可愛い小豚



<オープニング>


●フラウウインド大陸
 フラウウインドの森で、円らな瞳をした可愛らしい小豚が発見された。
 この豚は身体が小さくて手足が異常なほど短く、両手両足をバタバタとさせて走るのが特徴だ。
 その上、異常なほど臆病で、ちょっとした物音でも逃げ出してしまう。
 そのため、普段は外敵から身を守るため、木の上などに隠れている。
 ちなみに、この小豚は脂身が多いので、食用としては不向きだが、何故かメタルゴリラが好んで食べているらしい。
 今回の目的は小豚の生態を調べる事だから、まずはメタルゴリラを追っ払う必要がある。
 ただし、メタルゴリラはとても凶暴な性格をしており、胸を叩いて仲間を呼ぶからくれぐれも気をつけてほしい。


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参加者
潮騒の養い子・リオン(a05794)
ソニックハウンド・カリウス(a19832)
しっぽふわふわ・イツキ(a33018)
ぶどう科・リルル(a52901)
我は破滅を断つツルギなり・ルビナス(a57547)
プーカの忍び・アグロス(a70988)
蒼蛇の邪竜導士・ソーマ(a71717)
空色の拳士・フィア(a72071)
射通す白羽・ミスティ(a72785)
信念を貫きし剣・アーク(a74173)
NPC:温泉エルフ・ティアナ(a90006)



<リプレイ>

●フラウウインド大陸
「何だかんだで、また……懲りずに来てしまいましたね、フラウウインド大陸。ゴリラには興味ないんですが……ぶ、ブタ……。し、失礼……。食べられないんでしたね」
 自作のフラウウインド生態系辞典をペラペラとめくり、蒼の独奏曲・ソーマ(a71717)が残念そうに溜息を洩らす。
 残念ながらフラウウインド生態系辞典には子豚に関する記述がないのだが、その代わりメタルゴリラに関して詳しく特徴が書かれており、バナナが好物である事が分かっている。
 そのため、ソーマはメタルゴリラを誘導するようにして、バナナを房ごと一定の距離を保つようにして置いていく。
 これで例えメタルゴリラが現れたとしても、バナナの方に興味が向いてしまうので、しばらく時間が稼げるはずだ。
「メタルゴリラはバナナが好きなんだねぇ。その上、肉食でもあるなんて……」
 一瞬、恐い考えが脳裏を過ぎり、潮騒の養い子・リオン(a05794)が身体をぶるりと震わせた
 ちなみにメタルゴリラは金属製の物を好んでおり、油や鉄の臭いがする生物を好んで食べている。
 そう言う意味では脂身の多い小豚が、メタルゴリラの餌になっているのは、別におかしな事ではない。
「フラウウインドの動物達は、ワイルドファイアとはまた別のベクトルで常識外れだから興味深い。まぁ、食用になるかは実際に食してみないと判らんが、だからと言って未知の生物を初っ端から食うつもりでいるのは如何なものか。毒だけでなく、未知の病原菌やアレルギーなども有している可能性がある。だから、まずはしっかりと生態を調査した上でだな。……って聞いているか、お前ら!」
 仲間達にツッコミを入れながら、ソニックハウンド・カリウス(a19832)が生暖かい視線を送る。
 フラウウインド大陸で発見された子豚は脂身が多くて食べられたものではないのだが、それでも食用として考えている者がいるらしく、子豚を発見する前から不穏な空気が漂っている。
「とりあえず今はメタルゴリラを倒す事だけ考えた方がいい」
 険しい表情を浮かべながら、信念を貫きし剣・アーク(a74173)が遠眼鏡を覗き込む。
 メタルゴリラの群れはクンクンと鼻をヒクつかせ、子豚の生息地域を目指して歩いている。
「ど、どうしましょうか? 今なら一気に叩く事が出来そうですが……」
 なるべく物音を立てないようにして茂みに隠れ、射通す白羽・ミスティ(a72785)がゴクリと唾を飲み込んだ。
 ここでメタルゴリラの群れに攻撃を仕掛ける事は簡単だが、最悪の場合は仲間を呼ばれてしまうので迂闊な事が出来なかった。
「それじゃ、ゴリラ退治としゃれ込みますか!」
 メタルゴリラの群れを囲むようにして、我は破滅を断つツルギなり・ルビナス(a57547)が仲間達に合図を送る。
 それと同時に仲間達が茂みに隠れて移動を始め、メタルゴリラの逃げ道を塞いでいった。

