ハネブタ



<オープニング>


●フラウウインド大陸
 フラウウインド大陸の森で、天使の羽を生やした豚が確認された。
 この豚は少しだけ飛ぶ事が出来るのだが、体があまりにも重いのですぐに足がついてしまう。
 そのため、空を飛ぶために羽が生えているというよりは、障害物を避けるために使っている事が多い。
 しかも、空を飛ぶためには一生懸命になって羽をバタつかせねばならないので、途中で疲れて飛ぶ事さえ出来ない事も多いようである。
 現在、ハネブタはガブリンによって絶滅の危機に瀕しており、急激に数を減らしているようだ。
 そこでガブリンの群れを退治してもらい、ハネブタの安全を確保してほしい。


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参加者
永遠の飛鳥・ポム(a19507)
銀炎の黒獅子・アルセリアス(a61944)
緑の渡河渓・ファシュナ(a69649)
凍魂誓護・レンフェール(a71055)
月と蒼天を象る・ヴェルティーネ(a71725)
色褪せる紅紫・アルカス(a74407)
好奇心の徒・コーマ(a74434)
桜色の蜂蜜・チィラ(a75076)
春告げの風・リト(a75409)
黒き破壊の焔・ヴォン(a75685)


<リプレイ>

●フラウウインドの森
「……確かハネブタが確認されたのって、この辺りだったよね? まだ、いるのかなぁ」
 警戒した様子で辺りを見回しながら、プーカの小牙狩人・チィラ(a75076)が仲間達と一緒にフラウウインドの森に入っていく。
 チィラ達はハネブタと呼ばれる特殊な豚を探すため、フラウウインドの森に入っていったのだが、目撃情報がおおかったおかげですぐに生息地域を特定する事が出来た。
 ハネブタの生息地域には色とりどりの花が咲いており、ほんのりと甘い匂いが漂っている。
 ただし、この辺りはガブリンの縄張りになっているため、テントを張って数時間ごとに交代してハネブタを見張る事になった。
「必死に羽をパタつかせている姿が可愛いですね〜」
 ほのぼのとした雰囲気を漂わせ、焔の風・リト(a75409)がニコリと微笑んだ。
 ハネブタ達はとても愛らしく、思わずペットにしたいほどである。
 だが、ハネブタは非常に警戒心が強いので、冒険者達の姿を見た途端、逃げ出してしまう可能性が高い。
「羽が生えていて空を飛ぶ豚、ですか。変異動物か何かで似たような豚が出たそうですが、こちらの豚は臆病なようですしそれとは違うようですね」
 遠眼鏡を覗き込みながら、好奇心の徒・コーマ(a74434)が口を開く。
 ハネブタ達は呑気に花畑の中を走り回っており、冒険者達の存在にはまったく気づいていない。
 そのおかげで容易にハネブタの観察をする事が出来るため、ガブリンが現れるまでジックリと様子を窺う事にした。
 コーマがハネブタを調べた結果、基本的には草食であり、綺麗な花などを好んで食べるようである。
「空を飛ぶ事が出来ないのに、羽が生えているなんてエンジェルに親近感の湧く姿ですね。そんな可愛い生き物を絶滅させるわけにはいきません」
 茂みに隠れてハネブタの様子を窺いながら、藤色の遍歴・アルカス(a74407)が答えを返す。
 その間もハネブタ達は楽しそうにぴょんぴょんと跳ねまわり、まったく危機感を覚えていないようである。
「あれって、ひょっとしてガブリンじゃありませんかぁ?」
 不思議そうに首を傾げながら、迷子の癒やし鳥・ポム(a19507)が目の前の茂みを指差した。
 そこにはガブリンの群れが隠れており、風上から気配を殺してハネブタの傍まで近づいていく。
 しかし、その途中で冒険者達の存在に気づき、威嚇するようにして全身の毛を逆立てた。

