貴方の大事な物、戴きます



<オープニング>


 もうそろそろ夏になると言うある日……勿論海はまだまだ寒く、海辺には殆ど誰もいない時期。
 微笑みの霊査士・クリア(a9001)は、集まった君達に対し、依頼の説明を始める。おp
「皆様、集まって頂きどうもありがとうございます……今回の依頼なのですが……簡単に言えば、突如として出現した大きなタコさんを、倒してきて欲しいのです」
「どうやらこのタコさんは……マリンキングボスさんについてきてしまったようなのです。このまま放置していると、何か悪い事をしないとも限りません……。それに数ヶ月先になれば海の季節……この海辺に来る人達が遊べなくなる事でしょう……それを防ぐためにも、皆様には今の内に対応して戴きたいのです」
 そこまで言うと、クリアは……その敵であるタコについて説明を始める。
「このタコさん……数は5匹との事ですが、その大きさは皆様の200センチを越えている巨体ですが……その身体からは想像が出来ない程素早く動き、墨を吐いて視界を奪ったり、その手で往復ビンタのように殴ってきたり、巨体を活かしたパワフルな動きをします。そしてそれ以上に注意するべきは……その手についた吸盤です」
 そう言うと……少し顔を赤くしながら。
「この吸盤は、凄い吸着力を持っています。その吸盤で吸い付かれたら最後……くっついた物をはぎ取るまで離れないようなのです。武器に吸い付けば、武器を奪うまで、その巨体で武器と共にその身体を投げ飛ばすでしょうし、防具に吸い付けば……その服を脱がせると言いますが、ぶちきろうとするでしょう……現に、水着が何着も……えっと……」
 まるで頭から湯気が出そうな程に赤くなるクリア。
 そして、ぶんぶんと頭を振り祓いながら。
「えっと……ともかく、みんなが海で遊べるようになるよう、皆様……どうかこのタコさんを倒してきて下さい。宜しく御願いいたします……」
 と、静かに頭を下げるのであった。


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参加者
無限の旅人・セイン(a04603)
緑薔薇さま・エレナ(a06559)
玄鱗屠竜道士・バジヤベル(a08014)
凶闇の死鴉・クロウ(a09670)
風立ちぬ草原の吟遊詩人・リサ(a17116)
とんかつ定食八百円・アリス(a17323)
叫鴉・エドワード(a48491)
樹霊・シフィル(a64372)
久遠遊客・クロウリー(a66416)
蒼嵐の・アス(a70540)


