にゅるりん



<オープニング>


「触手……うねうね……にゅるにゅる……、はっ!?」
 どこか遠くを見るような眼で何かをつぶやいていたエルフの霊査士・セルフィ(a90389)が、今自分は何を言っていたのだろうかというように我に返り、眉間に手をやる。
 自らを落ち着かせようとしていたのだろうか、しばらくそのままのポーズを続けていたセルフィは、気を取り直すかのように軽く頬を叩き、酒場にいる冒険者達を集める。
「砂浜に巨大なイソギンチャク怪獣が現れたらしい。誰か討伐に向かってくれないだろうか?」
 セルフィが言うには、どうやらマリンキングボスがランドアースに近付いてきたことに伴い、それについてきてしまった怪獣がいるのだそうだ。どうやらイソギンチャク怪獣も、それらの怪獣達にへばり付いて一緒に来てしまったらしい。
「イソギンチャクの数は4匹だな。移動速度は極めて遅く、奴らが最初にいる位置からはほとんど動かないだろう。ただ……問題は奴らの持つ触手だ」
 そこまで説明したセルフィは、露骨に冒険者達から視線をそらし右手で顔を覆う。何故かその表情はちょっと赤い。
 うー、とか、あー、とか言っている間にもセルフィの頬の赤みは増していき、彼女の耳まで真っ赤になったところで、何かを吹っ切るかのように大声で説明の続きを話し始める。その際にテーブルに叩きつけられたセルフィの右の拳は、その表情と同じく真っ赤であった。
「近づいてきた獲物を素早く触手で捕えて捕食するらしい。その際に、その、なんだ……触手で獲物の全身を弄りながらだな……その触手に仕込まれた痺れる効果のある毒針を打ち込んで、最終的には獲物の装備を触手で脱がす……というか、無理やり剥がすというか……とりあえずそんな感じで捕食しようとするらしい。現に命は助かったものの、その……大変な目にあった人達がすでに何人かいるらしい」
 のぼせあがった顔を冷ますように手で扇ぐセルフィ。一応恥じらいというものは持ち合わせていたらしい。
「このまま放置するわけにもいかないしな、頑張ってきてくれ」
 そして念を押すかのようにセルフィは言うのだった。
「くれぐれも触手には油断するなよ……くれぐれもな」


マスターからのコメントを見る

参加者
座敷武道家・リューラン(a03610)
夜露の・マユミ(a23689)
瑠璃色の魂抱く大地の守護者・ペルレ(a48825)
暴虎馮河・リンク(a59260)
白銀煌・レンシア(a67271)
なぁ〜んですなぁ〜ん・キリア(a71164)
螺旋の刻竜・ペオース(a71347)
悲壮哀歌・ティアリィ(a71580)


<リプレイ>

●うねうね
「……何なんでしょう、あれ」
 水着姿の瑠璃色の魂抱く大地の守護者・ペルレ(a48825)が、頬を染めながら目の前を指差す。ペルレの震える指先を辿っていくと存在する4つの触手の塊達。うねうね、と動く触手に何を感じ取ったのだろうか、女性陣の頬がどことなく赤い。
「こほんっ……イソギンチャクなんか俺がぶっ飛ばしてやるよ!」
 何かを吹っ切るかのように咳払いをした座敷武道家・リューラン(a03610)は、ニヤリと笑いながら体をほぐしていく。
「しょ、触手とかその、……ふ、不潔ですっ」
 もじもじと体を捩りながら叫ぶように言う白銀煌・レンシア(a67271)。豊満な体を大胆に晒すかのような白ビキニを着ているレンシアが言ってもあんまり説得力ないですよね、という視線に対し、「これは妹が、妹が用意したんですっ」と必死に弁解している。
「しょ、しょくしゅ……我慢……できる、かな」
 か細い咽をごくりと鳴らす夜露の・マユミ(a23689)。一体なにを我慢するのだというのだろうか。そしてごくりってなんだごくりって。そんなマユミの体を包むのは、海の仕事を生業とする方々が着ている服……俗に言うセーラー服である。
「なーんかヤなのがきたなぁ。切っても面白くなさそうだし」
 嫌そうに顔をしかめた暴虎馮河・リンク(a59260)が、つまらなそうに緋色の太刀を肩に担ぎ上げる。ま、動けない相手なんて楽勝だね、と笑うリンクは、残念ながらイソギンチャクが動けることを知らなかった。
「これがイソギンチャクか……なんか凄い」
 女性陣の中では唯一頬を染めていなかった螺旋の刻竜・ペオース(a71347)は、初めてみるイソギンチャクの姿に興味津々である。10歳という幼い彼女なりに何かを感じ取ったのだろう、感心したような顔でじろじろと見つめている。
「おいしょっとなぁ〜ん……もしもの時にご利用下さいなぁ〜ん」
 テキパキとテントを設営している白夜の鋼璧・キリア(a71164)。使用しないにこしたことはないと思いつつ、おそらく確実に使うことになるんだろうなぁ〜ん、とどこか遠くを見るような目をしている。そんなキリアを優しく見守るのは悲壮哀歌・ティアリィ(a71580)である。微笑みながら、ゆっくりと愛する彼に向かって口を動かす。
『浮気したら分かってますね?』
「は、はいっ、了解でありますなぁ〜ん!」
 ビシリと背筋を伸ばし敬礼を返すキリア。キリアの位置からでは聞こえていなかったはずなのに、あんなにもティアリィは優しく微笑んでいるのに……キリアはただただ恐怖に身を凍らせることしか出来なかった。

