桜が咲き誇り、街の至るところに設えられた花壇には色とりどりのツツジが咲き乱れ、街路樹の根元や店の軒先、民家の窓辺には可愛らしいパンジーや可憐なプリムラが溢れんばかりに咲き零れているといった具合だ。気候の関係や何やらで今年は様々な花が機を併せたように一斉に満開を迎えたのである。これにはフィーネの人々も躍り上がって喜んだ。
 遊び好きな彼らの間で早速流行り始めたのが花冠作り。だが皆が好き放題に花冠を作りまくればすぐさま花が無くなってしまうということで、早々に『花冠作り管理委員会』が設置された。花粉症で療養中の町長に代わり管理委員長に就任したヨハン爺のもと、フィーネの人々は和やかに花冠作りを楽しむ春を謳歌していたのである。
 だが、春の大地に強い風が吹いたある日のこと。
 フィーネの街に、謎の花吹雪が吹き荒れた。
 桜吹雪だけならまだしも、吹雪の中には何故かプリムラやアリッサムやらが混じっている。カトレアやチューリップは花ごと飛んできたし、ツツジに至っては枝までついてきた。そして――
「ブラボー! 春といえばやはり花吹雪、そうは思わないかね諸君!!」
「これ程素晴らしい花吹雪が吹く街も中々ない! よってこの街は我ら『花吹雪愛好会』が頂いた!」
 花吹雪の中から、ナゾの集団が現れた。
「っていうか、おじちゃん達が花むしって花吹雪にしたんでしょー!?」
「おおっとバレちゃあしょうがない、喰らえ花吹雪の剣ー!!」
「剣じゃないよ桜の枝だよ! 勝手に桜の枝折っちゃダメなんだからーって、うわああああん!」
 速攻子供を泣かした『花吹雪愛好会』は街中に散り、至るところで花をむしりまくってちぎりまくって花吹雪を作りまくった。無論普通に咲いている花だけでは飽き足らず、街の人々が作った花冠も奪ってちぎって吹雪と成す。
「この花冠お代官様にあげるねー」
「おうおう、これはありがたいのう」
「その花冠、もらったああああー!!」
 街の広場で少女がヨハン爺に花冠を被せようとしていたところにも『花吹雪愛好会』が襲い掛かった。ちなみに『代理花冠作り管理委員長』を略して『だいかん』。当て字は気にしないのがお約束!
「――って、ごふぁっ!?」
 とか何とか言ってる間に花冠ごとヨハン爺が攫われた!
 花吹雪愛好会は花冠をちぎろうとしたのだが、少女が中に針金を仕込んでいた為それが叶わず、仕方なくヨハン爺ごと花冠を引きずっていったらしい。
「あ、あんた達なんかカボチャマンがやっつけてくれるんだからー!!」
「ふふふ、野暮ったいカボチャ如きが我らの華麗な剣捌きに敵うかな?」
「って言うか剣じゃなくて桜の枝じゃない!!」
 花吹雪に紛れ駆け去った花吹雪愛好会に敢然と突っ込みを入れ、少女は彼らを呼ぶ決意をした。
 正義の使者・カボチャマンを――!

●助けて! カボチャマン!!
『フィーネのまちに 花吹雪愛好会が やってきました
 花吹雪愛好会は まちの花や、みんなの花冠をちぎり 花吹雪を作って います
 そして くらえ花吹雪の剣ー! と言って
 かってに折った さくらのえだで おそいかかってきます
 お代官様も さらわれて 川ぞいの さくらの木に しばられて しまいました
 たすけて! カボチャマン!!
 花吹雪愛好会をやっつけて また へいわなフィーネのまちに もどしてください』

「……うちにこんな手紙が届いたんです」
 そう言って藍深き霊査士・テフィン(a90155)を訪ねてきたのは、毎度お馴染みの旅芸人一座の座長であった。カボチャマンとはこの一座の人気芝居の主人公。カボチャランタンを模したマスクを被った男が世にはびこる悪を斬る――つまり勧善懲悪モノのヒーローなのである。
 だが、一介の旅芸人一座にこんな妙ちきりんな集団の相手をさせるのも酷というものだ。
「わかりましたの。また冒険者様方にカボチャマンになって頂くよう、お願いしてきますの」
 神妙な顔つきで頷いて、霊査士は早速蜂蜜カボチャマンことハニーハンター・ボギー(a90182)を呼び寄せた。事の次第を聞いたボギーは「早速皆さんに声をかけてきますのです」と敬礼して席を立つ――が。
「……花吹雪の中から登場するって……何やかっこええやんね」
「ああっ! 敵を褒めちゃいけませんのですよ!?」
 ぽつりと零されたカボチャマン長官こと湖畔のマダム・アデイラ(a90274)の言葉に足を止めた。
 フィーネの街ではカボチャマンこそが一番かっこいい存在でなければならないのだ。
 何故なら彼らは、正義の使者なのだから――!


