ポルックの誕生日 〜オリジナルストーリーを君に〜



<オープニング>



「皆様、お集まり頂けたようですね」
 エルフの霊査士・ユリシアの凛とした声が、冒険者の酒場に木霊する。
「過去数え切れないほどの悪戯行為を働き、現在においてもそれは留まる事を知らないと評判の、プーカの忍び・ポルック(a90353)様。彼の処遇について、評決をお願いします」
「え、ボク?」
 突然出された自分の名前に、ポルックは唖然とした表情でユリシアに目を向けた。
「<1>現状維持で様子を見守る。現状のまま様子をみます。何か、反省や心境の変化などがあれば、それに応じて対応を考える事になるでしょう」
「BOOOO!! BOOOO!!」
 巻き起こる激しいブーイング。
「<2>ポルックを打倒する。過去、酒をめんつゆにを狙ったポルック様によって、ランドアース大陸の多くの民が、大好きなお酒をめんつゆに変えられる被害にあいました。また、悪戯を好むプーカである彼は、今後も同盟諸国の民を事件に巻き込む可能性も否定できません」
「当然のごとく<2>」
「旅団でアンケートを採った結果、満場一致で<2>に決まりました」
「<2>しか無いかと」
 ――結果、酒場に居る全ての冒険者達が2番の選択肢を選んだ。
「評決の結果、圧倒的多数を以て『<2>ポルックを打倒する』が採択されました。この決定を受け、今より『打倒ポルック大作戦』を開始致します」
(「な、なんだかよく分からないけど、とにかく逃げよ……」)
 歓声を上げる冒険者達の間をすり抜け、出口に向かうポルックだが、
「逃がしません……! 金色縛鎖!!」
 心臓を鷲掴みにされそうな声と共に、ユリシアの美しい髪が金色の鎖となって襲いかかる!
「なにそれ! ちょ、うわっ!!」
 次々と飛来する鎖を気合いで躱すポルック。何とか酒場から脱出すると――、
「あら、どこへ行くの?」
 現れたのは、ヒトの霊査士・リゼル。
「あっ、おねーさん、ちょっと聞いてよ! みんなが変なんだよっ!」
「変? 評決の結果を遂行するのは、以前からの同盟諸国のやり方でしょ?」
 リゼルの眼鏡がきらりと光り、直後、彼女の体から解放される圧倒的パワー。
「ド、ドラゴンウォリアー!?」
「否っ! ノソリンへの愛こそ究極の力! 今の私はノソリンウォリアーよ!!」
 見れば、たしかに衣服がノソリンの着ぐるみへと変化していた。
「わわわっ!?」
 全力でその場を後にするポルックだったが、上空から何故かストライダーの霊査士・ルラルの声が響き渡る。
「逃げちゃダメなんだよ〜☆」
「ま、まさか空中要塞レ――」
 見上げたポルックの表情が一瞬で凍った。そこに浮かんでいたのは、空を覆いつくさんばかりに巨大化したブックハビタント。
「いくよ、うーちゃん。めんつゆ破壊砲発射ー☆」
「う、うわああああああああああああああああ!!!」


「……っていう夢を見たんだよ」
 がた、がた、と無言で席を立つ冒険者達。
「ちょ、ちょっとみんなどこ行くのさ」
「すごい話があるという君を信じた私が間違っていたようだ」
 緑柱石の霊査士・モーディ(a90370)の冷ややかな視線を軽くスルーしつつ、ポルックは椅子に座り直して話を続ける。
「ここからが本題なんだって。ホントホント。この前街で遊んでたらさ、その街では今度感謝祭ってお祭りをやるらしいんだよ」
 ポルックの話によると、そのお祭り――実りの秋に感謝する祭りだそうだ――では、目玉として劇のコンクールが開かれるという。
「それを皆で観に行こうというのか? それなら最初からそう言えばよかろう」
 モーディのちゃちゃに、ポルックは立てた人差し指を左右に振って応える。
「ちっちっち、甘いねおねーさん。ただ観に行くだけなんてこのボクがするわけないじゃないか。もちろん、ボク率いる冒険者のおにーさんやおねーさんが参加して、とびっきりの劇を披露するって言ってきたよ! はいこれ申込用紙の控え」
 そう言ってビシッと親指を立ててみせるポルックに、冒険者達はしばし声を失った。
「…………で、その『おにーさん』や『おねーさん』というのはどこに居る?」
 ポルックは満面の笑みで周囲の冒険者達を指差している。半ば予想出来ていた流れに、酒場のあちらこちらで漏れる溜息。
「まぁ、それはとりあえず置いておくとして、さっきの夢の話はどう関係するんだ?」
「劇やるにしてもさ、既存の物語をそのままやるのなんてつまらないよね。突拍子もない話ってのも面白いんじゃないかなって、それを表現しようと思ったのさっ」
 どうやら、かなりの無茶振りであるようだ。
「オリジナルの物語か……。それで、その感謝祭というのはいつだ?」
「23日」
「……いつの23日だ?」
「もちろん今月だよっ」
 スッと椅子から立ち上がったモーディが周りの冒険者達を見渡し、一言告げた。
「評決を採る」
「<2>だな」
「俺も<2>」
「異議無し」
「ちょ、ちょっと待ってよ。異議あり! 異議ありっ!」

