【はいぱーどーるず】最終話! ぐれーとブッテちゃんのメガトンパンチ!!



<オープニング>


 ある意味不変の聖地、冒険者の酒場から本日もお送りする。
 葵桂の霊査士・アイは立ち上がった。冒険者たちを迎えるためだ。
「これまで諸君には『人形』がキーワードのモンスターと戦ってもらったな。巨大マネキン、妙な服装のオモシロ人形、そして鋼鉄の挑戦者……本当にお疲れ様であった」
 アイは遠い目をした。これまでの物語を思いだしているのかもしれなかった。なぜだろう、その視線に寂しげな色が浮かんだのは。それは彼女が、これが一連の依頼の締めくくりになりそうだと直感的に悟っていたからかもしれない。しかしその表情はすぐに消し、
「さて、本題に入ろうか。辺境地域にな、こういうのが現れたのだ」
 アイがぽんぽんと手を叩くと、「ぷみぃ〜」と不思議な声がして、テーブル下から変なものが出てくる。着ぐるみというやつだ。なんとも妙な姿で、まん丸いオレンジのような頭にひょろ長い足が直接生えていた。同じく直接生えた両腕は飾りらしく、やたらめったらぶらぶらしている。頭部には子どもの落書きのような目と口が描かれているのだが、可愛い、というには今ひとつ怪しい表情なのが珍妙である。
「これはある地方で愛されているマスコットでな、名を『ブッテちゃん』という」
「ぷみぃ〜」
 着ぐるみの中から声がする。着ぐるみの中の人はノリノリらしく、せわしなく体を左右に揺すっていた。
「その地域では、この着ぐるみに入った人を追いまわして打ちまくるという祭りが行われているらしい。嫁入り前の娘がこれに参加すると、よい結婚相手に恵まれるという伝承があるため、若い女性はエキサイトしてこれを本気で殴り蹴りまくるそうだ」
 話を聞きながら着ぐるみは、ブルブルと震えるような仕草をした。どうやら着ぐるみの中の人は、その祭りで怖い経験をしたらしかった。
 それ、『愛されている』って言えるの? という突っ込みは控えつつ、冒険者たちは先をうながす。
「今、この着ぐるみそっくりの巨大モンスターが出現している。まあ、姿が似ているのは単なる偶然かもしれんがな。だだ広い野原で襲いかかってくるだろう」
「ぷみぃ〜」
 プル……もとい、着ぐるみはふるふる左右に揺れつつ鳴いた。
「この巨大『ブッテちゃん』は、足の長さだけで諸君の身長より高い。体は非常に軽いようで、足は地についているがふわふわと浮くようにして移動するだろう。問題はその『手』で」
 と、アイは着ぐるみの手をとって見せ、
「ここにある見本とちがい、モンスターの腕は非常に長く、握り拳もとてつもなく大きい。遠心力をつけて繰り出すパンチは岩をも砕く威力だ。殴られると爆発するやもしれん。鎧が破損する危険すらあるぞ」
 まさしくメガトンパンチといえよう。威力絶大、また両手で同時に放つこともあるそうなので何としても避けたいところだ。
「やつはなぜか若い女性を好んで攻撃する。本物のブッテちゃんが、主に若い女性から攻撃されるせいだろうか?」
 女性の冒険者、あるいは、女性っぽい外見の男性冒険者は要注意だ。
 怪物巨大ブッテちゃんは、ぶたれるたびに妙な鳴き声をあげるらしい。苦痛の声のようでもあるが、ダメージが溜まるに従いその顔は、「ぼーっとした表情」から「元気」「なんか嬉しそう」「顔を上気させて恍惚の表情」へとどんどん変化するらしい。最後はどうなるのだろう?
「なお、ここにいる着ぐるみと違って、怪物に中身はないようだぞ。ところでこの着ぐるみの中身は……あれ?」
 気がつけば着ぐるみブッテちゃんは、どこかへ遊びに行ってしまったようだ。遠くから「ぷみゅー」という変な鳴き声が聞こえてきた。

 敵はジャイアント、ふわふわ歩く丸いやつ! そのコミカルな見かけに似ぬメガトンパンチは、なんとも味わいたくないものだ。ぶってぶってぶちまくって倒してしまえ!
 アイはあえて何も言わないが、この戦いが一連の人形怪物の最後となるだろう。悔いを残さぬようしっかり勝利をつかんでほしい!