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参加者
NPC:ハニーハンター・ボギー(a90182)



<リプレイ>

●華麗なる花吹雪
 清々しく晴れ渡ったフィーネの空をお天道様が今日も行く。
 麗らかな陽気に満ちた街に吹き荒れるのは花吹雪、しかも悪党共が無残に引きちぎった花々の嵐とくれば捨て置けない!
「フィーネの街にまたしても悪が……俺が行かねば君が行く!」
「ってボギーですかー!」
 正義の使者・カボチャマンに扮したワスプは偶々顔を合わせたハニーハンター・ボギー(a90182)を引き連れて、花吹雪を振りまく花吹雪愛好会の背後で一気にミストフィールドを展開する!
「草花達の声なき叫びに応え、カボチャマン推参! 名前は絶賛募集中だー!!」
 霧に慄く悪党共を蜘蛛糸で引っ捕え、さり気なく宣伝を織り交ぜたワスプはカボチャマン登場に歓喜する街の人々をその場から遠ざけた。一網打尽にされた花吹雪愛好会の次なる運命は――?
「トラップフィールドでお仕置きだべぇ!」
「慈悲付きでもダメージアビリティはダメですよーって、ぎゃー!?」
「と言う訳で、カボチャマン・フェザーナースが可憐に上書きなぁ〜ん♪」
 虚空から現れたタライがごいんとボギーに激突した瞬間、カボチャマン・フェザーナースことフィーユが大地に輝く紋章陣で魔法の罠達を掻き消して、ついでに街路の向かいを指し示す。
「そーゆー技はあっちの悪役をメッする時に使うなぁ〜ん!」
「な、ち、違います、今日は悪役では……!」
 唐突に人々の注目を浴びて狼狽するのは、凱歌でボギーのたんこぶを癒してやっていた女神っぽい出で立ちのドリアッド女性。ふらりとよろめいた拍子に衣装の袂からぽろりと炭が零れ落ちる。
「あー! 消し炭の女神だー!」
「……!」
 子供達から上がる声に更にうろたえる女神。違う、違うのだ。今日ここにやって来た訳は――
「おほほほほほっ、花好きの女神様は花をいじめる悪党にお仕置きするために来たんですのよっ! 悪党共はこーんな感じでお仕置きなのですっ!」
 女神の背後から現れたリーナが花吹雪ならぬ紙吹雪を振りまけば、女神の紋章陣から光の雨が迸り、紙吹雪は瞬時に消し炭と化した。圧倒的武力を背景にリーナが花吹雪愛好会に降伏を迫る!
 ――はずだったのだが。
「こーなりたくなければ降参すると良いのです! って、あれ?」
「そんな、カボチャパワーを吸い取られてしまうなんて……!」
「はぅ……流石消し炭の女神、強いのです……!」
 何故か街路にはカボチャマン・シードことユリアとカボチャマンライトブルーことクゥが倒れていた。
 ピンチを演出したかった二人が偶々見かけた女神達のパフォーマンスを利用しただけなのだが、そうとは気づかぬ花吹雪愛好会達がこの光景に勢いづいて気勢を上げる。
「ブラボー! 女神達は我らの味方だー!」
「いやだから悪役じゃな」
「ライトブルー達を倒すとは……貴方達には念入りなお仕置きとお説教が必要のようですね!」
「ええー!?」
 陽光に煌くカボチャマン・ブレードを手に駆けるはカボチャマンパープルことラーズ。刃で挑みかかってきた彼に愛好会達が慌てて桜の枝を構えた瞬間、ラーズの手からは蜘蛛糸が噴出する!
「皆! 今の内に力を貸して……!」
 彼が鮮やかに悪党達を捕縛していく間に子供達からカボチャ饅頭を受け取って、カボチャパワーを補充したユリアが甦った。青空へと手を翳せば凛々しい外装を纏った弓が現れる!
「カボチャマン・シード、只今復活! どーん・おぶ・かぼちゃ! スプリングストーム!!」
 女神達と愛好会の真ん中で、春めかしい桃色の矢が炸裂した。

