【月夜見奇譚】街道の怪異



<オープニング>


●真夜中の異変
 夜の闇の中、灯りを手に街道を急ぐ人物の姿。
 急ぎの仕事なのか、背には大量に荷物を背負って……。
 そこに、突然現れる黒い影。
 なーん……。
「何だ、野生のノソリンか……」
 驚いて灯りをかざした人物の耳に聞こえて来る聞き覚えのある声に、ほっと胸をなでおろす。
 ……なーん?
「ん……? 何だ? 腹でも減ったか?」
 近寄って来るノソリンに気付いて、男が立ち止まる。
 次の瞬間。
「う、うわああああああああっ!?」
 悲鳴が、暗闇の街道に響いた……。

●モンスターの正体
「あのね〜。みんなにお願いがあるんだよ〜」
 冒険者の酒場。そう言うミュリンの顔は何だか冴えない。
「何だ……? どうした?」
 問い返す冒険者達。いつもと違う彼女の様子に心配になったのか、アヤノがミュリンの額に手を当てる。
 それに大丈夫、とミュリンは微笑んで。
 冒険者達が頼んでくれたフルーツジュースを、嬉しそうに飲みながら話を続けた。
「えーとね。街道にノソリンが出るの」
「……ノソリン?」
 街道にノソリン。別段不思議とも思えぬ組み合わせに顔を見合わせる冒険者達とアヤノ。
「そのノソリンがね、人を襲うんだよー」
「……それは『ノソリン』とは言わないだろう」
「あ、そうだよねー」
 アヤノのツッコミにてへ、と舌を出すミュリン。
 それで? と先を促す冒険者達に頷いて、彼女は話を続けた。
「えーとね。そのノソリン、実はモンスターみたいで。可愛らしい姿で油断させて人を襲ってるみたいなのー」
 そう言いつつ、何だかやけにションボリしているミュリン。
「……一見ノソリンさんなんだよ。可愛いのにね。くわーーっ! がぶーー! って……。リゼルちゃんが見たら失神モノだよー」
 ……どうやら、霊査して見えたモノが動物好きのミュリンにとっては結構衝撃的だったらしい。
「分かった分かった……。そいつを退治して来ればいいんだな?」
 宥めつつ言う冒険者達に、こっくり頷く彼女。
「しかし……ただ『モンスター』と一口に言われてもな。何か特徴はないのか?」
 そんなミュリンに苦笑しながら、アヤノが考え込む。
「えーとね。夕方とか、暗くなって来た頃に街道を歩く人を狙って襲ってるみたいなの」
「じゃあ、暗くなれば現れるってことか」
 続くミュリンの説明に、冒険者達も考え込んで。
 モンスターの現れる時間によっては、最悪暗闇での戦闘になる可能性が高い。
 冒険者になったばかりのアヤノは、当然経験したことがないだろう。
 なかなか難しい状況になりそうだが……。
「これ以上被害を出す訳にもいかないし、アヤノの修行にもなるか……」
「……何だ?」
 そんなことを呟く冒険者達に、アヤノが首を傾げて。
「いや、何でもない。ミュリン、その街道はどこにある?」
「ええっと……あ、そうそう。そのモンスター、ノソリンの姿はしてるけど、動きは結構早いみたいだから……気をつけてね」
 彼等の言葉に慌てて資料をめくりながらも、心配そうに付け加えるミュリン。
 それに心配ない、とジェスチャーを返し。冒険者達は出立の準備を始めるのだった。

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参加者
月夜に永遠誓いし剣士・カズハ(a00073)
フレイハルトの護衛士ー紅神の・フーリィ(a00685)
舞月の戦華・アリア(a00742)
自然と昼寝愛好家・ファンバス(a01913)
暁月の豹牙・ナイジェル(a02553)
さすらいのギター宣教師・フェイ(a02632)
星影・ルシエラ(a03407)
緋炎鋼騎・ゴウラン(a05773)
NPC:月夜の剣士・アヤノ(a90093)