 ――すったもんだの末、あらためてポルックが参加者を集め、集めた参加者から物語のアイデアを募集し、モーディがそれをまとめて編集するという形で落ち着いた。
「それじゃ、我こそはと思う人はボクの所に来てよ♪ あと当日はボクの誕生日だからプレゼ」
「余計な事はいいから、しっかり人を集めてきたまえ」
 霊査士の叱責。走り回るプーカ。はてさて、どうなることやら……。


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参加者
NPC:トリックオア・ポルック(a90353)



<リプレイ>

●開演直前
 晴れ渡る空。響く司会者の声。一列に並んでお辞儀をする演技者達に大きな拍手が送られる。
 目玉と謳われるだけあって、演劇コンクールは上々の盛り上がりを見せていた。
「〜♪」
 緞帳の上では、ロアが鼻歌まじりに作業を進めている。
「え〜とここにはこの仕掛けで、ここにはこれをっと」
 プーカである彼が何の作業をしているかは、推して知るべし。
 衣装担当の1人、タユの周りには出演者の輪が出来ており、シックなワンピースからゴスロリまで、バラエティに富んだ衣装が次々と手渡されていた。
「ねぇ、ボクのは?」
 主役を演じる予定のプーカの忍び・ポルック(a90353)も顔を出したが、
「え、男物? 無いわよ? こういうのなら幾らでもあるけど」
 引っ張り出されたふりふりのドレスに回れ右をして逃げていった。
 そこへ立ちはだかる影が1つ。
「どこに行くのかなぁ〜」
 ポルックが逃げないようにと見張っていたフーラが、弓矢を構えて立っていた。
「ちょ、劇には出るって。ホントホント」
 降参のポーズを取るポルックの背後から、モーディの声がかかる。
「そろそろ時間だぞ。早く着替えて舞台袖に集合だ」
「オッケー!」
「あ、ぽるん、リボン〜♪」
 可愛らしいリボンを手にポルックを追いかけるフーラ。そんなこんなでバタバタしつつ、どうにか準備は完了。司会者からの紹介が終わると、ナレーター役のリミュが声高らかに物語を紡ぎ、それに合わせてコチョウが柔らかな手つきでハープを奏で始めた。

●第一幕
 昔々、ポルックという悪戯が大好きな王子様がいました。
「今日は何をして遊ぼうかなっ」
 王子には、エルノアーレという姉がいました。
「女の子の格好で舞踏会に出るのはどうかしら? 皆きっと驚きますわよ」
 王女は舞踏会を開くよう家来に命じました。
「どど〜ん♪ お任せあれっ、王子様に似合う服をコーディネートしちゃうのだ!」
 王宮デザイナーのスージィも大はりきりです。
 太ももが覗く短いスカートにふりふりがついたドレスが用意されました。
「これで注目の的まちがいなしっ♪」
 エルノアーレは王子にお化粧をして髪も綺麗にすいてあげました。
 そうして王子はたちまちお姫様へと変身したのです。

 舞踏会の参加者達は、お姫様に扮したポルックの正体に気付きません。
「踊って頂けますか?」
 最初に声をかけてきたのは、隣国の王子リョウマでした。
 リョウマは何度も足を踏まれながら、最後まで笑顔を絶やさずにいました。さすが王子様です。
「今度は俺とどうかな?」
 次に声をかけてきたのは、魔法使いのディッカでした。
 やはり足を踏まれましたが、彼はすぐにそれがわざとであると見抜きます。
 次の瞬間、落とした魔道書のかどがポルックの足を直撃していました。

