犬小屋ツムリ



<オープニング>


●ツムリ
 チキンレッグの辺境にある村で、巨大なカタツムリ型のモンスターが現れて困っている。
 このモンスターは何故か背中に犬小屋を背負っており、ウーズとよく似ているのが特徴だ。
 犬小屋には円らな瞳のチワワが棲みついている様に見えるのだが、実はモンスターに捕まっているだけらしい。
 いまのところチワワが飼われていたものなのか、単なる雑種なのか分かってないが、さすがに見殺しにするわけにはいかないからな。
 ただし、チワワはとても怯えており、人間さえも信用する事が出来なくなっているから、例えモンスターから救い出したとしても逃げ出してしまう可能性が高い。
 早く捕まえないとモンスターの餌食になってしまうから、何とかしてやってくれ。


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参加者
六風の・ソルトムーン(a00180)
月穿つ豹の爪牙・セリオス(a00623)
猫又・リョウアン(a04794)
冷厳たる十三夜月・アキトキ(a06986)
親愛なる隣りの魔王・マオーガー(a17833)
暁月夜の幻影・ルシエル(a36207)
依頼依存症・ノリス(a42975)
黄昏の守護竜・ラーズ(a64111)
常夜をひらく鈴の音・クルシェ(a71887)
子犬忍者・アイテル(a74017)


<リプレイ>

●辺境地域
「犬小屋を背負った巨大カタツムリ……。これはまた奇妙なモンスターさんですね。カタツムリさんも犬が好きなのでしょうか?」
 不思議そうに首を傾げながら、光明の詩を紡ぐ・クルシェ(a71887)が口を開く。
 クルシェ達は犬小屋ツムリを退治するため、チキンレッグ領の辺境地域にやってきた。
 犬小屋ツムリはその名の通り、背中に犬小屋を背負っており、何故かチワワまで飼っている。
 このチワワは獲物を油断させるための囮なので、その時の流行に合わせてゴールデンレトリバーや、シベリアンハスキーなどに犬種を変えているらしい。
 もちろん、用済みになった犬はペロリと食べられ、犬小屋ツムリの栄養になっている。
「しかし……、どういう経緯でモンスターの背中に犬小屋が乗ったのだろうな。まぁ……、考えても仕方のない事だが……」
 険しい表情を浮かべながら、月穿つ豹の爪牙・セリオス(a00623)が溜息を洩らす。
 モンスターの背中には犬小屋が乗っており、まるで最初からあったかのようにピッタリとハマッている。
「とにかく今はチワワの救出を優先しましょう」
 蔦と鋼で出来た子犬運搬用のキャリーバッグを調達し、依頼依存症・ノリス(a42975)が遠眼鏡を覗き込む。
 チワワは犬小屋の中でションボリとした表情を浮かべており、オロオロとした様子で逃げるチャンスを窺っている。
「可哀想だから早く助けてあげないとね」
 忍犬の子犬(シロちゃん)を抱きしめながら、子犬忍者・アイテル(a74017)が物陰に潜む。
 そのため、シロちゃんも緊張した様子で、ゴクリと唾を飲み込んだ。
 ……緊張の一瞬。
 うまく先手を取らねば、それだけチワワの身に危険が及ぶ。
「それじゃ……、行きますよ」
 ハイドインシャドウを解除し、黄昏の守護竜・ラーズ(a64111)が合図を送る。
 それに合わせて仲間達が辺りに散らばり、犬小屋ツムリのまわりを囲んだ。

