南方セイレーン王国、ワイルドファイア大陸へ!



<オープニング>


●南方セイレーン王国、ワイルドファイア大陸へ!
 皆様、お久しぶりです。南方セイレーン王国の女王、ウェヌス・アクアーネです。
 いつも娘達がお世話になっています。……あの子達は、皆様にご迷惑を掛けていませんか?
 まだまだ未熟な子達ですけれど、これからも仲良くしてやってくださいね。

 さて、今日皆様をお呼びしたのは他でもありません。実は、私達南方セイレーン王国のことで、ご報告があります。
 南方セイレーン王国は、このランドアース大陸からワイルドファイア大陸へと、国を挙げて大々的に移住する事となりました。
 遠く離れたワイルドファイアへの移住という事もあり、想像以上に準備に手間取り、皆様へのご連絡が遅れてしまいましたが……ワイルドファイアへ移住しても、私達の関係は何一つ変わりません。今後とも、これまでと変わらぬお付き合いの程を、お願いしますね。

 ……移住する理由ですか?
 実は、女神ランララ様が降臨された折に、天女神ヴィア様からの神託をいただいたのです。
 勿論、最初は不安でしたが……ヒトノソリンの長老様は暖かい歓迎の言葉ををくださり、更には私達の移住先まで用意してくださいました。
 移住には、天女神ヴィア様のはからいで、大怪獣マリンキングボス様のお力を借りる事ができますし……ですから、今ではもう、何の不安もありません。
 8月の中旬には、七大怪獣ロロサの抜け殻を利用して建造した都市船に乗り込み、それをマリンキングボス様に引っ張っていただいて、ワイルドファイアへ向かう予定です。

 その移住についてなのですが……。
 私達が移住した後の、この南方セイレーン王国の領土の統治を、冒険者の皆様にお願いしたいのです。
 長年暮らしてきた土地ですから、今後を気懸かりに思っている民も多いのですが、冒険者の皆様にお願いできるのなら、私達も安心して旅立つ事ができます。
 この件については、移住が無事に完了しましたら、改めて詳しくご相談させて頂きますね。

 それから、もう1つ……。
 今、私の6人の娘達が、手分けして移住の準備を進めているのですが、なにぶん今回のことは、南方セイレーン王国にとって類をみないことですので、少々、手間取っているようです。
 もし、冒険者の皆様に手伝っていただけたなら、民も安心して移住できると思うのですが……。
 経験豊富な冒険者の皆様ご指導いただければ、娘達もきっと、勉強になることでしょう。

 それと……どうやら私は、女王の地位に長く留まりすぎたようですね。
 この移住が無事に終わったら、私は6人の娘の誰かに、女王の座を譲るつもりです。
 もし、皆様の目から見て、それに相応しい王女がいたら……私に教えてください。
 ……この事は、できれば、娘達には内密にお願いしますね。

●王女達から一言
 ここは、ロロサの都市船内。
 そこに6人の王女が集まり、冒険者一人一人に声をかけてゆく。

「お兄ちゃん、お姉ちゃん、こんにちは♪ マルガレッテは、この船の船長さんなんだよう。船長さんとして、いーっぱい頑張るんだよう♪ ……でも、マルガレッテ1人じゃ上手く出来るか心配だから、お兄ちゃんやお姉ちゃんがお手伝いしてくれたら、嬉しいな。マルガレッテ、船長さんのお仕事について分からない事も多いから、いろいろ教えてくれると嬉しいんだよう♪」
 そういうのは、セイレーンの第一王女・マルガレッテ(a90358)。

「わたくしは、都市船の住環境の改善を担当させて頂いております。1週間以上の船旅ですもの、ある程度快適に暮らせなければ、病気になってしまいますわ。特に、ご高齢の方や女性の方、或いは赤ちゃんや子供達など、長期の船旅が辛くならないよう配慮しなくてはいけませんわね。良いアイデアがあれば良いのですけれど……」
 次に姿を現した幸福を齎す女・ベアトリーチェ(a90357)もそう、冒険者に告げた。

