絆を繋ぐ銀の輝き



<オープニング>


「少しお話を聞いていただいて宜しいでしょうか」
 世間話のように話を始める真実求む霊査士・ゼロ(a90250)に、何人かの冒険者が捕まって席につく。霊査士である彼が話を始めるということは、依頼であることが多々あるのだが……今回はどうだろうか。
「とある村で、秋の間にお祭りのようなイベントが行われているそうなのですが……」
 ゼロの切り出した話に冒険者たちはふむと小首を傾げた。そのお祭りに行ってみてはどうかという話なのだろうか? ゼロはそのまま話を続けてゆく。
「近くの山の中にある祠を祀り、皆で飾りつけたりダンスを踊ったりするのだそうです。何でもその祠には人々の『絆』を強める不思議な力が宿っていると、近くの人々には信じられているようですね」
 いわゆる縁結びのおまじないのようなもので、家族や恋人同士など、絆を大切にしたいと思う人々がお祈りに訪れたりするのだそうだ。
「そしてこのお祭りの期間、祠に銀の装飾品を捧げる習慣があるといいます。揃いの指輪や首飾りなどを一晩祠に安置すれば絆を強く結び付けてくれる祝福が得られると信じられており、特にカップルには人気があるようですね」
 何ともロマンチックなことだとある冒険者はうっとりし、またある冒険者はポリポリ頭を掻いていた。反応は人それぞれだが、ゼロはそれらをざっと見回し、再び口を開いた。
「しかし最近その周辺に犬グドンの群れが出現するらしく、お祭り用の食料や捧げる予定だった銀の装飾品などが奪われてしまったのだといいます。群れの中にはピルグリムグドンもいる様子で、このままでは祠に近づけないと周辺の村人達は困っていらっしゃいます」
 ゼロはそこで皆さんにグドン退治をお願いしたいと笑顔で提案する。やはりかと呟く冒険者たちに構わず、ゼロは詳細について説明を始めた。
「犬グドンは40ほど、主にナイフや牙を使って攻撃してくるようで、祠のある山をうろついて食料を探しているようです。お祭りの準備で祠の近くに用意していた食料やお酒などは既に奪われてしまい、村人達も危険を察して今は山には入らないようにしています」
 一般人の被害を心配する必要は無いが、犬グドンが何処に居るか探さないといけないだろう。
「そこで皆さんにお願いしたいのが……犬グドンの群れが寝床にしている場所を見つけて欲しいということです。群れの中にはピルグリムグドンが一匹いるのですが、そいつは食料集めを犬グドンたちに任せ、自分は寝床に居る事が多いようなのです。そいつを退治することと、奪われた銀の装飾品の奪還の為に……お願いします」
 ピルグリムグドンは銀の装飾品が気に入ったようで、寝床に集めたり幾つか身に着けたりしているのだという。
「ピルグリムグドンは黒い毛並みを持った大柄な犬グドンで、左の肩から腕がトゲトゲで硬質化しています。このトゲはばら撒くように発射することが可能で、またすぐに生えてきます。硬質化した左肩を利用して体当たりを仕掛けてきたりもしますので、油断しないようにしてください」
 無事にグドンの群れが退治できれば、少しお祭りを見物してきてもいいだろうとゼロは言う。
「祠の近くでは食べ物や飲み物が振る舞われたり、音楽に合わせて皆さんで踊ったりするそうです。なので銀の装飾品を捧げるつもりが無い人も、よく見物に訪れるのだといいます」
 もちろん銀の装飾品を準備しても良いだろうとゼロは微笑む。
「村人達の中には銀細工の職人さんもいらっしゃるようですので、希望される方はお願いしてみても良いでしょう。恋人同士や家族、友達や同僚など……『絆』を形にして持っておくというのも良いかもしれませんね」
 ゼロはそう言って、よろしくお願いしますと一礼を送るのだった。


