【不死者の襲撃】救出



<オープニング>


 人に仇なす危険な存在と言えばモンスターがその代名詞であるが、その他にアンデッドという厄介な存在も忘れてはならない。
 憎しみや悲しみなどの強い負の心を抱いて死体が、何かの力を受けて動き出した存在と言われるアンデッド。
 この大量のアンデッドたちが夜の闇に紛れて行動を開始し、とある町を襲撃しているという連絡が深夜の冒険者の酒場にもたらされた。
 町中は突如来襲したアンデッドの群れに驚き逃げ惑う人々でごった返し、阿鼻叫喚の巷と化している。
 どこかの松明が倒されたのか、町には火の手も上がっているという。
 この緊急事態に対し、霊査士は急いで酒場にいる冒険者たちにこの街の救援に向かうように依頼を行った。
 しかし、アンデッド対策と火の手が上がる町から無事に住民を助け出すという二つの事を、一組の冒険者たちだけで行うのは困難な事を言わざるを得ない。
 そこで、霊査士はこの依頼を受けた冒険者たちを二組に分け、一方にアンデッドの掃討を、もう一つの組に住民達の避難誘導を依頼する事にした。
 こちらの班は住民の避難誘導を行う事になる。
 既に町からは多くの住民が逃げ出しているが、まだ家屋の中や通りに取り残された人々もおり、彼らはアンデッドに今も襲われ殺されそうになっている。
 これを援護し、彼らを無事に町の外に連れ出すように霊査士は冒険者たちに依頼するのだった。

 補足情報。
 事態は緊急を要するため、事前準備などをほとんど行っている暇はない。
 町の外にいる人々もかなり不安な状態に陥っているため、彼らの心を落ち着かせて安全な場所に誘導する役目を担う者がいるとよいかもしれない。
 アンデッドの掃討は別の班が担当することになっているが、住民がアンデッドに襲われていた場合はそれを撃破して救出する必要があるので、その事に留意すること。
 救出対象を一人も殺さずに助け出すことが理想であるが、不可能な場合もある。それでも最善を尽くして損害を最小限にしてもらいたい。
 アンデッドの殲滅を行う班と連携がとれていると、優位に事態を運ぶ事ができるかもしれない。

マスターからのコメントを見る

参加者
楽風の・ニューラ(a00126)
翡翠色のレスキュー戦乙女・ナタク(a00229)
戦場を駆ける癒しの妖精・アンディ(a04272)
蒼剣の騎士・ラザナス(a05138)
夕暮れにまどろむ白い月・カレリア(a05885)
春待雪・ファフニール(a06956)
寝惚け眼のナイフ使い・パラノイア(a07036)
深緑の唄い手・クレアトゥール(a07144)
赤き月夜に荒れ狂う魔狼・グレン(a08909)
鋼鉄の乙女・ジル(a09337)


<リプレイ>

●火に包まれた町
 夜の帳が降りた世界には、漆黒の闇が支配し見渡す限り黒の世界が広がっていたが、冒険者が目指す町だけは違っていた。
 赤々と燃え上がる火が天を焦がし、そこだけは昼間のような明るさとなって町を照らし出している。
 突然アンデッドの群れに強襲され、阿鼻叫喚の巷と化した町は火の手も上がり大惨事となっている様子が、そこから少し離れた街道からも見て取れる。
 この光景を目にして、夕暮れにまどろむ白い月・カレリア(a05885)は悲しい眼差しを町に向けた。
「ああ、なんということでしょう……。これだけ離れていても街の光景がはっきりと分かるほど燃え上がっているだなんて……」
「……炎とアンデッド、厄介ですねぇ」
 迫りくる炎とアンデッドから逃げ惑う人々を救出する役目を担った冒険者たちであったが、流石に両者を相手にしなければならないとなるとかなり苦しい。
 街の規模や現在置かれた状況を見てみて、寝惚け眼の埋葬者・パラノイア(a07036)は深々と溜息をついた。
 しかし、一度依頼を受けた以上、何としても彼らを救い出さなければならないと鋼鉄の乙女・ジル(a09337)は皆を促す。
「とにかく急いで町に向おうよ! あの状況じゃ、ぐずぐずしている暇なんてないんだからさ!」

 街の中は予想以上にひどい状況であった。
 人々は闇の中より現れた不死の化け物たちに追い立てられ、また風に煽られて勢いを増した火は次々と燃え広がり、家屋を灰燼にきしている。
「大丈夫ですか? 僕達が来たから、もう安心ですよ♪ ……って、ほとんど聞いてませんね、皆」
パニックに陥っている人々は、町に到着した冒険者たちが声をかけてもそれに耳を傾ける余裕などまったくないらしく、右往左往するばかり。
この状況を見て、いつも元気な笑顔の妖精・アンディ(a04272)はため息をつくが彼らを何とか落ち着かせて避難させなければならない。
既に町の外にも多くの人々が逃げ出してきているが、ひとまずは彼らを安全な場所に連れ出す必要があると楽風の・ニューラ(a00126)は彼らを一箇所に集めることにした。
「皆さん、落ち着いてください! 私たちは皆さんを助けにきた冒険者です。指示に従って安全に避難してください」
「それじゃあ、ここは任せるよ。ボクたちは町の中にいる人たちの救助に向かうね」
 今回の依頼では、冒険者たちは大きく分けて二つの組に分かれており、他のもう一つの組の冒険者たちが先行してアンデッドを掃討する手はずになっている。
 これに呼応して素早く町の人々を救出するため、翡翠色のレスキュー戦乙女・ナタク(a00229)たち一行は、外にいる人々を仲間に任せ、炎に包まれた町に急ぐことにした。
 町の中には、既に先行した冒険者たちが破壊したと思われるアンデッドの残骸が転がっており、既に戦いが行われていることが見て取れる。
 そして、街中には当然、そのアンデッドに襲われ傷つき倒れている人々も多く見受けられ、断罪求めし片翼の邪竜・ファフニール(a06956)は彼らの元に走り寄るとヒーリングウェーブによる癒しを施す。
「これはまた手ひどくやられているね……。この回復だけだと全ての怪我を癒しきれないかもしれない」
 その言葉どおり、ヒーリングウェーブによる癒しの力を受けても立ち上がることができない人たちも多く見受けられた。
 同じように回復を行っていた深緑の唄い手・クレアトゥール(a07144)も、何度癒しを施しても完全に傷を癒すことができないほど重傷を負った人の手当てに従事している。
「う〜ん、自力で逃げられる人はいいけど、そうじゃない人は肩をかすなどして手助けしないといけないようだね」
「流石に全員を一度にという訳にはいきませんが、動けない人たちは私が背負って外に連れ出すことにしましょう」
 重症を追っている人々は意外なほど多く、すぐに全員を外に連れ出すことはできないが、できるだけ早く連れ出し、安全な場所に連れ出す必要がある。
蒼剣の騎士・ラザナス(a05138)が怪我をして動けない者たちを背負い、彼らを町の外へと導く。
こうして冒険者たちの救助活動は始められた。

●炎からの救出
 救助活動に関して最大の障害であるアンデッドに関しては、既に先行した冒険者たちが予め殲滅してくれているため、それは問題なくなっている。
 しかし、もう一つの火という問題は依然として残っており、その勢いは弱まるどころか益々強まっていた。
 そして炎に包まれた家屋に取り残された人々を救出するため、ジルは大地斬をもって家屋の扉を粉砕していく。
「助けに来たぞー! 出られない者は居ないかー」
 この呼びかけに対し、燃えて崩れ落ちた瓦礫の中よりわずかではあるが、助けを求める小さな声が聞こえてきた。
 早速、赤き月夜に荒れ狂う魔狼・グレン(a08909)が瓦礫の除去にあたる。
「待ってろ! 今助け出してやるからな!!」
 このようにして、町の人々の多くはアンデッドというよりは二次災害である火災によって甚大な被害を被っている。
 何とか火災現場から救出された人々は、瓦礫に挟まれていたときにおった怪我や火事による火傷により負傷している。
 このような怪我人たちはクレアトゥールやアンディがヒーリングウェーブや癒しの水滴を用いてすぐに癒しを施す。
「怪我人が多くて大変ですねぇ。ヒーリングウェーブでもまかないきれませんよ」
「それでも何とかしなくちゃ! 怪我を全快できなくても、せめて立って歩けるだけに回復してくれればそれで……」
 癒しを施しているのは、ある程度開けていて火も届かない安全な場所ではあるが、それでも街中である以上、危険が完全にないわけではない。
 できるだけ急いでこの場所から離れる必要があるのだが、痛みと恐怖でパニックを起こしている人々は中々こちらの指示に従ってくれない。
 そこでニューラは、子守唄などを爪弾き、何とか人々の動揺を鎮めようと笑顔で彼らを安心させるよう努めた。
「ここまでくればもう大丈夫ですよ。皆さん落ち着いてください。何かが起きても私たち冒険者が護りますから」
 冒険者たちは、複数の組に別れて街の中に入り人々の救助にあたっていた。
 このため、効率的に街の中を回り人々を救出することに成功したが、しかし殲滅班がとり逃したのだろうか、人々の避難を行っている最中にラザナスは通りの向こうからアンデッドの群れがこちらにやってくる光景を目の当たりにする。
「どうやら、全てのアンデッドを殲滅班が撃破できた訳ではないようですね。こちらの非難誘導が完了するまでもう少しの間大人しくしておいてもらいたかったところですが……」
 肉が半ば腐乱し、白濁した目をこちらに向けて襲い掛かってくるゾンビに既に一片の肉も残さずに骨だけとなって尚動き続けるスケルトン。
 これらのアンデッドは相手が生者と見れば見境無く襲い掛かってくる。
 そして、アンデッドたちは新たに発見した冒険者と町の人々に対しても自分達と同じような躯にしてやろうと攻撃を仕掛けてくるが、それに対してパラノイアとナタクがそれぞれに立ちはだかった。
「もう少しでこちらの避難誘導が完了しますのでね。申し訳ありませんがもうしばらく大人しくしておいてもらいましょうか」
「ボクたちの邪魔をされるわけにはいかないんだ。悪いけど君達はここで倒させてもらうよ!」
 ミラージュアタックによる幻影と共に繰り出す一撃がスケルトンの頭を粉砕し、ゾンビの体を剛鬼投げでたたきつける。
 こうして仲間達がアンデッドの群れの注意を引き付けている間に、カレリアとファフニールは逃げ遅れている人々の手をとり、彼らを町の外の安全な場所へと誘導する。
「さぁ、急ぎましょう。町の外にでればもう安全です。そこまでは私たちがお守りしますので安心なさってください」
「生きてさえいれば、いつか、きっと幸せになれるはずです……。今はともかく生き延びることを第一に考えてください」
 ともすれば不安に陥りそうになる人々を励まし、冒険者たちは何とか人々を町の外へと連れ出していく。
 かくして冒険者たちの必死の活動のお陰で、町の半分を焼いた火事の火がおさまり東の空に太陽が顔が覗かせる頃、多くの町の人々は無事に町の外に避難することができていたのだった。


マスター:秋雨紅葉 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:10人
作成日:2004/06/21
得票数:冒険活劇4  戦闘9  ダーク3 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。