●フラウウインドの森
「この先に新しく発見されたブタさんがいるんですね♪ 一体、どんなブタさん、なんでしょうか。楽しみです♪」
 楽しそうに鼻歌を歌いながら、空色の拳士・フィア(a72071)が瞳をランランと輝かせる。
 フラウウインド大陸の森で発見された小豚は大変に臆病な性格のため、ちょっとした物音がしただけでも逃げ出してしまう。
 そのため、出来るだけ足音を立てないように気をつけ、抜き足差し足で小豚の生息地域にむかう事になった。
「おお、居る居る……。ハハハ、ホントに可愛いわ」
 付近の草をすり込んで体臭を消し、しっぽふわふわ・イツキ(a33018)が小豚の群れを見つめて擬態色のマントを被る。
 小豚の群れはちょこまかと辺りを走り回っており、自らの食欲を満たすため植物の新芽にパクついた。
 その姿があまりにも可愛らしかったため、思わず声が漏れてしまいそうになってしまったが、ここで失敗するわけにもいかないのでグッと我慢をする。
「小豚さんがおびえて逃げちゃうから、静かにした方がいいと思うの」
 スケッチブックを開きながら、姫百合・リルル(a52901)が人差し指をピンと立てた。
 次の瞬間、メタルゴリラの唸り声が辺りに響き、小豚の群れが警戒した様子で尻尾を立てる。
 小豚の群れはメタルゴリラの唸り声が聞こえた方向とは逆を向き、助走をつけるようにして両足を激しくバタバタとさせた。
「ティアナさん、一緒にがんばりましょう!!」
 豚の顔が眩しい小さな旗を掲げ、プーカの忍び・アグロス(a70988)が茂みから飛び出していく。
 それに合わせて温泉エルフ・ティアナ(a90006)が涎を垂らし、小豚の群れに噛みついていくのであった。

●メタルゴリラ
「しっ、しまった!? まさか、こんなに早く仲間を呼ばれてしまうとは……」
 信じられない様子でメタルゴリラを見つめ、カリウスが悔しそうに唇を噛み締める。
 メタルゴリラの群れは何度も冒険者達の妨害に遭っているため、マトモに戦っても勝ち目がない事を悟ったらしく、カリウス達と目が合った途端に激しく胸を叩いて仲間を呼ぶ。
 それと同時とあちこちから胸を叩く音が響き渡り、一瞬にしてカリウス達の間に緊張が走る。
 しかし、ここでカリウス達が逃げてしまえば、間違いなく小豚達にまで危険が及ぶ。
「今頃、ティアナ達は小豚を食べているのかなぁ? 一応、注意しておいたけど、妙にアグロスも気合が入っていたし、何だか嫌な予感がするんだよね。……って、そんな事を言っている場合じゃないか」
 ティアナ達の姿を思い浮かべ、リオンがハッとした表情を浮かべる。
 いまのところメタルゴリラが標的にしているのはリオン達だけなので、上手く誘導する事さえ出来れば小豚の生息地域から遠ざかる事が出来るはずだ。

