黒水晶の砦



<オープニング>


 ある村にほど近い森の奥に古びた砦が在る。
 かつては『深緑の黒水晶』と呼ばるほどに壮麗で美しかったと伝えられているその砦も、歴史の狭間に沈み朽ち果て、今は見る影もなく荒廃してしまっている。のだが――
 そこへ厄介な事に、どこからともなく移住してきたグドンの群れが住み着いてしまった。
 当初は砦の周辺で食料を漁っていたグドン達は行動範囲を徐々に広げてゆき、近頃では頻繁に村の畑を荒らしに現れ、偶然遭遇してしまった村人が襲われる被害まで出ている。このまま放置すれば何れ味をしめ、砦からあふれ出たグドン達は村を蹂躙しつくす事だろう。
「そこで皆さんには、この群れの殲滅をお願いしたいのですが……」
「成程、ならば急いだ方が良さそうだな。先ず、敵の数と砦の様子を知りたい」
「石斧や弓で武装した鼬グドンが60前後。それと群れを統率するピルグリムグドンが1体います」
 エルフォミナの問いに答え、霊査士は記憶を辿るように視線を遠くへ向けた。
「砦は背後に滝が流れ落ちる断崖絶壁を控え、周辺は深い森に覆われています」
 滝壷から続く川から水を引いた堀が周囲をぐるりと囲んでいるが、今はその堀も泥に埋もれ、ほぼ機能していない状態だ。跳ね橋は下りたまま錆付いており、上げる事が出来ない。
 堀から2〜3mの間を開けて、高さ10mほどの堅牢な石造りの防壁が周囲を守っている。壁の四方には見張り台が設けられており、入り口は跳ね橋の先にある正門ただひとつ。だが冒険者であれば防壁を飛び越えての侵入も難しい事ではないだろう。
 正門を入ってすぐは広場になっており、奥には石造りの2階建ての建物が壁に寄り添うように併設されている。そこには十数の部屋と、地下室もあるようだ。
 鼬グドンは砦内の各所に分散して生活しており、見張りも交代で行っている。グドンであるから、その程度は知れているが……注意しておくに越したことはない。
「最大の難敵やはりピルグリムグドンですね。霊査の結果からすると、日の射さない暗闇を好んで砦の奥にいるようですが……」
 のんびりとした霊査士の表情に僅かに影が差した。
「外見は例えるなら蜘蛛です。手足のような硬質の触手を8本持ち、自ら周囲に張り巡らせた糸を伝って俊敏に移動します。奴の作り出す粘糸は鋼よりも丈夫で、下手に触ったら張り付いて此方の身動きが取れなくなる可能性もあるので、注意が必要ですね」
 その他にも「広範囲に粘糸を吐き出して拘束する」「鎧を貫通する衝撃波を放てる」「近距離の敵には触手で連続攻撃をするうえ、爪には猛毒がある」そうだ。
「つまり、根暗な引き篭もり毒持ち粘着質ピルグリムグドンだな」
「……まあ、どう取るかは人それぞれですよね」
 ザックリすぎるエルフォミナの見解は笑顔でスルーすることにして。
「厄介な敵ですが、皆さんのお力があれば十分に倒せる筈です。どうか砦に巣食ったグドンを一掃して、村に平和を取り戻して下さい」
 深く頭を下げた霊査士は信頼に満ちた瞳で冒険者たちを送り出したのだった。


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参加者
夢纏・ヴィヴァーチェ(a00191)
焔銅の凶剣・シン(a02227)
闇薙グ黒蛇・ユア(a12046)
めろんなパティシエ・ミルテフィーナ(a15361)
銀の翼に望みを乗せて・カグラ(a31332)
阿修羅神姫・アスカ(a44856)
八葉蓮華・セリハ(a46146)
ヒトの武人・ヨハン(a62570)
NPC:紅蓮閼伽・エルフォミナ(a90166)



