フラウウインド浮上!:力こそ全て



<オープニング>


●フラウウインド浮上!
 新大陸、フラウウインド大陸の浮上!
 それは、ドラゴンズゲート白虎帝城周辺の海域を探索していた、サンダース3号よりもたらされたのは、驚きの報告であった。
 フラウウインド大陸は、千年以上もの間海底に沈んでいたにも関わらず、浮上と同時に、その生命活動を再開させていた。
 海の底深くで眠っていた森は、太陽の光をあびて深緑に輝き、鳥のさえずりと動物達の息吹に包まれる。
 それは、神の奇跡であったのかもしれない。
 七柱の巨大な剣により封じられていたフラウウインド大陸は、いままさに、封印を解かれて蘇ったのだ。
●力こそ全て
「皆、集まったみたいだね? それじゃ依頼の説明を始めるねっ♪」
 ストライダーの霊査士・ルラル(a90014)は、集まった君達を確認して。
「フラウウインド大陸の浮上の話は、皆も聞いてるよね?。今はまだ白虎帝城の地上側、その出口周辺しか探索は進んでないけど、この未知の大陸を放っておく事なんて出来ないよね? そこで皆には、この大陸の探索をしてきて欲しいんだ」
 そしてルラルは、フラウウインド大陸の地図をばさりと広げる。
「皆が今回行く場所はね、うーんと……だいたいこの辺りかな?」
 うっそうと生い茂る森を指し示すルラル。白虎帝城の周辺である。
「この辺りは深い森なんだけど、その近くから古代ヒト族の建造物や遺跡のような物は見つかってないんだ。でも、このフラウウインド大陸に、ドラゴン化した古代ヒト族が住んでいたことは間違いないんだよ♪」
「皆には、その切っ掛けを手に入れる為にも、探索範囲を広げて調査をして貰いたいんだ。そうすれば、きっと新しい事実が解明出来ると思ったんだ♪」
 そうルラルは言うと、更に詳細説明を始める。
「勿論探索するとなると、目の前には様々な動物が現れると思うんだ。その動物は勿論このランドアースにいる動物と比べれば高い能力を持ってて、危険な動物たちって事だと思うの。更にアビリティのような能力を使ってくるから、油断は大敵だよ?」
「それで、皆の前に出てくる敵だけど、何て言えばわかりやすいかな……おーきな熊、って言うのが多分一番わかりやすいかな? 大きな身体と、破壊力抜群のかぎ爪の手で攻撃を仕掛けてくるよ。勿論その身体は大きいから動きは遅いと思うけどね。後は……そう、この熊なんだけど、ソニックウェーブに似た攻撃をしてくるみたい。爪をぶーんて振りかざした後に、衝撃波を出すみたいな? 色々と攻撃手段が有るみたいだから、その辺りは注意して来て欲しいんだ」
 そこまで言うと、ルラルはにかっと微笑みながら。
「それじゃ最後になんだけど、今回皆が遭遇する敵は、同盟諸国にとって新発見の動物になると思うんだ。新種動物を発見した人が出来る権利、動物の名前付けもみんなにお任せしたいと思うの。帰ってきたら、ちゃーんとルラルに教えてね☆」
 ピースサインを出しながら嬉しそうに微笑むルラル。そして。
「それじゃあ皆、頑張って行ってきてね! ルラルここから応援してるから☆」
 と言いながら、君達を送り出すのであった。
 
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!グリモアエフェクトについて!
 このシナリオはランドアース大陸全体に関わる重要なシナリオ(全体シナリオ)ですが、『グリモアエフェクト』は発動しません。
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マスター:幾夜緋琉 紹介ページ
 皆様どうもおはようございます、幾夜です。
 
 新たに現れた大陸であるフラウウインド大陸……今回の依頼はその大陸に出没する新種の動物を調査する事になります。
 戦闘を行う場所については、立地条件上足下や見通しも少々悪い場所となりますので、その辺りも注意する必要があるでしょう。
 又、敵の能力は全てオープニングに記された通りですが、敵の名前については皆様に決めて頂くことになりますので、その点も必ずプレイングに含めて下さいね。
 尚、名称については、外見・能力に沿った名前でもいいし、自分自身の名前を冠したものでも構いません。
 ただ、あまりに長かったりする物や、読みにくかったりする名前、そしてその他大人の事情で採用できなかったり、一部修正する可能性もありますのでその点だけはご了承下さいね。
 
 それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております。

参加者
ストライダーの忍び・フォルテ(a00631)
海神の赤槍・トバイアス(a15257)
貪欲ナル闇・ショウ(a27215)
ランドー・ルシュド(a28710)
貴女だけの守護天使・レグナ(a62816)
深淵に羽ばたく翼・アザゼル(a63456)
血風纏ウ黒衣ノ剣魔・シャノン(a66670)
消え逝く緑・フィルメイア(a67175)


<リプレイ>

●命芽生える森
 フラウウインド大陸へと到着した冒険者達。
 目の前には、多く生い茂る森が広がっており、ルラルの言う『熊』を探しにその森の中へと向かっていた。
「かつては封印されていた大陸か……なかなか面白い事になってきたじゃないか……ふふふ、なかなか楽しめそうだ……」
 にやりと笑みを浮かべるのは深淵の堕天使・アザゼル(a63456)。その言葉に頷くのは震角・ルシュド(a28710)。
「そうだな……海の底にこんな所があったとは……サンダースからは見えなかったな」
「ふむ……そうか。深い海の中に沈んでいたのだろうか」
 顎に手を当てるのは血風纏ウ黒衣ノ剣魔・シャノン(a66670)。その言葉にルシュドが両手をお手あげ、といった風に上げながら。
「解らないな。ともかくボク達の仕事はルラルの言う熊を倒す事だし、な」
 と頷く。
 そして……いざその森の中へと入る。
 周囲の森林を眺めながら。
「いやぁ、新大陸を探索だなんて、ドキドキしますねぇ。教科書に載っちゃったりして」
 にっこり微笑むのは貴女だけの守護天使・レグナ(a62816)。そしてその言葉に対し。
「そうだな…………ここがワイルドファイア並に、一般常識がズレていそうで、ちと心配だな……それがその熊だったりするのはもっとイヤだが」
 貪欲ナル闇・ショウ(a27215)がふぅ、と溜息をはきながら告げる。
 巨大な身体をした熊という話……僅かにワイルドファイアとその境遇が被っていた。
「まぁ、例え未知の相手だとしても、ともかく鈍った身体にゃ丁度よい相手だ。ちょいと暴れさせて貰うぜ。力こそ全て、なんだろう?」
 海神の赤槍・トバイアス(a15257)の言葉に頷くのは、終炎・フォルテ(a00631)。
「ああ。如何に未知の生物とは言え、流石にグリモアの加護もない熊に負けるわけにはいかんだろう、ストライダーのプライドに掛けてもな」
「……ああ」
 僅かに剣を抜くシャノン。
 同じストライダー同士、その意識には似た所があるのかもしれない。
「その為にも、早く探さないといけませんね……生き物と言う事ですから、私の目は今回役に立つでしょうし……」
 緑の風の魔女・フィルメイア(a67175)がそう言いながら周りを見渡す。
 深い森の中……その中にぼんやりとした熱がその目に浮かぶ。
「……ま、デカイってんだから、手前の目線がそれより上を見て探すか……ここの土地状況も知りたいしな」
「そうですねぇ……クマの爪痕や足跡。他にも建造物とかを探してみると良さそうだね」
「奇襲には注意しないといけないな……どこから出てくるか解らないし」
 トバイアス、レグナ、ルシュドの三人はそう口々に告げながらも歩く。
 ……暫く歩いていくと、更に生い茂る森が目の前に。更にどこからかは、何かの声が聞えてきたような……そんな気がする。
「……薄気味悪い所だねぇ……何か出そう」
 そう……アザゼルが言った瞬間。
『グルゥ……』
 少し遠くから、獣の鳴き声が聞えてくる。
「……やばいね、近くにいるかもよ……」
「……だな、ほら、そこを見ろよ」
 ショウが指を指した所……そこには大きな足跡が。
「皆……準備するぞ」
 タスクリーダーで伝えるフォルテの言葉に頷き、後衛のメンバーを中心にした円陣を組む。
 ……そして、数分息を潜めて待つ。
『グルルルゥ……』
 更にその鳴き声が、近くから聞えてくる。
「……こちら、から、ね」
 耳を澄ませたフィルメイアが、静かに指さす。
 そっちの方向に注意を向けて、更に数分。
『グルルァ!!』
 木々をなぎ倒しながら、1匹の……巨大な熊が、皆の視界に入った。
「きたか……ルラルの言うのは、あいつだな」
 フォルテの言葉に皆が頷く。
 熊は冒険者達の気を感じ、ここまで来たようだが……冒険者達を見つけられないようである。
「丁度良い……不意打ちチャンスだね」
「ああ……まずは前衛が飛びだし、足止めだな……皆、抜からないようにな」
 シャノンとショウの言葉に頷き、熊がその脚を止めたタイミングを狙い……即座にフォルテの粘り蜘蛛糸が放たれる。
『ウガァ……!?』
 不意撃ちの拘束攻撃……しかし熊を拘束するには至らない。その糸の出てきた方向へとその注意を向けた。
「……今よ!」
 アザゼルの言葉に合わせ、シャノンのチキンフォーメーションに乗せて前衛の物達が熊の目の前に取り囲むかのように飛び出す。
「これは……効かないという事か?」
「さぁな……抵抗できただけかもしれないしな」
 シャノン、そしてフォルテが短く言葉を告げ合うと、目前の熊は唇から涎を垂らしながら……唸っている。
 えさが来た……まるでそう言っているかのごとく。
「さぁ……戦闘開始だぜ」
 にやりと笑みを浮かべるトバイアスに、熊は血に飢えた視線を向ける。
「油断はしないで下さいよ、一撃が痛いのですからね」
「バッドステータスになったら、私達に任せてね」
 後方に控えるレグナとフィルメイアが声を出しながら、一人一人にディバインヒールと護りの天使を掛けていく。
 そして……熊は。
『グルルゥァ!!』
 荒ぶる声を上げ、能力者達への攻撃を仕掛け始めた。