「私の担当は、船の中での娯楽。ワイルドファイア大陸に到着するまでは、狭い場所に多くの民がぎっしり詰め込まれた状態で、旅をしなければならないわ。私達セイレーンにとって、プライバシーの無い生活はかなりのストレスよ。そうなれば、喧嘩騒ぎやパニックさえ起きかねないわ。そうならないように、旅の間、特にフラストレーションが溜まる、大人達のストレスを和らげることが重要よね。といっても、使える場所や物は限られるから、アイデア勝負にならざるをえないのよね」
 セイレーンの第三王女・ロベリア(a90359)も冒険者の前に姿を見せる。

「あたしは、食料の運び込み担当だよ。栄養があって日持ちがする食料を、できるだけ多く運び込むんだ。でも、同じ食材ばかりじゃ、きっと飽きちゃうよね。だから、色々変化をつけて食事を楽しめるように準備したいなぁ。ねぇ、みんな! 船旅での食事って、どんなものがあると嬉しいかな?」
 と、セイレーンの第四王女・アリッサ(a90360)もやってくる。

「皆様、お疲れ様でした。わたくしは、家財道具の運び入れなどを担当していますの。勿論、全員の家財道具を全部持ち込むなんて無理なこと。どちらかというと、あれもこれも持ち込みたいって我がままを言う貴族のおじ様やおば様とかを、説得してあきらめさせる仕事の方が多いかもしれませんわね。でも、どうしても言う事を聞いてくれないおじ様とかが多いですから、説得を手伝っていただけると、助かりますわ」
 ドレスを翻しながら、セイレーンの第五王女・エティエンヌ(a90361)も姿を見せた。

「わたしは、マリンキングボス様の体についている怪獣の退治担当よ。マリンキングボス様は、とても大きいから鱗の一枚の裏側に怪獣の群れとかいることがあるのよね。わたし達冒険者なら、なんとかなる程度だけど、都市船には一般人の子達も多くいるから、危険なものは全部取り除かなくっちゃいけないわ。えっ、手伝ってくれるの? それじゃ、一緒にいきましょ!」
 最後に現れたのは、お姫台風・シャナン(a90275)。

 王女達からの切なる願い。
 この願いを叶えられるのは、冒険者であるあなただけ……。


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参加者
NPC:夏風に誘われて・アリッサ(a90360)



<リプレイ>

●思い出の家具と共に
 エティエンヌの前に一人のエンジェルが頭を垂れる。
「今日、エティエンヌ様と共にこの一大プロジェクトに携われた事を心より光栄に思います……」
 ローザマリア(a60096)は丁寧に述べると、もう一度、頭を下げた。
「ありがとうございます、ローザマリア様。貴女のような方の協力が得られて、わたくしも嬉しいですわ」
 エティエンヌはそう嬉しそうに微笑む。
 運ぶ予定の家財道具は山のようにある。特に気難しい者達の対応はかなり遅れていた。
 エティエンヌの元に集まった冒険者は、さっそくグループに分かれて作業を開始した。

「えっとね……そんなに持っていくのは……無理だと思います……なの……」
「そうは言われても、どれも思い出の品なの!」
 強く言い返され、アイリス(a73874)もまた懸命に、移住は皆で行う事。自分の都合だけを考えてはいけない。貴方達だけでなく他にも、大勢の人達がいるということを訴える。
「でもっ……」
 それでも譲らない相手に思わず、涙を滲ませるアイリス。彼女の肩をぽんと勇気付けるように叩き、もう一人の仲間が前に出た。
「大切な思い出がつまっている道具ですもの、あれもこれもと欲張ってしまう気持ちは良く分かりますわ。でも、これからは心機一転、新しい生活が始まるのですから、ここは思い切って、余分なものは処分してみるのも悪くはないと思いますわ」
 助け舟を出すのはミオナ(a38150)。二人の説得が目の前にいる頑ななセイレーンの心をゆっくりと動かしていった。

