【お姉さま天獄】西瓜のお姉さま



<オープニング>


 今日も今日とて、冒険者の酒場である。BGMは蝉の声。
「すっかり夏! ですね」
 もしゃもしゃ。
「たしかにな」
 さくさく。
 はじまりは・プルミエール(a90091)と葵桂の霊査士・アイ(a90289)、縁側……なんてないから、外に面したテーブルで涼んでいる。皿にはスイカ、アイのほうは最初に種だけスプーンで取り除き、その後スプーンですくって食べているのだが、プルミーは種も果肉も一緒くた、しかも手で持ってバリバリ口にするというありさまだ。
「しかしそんな食べ方してると種も食べてしまうのではないか?」
「いいんです、私、スイカ大好きですから。おへそからスイカの芽が出てきたら娘として育てるんです♪」
「おいおい」
「娘の名前は、しましまだから『シマ子』♪」
「やめんか」
 ところでな、とアイは咳払いして
「そんなスイカ娘モンスターが出現したという。スイカ……だけに、その……猛烈に大きいわけだ……胸が」
「私とかぶっておる!」
「かぶっとらん」

●ひもみずぎすいかっぷのおねえさま
 今回は盛夏の出撃となりそうだ。集まった冒険者たちにアイは告げる。
「女性型モンスター、いわゆる『お姉さま』はコンスタントに出現するようだな。舞台は野生のスイカ群生地……ということは、もうわかっただろう?」
 すなわち敵は「西瓜のお姉さま」というわけだ。
「なんというか、ついにここまで来たというか」
 アイはいささか言いづらそうである。この怪物の衣装はビキニ水着の上下だ。ただし「普通の」ビキニではなく、極限まで布の面積を減らし、あらゆる場所をくっきり強調する紐のような水着だという。これを着るにはまた、それに見合うスタイルが求められるだろうがその点も心配(?)はいらない。
「ムッチムチのボインちゃんだというのですかっ!」
「プルミー、表現がオヤジだぞ……」
 まあ、そういうこと。少なくとも胸だけでいうなら、これまであらわれたあらゆるお姉さまを凌駕する巨大さらしい。水着は西瓜模様、長くのばした髪も、緑と黒のツートンだ。まさしくスイカの権化といえよう。
 お姉さまの攻撃は木刀、それも、居合い抜きの達人らしい。とりわけ上段の構えからの兜割りはすさまじいらしい。囲まれても、青眼からの突きで包囲を突き破ってしまう。しかも、ある程度ダメージを帯びると目隠しをして襲ってくる。そうなると破壊力が倍加するようだ!
「目隠ししたほうが強い……まさしく達人ですね」
「視力がよくなるだけかもしれんぞ。実は目隠しのほうが『目』だとか」
 怪物は三体のしもべを引き連れている。スイカに手足が生えたようなやつだ。
「スイカといっても巨大なスイカだぞ。平均的な人間の一倍半はあるだろう。丸いもの二体に、珍しい形だが四角いの一体、丸は押しつぶし攻撃を得意とし、四角は壁のように『お姉さま』を守ろうとする。いずれも体力があるので面倒だろう」
 スイカのお姉さまにスイカな手下、スイカの群生地にてスイカまみれな夏の戦いがはじまるのである!
 プルミーが静かになったようなので見てみると、彼女は鉢巻きを目に巻き、筒状に丸めた紙を手にしている。
「プルミー、なにしてるんだ?」
「お姉さまに負けないように私も目隠しの練習です。えいやー!」
「よさんか! 危ないから……わー」


マスター:桂木京介 紹介ページ
 桂木京介です。よろしくお願いします。
 フルーツ&美女の怪物退治シリーズ、おかげさまをもちましてこれで九回目となりました(特別編除く)。今回はついに、昨年から多数のご希望が寄せられていた(?)西瓜のお姉さまが登場、暴れまくってくれます。

 敵は強力な剣士、手下の妨害もあるので集中攻撃をかけるのは難しいでしょう。破壊力が高いので、うかつな行動をしていると大怪我しかねません。敗北することのないよう気を引き締めていきたいものです。

