マーケットガーディアン



<オープニング>


「やぁ、君達。暇だろう?」
 唐突に投げかけられた言葉に、酒場に集まっていた冒険者達がなんだなんだと目を向ける。
 深い緑色の髪、前髪の合間から覗く宝石、共にドリアッドの種族特徴。
 両腕を繋ぐ鎖、肩に乗った小動物の如き召喚獣、共に霊査士の証。
 眼鏡の縁をついと押し上げ、緑柱石の霊査士・モーディ(a90370)が中央のテーブルに陣取った。
 6月の日差しの意外な強さに辟易していた冒険者達に、新たな仕事がやってきたようだ。

「最近、海の怪獣による事件が頻発しているのは、君達の耳にも入っていると思う。マリンキングボスの移動に伴い、一緒にランドアースまで来てしまったという事らしいが、被害が出ている以上放っておく訳にはいかん。君達に向かって貰うのも、怪獣の脅威に晒されようとしている場所の一つだ」
 霊査士は、とある海岸付近の地図を広げ、その中の一点を指差した。
「ここに、この辺り一帯の漁師が集まる魚市場がある。私が視たのは、そこにアザラシ怪獣が現れ、水揚げされた魚介類をすべて食い散らかしていく様子だ」
 マグロなど高価で取引される魚も多く、それだけでも漁師達が受ける被害はバカにならない。しかし、事態は更に深刻だと霊査士は言う。
「怪獣が暴れる訳だからね……。建物やら何やら、諸々の被害で魚市場は壊滅状態に追い込まれてしまう。そうなる前にアザラシ怪獣を倒し、漁師達の生活を守るのが今回の仕事だ」
 そこへ、ひょこりと顔を出す一人の少年。
 額に輝くオレンジ色の宝石、頭部の左右から伸びる伝声管、共にプーカの種族特徴。
 手にしたヨーヨー、ついて来るなと命じ忘れてはた迷惑な召喚獣、共に勇者(?)の証。
 赤茶色の瞳を輝かせ、プーカの忍び・ポルック(a90353)が現れた。
「魚市場ってさ、すっごく活気があってすっごく楽しい所なんでしょ?」
 楽しいかどうかはさて置き、活気があるのは間違いない。その通りだと返す霊査士に、ポルックは早速参加を申し出た。曰く、そんな場所のピンチにボクが行かないで誰が行くのさ、との事。
「それに、アザラシ怪獣くらいみんなでかかれば楽勝だしねっ♪」
 『楽しい』の他に『楽そう』という動機も混じっていたらしいが、そうは問屋が卸さない。
「まだ言ってなかったな。現れるアザラシ怪獣は全部で5匹だ」
 ポルックの伝声管がぴくりと動く。
「しかもその中の4匹は、1匹ずつ別の場所からほぼ同じタイミングでやってくる」
「え……、ってことは」
「うむ、幾つかの班に分かれて各個撃破する必要があるという事だ。それなりの経験と力を持つ冒険者なら1人で倒す事も可能だろうが、君くらいの力なら最低2人は居ないと無理だぞ」
 頭上に『!』を閃かせるポルックを尻目に、霊査士は説明を続ける。
「残りの1匹は、4匹が姿を現してから10分以内に海岸に到着する事が分かっている。他の4匹より大きくて力も強い。ただ、余程の少人数で挑まない限りは大丈夫だと思う」
 せわしい仕事内容にひき気味ポルックだったが、そこはさすがに冒険者。すぐに気を取り直し、声も高らかに宣言する。
「プーカの勇者といわれたこのボクに任せてよ。アザラシどころか蟻の子1匹通さないからさっ!」
 大船に乗った気でいてよねと大口を叩くポルックに、『泥船の間違いだろう』という周囲の視線が、グサグサと突き刺さっていった。


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参加者
隠れ家ヘよーこその看板盗んだ・フォッグ(a33901)
風使い・リサ(a37897)
月の姫を抱く者・ミレイラル(a43722)
愛しき歌声・ルピア(a60692)
ラトルスネーク・ングホール(a61172)
紅風・リヴィール(a64600)
えきぞちっくますこっと・トミィ(a64965)
銀翅灯・リゼッテ(a65202)
NPC:トリックオア・ポルック(a90353)