 別の場所でも説得が行われていた。
「確かに、長年使って来た家具じゃあ……思い入れがあるのも分かる。じゃがのう、今大事なのは、皆無事にワイルドファイアに渡ることじゃ。家具の為に人がこの船に乗れなくなってしもうたら、元も子もなかろう。どうか、分かってくださらぬか?」
 そう、優しく説得するのは、ハヤテ(a59487)。
「新たな思い出を詰める家具は、新たな地で入手されると……より思い出も深くなると思いますよ」
 リナリー(a59785)もそう告げて、必要なものだけを持って行くようにと促す。
「わかりました、では、この鏡台をお願いします。義母の……形見なんです」
 その言葉にハヤテとリナリーは、笑顔で頷いた。

「親切な方ばかりですから、代替品が現地で調達できるかもしれません。必要なら、生活に慣れてから冒険者に持ってこさせるという手もあります」
 カヅチ(a10536)は、奥の手を出した。
「道中きちんと保管できる、取って置きの一品だけをお持ちになるのが一番です。それに多少の大きさの物でしたら、信頼できる方に預けるのも手でしょう」
 ツァド(a51649)も、同じく奥の手を出す。
「わかったわ……でも、少し時間を頂戴。すぐには決められないから……」

 既に用意された家具を前に、ニール(a66528)は、自分の胸に手を置く。
「お任せください。大事な思い出の詰まっているでしょう……大事に運ばせていただきます」
 ニールはセイレーンの女性が大切にしている本棚を持ち上げると、ゆっくりと運び始めた。
 ニールのいる隣の家では、イアナ(a73966)が、荷物を箪笥に入れる手伝いをしていた。
「大きなものから先に奥に詰めて、間に小さめのものを置いて……。極力荷を積めるようにしましょうね」
 若いセイレーンの女性に、荷物の詰め方をアドバイスしながら、イアナはふわりと微笑んだ。できるだけ、思い出を持っていけるようにと。

「っ!? ……呼んでいるなぁ〜ん。ガラクタがわたしを……呼んでいるなぁ〜ん」
 詰め込み作業を終えたトリン(a55783)は、ふらふらと、不要な家具が置かれた場所へと走っていったのであった。

●気持ちのよい場所
 船の中に職人達が入ってくる。船の中を過ごしやすいようにするために、セイレーン達が呼んだものだ。
「すまない、ちょっとよろしいか?」
 作業中の職人に声をかけるのはシーナ(a02280)。
「もしよければ、風通し良くしてもらえないだろうか?」
 水も空気も停滞しては良いものではない。時には病気の元にもなりかねない。そう考えたシーナは船にやってきた職人達に声をかけたのだ。
「ですが、既に発注が……」
「わたくしからも、お願いいたしますわ」
 そう声をかけたのは、ベアトリーチェだ。ふわりと微笑み、ベアトリーチェは続ける。
「ある方を満足させることも大切ではありますが、今はより多くの人々の喜びが大切だと思いますわ」
 その言葉に職人達は、顔を見合わせ頷いた。
「風通しの件、よろしくお願いいたしますわね、皆様」
 側にいたシーナも嬉しそうに笑みを浮かべる。と、エニル(a74899)がやってきた。
「ベアトリーチェ様、こちらでしたか。実は相談がありまして……」
 エニルは船内を巡回し、薬が足りないこと、また船内のトラブルにより、住民の部屋の交換が必要なことに気づき、こうして、ベアトリーチェに頼みにきたのだ。
「そうですか……わかりました。許可いたしましょう。後のことはエニル様にお願いしてもかまいませんか?」
「はい、お任せください」
 ぺこりと頭を下げて、エニルはすぐさま対応に向かった。と、続けて今度はレイク(a00873)がやってくる。
「ベアトリーチェ様、一つ提案があるのですが」
 そういって、レイクは部屋割りの際に、赤ん坊や子供のいる世帯を比較的固めるよう提案した。何かあった際、周りに相談できる相手がいれば、起きる問題も軽減されるはず。ベアトリーチェは、レイクの案を採用した。