 警戒した様子で辺りを見回しながら、リオンが念のため退路を確保する。
 ただし、小豚を巻き込むわけにはいかないので、生息地域とは逆方向に向かって走り出す。
 その間にメタルゴリラの群れが現われ、仲間達を救うべく攻撃を仕掛けていく。
「今までに、何度もメタルゴリラ退治が行われてきたそうですが……、それでもこれだけ集まってきたという事は……、よほどの数がいるんでしょうね……。もしかしたら、フラウウインド生物の食物連鎖の頂点でもあるのでしょうか?」
 不思議そうに首を傾げながら、ソーマがボソリと呟いた。
 だが、フラウウインド大陸の一部しか解明されていない時点で、メタルゴリラを食物連鎖の頂点と考えるのはあまりにも早過ぎる。
「我が太刀筋は流れる水が如く……」
 バナナとアミュレットを使って誘き寄せながら、アークがメタルゴリラの群れに流水撃を炸裂させた。
 その一撃を喰らってメタルゴリラが悲鳴をあげ、殺気に満ちた表情を浮かべて拳を振り上げる。
「例え硬くても、この技なら!」
 メタルゴリラの懐に潜り込み、ルビナスがソニックウェーブを叩き込む。
 そのため、メタルゴリラは拳を振り下ろす事が出来ず、オイルのようにどす黒い血反吐を吐いて倒れ込む。
「とにかく小豚の調査が終わるまで、何とか時間を稼ぎましょう」
 メタルゴリラを引きつけながら、ミスティがガトリングアローを放つ。
 それと同時にメタルゴリラが派手に吹っ飛び、次々と落下して地面にめり込んだ。

●可愛い小豚
「絶対に逃がしたら駄目ですよ。一匹でも多く捕獲して、フライド王に献上すれば、色々な意味でウハウハなはず。……って、あれ? ティアナさん?」
 大粒の汗を浮かべながら、アグロスがティアナに視線を送る。
 どうやらティアナは小豚に噛みついた瞬間、口の中に錆びた鉄の味が広がって、お腹の調子が悪くなってしまったらしく、グッタリとした表情を浮かべて倒れたまま、ピクリとも動こうとしない。
 それでもアグロスは小豚を捕殺するため、勢いよく包丁を振り上げた。
「ふたりとも小豚さんをいじめちゃだめなのー!」
 アグロス達を叱りつけながら、リルルが粘り蜘蛛糸を放つ。
 次の瞬間、アグロスはまったく身動きが取れなくなり、観念した様子でその場に座り込む。
 もちろん、本来ならば最低でも小豚を3匹ほど捕殺し、フライド王への献上用、横流し用、自分用に考えていたのだが、仲間達から冷たい視線を浴びた上に、目張りとモザイクで存在すら消される勢いなので諦めた。
「こんなに可愛い子を食べようとしないでくださいっ! 今度、こんな事をしたら、絶対に許しませんからね!」
 小豚をギュッと抱きしめながら、フィアがアグロス達に説教をし始める。
 未だにティアナは意識を失ったままだが、何やら悪夢を見ているらしく、『ごめんなさいですよ〜』とうわ言のように繰り返す。
「……それにしても可愛いな……。バーレル近辺に出没する風船豚は、ひょっとしてこの豚の亜種かの? チキンレッグがフラウウインドから来たという噂も有るそうだし……、あながち間違いとも言い切れないかもな」
 小豚の頭をヨシヨシと撫でながら、イツキが少しずつ想像を膨らませる。
 いくつか調べていくうちに共通点も見つかったので、もしかすると遠い親戚なのかも知れない。
 ただし、それを証明する術がないので、現時点では無関係であるという結論に至った。