●犬小屋ツムリ
「……モンスターに捕まっているチワワ、か。何故、捕まっているのかよく分からんが、やる事は変わらんな」
 険しい表情を浮かべながら、冷厳たる十三夜月・アキトキ(a06986)が遠眼鏡を覗き込む。
 犬小屋ツムリは獲物が引っ掛かるのを待っているため、その場に留まったままピクリとも動かない。
「それにしても犬小屋なんて背負って重くないのかなぁ……?」
 何気ない疑問が脳裏に過ぎり、暁月夜の幻影・ルシエル(a36207)がボソリと呟いた。
 どうやら犬小屋はどこかで手に入れたものらしく、明らかに人の手が加わっている。
 だが、犬小屋を背負っている理由は謎で、霊査士も首を傾げていたらしい。
「まぁ……、俺はあんまり犬とかトキメかないし、小動物に対する愛情なんか欠片も無いから、関係ないかなー。まぁ、放っておくと危ないから退治するつもりだけど……」
 まったくヤル気がない表情を浮かべ、親愛なる隣りの魔王・マオーガー(a17833)が答え返す。
 チワワばかりを気にしていると、犬小屋ツムリの餌食になってしまうので、まったく油断する事が出来なかった。
「ツムリと言うより、犬小屋を乗せたウーズといったところか」
 グランスティードに乗りながら、六風の・ソルトムーン(a00180)が冷静に犬小屋ツムリを観察する。
 犬小屋ツムリはウーズの一種であるらしく、獲物を溶かして食べるらしい。
「そろそろ、こちらも動きましょうか」
 救出班の準備が整ったため、猫又・リョウアン(a04794)が犬小屋ツムリの行く手を阻む。
 次の瞬間、救出班が一斉に走り出し、チワワの元に駆け寄った。

●チワワ
「いまのうちにチワワを助けるよ〜」
 能天気な笑みを浮かべながら、アイテルが一気に間合いを詰めていく。
 しかし、チワワとしてはアイテル達でさえ信用する事が出来ないため、身の危険を感じて勢いよく飛び越えた。
「この子に危害が及ばないようにしないと」
 ハッとした表情を浮かべながら、ラーズがチワワの逃げ道を塞ぐ。
 そのため、チワワが大粒の涙を浮かべ、パニックに陥って逃げ惑う。
 脳裏に過るのは、犬鍋パーティ。
 何故か、そこでは劇画タッチのラーズ達。
 無駄に眉毛が厚くて、彫りが深いのは、チワワ自身のイメージである。
「どうにかして早く捕まえないと……」
 鎧聖降臨を発動させながら、ノリスが粘り蜘蛛糸を放つ。
 だが、犬小屋ツムリの動きを封じただけで、チワワを捕縛する事は出来なかった。
「お、落ち着いてください。私達は味方ですっ!」
 チワワに言い聞かせるようにしながら、クルシェが籐製バスケットの蓋を開ける。
 それに合わせてチワワが素早く身を屈め、クルシェ達の間を擦り抜けていく。
「……このままだとマズイな」
 ペインヴァイパーの力で効果が増した影縫いの矢を放ち、セリオスが犬小屋ツムリの足止めを試みる。
 その間にチワワが何を思ったのか、犬小屋めがけてジャンプした。

●最悪の事態
「わざわざ自分から犬小屋に戻るとは……、それこそ自殺行為じゃありませんか」
 呆れた様子で溜息をつきながら、リョウアンが犬小屋ツムリにワイルドキャノンを撃ち込んだ。
 その一撃を喰らって犬小屋が派手に吹っ飛び、チワワが驚いた様子で目を丸くさせる。
 ……これで帰る場所が無くなった。
 明日からどうやって雨風をしのげばいいのだろう。
 そんな考えが脳裏を過る。
 そして、次に浮かぶのは、鍋パーティ。
 ご丁寧にリョウアン達の顔には、真っ黒な横棒で目張りが施されている。
(「なんだ、この不気味な気配は……。まさか、このチワワが……」)
 警戒した様子でチワワを見つめ、アキトキがダラリと汗を流す。
 チワワの身体から妙な殺気が漂っているのだが、理解する事が出来ないので困っている。
 例えるなら、ヘビに睨まれたカエル。
 迂闊に近づけば、恐ろしいしっぺ返しを喰らう事になるだろう。
「とりあえず、こっちを何とかしておくかな」
 のほほんとした表情を浮かべ、マオーガーが犬小屋ツムリに剛鬼投げを放つ。
 次の瞬間、犬小屋ツムリが宙を舞い、巨大な岩の上に落下した。
「チワワを救出するまで、大人しくしていてもらおうか」
 警告混じりに呟きながら、ルシエルが気高き銀狼を嗾ける。
 しかし、犬小屋ツムリは大人しくしておらず、凄まじい勢いでチワワを追いかけていく。
「ご利用は計画的に!」
 すぐさま紅蓮の雄叫びを放ち、ソルトムーンが犬小屋ツムリの動きを封じる。
 その雄叫びは仲間達の心にも、深く刻み込まれるのであった。