●にゅるにゅる
 砂を撒き散らしながら走るリューランは、4匹ともが射程に入るようにと気をつけながら闘気の渦をぶつける。思惑通りにダメージを喰らう触手達に、思わずガッツポーズを決めるリューラン。
「よっし……ってしまったあああ!」
 ――だが、全てが上手くいくわけがなかった。
 1匹1匹が4メートルほどの大きさを持つのである。全部を射程に納めようとすれば必然的に接敵するわけで……。
「こら、やめろ! 変なとこ触るんじゃねえよ……って、待て待て待て、胸と尻尾同時は……」
 触手に絡みつかれてもがくリューラン。ぬめりを帯びた触手は体を拘束するだけでなく、小さな体に不釣合いなほど大きな胸や、引き締まったお尻に生えた尻尾を撫でるかのように蠢きまわる。
「お、お前ら、見てねえで助け……」
 助けを求めて視線を横にずらした顔が悟ったかのように変化する。それもそのはずであった。助けを求めた仲間達は……既に触手に捕まっていたのだから。
「や、やめてください……そんなとこ、ダメぇ!」
 上気した顔を左右に振りながら、抵抗するペルレ。リューランが捕まってしまった姿の刺激が強すぎたのか、ふらふらと近づいてしまったところを捕まってしまったのだった。這いずりまわる触手に体中をまさぐられ、涙目になっている。
「やっ……くぅ……っ、きつ……んっ」
 槍を触手に突き刺そうと近づいたレンシアも、同じく拘束の憂き目にあっていた。四肢を拘束されてしまい、なすすべもなく宙吊りにされたレンシアの柔肌を、無数の触手が這いずり回る。
「こ、こんなの……もう、だ、ダメ……がま、できな……っん!」
 同じく体をまさぐられていたマユミの手足が軽く痙攣をし始める。触手に仕込まれていた毒針が、マユミの自由を奪っていく。
 それを見て焦ったのはリンクである。毒針を使い始めたということはそろそろ次の段階がきてもおかしくない、そう考えたリンクが捕まった仲間達が逃げる隙を作るべく、スーパースポットライトでマヒを狙う。だが、その光は4匹のうちの1匹の動きを止めることには成功したものの、残りの3匹には効き目がなくそれどころか……。
「え、なに、みんなこっち狙って……いやあぁぁぁぁーん!」
 あれよあれよという間に触手に絡めとられてしまうリンク。注目とは恐ろしいものである。そんな女性陣のちょっぴり大変な状況を、スーパースポットライトを当たった触手のごとく凝視しているキリア。先ほどから設置していたテントをたてる手も止まり、何故か前屈みで大量の鼻血を噴出している。
「ああっ、楽園なぁ〜ん、楽園なぁ〜ん……じゃない、気にしない気にしないキニシナイなぁ〜ん」
 浮かれていた顔もすぐさま無表情に変化し、ぶるぶるぶると体を震わせながら自らに言い聞かせていくキリア。それもそのはずである、真後ろに怖ーいオーラを放っている恋人が立っていたのだから。
「テント設置はその辺にして、私達もあの女の敵を倒しにいきましょう」
 そして付け加えるように放たれた、後で楽しみにしていてくださいね、というティアリィの言葉に、キリアは自らの命運が尽きかけていることを悟り涙するのであった。
「あのー、早く加勢してよー。……キュ〜〜〜〜!」
 1人で必死に触手に捕まった仲間達を助けようと奮闘しているペオース。眠りの歌で眠らせたりするものの、別の触手に狙われ逃げ回るといった様子である。だが、このままでは捕まってしまうのも時間の問題であろうことは、誰の目にも明らかであった。