<リプレイ>

●明るい道
 初夏の太陽に照らされた長く続く街道。この界隈をモンスターが出ると言う噂を知っているのか、誰もが足早で。
「大丈夫なのだ。平らな胸は平和の象徴。何事もなく無事に出歩けるようにするためにも私たちは頑張るのだ」
 道往く人々に声をかけ貧乳様の像を渡して歩く守護の剣・フェイ(a02632)。
 その隣で、彼女と同じように『危ないから、夜は出歩かないでね☆』と声をかけていた星影・ルシエラ(a03407)が仲間達を振り返る。
「ねえねえ。がぶーー! だから、牙が生えてるのかな。ルシエラ、がぶーー! じゃなくて甘噛みがいいのになぁ〜」
「そうでしょうね。ふむ……ノソリン型のモンスター。相手にとって不足なし……良い力試しになるわね」
 そんなルシエラに微笑みを向けて呟くノルグランドの薬物護衛士・フーリィ(a00685)。
「うむ。実は、以前もノソリン型のモンスターと戦った事があるのだが、それとはちょっと特徴が違うようだのう」
「見間違える位だから、かなり似ているのだろうが……愛らしい外見に惑わされぬように気を引き締めないとな」
 首を傾げるフェイに頷きながら、月夜の守護者・カズハ(a00073)が街道を見渡す。
 相談の結果、囮班と待ち伏せ班の二手に別れ、モンスターを誘き寄せて討伐する作戦に出る事にした冒険者達。
 モンスターが出るのは夜。ならば昼間のうちに聞き込みをして襲撃された地点を調べ、出没範囲を絞ろうと言う話になり……こうして、明るい時間から街道にいると言う訳だ。
「被害者の話だと、あの辺りに出るらしいんだが……」
「……いいかい、アヤノ。ただこの周辺を調べるんじゃないよ。ついでに地形や障害物・距離感を頭に叩き込むんだ。ある程度知っていると反応速度が上がるし、戦闘時に役立つからね」
 前方を指差す月夜の剣士・アヤノ(a90093)に、周辺を確認しながら早速戦闘のコツを教える暁月の豹牙・ナイジェル(a02553)。
「そうね。あたしは医術士の戦い方をみせてあげるわ。参考になると良いのだけれど」
 続いたフーリィの言葉。
 ちなみに彼女の場合、『医術士』と書いて『イロモノ士』と読むらしい。
 が、全世界の医術士がイロモノな訳ではないので、その辺誤解のなきよう(ぇ)。
 彼女の言葉に頷きつつも、その装備が前衛向けである事に気がついて戸惑いを隠せないアヤノ。
「確かに体力は戦士に劣るけど、それ以外は経験で補えるわ。術士が前衛に立つのは何もおかしい事じゃないのよ」
 そんな彼女に、フーリィはにこやかに微笑んで。
「さて……潜伏場所が決まらない事にはやり難いな」
「ああ。待ち伏せするなら、あの林辺りがいいと思うんだけどね……って、聞いてるかい?」
 続くレクチャーに頷きつつ、本題も忘れないカズハと緋炎絢爛・ゴウラン(a05773)。
 彼女が前方の林を指差し……何だかボンヤリしている自然と昼寝愛好家・ファンバス(a01913)に気がついて、彼の目の前でヒラヒラと手を振る。
「何だか以前のネズミ退治を思い出すね。アヤノちゃんもあれからまた一回り成長したねぇ……」
 それに気付いてないのか、遠い目をしながら呟く彼。
 別にファンバスはただボンヤリしている訳ではない。
 少し上級の冒険の手解きを受けられるようにまでなったアヤノに、ちょっと感動しているだけだ。
 なんつーか。ファンバスさん、ますます老成化が進んでません?(ぇ)
「ハヤトさんの事もなんとか収まって、アヤノもやっと安心して冒険者の仕事ができるな……良かった」
 そんな彼に同意するように、安堵の溜息を漏らす月華の舞姫・アリア(a00742)。
「全く……ファンバス兄さんもアリアも大袈裟なんだよ」
 そんな感慨深げな2人に、アヤノが少し頬を赤らめてむくれて。それにアリアが微笑んで首を振る。
「そんな事ないよ。もう、アヤノが悲しい思いをするのを見るのは嫌だから……ハヤトさんもきっと見守ってくれているから頑張ろう」
「うん! アヤノちゃんがもっと強くなれるように、俺も手伝うからね!」
 夜でも目立つようにと明るい色の布を槍の穂先に結びつつ、大張り切りのファンバス。
「……ああ言うのも親バカって言うのかね?」
 彼等の様子にツッコミを入れるようなゴウランの問いかけ。
 それに、仲間達はただ苦笑するのみだった。