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参加者
黒衣の閃迅・レオニード(a00585)
夢想歌の歌姫・ソレイユ(a33840)
星喰らう蒼き闇・ラス(a52420)
黄色の羽毛・ピヨピヨ(a57902)
東風吹く神社の不思議な巫女・ヤエ(a59213)
凛鷲侯女・ハルジオン(a62548)
沈く花・フィリカ(a64343)
樹霊・シフィル(a64372)
我が道をゆく白きサザンクロス・シュトーカ(a70658)
星空渡る風の翅・レティリウス(a72807)


<リプレイ>

●ブッテちゃん、あばれる
「ぷみぉーー!」
 ややダミ声だが甲高い、これぞ「ぐれーとブッテちゃん」の雄叫び(雌叫び?)である! そのまんまるボディ、夏みかんのごとし。そのひょろい足、カンピョウのごとし。そしてその妙ちきりんな顔、子どもの落書きのごとし! 豪腕両サイドにぶらぶらさせて、ブッテちゃんは襲いかかるのだ。
「ぶって人形の死角はあのとき嫌と言うほど身にしみているからのぅ」
 潮騒に眠る移ろいの夢・ヤエ(a59213)は囮役、今日のメンバーで着ぐるみブッテちゃんの中に入ったことがあるのは彼女だけだ。その経験を活かすべく、同じく囮の砂鹿・ニーナ(a59109)に呼びかける。
「にーな殿、走る方向は覚えているな? 参、弐、壱、の合図で一斉に飛び込むのじゃ」
「3、2、1、だね? りょーかい!」
 ヤエとニーナはまるで双花、その服装は可愛い水着、これでもかと女の子っぽさをアピールして敵の目を惹かんとの心だ。
「よいか!? 参、弐」
「いちっ!」
「ぷみぉーー!」
 飛び込む二人、これ幸いと拳を振り下ろすブッテちゃん!
 ずん! という音が腹に響いた。拳は地面に落ちたのだ。その死角は、足元。二人は怪物の両脚の間をくぐり反対側に走り出て、両手を頭の上にピコピコと、伸縮のダンスを踊ってみたりする。
「こっちだよー」
「うまうま〜、じゃ♪」

 他のメンバーはブッテちゃんを包囲するように迫っていた。
「さすがあの二人だぜ。水着にまでなってくれるとは、なんという熱い囮精神!」
 我が道をゆく白きサザンクロス・シュトーカ(a70658)は拳を握りしめた。水着で逃げ回るというすごい光景にも、正義の精神を感じ取ってしまうシュトーカなのである。
「お前に正義を届けてやるぜっ」
 シュトーカはスティードを急がす。
 同じく道を急ぎつつ、星喰らう蒼き闇・ラス(a52420)は悔し涙を呑んでいた。
「俺の……俺のデコちゃん・ピュアには女としての魅力が足りないというのかっ!」
 説明しよう。冒頭には描写されていないが、じつはヤエ、ニーナ両名以外にも囮はいるのである。それはラスが呼び出し、魂込めて着飾らせた「可愛い女の子」風土塊の下僕、、命名して「デコちゃん・ピュア」だ。しかし所詮は土塊、はっきりいって無視されている。嗚呼!
 殴られる人形、というのは荊棘路人・フィリカ(a64343)には理解しがたいところだが、殴ってくる人形、というのはもっと理解しがたい。
(「世界は広い、ということか……それはそうとして」)
 フィリカは振り向き、樹霊・シフィル(a64372)に目をとめた。
「しかし美人さんはどんなカッコしても美人さんだね」
 シフィルは頬に手をやり恥じらう。
「照れますわ……こんな怪しさ爆発の様相でございますのに」
 確かに怪しい。現在シフィルは髪をターバンで覆った上、目にはサングラス、全身を白いマントで覆っている(月光ナンタラ? という指摘は勘弁な)。しかしフィリカのいう通り、柔らかな口元や丹花の唇は隠しきれぬ美女の証であった。
 