●ぬめぬめ
 結論から言えば、全員が触手に捕まってしまうのにそう時間はかからなかった。もちろん、毒針を刺されてしまうこともである。つまり――。
「や、やめ、脱がすな!」
「はう……お願い、これだけは……ダメ……ですぅ」
 マヒ自体からは回復したものの、拘束されているために上手く動けず服を剥ぎ取られてしまうリューラン。普段は強気な彼女であるが、目の端には大粒の涙が。
 水着の下を必死に押さえた状態でマヒしてしまい、剥ぎ取られてしまうペルレ。服を脱がされるなら水着なら大丈夫、と考えていたのだが、水着を脱がされることを完全に失念していた。
「あんっ……そんな所でにゅるにゅる、暴れないでぇ……っ」
「ぬめぬめ、したのがっ……体をっ」
 既に衣服を剥ぎ取られ、なにやら身悶えしているレンシアとマユミ。両者共に顔だけでなく体全体が上気しており、口から洩れる呼吸もかなり荒い。辛うじて胸などを手で覆おうともがくのが精一杯といった様子である。
「も、もうやだー! ぬるぬるしてて気持ち悪い……ひゃぁ!」
「く……んっ、やめ……そこ、こっち見ないで!」
 触手にもみくちゃにされ、その感触に嫌悪感を顕にするリンク。服を奪われた羞恥心よりも、嫌悪感のほう勝っていたようである。
 同じく服を奪われているティアリィは、なんとか逃れようとニードルスピアで攻撃をするものの、多少の攻撃ではびくともしない触手達に歯噛みする。もちろん今のあられもない姿を恋人が見ないように釘を刺しながら。
「僕の服、返してえぇぇ!」
「ああっ、これだけはっ、これだけは勘弁してなぁ〜ん!」
 服を脱がされて涙目のペオース。しかし、他の面々に比べて触手達の行動が比較的マシなのは年齢ゆえか。微妙に空気を読む触手達である。……そうかと思えば、一方ではキリアの最後の砦である股間の布切れ――以前入手したビキニの残骸――を剥ぎ取ろうとする触手。キリアが抵抗しようとするものの、彼の鍛え上げられた体に無数の触手がまとわりつき、四肢を拘束したが最後、キリアの最後の砦は無情にも崩されたのだった。……ああ、風が気持ちいいなあ。
「うう、忘れてましたぁ……はうぅ」
 だが、いつまでもやられっぱなしの冒険者達ではない。思い出したかのようにペルレがヘブンズフィールドを展開したことを皮切りに、各自今までやられた鬱憤晴らし、もとい反撃へと移っていく。……最初から展開しておけばこんな目にあわなかったのにというのは言わないお約束である。
 なんとか抜け出し服を取り戻したリューランが、とりあえず服で体を覆いながら触手の1匹に怒りを込めた拳を叩き込む。顔を赤くさせながらも鬼の形相で殴るリューランには、最早目の前の触手を叩き潰すことしか考える余裕がなくなっていた。
 もう絶対に許しません、と手に持った槍を叩きつけるレンシア。体の火照りがまだ取れないのか、呼吸は荒いままだ。その横では、退治されていく触手達を残念そうな目で見つめながらも、自らも攻撃に参加していくマユミ。攻撃するたびにすごく切なそうである。
 手に持った太刀で滅多刺しにしているのはリンクである。なんとか服は着たものの、先ほどまで触手に弄られていた感触がなくなるわけもなく、それに対する怒りをぶつけるかのように攻撃していく。
 キリアが叩き付けた剣痕に、追撃するように針の雨を降らしていくティアリィ。彼女からも鬼気迫るような雰囲気が伺われるが……どちらかといえば、触手に対してではなく、キリアに対してであるような気がしなくもない。
 体中がぬるぬるする……と涙目になっているペオース。比較的被害の少なかった彼女であるが、それでも10歳の少女にとってはかなりのショックな出来事であったに違いない。手にしたハープをぺしぺしと叩きつけている少女の今後が心配である。
 一度反撃にさえ移れてしまえばあっけないもので、次々と撃破されていく触手達。そしてペルレの放った矢が突き刺さり、息絶える最後の触手。最後の最後で体に巻いていたバスタオルが落ちて、2度目の生まれたままの姿になったのも、終わったあとであるからこそ笑って済ますことが出来た。……出来た?
「み、見ないで下さい……ですぅ……」
 余談であるが、この後唯一の男性であったキリアは全員にしこたま殴られることとなる。もっとも殴られながらも、彼の表情は至福に彩られていたとかなんとか。


マスター:原人 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:8人
作成日:2008/06/18
得票数:コメディ4  えっち34 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
 
シュヴァルツェ・キリア(a71164)  2010年06月30日 23時  通報
……私一人だけ男性であって、出発前にちょっと予感はしましたがなぁ〜ん。
まさにその通りになりましたなぁ〜ん。
でも、浪漫は追えることはできましたなぁ〜ん。