<リプレイ>

●終焉を告げる者達
 夏の日差しを柔らかく受け止める緑の紗、輝く木漏れ日は美しく、さやさやと梢を揺らす涼風が、再誕・ヴィヴァーチェ(a00191)の銀髪をふわりと撫でていく。
 深い、深い、森の奥。
 辿り着いた先にあったのは神秘的な風景ではなく、無残に色褪せた古の残骸。
「綺麗だった頃の面影は無し……ね」
 彼女の視線の先、木立の奥に望む古色蒼然とした砦は、長き時の腕に抱かれ緩やかな荒廃の只中にあった。
「ホント、時の流れって恐ろしいわぁ……」
 ふか〜い溜息を零すヴィヴァーチェの言葉には何やら実感が篭っている。青い瞳には何故か同情の色が浮かんでいるような。
「……グドンが砦を使うとはな。彼奴等が根城にした故に、荒廃が一気に進んだのやも知れんな」
 対して、阿修羅神姫・アスカ(a44856)の瞳は鋭く砦を見据えている。
 忘れ去られた古代の遺物。例え緑に侵食されていようとも、それが自然のものであれば崩れ逝く姿とて美しく、清々しいものと映っただろうに。確実に『何か』が住み着き汚染された気配が砦を異様な空気で包んでいるのだ。
「お待たせ、……始めるよ?」
 囁き声と共にパラパラと頭上から緑の葉が落ちてきた。見上げれば、天駆ける翼・カグラ(a31332)の白い翼が枝葉の間で揺れている。
 砦の四方を守る見張台、そのうちの一つに遠眼鏡越しの視線を固定したまま木上でおよそ数時間。見張りのグドンが一匹になるのを待った末、漸く報われる瞬間が訪れたようだった。
 じっと身を潜めていた緑の狭間から抜け出し、冒険者達が武器を取る。それを見届け、白き翼の如き強弓に矢を番えれば、カグラの身体から紅蓮と青の陽炎が立ち昇った。
 鳥の声が遠ざかり静寂がその場を支配する。紅玉の瞳が狙いを定めた先、鼬グドンが背を向けた――今!
 弓弦の音が静寂を破った。
 放たれた矢は狙い違わず的を射抜き、敵は絶叫と共に見張台から落下していったのだ。
 視線を交し合った冒険者達の脚がほぼ同時に大地を蹴る。
 落下した死体に突き立つ矢は一目瞭然。ならば此方の存在を確信するまでの僅かの間に侵入を果たすしかない。
 走り抜けた先、眼前に聳え立つ苔生した防壁の向こうでは、敵襲を告げる耳障りな怒声が響いている。
「急げ!」
「ありがと!」
 ロープを渡す暇はない。石壁の隙間に紅蓮閼伽・エルフォミナ(a90166)が次々と突き立てたナイフを足場にして駆け上るように一気に越えた、色持たぬ・ヨハン(a62570)は、刺すような殺気を感じて剣の柄に手を掛けた。
 壁上から見下ろせば数匹のグドンが此方へ向けて弓矢を一斉に放つ所だった。グドンらしからぬ統率された素早い対処である――だが。
 刹那、風が唸り、悲鳴が上がった。
 ヨハンが身に纏う烈風――剣風陣に弾かれて、己の矢に貫かれたグドンの悲鳴が。
「恨むなら恨んでくれていいよ」
 痛みを堪えるように顰めた眉、この呟きも一種の自己満足なのかも知れない。それでも。
 無辜の民を救う為ならば、剣を取る事を躊躇いはしない。
「もう二度と、村は襲わせない!」
 壁を蹴って飛び降りた先、着地と同時に抜き放った銀の剣閃がグドンを薙ぎ払った。その剣圧と気迫に押され、続々と広場に集まりつつあったグドン達は怯んで足を止める。その虚をついて全員が防壁を越えての侵入を果たしていた。

