タロスの聖域攻略戦:絶対不可侵領域を突破せよ



<オープニング>


●コルドフリード大陸のグリモア
 北の大陸コルドフリード。
 ドラゴンロード・ブックドミネーターとの決戦が行われた北の大陸には、多くの古代の遺跡が存在していました。
 その遺跡の中でも最大と思われる北辺の遺跡の調査に向かった『コルドフリード北辺調査隊』は、苦難の冒険行の末、遂に、コルドフリード大陸のグリモアの場所を見つけ出したのです。

 しかし、このグリモアは『絶対不可侵領域』という無敵の防衛網を持っており、調査隊の冒険者の力だけでは、この絶対不可侵領域を撃ち破る事は叶いませんでした。
 これを撃ち破るには、同盟諸国の冒険者の力を結集する事が不可欠です。
 今こそ、力を合わせて、コルドフリード大陸の核心に迫る時なのかもしれません。

●絶対不可侵領域を突破せよ
「さて、だいぶ騒ぎになってるからお前さんたちの耳にも届いてるだろうな」
 紫煙の霊査士・フォルテは集まった冒険者たちを見やった。
 コルドフリード北辺調査隊が調査していた遺跡で、タロスの列強グリモアが発見された。これはタロスを同盟諸国に迎えることができるかもしれないということを示していた。
「だがまぁ……これが一筋縄にはいかなくてな。調査隊の話を耳にしてるかもしれないが、このグリモアには絶対不可侵領域というものが存在する」
 眉を寄せる冒険者たちに、霊査士は静かに告げた。
「通常の方法での侵入は無理だ」
 侵入者を排除する為に動いているものがある。霊査士は告げると、持っていた羊皮紙を広げた。
「このグリモアを守っている『絶対不可侵領域』から、侵入者を排除するための戦闘艇が現れる」
「戦闘……艇?」
 訝しむ冒険者に霊査士は頷きを返す。戦闘艇は10mほどの透明な多面体だ。浮遊しながら、侵入者を攻撃する。
「見た目は……まぁクリスタルだろうな。大きな違いは、乗組員がいることだ。操縦者は黄金に輝く武具を身につけた単眼のギアだ。能力は……並のモンスターをはるかに凌駕する」
 面倒な組み合わせだが、と霊査士は一度言葉を切った。集まった冒険者達を見、再び口を開く。
「戦闘艇こそ、絶対不可侵領域を突破する糸口となる。ギアを破壊し、戦闘艇を奪取する。こいつを操ることができれば絶対不可侵領域を突破することが可能になる」
 その為には、襲いかかってくる戦闘艇を迎撃し、壁面を破壊し、中に乗り込み操縦者たるギアを倒すことが絶対条件だった。
「まずは戦闘艇の攻略だな。戦闘艇の攻撃は操縦者であるギアからの遠距離攻撃、戦闘艇本体の持つ攻撃と大きく分けて2種ある」
 ギアの砲台からの攻撃は黒い光となって、出血とアンチヒールを伴ったダメージを与える。
「本体を使っての攻撃だが……まず遠距離だな。爆発とともに周囲に毒とダメージをもたらす。近距離は、マジックハンドみたいなので近づいたものを投げ飛ばすものと……自ら接近する連続攻撃だ」
 急接近による突撃からの、ドリルでの鋭い連続突きは最も強力な攻撃となる。
「……ギアの方は、さっき話した遠距離攻撃。屈強な体は防御力が高く、単体の攻撃はダメージを与えにくい」
 両腕を振り回し、周囲を薙ぎ払う攻撃は出血をもたらす。近距離攻撃の能力が高く、正拳突きはアーマーブレイクをもたらす。
「こいつを倒し、戦闘艇を奪取してくれ。そして絶対不可侵領域を突破して欲しい」
 霊査士はそう言うと、くるくると羊皮紙を纏めた。
「……この戦いに勝利すれば、コルドフリード大陸を制する事に繋がる……。タロスを仲間に迎えることはできるだろう。また街も賑わいそうだ」
 そしてタロスを仲間に迎えるということは、コルドフリードの飛行船の技術を得ることができるかもしれない。
「同盟諸国は……まぁ今より豊かになるだろうな。お前さん達に行ってもらう冒険も増えてくるだろう。それと……フラウウインドに現れたあのドラゴンロードとの戦い、有利に進められるかもしれない」
 と、いろいろあるが。と霊査士は言葉をきり、立ち上がった。
「厳しい戦闘になるかもしれない……。気をつけてくれ。武運を、祈る」
 霊査士はそう言って冒険者たちを見た。
 