●優雅なる花吹雪
 正義のパワーが大通りを席巻している間にも、街の至るところで悪の花吹雪は舞っている。
 八重桜咲く川のほとりにも数多の花吹雪愛好会が陣取って、毟りまくった桜の花弁で怒涛の如き花吹雪を巻き起こしていた。だが、風に舞う桜の中にいきなり毒キノコが投げ入れられる!
「な、何奴!?」
「無粋な狼藉者達よ……今のお前達には美も粋もない、毒キノコの如く醜いだけ……!」
 木陰より現れたウピルナはマスクの下で薄く笑み、懐から取り出した毒キノコを天高く放り投げた。
「カボチャマンが魅せてくれよう、花の美を……!」
「おおっ!?」
 空に舞う毒キノコに薔薇の剣戟が炸裂し、鮮やかな薔薇の花が咲き誇る。突如として舞い乱れた薔薇に皆の視線が釘付けになった隙を突き、愛好会達の背後に新手のカボチャマンが現れた!
「と言う訳でぇ……悪い子には今の内にカボチャマン・チェリーがお仕置きなのですよぉ〜!」
 花を千切って作った花吹雪なんて偽物なのですよぉ〜とカボチャマン・チェリーことアスティナが蜘蛛糸を解き放つ。桜と薔薇が乱舞する中で蜘蛛糸は光の雨のように煌いて、これがカボチャマンの戦いですのねとニーナはうっとり息をついた。途切れぬ戦いの気配で召喚獣が隠せないのが気になったが、カボチャマン達は皆堂々と召喚獣を伴い戦っている。
 そう、フィーネの街にいる限り、召喚獣は『カボチャマンがハイパーモードになった証』なのだ!
「ならば遠慮は無用! 剣でオレに勝てると思うな!!」
「ぎゃー!?」
 戦闘モードに切り替わったニーナはカボチャマン・マーセナリーと化して、グランスティードを駆り新たに現れた愛好会達へと突撃する。正義の味方にはお日様の光が集まるんだよとホーリーライトを燈し、アテカも彼女の後を追っていった。
「アテカ、じゃなくてカボチャマン・フェアリー参上! お花、アテカの髪にも咲いてるけど、無理やり散らしても全然キレイじゃないんだから!!」
「カボチャマンベア〜も参上! 枝を折るような悪党はドリアッドにとっても敵なのだー!!」
 燦然と艶めくカボチャマスクからはみ出た二人の髪には確かに花が咲いている!
 アテカの光に照らし出された悪を蜘蛛糸で絡め取り、カボチャマンベア〜ことリッケは「この勝利をクマさんに捧げるよ!」と振り返る。だが木陰で寂しく膝を抱えるボギーの肩にクマはなかった。
「この街に来るとクマが消えるのは何故ですか……」
 桜積もる地面にボギーがのの字を書けば、唐突に吹いた突風が薄桃色の花弁を巻き上げる。
 花吹雪の中から逆光を背負って現れたのは――!?
「悪党共の振る舞い、このキング・オブ・カボチャの紋章にかけシュバルツとクマ君が許しはしない!」
「やっぱクマはそこですかー! ってか紋章って何!?」
 手っ取り早く紅蓮の雄叫びで悪を封じながら登場したカボチャマンシュバルツことシュウは、即座に入ったツッコミにも動じず白手袋を閃かす。そこには彼が夜なべして作った凛々しい南瓜の紋章が!
「ふっふっふ、実は既にこの紋章は長官公認……って長官どこ行ったの!?」
 お菓子で買収したはずの長官を探しシュウが辺りを見回した刹那、新たな桜吹雪が吹き荒ぶ。
「桜舞い散る春に黒魔女てるみー華麗に参上! 長官の身柄は私達が押さえちゃったんだから!」
「ごめーん、捕まってもうたんよ〜」
 桜吹雪と『この桜の花は後でスタッフにより洗浄、桜餡やリキュールに加工されます』と書かれた看板を背負い、黒魔女てるみーことテルミエールが現れた! 彼女の後ろには桜餡の葛饅頭で優雅にお茶、もとい、捕らえられて苦しみもがくアデイラの姿が!
「長官を狙う悪はカボチャマンシリアスが成敗してやる! 喰らえシリアス吹雪の舞ー!!」
 微妙に長官が楽しそうなのには気づかなかった振りをして、颯爽と現れたカボチャマンシリアスことセイガは速攻悪に斬りかかった。シリアスっぽく吹き荒れた花吹雪の中で、カボチャマン・ブレードの一撃を受けたテルミエールの看板がぱっくり割れる。
「私の看板がー! つ、次こそ決着をつけてやるんだからー!!」