<リプレイ>

●うねうねの者
 ランドアース大陸の海岸線……マリンキングボスについてきてしまった怪獣を倒す為、10人の冒険者達は指示された海岸へとやってきていた。
 どこまでも続く砂浜は静けさに包まれ、踏みつぶす砂の音が心地よく聞こえる。
「砂の音が気持ちいいですねぇ……それにしても、海に来たのは何十年ぶりでしょうか」
 のほほんとした感じで、そう告げるのは久遠遊客・クロウリー(a66416)。そしてその言葉に頷くのは、とんかつ定食八百円・アリス(a17323)。
「そうですねぇ……まぁ、泳ぐには少し早いですが〜。でも、依頼ですし仕方ないですね」
 怪獣を倒すこと。それが今回の依頼。
 ただその怪獣も……一筋縄ではいかない怪獣のようで、クリアが顔を赤らめていた事を思い出しながら、風立ちぬ草原の吟遊詩人・リサ(a17116)が。
「あの霊査したクリアさんからの反応からして、被害者は男性なのかなぁ……?」
「……いや、そうではないと思うのじゃが……」
 頭をぽりぽりと掻きながら、玄鱗屠竜道士・バジヤベル(a08014)が苦笑を浮かべる。
 勿論クリアが顔を赤らめたのは……その吸盤の手で服を脱がされる、という事。
「どうも最近、脱がしたがる怪獣が流行っているようでございますね。でも、えっちなのは良くないと思いますわ」
「そうですよね〜、でも、近づかなければ大丈夫でしょう、きっと!」
 樹霊・シフィル(a64372)の言葉に対し、リサは妙な自信で結論付ける。
 そんな二人に、バジヤベルも穏和な笑みを浮かべながら。
「まぁ……それはともかく、少し入り込んだだけで、こっちの大陸は大変な騒ぎとなる。これは彼等が元気すぎるのか、わし等が貧弱すぎるのだろうか……」
「どうなんやろうな。ま、一つ言えるのは厄介なのが付いてきてしもうたという事や。早いこと退治せぇへんと、海水浴が楽しめへんやんか」
「そうだな。……ただ、この身体では泳ぐ事も出来ん。少しはしゃぎすぎたな……初めて海で目の保養が出来ると楽しみにしてたんだが、前日に無理しすぎたわ」
 蒼嵐・アス(a70540)の言葉に叫鴉・エドワード(a48491)がちょっと残念そうに告げる。そして。
「まぁ、海水浴場の為だけでなく、海辺は周辺住民にとっての生命線。厄介な相手ですが、絶対に排除せねばなりませんね」
「ですよね、歴史改変で色々気がかりな事は多いですが……手の届くところから一つずつ、ですよね」
「……いずれにせよ、危険ならば排除するのみ。いざ、討伐……というよりは、印象的に別の意味への危機に目を奪われがちじゃが、実際には戦力的にもかなりの強敵じゃよな。気を引き締めねば」
 黒白・セイン(a04603)の言葉に強く頷くリサとバジヤベル。
 そして……更に歩いていく。
 指定された場所へ辿り着き、周囲を眺める。
 地平線の先に見え始めたのは、うごうごとうごめく何者かの姿。
「……あれでしょうか?」
「そのようじゃな……さてと、戦闘準備を行うとするかの」
 等と言いながら、それぞれ戦闘準備を開始し、更に接近する。
 ……みるみるうちに近づき始める……タコの姿。
「……サテ、巨大なタコヤキデモ作るとしマスか」
 凶闇の死鴉・クロウ(a09670)はそう言い、血の覚醒を使用する。
「わいもやな……っと。これで素手でも何とかいけるやろ」
 アスも同じく、血の覚醒を使用し、待ち受ける。
「前衛の方は特に防具……と申しますか、衣服を脱がされる恐れがありますし、その時はこのマントを使用して下さい」
「頂くというよりは、ぶんどってくるみたいですしね……気を付けないと!」
 クロウリーの言葉に、リサが拳を握り締めながら気合いを入れる。
「……出来うる限りの自衛手段は講じましたが……マント男と言いますか、不出来なマトリョーシカと言いますか……ま、同じ事をお考えの方もいらっしゃるようですし、深くは考えない事としましょうか」
「そうですわね、暑くて倒れないように気を付けて下さいませね」
 セインの言葉に、緑薔薇さま・エレナ(a06559)が微笑みながら頷く。
 ……そして、タコの姿がはっきり見え始める。その数は5匹。
「よーし、それじゃいくでー!」
 アスの掛け声に続き、冒険者達はタコへの攻撃を仕掛け初めた。