 一方、会場の入り口では何やら一悶着が起こっているようです。
「あたしが入れないって、どういう事かしらぁ?」
 参加を断られた仮面の魔女デアボリカが、体から黒い炎が吹き出るほど怒っています。
 微妙に後ずさりながらも、メイドのクルスは淡々と説明します。
「あの、本日は仮面舞踏会ではないので……」
 ちらりと中を覗いてみると、お姫様に扮したポルックが楽しそうに踊っています。
 デアボリカは一目見てそれが女装である事に気付き、怒り出しました。
 女装が良いなら、仮面だって良いではありませんか。
「それにあたしの方がお姫様に相応しいのよぉ。ほら、胸とかあたしの方が大っきぃしい」
 魔女の怒りはよくわからない方向に燃え上がっていきます。
 騒ぎに気付いたポルックは1つ提案しました。
「キミの一番のお宝をくれたら入れてあげるよ」
 デアボリカの宝物は、いたずら魔女のフーラから貰った『キョムノカケラ』でした。
 それは、フーラが昔偶然拾った物で、触れた者をドラゴンにしてしまう力を持っていました。
「だから決して触れてはいけないのよぉ〜」
「へぇ、すごいね。つるつるしてる……、ん? な、なにこれ? う、うわああああ!」
 魔女の言う事を聞かず、カケラに触れてしまった王子はドラゴンになってしまいました。
 ドラゴンの力はとても強く、王子の心をも変えていきます。
「うおおおおおー……って、痛っ!」
 ドラゴンとなった王子が吠えると天井からタライ――え、タ、タライ? どうしてそんな――、
 ……あ、し、失礼しました。えー、タライが落ちてくる程の咆哮が国中に轟きました。
 さてさて、一体どうなってしまうのでしょうか。

●幕間
「今のも演出のうちか?」
 ナレーターも吃驚のハプニングに、ングホールは声を殺して笑い、
「いいや、少なくとも私の台本には無いな」
 モーディはやれやれと肩をすくめた。犯人であろう者の顔はすぐに浮かんだが、何か言う気にはなれない。何しろ、悪戯好きのプーカに悪戯をするなと言うのは、自然を愛するドリアッドに森を荒せと言うくらい無茶な話だ。
 舞台上では次の場面に向けてセットの入れ替えが行われている。その間、伯爵風衣装に身を包んだカイは、土塊の下僕達に南瓜飴を配らせていた。コミカルな曲で場を繋ぐコチョウもパンプキンキャップをかぶっており、その姿は間近に控えた南瓜祭りを連想させる。
 舞台の準備が整うと、カイは懐から取り出したハーモニカを鳴らして、第二幕の開始を告げた。

●第二幕
 ドラゴンとなった王子は、人の心をなくしてしまいました。
 民から搾り取った金品で贅沢三昧の日々を送り、我が儘も言い放題です。
 そのうちに周りの国との戦争が始まりましたが、ドラゴンには誰も勝てません。
 逆らう人は全員牢屋に入れられてしまいました。
 次第に民から笑顔が失われ、いつしかドラゴン自身も笑わなくなっていました。

 ドラゴンがどんどん不機嫌になっていくので、家来達は国中から芸達者を集めました。
「みなさま、良くぞ参られたなぁ〜ん」
 ミミュに続き、ドラゴンは言いました。
「ボクを笑わせられたら、隣の国をあげる」
 面白い話や楽しい芸が披露されましたが、ドラゴンは笑いません。
「はーい失格、またどうぞー」
 失敗した人は、ドラゴンの家来であるジェノに捕まえられ、牢屋に入れられました。
 ドラゴンは不思議に思いました。
 以前の自分は、こういうものを見て楽しいと感じていたはずです。
 しかし今の自分は人間達が何をしようと何も感じません。
「もっと簡単に笑えるのは無いの?」
「ポルック様は一発ギャグをご所望なぁ〜ん」
 ミミュが手を打ち鳴らすと、青い獣にまたがったルキシュが進み出ました。
「布団が吹っ飛んだ」
 部屋の空気が凍りつきました。
「ん? これは布団と吹っ飛んだの『ふっとん』という部分を」
「はーいそこまで」
 どう面白いのか説明しようとしたルキシュが取り押さえられ、やはり牢屋に入れられました。

