【花愛でる如く】廃村に巣くうグドン退治



<オープニング>


●非常に身勝手な話
「非常に身勝手な話ではありますが……」
 ヒトの霊査士・イズミ(a90160)は、珍しく苦笑しながら冒険者達にグドン退治を依頼する。
「実は、廃村に巣くったグドンを退治していただきたいのです」
「それは是非もないのじゃ。グドンとは、我ら人間に敵対する存在であろ?」
 イズミに頷いて見せるのはエルフの邪竜導士・セリカ(a90232)である。
「ええ、そうです。ですが、今回の場合、先の戦乱で廃棄した村に巣くっていたグドンを……」
 イズミの話を短く言えばこうである。
 ランドアース大陸の北東部、湖に側した街道沿いに、村が数カ所ある。
 その一カ所は先の戦乱で敵の軍勢が押し寄せて、村人は無事に脱出できたものの、完全に廃棄されてしまっていた。
 当時、破壊された跡を修復するには人手が足りず、避難した先に新たに居を構えた村人達はそのまま住み着いて新天地での生活にも慣れてきていた。
 ちょうど、この夏の時期になり、新たな土地に住み慣れ始めた人々が、住居の拡大、新たな建築を必要としてきている。
 ただし、周辺の森林を切り倒し、石切り場で新たに基礎を切り出し、石壁の為に石を運び出すには山は遠すぎた。
 そこで白羽の矢が立てられたのは、破壊されて放棄されたままの村。
 そこから資材を運び出してはどうかという話が浮かび上がったのだった。
「それは、また……確かに相手にしてみれば、気まずいのかの?」
「互いに、今までは相互不干渉で済んでいた地域ですからね。下手に手を出して後のことを考えればと、冒険者に話が来たのでしょう」
 グドンにとっては、人間が居なくなった場所に住み着いただけであり、今回の資材の確保の為に村を再度開放しようとする場合、いったいどちらが正義なのかと考えてしまうと……・。
「生活を営む為には、仕方がないでしょう。廃村に巣くった五十体の兎グドンと、それを率いていると思われる兎ピルグリムグドンを排除してください」
「兎?」
 セリカの目が点になる。
 敵は二体の兎ピルグリムグドン率いられた兎グドン五十体。
「皆さんには、村からグドン達が撤退して、二度とその村に襲撃をかけられないようにしていただければと思います」
「作業にかかった民に、被害が及んではいかんからじゃな?」
「ええ。現場は少し大きい湖の岸に面した村です。グドンを退治した後には、完了の報告を資材を運搬に向かう方がいらっしゃると思いますので、現場で引き継ぎをお願いします」
 ランドアース大陸の地図を広げ、その一角にある湖の北に指を下ろすイズミ。
「それは良いのじゃが……帰るまで、少し時間がかかると思うが?」
「暑い最中ですから、湖で涼をとられてはいかがですか? それ位の時間はあると思いますよ」
 表情を変えずにイズミは続ける。
「最優先に倒していただきたいピルグリムグドンは、蛇のような尾を持つものが一体、触手を持つものが一体です」
 更に、イズミとしては、できれば湖の周辺を荒らさないであげて欲しいと願う。
「今は人が暮らしていないと言っても、その地を訪れる方にとっては故郷……その故郷が荒らされている事実を見るのは……」
 扇を口元に置き、言外に言うとイズミは居住まいを正して冒険者達に向き直る。
「どうぞ、村の開放をお願いします」
 深々と、頭を下げるイズミだった。


マスター:IGO 紹介ページ
 IGOです。
 湖岸の村、その廃村に巣くったグドンを退治してください。
 すでに廃村ではありますが、それでもあまり破壊の跡を増やさないことも、依頼の達成に絡んできます。
 この依頼にはエルフの邪竜導士・セリカ(a90232)も参加しています。彼女用のシリーズ依頼第一弾ととらえて頂いてかまいません。
 セリカは邪竜導士のアビリティは全て習得しています。
 それでは、冒険者の皆さんの参加をお待ちします。