 また、別の場所では他の冒険者達が住環境を整えるべく、作業が開始されていた。
「はい、どうぞ」
 具合の悪い女性にそっと水枕を手渡すのは、タケル(a06416)。それだけではない。彼の手には、冷たい水に浸した布が入っているバケツがあった。
「あとは、これを吊るす場所があればいいんですがねぇ」
 タケルは、水に浸した布を部屋に置き、室内温度を下げようと考えたのだ。だが、その布をかける場所がない。
「これをお使いください」
 そう物干し台を差し出したのは、マユリ(a38566)。
「使ってもよろしいんですか?」
「今は使っていませんので。必要になりましたら、またここに来ますから」
 本来は、赤ん坊のおしめを干すために用意してきたもの。だが、たくさん用意しすぎて、余ってしまった物がタケルに渡した一つであった。
 タケルは礼を述べると、すぐさま濡れた布をかけて、部屋を涼しくさせるのであった。

「さてと、次は発注した薬の確認か……」
 子供と老人の人数を把握したテルル(a24625)は、既に発注した薬が届いているかの確認を始める。人数の割には薬の数が足りないことに気づき、テルルが発注しておいたのだ。
「こんにちは。酔い止めの薬をお持ちいたしましたわ」
 そこへ、オルテンシア(a71388)が薬を届けにやってくる。
「おっ! 酔い止めか! 丁度、切らしてたところだったんだ。助かるよ」
 テルルの言葉にオルテンシアは、お役に立てて嬉しいですわと微笑んだ。

 尖っている家具などがないか確認し終えたソウェル(a73093)。
 憂いを絶った後、次に行うのは、階段にスロープを設置することであった。
「これでお年を召した方も通りやすくなりますわね」
 ふうっと汗を拭きながら、自ら設置したスロープを眺める。
「おっ! やるじゃないか。でも、これをもっと使いやすくしてみないか?」
 ソウェルに声をかけるのは、ドライザム(a67714)。
 既にその手にはなにやら、工具や綺麗に加工された木材が用意されていた。
「それは何ですか?」
「手すりさ。こことここの2箇所につけるのさ」
 ドライザムが用意した手すりは、床上50センチの場所と1メートルの2箇所に設置された。老人と子供に考慮してのことである。
「素晴らしいものができましたね」
「ああ」
 二人は満足げな笑みを交わしたのだった。

 きゅきゅっとリズミカルに雑巾が揺れる。アルジェン(a74039)は気持ちよく船内を掃除していた。
「まずは掃除だね。人が居るだけでも汚れはでちゃうから、小まめなお掃除が大切だよっ」
 掃除が終わったら、疲れている人の元へ行き、ガッツソングを歌うつもりだ。
 彼の隣で、元気な子供達が走っていく。
「ダメだよ、騒いだりしちゃ! その部屋には休んでいる人が多いんだから」
 大き目の鉢植えを抱えて、ヤマ(a07630)が子供達へと呼びかける。子供達の側には、老人達が休んでいる部屋があった。ヤマの注意に子供達は不満な様子。
「わたしと一緒に甲板に行かない? 綺麗な花がいっぱいあるよ」
「ホント?」
 興味を示した子供に力強く頷いてみせるヤマ。ヤマは子供達と共に甲板に向かう。甲板の片隅にはたくさんの鉢植えが飾られていた。
 いや、良く見ると全てが生花ではないようだ。
「カーネーションの造花ですわ」
 首をかしげる子供に声をかけるのは、造花を飾ったブルーム(a74314)。
「今、オレンジを持ってきたところですの。ライムもありますわよ。良ければ一緒に食べましょう」
 ブルームの思いがけない提案に、子供達は嬉しそうに頷いた。
「よかったら、こちらでお休みしませんかーですー!」
 甲板の生花を飾り終えたウサギ(a47579)が、ブルームと子供達に呼びかける。ウサギはせっせと甲板にパラソルを設置していた。ピンクに花柄のパラソルの下には涼しい日陰ができていた。
「いくー!」
 子供達が真っ先にパラソルの下に集う。
「少しだけお休みするです」
 ブルームからオレンジを受け取り、ウサギもまた子供達と一緒に少しだけ休憩を。

●船長さんのお仕事
 マルガレッテのいる船長室にノックが響く。
 その後、扉が開き、トリスタン(a43008)が現れた。
 マルガレッテはトリスタンの姿を見て、にこりと微笑んだ。
「マルガレッテ様。先ほど、職人の方がお見えになり、この船の船首につける像についてご意見をお聞かせくださいませ」
 トリスタンに次いで現れた職人達は、自慢の像をつぎつぎと並べていく。
 マルガレッテは、ふと、数時間前のレクチャーを思い出した。