<リプレイ>


「うおおぅ、おっきな魚市場だねぇー」
 驚きの声を上げたのは、風使い・リサ(a37897)。端から端まで、小さな町ほどの広さを持つこの場所は、真っ昼間だというのに多くの人で溢れ返っていた。
(「見て回りたいのはやまやまだけど、まずはお仕事お仕事っと」)
 早速、近くに居た漁師達に事情を説明。
「そういうたら、最近は何やそこら中でえらい事になっとるちゅう話やけぇ、ワシらとこは大丈夫か調べて貰いに行くぅて、元締が言うとったのぉ」
「冒険者様が来てくれたっちゅう事は、やっぱここにも出よるんかぁ。そりゃ、えらぁ事じゃあ」
「ほぉいう事なら、ワシらここで大人しゅうしとるでのぉ。ええようにしてくれや」
 という訳で、魚市場の皆さんの快い協力を得た9人は、それぞれの持ち場へと散っていった。
 東に向かうのは、十字架に謳う蒼葬歌・ルピア(a60692)、舜瞬六花・リゼッテ(a65202)の2名。
「漁師さん方の為、彼らの食卓の為、オレたちが頑張らなきゃ、ね」
 4組の内どれか1組でも突破されてしまえば、魚市場への被害は免れない。失敗の無い様にと気を引き締めるルピアの横で、リゼッテは倉庫から海岸までの距離を測っていく。
 南東へは、千紫万紅・ミレイラル(a43722)、えきぞちっくますこっと・トミィ(a64965)、リサの3名が向かっていた。
「マリンキングボスと一緒にこんなとこまでついてきちゃいましたか……。悪気はないにしても、被害が出る以上退治するしかないですね」
 ミレイラルの言う通り、やって来た怪獣達に悪意がある訳ではない。が、彼らの体の大きさ、力の強さは、たとえその気がなくても、一般人を危機に陥れてしまう。波打ち際に仁王立ちするトミィは、一刻も早く怪獣の姿を見つけようと、遠眼鏡を構えて海を睨んでいた。
 所変わって南西班。
「マリンキングボス様も大変なお土産を持って来てくれたね」
 倉庫の位置を確認していた塵旋風・リヴィール(a64600)の何気ない呟きに、
「まったくだ」
 ばつが悪そうな顔を返す業風・フォッグ(a33901)。
「大陸の者として、責任持って始末せんとな」
「へぇ、そういうものなんだ」
 怪獣達と同じ大陸出身という事で何やら神妙な面持ちのフォッグを、プーカの忍び・ポルック(a90353)、またの名をランドアース一の無責任少年が不思議そうに見つめていた。
 そして、一人西へと向かったラトルスネーク・ングホール(a61172)は――、
「さて、今回は一人で戦うわけだしな。フンドシ……はしてねぇから……」
 代わりに、トレードマークのハンチング帽をかぶり直して気を引き締めた、その時、
「来たよ、準備して」
 遠眼鏡をしまい、素早く距離を取るトミィ。
「あんなのにのしかかられたら絶対魂抜けるよ! むぃ〜んて!」
 アザラシ怪獣の巨大さに涙目になるリゼッテ。
「絶対に行かせるもんかっ」
 距離を詰めながら迎撃体勢に入るリヴィール。
『ドクン』
 血の覚醒を呼び起こしたングホールが見上げるのは、頭の先から尾ひれの先まで優に8mはあろうかというアザラシ怪獣の巨体。4箇所同時掃討作戦が、今、幕を開けた。