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参加者
想いの歌い手・ラジスラヴァ(a00451)
金色夜想・トート(a09725)
一滴・レイン(a35519)
暁月夜の幻影・ルシエル(a36207)
金色の風狐・クオーツ(a52276)
白銀の誤字っ子術士・マリー(a57776)
古き知識を読み求める者・キール(a58679)
水琴の波紋・アルーン(a66163)
月夜に咲く灯り花・ロイナ(a71554)



<リプレイ>

●追跡
「酷いわね」
 山の中にある、小さな祠。その周囲には飾り付けや屋台などが残っており、祭りの準備が行われていたことを物語っていた。しかし犬グドンの群れに襲撃されたという霊査士の話通り、今は引っ掻き回されて散々な有様だ。
 辿れるような足跡や痕跡が無いか調べてみる想いの歌い手・ラジスラヴァ(a00451)だが、はっきりしたものは残されていなかった。魅了の歌を用いて近くの小鳥にも話を聞いてみるが、積極的にグドンに近づこうというものは居らず『何となくあっちかもしれない』というくらいの話しか聞けなかった。
「ほんにグドンとは……にょきにょき現れること、雨後の雑草並みじゃ」
 やれやれと言いながらも水琴の波紋・アルーン(a66163)は準備した食料を祠の傍に置き始めた。
「グドンは本当にどこにでも出てきますね」
 言いながら古き知識を読み求める者・キール(a58679)は周囲の様子を確かめながら、身を隠せそうな場所を探していた。犬グドンの群れが根城にしている場所を見つけるのに、餌を持ち帰るグドンをこっそり追跡して案内してもらおうという作戦なのである。
「気付かれないように気をつけないとな」
 仲間達と視線を交わして頷き、金色夜想・トート(a09725)はハイドインシャドウを発動させて気配を消す。こうして祠に向かった冒険者たちは潜伏し、グドンが餌に掛かるのを待ち始めた。

 どれくらい時間が経っただろうか。三匹の犬グドンが現れて食料を拾い集めていった。ハイドインシャドウの使用回数はとうに底をついていたものの、向こうはこちらに気付いていないようだ。
 一匹の犬グドンがキョロキョロと辺りを見回して警戒している。大型魔楽器を構えるラジスラヴァをトートは手で制した。まだ気付かれたと決まったわけではないと。
 しばらくの後、犬グドンたちは移動を始める。少し距離を置いてキールたちもその後を追跡し始めた。他のグドンに見つかっても結果は同じ、追跡する目標だけに注意を向けず、絶えず辺りに警戒を広げる。移動しながら気配を消し、かつ警戒するというのはなかなか難しかったが、相手がグドンということもあってか何とか気取られずに寝床らしき場所にたどり着くことができた。そこは洞窟だったが入り口は広く、中が暗さで見えなくなる前に行き止まりの壁が何とか見て取れた。ただの穴ぐら、一部屋だけの雨風が凌げる場所といった所だろう。
 ピルグリムグドンの存在を確認し、寝床を発見した冒険者たちは一旦その場を離れた。追跡中に他のグドンに気付かれるのを防ぐため、追跡は少人数で行われていたのだ。後は寝床に襲撃を仕掛けるため、依頼にあたる冒険者全員で再度この場所を訪れることになる。その為に仲間達と合流するつもりなのである。
「お祭りを邪魔するグドンたちは、さっさと退治しないとね」
 そうして冒険者たちは合流を果たし、寝床の場所が判明するまで待機していた冒険者たちも加わって再度現場へと向かい始める。暁月夜の幻影・ルシエル(a36207)は待たされた分も存分に腕を振るおうと意気込んでいた。
「ねぐらを探したのは初めてだなー、……俺は探す班じゃなかったけど」
 そういう作戦だったのだから仕方ないけれどと苦笑するのは風狐の便り・クオーツ(a52276)だ。それでも村の人たちのために頑張ろうと、仲間達と共に拳を握り締めるのだった。