参加者
蒼浄の牙・ソルディン(a00668)
祈りの言霊紡ぐ・コト(a26394)
黄昏の疾風・ブリュネル(a37293)
光纏う白金の刃・プラチナ(a41265)
真情なる豪商・ヴェスパ(a46178)
楽しそうに踊ってる・シロップ(a52015)
星を集めた音色・チユ(a72290)
星の王子様・ローランド(a74628)
修道騎士・マリア(a75107)

NPC:エルフの邪竜導士・セリカ(a90232)



<リプレイ>

●廃村に向かう
 廃村に向かう道すがら、ミーティングを兼ねた小休止で
「セリカ姫と同行出来るとは光栄の至り」
「うゆ?」
 大仰に膝をつく星の王子様・ローランド(a74628)に手を取られたエルフの邪竜導士・セリカ(a90232)が目をぱちくりとさせる。
「人々の暮らしの為、共に参りましょう」
 キラーンと。
 セイレーン種族ならではの巧みな言葉遣いと、身綺麗に整えられたマントなどの装束は、ローランドが気合いを入れている現れかも知れない。
「しかし、囮とは言え……このバーベキューの一部が無駄になるかも知れないと思うと、残念だ」
 蒼浄の牙・ソルディン(a00668)が神妙な表情で荷物を見る。
「色々と、感慨深いものがありますわね……」
 祈りの言霊紡ぐ・コト(a26394)はソルディンとは別の意味で溜息を一つ零している。
 彼女にしてみれば、同郷のセリカとは初の依頼で少し心躍る部分もあるのだが、それ以上に戦いの持つグドンとの果てない……様に思える争いを憂いていたのだ。
「ブリュネル殿。最後の確認じゃが、妾はソルディン殿と共に囮として行動……じゃな?」
 香辛料をたっぷりまぶした肉と、相手は兎グドンと言うことで大量のニンジンを準備していた光纏う白金の刃・プラチナ(a41265)が手順を確かめるように指さしながら問う。
「そうだ。二人から合図があったら、俺達は一斉に拘束系、攻撃アビリティで戦闘開始だ。湖に被害が出ない様に、注意を」
 プラチナに問われた黄昏の疾風・ブリュネル(a37293)が視線で点呼を取るように仲間達を見回す。
「誘いに掛からなかった場合は、我が身を持っての誘き出し……とか、かのぅ? 召喚獣を隠して近付けば、無力な獲物とでも思って追ってくるやも知れぬし」
 戦場に近付けば、召喚獣は嫌でも出て来てしまうがのと、薄く笑ってみせるプラチナに、ローランドが大げさに天を仰ぐ。
「危険だ、危険すぎるよ……でも、プラチナの合図で参戦と行きたいね……勝利の女神に率いられるみたいで格好いいし」
「……」
「妾を見られてものぉ……」
 ローランドの言葉に「どうする?」と、問いかける視線で彼女を見るソルディンに、言葉を濁すプラチナ。
「それは置いておいて、ね」
「……ええ」
 棚の上に置いたらしい楽しそうに踊ってる・シロップ(a52015)と星の音色・チユ(a72290)が、進行方向に見え始めた廃村を真剣な表情で見つめながら続ける。
「セリカお姉ちゃん、チユお姉ちゃん、一緒に隠れよ?」
 シロップは被ることが出来る程の大きめの布に葉や小枝を貼り付けて、身を潜める準備を終えている。それに一緒に隠れようと言うのだ。
「風上は……大丈夫だな」
 修道騎士・マリア(a75107)は目標の廃村と、風の位置関係を確かめて、その様子を見ていたプラチナ、ソルディンも意図を汲んで頷いてみせる。
「では、行くとしましょうか? ……」
 真情なる放蕩・ヴェスパ(a46178)は知人の体験で知り得た草の汁で体の匂いを消す方法を試す為に、持参した物を見て、自分が下した判断を呪う様に息を吐く。
 装備の艶を消す為に擦り付ける泥に、匂いの強くなる草と、ヴェスパやローランドにしてみればかなりの勇気を必要とする選択だ。
「……楽しそうですね?」
「さぁ、わたくし達は待機ですわ」
 自分達とは別の意味で、楽しそうだなぁと見つめるチユは余所に、それぞれの準備を頼もしげに、そして年少組の前向きな明るさを嬉しそうに見ながらコトも準備を怠らない。
「もぞもぞ動いたら、くすぐったいよ。静かにしないとダメなんだよ。くすくす」
 静かにと言いながら、楽しそうに笑いを漏らすシロップ。
「は、はいです……」
 年少に言われて、頷いてみせるチユだが、二人と一緒に隠れていることは、不謹慎だが「隠れん坊みたいでワクワクしちゃいます……」という次第だった。
 だが、シロップに言われてからは、目を皿のようにして攻撃開始の合図を見逃さない様に、囮役から目を離さない。
「……バーベキュー良いなぁ……」
 接近していく囮役から目が離せないのは、別の意味もある様子だった。