 戦闘開始と同時に、リゼッテの白衣がみるみる黒い炎に覆われていく。その前方にはルピア。蒼天花葬の持つ蒼い刀身を閃かせ、放たれる衝撃波はいつもより幾分ゴージャスな雰囲気。
 痛いことをされてちょっとカチンと来た様子で、アザラシ怪獣がにじり寄って来るる。野太い鳴き声を上げながら、その大きな頭を思いきり振り下ろし――、
 ごすん! と響き渡る鈍い音。直撃を受けたルピアの体は、トンカチで打たれた釘の様に、膝まで埋まっていた。
「ッッ、痛ぁ……」
 回復役のリゼッテを守ろうと前に出ていたのだが、彼自身、体力には自信なさげなエンジェルであり、この相手とまともにやり合うには少々力不足でもあった。だが、それ故の2人がかりだ。
 自らの身長ほどもある注射器型突出剣から黒炎を射出し、攻めに出るリゼッテ。確かに強力な一撃だったが、ルピアの様子からはまだ危険領域ではない事が伺える。ならば、回復よりも攻撃。アザラシ怪獣が体を揺らして反撃に出るも、
「……やらせないよ」
 ルピアの額から放たれた激しい光に、攻撃の矛先がくるりと切り替わる。
 襲い来る強烈な攻撃をリゼッテの優しさ溢れるヒーリングウェーブで凌ぎつつ、ルピアの鋭い攻撃が着実にダメージを積み上げていく。そしてやって来た決着の時。
「行きます!」
 リゼッテのブラックフレイムがとどめとなり、壁の如くそびえ立っていた怪獣の体が、ゆっくり、ゆっくりと崩れ落ちていった。

「永遠と無限をたゆたいし……全ての心の源よ。尽きる事なき黒き炎よ。我が魂の内に眠りしその力……無限より来たりて……今、ここに解き放たんッ!」
 熱い詠唱により具現化した邪竜の力。怪獣を視認したトミィは、直ぐさま臨戦態勢に入っていた。
「あれで小アザラシ? 大アザラシはもっと大きいんだよね……」
 近づいてくるシルエットの巨大さに、リサは半分呆れ顔。海から上がった怪獣の姿は正に圧巻。前肢で支えた上体だけでミレイラルの倍はある。
「可哀想だけど……、君たちに暴れられると漁師さん達が困っちゃうのさ!」
 リサは、弓を引き絞っていた指を離す。難なく命中した矢から吹き出した魔炎と魔氷。その間に距離を詰めていたミレイラルも蜘蛛糸による拘束を決め、
「これ以上、先には行かせないんだから」
 次いで撃たれたトミィの黒炎にもキルドレッドブルーの力が上乗せされていた。不幸などの支援が無いため割と簡単に解けるものの、普通に攻撃するだけで次の相手の攻撃が止まるかもしれないというのは、やはり強力だ。
 のんびり屋なのか、ようやく己の身の異常を察したアザラシ怪獣に、ミレイラルの狙い澄ました一撃が深い傷を刻み、リサの矢が逆棘を生やして襲いかかる。3人がかりの攻撃の前には、さしもの怪獣もひとたまりも無い。
 決着かと思われたその時、最後の力を振り絞ったアザラシ怪獣は、その巨体を大きく跳ね上げた。と言っても、後肢まで浮き上がったのはほんの一瞬、精々数十cm程度のもの。だが、体長8mのアザラシ怪獣がそうしたとなれば、尋常の話ではない。
「危ないっ!」
 ミレイラルが後ろの2人を庇う姿勢を取った直後、数tもの肉の塊が、彼女めがけて降ってきた。
 地震のような揺れを伴ったアザラシ怪獣のジャンピングのしかかり。一般人ならば運も寸も無くぺちゃんこだろうが、そこは冒険者。怪獣の下から救出された数分後には、けろりとして言ってのける。
「さすがに正面から受け止めるものじゃないですよねぇ……」