「船長は、どのような状況に置いても的確な判断を下し、船内の方達に安心を与える事、それが最も重要な仕事になりますわ。色んなリスクやデメリットを考慮しながらも、文字通りの『舵取り』をしなければなりませんの。マルガレッテさんの手腕1つに、皆の運命が掛かっているのですわ……」
 最初に口を開いたコチョウ(a41285)は、そういって、穏やかに包み込むように微笑んだ。
「船長にかかわらず人の上に立つ者は、周囲への影響力が大きいのです。何があろうと貴女は不安な表情を見せず、常に笑顔でいてください。それだけでも周囲の不安は軽減されます」
 アドニス(a73869)もまた、巡回の合間を見て、マルガレッテの元を訪れていた。
「アドニスの言うとおり、マルガレッテ様は落ち着いておられる事が何より重要でございます。船長に求められるのは確固たる意思決定でございます。知恵も知識も、水夫達が代わりに絞りましょう。船長殿はその上で最適そうな意見を採用し、それを告げればよろしいのでございます」
 ヨアフ(a17868)も挨拶してから、マルガレッテにアドバイスをする。
 と、レクチャーを受けているマルガレッテの側に、冷たい水の入ったグラスが置かれた。
「マルガレッテ王女、僕も皆も頑張るから大丈夫だよ!」
 安心させるように、グラスを置いたショーティ(a55613)もまた、笑みを浮かべた。
「ありがとう、ショーティおにいちゃん」
 微笑んで、さっそく水を口に含む。と、そっとマルガレッテの側に一枚のメモが置かれた。メモには船長心得六か条が書かれていた。ちなみに六か条の6番目は、早寝早起きだったりする。このメモを渡したのは、グロウスグロウ(a74145)だ。

 マルガレッテは、胸ポケットの上からグロウスグロウのメモを手で触る。
「マルガレッテさま。まずは男性の像か、女性の像かを決めて差し上げるとよろしいかと」
 マルガレッテの側に控えていたババロア(a09938)が、たくさんの像の前でマルガレッテが選びやすいように助言する。
「マルガレッテは……女の人の像が、ううん。天女神ヴィア様の像が嬉しいな」
 笑顔でそう決めるマルガレッテの姿に、周りにいた冒険者達が嬉しそうに頷いた。

●倒すべき相手
 一方その頃。
 甲板の一番見晴らしの良い場所で、遠眼鏡を使ってシバ(a74900)は、それを見つけた。
「あれは怪獣! みんなに連絡!」
 シバはすぐさま、持ち歩いていた呼び子を鳴らした。

 響き渡る呼び子に呼ばれ、現地に着いたフィード(a35267)。
「なるほど、あそこか」
 見つけづらい場所にいた怪獣を発見できたのは、それを予測していた為。フィードはマリンキングボスを傷つけないよう、優雅にソニックウェーブ奥義を放った。
 叩き落された怪獣の前に一人の武道家が立つ。
「さあ、お相手をしていただこうか……!」
 カショウ(a68562)は胸の前で両手をぱんと叩くと、目の前の敵に向かって、ワイルドキャノンを放つ。
「カショウさん、伏せて!」
 新たに現れた怪獣と共に、リッケ(a66408)はエンブレムシャワー奥義を放った。
「ここなら、セイレーンの方々にも見えないね」
 にこりと笑顔を見せて、エル(a08082)は、邪竜身改で強化したエンブレムノヴァ奥義を放ち、目の前の怪獣を倒した。
「ええ。では私達も行きますか。一体ずつ確実に仕留めなくては」
 エルの愛する夫のシェード(a10012)も戦いに加わる。隣には実戦経験の浅いアレイサー(a74584)の姿も。
「はい、シェード先輩! 行きますっ」
 シェードとアレイサーの連携技で、また1体の怪獣が地に伏す。