●ガブリン
「前から見てみたかったのよね、フラウウインドの生き物」
 ワクワクとした様子で茂みに隠れ、緑の渡河渓・ファシュナ(a69649)が楽しそうに鼻歌を歌う。
 ファシュナのいる場所からではガブリンの姿が見えないため、ハネブタの観察を続けているのだが、その愛らしい姿に心を奪われ幸せなひと時を過ごしている。
「天使の羽を生やした豚か。……これまた珍妙な生物がいるものだな」
 ハネブタの様子を窺いながら、黒き破壊の焔・ヴォン(a75685)がボソリと呟いた。
 本当ならば見晴らしのいい場所に陣取ってハネブタを観察するつもりでいたのだが、それだけ気付かれてしまう可能性が高いので、仕方無く茂みに隠れて様子を窺う事になったようである。
「ハネブタは羽があっても飛べないのですね。何だか、飛ぼうとする姿が可愛いかもです……」
 エンジェルとして親近感を覚え、月と蒼天を象る・ヴェルティーネ(a71725)が遠眼鏡を覗き込む。
 その頃、ガブリンと遭遇した冒険者達は、全く視線を逸らす事が出来ず、お互いを牽制し合っていた。
「……何だか様子が変ですね」
 ハネブタの観察を行っていた仲間達と連絡が取れなくなったため、凍魂誓護・レンフェール(a71055)表情を強張らせる。
 先程までタスクリーダーで連絡を取り合っていたのだが、何かトラブルがあったらしくなかなか返事が返ってこない。
「……間違いない、ガブリンだ」
 レンフェールから貰ったお茶を飲み干し、銀炎の黒獅子・アルセリアス(a61944)が答えを返す。
 そして、アルセリアスは茂みを掻き分け、仲間達の救出に向かうのだった。

●ファーストコンタクト
「……ここで僕達が迂闊な行動をすれば、ハネブタにまで被害が及んでしまいます。何とかして時間を稼がないと……」
 自分自身に言い聞かせるようにしながら、リトがガブリンの群れを睨む。
 ガブリンは全身の毛を逆立てており、今にも飛びかかってきそうな雰囲気である。
「と、とにかくみんなに連絡しておくね」
 タスクリーダーを発動させて仲間達に合図を送り、ティラがガブリンの群れと視線を合わせたままゴクリと唾を飲み込んだ。
 そのため、ガブリンは警戒した様子で距離を縮め、自らの力を示すようにして鋭い牙を剥き出した。
「それじゃ、僕達はハネブタを安全な場所まで避難させましょうか」
 ようやく仲間達の姿が見えたため、アルカスがハネブタの傍に駆け寄っていく。
 だが、ハネブタの群れは恐怖で縮こまっており、身動きを取る事さえ出来なくなっている。
 もちろん、このまま放っておけばガブリンの餌食になるため、何とかしてハネブタを避難させなければならない。
『あなたたちを守る為に来たのですぅ! どうか私たちを信用してください〜』
 瞳から溢れんばかりの涙を浮かべ、ポムが魅了の歌でハネブタの説得を試みた。
 しかし、ハネブタは冒険者達に対しても警戒心を抱いており、まったく信用していないようである。
「私達の事を信じられないのなら、それでも構いません。ただし、そうやってここに留まっていれば、間違いなくガブリンの餌になるでしょう。それが嫌なら私達について来てくれますか?」
 真剣な表情を浮かべながら、コーマがハネブタの群れに語りかけていく。
 ただし、コーマが魅了の歌を使っていないため、完全に意味が通じているわけではないようだが、それでも何となく意味を理解したらしく、群れの一部がチョコマカとついてきた。

●ガブリンの群れ
「……何とか間に合ったようですね」
 ホッとした様子で溜息をつきながら、ヴェルティーネがガブリンの群れと対峙する。
 次の瞬間、ガブリンの群れは激しく唸り声をあげ、一斉に飛びかかってきた。
「レンフェール、すまないが、少しの間だけ頼むぞ」
 ガブリンの行く手を阻むようにして陣取り、アルセリアスがレイジングサイクロンを炸裂させる。
 その一撃を喰らってガブリンの身体が切り刻まれ、漆黒の雨となって辺りに降り注ぐ。
 それと同時にアルセリアスが麻痺状態に陥り、ガブリンの群れに目をつけられた。
「アルセリアス様には指一本、触れさせません」
 鎧聖降臨でガッチリと守りを固め、レンフェールがガブリンの群れに斬りかかっていく。
 しかし、ガブリンの群れを切り裂くたび、ドス黒い血が飛び散るため、だんだん刃物の切れ味が悪くなってきた。
「……しつこい奴らだな」
 不機嫌な表情を浮かべながら、ヴォンがハートクエイクナパームを撃ち込んだ。
 そのため、ガブリンが魅了状態に陥り、仲間達に攻撃を仕掛けていった。
 だが、仲間達は躊躇いもなく、混乱したガブリンに襲いかかり、あっという間に喰らい尽くす。
「まさか共食いをするなんて……、凄い食欲ね」
 信じられない様子でガブリンをも見つめ、ファシュナがナパームアローを撃ち込んだ。
 それと同時にガブリンの群れが吹っ飛び、再び漆黒の雨が地面に降り注ぐのであった。

