【お姉さま天獄】春の頂上対決! お姉さまvsグルメども



<オープニング>


 いま、二つの物語が衝突し混じり合い、新たなる局面を生む……!
 お姉さまとグルメども! グルメどもとお姉さま!
 戦いの時が来た! 混沌の時が来た!? 見よ、聞け、味わうがいい! これぞ二大潮流のクロスオーバーである! 
「つまり、一粒で二度おいしいということですかアイさん?」
「つまり、って、ものすごく唐突だな、プルミー」
「それが嬉しいプルミエールなのだった」
「何を自分でナレーションしているのだか……」
 アイは額を抑えた。あいかわらずプルミーはわけがわからない。

●いちごじゃないのよ、へびいちご。そしてウクレレはっぽうワイン
 集まった冒険者たちを前に、葵桂の霊査士・アイ(a90289)は困難な話を紹介している。
 なんとも奇怪なペア怪物が出現したのだという。しかも、それがほぼ同時に二カ所に!
「ある小高い山がある。その麓付近に妙な怪物コンビが姿を見せている。しかも東と西、山を挟んで二カ所に出ているという」
 つまりモンスターのタッグチームが二カ所同時発生したというわけだ。ここに集まってもらったメンバーには、そのうち西側の討伐を依頼したいとアイはいった。
「一体は、諸君のうち多くは何度か戦ったことがあるタイプの敵だ。女性型で、見た目は麗しいが凶暴、つまり」
「『お姉さま』ですね!」
 すかさず、はじまりは・プルミエール(a90091)がいう。その通り、どこかで見たようなタイプの敵だ。
「だが、もう一体は、諸君の多くは初体験なのではないだろうか。食材をテーマにした怪物のようだな。こういう手合いと何度か戦ったメンバーからは、『グルメども』とか呼ばれている」
「グルメグルメ、楽しみですよん♪」
 プルミーはワクワクと先をせがんだ。
「まず『お姉さま』のほうではあるが……なんというか……温かくなってきたからか、半裸だ」
「もひょー」
 プルミーのオッサンリアクションは無視してつづきを聞こう。
「ピラピラした薄い羽衣のようなものを着ている。で、この薄衣が、やたらめったらユサユサと揺れてきわどいところが見えそうになるそうだ……こういうの、以前もいたな」
 髪の色は薄いピンク色。きりっとした目つきらしい。出るところは出て締まるところは締まった躰つきなのも、たまらない人にはたまらないだろう。
「主な攻撃は強烈な平手打ちだ。また、中距離から遠距離の相手にはコルク栓を投げてくることもある」
「コルク栓?」
 それはもう一体の敵に装着されているものらしい。
「もう一体の怪物、いわゆる『グルメ』モンスターは、巨大で透明なワインボトル型だ。ただのワインではなく、白の発泡ワイン、すなわちスパークリングワインというやつだな。生意気にも高級銘柄の『レシャール』を模しているそうだぞ」
 この怪物、ただのワインボトルならいいのだが、もちろんそんなことはない。凄まじく鍛えられたマッチョな四本の腕と二本の足を生やしており、強健な脚力で跳ね回り踊り狂う。
「……冗談みたいだろう。だが冗談ではないのだよ」
 腕のうち二本は、その腕に似合う巨大ウクレレを手にしている。これで軽快な音楽をかき鳴らしつづけているというのだ。残る二本の腕は拳ふるうのに使うが、タッグパートナーの『お姉さま』を持ち上げて肩口に乗せたり、合わせた状態で『お姉さま』のジャンプ台を作ったりもする。
「しかも、ワインボトル怪物は上部のコルク栓を定期的に再生産している。原理は不明だが一度コルクを外して捨てると、気泡が固まってまた新しいコルクができるようだ」
 このコルクは自動的に落ちる。これを『お姉さま』は拾って投げるのだ。『お姉さま』に投られるとコルク栓は空中で破裂し、四方八方に被害を与えるらしい。あまり愉快な話ではない。
「このコンビネーションをつき崩さないと勝利は難しいだろう。プルミーならどう攻めるかな?」
「えーと、お姉さまの胸元を覗きます☆」
「こんな子ですまん……」
 思わず他の参加者に頭を下げるアイなのであった。
「ところでー」
 むふふ、と微笑しつつプルミエールは問う。
「この場所って、野生のフルーツとか実っていませんか」
「そういえば……大したものがないようだな。せいぜい、ヘビイチゴ大量になっているくらいか」
「ヘビさんのいちご!? それって美味しいですか」
「見た目が苺っぽいだけでほとんど味がせんよ」
「ぶー」

 何の因果かこの組み合わせ、セクシー「お姉さま」怪物と、マッチョな「グルメ」怪物のコンビ!
 一見凸凹なれど、この連係攻撃はすぐにでも対策を講じなければ危険だ。敵が高度なチームワークを見せてくるのなら、こちらはそれを上回るチームワークを見せるまで!
 「お姉さま」退治で培ってきた実力、グルメどもにもしかと見せてやるのだ!