 そして、シャナンの目の前にも、新たな怪獣が姿を現していた。
「しゃ、シャナン様……ほどほどに、お願い致します」
 ホーリーライトで辺りを照らしながら、ミヤクサ(a33619)はおろおろとシャナンの武器にディバインヒール奥義をかける。
「任せてっ!」
 シャナンが怪獣に攻撃するより先に、煌く刃。
「参るっ」
「え? ちょ、ちょっとっ!!」
 シャナンの攻撃とその刃が合わさったとき、その怪獣もまた倒れた。
「助かった、お前の力があったからこそ、あの怪獣を……」
 そこで、シャノン(a66670)は気づいた。
「こ、これは……王女殿下とは露知らず、数々の無礼をお許しください」
「……いいわ。気づいていなかったみたいだし」
 シャナンから少し離れた場所では、救命活動が行われていた。
「これに捕まってください!」
 怪獣との戦いで海に落ちてしまった仲間を助けるため、アスティア(a24175)は投げた浮き輪を投げる。万が一に備えて用意していたものが役に立ったらしい。
『ゴアアアアア!!』
 また新たな怪獣が現れたようだ。
「危ない、シャナン!!」
 ずっとシャナンの事を見ていたジョセフ(a28557)。彼の声にもう一人の青年が動いた。
「シャナン様!!」
 シャナンを狙っていた爪は、青年いや、アルム(a12387)のわき腹を掠めた。
「馬鹿! 何してんのよっ!」
「……ご無事で……なにより、です……」
 そう微笑むアルムにシャナンは、小さくありがとうと告げた。
「本当に、シャナンさんが無事でなによりです」
 騒ぎを聞きつけ、セリア(a28813)はアルムへとヒーリングウェーブ奥義をかけた。幸いたいした怪我ではなかったため、セリアのその癒しの力で傷が塞がっていく。
 彼らの後ろでは、先ほどシャナンを襲った怪獣が追い詰められていた。
「これで、止めですっ!」
 最後に放ったアリュナス(a05791)のホーリースマッシュ奥義で、怪獣は深い海の中に沈んでいった。

 かなりの数の怪獣を倒したシャナン達。怪獣を倒す側でサーリア(a18537)は、怪獣が現れた場所をこと細かく記録していた。
「うーんと、ここに7体いましたなぁ〜ん。一番多かった場所はここですなぁ〜ん。怪獣の餌場でなければいいんですなぁ〜ん」
 少し心配しつつ、特に怪獣の多かった場所には分かりやすくマークをしておいた。
「ねーねーシャナンちゃん、やっぱゆくゆくは女王サマとかなりたいの?」
 酒瓶を片手に、フレイ(a49912)が尋ねる。
「もしなれたら、素晴らしい女王になる自信はあるわ。でも、どうかしらね?」
 その対応にフレイは瞳を細めて。
「シャナン様はこれからどうするのです?」
 退治した怪獣を背にゼオル(a18693)も尋ねる。
「決まってるわ。ワイルドファイアで、みんなと幸せに暮らせるよう努力するわ」
 日の光を浴びながら、シャナンはそう、笑みを浮かべた。

●船の中の舞台
 船の中で、歓声が上がる。
「では、次にこのコインを消して見せましょう」
 ホールの舞台では、ハイネス(a38935)が次々と見事な手品を見せていく。
 セイレーン達はその見事な手品に夢中だ。
 一方、ホールの片隅にあるテーブルでは。
「お、やるね! こんなときに『革命』とは、勝負に出たな」
 スフィア(a59076)の用意したトランプで、大富豪を楽しんでいた。もちろん、遊び方を教えたのは、スフィア。彼の盛り上げ方も良かったのか、このゲームは何度も繰り返し船の中で遊ばれる事となる。
 ハイネスの手品が終わり、舞台に新たな冒険者が現れた。
「さあ、皆さん! 今度は歌と踊りで楽しんで頂戴!」
 コトリ(a70928)は歌を歌いながら、楓華列島の舞を披露する。珍しい舞にセイレーンの人達も喜んでいる様子。最後には、コトリは舞台だけでなく、客席まで降りて、そのライブを盛り上げていった。
「どうやら、ステージの方は上手くいってるようだね」
 セニア(a45563)は、側にいるロベリアに声をかけた。セニアに声をかけられ、はっと目を覚ました……ようである。
「あなたの考えた催し物も、好評のようよ」
 ホールに隣接した一室を借りて、部屋をわざと暗くし、夜の中でも発光する素材を使って、即席プラネタリウムを作っていた。
「そう言って貰えると嬉しいよ」
 と、そこでステージの方から割れんばかりの拍手が響き渡った。
「皆さん、シャナン様からたくさんの食材が届けられました。さあ、始めましょう。大食い大会のスタートです!」
 そのアズライル(a73042)の掛け声で、バラエティあふれる料理が並べられる。我こそはと思う者達が次々とステージに上がり、そのスピードを競う。