 今回はプルミーも参加します。紐水着……は彼女には無理みたいです。ご希望があれば、どなたか一名、ひっぺがしてもって帰ってくださいませ。
 
 それではリプレイでお会いしましょう。桂木京介でした。

参加者
碧風の翼・レン(a25007)
嵐を呼ぶ蒼き雨・レイニー(a35909)
天に抗う誓約者・トワイライト(a43304)
月の姫を抱く者・ミレイラル(a43722)
戦争屋・ヒレン(a47525)
黒百合の魔女・リリム(a50830)
手のひらの鼓動・アールコート(a57343)
青雪の狂花・ローザマリア(a60096)
槍を持って進む者・ベディヴィア(a63439)
銀之刀匠・クオン(a65674)
NPC:はじまりは・プルミエール(a90091)



<リプレイ>

●も、もしかして、か、顔よりも大きいんじゃ
 指先で抓んで煙草の火を消す。
「ハッ! 西瓜割りがオツな季節ってか。上等だ」
 戦争屋・ヒレン(a47525)の横顔には、これまでに無い凄みがあった。敵は居合いの達人と聞く。これで血が昂ぶらぬ彼ではない。ぞわと肌を這い登る興奮があった。
 既に敵は出現している。
 足元にはスイカ、一つや二つではなく、数え切れないほどのスイカが、投げ出したようにごろごろと生っている。
 スイカ畑の中央に、不敵な笑み浮かべて冒険者を待ち受ける姿があった。スイカのお姉さまである。隠れる気も、近づいてくる気もないらしい。ここで待ち受ける心算のようだ。
「………ぉ、大きい。も、もしかして、か、顔よりも大きいんじゃ……」
 その異様な雰囲気に、黒百合の魔女・リリム(a50830)は本能的な恐怖を抱いた。それほどに大きいのだ――胸が! 実際スイカでもくくりつけているのかと思うほどだ。
「そ、それに、ァ、アレは本当にふ、服なんですか、ほ、ほとんど紐ですよ」
 リリムはたじろぐ。ニタリと笑う女は、紐同然のビキニを着ているのだ。局部がなんとか覆われているがそれだけ、究極の衣装といえよう。
 天に抗う誓約者・トワイライト(a43304)は唾を飲み込んだ。あれはセクシーではない、と思う。なんというか、もっとマニアックなものだ。
「正直にいうが、浜辺ならともかくこんなスイカの群生地で紐水着姿の女って、違和感が凄ぇぞおい」
 一連の「お姉さま」ものを体験してきたトワイライトだが、今回はとりわけクラクラする光景だと思う。肌寒いものを感じないでもない。夏だけにホラーというやつか。
 銀之刀匠・クオン(a65674)は動じない。ただ閑かに、述べた。
「過ぎたるは及ばざるが如し、と申します」
 クオンは着やせする体質だ。しかし湯につかるときは、平均以上の体型をあらわにしている。されどそれは慎むものであって、決して見せびらかすものではないと彼女は考えるのだ。
 然りじゃ! と嵐を呼ぶ蒼き雨・レイニー(a35909)がクオンの言を強く肯定した。
「大きければ良いと思ったら大間違いじゃ! 未来ある妾の胸と、ただ垂れゆくのみのあやつの胸では比ぶるべくもないわっ!」
 くわわっ、と目を見開き、ぎらりレイニーが抜き放つは瀑凌剣。
「垂れ……?」
 はじまりは・プルミエール(a90091)は思わず自分の胸を見るが、まあそれはないので安心していい。(ひどい)
 実際、まともにアレに対抗できそうなのは青雪の狂花・ローザマリア(a60096)くらいだろう。ある意味爆弾発言なレイニーの言葉に、ローザマリアが怒るのではないか、と、槍を持って進む者・ベディヴィア(a63439)は不安に思ったが、
「どうかしたの? 衣装を見てほしいの? 大丈夫、今日も似合ってるわ、ベディヴィア」
 ローザは意に介していないらしい。垂れるとか肌がくすむとか老けるとか、そんな言葉は一切関係ないという自信のあるローザマリアなのである。
「そういえばスイカの別名はウォーターメロン……ウォーター……メロンですって?!」
 ここではじめて気づいたように、ローザマリアは激高する。
「『二代目メロンのお姉さま』ことアタシと被っているじゃない!」
 とっとと滅ぼすわよ! と切れ味鋭い両刀を抜いた。これを合図として一同も前進する。
(「とほほ、今回もこの服装なのです……」)
 今日も今日とて「似合ってるわ」なチアリーダー装束でベディヴィアも続くのだ。この扮装、もうすっかり定番なのだがどうしよう?