●力の限り
「皆、全員で突出しすぎないように注意しろよ、こいつは動きは鈍いが一撃が侮れんぞ、気をつけろ!」
『グァァッ!』
 フォルテが注意を叫ぶと共に、熊のかぎ爪が振り落とされる。
「ふっ……! ……っ!?」
 華麗にその攻撃をバク転で回避するショウ。しかし更に逆の手からもう一発のかぎ爪が放たれる。
 その攻撃を武器で受け止める……激しい震動が身体に襲い掛かるが、どうにか踏みとどまった。
「これは……本当に油断ならないな。出来る限り速攻で仕掛けた方が良いか?」
「……そうだね、むやみに防戦していると、押し切られかねない」
 シャノンの問いにアザゼルがそう告げ、そして……再び動き始める。
「……まずは、本当にバッドステータスが効くかだな……効けば、少しは有利に……トバイアス、フォルテ、頼む」
 ショウの言葉に頷き、まずはトバイアス武器を構えながら……突っ込む。
 みるみるうちに接近する距離……武器を薙げば、命中する程までの距離へと近づく。
 当然熊のほうは、まるでエサが来たかと言わんばかりの残虐な笑みを浮かべながら、そのかぎ爪を上へと振り上げる。
「……しびれろっ!」
「動くなよ……この熊が」
 トバイアスが電刃衝を、そしてフォルテが粘り蜘蛛糸を使い、その動きを止めマヒと拘束を狙う。
 雷に包まれる熊の身体……そして身体に巻き付く蜘蛛糸。
「今だ!」
 フォルテの言葉に合わせ、続けてショウが接近し、サンダークラッシュを放った。
『グゥァァッ!』
 叫び声を上げる熊……しかし、次の瞬間。
 また再びかぎ爪を薙ぐ熊……空気の刃が最後に接近したショウを狙う。
 服を薙ぐと共に吹き飛ぶショウ。即座に後衛のレグナがヒーリングウェーブを放ち、体力を回復する。
「どうやら……そう簡単にはバッドステータスの攻撃はきかないようだね……となれば、出来る事は一つ……」
 ルシュドの言葉に頷き、アザゼル、シャノンが動く。
 左右からそれぞれ接近……。
「ああ、ちょっとそこで寝ててよ」
「……幻惑の剣、見極められると思うなよ!」
 と、二人が指天殺とミラージュアタックで同時に攻撃を仕掛ける。
 大きな身体が災いしたのか……その攻撃を回避する事も出来ずに身体の正中からその攻撃を食らってしまう。
『グラァァ!』
 一瞬の悲鳴のような声……その攻撃はかなりのダメージを与えたようであるが……まだその身体が揺らぐことは無い。
「……やっぱり、体力もバカみたいに多い、という事ですね」
「回復は私達に任せて、手加減せずに攻撃を仕掛けて」
 レグナ、そしてフィルメイアが後方からの力強い言葉を掛ける。
「……後は任せて、やるぞ」
 静かなショウの言葉に頷き、呼吸を合わせる。
 熊からの空気の刃の攻撃を交わし、即座に左右に展開。
 一気に接近し、それぞれの得意とする攻撃手段にて、連携と共に一気に攻撃を仕掛ける。
 終わることのない感情の鎖がつながり、反撃の暇を与えることもなく攻撃を与えていくと……熊の体力も一気に減っていく。
「……ほら、キミは力の強い敵だろう? その力を出す暇も無ければ所詮はその程度なのか?」
「本当に日からが自慢の敵なのか? もしこの程度なら、とっとと帰るが良いだろう」
「所詮その程度、ワイルドファイアに比べればそうでもないな」
 アザゼル、シャノン、フォルテが次々とその言葉を告げていく……すると。
『ウガアァァ!!!』
 大声を上げる熊。もう……やぶれかぶれという言葉が真に合うような攻撃を仕掛けてくる。
 両腕を振り乱しながら、辺りの木々をなぎ倒し続ける……そんな攻撃。
「一端離れて……そう長くは続かないでしょう……むしろ近づいていたら、逆襲に遭います」
 フィルメイアの言葉に従い、前衛の6人が一歩後ろへと下がる。
 ……そして、暴れ終わりその動きが鈍った所で。
「今です!」
 後方から状況を観察していたレグナが叫び、再び総攻撃を仕掛ける6人。
 既に削られた体力と、暴れたために消費した体力……その結果、もうろくに動くことも出来ず、その熊は……冒険者達の集中攻撃の中に沈んでいった。