●任せました
「任せました」
「任されてやるわい!」
 ソルディンに役割を振られ、半ば自棄になりながら叫ぶプラチナ。
「合図だ……!」
 行こうと、ローランドが立ち上がるより先に隠れていた場所から走る黒い影。『血の覚醒』で一撃を必殺の技にへと極めさせたブリュネルだった。
「ローランドお兄ちゃん……可哀想」
「……ふ。いざ参らん、我らの勝利の女神の為に!」
 隠れていた布の下からシロップに言われて、進軍を腕で高らかに指し示そうとしていたローランドの視線が泳ぐのだが、囮役から転じ、最前線で闘うプラチナを見て恥ずかしいのは何処へやら、颯爽と地面を蹴って駆け出していく。
「羨ましいな、その早さは」
 ローランドに少し遅れた形でグドンを叩き斬るマリアが色々な意味で呟いた。
 彼女の一撃で振るわれる巨大剣、-Bad Faith-は十字のその姿を兎グドンの目に映った次の瞬間には、構えを取らせる間もなく、強大な膂力を持って吹き飛ばし、叩き斬っていく。
「せいっ!」
 ブリュネルが走り込んだ勢いをそのままに、振り抜かれた巨大剣が巻き起こす竜巻がグドン達を豪放な空気の激流に巻き込んで、揉み崩し、叩き付けるように引き裂き、吹き飛ばして壊滅させていく。
「……せめて、言わせてやるべきだったか?」
 ブリュネルが余り悪びれた様子もないのは、目の前のグドンを一刻も早く片付けて、ピルグリムグドンへの備えを充実させたいと思っているからだろう。
「暗黒縛鎖での麻痺も、回復している、と……」
 マリアはブリュンネルが麻痺から素早く回復したのを見て、もう一人、攻撃を繰り出すことで不利になる人物を振り返って頷いていた。
 恐るべきは、コトが放った『暗黒縛鎖』。
 前衛が数号の剣戟を繰り出した後には、兎グドンで抵抗を見せる存在は片手の指で数える程にしか居なくなっていた。
「助かるな、これは」
 ソルディンは一体一体の兎グドンの動きを見ながら、確実に敵の数を減らす為に慎重を期して細身の剣を閃かせていく。
「医神ラウレック様、貴方の寵児、シロップが祈ります……」
 ソルディンが後方を確認したのは、シロップによりコト、ブリュネルが回復した直後だった。コトとシロップの頷き合う姿に一瞬和んだ意識を無理矢理に戦場の鋭敏なそれに引き戻して……。
「助かる。が故に……俺は油断も慈悲もなく、貴様等を叩く」
 ソルディンは廃村の影に敵の残存が存在しないかを確認し、倒すべき存在が囮役に惹かれてゆっくりとこちらにやって来ているのを認めた。
「シロップちゃんありがとう。静謐助かるよ☆」
「えへへへ……」
 ローランドもまた、ブリュネル同様に『レイジングサイクロン』でグドンの数を一気に減らす作戦に出ていた。
 彼の言葉に耳まで紅く染まるシロップの前でローランドは最後の『レイジングサイクロン』を兎グドン達に浴びせかける。
「一体一体は、全然問題じゃないって言うのに、ここまで数が多いと集団の暴力ってものを感じますね!」
「余裕の様子ですわね……出でよ暗黒の鎖。我が敵を絡め取れ……」
 『黒炎覚醒』で威力の上がった攻撃を繰り出しつつ、まだ数の多いグドン達を二度目の『暗黒縛鎖』で縛り付けるコトが敵を評して言う。
 同時に、彼女とローランド、ブリュネル達はシロップによって麻痺の状態から脱していたのだが、徐々に減りつつある敵グドン達の肩越しに、最悪の存在が歩いて来ているのが見られる。
 鋭く前歯が突きだした左右から、囮役の持ち込んだ食材に反応しているのか地面にシミを作りそうな量を滴らせる涎が際限なく落ちている。
 二体の兎ピルグリムグドンは餌と認識している物への執着だけで、冒険者達の存在は一向に解していない様子である。
「彼らにとって私達は招かれざる客人でしょうが、所詮は彼等とは相容れない者同士、非情に徹しましょう」
 頭上に浮かび上がる紋章。
 迸るアビリティの輝きは、その一つ一つが鋭く、激しく、グドン達に襲いかかる。