●兜割りでスイカ割り?
 挑んでくる冒険者を前にスイカのお姉さまは高笑いした。すると足元のスイカが持ち上がり、丸いの二つ、四角いの一つ、スイカ型護衛怪物が出現したのである。いずれもメンバーの身長を超える大きさ、地面に潜って待っていたというわけだ。
 蔦からまりあう足元に留意しつつ、千紫万紅・ミレイラル(a43722)は疾駆する。さすが飛ぶように迅い。しかもその衣装は天女の如くたなびいていた。
「この時期、戦装束とはいえロングコートは着れませんから〜」
 見ればその扮装、ヘビイチゴのお姉様から頂戴した羽衣ではないか。よく似合っているばかりか、幻想的な美しさをミレイラルに付与してもいる。ちなみに流儀にのっとり、下着はつけてないらしい(!)。
「毎度のことですけど、動かないでくださいね〜」
 天女、いやさミレイラルは、ぱっと蜘蛛糸を手下に投じた。
「はう、ミレイラルさん頑張っているのです。私も☆」
 敵はすごいが圧倒されてはいけない、手のひらの鼓動・アールコート(a57343)は護りの天使達を召喚する。
「今日も天使さんたちは元気なのです♪」
 アールコートの朗らかな声に応え、守護の象徴が光臨した。アールコートはその能力だけでなく、いまやその穏やかでめげないキャラクターで、個性の強い(強すぎる?)メンバー揃いのチームに欠かせぬ存在となっている。
「じゃあ手筈通りに!」
 碧風の紡ぎ手・レン(a25007)は身体能力を活かし、圧倒的な高さまで跳躍する。ここから接近戦に持ち込むのではない。ヴォイドスクラッチを使うのだ。高い位置をとったのは狙いやすくするため……!
「植物知識が役立ってくれればいいけど……そこだ!」
 レンが呼び出せし虚無の腕、丸なるスイカに激突す。スイカはよろめいた。防御力無視のその一撃、残念ながら植物知識は活かされていないようだが命中する。
 雲は出ているものの蒸し暑い、トワイライトは額の汗を拭って、
「……こうして変な奴を見ると夏だなって実感湧くよな。こんな風物詩は全力で消えてくれていいが」 
 ぼやきつつ次々と土塊の下僕を召喚する。まずは一軍団作るとしよう。見てやがれ露出女め、とトワイライトは不敵に笑った。
 まずはスイカを攻撃する作戦だが、頭に血が上ったレイニーはそんなものすっかり忘れている!
「スイカ割り的攻撃をするようじゃが、逆にカチ割ってくれるわっ!」
 と一直線にお姉さまに向かおうとするも、丸スイカたちがたちはだかって邪魔をするのだ。
「ええい、どけ! どけというに!」
 レイニーは剣を振り回す。これが結果的に丸スイカたちを足止めすることになり作戦通りとなるわけだが、本人にその自覚はない。
 ヒレンも真っ先にお姉さまと剣を交えたいところだが、ここはこらえて作戦優先とし、お姉さまには蜘蛛糸を放って妨害している。
「後で綺麗に料理してやるからまだ黙って見てろよ」
 それまでは堪えよう。抜き身の刃となるのは、後の楽しみでいい。
「ス、スイカさん、硬そう……で、でも、負けません」
 リリムもヴォイドスクラッチで加勢する。
 クオンは言葉を発しない。
「……」
 しかしクオンは魂無き幽鬼にあらず、むしろ心に灯る炎は煌々、情熱的とすらいえる。
(「此の身は刀匠、此の身は剣士。なればこそ、剣で不覚を取る訳には参りません」)
 クオンの斬撃は白い光と化し、スイカの壁を切り刻む。レンがもたらしたアーマーブレイクの効果もあって凄まじい。
 プルミーも負けてはいない。
「胸なんかなくたって人生は豊かですー!」
 なんかすごいこと(?)いっているが気にしないでほしい。クオンと息をあわせ、達人の一撃で丸スイカを圧した。
 ここにベディヴィアが追撃!
「兜割りでスイカ割り? えーい!」
 強力無比なその一撃だ、丸スイカの一体が真二つに割れて沈む。
 ローザマリアはすかさずもう一体の丸スイカに攻撃対象を移した。その脇を、数体の土塊の下僕が通りすぎてゆく。
「トワイライトさんよろしく〜。元祖、今週の〜びっくりどっきりラス〜」
 ミレイラルが囃す。そう、先頭ゆく土塊の下僕の背は『Gラス』の文字!
「よーし、お前ら、俺達の反対側から女モンスターにしがみつけ……ってモロいなオイ!」
 トワイライトの目の前で、土塊の下僕軍団は容易に粉砕されていくのである。哀れラスたち、だが彼らの死(?)も時間稼ぎにはなるだろう。
 