●救出完了
「捕まえたっと♪」
 一瞬の隙をついてチワワに飛びつき、アイテルがニコリと微笑んだ。
 そのため、チワワがパニックに陥っているが、シロちゃんは嬉しそうにまわりを回っている。
 この時、チワワは……食われると思った。
 よく見れば既に鍋まで用意され、グツグツと野菜が煮込まれている。
 それだけでチワワの脳裏には、地獄絵図が広がっていく。
『お、落ち着いてください。私達は味方です。あなたを助けに来ました』
 魅了の歌でチワワに語りかけ、クルシェが優しく頭を撫でる。
 チワワも最初は巧妙に仕組まれた罠だと思っていたが、彼女の優しさに触れていくうちに、自分が勘違いしていた事を悟った。
 だが、飼い主が既に犬小屋ツムリに食われていたため、チワワには帰る場所がない。
 その事をクルシェ達に伝えると、『里親を探そう』と言う話になった。
「クッ……、どうやらノンビリもしていられないようだな」
 犬小屋ツムリのタックルをかわし、ノリスが粘り蜘蛛糸を放つ。
 しかし、犬小屋ツムリの抵抗力は高く、動きを封じる事が出来ない。
「仕方ありませんね……、行きます!!」
 犬小屋ツムリの行く手を阻み、ラーズがホーミングアローを撃ち込んだ。
 それでも犬小屋ツムリは怯む事なく、飛びかかるようにしてチワワに迫っていく。
「一度は冒険者だったんだろう。子犬の力に頼るような真似事はやめようじゃないか」
 犬小屋ツムリを叱りつけながら、ノリスが再び粘り蜘蛛糸を炸裂させる。
 その一撃を喰らって犬小屋ツムリの動きが止まり、仲間達が避難するだけの時間を稼ぐ事が出来た。
『俺達はチワワの避難を優先する。だから、ここは頼む!』
 ガトリングアローで犬小屋ツムリを牽制し、セリオスがタスクリーダーで仲間達に合図を送る。
 それに合わせて仲間達が犬小屋ツムリのまわりを囲み、次々と攻撃を仕掛けていくのであった。

●ツムリ鍋
「……お待たせしました。次はあなたの番です」
 犬小屋ツムリに語りかけるようにしながら、リョウアンが一気に間合いを詰めて破鎧掌を叩き込む。
 次の瞬間、犬小屋ツムリが派手に吹っ飛び、緑色の体液が飛び散った。
 そのため、犬小屋ツムリは身の危険を感じ、リョウアン達に背を向けて逃げていく。
「パーティの主役が帰ってどうする。既に鍋は煮えている。今度は貴様が食われる番だっ!」
 グランスティードに乗ってハルバードを振り下ろし、ソルトムーンがキッパリと言い放つ。
 その言葉を聞いて仲間達まで衝撃を受けているが、既に鍋が煮えている以上、後戻りする事は出来なかった。
「……料理を食べさせる者の端くれとして、食べたら美味いが腹を壊すようなもの、食べたくも無ければ誰かに食べさせる気も無い。無論、食べたい、という者を無理に止める気は無いが……。そもそもモンスターの肉だからな。気分の良いものではないだろうに……」
 複雑な心境に陥りながら、アキトキが犬小屋モドキにサンダークラッシュを放つ。
 確かに味は絶品らしいのだが、腹を壊す事が確定しているので、好き好んで食べたいとは思わない。
 それだけの危険を冒してまで食べる価値があるのかも知れないが、本音を言えば食べずにスルーしたかった。
「さあ……、焼き加減は何がお好みだ?」
 既に他人事として脳内で処理し、ルシエルが犬小屋ツムリにエンブレムノヴァを放つ。
 それと同時に香ばしい匂いが辺りに漂い、ルシエル達の胃袋を激しく刺激する。
 ……一口だけなら大丈夫かも知れない。
 そんな邪な気持ちが脳裏を過るのだが、相手がモンスターである事を考えると、やはり危ない橋は渡れなかった。
「まぁ……、みんなで食べれば怖くないさ。……多分」
 マイペースなノリで指天殺を放ち、マオーガーが犬小屋ツムリにトドメをさす。
 そして、冒険者達は譲り合いの精神を大事にしながら、出来たばかりの鍋を仲間達に勧めていくのであった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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