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参加者
碧風の翼・レン(a25007)
嵐を呼ぶ蒼き雨・レイニー(a35909)
月の姫を抱く者・ミレイラル(a43722)
黒百合の魔女・リリム(a50830)
手のひらの鼓動・アールコート(a57343)
荘厳な・オペラ(a60053)
青雪の狂花・ローザマリア(a60096)
槍を持って進む者・ベディヴィア(a63439)
銀之刀匠・クオン(a65674)
全力狂想曲・ティム(a71002)
NPC:はじまりは・プルミエール(a90091)



<リプレイ>

●高級銘柄じゃ! 全部妾のものじゃ〜!
 薫風にマントがはためく。唯のマントではない。それは千紫万紅・ミレイラル(a43722)のダークネスクロークだ。クロークが姿を見せたということは、戦闘開始が近いということだ。
 ミレイラルの装いは、枇杷のお姉様より入手したリボン付衣装である。
「今回は異種怪物とのタッグ……コンビネーションには注意ですね〜」
 と声をかけられ、全自動遭難坊主・ティム(a71002)は一瞬背筋を寒くした。
「あ、うん、そうだね……」
 平静を装って返事はするものの、ティムにとってリボン付衣装はある恐怖の記憶に直結していた。
(「ひーん、この前はミレイラルたちとの鬼ごっこで死ぬかと思ったよ! スカートめくりぐらいで武器振り回して追いかけ回すの反則だよぅ」)
 これがその恐怖の記憶だ。悪鬼羅刹さながらに追ってくる彼女達の姿を、その後ティムは何度か悪夢に見た。いつの間にか思考が言葉になっている。
「これじゃもうどっちが『お姉さま』怪物だかわから……」
「ど、どうかしましたか?」
 黒百合の魔女・リリム(a50830)が不思議そうな顔をしたので、ティムはゲホゲホと咳きこんでごまかす。なぜってリリムもリボン付制服姿だったからだ。
 リリムは目をぱちくりとして東の方向を見た。山の裾野が広がっていた。
「ぁ、あの山の向こう側で、アンジェちゃんが頑張ってます。ぉ、お姉ちゃんとして、ま、負けられません」
 現在、リリムの妹のアンジェリカも似た状況にいるのだ。夏蜜柑のお姉さま&伊勢エビ怪物と対面している頃だろう。
 はじまりは・プルミエール(a90091)は嬉しそうな様子で武器のグリップを確かめている。
「お姉さまとグルメ〜♪ わくわくっ」
 プルミーは、槍を持って進む者・ベディヴィア(a63439)の姿をチラリと見て、
「ベディヴィアさんにもわくわく〜♪」
 などという。
「はわわ〜、なぜわくわくしてるんですか〜! こ、こんな姿で依頼を受ける事になるなんて……スカートが捲くれるのだけは……勘弁して欲しいです」
 本日三人目の『お姉さま』コス、それがベディヴィアだ。その装いは、前回戦ったレモンライムお姉さまズのチアリーダー衣装である。だが問題があった。それは、いくら可愛いといってもベディヴィアが男の子だということだ。(スカートの中は禁則事項らしい)
「……男の僕に何も期待しないで……欲しいのです」
 ベディヴィアは潤んだ瞳でプルミーを見上げた。
 銀の刀匠・クオン(a65674)が足を止めた。
「来ましたね」
 蛇苺の茂みをかきわけて、敵チームが出現したのだ。
 黒い髪を切り揃え、腰に刀を提げたクオン。今回もクオンは黒いゴシックロリータ衣装、すなわち蜜柑のお姉さまの装束である。息を呑むほどに美しい。
「ぽよんぽよん、来ましたねん、クオンさん」
 荘厳な・オペラ(a60053)は、今日もマイペースほわほわ口調だ。
「今回はお姉さまだけじゃないんですねん。面倒ですな」
 と素敵に言い放ち、オペラは敵の姿に感想を述べる。
「ワインボトルは本当にマッチョなんですねん。ボトルからもすらっとした美脚が伸びてればいいのにー」
「美脚ワインボトル……?」
 手のひらの鼓動・アールコート(a57343)はオペラのいう姿を想像した。……怖くなった。
「それじゃ、今日も白衣の天使、いきますっ♪」
 気を取り直しアールコートは護りの天使達を召喚する。
「エンジェルさんおいでませ☆」
 今日の敵は混合チーム、これまでとはいささか勝手が違うが、アールコートは自身の役割を熟知している。
 凸凹コンビが迫り来る。『美女と珍獣』とでも題しようか。
 前面に立つはお姉さま、きわどく薄い羽衣を着ている。
 その背後を守るはワインのボトル、ただし、ムキムキな腕と足が生えたボトルだ。しかも腕は四本、ウクレレまで持っている! オーマイガー!
 ふっふっふ、と含み笑いが聞こえた。
「高級銘柄じゃ! 高級銘柄じゃ!」
 スティードの背に揺られ、ぽくぽくと蹄の音も軽やかに弾むようにギャロップ。嵐を呼ぶ蒼き雨・レイニー(a35909)である。
「全部妾のものじゃ〜!」
 本日のレイニーは最大の上機嫌だった。どうやらワインボトルに描かれている『レシャール』のエンブレムがいたくお気に召した様子。しかし六歳児のレイニーよ、それは酒だぞ……。
 碧風の紡ぎ手・レン(a25007)は指摘したいがやめておく。レイニーにはもうちょっと上手い言いきかせかたがあるはずだ。レンは背のリュックサックを下ろした。ここには大事なものが入っているのだ。戦闘のどさくさで破損しないよう気をつけねば。
「小高い山だから寒いと思ったけど――もう初夏だし流石に暑いわね」
 青雪の狂花・ローザマリア(a60096)が身を乗り出した。彼女は純白のYシャツを着ている。
「ほよ?」
 プルミーは目を丸くした。だしぬけにローザマリアがシャツのボタンを外し始めたのである! なぜ脱ぐ!?
 