●闇夜
 やがて日が落ち、闇と静寂が辺りを呑み込む。
 夜に襲撃を仕掛けるまでは待機。寝床の近くでグドンに見つからないようにしなければならないため、結構な時間、気を休めることができなかった。
 エルフの夜目を活かして不思議の卵・ロイナ(a71554)がグドンの群れの存在を確認する。かなりの数が寝床に戻ってきており、霊査士の話と合うくらいの数は居るだろう。ロイナは黙したまま黒炎覚醒を発動させ、白銀の誤字っ子術士・マリー(a57776)もそれに続いて黒き炎を身に纏っていった。
「参りましょう!」
 キールがホーリーライトの明かりを点灯させ、辺りが照らし出される。入り口から光が当たって洞窟内の犬グドンたちも気付いたようだ。
「何にしても村の人たちのために、頑張ってグドンを退治しよう!」
 始めから外に出ていた犬グドンたちを光が射抜いた。クオーツの放ったエンブレムシャワーを皮切りに、冒険者たちの襲撃が開始される!
 ががががががっ!
「何っ!?」
 だがその出鼻を挫くように、激しい痛みが冒険者たちに襲い掛かった! 見れば腕や腹部に鋭いトゲのようなものが突き刺さっている。その痛みを与えたのは自分だと主張するように、大柄で黒いピルグリムグドンが寝床からゆらりと歩み出してきた。
「この程度で止められるものか」
 しかしトートは痛みに耐えて粘り蜘蛛糸を投げ放つ。外に居たグドンたちの動きを縛って逃走を防ぐも、うまく切り抜けたグドンが牙を突き立てる!
「大混乱じゃな」
 デタラメに突っ込んできた犬グドンのナイフが腕を裂く。痛みで狙いがブレないように注しながらアルーンはピルグリムグドンへ向けて影縫いの矢を放つものの、相手はそれを素早くかわす。続けてマリーがエンブレムノヴァを撃ち出した!
 どぉん!
 火球が着弾するが、見ればピルグリムグドンは硬質化した肩を前に出してエンブレムノヴァをガードしたようだ。そしてマリーには犬グドンが剣を振り下ろし、肩口に傷を刻み付ける。
「いけない」
 ロイナは急いで護りの天使たちを召喚し、仲間達の身を守らせる。
「悪い子にはお仕置きが必要……かな」
 銀の狼が夜を駆ける。ルシエルの放った気高き銀狼がピルグリムグドンに喰らいついたのである。その間に近づいてくる犬グドンの攻撃をルシエルは跳び退って回避した。
「落ち着いて対処しないといけないわね」
 多数の犬グドンとピルグリムグドン。まだ相手の数が多いので多少の傷は仕方が無いがと呟いてからラジスラヴァは高らかな凱歌を奏でてゆく。体力を回復させ、冒険者たちは気を取り直した。
「お祭りを楽しむために頑張ろうー」
 一滴・レイン(a35519)はイリュージョンステップのリズムを刻みながらピルグリムグドンへ向かって駆け出していった。
「くっ」
 迫り来る犬グドンの剣をダークネスクロークが受け流し、その一瞬にキールは右手に生み出された粘り蜘蛛糸を投げ放つ!
 何匹かのグドンが絡まって動きを止めた。まだまだ犬グドンの数が多くて鬱陶しい。粘り蜘蛛糸で動きは封じたが、いずれまた動き出すだろう。
「一匹も逃がさないぞ!」
 両手杖『風招キノ杖』を翻してクオーツが紋章を描き出す。解き放たれるエンブレムシャワーが次々に犬グドンたちを貫いていった。当たり所によっては倒れる者も出始める。
 だがキールの前で糸を払い、体当たりをかます犬グドン。そいつにはトートが矢を放ち、犬グドンは倒れる。
 ピルグリムグドンが吠えて銀狼を振り解き、勢い良くダッシュでマリーに突っ込んだ! 硬いトゲトゲの肩を前面に突き出したタックルを受け、マリーの体に穴状の傷が穿たれる。
「大人しくしてください!」