 醜悪な断末魔を上げて倒れ行く兎グドン達。『エンブレムシャワー』によって視界のグドンを一掃したヴェスパは、ローランド、マリアが彼らを背に護る様にして立つ後ろから、一際巨大な、蛇の如くうねる尾を持つものと、無数の触手を背に蠢めかせる敵を見上げるようにして杖を構え直した。
「皆さん、大丈夫ですか〜!」
 チユはコト、シロップの間で全域に癒しの光が届くようにと小走りに動き、彼女達を護るように展開する仲間達の護衛の輪から離れない位置で癒しの輝きをその身に宿す。
「これで、大丈夫ですか〜?」
 緊張しているが故にか、チユの語尾は震えるように伸びているのだが、仲間達はそのことを教えるでなく、迫る強力な敵に集中出来るように、徐々に減りつつあるグドンへの追撃の手を休められないでいた。
「この距離なら……いける!」
 距離を測り、『ソニックウェーブ』を放つソルディン。
 距離の離れた位置からの攻撃に、兎ピルグリムグドンが上体から大量の血液を吹き撒く傷を負った自分に驚く姿が、次第に冒険者達の存在によるものだと気付き、その歩行が走行に変わるのには時間は掛からなかった。
「……今だよ!」
 強敵を確認し、各個撃破していたグドンへの攻撃を抑え気味にしていたマリアが『紅蓮の雄叫び』で気迫の込められた檄を飛ばした。
「こちらは任せて下さい。逃げることなど、許しませんよ」
 グドン達の中に、逃亡を試みる僅かな個体が現れた。そこに浴びせかけられるのは、有効な範囲に収めるには不利になってきているものの、グドン相手には些かの遜色もない『エンブレムシャワー』を駆使するヴェスパの攻撃だ。
「ピルグリムもそうじゃが……ええい、帰るな! 逃げ込むな! そこから貴様等を駆除するのが妾達の仕事じゃ!」
 プラチナは斧を振りかざし、真っ向からグドンごと大地をたたき割っていく。
 彼女達に背を向けて、もと来た廃墟に逃げようとしていたグドン達は、次々にその数を減じていく。
「! 俺の目の黒い内は、ここを通さん!」
 コト、チユの居る場所に一歩踏み込み、その触手を伸ばそうとしたピルグリムグドンのうねる部位に、ブリュネルの一撃が振り下ろされる。
「お待たせ。さて、メインディッシュだね☆」
「これで逃げ場はない」
 ローランドが最後の包囲の位置に付き、それを確認したマリアも『紅蓮の雄叫び』による補助から直接の『パワーブレード』による攻撃に転じて相対する。
「この際、これで行きますか……」
 ソルディンが宣言した瞬間、彼を中心に、光がグドン達を照らし出す。
 激しい光によって注意を喚起する『スーパースポットライト』の輝きは、ソルディンの意図通り、逃亡しようとしていた敵の意識を彼に集中させ、それらの攻撃を一身に背負う形になる。
「だがね……まだまだ遅いよ!」
 グドン達がソルディン目掛けて攻撃に転じようとした、その一瞬の間に冒険者達の反撃が一閃する。
「光よ、癒しとなり、神なる力となれ……」
「逃げるんじゃねぇ! 貴様らの命はここまでだ!」
 コトの祈りが光の輝きをソルディンに纏わせて、斬りつけていく巨大剣が光より現れた瞬間に、敵すら目を見張る神々しき姿へと変じた剣が、ピルグリムグドンの臓腑まで達する一撃となる。
「一挙両得……」
 コトの『ディバインヒール』を評しながら、ヴェスパは角度を違えてグドン達に攻撃の手を加えていく。
「逃げないのは感心しました。……後で、墓は作ってさしあげましょう……」
 ヴェスパは最後に倒れたグドンを見下ろして、残された敵へと意識を集中させる。
「今です〜」
 チユは、自身の回復のアビリティの機会を探りながら、セリカに攻撃を促してやる。
「待たせた分、味わって貰うよ! 唸れ! デュランダル!」
「冥府の果てに朽ち行くが良いわ!」
 ローランドとプラチナの巨大剣と斧が唸りを上げて、最後に立っていた敵の胸に叩き込まれていったのだった。

