流れ着いたモンスター



<オープニング>


「先日、とある漁村の近くにモンスターが流れ着きました」
 百聞の霊査士・レグリア(a90376)は地図を広げ、その場所を指し示す。
「現在モンスター達はこの辺りの岩陰に潜んでいます」
 現在はまだ岩陰に隠れたまま出てきていないが、時間が経てば、近くの漁村を襲う可能性が高い。
「被害はまだありませんが、野放しにしておくのは危険です。皆さんの実力でも危険はありますが……出来るだけ速やかにこのモンスター達を退治してきてください」


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参加者
華紬の伶・ミンリーシャン(a22811)
紅い蝶・レイジュ(a24217)
沈勇なる龍神の魂宿りし者・リュウ(a31467)
哲学する弓手・バスマティ(a43726)
ゴロゴロ・サーディーン(a57418)
闇夜に咲き狂う華・リリフィス(a57620)
砂鹿・ニーナ(a59109)
謡うは聖なる伝承・エンヤ(a64562)


<リプレイ>

●岩場を見つめて
「ふむ、今回の標的は三体か」
 ゴロゴロ・サーディーン(a57418)は『遠眼鏡』で岩場を観察し、情報を集めようとしていた。敵の配置はもちろんだが、足元が不安定な岩場でそのまま戦う気はさらさらない。おびき出して戦闘するのに適した場所を探して、目を光らせていた。
「モンスターが少なくなってきたって言っても、居ることは居るんだよねー……」
 砂鹿・ニーナ(a59109)は靴に『荒縄』を撒きながら呟く。
「どこから流れ着いてきたのかは判らんが……海賊なら海賊らしく、海の底で朽ち果ててくれればよい物を、陸に上がってまで人に迷惑をかけてくるとはね、呆れたものだ」
 哲学する弓手・バスマティ(a43726)も靴に布を巻きつけるなどして滑りづらくなるように補強する。
 他の皆も沈勇なる龍神の魂宿りし者・リュウ(a31467)から粘り蜘蛛糸で生み出した糸を貰って、不安定な足場で転ばないように靴に撒きつけていく。
「3体のモンスター……倒さなくてはいずれ人々の脅威となるでしょう」
 紅い蝶・レイジュ(a24217)は巻きつけた縄の状態を確かめながら呟く。
「そんなわけであたし達が呼ばれてるわけだし、岩陰崩しちゃう事で漁に影響出そうなのが気がかりだけどもし倒せなかった場合、もっと影響出ちゃうからね……」
 ニーナは岩場が崩れることで周囲の魚などに影響が出ることを心配していた。だが、モンスターを放置して村などが襲われてしまえば、生活できなくなるどころか、大切な命が失われてしまうことになる。
「そうなる前に、私達は私達にできることを……ですね」
 レイジュはサーディーン達が気付いた情報を纏め、地形と天候などを古代の兵法などと照らし合わせ最適な作戦を練り上げていく。
「兎も角、倒す事優先でいこう。うん!」
 ニーナはそれがどれだけすごいことなのか、よく分からないまま作業を見つめつつ、気合を込めた拳を握り締める。
「必ず、倒しましょう」
 そして、作戦を組み上げたレイジュは力強く微笑んだ。