●商品偽造?
「せ、戦闘力高いですねぇ……さすが歴代最大?」
 味方の損傷の大きさに、ミレイラルは奥歯を噛みしめた。高らかな凱歌を発動しつつトワイライトが応える。
「あんな露出狂が強いとはな、いや、恥を知らないからこそ強いとか?」
 振幅の大きい戦いとなった。お姉さまとその手下、その攻撃方法は単純で、決して攻略しがたい相手ではないのだが、いかんせん攻撃力が高い。冒険者たちの負うダメージは半端ではなかった。アールコートの回復だけでは間に合わず、あのレイニーが珍しくガッツソングにまわっているくらいだ。
「妾の美声を聞けるなど滅多にない倖せじゃ。ありがたく思うが良い」
 恩着せがましく歌うのだが、舌足らずなのでむしろ可愛らしい。
 丸スイカがプルミー、クオンの連続攻撃を受けたのを見てリリムは決断した。
「ぅ、上手くすれば、ク、クローンができるかも?」
 やった、と小声でリリムは拳を握る。
「……産地擬装? いや、商品偽造?」
 レンがいうように、リリムのデモニックフレイムは丸スイカ手下のクローンを生み出したのだ。クローンはただちに四角スイカを攻撃する。
 これを見てついに、お姉さま本体が前面に出てくる。しかも目隠しをした状態で! ミレイラルが蜘蛛糸で縛ろうとするが切断されてしまった。
「ミスりました……すいません、各自対応よろしくです」
「あの姿……まともに見ちゃダメな姿です。えっちー子になっちゃうのです」
 ベディヴィアは顔を真っ赤にして下がり、四角スイカの攻略に回る。プルミーやクオン、ローザも同じだ。
 想像してほしい。超弩級ボディの目隠し美女が、紐水着で刀の鍔に片手置き、すっくと立つ姿を。しかもその太刀が雷迅、閃くが如く抜き放たれる様を!
 赤い霧のような血飛沫、ヒレンは胴を払われていた。斜め方向より斬りこむも読まれたのだ。
「ハハッ! 愉しいなぁ、ぇえ? 笑いが止まらねぇぞテメェ!!」
 これぞ望んだ「死合い」、ヒレンは朱に染まりながら一颯、返すも、即座にお姉さまの反撃を食う。
 クオンは身をかがめた。助太刀すべきか迷う。だが彼女も武士である。いま優先すべくは作戦、壁の如き四角スイカ攻略に戻った。
 数合、行き詰まる死合いは続いた。先に倒れたのは、ヒレンだった。
「ハッ……選手交代だ、畜生」
 膝をつく。お姉さまは嘲笑うようにしてその首を狙う……が、疾風斬鉄脚に遮られた。
「心頭滅却すれば胸もまた西瓜……じゃなくて南瓜に見える、なんてね」
 レンである。武器を捨て身軽になったがゆえに間に合ったか。ローザマリアも参戦する。
「この世界にメロンのお姉さまは二人とは要らないのよ――例え其れが、ウォーターなメロンのお姉さまだったとしても、ね」
 攻勢となれば急がねばなるまい、味方の状況を見ながらアールコートも攻撃に加わる。
「私だって……たまには攻撃するんです!」
 慈悲の聖槍で四角スイカを撃つ、そこにベディヴィア、プルミーが連続攻撃した。トワイライトも光の雨を降らせ着実に削る。そして、
「……」
 クオンは剣を払った。刀尖より赤い雫が垂れる。彼女の足元で四角スイカは動かなくなっていた。
「あとはお姉さまだけですね☆」
 アールコートは味方の勝利を確信した。
 ただ一体となったところでお姉さまは怯まなかった。強撃を繰り返す。だがすでに酷く消耗していたようだ。その動きに鮮やかさはなかった。クローン丸スイカの攻撃に背をどやされ、レイニーに追い立てられたところを、
「――西瓜のお姉さま、敗れたり!」
 跳躍とともに発されたローザマリアのサンダークラッシュにより、討たれる。
 お姉さまは分解して粉になってしまった。
 もうらうね、とレンはお姉さまの鉢巻を手にする。精神集中時に巻くといいかもしれない。