 ある日、苛々が限界に達しようとしていたドラゴンの前に、森の妖精シャルロッテが現れます。
「ボンゴレ・ビアンコ・ボンジョルノ〜☆」
 妖精はくるくる周りながら呪文を唱え、ドラゴンの家来達を眠らせました。
 1人だけ眠らなかったドラゴンは、妖精に尋ねました。
「キミの魔法でボクを笑わせられる?」
 妖精は目を伏してふるふると首を振りました。
 がっかりしたドラゴンに、妖精は言いました。
「私の魔法では笑顔を与えることは出来ません。でも」
「でも?」
「笑顔は人から人へ伝わっていくものです。国中が笑顔で溢れれば、もしかしたら……」
「それなら、国中の人間に笑うよう命令しよう」
「それは笑顔とは言いません」
「じゃあどうすればいい?」
「全ての民が心から笑える、良い国を作ってはどうでしょう」
「なるほど、やってみるよ」
 苛々の解決策が見つかって安心したのか、ドラゴンはそのまま眠ってしまいました。
「あらあら……」
 その子供のような寝顔に、妖精は思わず笑みを浮かべました。

●第三幕
 街に出たドラゴンは、人々の声に耳を傾けました。
「ねぇ、良い国ってどうやったら作れるの?」
「俺がんなこと知ってるわけねーだろ!」
 そうつっぱねたのは、ドラゴンにも気後れしない荒くれ者ングホールです。
「ボクに逆らうの?」
「いけません、ポルック様」
 ングホールとドラゴンの間にメイドのクルスが割って入りました。
 逆らう人を手当たり次第牢屋に入れていては、今までと何も変わりません。
「良い国を作るんですよね? 頑張って下さい、ポルック様!」
 ングホールに何もせず立ち去ったドラゴンを見て、人々は何事かと不思議がりました。

 次にドラゴンが出会ったのは、オコジョの着ぐるみを着て不思議な踊りを踊るリゼッテです。
 アクロバティックで可愛らしくてぐねぐねした踊りに――、
(「ロアからリゼッテへ、心の声で緊急連絡。ぐねぐねはまずいよ。観てる子供達ひいてるよ」)
「え? あ、待って逃げないで、変な人違うよ……!」
 ……こほん。ドラゴンは尋ねました。
「何やってたの?」
「あ、はい、息子を捜していたのです」
「ふーん、息子に会えたらキミは笑顔になるかな?」
「もちろん!」
 ドラゴンは国中を飛び回り、たちまちリゼッテの息子リヴィールを見つけ出しました。
「おぉ、ハゲランス……! 桃怪獣に襲われ川に流され、長らく行方不明になっていた愛息子、ハゲランスJrではないか!」
「お父さん会いたかったー。このもふもふ感、間違いなくお父さんだよっ」
 感動(?)の再会です。
 こうして、ドラゴンは人々を助け、良い国を作る努力を続けます。
 次第に国は豊かになり、人々は笑顔を取り戻していきました。
 しかし、そんな平和な時間も永遠には続きませんでした。

 ある日、上空に1匹のドラゴンが浮かんでいました。
「これはどういう事カナ?」
 新たにドラゴンが現れたと聞いて、はるか遠くドラゴンの国から様子を見に来たリオンです。
 しかし、この国には笑顔が溢れ、とてもドラゴンが治めているとは思えません。
「ドラゴンとしての自覚が足りないんじゃないカナ?」
 お城に着いたリオンは、ポルックに人々を苦しめるよう勧めましたが、ポルックは断りました。
 彼は、笑顔に囲まれた今の暮らしが好きになりかけていたのです。
「それに、もう少しでボクも笑えるような気がするんだ。だから……」
 リオンは驚きました。こんな考えの者にドラゴンの力を預けておくわけにはいきません。
 リオンはポルックのドラゴンの力を奪う事にしました。
「そしたらボクは人間に戻れる?」
「無理だね。人間でもドラゴンでもない絞りカスになるのさ」
 平和に慣れきっていたポルックはあっという間に力を奪われ、ドラグナーになってしまいました。
「わーっはっは、この国はオレっちが支配してあげるよ」
「そうはさせません」
 現れたのは、ポルックが滅ぼした国の王子リョウマでした。
 燦然と輝く彼からは、とても強い力が感じられました。
「ポルックを倒す為に苦労して手に入れた力を、まさかポルックを助けるのに使う事になるとはね」
 ディッカが笑い、リオンに迫ります。
「わっ」
 ドラゴンの体をも切り裂くすごい力です。
「伝説のドラゴンウォリアー? こんなの聞いてないヨー」
 勝てないと見るや、リオンは逃げていきました。
 国はまた平和を取り戻したのです。