「ふっ!」
 軽く息を吐き、目の前に広がる大きく分厚い壁に、伸ばした指を突き立てる。指先の闘気が壁の内部で弾ける。地鳴りのような大音響。壁が激しく揺れたかと思うと、強かにフォッグの体を打ち、隣に居たリヴィールもろとも人形のように軽々と吹き飛ばす。
 自らの手で直に触れられる距離にまで接近した時、アザラシ怪獣はまさに壁だった。その大きさたるや、一目見でその並外れたパワーが窺い知れるというものだ。
 傷ついた体を、すかさずリヴィールの勇ましい歌声が癒していく。
「おーい、大丈夫ー?」
 比較的安全な位置から攻撃にいそしんでいたポルックが、近づきもせず声を掛ける。実力的には、フォッグは十分過ぎる程であり、リヴィールもそれなりの力を持っている。そんな2人が少々手こずっているのには、実は理由があった。
「いつもと武器が違うからか、調子がいまいちだな……」
 手にした蛮刀を見やるフォッグ。2人の本来の素養は、力ではなく切れ味鋭い技にこそある。だが、用意した回復アビリティの都合上、攻撃も力任せにならざるを得ず、それはつまり相手の土俵に上る事を意味していた。
 とはいえ、地力の高さ、尽きぬ回復アビリティ、ついでにポルックの地道な攻撃もあり、決着も間近。巨体を揺らして強行突破を図るアザラシ怪獣の正面にリヴィールが立ちはだかる。
「吹き飛んじゃえっ!」
 押し当てられた掌から叩き込まれる爆発的なエネルギーに押し戻されながら、アザラシ怪獣は息を引き取った。
「では、先に行っているぞ」
 ポルックのグランスティードに同乗するフォッグは、すぐに大アザラシ怪獣が出るという南の海岸へ。その背中を見送ったリヴィールは、唯一一人で事に臨んでいるングホールの下へと駆け出した。

 そのングホール。たまに攻撃を食らいながらも、終始押し気味に戦いを進めている様子。
「うおっと!」
 巨大な前肢での薙ぎ払いを最小限の動きでかわし、次の瞬間には密着、そして指天殺。ここで一旦距離を取り、ヒット&アウェイといきたい所だが、流石に敵の反撃の方が速い。
 不覚――噛みつかれた。太い牙が肩口へとめり込んでいく。万力で締め付けられるような圧力に、思わず顔が歪む。十分な踏み込みも、大きな予備動作も許されない状態。
 だが、問題無い。
 腰の捻りも、肩の回転も必要とせず決まる。それがこの指天殺という技なのだから。
 鋭い痛みを受け、アザラシ怪獣の顎の力が一瞬弱まった。その隙を逃さず、ングホールが離れる。森羅点穴で傷を癒し、次の攻撃を避け、また密着――と、そこへ聞き覚えのある声。
「ングホールさん!!」
 駆けつけたリヴィールに、背中越しのサムズアップ。
「それじゃそろそろ終いにしようかね……っと」
 上げた親指をそのまま突き刺す強烈な一撃が、見事、アザラシ怪獣の息の根を止めていた。


 一番乗りを果たしたのは南東班。
「まだ、現われてないといいのですが」
 黒炎覚醒をかけ直しつつ、トミィは海岸の様子を見て回る。もし既に大アザラシ怪獣が上陸していて市場に向かったのなら、その跡がはっきり残っている筈だ。が、幸い巨大な何かが通った跡は無い。
 と、そこへ、
「たぁっ!」
 乗り手のかけ声と共に岩陰から飛び出すグランスティード。南西班の2名のようだ。
「ボク達2番目みたいだね」
「だが、いいタイミングだ」
 フォッグが指差す先に目を向ける。波打ち際の海面が一箇所だけ異様に盛り上がり、ざざんと飛沫を上げて登場したのは、先程倒した怪獣を更に一回り大きくした、大アザラシ怪獣であった。
「大きいですね……、拘束できるんでしょうか?」
 半信半疑ながら、とりあえず蜘蛛糸を放つミレイラル。
『ぐも?』
 前肢で軽く払われてしまった。大きいとはいえ、アビリティでの拘束が効かない程ではなさそうなのだが、続いて放たれたリサの矢も、怪獣の動きを止めるまでには至らない。流石にただのアザラシ怪獣よりは手強いらしい。
『ぐもももも!!』
 こちらの敵意を感じ取ったのか、俄然やる気になったっぽい大アザラシ怪獣。大質量による途轍もない頭突きを繰り出してきた。大爆発を思わせる激しい衝撃に、冒険者達が弾き飛ばされていく。
 なかなかに侮れない威力だ。フォッグはガッツソングを歌い上げ、仲間のダメージを癒しにかかる。回復手の存在を示す歌声を聴き、トミィは自分の役目を回復手から攻撃手へと切り替えた。
「いっきにいくよ!」
 放たれた火球は炎と氷とに分かれ、大アザラシ怪獣の体の自由を奪い去る。
 ここで東班も到着。2人のうち、先に動いたのはルピア。
「ごめん、ね?」
 間合いに入るや否や横薙に払われる太刀。直接内部を揺らす振動に、巨大な身体が波を打つ。
『ぐもおおおっ!!!』
 怒りに震える大アザラシ怪獣が、凄まじい勢いで海岸の砂を浚い始める。飛来する砂礫が冒険者達を打ち据えていく。ただの砂とて、高速で叩き付けられれば武器も同じだ。
「お助けしますー」
 リゼッテを中心に広がる柔らかな光の波に、仲間達の傷があっという間に塞がっていく。
 戦闘が佳境に入った頃、西からあの2人も駆けつけた。
「どうやら間に合ったな」
「ギリギリっぽいけど……」
 汗を拭うングホールとリヴィール。
「んじゃ行くか」
「はいっ」
「「ダブル・指天殺ッ!!!!」」
 妙に息のあったコンビネーションが炸裂。断末魔の鳴き声と共に倒れ込む大アザラシ怪獣。
 任務、ここに完了。