●モンスターを誘き出せ
「カスタネットを鳴らしながら岩場を移動するなぁん」
 謡うは聖なる伝承・エンヤ(a64562)は呼び出した土塊の下僕に『カスタネット』を持たせ、岩場へと送り出した。
「突然出てきたら危険だ……護衛しよう」
 沈勇なる龍神の魂宿りし者・リュウ(a31467)はエンヤを護りながらゆっくりと移動する。
 土塊の下僕を囮にしてはいるが、物陰から近づかれている可能性も捨てきれない。
「想定範囲内だ、任務遂行に支障は無い」
 敵が中々姿を現さない可能性は想定していた。呼び出した土塊の下僕をサーディーン達も見守る。敵の攻撃がどこから飛んだかを見極めることができれば、相手の位置が分かる。
「忍びたるもの、逃げ道を確保しておくのが最優先な事でな」
 リュウは仲間達との距離が離れすぎないように気をつけながら岩場を探る土塊の下僕の監視を続ける。
 しばらくはかっちかっちとカスタネットの音だけが鳴り続けていた。
 不意に音が鳴り止んだ次の瞬間、土塊の下僕の身体からトゲが生える。
 いや、トゲではない。それは土塊の下僕の身体を貫いたカギヅメだった。
 それに気付いた瞬間、冒険者達の近くにセーラー服姿のモンスターが姿を現し、エンヤとリュウ目掛けて黒いカードを投げつける。
 二人を鈍い痛みが襲い、触れた部分が黒く変色した。
 それに対して、冒険者達も迅速に対処する。
 ニーナは破壊衝動を呼び起こし血を滾らせ、闇夜に咲き狂う華・リリフィス(a57620)は黒炎覚醒してその身を黒き炎に包み込む。
 レイジュはヘブンズフィールドを展開し、リュウはハイドインシャドウで姿を隠した。
「モンスター見つけたなぁん」
 エンヤの合図と同時にバスマティとサーディーンの放った矢がモンスター達を襲った。
 バスマティのホーミングアローがセーラー服のモンスターのわき腹に刺さり、サーディーンのナパームアローがモンスター達の中心で炸裂した。
「何れも技特化か、些か分が悪いな」
 サーディーンはモンスター達が瞬時に飛びのき、攻撃の衝撃を最低限に抑えたのを見て苦々しく呟く。
 乙女戦隊なでしこ・ミンリーシャン(a22811)の高らかな凱歌がリュウとエンヤの受けた傷を癒し、変色した部位を元の色に戻していく。
 セーラー服のモンスター達は再度黒いカードを放つ。今度は前に出ているサーディーンとバスマティに飛んできた。
 バスマティは岩陰を利用してそれを防ぎ、サーディーンもそれをぎりぎりのところでかわす。
 だが、カギヅメのモンスターはそれを見て、標的をサーディーンに切り替えた。元々黒いサーディーンに攻撃が通用したと勘違いしたのか、それとも自分に傷を負わせた相手を優先したのかは分からないが……。
 モンスターはカギヅメを岩場に引っ掛け、障害のない場所を駆けるように……いや、それ以上のスピードを持って、襲い掛かる。
 サーディーンは自身の左側からの一撃を軽やかに……ごろごろと転がってかわした。もちろん起き上がる際には岩肌に背中をつけ、誰にも背後は見せない。
「だが、やりようは幾らでもある、問題はない」
 サーディーンは不敵な笑みを浮かべ、カギヅメの船長モンスターと対峙する。
 互いに睨み合い、不安定な岩場を駆け出す。
 船長はカギヅメを使い、サーディーンはその丸い身体を最大限に生かして転がりながら一定の距離を保ったままで走り続ける。
「陸に上がったのがお前達の運の尽きだ」
 バスマティは船長モンスターに声をかけ、矢を放つ。振り返った船長がその矢をカギヅメで受け止め……船長モンスターの背中をサーディーンの矢が射抜いた。
 何というか、礼儀に反している気もするが、ここは戦場である。スナイパーであるサーディーンを前に背中を向けたほうが悪い。
 追いかける船長モンスターと追われるサーディーン。その後ろをセーラー服のモンスター達が追いかける。
「あたしが攻撃した方を取り巻きAってことにして、そっちをとっとと倒す!」
 その動きに合わせて、ニーナの麟刃『クリップスクリンガー』がセーラー服のモンスター……改め、『取り巻きA』に最大限の力を持って振り下ろされる。
 続けて、レイジュの頭上に生み出された火球が『取り巻きA』目掛けて撃ち出された。
 黒炎を纏ったリリフィスの魂の拳が腹部に叩き込まれ、姿を隠していたリュウから致命的な一撃を受けた『取り巻きA』は突然の出来事に混乱したのか、その手に生み出した黒いカードをもう一人の『取り巻きB』へと打ち出した。
 『取り巻きB』は無数のカードを連続してニーナ目掛けて投げ放つ。それらのカードをニーナはいくらかはかわしたが、不安定な足場に気を取られた隙を衝かれ、手傷を負った。
 ミンリーシャンの狂気に満ちた歌声が『取り巻きB』をも混乱させ、『取り巻き』達の身体から血液をも奪っていく。
 その隙にエンヤは黒炎覚醒し、攻撃の準備を整える。
 そんな戦いの中、サーディーンは岩場を抜け、海岸線の砂地まで転がり込んだ。
 船長モンスターは岩場と砂地の境目で動きを止めていた。
 そんな船長モンスターを後押しするようにレイジュは緑の突風を放つ。船長モンスターは砂地に投げ出され、それを追いかけるように『取り巻き』達も砂地へ飛び降りた。