●宵闇
 夜が迫る街道。影が長くなる頃には、そこから人気が消えて。
 傾く日が冒険者達に行動開始の合図を送る。
「カズハさんやファンバスさんが一緒だから、大丈夫だよな……」
「ああ。……任せた」
 潜伏場所である林に向かって行くアヤノと待ち伏せ班の面々を見つめながら、自分を納得させるようなアリアの呟き。
 それに、ナイジェルも頷き……待ち伏せ班の面々の背に向けて、信頼に満ちた笑みを浮かべる。
「……では、始めるとしましょうか?」
「はーい! ルシエラも囮なの〜♪」
 フーリィの落ち着いた声に、ノソリン柄のマントに身を包んだルシエラの元気のよいお返事。
「……本当に大丈夫なのか?」
 のんびりルンルンなルシエラに少し不安を覚えたのか、思わず確認するナイジェル。
「むーっ。大丈夫だもーんっ☆ それに強くなってるんだよ?」
「まあ……確かにそうだね。じゃあ、護っても貰おうか?」
 ムキになる彼女。苦笑しつつもそう言う彼に、ルシエラが気合十分で頷く。
「それに、危なかったらナイジェルさんが助けてくれるんだもんね!」
 ……それをアテにしたら駄目だろう、とその場に居る誰もが思ったが、口に出してツッコまないあたり優しい(ぇ)。
「一応、皆は灯り持っておいたほうがいいわよ」
 その場を仕切り直すように続いたフーリィの言葉に頷くナイジェル。
 エルフである彼女はある程度の視界が確保出来るが、他の者はそうではない。
 多少の光源がない限り、真の暗闇の中でモンスターを探し出すのは至難の技だ。
「うん! ランプねー。サッて放ってもちゃんと立つように、底を座り良く細工したの!」
「そうか。偉いな」
 えっへん! と胸を張ってランプに火を入れるルシエラの頭を、いいこいいこと撫でるアリア。
 これではどちらが年上だか判らないが……。
 何はともあれ、囮班の4人は日没と同時にゆっくりと歩き出した。
「それにしても、モンスターは単体で移動してるんだろうか? 野良ノソリンとかに紛れて現れたらちょっと困るな」
「襲われた人の話だと、1匹と言う事だったけどね」
「人の目は誤魔化せても、臆病なノソリンまでは誤魔化せないって事かしら?」
「ねーねー! アヤノさん達だいじょうぶかなー? 蚊に刺されたりしてないかなー?」
 アリアとナイジェル、フーリィの真面目な会話に茶々を入れるルシエラ。
 本人にその気はないのだろうが……何だかそれが奇妙にほのぼのした雰囲気を醸し出していて。
 モンスターを油断させるのにはこれくらいが丁度いいのかもしれない。