●静けさ
 静けさを取り戻した廃墟に、冒険者達の姿があった。
「……終わりましたね……」
「うん。みんな、怪我無くて良かったねぇ」
 ヴェスパは『土塊の下僕』に命じてグドン達の死骸を廃墟から少し離れた位置に運ぶのを見たソルディンは後から来る住民達の感情も合わせて、燃やしておくのが良いのではないかと提案していると、作業を手伝っていたプラチナが首を傾げていた。
「どうしました?」
 周辺の警戒にしてみては少し違う様子だと、ソルディンが尋ねると、プラチナは肩を振るわせながらゆっくりと湖の方角を指さした。
「凄い、ですね……」
「ヴェスパさんは、どうなんですか?」
 絶句するヴェスパと、同族の方ですしと再び尋ねるソルディン。
 彼らの視線の先では、ローランドがカットも際どい水色の水着一枚で湖水に向かって駆けていた。
「湖も綺麗だけど、女性陣の美しさはそれ以上だね☆」
「! アリガトウお兄ちゃん、ダイスキ〜!」
 白いツーピースの、面積が少なめの水着を着ているシロップが歓喜のあまりに勢いを殺さないでローランドに突撃して、二人とも湖水に飛び込んでいく。
「あはは、シロップは元気で可愛いね☆」
 親バカもかくやという、猫可愛がりっぷりでシロップの頭を撫でていたローランドの視線が岸辺に向けられ、湖に足をひたして遊んでいたチユと共に、恥ずかしげに着込んだ水着を隠しているエルフを捕らえた。
「ボクとお揃いなんだよ、きっとセリカお姉ちゃんに似合うと思ったんだよ、ね?」
「姫の水着、お似合いですよ☆」
 恥ずかしさに泣き出しそうになっていたセリカにとどめを刺したのが、そんなセイレーンの一言だった。
「姫の故郷について興味がある。俺に教えてくれないかな?」
「ブリュネル様は姫様の故郷に興味がお有りですの? では、簡単に説明申し上げます……」
 コトに頼んでセリカと話をする機会を作って貰おうとしていたブリュネルが、話を聞きながら湖の方へと歩き始める。
「セリカ君は楓華列島の出身でしたね。故郷、と言う響きに感じる物があるのでしょうか?」
 廃村を思う村人達の想いに、何を重ねて思ったのかとヴェスパが聞くのに、黒い水着の胸元を隠していたセリカが恥ずかしそうに言う。
「汝等と同じじゃ。大切なもの、かけがえのないもの。そうであろ?」
「ええ」
 満足げに頷くヴェスパの背後から、ホウと女性の溜息が漏れて……。
「姫様……水着姿も素敵ですわ」
「言うでない!」
 コトにまで言われ、真っ赤になって湖に顔までしゃがみ込むセリカ。
「みんな、ご苦労様……で、軽めの物作ったんだけど……口に合うかな?」
 救いの神、マリアの出現で戦いと水辺での時間の経過を忘れていた冒険者達の胃袋から大きな音が鳴ったのは、抜群に秘密だったに違いない。


マスター:IGO 紹介ページ
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