 しかしロイナが緑の縛撃を解き放つ。束縛の木の葉がピルグリムグドンに纏わりつき、貼り付いてその動きを拘束してゆく。その間にマリーはヒーリングウェーブを発動させ、何とか傷口を塞いでいった。
「雑草並みなら……草むしりと参ろうか」
 ピルグリムグドンを狙う仲間も十分で、犬グドンの数もまだ多い。アルーンは強弓『氷月瑟』を天に向けて放った。弾き出された矢が光となり、上空で炸裂する!
 ジャスティスレインはその圧倒的な範囲で全てのグドンを対象に捉えていた。多くは射抜かれて痛みにもがき、或いはそのまま崩れ落ちてゆく。
「くつろいでいた所を悪いな。何、すぐに眠らせてやるさ」
 ルシエルが両手杖で紋章を描き、叩くようにその中央へ向けて振り下ろす。幾筋もの光となってエンブレムシャワーが突き刺さり、犬グドンたちを倒していった。
 キールがヒーリングウェーブを発動させるのを確認し、ラジスラヴァはニードルスピアをばら撒く。そうして出来た道を突っ切り、レインはサーベルを抜き放った!
 ざっ!
 ミラージュアタックがピルグリムグドンの脇腹を切り裂く。その勢いに押されるようにピルグリムグドンは一歩だけ後退り……束縛の木の葉を振り払って肩を突き出す。同時にトゲトゲが凄まじい勢いで発射された!
 がががががっ!
 冒険者たちき刻み付けられる痛み。だがピルグリムグドンの胸にも暗い影が広がっていた。トートがバッドラックシュートを投げ付けたのである。
「逃げられると思うなよ」
 トートもトゲを受けて無傷では無い、ピルグリムグドンが怒りの込もった視線を向けるが、そこにマリーがエンブレムノヴァを放って牽制する。
 ごっ!
 向かい来る火球から慌てて身をかわすピルグリムグドン。じじっと掠めて毛が数本焦げ散った。そこに犬グドンの生き残りが詰め寄り、マリーへとナイフを振り出した。
「そうはいくかってね」
 可能な限りの犬グドンをターゲットに、クオーツがエンブレムシャワーを放っていた。とはいえ犬グドンの数はかなり減ってきており、狙いをつけるのも徐々に簡単になってきている。
 アルーンがジャスティスレインを発動させる。空ではじけた光が降り注ぎ、これで犬グドンでまだ動いているものは居なくなったようだ。
「これで……」
 ロイナが緑の縛撃を放つが、うまく命中しなかったのか束縛の木の葉はピルグリムグドンに貼りつかずにハラハラと落ちる。ピルグリムグドンもそれを腕で振り払うが……。
「そろそろ終わりにしようか」
 ルシエルの放った気高き銀狼がピルグリムグドンの喉元に喰らい付き、そのまま組み伏せる。その間にラジスラヴァが高らかな凱歌を奏で立て、キールもヒーリングウェーブを発動させてこれまでに受けたダメージを回復させてゆく。
「あと少しです!」
 仲間達の援護に後押しされるように、レインはサーベルを握り締める。ミラージュアタックの素早い突撃で残像を生み出し斬り付けた。ざざっとピルグリムグドンの胸に新たな傷が刻まれた。
「お前なんかに銀細工は似合わないよーだ」
「炎よ……全てを焼き尽くせ!」
「これで焼き尽くす」
 クオーツ、マリー、ルシエルの三方向からエンブレムノヴァの火球が放たれる。
 どぉんっ!
 着弾して炎の華を咲かせる紋章の大火球。めらめらと燃えるそこに狙いを絞り、アルーンは強弓の弦を弾いた。がががっと射出される矢は三条、ガトリングアローがピルグリムグドンの両肩と胸に突き立てられた。
「終わりだ」
 そこにトートが踏み込んだ。弓『紫電』を突き出して弦を敵の首に当てがい、ふっと引く動きでブラッディエッジが振り抜かれる。鋭い一撃が首を切断し、どさ、どさと大地に二つの塊が落ちた。
 こうして冒険者たちは犬グドンの群れの殲滅を終えたのであった。