!注意!
 このシナリオは同盟諸国の命運を掛けた重要なシナリオ(全体シナリオ)となっています。全体シナリオは、通常の依頼よりも危険度が高く、その結果は全体の状況に大きな影響を与えます。
 全体シナリオでは『グリモアエフェクト』と言う特別なグリモアの加護を得る事ができます。このグリモアエフェクトを得たキャラクターは、シナリオ中に1回だけ非常に強力な力(攻撃或いは行動)を発揮する事ができます。

 グリモアエフェクトは参加者全員が『グリモアエフェクトに相応しい行為』を行う事で発揮しやすくなります。
 この『グリモアエフェクトに相応しい行為』はシナリオ毎に変化します。
 紫煙の霊査士・フォルテの『グリモアエフェクトに相応しい行為』は『挑戦(challenge)』となります。
 グリモアエフェクトの詳しい内容は『図書館』をご確認ください。


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参加者
天黎月蒼・ラピスラズリ(a23356)
紅い蝶・レイジュ(a24217)
歩揺の桜・リラ(a27466)
薬草遣いの・リーナ(a38286)
戦闘執事・サキト(a38399)
湖月・レイ(a47568)
花酔い・ラシェット(a53996)
えきぞちっくますこっと・トミィ(a64965)


<リプレイ>

●戦闘艇
 目を凝らして見ずとも、きらきらと光る物体が冒険者たちの目に入る。クリスタルを思わせる浮遊物体を見上げえきぞちっくますこっと・トミィ(a64965)は薄く、口を開いた。
「これが戦闘艇ですか」
 透明な多面体は、戦場に舞い上がった砂埃さえその表面に映し出す戦闘艇。と歩揺の桜・リラ(a27466)は息を吸う。
「新しい大陸……また次の冒険の時が来たんですね」
 世界が広がっていくのは素敵なこと。呟き、上げた視線の先、今までただ浮遊していた戦闘艇がその動きを変える。次に感じたのは、狙われているという戦場特有の感覚。
「侵入者としてこちらを認識したか……」
 戦闘執事・サキト(a38399)は鎧聖降臨をまず自分にかけた。剣に手をかけ、見据えた先、戦闘艇から何かが射出された。
「あれは……」
「ミサイルです……!」
 ちりちりと、空気が焼ける。ふわり、と舞い上がり戦場に迷い込んだ葉が撃ち抜かれ、散る。肌に走る痛みに、ヘブンズフィールド発動の光の中、紅い蝶・レイジュ(a24217)は声を上げた。ざわざわと、肌が波打つ。頬を伝い落ちてきた血を、今は拭わずに天黎月蒼・ラピスラズリ(a23356)は抜き払った剣を構えた。戦闘艇の脇から、マジックハンドが見える。
「耐久力勝負、でしょうか……」
 薬草遣いの・リーナ(a38286)の高らかな凱歌が響く。相手の攻撃の種類は多い。空気を地面に叩きつけるかのように動いたマジックハンドを追いながら、足を引く。構えをとり、見据えた相手は浮遊する多面体。
「第一関門、というところでしょうか」
 ふわり、と護りの天使たちが姿を見せる。無影・ユーリグ(a20068)の頷きを目の端に、仮初の帳・ラシェット(a53996)は鎧聖降臨を自らへかける。抜き払ったサーベルを手に、新しい種族の参入ね……、と唇の端を上げた。遮られるのは好きではない。切っ先を向け、「道を開けてもらいましょうか?」と戦闘艇を見れば、マジックハンドが飛燕連撃を放つ湖月・レイ(a47568)を狙っているのが見えた。
「……」
 身を捩り、攻撃を避け、顔を上げた。狙いは戦闘艇の壁だ。
「……厄介な事。それでも、やるだけやけど……」
 ごう、と風が唸り戦闘艇に乗っているギアの砲身がこちらを向いた。警戒を告げる声に、散開し、トミィは杖に手に邪竜の破壊力を呼び起こす。
「永遠と無限をたゆたいし……全ての心の源よ。尽きる事なき黒き炎よ。我が魂の内に眠りしその力……無限より来たりて……今、ここに解き放たんッ!」
 砲身から放たれた光に似たそれはトミィの体を走り、覆った。
 レイジュは、空中に描いた紋章からエンブレムシュートを叩きつけた戦闘艇を見据えた。
「……絶対不可侵領域を突破することで未来が開ける……そうですよね?」
 それなら自分はその未来の為に行動するだけ。私達が今、できることを。
 前を見る。まずは、あの戦闘艇の壁を破壊する。そしてギアを破壊し、あの戦闘艇で絶対守護領域を突破するのだ。
「必ず突破しましょう。私たちの行動が少しでも未来への道に繋がることを祈ります」
 レイジュの言葉に、誰一人「否」を発することはなかった。