●痴れたもの、虎を知る
 侵入者を排除しようと続々と集まるグドン達は、未だ己の眼前に在る危機を知らない。
「むむむ。お食事を用意しなくても、たーんと集まってきましたですねー」
 せっかく用意した撒き餌は荷の中に収まったまま。めろんなパティシエ・ミルテフィーナ(a15361)はちょっぴり残念そうだったが。
「もともと、グドンには勿体無い餌ばかりだったんだ。心配せずとも食料は後で私が有難く頂戴するぞ」
「いえ、それもどうかと思いますけれど」
 エルフォミナのボケなんだか真剣なんだか、たぶん真剣なんだろうな困ったことに、な発言を、虚飾華・セリハ(a46146)が一応、笑顔で諭してみたり。
 軽口を交わす間にも包囲網はぐっと縮まって、緊張が一気に膨らみ弾けた瞬間、グドンたちは一斉に襲い掛かってきた。
 しかし、待っていたのは、手立てのないまま背中合わせになって防御姿勢を取っていた――ように見せ掛けて敵を惹き付けていた、冒険者達の強かな反撃。
「皆に迷惑掛ける悪い子達にはお仕置きが必要……だよね?」
「お、おしおきですか? 得意じゃありませんけど、頑張りますっ」
 綺麗な笑顔で無邪気にさらっと言い切った、闇薙グ黒蛇・ユア(a12046)の言葉に、只今絶賛鍛錬中の調理筋で力瘤(見えないとか言っては駄目です。心の目で見ればそこには確かに力瘤があるのです。たぶん)を作ったミルテフィーナがえいと気合をいれて、二人同時に術を綴れば空に煌びやかな紋章が忽然と姿を現す。
 吐き出された無数の光弾は網の目のように交差して、包囲の一角を易々と突き崩し、
「段取りは違うけど……まあ、何とかなるよね!」
 エンブレムシャワーの洗礼を逃れたものの足元に真紅の矢が突き立ち、刹那、噴き上がった爆炎が――カグラの放ったナパームアローが、絶叫ごとグドン達を飲み込んだ。その爆発を運よく避けたとしても、
「お前の相手は我だ!」
 今は仲間の盾とならんと、立ち塞がるアスカの剣風に薙ぎ払われ、グドン達は石斧を振りかざした態勢のまま絶叫を上げて倒れていった。
 ここまでくれば、如何なグドンであろうと実力差は解るのだろう。一匹が後退り、そのまま逃走に移ると、溢れた水が流れ出すようにグドン達は雪崩をうって逃げ始めた。
 いや、正確には『逃げようとした』だ。
「悪ぃな、こっから先は通行止めだ」
「怨みたければどうぞ。けれどもう――此処からは出しません」
 待ち構えるは、虎が二匹――焔銅の凶剣・シン(a02227)とセリハが唯一の出入り口である正門をとっくに塞いでいたのだ。
 一瞬怯んだものの、逃げ場を求めて心を決めたのか、正門に殺到するグドンたち。しかし決死の突撃はあっさりと跳ね返された。
 シンの裂帛の気合に硬直したところを、セリハの開放した闘気の渦にひき潰され、あるいは、巨大な鉄塊の如き大剣を鞍上にあっても軽々と操るシンの琥珀の刀身が叩き潰し、うまく隙間をすり抜けたと思っても、そっと添えられたセリハの白い手から爆発的な「気」が迸り、吹き飛ばされて。
 やがて広場に出てきていたグドンは残らず殲滅された。
「これでだいたい30……かな。残りは室内だろうね」
「それとピルグリムグドンも残っているぞ」
 倒した数を確認したヨハンが言うと、血糊を払った剣を鞘に収めたアスカが答える。
「はーい、集合ー。ここからは二手に分かれて残党退治よね。慎重に、でもパパッと手堅く片付けていきましょ」
 ポンポンと手を打ち合わせたヴィヴァーチェの声を切欠に、シンとセリハを正門に残して二手に別れた冒険者達は、互いの無事を誓い合い、建物内部へ歩を進めた。
 白蜘蛛の編む網の中へと。