●今日もお約束は絶好調ですね♪
 紐を持ち上げ、天女のミレイラルは問う。
「さて……恒例の衣装チェンジは誰がやるのでしょう?」
 そう、紐にしか見えないがこれはお姉さまの着ていた水着だ。着るには相当の体型と度胸が要求されることは間違いない。
 ミレイラルの視線がめぐる。
「……ぇ、えっと、パ、パスです」
 リリムは慌てて目を伏せた。リリムなら体型のほうはなんとかなるかもしれないが過激すぎる。
「あは、今日もお約束は絶好調ですね♪」
 アールコートは平気だ。自分は完全に対象外と思っているからである。こういうスルー方法もある。
 一瞬視線を向けただけなのに、ベディヴィアは涙目で首をふるふると振る。トワイライトが苦笑して、
「流石にこの水着、男にやるのは問題ないか? 絵的にも道義的にも」
 とフォローしてくれた。
 するとつかつかと前に出て、ローザマリアはミレイラルに跪きこれを恭しく拝領した。
「ならばその御印、頂戴仕り候」
 この「御印」は「みしるし」と書いて「御召物」と読んでもらえれば幸い、考えてみれば体型的にもキャラ的にも(?)彼女にぴったりな衣装といえよう。
「これで、アタシが統一メロンのお姉さまよ!」
 と、胸の前に持ってくる。仲間たちはどっと喝采を送るのだった。
 ちょうどそこへ、
「スイカ冷やしておいたけど、皆いる?」
 よく熟れたスイカをいくつも提げてレンが戻ってくる。彼は戦闘開始前に、出来のいいのを見つくろって川で冷やしておいてくれたのである。こういうことにはとても気が利くレンなのだ。「わー♪」
 プルミーは満面の笑みで受け取った。実は水着よりこっちにずっと興味があった模様、まだまだ、色気より食い気のプルミーといえよう。
 クオンも受け取ると、
「スイカは叩いて音で見分けると申します……」
 といってポンポンとこれを鳴らしてみる。いい音だ。プルミーの短刀でさくりと切ると、水気たっぷりの赤い果肉が姿を見せた。
「これプルミー、種をスプーンでとって妾に食べさせるのじゃー」
 レイニーがそんな駄々をこねる。プルミーは二つ返事で聞いてくれる。
「はいはい。ほら、お口アーンです♪」
「あーん……って、自分で食うでない!」
「美味しそうだったものでつい。はい、今度こそアーン♪」
 レイニーの口に入ったスイカは、しゃきしゃきでとても甘かった。
 こういうものに興味ないかと思われていたヒレンなれど、スイカを一つ受け取ってベディヴィアを呼ぶ。吸っていた煙草をヒレンは咥え、
「……ベディヴィア、西瓜を割った様な男になれ」
 というなり、いきなりこれを手刀で叩き割った!(ちょうど食べやすく割っていたりする)
「……え、そ、それをいうなら『竹を割った様な』では……」
「何か云ったか」
「……い、いえ、そんな男になりたいです」
「判ったら食え。美味いぞ、多分」
 ヒレンはそれきり黙って、胴に巻いた包帯をさすりつつ煙草をふかすのである。
 もしかしたら、とベディヴィアは思った。
(「ヒレンさんって、優しい人、なのかも……」)

 今回は、これまで。


マスター:桂木京介 紹介ページ
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