●絢爛たる花吹雪
 街を吹き抜ける風には花が舞う。春の吹雪を成す桜の花弁に混じって飛んできた見事な百合を片手でぱしりと受け止めて、桜の梢に光を背負ったカボチャマンが現れた。
「な、何者だ!?」
「……貴様らに名乗る名前は無い!」
 何て言いつつ「カボチャマン・フォックステイル参上!」と飛び降りて、アルムは花吹雪愛好会が「喰らえ花吹雪の剣ー!」と振るった桜の枝をカボチャマン・ブレードで受け止めた。そのまま刃を返せば宙に舞った桜の枝の周囲に鮮やかな薔薇が咲き誇る!
 桜と薔薇が街に舞った、その時、花の彼方から新たなカボチャマンが現れた。
「フィーネに輝く正義の心……花より他に知るものもなし!」
「願わくは花のもとにて春に逝け! カボチャマン・リターンズ、参上!!」
 軽やかにステップと踏み台を踏んでポーズを決めたクリスとマーガレットは、舞い散る花々を蜘蛛糸で絡め取り、問答無用で襲い掛かってきた愛好会達の桜の枝を手にした刃で切り刻む。ついでに武器の柄で腹に一撃を入れて悶絶させた。
「肺の中の悪い空気、全部出たでしょ?」
「悪い空気が出たら、春の風を思いっきり吸い込んで改心すんだぞっ」
「く、くそ……!」
 涙目でげほげほと咽せた愛好会は新たな武器を手にせんと桜の木へ手を伸ばす。
 だが当然、正義の使者は悪の動きを見逃さない!
「カボチャマン・グリーン、推して参る!」
 民家の屋根で待機していたカボチャマン・グリーンことアリュナスが桜と愛好会の間に飛び降りて、南瓜柄の傘を勢いよく開いて悪を弾き飛ばした。吹っ飛んだところに傘の柄を引っ掛け転ばせて、更には紅蓮の雄叫びで押さえ込むことも忘れない。
「また会おう、さらばだ!」
 辺りの悪をひとしきり退治したところで、彼はその場を立ち去った。
 しかし、フィーネの街には再び悪の花吹雪が吹き荒ぶ。
 ざあと音を立てて桜の花弁が舞い、人々の視界を覆ったところで街に悪の笑声が響き渡った。
 ばさりと翻した漆黒のマントで桜吹雪を掻き分けて、トウナス仮面ことノリソンが現れ、
「くっくっく……今日こそは、その南瓜頭を潰してやるでござ」
「ってかまだ実も成ってない花を毟るたぁどーゆー料簡だゴラァ!」
 た瞬間、正面から吶喊して来たカボチャマン・シャオの頭突きを喰らって吹っ飛んだ!
 猛獣の如くぐるると唸るシャオを押さえつつオランジュが「桜の枝折るなんて、何て事してくれるんですか!」と本気で決めれば、彼の手を振り払ったシャオが再び悪に突っ込んでいく。どうやら彼女には毟られた桜が桜ドリアッドな相棒に見えているようないないような。
「ってな訳で! 花を毟るなんざカンベンならねぇぞ!」
「え。拙者は落ちてる桜を集めて使」
「そんなに毟りたいならお前の服を剥いでくれるわー!」
「な、違! ちょっと待つで……へぶしっ! 話せばわかげふぁぁぁっ!」
 哀れトウナス仮面は怒り狂ったシャオにぼこぼこにされ、あっと言う間に見るも無残な状態に。
「こ、今回は拙者の負けでござる。だが次こそはべふうっ!? って台詞の途中でござがはぁっ!」
「も、もういいですから早く逃げてー!」
 見かねたオランジュが必死でシャオを羽交い絞めにし、ずたぼろになったトウナス仮面をやっとのことで逃がしてやった。
 正義の使者が数多の悪を捕らえ放逐し、漸くフィーネの街に平和が戻ったのである。