●風、吹き抜けて
 戦闘艇から射出されたミサイルが、戦場に降り注ぐ。ダメージに少しだけ息を吐いて、リーナは杖を掲げた。
「華南ちゃん協力よろしくですよ〜いっちゃいましょうっ」
 召喚獣の名を呼び、リーナは緑の業火を戦闘艇へと向けた。ミサイルからダメージはリラの凱歌により、回復される。ユーリグは再び、祈りの体勢をとった。
「我が渾身の祈り、痛みで止められると思うな人形!」
 ただ一心不乱に、ユーリグは祈る。それが戦場を駆ける皆の力となる。
 体を侵す毒は消え去りった。サキトは戦闘艇までの距離を詰めていく。その後ろから、ラシェットの放ったソニックウェーブが戦闘艇を打つ。近づいてきた者を狙い、動き出したマジックハンドにラピスラズリが鎧砕きを叩き込む。びくり、と震えた腕は外敵を彼へと定めた。剣を構えれば、目の端に壁面へと一撃を叩き込むサキトの姿が見える。
「参の太刀、光翼!」
 一撃を受けた戦闘艇の壁にレイジュのエンブレムシュートが叩きつけられた。どん、と重く響く音を聞きながらトミィはブラックフレイムを向ける。その後ろから、リーナは緑の業火を叩きつけた。どぉん、と重い音が響く。狙いを一点にさだめ、攻撃をする相手に戦闘艇を操縦するギアは、その砲身を後衛へと向けた。黒い光が、どんという音と共に放たれる。まっすぐに、向かうのはリーナの元だ。
「っ」
 回避するリーナの肩口を砲撃が抉っていく。痛みよりも熱さが走り、リーナは息を詰まらせた。自分を呼んでいる仲間の声を聞きながら、リーナは杖を手に立ち上がった。
「大丈夫、ですよ〜……」
 耳に届く凱歌が重なり響き、体が癒されていく。もう戦えないというほどにダメージではない。体はまだ動く。「華南ちゃん」とリーナは小さく召喚獣の名を呼び、杖を握った。
 
 緑の秘術が描かれていく中、サキトは一気に戦闘艇の壁へと接近し、何度目になるか分からない大岩斬を叩き込んでいた。
「壱の太刀、斬鱗!」
 ぴしり、と壁に罅が入る。その音を捕らえ、接近したレイはブラッディエッジでギアの壁を貫く。ーー罅は広がる。好機か。距離を詰め、壁の破壊を狙うメンバーを捕らえようと、マジックハンドが動く。その動きに、ラピスラズリは剣を振り下ろせば、一撃にマジックハンドの一部が曲がった。ぐにゃりと曲がったマジックハンドが、ラピスラズリへと狙いを定め一気に拘束をしてきた。そのままぐい、とすごい力で放り投げられる。
「!」
 後ろを、振り向くだけの余裕はない。受け身とリラによって受け止められているのを音で聞きながらラシェットは戦闘艇のスピードラッシュを叩き込んだ。また罅が広がる。ブラックフレイムとエンブレムシュートが後方から届く。一度距離を開け、サキトは剣を構え直した。
「早急に壁を砕かねば、本命と戦う前に激しい消耗は避けたい」
 レイは飛燕連撃でそれに応えた。緑の業火が壁に叩きつけられ、罅が大きくなる。まっすぐ、引かれたそれを見ながらラピスラズリは戦場を駆けていく。罅は大きいが、こちらに消耗があるのも事実。砲撃、ミサイルによるダメージは少なからずある。バッドステータスが出ないのはダメージの度に再度、静謐の祈りを捧げるユーリグの存在がある。それでも、激しい消耗は避けたい。後方、術士たちから届く遠距離攻撃が空を焼くのを見ながら、サキトは地面を蹴り出したーーその時だった。戦闘艇がサキトへと突進していったのは。