●いわゆる眼福ですな?
 ボタンを外すとシャツの下から、素肌にオーバーオールというコスチュームがむきだしとなった。なんという露出! メロンのお姉さまの服である! しかも本日は、前をはだけたYシャツとのコーディネイトだ!
 一同がそれを認識したとき、既にローザマリアは地を駆けていた。
「青雪の狂花ローザマリア――またの名を二代目メロンのお姉さま! 人の世に邪悪を成す闇の住人ども、赦さんかいねっ」
 宣言して初手、ぶちかますは破鎧掌!
 不意をつかれた蛇苺お姉さまは、なすすべもなく吹き飛ばされた!
 ローザマリアが開けた突破口に次々と冒険者が飛びこむ。瓶男とお姉さまを隔てるように。
 レンは跳んだ。まるで疾風、前転して瓶怪物の進路を塞ぐ。
「レイニー、自分が瓶にヒビ入れるから、狙って!」
 その瞬間虚空より巨大な手が、瓶の背中を打ち据えた。勢い強烈、瓶は傾ぐ! レンの放ちしヴォイドスクラッチだ! 
「レンよ天晴れ、妾のために煤払いを務めたな」
 幸福にそう解釈しつつ、レイニーたちまちレンに応じ、自身の背ほどある巨大剣を振りかざす。
「瓶男よ、今日の妾は機嫌が良いゆえ苦しまずに仕留めてやるのじゃ」
 発するは豪剣、呼ぶは嵐のレイジングサイクロン!
 オペラはむっちりと、お姉さま側の後衛位置に入りこみ、
「合流はさせませんよん」
 いいながら緑の突風、立ち上がったお姉さまを再度転ばす。そのときブワッと羽衣がめくれ、お姉さまの隠された場所が一瞬さらされた。オペラは眼鏡を光らせた。
「いわゆる眼福ですな」
「え、何がですか?」
 プルミエールが訊いたときにはすでに眼福タイム終了。
 ティムは現状にはいささか不満があるようだ。
「めくる前からちらちらかぁ。上質を知る僕としては、もっとこう別のアプローチが欲しいよね!」
 要するに、最初からえっちくさい敵は味わいに欠けるというティムの主張なのである。山の向こうの貞淑なお姉さまのほうが良かったかもしれない? 高らかな凱歌を歌いティムは味方を鼓舞する。
 山の東側にも届けと、ミレイラルは愉快痛快に宣誓だ!
「今週のびっくりどっきりラス〜♪ やっぱりお約束は大事にしないと?」 
 お姉さまとのバトルではもうすっかりおなじみ(?)、『νラス』と書かれた紙の貼られた土塊の下僕の登場である。土塊ラスは密命を帯びて行動を開始した。
 作戦のバランスが良いゆえか、敵はなかなか反撃できない。それでも蛇苺のお姉さまはつかみかかった。大振り必殺平手打ち! だがそれをクオンは音もなく躱している。
(「出来る事なら、夏蜜柑のお姉さまとも仕合いたかった……」)
 その想い込めクオン、抜き身も見せぬ一刀、
「――不潔ッ!!」
 黒髪ひとすじ、クオンの唇にかかった。ざくと斬撃吹き上がる。
 戦闘を彩る音がやけに暢気なのは気のせいではない。ボトル怪物のウクレレが鳴り響いているからだ。どうやらこの音色には怪物タッグの傷を回復させる力があるらしい。それと察したリリムは拘束すべく動く。
「ぉ、お願い! と、止まって〜〜!」
 愛らしいリリムなれど身から放射する鎖は奸邪の色彩。暗黒縛鎖、ボトル怪物を締めるが縛るには失敗している。反動で硬直するリリムの身に、ティムの歌が降りてくる。
 ボトル怪物の反撃は強烈だ。いたいけなベディヴィアを殴りつける。 
 あうっ、と色っぽい声をあげてベディヴィアは地に叩きつけられた。スカートがまくれる。白い太腿があらわになる。
「えっち〜のはダメです……見ちゃダメなのですよ……」
 ダメージはもちろん、自分の倒錯的な姿態が気になってしまうベディヴィアだ。
 ベディヴィアにいくらか余裕があるのは、護りの天使がいてくれるから。そしてアールコートが癒してくれるから!
「はぅ、可愛い☆……じゃなくて、えと、怪我、治します〜☆」
 女の子以上に女の子っぽいベディヴィアにどぎまぎしつつ、アールコートはヒーリングウェーブで応援するのだ。