 ドラグナーと成り果てたポルックは国を出る事にしました。
 彼には、もう人間だった頃の容姿も性格も、ドラゴンだった頃の力も無いのです。
「どこに行くのかなぁ〜」
 ふいにかかる声に驚いて振り向くと、そこには狼の仮面をつけたフーラが立っていました。
 見ると、他にも大勢の人が居ます。その中からタユが進み出て言いました。
「あなたどこに行くつもりよ?」
「少なくともここには居られないと、ボクは思ってるけど」
「……国は誰かが治めなきゃいけないわ」
 何が言いたいのか、ポルックには分かりません。
「あたしはパス。他のみんなだってそうよ。何かに縛られるなんて、肩が凝りそうじゃない。ねえ?」
 その言葉にみんな頷いています。
「だから、あなたがやりなさい」
 ポルックは驚きました。彼らはこんな自分と一緒に居てくれると言うのです。
 みるみるうちに涙が浮かんできました。皆、ポルックの肩を叩き、笑いかけ、励ましました。
 沢山の笑顔に囲まれ、いつしかポルックの顔には、最高の笑顔が浮かんでいました。

●打ち上げ
「敢闘賞受賞ならびにポルックの誕生日を祝って――」
『カンパーイ!!』
「どど〜ん♪ ポルック君誕生日おっめでとう〜♪」
「おめでとぅ〜♪」
「ハッピーバースディ、ポルック♪」
 皆からの祝いの言葉に、ポルックは満面の笑みで「ありがとう」を返す。
「あ、ングホールさん! もー、あそこで胴上げされるとは思わなかったよ」 
「ま、たまにはな、お前さんが驚く側に回るのもいいだろ?」
 カーテンコールの最後、ポルックは皆に抱え上げられ3回ほど宙に舞った。
「ポルック様、誕生日おめでとうございます♪」
 お祈りポーズで登場したシャルロッテ。ポルックと目が合うとそのまま気を失ってしまう。
「だから劇でボクと目を合わせなかったのか……」
「やあ、おめでとうポックル」
 背後からのスリーパーホールド。
「ジェノさん? ボクはポルックだよっ」
「分かってるよ。あ、プレゼント忘れたからこのハグがプレゼントね。ケケケ」
 押しつけられる胸から身を捩り、何とか逃げ出す事に成功。
「ポルックへのプレゼントは、この物語だろう」
 ええー、と不満げなポルックだったが、ルキシュはすぐに「冗談だ」と笑う。
「誕生日を祝って貰えて嬉しいのは、不老種族だって一緒ヨネ」
 そう言ってリオンが差し出してきたのは、冒険に役立ちそうな道具入れのポーチ。
「プーカの勇者たるもの、これからもどんどん虎穴に入らずんば虎児を得ずしてもらいたいネ」
 ディッカからは小道具に使った魔道書っぽい本、エルノアーレからは化粧道具一式が。
「大切に使ってくださいましね?」
 これには苦笑いを返すしかなかった。
「ケーキでもどうぞ♪」
 リヴィールのフルーツケーキ、それにデアボリカやロアのケーキもテーブルに並んでいる。
「ありがとー」
 近づいた途端に足下にバナナが現れ、足を滑らせるのは最早お約束。だが今回はその先に更なる危険が待っていた。
「ん、口に何か入っ、〜〜ッッ!!」
「当たりだねそれ♪」
 激辛クリーム入りのが1つだけ混じった、カイ特製シュークリームだった。

「お疲れ様です」
 帰り際、揃ってモーディに声を掛けるリヴィールとリゼッテ。
 楽しかったと笑うリヴィールに、モーディはリゼッテから貰った苺飴を口に含みながら、参加してくれた事への謝辞を返す。
 その後、カイに誘われて再び街へ出ようとしたモーディの耳に届いた、コチョウとポルックの会話。
「ポルックさんの今年の目標を教えてもらえますか?」
「こうなったら、ランドアース中のコンクール制覇さっ」

 ――はぁ、勝手にしたまえ。


マスター:東川岳人 紹介ページ
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