 冒険者達が企画した催し物。
 中でも特に人気だったのが、1日1回のペースで行われたミニミュージカルであった。「な、何だか緊張します……」
 このミュージカルを提案したシャルティナ(a42878)は、ステージの脇からそっと観客席を見た。たくさんの人々が集まってきている。
 と、ぽんとシャルティナの肩を叩く者が。振り返るとそこには競演してくれる仲間達の顔があった。
「はい、頑張りましょう」
 シャルティナはとびきりの笑顔でステージに立つと、得意の歌と演奏を披露したのであった。

●美味しい物とお祝いと
「干し果物に干し肉に干し魚……それに干した野菜や、肉や魚の塩漬け……他にも、お野菜の酢漬けなんかも欲しいなぁ〜んね」
 そう、船の中で食べる食料を手配するのは、ビュネル(a73520)。数多くの人々を抱えつつ、航海するには、大量の食料が必要となる。
「よっこいしょっと! 荷車持ってきたから、効率よく運べるよね♪」
 自分で荷車を用意してきたのはエル(a69304)。
「荷車があるなら、俺のグランスティードも使おう」
 カイン(a44957)は、自らの召還獣を呼び出し、荷物運びを手伝ってもらう。
「お約束は芋かな。それにお酒にめんつゆに乾麺!」
 シェリパ(a60767)は、そういって、次々と荷物を荷車に詰め込んでいく。
「長期の船旅だと栄養が偏りがちになりやすいですからね。やはり保存が利き、壊血病予防効果のあるザワークラウトやオリーブ何かがいいでしょう」
 セロ(a62030)も、荷車に荷物を詰め込んでいく。
「干し肉も入れて……やはり酢昆布は無理か?」
 カインの言葉に、皆はそんなことないと返答を返した。こっそり酢昆布も荷車に。
「アリッサさん、これくらいでいいでしょうか?」
 土塊の下僕を総動員して、荷物を運び入れるのは、トラス(a58973)。
「そうだね。まずは一回、詰め込んじゃおうか」
 アリッサの言葉に皆は頷き、船内へと運び込むのであった。

「くぁ! やっと仕分けが終わったのオチ〜」
 ふいーっと息をつくのは、ヒナタ(a40516)。乱雑に運び込まれていく食料。これでは、どこに何が置いてあるのかわからなくなる。だからこそ、種別ごとに分け、さらに痛みやすいものやそうでないものも、分かりやすく並べていった。
「根野菜と固形ルーを持ってきたんだが……」
 そこにライル(a04324)が、根野菜とルーの入った容器を運んできた。
「くぁー野菜はそっちで、ルーはそっちにおいて欲しいオチ」
「了解」
 ライルは更に、縦に重ならないように野菜を置いて、風通しを良くしておいた。
「できれば、虫除けとねずみよけも用意したいところだな」
 ライルの言葉にヒナタも頷いた。

「アリッサ様、提案があるのですが」
 ナサローク(a58851)はそう前置きして、アリッサに日持ちの良いメニューをたくさん提案した。
「うん、どれも美味しそうだね。採用……っていいたいけど、全部一気に作っちゃうと余っちゃうかも……」
「その心配はありません」
 そこに同じく、ある案を提案しに来たデューン(a34979)が姿を現す。
「食事をブッフェ形式にすれば、その問題も解決できるでしょう」
「なるほどね。それは良いかも」
 またナサロークからは飲料水の必要性も訴え、アリッサはそれも承諾した。