●海のケモノ
「さて……と、まずはこっちまで誘導させなければいけませんわね。海に逃げられたらたまりませんですわ」
 そう言いながら、エレナが取り出したのはブーメラン。
 タコめがけて投げたそのブーメランは、一体のタコに命中……したかに見えた。
 つるっとまるで滑るかのように、そのブーメランは身体を透かしてそのまま選れなの手の元へ。
 そして、その攻撃が冒険者達からのものであると理解した彼らは、うごうごと冒険者達の方へ動き始めた。
「よし、私も……スラッシャーの皆さん、やっちゃって下さい!」
 そう言いながら、アリスはリングスラッシャーを召還し、すぐさまタコの下に向かわせる。
 一斉に刃を向いて向かい始めた……と思われたが、タコはそのリングスラッシャーを、太いタコ腕で振り落とし、リングスラッシャーを叩き潰した。
「ふむ……中々攻撃力はありそうじゃな。相手にしては不足無し……じゃ」
 黒炎覚醒を使用した後、タコの群れの所に暗黒縛鎖を放ち一網打尽を狙う。更にクロウも。
「サァ、痺れまショウカ……フフフッ」
 と、笑みを浮かべながら、まずは海に対してサンダークラッシュを放つ。
 海は雷撃に包まれ、一歩でも海に入れば痺れることだろう。
「……これで、もう逃げられマセンよ……」
 不敵な笑みのクロウに……タコ達は僅かに怯んだような気がする。
 しかし……すぐに彼等は、そのタコ足を大きく振り上げる。
 そして、次々と鞭のようにしなった足が、アス、エレナ、アリス……そして隙間を縫って、シフィルへとに叩き付けられる。
 そう……そのターゲットは全員女性。そして全て……その身体に向けて放たれた吸着攻撃な訳で……。
「きゃっ!」
 追いはぎのように、防具が奪われる三人。
「ううう……こらーっ! うちの一張羅返せーっ!!」
「この展開、クリアさんの言ってたのってもしかして……」
「あらまぁ、どうしましょう」
「……あぁん、無理矢理嫌……でございますわ」
 それぞれの言葉は様々だが、このタコ達がやろうとしていることは明らかである。
「……やはり、こういう事でございましたのですね」
「い、いやぁ、来ないで、来ないでぇぇ〜っ!!」
 溜息ともつかない吐息を吐くシフィル。そして瞳に涙を溜ながらがむしゃらにソニックウェーブを放つアリス。
 そのアリスのソニックウェーブも、やはりつるりとその身体を軽く撫でたにしか過ぎない。
「どうやら、あの身体のぬめりが簡単なバリアーのようになっているようだな……まずはその対処をしなければならないか」
「……そうね。それなら……」
 エドワードの言葉に、頷きながらリサは。
「さぁ、例え素早くてもヌメヌメであっても、この攻撃は防げないでしょう、混乱の中に陥りなさいな」
 とファナティックソングを奏でる。
 そして更に、シフィルも気高き銀狼を使用し、タコの内の一体を拘束。
 更に後衛に控えるクロウリーが、更に眠りの歌を歌い、動けるタコの数を極力減らすように努める。
 三人の攻撃に、次々と拘束されていくタコ達。動けるのは……2体。
「さてと……仕掛けますよ」
 セインはそう言いながら、残るタコ2体にエンブレムシャワーを放つ。そして……一気に接近したバジヤベルが、その内の一体に。
「おぬしも丸裸になれ……って、別に仕返しにもならんが、な!」
 とヴォイドスクラッチを仕掛け、そのぬめりのバリアーを一気に削いだ。
「ヌメリ解除……こちらの番デスね……ククク」
 更なる不敵な笑みを浮かべたクロウ。
 そして再びタコの攻撃の順となる。一体は間近のバジヤベルに、そしてもう一体は……不敵な笑みを続けるクロウへと。
 バジヤベルはその攻撃を後ろに回転し回避するが、対してのクロウは……その攻撃を武器で受ける。
 武器に吸着する足……そしてそのタコ足を再びしならせて手元に戻らせようとすれば、同じくクロウも……。
「クロウ!?」
 クロウリーが叫ぶが、対してのクロウは笑みを浮かべたまま。
 そしてタコの間近に強制的に接近すると……その武器を使い、デストロイブレードを放つ。
 爆発と共に、その吸着していたタコ足がはじけ飛ぶ。すかさずタコの間近から離れながら。
「美味しそうな脚デスね、根こそぎ持って行きマスか」
 と告げて武器を払った。
「……そういう事か、肉を切らせて骨を断つ、のような物だな」
「そうデス、吸着力が凄いなら、それを利用スル、それダケの事」
 発想の転換、確かにその攻撃方法は大変有効であろう。ただ……多大なる危険が伴うという事を忘れてはならないが。
「ともかく、一体ずつ確実に減らしていきましょう。バジヤベルさんの攻撃が当たった敵はぬめりもないから攻撃が普通に効くはずです」
「そうですわね、それではいきましょうか」
 頷きあいつつ、エレナ、アス、アリスの三人はバジヤベルが先ほど攻撃を命中させた敵へ接近し攻撃を仕掛ける。
 同じくバジヤベルは、もう一体の敵の下へと潜り込み、また再びヴォイドスクラッチを放ち、ヌメリを取る。
 更に後方からセインがエンブレムノヴァ、リサがファナティックソングで攻撃を仕掛け、更にエドワードは常にガッツソングを歌い、クロウリーは眠りの歌でできうる限りのタコを眠りに落とし、そしてシフィルが気高き銀狼をそれらの攻撃から漏れた敵を拘束する。
 一通り統率のとれた攻撃は、巨大タコの体力をどんどんと削る。
 そして一体、二体と倒すと、残る三体のタコ達は……未だに眠りに落ちていた訳で。
「……このまま海に帰り、そのままワイルドファイアまで帰ってくれれば、倒さずにすんだかもしれないのじゃがのぅ……」
 ふとバジヤベルがそう呟くが……すでにこのランドアースに来て、様々な被害を出している事は確か。
「……ククク……一命様、ご案内」
 次々と敵を倒していくクロウの姿が、まるで鬼神のように見えたのは間違いではないだろう。
 眠りに落ちたタコ達は、その力の前……更には、タコ料理の名の下に、殲滅されていくのであった。