 一方その頃……。
「えるーふあいはー暗闇見通しー えるふいやーは地獄耳ー」
 林の中に、そんなフェイの謎のセリフが流れていて。
 ……夜間は、やはり聴覚に頼るのと、気配を読むんだよ。歩く足音で誰か判るかな?
 まずは、ルシエラの足音。あれは判り易い。
 カズハが近くにきたのは……気配で間違えないか……。
「……アヤノちゃん? どうかした?」
 ファンバスに顔を覗き込まれて、我に返るアヤノ。
 悪戯っぽく笑いながら言うナイジェルの言葉を思い出して知らずに顔が赤くなっていたらしい。
「ああ……いや。皆、暗闇での戦闘はどうしているのかなって、考えてた」
 誤魔化すように慌てて首を振って言う彼女に、仲間達がう〜ん、と考え込む。
「……転ばないように気をつけろ、くらいなのだ。エルフだからこんくらいしか浮かばないだわさ」
「まあ、足元に気をつけるのは基本だな」
 フェイの言葉に笑いながらカズハが相づちを打つ。
「ん〜……そうだねえ。そういう時、アタシの場合は、怪しいと思ったらとりあえずぶっ叩いてみる。先手必勝。ためらい、まごつきは命取りになるからね」
 続くゴウランに、アヤノもうんうんと頷いて。
「それに、万が一、間違えて味方をのしちまったときでも、黙ってりゃ誰がやったかわかんないんだからさあ」
「ゴウランちゃん……それは」
 豪快に笑うゴウランにファンバスが目頭を押さえる。
 そんな2人に笑みを漏らしつつ、自分達が潜伏している事を思い出して、アヤノが必死で樹にへばりつく。
「アヤノ、それだと長時間持たない。もう少し身を低く……と、そうじゃなくてだな」
 何だかぎこちない彼女の体勢に、思わず手を出して指導をするカズハ。
 彼の顔と手が突然至近距離に来て、心臓が飛び出しそうになる。
「……ん? どうかしたか?」
「な、何でもない」
 首を傾げるカズハに、慌てて首を振って。
 その時。
 微かだが、確かに聞こえたノソリンの声。
「来たみたいなのだ」
 遥か前方の闇に目を凝らすフェイ。
 その瞳には、囮班の仲間達の持つ仄かな明かりと、それにゆっくりと近付く影が見えていた……。

●闇夜の駆け引き
 その姿に、真っ先に気がついて振り返ったのはフーリィ。
 なーん……。
 街道に響く間延びした鳴き声。
 4人の目線の先。明かりに照らされ、闇に浮かび上がるその姿は確かにノソリンで。
「ノソリンさんだ♪」
「……おいで」
 ルシエラとナイジェルののんびりとした呼びかけは、油断したように見せる演技。
 その間も、目の端でアリアとフーリィは林との距離を測る。
 ……なーん?
 そして、それはルシエラに更に近付いて……擦り寄るかのように見せかけて、いきなり牙を剥いた。
 4つに裂けた大きな口。ズラリと並ぶ鋭い牙。
「今の見た!? おクチ、裂けたよー! ホントにくわーーっ! だよー!」
「その話は後! 林まで走れ!」
 予想以上の醜悪な姿に、がびーん! とショックを受けているルシエラを引きずるようにしてアリアが走り出す。
 そして、その後を離れず近付かず。モンスターと絶妙な距離を置いて走るフーリィとナイジェル。
 今にも捕まえられそうな獲物に、雄叫びをあげてモンスターが追って来る。
 待ち伏せ班と合流出来るまで、あともう少しの地点。
 まだだ。まだ攻撃を仕掛けるのは早い……。
 その時。
「……皆、目を伏せて!」
 前方から聞こえて来た声に、4人はとっさにモンスターから目線を反らす。
 そして、ファンバスによって投げつけられたランタンはモンスターに命中し。
「行くぜ!」
 鎧進化で防御力を上げ、武器に酒を吹きかけて気合を入れるゴウランと、カズハの裂帛の気合の篭った叫び。
 それが合流、攻撃開始の合図となった。
 突然のランタンの光で目を眩まされ、紅蓮の咆哮で動きを封じられたモンスターはそれでもなお怒りの咆哮をあげる。
「……少し静かにしろ。やかましい」
「貧乳様を崇めよーなのだー!」
 何だかツッコミのように連続して入るアリアの爆砕拳とフェイの連撃蹴。
「オラオラァ!」
 続くゴウランの特攻。肉を斬らせて骨を絶つ……多少傷つけられても気にせず、兜割りと大地斬を次々と叩き込む。
「……我が刃は信念の元に。祖に逢っては祖を斬り、神に逢っては神を斬る。何事にも囚われる事無かれ……」
「確かに動きは早いか。だが……甘い」
 そして闇の中、閃くエンブレムブロウによって青白く輝くフーリィの1対のメスと、稲妻を纏ったカズハの双剣。
 その連撃はモンスターの四肢を潰し、視力を奪い……確実に動きを鈍らせて行く。
 この連打を喰らって不利を悟ったか。
 無防備に立っているナイジェルに醜悪な口で噛み付こうとするモンスター。
 それを紙一重でかわし、受け流すように掌で軽く触れると同時に爆発音が響いて巨体が吹き飛ぶ。
「ルシエラ! 顎を潰す!」
「は〜い! 頑張るよ〜☆」
 身を翻し、踊るように拳を放つナイジェル。それにルシエラの抜き打ちが孤を描くように合わさって、モンスターの蓋顎が飛ぶ。
 ……勝負はついた。
 そう思った瞬間。死力を振り絞り、体当たりをかけるモンスター。
「そうはさせないよ!」
「……医術士の極意は生体把握。さすればメスに切れぬ者無し」
 それを、ファンバスの槍が難なく跳ね返し。フーリィの鮮やかなメスがモンスターの筋を絶つ。
「トドメだ!」
「うぉおおおおお!」
 返す槍で兜割りを放つファンバス。そこに、ゴウランの兜割りが重なって。
 モンスターは頭から腰までを一刀両断され、断末魔の悲鳴をあげる暇もなく崩れ落ちた。