 料理人がいる調理場に、ワイルドファイア産の食材を運び終えたシュチ(a42569)がやってくる。
「これは、ランララ様からいただいた、美味しいケーキのレシピですの。よければ使っていただけませんか?」
 シュチの持参したレシピは、こうして無事に料理人の手に渡った。

 調理場には、他にも冒険者達が来ていた。そう、保存食を作るためだ。
「セイヤさん……」
「遅れてすまない。釣りのレクチャーでこんなに時間を食われるとは思ってなかったんでな。ディミヤーナ、何を手伝えば良い?」
 アルジェント(a26075)は釣り道具を邪魔にならない場所において、ディミヤーナ(a70291)の手伝いを始める。
「それじゃあ……このお肉を切ってくれる? たくさんあって、大変なの」
「了解」
 包丁を借りると、アルジェントはディミヤーナの横で燻製にする肉を切り始めたのであった。
「煮たり焼いたり蒸したり……あとは調味料で味付けを変化させれば道中の間くらいは飽きさせずに何とかなるかな?」
「ええ。料理をする際には食材と調味料の組み合わせしだいで味は千変しますしね」
 ラズロ(a65111)はライナ(a66736)と情報交換しながら、いくつものレシピを用意し、材料や紅茶のリーフも用意していった。
「砂糖と柑橘類の果物も持ってきた」
 そこにイゼロウ(a73380)も姿を現す。イゼロウは、二人にないお菓子のレシピを提案。用意されたレシピのページが、また増えたようだ。
 と、美味しいカレーの香りが調理場を包んでいく。
「うん、完成! 今日も美味しくできたわ」
 ルシア(a35455)の側に、ラズロ達が集まってくる。
「カレーか、美味しそうですね」
「タダのカレーじゃないのよ。フルーツとかを使って、あまり水を使っていないの」
 その言葉にラズロ達は顔を見合わせる。
「作り方、教えてくれないか」
 どうやら、またレシピは増えるようだ。

 一仕事を終えたある日のこと。アリッサの元に冒険者達が集まっていた。
「あれ? みんな、どうしたの?」
 きょとんとするアリッサの前で。
「お誕生日、おめでとうなぁ〜んっ!」
 フィフス(a26735)が差し出したのは、運搬作業と非常食作りの合間を縫って作ったブルーベリーのジャム。
「アリッサ様お誕生日おめでとうございます。余り物で申し訳ないのですが」
 フラレ(a42669)もまた、ワイルドファイアにちなんだビスケットをプレゼントした。これもまた、船の食料として用意したものの一部だったりする。
 そして、アリッサの誕生日を祝う者達でささやかな宴が開かれる。
「誕生日……おめでとう。こんな場所でだけど、言える機会があって良かったよ」
「それは、こっちのセリフだよ。忙しかったから、もう少しで忘れる所だっだよ」
 でも、とても嬉しかったとイゼロウにアリッサは告げる。
「そう言えば……さ。君はワイルドファイアに行った後、どうしたいなんて言う希望は何かあるのか?」
「うーん、いろいろあるけど、まずは、皆と一緒に遊びたいかな?」
 にっこり微笑んで、アリッサは続ける。
「みんな、祝ってくれてありがとう! とっても嬉しいよ」

 数日後、様子を見に来たウェヌスは、嬉しそうにその瞳を細めた。
「まあ、こんなにしていただけたのですね。これなら、予定通りにワイルドファイアへ出発できますね」
 冒険者達の活躍により、大変な作業は一通り終わった。
 後は、更なる積荷と人々の収容など、細かい部分を終わらせるだけ。これなら、冒険者の手を煩わせることもないだろう。
 今は、協力してくれた冒険者達に感謝を……。


マスター:風祭あいり 紹介ページ
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参加者:72人
作成日:2008/07/30
得票数:ほのぼの64 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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雷獣・テルル(a24625)  2009年09月12日 17時  通報
そういや、元々この移住ってたしかドラゴンの脅威を避けるためだったんだよな。
脅威がなくなった今、ランドアースに戻る人も出てくるのかな?