「ぷもぉー!」
 ブッテちゃんの攻撃はまたも空をきった。すでにこのとき、冒険者の包囲は完成している。ブッテちゃんの注意が逸れているを幸い、一気に攻勢を開始した。
(「炎天下、着ぐるみの暑さに耐え、懸命に戦う姿は涙を誘うよ……」)
 寄せ手の一人、黄色の羽毛・ピヨピヨ(a57902)は人知れず哭いた。いやあのブッテちゃんには中身はいないから――という事情はとりあえず置いておいて哭いた。その労苦を少しでも理解するため、ピヨピヨがとった服装、それは
「せめて僕も着ぐるみ姿で立ち向かうよ!」
 敢然と全身、くまの着ぐるみで参上! もこもこキュートだ! もちろん、正直申してドが付くほど暑い!
(「やるな、ピヨピヨさん。くまとは思い切った変装や。ウチの男装などまだまだ修行が足りんわ」)
 夢想歌の歌姫・ソレイユ(a33840)は妙なところに感心した。といっても女性を標的とする敵ゆえ、性別不明のくまに変身する意義は不明なのだが。
「さーて、囮のみんなやクマさんのためにも負けられへん。いっくで〜!」
 一方ソレイユの扮装は、簡単に髪を縛ってベレー帽を被っただけのもの、それなりに様になっており少年の雰囲気もある。ソレイユは黒炎覚醒に身を包み、前衛の援護に奮戦する。
 前衛の間を駆ける一迅の黒い風、それは黒衣の閃迅・レオニード(a00585)だ。
(「ヤエの話によれば、あれは『ぶるて』という山の神の化身と伝えられているそうだな。開花を意味する『ブリュテ』が変化したという伝承もあるとか……。いずれにせよ、生半可に対処していい相手ではなさそうだ」)
 レオニードはバッドラックシュートを突き刺す。背を向けたブッテちゃんに、運命のカードは易々と命中した。
(「怪物は男には目もくれないな。女装させられなくて、良かったというべきか」)
 それでもレオニードの安堵する気持ちの奥に、微かに惜しいことをしたような気持ちが湧いているのは何故だろう。まさか、いや、しかし!?

●ブッテちゃん、パンチする
 翠色した夏の風が、貴公子の頬を撫でた。
 いや、貴公子ではない。男物の服を着た凛鷲侯女・ハルジオン(a62548)だ。ハルジオンの身は臨戦態勢、されど心は、十数年前の日々に飛ぶ。
(「そうだわ……顔はあまり可愛くないのに憎めないでいたお人形もあった」)
 手が異様に長い妙な人形だった。その理由を母に問うたら、
(「お母様は、『ハルちゃんと手を繋ぎたくてしょうがないから長くなっちゃったのよ』って教えてくれて……」)
 甘くも懐かしいその想い出。
 だけどその人形は、女の子を追い回してパンチしてきたりはしなかった……断じて!
「またしても私の追憶を壊す人形! しかもこれを攻撃すれば良い結婚相手に恵まれるっていうじゃないですか!」
 やる気(殺る気?)百倍! ハルジオン、薔薇の剣戟で怪物の脚を突く。
 ハルジオンに声をかけ引き戻す者があった。
「突出しすぎないよう気をつけろ。あまり出ると巻きこまれるぞ」
 応じてソレイユも
「せや、ブッテちゃんがまた攻撃をミスるまで待って……って」
 と言いかけ、発言者を見て目を丸くした。
「あの……どなたさんやったっけ?」
「我だ、レティリウスだ。よく見てくれ」
 星空渡る風の翅・レティリウス(a72807)である、はずだ、多分。なぜって現在のレティリウスは、薔薇の紋をつけた女性用の鎧を着こみ、口紅をさしてアイシャドウまで入れているからだ。見事な戦乙女ぶりである。エンブレムノヴァを投じてレティリウスは、後退しつつ告げた。
「時として戦には柔軟な思考が必要、との義父上の言葉を思いだして臨んだまでのこと。これは敵を混乱さすが目的、決して趣味でやっているのではないぞ!」
 言いながら紅潮している。賢人への道、険し。