●祭
「汚れは丹念に清めようかの」
 ピルグリムグドンや寝床から奪われた銀細工を回収するアルーン。壊れたものが無ければいいのだがと言いながらその状態をチェックし、汚れを可能な限り拭き取っていった。
 それからグドンたちの亡骸が埋葬され、周辺に討ちもらしが無いか見回りしてから村へと戻る。完了の報を受けて準備しないとなと意気込む村人達とともに、冒険者たちもお祭りの準備をお手伝いするのであった。

 祭りの曲に合わせてラジスラヴァは踊りを披露していた。何とか夕方頃には祭りの準備が整い、常に軽やかなメロディーが奏でられ続けている。踊る人たちの輪に入りつつも見事なラジスラヴァの舞いは人々の目に留まり、お祭り気分を盛り上げているようだ。
 屋台も立て直され、食料も再び運び込まれて公開調理が行われている。
「良い匂いするなぁ。お腹空いたけど、今はそれよりやることがあるよね」
 レインは銀細工職人を見つけて作成を依頼し、その出来上がりを心待ちにしてワクワクしているようだった。
「さっきお願いした奴、後で交換しようよ」
 ルシエルはレインと一緒にブレスレットの作成を依頼していた。その提案にレインも同じ事を考えていたと頷く。
「繋がってる、って感じするでしょ」
 互いが思い描いたブレスレットを、相手が着ける。心とブレスレットがクロスするような、そんなイメージ。二人は顔を見合わせてふふっと笑った。
「それじゃあ待っている間。あの屋台に行ってみよう!」
「お腹空いたしねー」
 そんな会話を交わしつつ、レインとルシエルはお祭り散策を始めるのだった。
 二人のように冒険者たちも銀細工作成を依頼した者は居たようで、職人さんの腕もあって続々と完成し始めているようだった。キールは銀の腕輪を見つめて頷き、祝福を授かりに祠へと向かう。
(「もうすぐ誕生日だったっけか」)
 トートはここには居ない誰かのことを思い浮かべながら、完成した首飾りを見つめていた。似合うだろうか? と想像を膨らませる。
「楽しいの大好きっ♪」
 クオーツは祭りを満喫しているようで、踊りや歌に参加したり、屋台でお菓子を食べたりと色々見て回っていた。勿論職人さんに銀細工の作成もお願いしたらしい。
「はわ! 結構難しいですね」
 マリーは自らの手で銀細工を作ってみたいと志願していた。職人さんとの交渉もあり、何とか素人でもできそうな作業を見つけて手を動かしている。
「自分の手で作ったこれを、贈りたい人が居るのです……ペアの物って繋がってる気がしませんか?」
 いつでも一緒に居たい。でも現実はそうもいかない。ならばいつでも同じ物を――世界に一対しかない同じ物を着けて、繋がっていたい。そんなことを思いながら微笑み、マリーは作業を続けるのだった。
 ロイナの誘いを受けて金波銀波・ヒルト(a72947)は祭りに訪れていた。この賑わいを見れば依頼自体は成功したことが伺える。
「あ、こちらです!」
 ヒルトの姿を見つけてロイナは手を振ってそちらに駆け寄った。早速作ってもらったという揃いの銀の簪を取り出し、その片方をヒルトへと手渡す。
「ロイナ、アルーン、怪我は無いかい? 二人のことだから大丈夫だとは思うが」
 二人の無事を尋ねるヒルトに、ロイナとアルーンは心配しすぎだと笑う。照れくさそうにヒルトも笑顔を見せ、ロイナの頭をぽんぽんと叩く。
「この素敵な簪、ありがとう。それと依頼、お疲れ様」
 いつもと変わらぬヒルトの様子にロイナは心が温かくなるのを感じながら微笑む。
(「それにしても仲の良い親子じゃ」)
 二人の様子を眺めながらアルーンは思う。
(「……ちぃとばかし羨ましいのぅ」)
 ふぅと小さく息を吐き、二人がそんな自分に心配そうな視線を向けているのに気付いて笑顔を向ける。心配ないぞと。
「この『想い』が銀細工に託され『絆』となるのであれば……」
 冒険者たちはかけがえの無いその絆に想いを巡らせるのだった。


マスター:零風堂 紹介ページ
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作成日:2008/10/26
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