●その名は……
 そして……熊が倒れた後。
「……本当に、バカ力、いや……バカ体力をした敵でしたね……皆、お疲れ様」
 にっこり微笑むフィルメイア。そしてその懐から筆記具を取り出すと……この獣の特徴を記し始める。
 その間にも、トバイアスがその熊の爪を一枚剥ぎ、フィルメイアに渡す。
 更にその熊の肉を少し切り取り、同じく渡す。
「生態がハッキリすりゃ、今後の調査に役立つかもしれねェしな」
「……やっぱり、肉はしょっぱいのかな? ま、食べてみる気はおきないけれどな」
「そうね……後は何か記すべき事があるかしら? 名前以外に」
「……一番重要な所だな……生憎俺にはいい案が無いが」
 冒険者達に与えられたもう一つの仕事……それは、この熊の名前を付ける事である。
 熊の特徴は記したものの、その名前が決まらない。
「……ベアックマとか……いえ、何でも無いです……」
 小声で提案するもすぐに取り下げるレグナ。他にも色々な名前が提案されるが、はっきりと決まらない状況が続く。
 そんな状況を見て……フォルテが提案する。
「……そうだな。せっかくだし、名付け親はルシュドに一任する。それで良くないか?」
「そうだな……賛成だ」
「賛成ー」
 次々と賛成の言葉があげられ、皆の視線がルシュドに集中する。
 ルシュドはその視線を受けて……うーん、うーんと考えながら……。
「そ、そうだなぁ……ルシュド・グリズリー、って言うのはどうだい?」
 頭をひねりまくって出たその答え。
 その答えを聞いて……少し無言の時が流れる。
「わ、悪いか……な?」
 そうルシュドが取り下げようとしたその時。
「なんだかパッとしないわねー……それじゃ、ルシュド・ベアーはどうかしら?」
「……うーむ……」
 アザゼルの提案に、渋い顔をちょっとするシャノン……しかし、それよりも大きく頷くフォルテ。
「それいいな、じゃルシュド・ベアーで決まりだ。な!」
 ぽんとルシュドの肩を叩くフォルテ。更にトバイアス、レグナ、アザゼルも笑みを浮かべる。
 皆が頷いたその答え……そしてフィルメイアが。
「それじゃルシュド・ベアーで決まり、という事でいいわね? 異論はない?」
 にっこりと微笑むその顔に、ルシュドは……力なく頷く。
 そして、フィルメイアの筆記具により、この熊の名前が記される。

 ルシュド・ベアー。
 強烈な力を持ち、木々をなぎ倒した雄々しき姿をしたフラウウインド大陸のその熊は、今後その名を冠して呼ばれる事だろう。


マスター:幾夜緋琉 紹介ページ
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作成日:2008/07/23
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