「本当なら、倒さなくても良かったかもしれないですね」
 倒したアザラシ怪獣達を弔うミレイラルを余所に、トミィは砂浜に横たわる亡骸をずりずりと移動させていく。
「ト、トミィさん?」
「漁師さん達に有効活用してもらうのです」
 これだけ大きければ、食用にとれる肉だけでもかなりの量になりそうだ。仕留めた怪獣は感謝を込めて全て頂く。言うなればワイルドファイア流の弔いといった所か。
「そういうわけで、もう安心だ」
 魚市場の事務所では、退治完了の報告を済ませたフォッグが拍手と歓声に包まれていた。
「いやぁー、さすがじゃのお。あげなふとかアザラシ、初めて見るわい」
「あんとなもんに来られてみぃ、みなちびりよるでほんまぁ」
 大盛り上がりの事務所内に、男達の笑い声が木霊した。

(「ほう、こいつは美味そうだな」)
 市場を散策していたングホールが足を止める。出てきた店主は、ングホールの顔を見るや、更に顔を綻ばせて魚を包み始めた。
「にーちゃん、これ持っていけぇや。……あ、代金? そげなもんあれで十分じゃわ」
 ガハハと笑う店主は、表に置かれた怪獣の亡骸を指差した。
「さあ仕事終了、遊びだっ!」
 魚市場の活気に後ろ髪引かれつつ、リサは何故かポルックの動向を追う。
(「今現在、ボクの興味はポルック観察に向いている。見せて貰おう、プーカの勇者の性能とやらを……!」)
 その視線の濃さはおそらくいつもの3倍はあったに違いない。
 知らぬ間に観察対象にされていたポルックだが、そこに忍び寄る影が一つ。リヴィールだ。隙だらけのポルックの背中に、海岸で捕まえたカニを放り込む。
 かきん。
「え?」
 カニは見えない何かに弾かれ、そのままぽとりと地面に落ちた。
「シャドウロック、だね」
 ルピアの冷静な一言。
「う、うわぁぁぁぁん!!」
 たまに仕掛ける悪戯が未遂に終わる。それはもう宿命かもしれない。
 逃げていくリヴィールの背に哀愁を感じつつ、カニを拾うポルック。ふと前を見ると、そこにはごつい漁師達と談笑するリゼッテの姿があった。
「ホント同盟って、男の子か女の子か分からない人が多いよね。ボクの男らしさを見習うべきじゃないかな」
 勝手な事を呟くポルックに、トミィが目をむいて驚いている。
「え、女の子じゃ……」
「ううん、ボクは男の子だよっ。そういうキミもよく分からないね」
 と、何故かさっき拾ったカニを取り出す。プーカに伝わる、カニを使った判別法があるとかないとか。怪しさ全開の展開に、思わず後ずさるトミィ。その様子を目にとめたリゼッテは、出発前、リヴィールから言われた言葉を思い出していた。
「カニに気を付けてって、そういう事だったんだ……」


マスター:東川岳人 紹介ページ
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