 そのときブッテちゃんの足元で、一つの肉体が潰えた。
「デコちゃん・ピュア。……さらば」
 といっても囮の二名ではなく、ラスが作った土塊の下僕だった。最後までまったく相手にされず、悲劇に見舞われたその姿に哀惜を感じずにはおれない。
「ええい、こんなことなら俺が女装……じゃない! 気の迷いだ、このーっ!」
 逆ギレ気味にラスが放つはソニックウェーブ、ブッテちゃんは「ぶももー!」と鳴いた。
 逆ギレ、といえばヤエも噴飯していた!
「よく見れば、にーな殿ばかり狙われておるではないかーっ! なんでじゃー!? 妾は『すくーる水着』にしておけば良かったというのか!」
 ヤエにも一応攻撃はくるのだが、ブッテちゃんの主標的はニーナだったのだ。距離があるにもかかわらず、敵はレティリウスまで意識しているようだ。看過していい事態ではない! ヤエは一計を思いついた。
「ヤエさーん!」
 メルヘンな走りでクマさん(ピヨピヨ)が駆け込んでくる。
「き、君を守ると誓いに来たよ」
「おう、よう来た。くま殿、妾の背にこの布を貼ってくれい」
「えっ!?」
 ピヨピヨくま殿は目を丸くした。布には「陸(※『六』の意)」と書かれている。

 シュトーカは機動性を活かして攻めまくる。
「これが正義の雷だっ!」
 距離を詰めてサンダークラッシュ、ブッテちゃんの巨体ではシュトーカの攻撃はかわせまい。
 ぐるぐるぐる、怪物は右腕を肩で廻転させた。レオニードは警戒態勢をとる。
「メガトンパンチか!」
 メガトンパンチだった。ただし、左腕の!
 あざといくらい派手で効果的なフェイントだ。危うくニーナは殴られそうになるが、
「……っ! これでも一応、男なんで」
 まともにこれを浴び吹き飛んだのは、かばいに入ったフィリカだったのである!
「……女の子傷つけるわけにはいかんのですよ」
 宙を舞い、ボロ布のように叩きつけられてもフィリカは、そう苦笑いする余裕があった。確かに強烈な一撃だったが受け身はとれた。最初から盾になる覚悟ができていたからだろう。
「フィリカ様、ご無事で!?」
 シフィルが助け起こし、ヒーリングウェーブをかけてくれる。
「……なんとか」
 見上げたシフィルの瞳はサングラスの奥だが、しっかりと自分を見つめてくれていた。体に力がみなぎる。まだ戦えることをフィリカは天に感謝した。
 ソレイユも高らかな凱歌を歌う。
「しっかりしぃや、すぐ治すから!!」
 天を駆けるソレイユの美声だ。思えばこれまで彼らは幾度、ソレイユの声に救われてきたことだろうか。
 彼らを守る位置に立ち、ハルジオンは剣を閃かす。
「なんだか微妙な顔なので憎めないですけど、人様に迷惑かからないうちに倒しておくべきですよね!」