●……お覚悟を
 戦いは冒険者優勢のまま続いた。二大怪物も奮戦するが、いかんせん連携が崩れたままであり、いくら体力を回復しようがジリ貧となる。一方で冒険者側は布陣が乱れかけても、ティムやリリムがその保全に努めているのですぐに持ち直していた。実力もさることながら、今回は作戦で上回ったといっていい。
 ひっきりなしにコルクが現れては落ちる。ボトル男がどんどん製造しているのだ。しかしこれがお姉さまに届くことはなかった。
「νラスは伊達じゃない!」
 ミレイラルがいうように、コルクはすべて土塊の下僕が拾い冒険者の足元に積んでいるのだ。
 ところがアクシンデント発生、
「あっ!」
 プルミーが止めようとしたが及ばず、遠くに落ちたコルクを下僕が掴んだ瞬間、その下僕ごとお姉さまがこれをキャッチした!
 だが!
「枇杷のお姉様、力を貸してください!」
 ミレイラルが土塊の下僕に抱きつき、お姉さまがこれを投擲するのを阻害する。
 放せ。
 放さじ。
 二人の女が、ひとつのコルク(と下僕)を奪い合うような格好となった。
 一対一であればミレイラルは危なかっただろう。しかし彼女には仲間がいる!
「――何の因果か巡り巡って、今じゃメロンのお姉さま。哂いたければ哂うがいいわ」
 お姉さまは吹き飛んでいた。声の主……ローザマリアが破鎧掌を炸裂させたのだ!
「けどね、あんたらみたいに魂までは薄汚れちゃいなわよっ」
 びっ、とローザマリアがお姉さまを指さす。コルクは無事、味方陣営に残った。土塊の下僕の下半身も。
 ……ん、下半身?
「νラスさ〜ん!」
 プルミーが叫ぶ。土塊の下僕はブッチリちぎれ、上半身だけお姉さまと一緒に飛んでいったのだった。
「……お覚悟を、蛇苺のお姉さま……」
 クオンがお姉さまを袈裟懸けにする。よろめきなら蛇苺は合流しようとするも、ここにリリムがさらなる吹き飛ばし
「ぇ、えい! 吹き飛んじゃ……って、ス、スカートが〜〜」
 スカート押さえつつもリリムはきっちり役目を果たした。
「やはりチラリはあれくらいじゃないと」
 ティムは満足げにうなずきつつ、呼んでおいた下僕二体に腕を組ませる。
「ジャンプ台を作ったよ! プルミー、お姉さまの胸元をのぞきにいくための足場にしてっ!」
「アイアイサー!」
 プルミーが飛んだ! これに合わせ、
「プルミぃー、一気に片付けるわよ!」
 ローザもサンダークラッシュを飛ばす。プルミーも上空から(お姉さまの胸元をのぞきながら?)サンダークラッシュ!
 雷撃! 雷撃! そこにオペラがとどめのエンブレムシャワーだ。
「光に包まれてさよならですよん」
 破裂音を残し、衣装以外のすべてがミルク状となってお姉さまは滅びた。
 ボトル怪物も追いつめられている!
「さあ、高級品を妾に献上するがよい!」
 ずっと上機嫌なレイニー、大剣を叩きつけると、
「ヒビが大きくなってきたよね。もう少し!」
 レンはさらにヴォイドスクラッチを決める。ボトル怪物もよくやってはいたが、圧倒するほどの格闘技量は持ち合わせていないようだ。
「あの瓶さん倒したら……中身がぶち撒かれないですかね」
 心配しつつもベディヴィアが、兜割りにて大激震! ボトルのマッチョ右腕が両方砕け、ウクレレが落ちて粉々になった。 
「それでは僭越ながら私が」
 手を水平に構えミレイラル、ブラッディエッジにて一気に振り抜く!
「ちょっぷくびちょんぱ!」
 ちょんぱ! 綺麗にクリティカル攻撃が決まった。
「お見事☆」
 アールコートは喝采する。
 ごとりと音を立ててボトルは横倒しになり、どくどくと発砲ワインを地に吸わせた。
 