「アヤノさーん、大丈夫だった?」
「怪我はないか?」
「……アヤノに夜間の戦闘を体感して貰ってる暇、なかったかな」
 戦闘の余韻が覚めやらぬ中。
 心配そうに駆け寄って来るルシエラとアリア。いつもと変わらぬ様子で振り返って微笑むナイジェル。
 呼びかける声に応えるのも忘れ、アヤノが感嘆の溜息を漏らす。
「どう、アヤノ。夜戦もなかなか奥が深いだろ?」
「うん。全く動けなかった……」
 笑うゴウランに、少し悔しそうな彼女。
「最初は誰でもそうなのだ。気にする事はないのだ」
「暗闇の中でも筋肉、熱量の動きを読み、一手先を読みさすれ避けられるし、当てられる。良く覚えておいてね」
 その肩に、励ますようにそっと手を置いて、フェイとフーリィが微笑んで。
「着々と冒険者として成長している姿を見るのはすごく嬉しいよね……。ああ、でも怪我をされるのは嫌だなぁ……。身体に傷でも残ったら……」
 そんなアヤノの姿に満足そうにしみじみと頷いたと思ったら、途端に青ざめるファンバス。
 1人百面相な上に結婚もしていないのに一児の父状態。
 そんな彼に、アリアは同意しつつもでっかい冷や汗を流した……。

「……ちょっといいか、アヤノ」
 そう言った直後、カズハの手が髪に触れて思わず身構えるアヤノ。
 すぐに潜伏していた時についた葉を払ってくれているのだと気がついて赤面する。
「……折角の美人が台無しになる所だな」
「わ、私は美人なんかじゃ……」
 彼の言葉にますます赤面して。カズハはちょっと呆れたように続けた。
「お前は自分を過小評価する所があるな。冒険者たるもの、もう少し自信を持て」
 それにまた反論しようとしたものの、彼の表情があまりにも真剣でつい口篭もる。
「ついでにもう1つ。もう少し素直になってくれると色々助かるんだが」
「えーと。努力……する」
「本当だな? 言っておくが、冒険者としてじゃないぞ?」
 その言葉に暫く考え込んで……耳まで赤くなって俯いてしまったアヤノに、カズハが微笑んで。
 どうやら、カズハの楽しみが1つ増えたようだった。

 熱帯夜……寝苦しい夜に見る悪夢のような事件は、こうして幕を降ろした。
「暗いと本当に仕留めたかどうかわかんないからね」
 ……とか言いながら、完膚なきまでにモンスターを叩きのめしたゴウラン。
 そんな彼女の姿に、ファンバスが涙したとかしなかったとか(ぇ)。


マスター:猫又ものと 紹介ページ
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参加者:8人
作成日:2004/06/29
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