●ブッテちゃん、綿となる
 度重なる冒険者の攻撃を受け、ブッテちゃんもさぞや立腹かと思いきや、レティリウスはにわかには信じがたいものを目にしていた。
「……此奴、まさか喜んでいるのか? 何と度し難い……」
 聞いてはいたが驚いてしまう。攻撃が当たるたびにブッテちゃんの表情は喜びに満ち、ついには恍惚とした顔へと変わったのだ。少女のような、いや、まさに少女に扮したレティリウスの頬を汗がつたった。
 そんな彼を励ますようにレオニードが断ずる。
「だがここまで来たということは、追いつめたということだ」
 レオニードは攻撃方法を変える。すなわち、チャクラムによる遠距離攻撃から、スパイラルジェイドによる近距離攻撃へと!
「外しはしない」
 切り裂くは虚空、それは迅雷の高速回転! レオニードの吶喊を受け、怪物はますます愉悦の顔となった。
 レティリウスに向けられた拳を、ラスがダークネスクロークで受け流す。
「力任せだけのパンチじゃ、俺たちは倒せないぜ。シュトーカ!」
 呼び声に応え、駈け込むのは正義の白光――
「おう! 頼むぜ、ラス!」
 シュトーカが鞍に立ち上がって跳躍する直前、ラスは緑の突風を敵に見舞う。強力な追い風だ。 
 空中でシュトーカは叫んだ。
「俺の正義が真っ白に吼える!」
 地上でラスが呼応する。
「正義のパンチはそんなもんじゃねえと無意味に叫ぶっ!」
 そして、
「くらえっ! 俺の魂大切斬っ!」
 高い。あまりに高い位置からシュトーカは、必殺の雷光を発したのである。ブッテちゃんは避けきれず焼かれた。されどとても幸せそうな顔をした。
 そこに「ぶにー!」と謎の声、
「ぶにー(ぶるて神の化身、ぶって人形陸号、見っ参っ!)」
 ヤエであった。背中に布をはってブッテちゃんになりきり、
「ぶにー(お主に関節技を決め幸せになるのじゃー!)」
 と、必殺のサブミッション……の気分で指天殺!
 さらに指天殺! ピヨピヨくま殿だ!
「着ぐるみの顔は笑顔でも、中の人は泣いてるんだよ!」
 猛烈な暑さに耐え汗だくで叫ぶ。驚異の戦闘くまピヨピヨの一撃は、ついに怪物に膝をつかせた。
 ハルジオンは重い肩当てを外していた。身軽な女性に戻り、心を込めて撲つ!
「ご利益ちょうだいっ!」
 ハルジオンの剣は速攻連斬となる。ブッテちゃんは嬉しそうな声で身もだえする。
 シフィルの頭よりターバンが解けた。緑の長い髪が風になびき、マントもまた飛んでゆく。サングラスをかなぐり捨て、竹がしなるように拳をふるう。そう、その技はエンブレムブロウ! 重く烈しい音を立て、拳は敵にめり込んだ!
「これで、わたくしにも幸せが……」
 シフィルの拳に応えるように、ブッテちゃんは鳴いた。穏やかな声で。
「ふもふも……っ」
 ぽわあああ…………柔らかな光をあげ、満ち足りた表情で巨体は沈む。みるみるその身はタンポポの綿毛状に分散し、風に乗り消えていった。
「ごめんね……痛くなかったかい?」
 と立ち尽くすピヨピヨの頬を、撫でるように綿毛は舞うのだ。 
「汝の来世に幸いあれ」
 レティリウスが祈りを捧げると、ニーナをはじめ、皆それにならった。
「なんか悪いやつやった気がせんわ。でも、これで良かったんやね?」
 ソレイユが問うと、フィリカは目を閉じた。
「……わからない。でも……嬉しそうだったな」
 悪い気はしなかった。

●グッバイ、はいぱーどーるず
 ぴょんぴょん跳ねるはブッテちゃん? しかも二体!?
 もちろんこれは巨大怪物ではない。すっかりおなじみになった着ぐるみたちである。
「ぶにー」
 というのは背中に「陸」と書かれたブッテちゃんだ。もう一体は、冒頭に出ていた着ぐるみ(壱号)であろう。着ぐるみたちは子猫のようにじゃれあっている。
「こらこら、はしゃぎすぎないようにな」
 レオニードがそんな二匹(?)をたしなめていた。
「おーい、みんな、中央に寄ってくれよ。肖像画家さんが困ってるぜ」
 明るい声でシュトーカが呼びかける。
 舞台は酒場に戻っていた。ここで勝利の記念として、チーム集合の肖像画を描いてもらうことになったのである。
「お、おい、私もか?」
 中にはアイもまじっている。ソレイユは笑って、
「もちろん! まあ巻き込まれたと思って。ほら、変な顔してるとそのまま描かれてまうで。スマイル、スマイル♪」
 今回は特にがんばったし、とラスも言い添える。
「記念だよ記念。また近いうちに変な人形怪物のが出るだろうがなー」
 アイはなにかいおうとしたが考え直したのか、「そうだな……いつかは、な」とお茶を濁した。
 ハルジオンは最初、いささか緊張気味だったが、クマ着ぐるみから顔だけとったピヨピヨが、
「次回は白塗り紅白服、Mマークの道化師とか出たら面白いよね?」
 といって笑わせていた。
 フィリカは普通の扮装だ。しかし共に立つシフィルが例の男装からサングラスをとっただけだったりするので、
「仮装パーティの打ち上げのような……」
 と苦笑するのである。もちろんレティリウスも絶賛女装継続中で、
(「賢人たる者、決める時はビシッと決め弾ける時は思いっきり弾けろ、ということだったな……よし!」)
 義父の教えを思い出し開き直ったか、前かがみでウインクまでしてみた。

 ――はいぱーどーるず、完。


マスター:桂木京介 紹介ページ
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作成日:2008/08/06
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