●蛸祭り
 そして、ある意味色々な被害を出しながらも、どうにか全てのタコを倒した冒険者達。
 その巨大な身体……それを見下ろしながら、リサとアリスは少し笑みを浮かべながら。
「このタコさんは変異種とは違うので、食べられますよね? だったら後は食べ放題ですよね〜♪」
「そうですね。このタコさんはワイルドファイア産ですし、食用ですよねー? 放置しても邪魔なだけですから、皆で美味しく頂きましょうか♪」
 嬉しそうに話す二人。そんな二人にちょっと息を吐いたのはクロウ。
「楽しそうデスね。それでは私ハ帰りマス」
 とその場を去ろうとした時。ぎゅっと手を握り締めたのはエレナ。
「あらあら、帰ってしまわれるのですか? せっかくですし、皆さんで楽しみません?」
 笑みを浮かべるエレナに、クロウは。
「……まぁ、別に良いデスが……」
「それでは決まりですわね、これだけの大きさのタコですもの、刺身、酢蛸……色々作っても10人では多い位ですわ」
「刺身、タコ焼き、焼き蛸……そしてお土産の蛸の干物……と、夢は尽きませんね。思いっきり腕を振るいましょう」
「具とか、海草も集めて磯スープなんてどうでしょう? 食べない分はセインさんの言うとおりお土産用の干物にしたり、燻製にしたりするのもいいですよね?」
「いいですね。私、こう見てても料理が好きなのですよ。私も思いっきり腕を振るいましょう」
「あ、私も腕を振るいますよ。蛸の唐揚げなんていうのも面白そうですし……そういえば、ワイルドファイアではどのように料理するのでしょうか?」
「……どうでしょう。判りませんが……料理は愛情がこもっていればきっとうまくいきますよ」
 最後のセインの言葉はさておき、エレナ、セイン、リサ、クロウリー、アリス……五人は五人なりに、自分の料理に自信を持ち、目の前に崩れ落ちている蛸を捌きに掛かるのである。

「まさか……こうしてワイルドファイアの海の幸が、ランドアースで食せるとは……」
 目の前に並べられた多数の蛸料理を前に、感嘆の声を上げるシフィル。
 作った人が多数いるからこそ、同じ種類の料理があるのもご愛敬。
 その内の一つの料理を手に取り、口に運ぶ……特に可笑しいことも無い、普通の味。
「……うん、美味しい。ワイルドファイアの蛸だから、どんな味かとも思いましたが、問題は無さそうですわね」
 にっこり笑みを浮かべるシフィル。
 その横では、顔に吹き付けられた墨を海で洗い流したアスが半ばヤケ食いのような感じで、目の前の蛸料理をみるみる間に食い尽くしていく。
「タコ焼き、タコ刺し、酢蛸……皆もろとも、恨み辛みの分、美味しく食べたるっ!!」
 その他の周りの者達も、目の前の料理を平らげていくが……そんな中。
「……っ!」
 ある料理に手をつけたバジヤベルが、急にお腹を押さえ始める。
「……ん、どうされました、バジヤベルさん」
「い、いや……お腹が……」
「あら、他の料理は特に問題無いですのに、どうしてでしょう」
「わ、判らんが……っ」
 ……その料理は、クロウリーの作った物。
 彼がしっかり味見して、見た目も問題無いのだが……その味は、壊滅的な物だったのである。
「……う、す、済まぬが、先に帰らせて貰うぞ」
「あ、ああ……お大事にな」
 ……そんなバジヤベルをエドワードは見送りつつ、残る冒険者達は、目の前に未だ残る沢山の料理を食べ続けるのであった。


マスター:幾夜緋琉 紹介ページ
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作成日:2008/06/18
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