●金色の守護者
 避けきれぬ一撃に、サキトは黒塗りの鞘を構え、一撃をなんとか受け止めた。指が痺れ、少なくはないダメージを感じれば、戦闘艇から鋭い槍が突きを繰り出してきた。連撃を狙う戦闘艇を、ラシェットとレイが斬り付けた。
「こんな前座に手間取っている場合じゃないわね……」
 濡羽色の刀身が、深く壁に突き刺さる。一気に引き抜くと、ラシェットは再び構えをとった。レイは距離をとり、戦闘艇の逸れた攻撃が誰にも当たらないことを確かめる。ぐらり、と揺れた戦闘艇にラピスラズリが剣を振りおろせば、壁面の罅が更に大きくなる。
「グリモアという宝を護るは黄金の巨人か……面白い」
 重なる凱歌に身を癒しながら、サキトは地面に突き立てていた剣を引き抜き、振り上げ、距離を詰めた。
「ならばその守護者を打ち倒し、そこへ到る翼を奪うのみ! 壱の太刀、斬鱗!」
 ぴしり、と壁に入った罅が真っ直ぐに走っていく。大きく戦闘艇は揺れ、そしてーー戦闘艇の壁が崩れた。トミィが杖を掲げる。
「とつにゅ〜」
 戦闘艇を奪取し、絶対守護領域を突破するために。

 体力のある者から、戦闘艇へと乗り込んでいく。先に入った皆の為、リラは、高らかな凱歌を捧げる。半分ほど乗り込みが終わった所でギアの攻撃がこちらに届いてきた。
「来たか……」
 レイはギアを見据えた。援護アビリティをかけ直し始める頃には黄金の鎧を纏ったギアが冒険者達の前にその姿を現していた。
 金色の体に、不気味なひとつ目。抜き払ったままの剣を手に、ラピスラズリは口を開く
「単眼ってどこまで見えるのでしょう?」
 視野が狭いようならば、回り込むこともできる。鎧聖降臨をかけ直し、サキトが戦場を見据えればリラの緑の業火がギアを包み込んでいた。
「聖域、失礼します。こじ開ける形になってすみませんけれど……」
 話が通じる相手ない以上、仕方ないが強行突破だ。
 緑の業火を受け、ギアの腕が大きく振るわれる。一撃を難なく避け、ラシェットはソニックウェーブを叩き込む。ギアの注目が向けば、横から距離を詰めたレイの一撃がギアを狙う。ギアの体が少しだけ揺らぎ、怒りを露わにするかのように腕を振り回した。
「っ」
 たん、と一度後ろに蹴り距離を開けたが、掠った一撃がレイの腕を打った。剣を構える手に痛みが走る。流れた血に、息を吐いたレイの横を、リーナの緑の業火が駆け抜け、ギアを打つ。人形に似たギアは頭を打たれ大きく揺らぐ。単眼が動くのを見ながら、トミィは杖を掲げた。
「永遠と無限をたゆたいし……全ての心の源よ、尽きる事なき黒き炎よ。集いて虚無の手となりて敵を砕けッ!」
 虚無の手が生まれ、真っ直ぐにギアを狙っていく。這い上がるように黄金の鎧に張り付き、一撃を刻む。近距離へと入り込み、剣を振り下ろしたラピスラズリは、ざくり、と入り込んだ一撃に顔を上げる。アーマーブレイクが成功している。
「ならば……」
 サキトはたん、と地面を蹴り一気に懐に入り込み、兜割りを叩き込んだ。
「弐の太刀、一気刀閃!」
 バッドステータスが長引くよう、レイは不吉な柄のカードをギアへと放つ。近距離へと入ったメンバーを嫌うようにギアは腕を振り回す。そこに後方からレイジュのエンブレムシュート飛んだ。