●永遠なれ花吹雪
 平和を取り戻した街では、一人のカボチャマンが千切られた花をを丁寧に拾い集め、子供達と花冠作りに勤しんでいた。折角のお花ですからねとマスクの下で微笑む彼の名はマサキ。彼はちょっぴり歪ながらも可愛らしい花冠を編み上げて、プレゼントですよと目の前の子供に差し出した。
 が! そこには婚姻届を握りしめた少女の姿が!
「素敵……これが私達の婚約指輪なのね!」
「この桜の薄紅色が私に伝えている! お代官様はまだ救出されていないと!!」
「ってそんな! まだ終わってないんですかー!!」
 速攻踵を返して逃げ去るマサキの背中を見送りながら、物陰に潜んで最後の最後に現れてトリを飾ろうと目論んでいたルリアが悲痛な声を上げた。カボチャマン達の活躍は即興で織り成される物語、そのフィナーレの瞬間を見極めるのは非常に困難なことなのだ!
 まるでその瞬間を見計らったかのように、街のあちこちで花吹雪愛好会が息を吹き返す。
「と言う訳で! 喰らえ花吹雪の剣ー!!」
 愛好会達は桜の枝を振り翳して人々に襲い掛かったが、悪の蔓延る所に正義あり!
「フ、そこまでにしてもらおうか。悪党諸君」
 桜の梢に現れたアーチライトが春の陽射しにカボチャマン・ブレードの刃を煌かせる。
「枝を折り無理矢理散らし、あまつさえ人々の花をも奪うなど言語道断! 南瓜宙心剣継承者、カボチャマン・パンプキン、推参!」
 名乗りと同時に桜の木から飛び降りて、鮮烈な疾風の如くに敵の中を駆け抜ける!
「南瓜宙心剣、必殺! パンプキン・πの字斬りぃっ!」
「くそ! お、覚えてろ!!」
 正義の心と共に炸裂した必殺技に恐れをなして、即座に身を翻した愛好会達が逃げようとする。
 だが当然、ここで終わるカボチャマンではない!
「花吹雪狩りの男・カボチャマン参上! 草花を傷つけ、自然の理をねじ曲げて偽りの花吹雪を降らす者は、このカボチャマンが逃がしません!」
「畜生! やっちまえー!!」
 花吹雪狩りのアスティアが彼らの行く手に立ち塞がれば、破れかぶれになった愛好会達は一斉に彼女へ躍りかかった。しかしアスティアは彼らの攻撃をあっさりいなし、次々と足払いを喰らわせその喉元に剣先を突きつける。
「貴方達の剣戟も花吹雪も、見せかけの美しさでしかありません。神妙にお縄につきなさい!」
 悪党共の気が逸れた隙を突き、ナタクはお代官様が縛られた桜の木へこっそり近寄った。途中で移動させられたらしく見つけ出すのに手間取ってしまったが、漸く今、彼を救出することができる。
 ――と思いきや。
「はーっはっはっは!」
 何と、お代官様が縛られている桜の木が突然偉そうに笑い始めた!
 よく見たらこの桜、桜色のアフロを被って樹皮を模したマントで身を包み、桜の枝を両手に構えたグレッグストンではないか!
「流石のカボチャマンも俺の変装は見抜けんかったようやな! これぞ『桜に擬装し近づいてきたカボチャマンを仕留める』っちゅー完全無欠の作戦や!」
「じゃ、綺麗に散らしてあげるからかかっておいで!」
「え」
 己の作戦を暴露したグレッグストンにナタクがにっこり微笑みかける。
 が!
 変装が完璧すぎてお代官様を縛り付けられてしまった為、グレッグストンは身動きが取れない!
「しまった! こんなことでやられるわけにはいかん! 何せ俺は黒衣の怪人ミスター・グレッグこと、花吹雪愛好会会長代理補佐心得見ならぐはああぁぁあっ!!」
 名乗りの間にお代官様を救い出したナタクが華麗にグレッグストンを吹っ飛ばす。
 黒衣の怪人ミスター・グレッグは、春の空できらりと星の如く輝いた。

 ありがとう! カボチャマン!
 真の平和を取り戻してくれた君達のことを、フィーネの人々は決して忘れない!!


マスター:藍鳶カナン 紹介ページ
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双天牙・マサキ(a21623)  2010年06月30日 22時  通報
花冠って婚約指輪になるのでしょうか……
いや、本人の思い次第でしょうが