●『プリンセスレシャール』だよ
 一同は戦場跡にレジャーシートを拡げている。
「……帰る前に、一休みをしましょう……」
 ゴス姿も甲斐甲斐しく、クオンが籠を取り出す。中身はバタールと白黴のチーズ、それと紅茶。良い香りだ。
 プルミーもニコニコして、
「私もいいもの持ってきましたよ〜」
 と取り出したるは、発砲ワイン『レシャール』のボトルだ。
 レイニーはグっ、とグラスを出して、
「うむ、よう持ってきた。妾に注ぐがよい」
 わくわくとワインを待つ。しかし……六歳だぞ!?
 レンはそれを予期しており、用意してきたリュックサックを開ける。
「ほら、こっちはレイニーが飲んでも大丈夫……というか、『レシャール』の三倍くらい高級なサイダー……じゃなくて最高級銘柄の『プリンセスレシャール』だよ」
 この名称はレンが咄嗟に思いついたもので、実際は無害なお子様むけ炭酸飲料なのだが、
「それこそ妾にふさわしい! 他の者は普通のレシャールか茶にするように」
 レイニーはすっかり乗せられ、満足げにこれを飲んでいた。カレー味がないのが残念である(?)。
「じゃあ僕も『プリンセスレシャール』にしようっと」
 ティムは事情を察していたが、レイニーに合わせてこういっておく。
 アールコートもワインは飲めない年齢だ。しかし紅茶と、レン持参の苺大福を満喫している。
「はぅ、グルメども討伐隊のみなさんは、いつもこんなご馳走を頂いているんでしょうか☆」
 んなことはない、という声が風に乗って聞こえてきたような気のせいのような。
「と、ところで衣装、ど、どうしましょう?」
 リリムが問うた。お姉さまの羽衣である。
 ローザマリアがベディヴィアに意味ありげに視線を送ると、
「ぼ、僕の精神力はもう0なのですよ……」
 少年は子鹿のような目でふるふると慈悲を請うのだ。
 これを見て、オペラはどことなく残念そうに
「嫌がってるのに無理矢理着せるのもなんだしねーん」
 と肩をすくめた。
「ではでは、くびちょんぱ記念ということで」
 オペラはうにょん、とミレイラルの両肩に手を乗せる。ミレイラルは「え?」とオペラを見上げた。
 くびちょんぱ記念ということで。

 かくて戦いは終わった。山の東側はどうなっただろうか?
 今回は、これまで。


マスター:桂木京介 紹介ページ
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