●『取り巻き』達を排除しろ
 船長モンスターは駆け出し、サーディーン目掛けて左のカギヅメを振り下ろす。
 サーディーンはその一撃を身体で受け止める。毒がサーディーンの身体を巡り、激痛を齎すが、その犠牲によって船長モンスターの動きが止まった。
 そこをバスマティの狙いすました影縫いの矢が襲う。砂地に縫い付けられ、船長モンスターはその場から動けなくなった。
 戦場が移動したため、レイジュはヘブンズフィールドを再度展開する。
 それと同時にミンリーシャンの高らかな凱歌がサーディーンの身体から毒を消し去る。
 その間も『取り巻き』達は互いにカードを投げあい、同士討ちを続けていた。
 その好機を逃さず振り下ろされたニーナのパワーブレードが『取り巻きA』に深手を負わせ、エンヤのブラックフレイムがその身を焼いていく。
 その身を焼かれ、ようやく正気を取り戻した『取り巻きA』はリュウ目掛けて無数のカードを投げ放った。
 リュウは『龍子神刀』から無数の気の刃を生み出し、それらを迎え撃つ。
 『取り巻きA』のカードとリュウの気の刃が空中で激しくぶつかり合い、次々と相殺されていく。
 互いに一歩も譲らない戦いの中、一歩下がったリュウに撃ち落されなかった『取り巻きA』のカードが真っ直ぐに向かった。
「本職を見くびらないで貰いたいものだな……」
 リュウはそのカードを『龍子神刀』で直接叩き落し、そのまま一歩踏み込んで気の刃を叩きつける。
 一瞬緩んだ攻撃の手に油断した『取り巻きA』にはそれを防ぐ手段はない。突き刺さった刃と全力で攻撃を続けたために生じた隙が『取り巻きA』の命取りになった。
 二人の闘いの間に接近し、死角に回り込んでいたリリフィスの魂の篭った拳が『取り巻きA』を捉えた。初撃で蹴り上げられた『取り巻きA』に舞い踊るようなリリフィスの華麗な足技が叩き込まれる。一連の演舞を終えたところで『取り巻きA』は地面に叩きつけられ、そのまま動かなくなった。
 サーディーンのホーミングアローが残った『取り巻きB』に突き刺さる。自分達の技で黒く変色した『取り巻きB』は未だに正気を取り戻していない。
 再び動き出した船長モンスターは今度はリリフィスに襲い掛かった。
 そのカギヅメによる攻撃を『スモールシールド』で受け流し、カウンター気味に魂の拳を叩き込む。
 冒険者達は攻撃を『取り巻きB』に集中し、確実に仕留めるべく一致団結して仕掛けた。
 集中攻撃をしている間に船長モンスターから受けた傷はミンリーシャンやエンヤの高らかな凱歌によって毒諸共消し去る。
 斬り付け、燃やし、射抜く。そうしたことが幾度か繰り返された後、バスマティのホーミングアローに貫かれ、『取り巻きB』は正気を取り戻すことのないまま絶命した。

●船長を倒せ
「最後に……メインディッシュ、船長をタコ殴りにする!」
 ニーナはそう宣言して船長モンスターに斬りかかるが、その一撃は両手のカギヅメで受け止められた。
 そのまま左手を振り、慌てて回避したニーナを右のカギヅメで貫く。僅かに急所は外れたとはいえ、その一撃は先ほどまでのものよりも重たく感じられた。船長モンスターの攻撃に力が篭っているのは『取り巻き』達をやられたためなのだろうか。
 エンヤはミンリーシャンと声を掛け合い、高らかな凱歌を合唱する。
 船長モンスターはバスマティの攻撃を片腕を犠牲にして最小限に留め、サーディーンの放った矢をカギヅメで受け止め……ナパームアローの爆発は防ぎきれず結局傷を負う。
 レイジュのエンブレムノヴァを避け、後ろに飛んだ船長モンスターに何かがぶつかった。
「隠れる事に関しては私の方が上手みたいだったな……」
 それは気配を消し、近づいていたリュウだった。慌てて逃げ出そうとする船長モンスターの急所をリュウの音もない一撃が襲う。
 もはや勝ち目がないと判断し、岩場へと向かい逃げ出した船長モンスターの耳に綺麗な歌声が届き……その狂気に満ちたミンリーシャンの歌声を聞いた船長モンスターは全身から血を流しながら息絶えた。
「フ、任務完了だ」
 サーディーンは船長モンスターが息絶えたことを確認して呟いた。戦いが終わったので安心して仲間達から背中を隠す。
「このモンスターさん達はどこから流れ着いたどんな冒険者だったのでしょうね」
 レイジュは蒼く広がる海を見つめ、思いを馳せるのだった。


マスター:草根胡丹 紹介ページ
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作成日:2008/09/30
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