≪ほのぼの春風≫忘年? 新年? 温泉旅行〜ほのぼの風味〜



<オープニング>


「ささっ、皆早く入るなぁ〜んよ!」
 やれやれ、といった様子で荷物を下ろしている仲間達を急かすように、白夜の鋼璧・キリア(a71164)がビタンビタンと尻尾を跳ねさせ呼びかける。
「温泉は逃げないんだよう〜」
 何時もははしゃぐ側である紫の紋章・ヒナ(a75181)も、キリアの元気にあてられたか、それとも一年の疲れが溜まっているからか若干ぐったりしている。
「よくこんなところ見つけてきたね……木造の温泉宿、夜空に浮かぶ月を眺めながらお酒を一杯――うん、いいね」
 入り口にあった温泉の効能が書かれた看板を眺めながら、守護者・クリス(a73696)が嬉しそうに目を細める。夜が待ち遠しいといったところか。
「どんな効能があるんですか?」
 ひょこっ、と隣から看板を覗き込む今日も一日・ランティ(a90391)。
 打ち身、肩こり、腰痛、美容に豊にゅ――。
 バガンッ!
 看板を打ち抜くランティの拳。一体何事か、と言うように怪訝そうな顔で見つめる中、荒い息をつきながら背中に看板を隠すランティ。
「な、なんでもないですよ。なんでも……あはははは」
 乙女は秘密を抱えているものである。
「そんなことより、早く入るなあぁ〜ん!」
 待ちきれなくなったキリアが、叫びながら宴会場へと突入していく。そんな様子に苦笑しながら、団員達が追従していく。
 こうして、忘年会なんだか新年会なんだかよく分からない温泉旅行が、今幕を開けた。


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参加者
森林の彷徨者・デルヴィーン(a68935)
なぁ〜んですなぁ〜ん・キリア(a71164)
夕涼み・レフィ(a73524)
玄天卿・クリス(a73696)
銀雷閃・アルジェン(a74039)
風の大地を流れる水・セシリア(a74884)
永遠に響く旋律・シルフェ(a75008)
舞散夜桜・クロード(a75115)
審判の日の奏者・ヒナ(a75181)
東天紅・キュアル(a75483)
女王様志望・メイ(a75704)
轟く威勢・アルベルト(a76209)
悠悠閑閑・キズナ(a76546)
怠惰の女狐・ホノカ(a76547)
プーカの牙狩人・セイムリア(a76550)
料剣理士・プレス(a76661)
騎士見習い・レオニス(a76820)

NPC:今日も一日・ランティ(a90391)



<リプレイ>

●最初から最高潮
「いくぜっ!」
 なし崩し的に始まったほのぼの春風主催の温泉旅行。少しでも早く騒ぎたい、とでも言うかのように、舞散夜桜・クロード(a75115)が、どこから持ち込んだのかドラムを打ち鳴らしている。
「闘いで鍛えた喉……披露させていただきます!」
 そのビートに乗るようにして、銀雷閃・アルジェン(a74039)が歌いだし、事前に用意していたのか何人かが楽器を片手に前方の舞台へと飛び出していく。
「即興バンド、春風満帆だよう!」
 楽しげに演奏を始める紫の紋章・ヒナ(a75181)の隣では、ピアニカ片手に必死に演奏しているセイレーンの武道家・アルベルト(a76209)の姿があった。明るい軽やかな曲を演奏しているためか、なかなかにしんどそうである。
 ベン、ベベベン♪
「あら、この音は……三味線やんね?」
 突如軽やかな音調に、異色な楽器の音が混ざり始める。そしてそれは正しく東天紅・キュアル(a75483)の判断どおり、悠悠閑閑・キズナ(a76546)の演奏する三味線である。
「あっはっは、ろっけんろーるっ♪」
 調子はずれに笑いながら演奏するキズナ。他の春風満帆のメンバーも実に楽しげに、そして自由に演奏しており、それを眺めている永遠に響く旋律・シルフェ(a75008)もまた、のほほんと笑いながら饅頭へと手を伸ばす。
(「くふふふ、悪戯大成功だよう!」)
「あ〜む」
 嬉しそうに饅頭を頬張るシルフェ。実はこの饅頭、ヒナが細工をしておいたものであり、超! 激辛饅頭なのである。食べた途端に口から火を吐くような勢いで悲鳴をあげる――はずなのだが。
 もぐもぐ。
 もぐもぐ。
「ん、美味しいね」
「えええぇー!? こ、こんなはずじゃないんだよ!」
 演奏をほっぽり出してシルフェのテーブルまで駆け寄ってくるヒナ。勿論彼女が手に取るのは、自らが細工したはずの饅頭である。
 はむ、もぐもぐ……もぐ……。
「か、辛いんだよー!」
「ピリッとしてて美味しいよね、このお饅頭。ただ私はもう少し辛い方が好みだけど……」
 七味を振りかけながら饅頭を食すシルフェ。その隣では口を真っ赤にして悶えるヒナと、水を片手に駆け寄る春風満帆のメンバーの姿があった。

●温泉〜それはロマン〜
「デルヴィーンさんはスタイルいいですね……」
 ほぅ、と見とれつつも、己を鑑みてため息をこぼす風の大地を流れる水・セシリア(a74884)。一方の森林の彷徨者・デルