<リプレイ>
あれほど暴れた太陽なのに、海に沈むその様は、素直。 ロッジのバルコニー、ラムナの肩に頭をもたれさせライは呟いた。日没と共にキスしたい、と。 二つの影が重なりあう。ライの希望は、叶えられた。 「ライの水着姿、見惚れてしまったよ。だから」 ラムナはライを抱き上げ、優しくベッドに着地させる。 「理性、飛んじゃったかも……」 彼の首を抱き、ライは囁いた。 「ね、ラムナん……夏の思い出、ください――」
浅瀬に素足をひたし、沈む夕陽を並んで眺めた。 「ジェイド、こっち向いて?」 「うん? ……わっ!」 ジェイドはたちまち水浸しだ。ハニエルが勢いよく水をかけてきたのだ。 「それなら負けないよっ!」 ジェイドも浴びせ返す。二人、はしゃぎながら浅瀬を追いかけあった。 だけどハニエルは体勢を崩し転びそうになる。咄嗟に支えようとしたジェイドだが間に合わず、濡れた体を絡めあい浅瀬に倒れてしまった。 「……ごめん」 照れくさそうなハニエルの唇を、ジェイドが唇で塞ぐ。 「貴方といると……ずっとドキドキしてるんだよ?」 その呟きは、ジェイドに届いただろうか。
クルシェとアオイ、身を寄せあいながら、夕焼けに染まるホワイトビーチを歩む。 「クルシェと来れて本当に良かったよ。二人っきりで過ごせて嬉しいな」 「はい……」 クルシェはアオイの右腕に抱きついている。日没を共にできた幸せをかみしめながら。 夜が訪れたら散歩は終わりだ。 その締め括りは、甘いキス。 「またアオイさんと一緒にここに来たいです……」
白い仮面も夕陽の色。アズライルは仮面姿で、アイリスと浜辺にあった。 「わああ……綺麗……」 空が宵闇に変わる様を、彼女はうっとりと眺めている。 太陽が完全に消えたとき、彼は仮面を音もなく外す。 「愛している、アイリス。この世の誰よりも、何よりも……キミを愛している」 「ありがとう……嬉しいの……」 見上げるアイリスの瞳に喜びの涙があった。 アズライルは口づけで、自身の言葉を証明してみせた。
浜辺で弦楽器をつま弾くはネーヴェ、風に溶けて恋人たちに、祝福の意を伝えてくれればいい。 前を横切ったアストが、軽く指を立ててくれるのがわかった。そういえば昨年の時点では彼も、随分やきもきさせてくれたものだ。 ネーヴェは微笑した。祝福あれ。
昼と夜の狭間――薄闇の中を、レグルスとアーリスは連れだって歩む。 レグルスは迷っていた。手くらい繋ぐべきなのだろうか、と。アーリスも意識しているのか顔を紅潮させている。 「どうせならこっちの方が良い……だろ?」 レグルスは大胆になる。指を絡めるも一瞬、するりと離しアーリスの腰に腕を回した。これにはアーリスも大いに動揺し、やっとの思いで 「……もうっ」 とだけ言い、紅潮した頬を彼の腕に寄せるのだった。
「潮風が心地良いですね」 ブルームは微笑みかける。夜の海岸はとても静かだ。 「そうだな」 アークの返答は短いが、そこに込められた感情をブルームは知っていた 彼は彼女を抱き寄せた。壊れ物を扱うように、ブルームの顔を上に向ける。 「ブルーム、愛してる」 ブルームは瞳を閉じる。初めての……そして永遠に忘れられないであろう、キス。 「私もアークさんの事……愛しいます」
海は、完全に夜の姿へと変わった。 シャイレイルはポムの肩を抱く。 「こんな風にのんびりするのも悪くないな」 ポムは笑顔だ。翼がぱたぱたと上下している。 「いつまでも傍にいさせてください〜♪」 「ああ。俺はポムにとって永遠に、大切な存在になりたい」 シャイレイルの心に陰がさした。不老種族でない己の身を哀しく思う。 別れはきっと、訪れるのだから。 だからそれまでは、ずっと、愛しつづけたい。
ミナルディアはホレイトと並んで歩きながら、尻尾を彼の尻尾に絡ませてみる。 ホレイトは尻尾でそれに応えてくれた。 「星の光って、いつまでも変わらないですね……」 夜空を見上げて彼女は、そっと彼の頬に口づけた。 「いつもありがとな……ミナ……」 ホレイトからのキスは、唇に。 「ホレイトさん……好き……」 彼の腕にもたれながら、ミナルディアの胸は幸福にはちきれそうだった。
友達以上恋人未満、アスタとジェフはそんな関係。ビーチを散策し他愛ない話に興ず。 会話が途切れたそのタイミングで、 「抱きしめて……いい、かな?」 ジェフは腕をのばしかけた。だがアスタは首を振る。 「そこから先に進むなら、かしこまった態度をもうちょっと何とかできないかな? ずっと今みたいじゃ疲れちゃうわよ」 「え? 態度……か。頑張って何とかするから、それまで少しだけ、待ってろっ」 今日はここまで。でもきっと、次は。
砂浜、プルミエールとスノゥは話しこんでいた。 「ほら、わかります?」 「本当に動いてますね♪」 スノゥは七ヶ月目のお腹を触らせているのだ。 「家族なんて危なっかしいもの……砂山のようですけどね」 だからこそ、とスノゥはいう。後悔はしたくないと。
昼はパパとして活躍したクルドも、夜は夫としてユーナを迎えた。 「……恥ずかしいので、じっくりと見ないでくださいね」 おずおずとユーナが露わにしたのは白のビキニ、水色のパレオが鮮やかだ。そのまま、 「おいかけっこしませんか?」 と走り出す。 椰子の間を経巡り、彼女を抱きしめクルドは囁く。 「捕まえた。ご褒美が欲しいな、甘くて柔らかいものだと嬉しいんだけど?」 ユーナは頷いた。ロッジの部屋は取ってある。
椰子の木の下、アイが恋人を待っている。 「誘ってくれてありがとうな」 背中より抱かれ、アイの心臓は飛びだしそうになった。 「ァ、アスト! 不意打ちは……」 「不意打ちは?」 アイの背の柔らかさを意識しつつ、アストは問い返す。 「……ちょっと嬉しい、かも」 アストは笑ってしまった。不器用だけど変に素直、それが彼の恋人なのだ。 「着てくれたんだな」 アイの白いビキニは彼からのプレゼントだ。 「礼として……キスさせてくれるか?」 「喜んで」
ロッジの一室。 星明りに照らされながら、ミリィはヨウに身を任せた。 背中から抱いて服の合間に手を入れ、彼女の柔らかな感触をヨウは味わう。 「抱きしめる度に綺麗になっていく気がするよ、ミリィは……」 「もしそうなら……」 首を曲げてキスをして、ミリィは吐息混じりに告げる。 「……貴方がこうやって愛してくれるから、ね」 今宵の物語は、朝まで途切れることがないだろう。
昼間に遊びすぎたかミズキとペルレは、ロッジの部屋で疲れをとる。 ベッドに寝そべり話を重ねるうち、二人の距離は狭まっていった。 「ペルレ様とここに訪れることができて本に嬉しゅうございました。この瞬間ほど、このような関係になれたことを幸いに思うことはございません」 ミズキの真心を聞き、ペルレは心を決めた。 「あの……ミズキさんになら私、何をされてもOKですから」 後悔は無い。 「愛しております、ペルレ様……」 ミズキも心は同じだ。最愛の人に口づけ、その唇を、鎖骨、胸の谷間へと滑らせてゆく。
ロッジのベランダにテーブルと椅子。 間に揺れる美酒はレシャール、発泡ワインの名酒だ。 「適度にこういう時間を持てれば理想なのですが……」 ミュカレは微笑した。グラムは頷き、 「こうして、波の音を聞きながらグラスを傾けるのもいいもんだね」 透明な液体に、星の光が映りこむ。 「……久しぶりに若い気分になってみるかい?」 穏やかにグラムが告げた。 「情熱的な恋人だった、あの頃のように?」 彼女が返すは、宝石のような眼差し。
並んでシーツにくるまり、ヨハンとセラは身を横たえている。 情熱的に交わした愛、その残り火が快い。 セラに腕枕しながら、ヨハンは彼女の髪を撫でつけている。あまりにも幸せで、つい乱暴にしてしまったかもしれない。 「ごめんね、疲れてない?」 「ん……大丈夫よ」 セラは彼の額にキスをした。 「そうやっていつも気遣ってくれるところが、好き」 ヨハンは再び、自身の火種が燃え始めるのを感じていた。
潮騒は夜想曲、ダンドリオとリタは並んでベッドに腰かけていた。 (「恋愛小説の主人公になった気分です」) 彼の指を自身の指と絡め、リタは告げる。 「ダンドリオさん、二人で夢を紡ぎませんか?」 その真剣な眼差しに、彼は彼女の求めるものを理解した。 頬へのキス、唇への、首筋への、そして…… リタの服がベッドに滑り落ちた。 未来へと連なる、夢の始まり。
ユウヤは回想にひたっていた。 (「俺とプラチナは一年前にここから始まった。そして今日ここで、関係を一歩進めよう」) 「ユウヤ殿、そろそろ寒うなった……部屋へ、入らぬか」 この日、プラチナのほうから宿泊を提案したのだ。 部屋の扉を閉めると、プラチナは急に恥ずかしくなったのか床を見つめた。 「わ、妾とて枕事位は知っておる、知ってはおるが……」 口説き文句を考えるユウヤだが、無理はやめ、行動で語ることにする。いくらか荒っぽく抱いて、彼女の服をつ剥いでゆく。 「妾の全部を貴方に差し上げる、貴方だけのものにしてくりゃれ」 現れた美しい肌に、ユウヤの目は眩んだ。
寄せては返す波、満天の星。軽食も用意した。 エルはシェードにもたれ掛かる。 「砂浜で愛する人と一晩を過ごすというのもいいものだね」 シェードは彼女の肩を抱いた。 エルは呟くように、 「最近、戦争が多いから……こういう幸せ、大事にしたい……」 「そうだね」 シェードは彼女の小さな唇に、唇で触れた。 「エル、愛しているよ」
星明かりがサフィールの、淡い桜色の水着を照らす。 (「トール様と居るから怖くはないけど……」) 彼女にとっては思い切った格好なのである。しかし照れも、トールの優しい言葉に溶ける。 「手も、髪も瞳も、今日の水着も、かけらと残さず愛おしい。この腕の中に閉じ込めてしまいたくなりますね。どうか離れずに傍にいてください、フィー」 トールはサフィールの手を取り、恭しく口づけた。
キールディアとシェルディンはかけがえのない時間を過ごした。夕陽を見て星を味わい、貝殻を集めて……。 シェルディンの仕草一つ一つにキールディアは目を奪われ、真情を吐露する。 「きっと今回の思い出も、シェルの顔しか浮かばないんだろうな」 嬉しさと恥ずかしさで硬直する彼女を、キールはお姫様のように抱きあげた。 「部屋へ行こうか、新婚旅行みたいに?」 ヒャッ、と声をあげた彼女だが、素直に身を任せてくれる。 「少し気恥ずかしくて……でも、嬉しいです」
エルスは、自身の心に気づくのに三年かかった。 (「最初は可愛い、次が心配……その挙句が、か」) 彼女を大切だと思う。しかし、今夜想いを告げれば彼女は困るかもしれない。 その矛盾を知りながらも、彼はこれから伝えるつもりだ。 プルミーが好きだ、と。
さりげない誘い方、それが問題だ。バルトは考える。 最初は世間話がいい。そのうち、寂しい、という話になるかもしれない。 寂しかったら彼氏でも作ればいいじゃねえか? と話を振ってみよう。 そして、さりげなく、あくまでさりげなく、最後はこう告げたい。「プルミー、試しに今夜だけ、俺と付き合ってみないか?」と。これでいってみよう。
夜の砂浜、プルミエールは一人、砂山を作っている。 「プルミー」 と同時に声をかけたのは二人、エルスとバルトだ。 「あらエルスさん。バルトさんも?」 きょとんとした目でプルミーは振り返った。 エルスとバルトは、互いに似た目的があることを瞬時に悟り、牽制しあう格好となってしまう。 ――今夜は機が悪そうだ。 ぎこちなく挨拶し、切り出せず引き返すことになった。
金色亭・海の家店。 「夜半も過ぎたし、皆ロッジに引き上げましたか」 無人のカウンターを見てフェイトは店じまいを決めた。宵のうちまではカップル客がいたものだが。ネーヴェも海に光弾を上げに行ったし、もう訪れる人もなかろう。 そのとき、 「フェイトさん……まだ営業してます?」 顔を出したのはユウキだった。 「ええ、大丈夫ですよ」 フェイトは微笑した。彼のことだ、道を間違えただかで帰れなくなったのだろう。 でもユウキには連れがいた。 「お邪魔します」 すらりとしたエルフの女性――イアナが入ってくる。 「ユウキさん、こんなおばさんの相手をさせてごめんなさいね。プルミエールさんを探していたのですが、彼女、取り込み中みたいだったので……」 「そんな……おばさんじゃないです、ぜ、全然」 「お世辞でもありがとう。なら今夜は、今はもう居ないあの人の思い出話につきあってくださいね?」 何度かまばたきしてから、フェイトは二人の前にキャンドルライトを置いた。
炎天下の漢談義、それも楽しからずや。しかしレナートにとってはロッジの部屋こそが本番……なのに愛妻のセイカは元気がなさそうだ。 「ごめんね、最近体調悪いのー」 「大丈夫かい?」 心配そうなレナートに、セイカはだしぬけに告げた。 「すっぱいもの食べたいなー」 「えっ!?」 椅子から転げ落ちてしまうレナートである。それって、まさか! 夏バテ防止的な意味なのに、何を驚いているのかな――とセイカは思った。
黒い波を眺め、オルファリエは呟いた。 「暗くて底が見えないせいか、何か怖い……なのに心地良いの。私によく似てるのかもね?」 「なら私は」レンシアは彼女に身を寄せ吐息を漏らす。「オルファリエ様の波に……溺れたいです」 オルファリエはレンシアを包むように抱き唇を奪った。そのまま木陰に押し倒し愛し始める。部屋まで戻るのすらもどかしい。 「いいわ。一晩中、可愛ってあげる……」 「あ、やん……優しく……っ」 言葉とは裏腹に、レンシアは身を捩ってさらに求めた。 「……らめぇ……っ」
プルミーは自分が浮いているような気がした。なぜかとても、安心する。 「これからも依頼を一緒に頑張ろう。君の背中は俺が守る」 ――どこかで聞いたような、だけど初めて聞くような声。 はっとして起きると、プルミーはベッドに寝かされていた。砂浜でうたた寝したかと思ったのだが。 ロッジの部屋だった。テーブルにはレシャールの瓶とウナギボーンが置かれている。 「ジースリー、さん……?」 窓の向こうに遠ざかる背中が、よく知っている人のようにプルミーには思えた。飛びだして追いかける。
東向きの窓、白みだす空をファルは眺めていた。 一睡もしていない。妻のフェリシスの求めは激しく、交歓は今し方まで続いたのだ。 ファルは呟く。 「娘たちが将来キミほど美人になるかと思うと少し複雑だ」 フェリシスは微笑した。彼の不安を忘れさせる方法は一つ。身を寄せ、柔らかな膨らみを押し当てる。 「すまない。そうだな、せっかくの場所と時間だ」 ファルは笑った。ならば陽が昇るまで楽しもう。
(終)

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参加者:52人
作成日:2008/08/14
得票数:恋愛27
ほのぼの3
コメディ1
えっち11
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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