●深淵に誘うモノ
 探索は順調に進み、冒険者達は建物に潜むグドンたちを次々と屠っていった。身軽な体躯を活かして奇襲を仕掛けてくるグドンもいたが、そんなもので圧倒的な実力差を埋められる筈もない。
 奥へ奥へと進んだヨハン達はやがて突き当たりの部屋まで行き着いた。半ば以上腐って壊れている扉を蹴り倒して中に入る。その部屋もまた、多分に洩れずグドン達によって汚されきっていた。食いかけの食料や寝藁が散乱し、腐臭の漂う淀んだ空気に、思わず口元を押さえる。その瞬間――物陰で息を潜めていた3匹のグドンが奇声を上げて襲い掛かってきた!
「またか!?」
「もう、その手は通じな――い!?」
 一瞬で迎撃態勢を取った4人はしかし、次の瞬間、驚愕の声を上げるはめになった。なぜなら、床に亀裂が走ったかと思うと、ガクンと足元が沈み込み――そのまま落下していたからだ。
 ああ成程、ピルグリムグドンの攻撃が床を切り崩したのか――と考えたのは後の事。今は落ちた暗闇の中で自分を受け止めた粘つく糸、ピルグリムグドンの張った罠の拘束を振り切る為に力を振り絞るのが先決だった。
「こ、ん、の〜、おバカなわりに結構洒落た真似してくれるじゃないか! ……ん?」
 じたばたじたばた。
 暗闇に慣れてきた視界の中、よく見ると、ユアの隣ではグドンが同じようにもがいている。
「って、仲間もろともなの!? やっぱアホだ!!」
 思わずツッコミを入れたユアの頭上が暗く翳った。ビリビリと肌を刺す殺気、濃厚な死の気配――見上げた先にはグロテスクとしか表現しようのない、ピルグリムグドンの姿。乾いた音を立てて蠢く八本の触手が高々と振り上げられ、眼前に迫る禍々しき爪。
「聖なるかな、聖なるかな……汝 幸いなる魂よ……!」
 ヴィヴァーチェの鈴の音の如き声が闇を裂く。刹那、ユアは清らかで温かな波動が自分を包み込んだのを感じた。
 閃光が交差する。
 爪が腹部を切り裂くのと、頭上に召喚した火球を撃ち出したのはほぼ同時だった。
「……痛っったい、じゃんか!」
 反撃によって辛うじて致命傷は避けた。自分の血の香なんて嗅ぐもんじゃないなと思いつつ、耳に届いたヨハンの力強い歌声に励まされて体勢を立て直す。
 ヴィヴァーチェの唱える静謐の祈りがなければ危なかっただろう。
「ユアさん、下がって!」
 術士を庇い、盾を構えて前に出たヨハンの視界の先、一瞬で飛びずさった白蜘蛛は幾重にも張られた網を伝って彼らの隙を窺っているようだ。ユアの反撃が効いたのかも知れない。
 それは、ヨハンが首から提げておいた笛を鳴らすのに十分な一拍だった。