●絶対守護領域を突破せよ
 ギアは近距離に入れば、その腕を振り回してくる。一気に、薙ぎ払うように攻撃をされれば少なくはないダメージを受ける。後衛を狙った砲撃は、なんとか重傷者を出さずにはすんでいるが、回復の手は休まざる終えなかった。
 2度目のアーマーブレイクを回復され、トミィは再びヴォイドスクラッチを叩きつける。虚無の手が走り、そこへラピスラズリは鎧砕きを狙った。距離を詰め、一気に叩き込めば虚無の手との2撃を受けたギアが、その腕を突き出した。
「っ」
 正拳突きにとっさに構えた盾を持つ手が震える。予想以上のダメージが体に響いた。アーマーブレイクか、とラピスラズリは一度距離をとるために床を蹴った。追うように伸ばされた拳に、剣を構えれば横からレイが剣をギアへと向けた。
「……」
 黄金の鎧に包まれた体を切りつければ、ギアの注目がこちらに向く。回復をすると響く声を聞きながら、サキトは三度の兜割りを叩き込んだ。リラとリーナ、2人の業火がギアを焼く。凱歌で回復をしたラピスラズリは剣を手に距離を見た。たん、と踏み込み斬り付けたラシェットとレイに、ギアが腕を振り回す。どん、と重く、響くダメージはある。だが、その動きは最初よりは遅く、先に加えた一撃で体が揺らぐことも多い。
「ダメージ、蓄積してきましたね〜」
 トミィはブラックフレイムを打ち出しながらそう言った。これなら、いけるかもしれない。癒しの歌を歌い上げ、レイジュはギアを見据えた。重なるように攻撃を加え、ギアの振り回す腕と正拳突きにダメージはあれど、回復も今のところはある。まだ。とレイジュは息を吸い、皆の様子を見た。アビリティを全て使い切るように戦う。剣を突き立て、術を放ち、声が枯れる程に歌う。紋章の光、邪竜の炎、業火の中を駆け抜けながら前衛に立つ4人は剣を振るい続けた。
 だん、と勢いよサキトはホーリースマッシュを叩きつけた。
「黄金の鎧を纏おうとこの一撃は防げまい!」
 ぐらり、と大きくギアが揺れた。後ろに仰け反ったそこに、追撃するように距離を詰めれば大きく腕を振り回され、薙ぎ払われる。サキト、ラピスラズリの腕を打ち、ラシェットとレイの肩口を打つ一撃に前衛が距離をとる。流れる血に息を吐き、それでも剣を握れば響いてくるのは重なる高らかなる凱歌だった。
「回復を……っ」
「みんなの力を一つに合わせて叫べ勝利の雄叫びを」
 リラとトミィの歌声が響く中、たん、と前衛の4人は剣を床を蹴った。振り下ろされる腕に散開し、後ろからレイジュとリーナが紋章を発動させる。
「……いきます」
「銀狼さん行っちゃって下さいっ」
 後方援護にギアが体を倒しているうちにラシェットとレイが左右から、サキトが斜め前からラピスラズリが後ろに入り込み剣を振り上げる。
 その、時だった。眩しすぎる光が生まれ、刀身が輝き力がみなぎっていく。
「弐の太刀、一気刀閃!」
「はぁぁぁぁ!」
 どん、と大きな音が響きギアの腕がごろり、と落ちる。
「これは……」
「グリモアの……力」
 ーーグリモアエフェクト。
 凱歌を紡ぎ終わったリラとトミィが見たのは、光る剣と、すさまじい一撃を持ってギアを破壊した仲間たちの姿だった。
 
 倒れたギアを目にラピスラズリは荒く、肩で息をついた。体が重いわね、と呟いたのはラシェットだった。サキトは剣を床に突き刺す。戦闘の所為か、床は無数の傷を走らせていた。
「ひとまず……回復ですね」
 息を吐き、レイジュが静かに言った。回復の残っている面々で補えば、なんとか重傷にはならずにすみそうだった。しかし、ぎりぎりだ。痛む体を引きずりながら、ギアのいた場所を見ればレバーのようなものが見えた。暫く、それを見た後トミィは口を開いた。
「これってどうすればいいのだろうね? 下手に扱わないがいいよね。どこかマニュアルあるかな……」
「そうだねー」
 ぐるり、とリーナは辺りを見渡す。動かし方が書いてありそうなものはない。そうなればヒントはこのレバーだけだ。「ところでこれ動かせます?」と聞くラピスラズリに、皆が首を傾げる。押すのか引くのか、それとも違うのか。
「下手に操作したらいきなり破壊活動を行いそうで怖いものがあるな」
 サキトの言葉に、答えを返せるものは誰一人してなく沈黙が広がった。少しばかり考えるようにして、ラピスラズリは覚悟するようにレバーに手をかけた。かちり、という音と共に何かが入った。
「動き出したようですね」
 体に振動を残すような音に、ラシェットは顔を上げる。これは、動く。ぐっと、そのままラピスラズリはレバーを押した。戦闘艇が旋回を始める。トミィは息を吸い、奥へと見える空間を見ながら言った。
「それではタロスのグリモアへ向けて出発」


マスター:秋月諒 紹介ページ
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作成日:2008/12/12
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