●ハネブタ
「はぁはぁ……、ここなら大丈夫そうですね」
 荒く息を吐きながら、リトが洞窟の中に転がり込む。
 残念ながらハネブタの半数以上はついてこなかったが、ガブリンから逃れるようにして散り散りになって逃げたので、途中で命を落としているという事はなさそうである。
 その代わり、一緒についてきたハネブタ達がリト達に懐き、自らの喜びを表現するようにしてペロペロと顔を舐め始めた。
「ははっ、くすぐったいよぉ。また何か困った事があったら、遠慮なく言ってね」
 思わず連れて帰りたい衝動に駆られ、チィラがハネブタ達の頭を撫でる。
 しかし、ハネブタ達は喜びの感情を抑えきらず、チィラ達を押し倒す勢いで飛びかかってきた。
「せっかくだから、少し調べてもいいか?」
 ハネブタをそっと抱きあげながら、アルカスが熱心に羽を調べていく。
 どうやらハネブタの羽もエンジェルと同じで、基本的には飛ぶために生えているわけではないようである。
「やっぱり、私達と同じような羽だったんですね」
 嬉しそうに羽をパタパタさせながら、ポムがハネブタをギュッと抱きしめた。
 そのため、ハネブタは何が何だか分からなかったようだが、彼女がとても喜んでいたので、それに応えるようにして頬擦りをする。
「……とは言え、多少は飛べるようですから、本来はもっと軽かったのかも知れませんね」
 ハネブタの姿をスケッチしながら、コーマが仲間達に対して答えを返す。
 いまのところハネブタに関しては謎が多いため、コーマの興味もまったく尽きないようである。

●ガブリン達
「……また来たぞ。まったく、鬱陶しい奴らだ」
 イライラとした表情を浮かべながら、ヴォンがハートクエイクナパームを放つ。
 その一撃を喰らってガブリンが魅了され、仲間達に攻撃を仕掛けて返り討ちにあった。
 それでも、だいぶガブリンの数を減らす事が出来たため、時期を見て撤退しても良さそうである。
「何度掛かって来ても同じ事だ」
 すぐさまレイジングサイクロンを放ち、アルセリアスがガブリンを次々と仕留めていく。
 そのため、ガブリンが完全に戦意を喪失させ、蜘蛛の子を散らすようにして逃げていった。
「これでガブリン達も懲りたでしょう。冒険者達がいる事が分かっていながら、再びハネブタを襲うとは思えませんし……」
 ガブリン達の姿が見えなくなって事を確認し、レンフェールがホッとした様子で洩らす。
 残念ながら全滅させる事は出来なかったが、それでも大半のガブリンを倒す事が出来たので、しばらくの間は悪さをする事も出来ないだろう。
「う〜、気持ち悪い。カブリンの血って、ヘドロみたいな臭いがするね」
 カブリンの返り血を大量に浴び、ファシュナが魂の抜けた表情を浮かべる。
 ちなみにガブリンの毛は墨のようなものなので、しばらく触っているとドロドロになってしまう。
 そんな事ばかり続いたせいでハネブタを食べる気力さえ無くなり、迷う事なく近くの湖に直行した。
「ところでハネブタもちゃんと安全な場所まで移動できたでしょうか……? ちょっと撫でたいかも……」
 ウズウズとした表情を浮かべながら、ヴェルティーネがハネブタ達の避難場所にむかう。
 そして、ハネブタの正式名称がフトン(浮豚:コーマ命名)に決まり、博物誌に登録される事になった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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作成日:2008/10/05
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