●最悪の事態
「これ以上、仲間を呼ばれてもマズイです。一気に倒しましょう!」
 メタルゴリラの群れが次々と集まってきたため、ルビナスが警戒した様子で後ろに下がってソニックウェーブを放つ。
 それに合わせてソーマがデモニックフレイムを放ち、メタルゴリラのクローンを作り出す。
 クローン化したメタルゴリラはソーマ達を守るようにして陣取り、メタルゴリラの群れに襲いかかっていく。
 だが、メタルゴリラの群れは信じられない様子でクローンを見つめ、何とか落ち着かせようとして背中をポンポンと叩いている。
 もちろん、そんな事をしても無駄なのだが、メタルゴリラは相手がクローンであると気付いていないため、混乱状態にあるのだと思い込んでいるようだ。
「いまです、皆さん!」
 仲間達に合図を送りながら、ミスティがナパームアローを炸裂させる。
 それでもメタルゴリラの勢いは収まらず、ドンドンと胸を叩いて仲間を呼ぶ。
「……まだ戦う気か。しつこい奴らだ」
 険しい表情を浮かべながら、カリウスがジャスティスレインを撃ち込んだ。
 次の瞬間、太陽の如く光り輝く正義の矢を放たれ、メタルゴリラの群れを倒していった。
「我が一刀は雷の煌き……奥義、雷光一閃!」
 一気に間合いを詰めながら、アークがメタルゴリラにサンダークラッシュを叩き込む。
 その一撃を喰らってメタルゴリラが崩れ落ち、みるみるうちにどす黒い血が広がっていく。
「これじゃ、キリがないからね。そろそろ退こうか」
 メタルゴリラの群れがゾロゾロと集まってきたため、リオンがバナナを撒くようにして逃げ出した。
 そのため、メタルゴリラの群れはバナナを乱暴に掴み取り、奪い合うようにして皮ごとムシャムシャと食べている。
「……後はクローンに任せておきましょう」
 クローン化したメタルゴリラに殿を任せ、ソーマが茂みを掻き分けるようにして逃げていく。
 小豚達の調査をしている仲間達の事も気になるが、そこまで考えているほどの余裕もなかった。

●そんな事など露知らず
「うふふっ♪ ちょこちょこ歩いて、かわいいですっ! 普通のブタとはちょっと違うんですよね……? それじゃ、これに反応したりするんでしょうか……?」
 小豚がどんな反応をするのか確かめるため、フィアがねこじゃらしをゆらゆらと揺らす。
 それに合わせて小豚がピョンピョンと飛び跳ね、嬉しそうにねこじゃらしを負っている。
 そのため、フィアは思わず笑みがこぼれてしまい、とても幸せな気持ちになった。
「意外と人懐こいんですね〜。良かったら、これも食べますか?」
 小豚の頭をヨシヨシと撫でながら、リルルがサツマイモとりんごを置く。
 最初は小豚も警戒していたようだが、サツマイモやりんごの匂いを嗅ぎ、警戒した様子でカリッと食べる。
 途端に小豚の表情が変わり、仲間達に横取りされないようにするため、あっという間に平らげた。
「皆さん、騙されてはいけません。これを齧ったティアナさんがどうなったのか分かっているでしょう。念のため、致死性の調査をしておくべきです。万が一、毒でも持っていたら、それこそ大事になりますからね」
 いかにもそれっぽい理由を考え、アグロスが仲間達に説得を試みる。
 しかし、仲間達から突き刺すような視線を浴びたため、心の中で『反捕豚派の不当な妨害にはめげないのです。そのためにもここは我慢、我慢』と思って口を噤む。
「何か良からぬ事を考えているようだが止めておけ。小豚をイジめると大豚さんに襲われるって話だからな」
 警告混じりに呟きながら、イツキが小豚に木の実を食べさせる。
 その言葉を聞いてアグロスが瞳をキラリと輝かせ、『……望むところです!』と心の中で返事をした。
 ただし、ここでその事を口に出せば酷い目に遭ってしまうため、素直にコクコクと頷いてその場をやり過ごす。
 その語、小豚の名前がリルルによってミトン(ミニトンの略)と決まり、ホッとしたのも束の間メタルゴリラの群れに遭遇し、命の危険を感じつつランドアース大陸にかえってくるのであった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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