●炎と焔
 仲間が駆け付けるまでの間4人で如何に耐え抜くかが勝敗の分かれ目であったろう。その点、彼らは良く持ち堪えた。とは言え、いつ倒れてもおかしくない程の満身創痍となったものだが。
 駆け付けた先、ぽっかり開いた暗闇の顎へと仲間を救うべく躊躇わず飛び込んだミルテフィーナたちの目に飛び込んできたのは、立っているのがやっとなくらいに傷ついた4人の姿で。
「……やってくれるじゃねぇか」
 物騒な気配を纏ったシンの身の内で血が滾る――血の覚醒は、同様にアスカの身にも起こっていた。新緑を思わせるミルテフィーナの声が勝利の歌を奏でれば、瞬く間に塞がってゆく傷口。これで祈りに専念できると安堵の息を吐き、ヴィヴァーチェは改めて静謐なる祈りを捧げる。
 文字通り降って沸いた新たな敵に、ピルグリムグドンの体は怒りで膨れ上がったようだった。激情のままに目前の獲物へ叩きつけた触手の一撃はしかし、鋼の腕に遮られる。
 闇色のマントが翻った向こうで双剣を構えたセリハの漆黒の瞳は、戦いの中にあってさえ深く静かな輝きを湛えていた。それは、散り逝くモノを送る色。
「黒水晶の裡に、白い悪魔は不似合いですし……ね」
 密やかに微笑んで。セリハの剣先が優しくひとなでしたかと思うと、金剛石の如き硬質を誇る触手が内側から弾け飛んだ。苦悶の叫びが地下室の淀んだ空気を震わせる。痛みの中で白蜘蛛が闇雲に放った衝撃波に引き裂かようとも、抜き身の剣を引提げてアスカは気迫と共に突き進んだ。
「我が修羅の剣、その身でとくと味わうがいい!」
 凛と響き渡る一喝。アスカの猛々しい一撃は鋼の如き白糸ごと触手を分断し、覚えず体勢を崩したところに、雷光纏うヨハンの白刃が一閃。紫電が闇を鮮烈に照らし出す。
「――逃がさないよ!」
 堪らず天井方向へ跳躍したピルグリムグドンに突き立つ矢・矢・矢。一度に三本もの矢を放つという離れ業――ガトリングアローを披露したのは無論、カグラだ。彼は独り、上階の穴の縁に残って退路を断つ任を負っていた。長距離射程を誇る牙狩人の彼にしか出来ない役目であった。
 矢に撃たれて落ちる異形を落下地点にて待ち受けていたのは戦場にあって煌く琥珀の刀身。
「よぅ、待ってたぜ」
 壮絶に笑ったシンが上段から巨大剣を振り下ろす――!
 躊躇わず踏み込んだ、破壊の一撃。己が力を最大限に高めた彼の斬撃がピルグリムグドンの胴体に巨大な穴を穿った。
 噴き出した体液が白い雨となって降り注ぐ。自らの網に抱かれるように墜ちたピルグリムグドンの眼前を覆いつくすのは、逆巻く炎。
 ミルテフィーナの操る緑の秘術、乱舞する紅蓮の木の葉に包まれて、もはや声も無く、ピルグリムグドンの身体が崩れてゆく――
「……おやすみ」
 そっと瞼を伏せたユアの頭上に忽然と出現する火球。撃ち出されたエンブレムノヴァが止めとなり、二つの炎に浄化された異形は塵となって消えていった。

●緑の陰影
「皆さん、お疲れ様でした。傷が残っていたりしませんか?」
 ミルテフィーナの柔らかな声が戦闘の終わりを告げた。ほっと緊張が解けて、和やかな空気が周囲に漂う。
「大丈夫だ、有難う――お疲れ様だったな」
 今まで気を張っていたのであろう。漸く何時もの笑顔を見せたドリアッドの少女に、エルフォミナもまた笑顔になって、互いの無事を祝い合う。
「討ち漏らしがないか、確認した方がいいよね」
 ヨハンの提案に否はなく、一息つく間も惜しんで、冒険者達は砦の中を再確認してまわった。結果は50弱――10匹余りを逃がした計算になるが、統率するリーダを失ったいま、この程度であれば問題はないだろう。
 そして、出来うる限りの墓を作ってグドンの亡骸を埋葬した。
「……安らかに眠れますように」
 粛々と祈りの言葉を唱えたヴィヴァーチェの表情には、独特の翳りがあった。ヨハンは思う。互いの領分を侵さず、ただ自然の中で暮らしていけたのなら――それをグドンという種に求めるのは、やはり人の傲慢なのだろうか。
「……かつて壮麗なる景観を誇った黒水晶の砦が墓標なら、十分だろ。――さ、帰るか!」
 何れ全てが森に還るなら、と。何もかもをあるがままに受け止めるような深い色を瞳に浮かべ、半瞬で消し去って、シンは仲間を帰路へと促す。
 夜の帳に包まれた森。頭上には夏の星空が広がって――太古の昔より変わらぬ輝きを放つ星々は、今を生きる彼らをただ、見守っているようだった。


マスター:有馬悠 紹介ページ
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作成日:2008/07/17
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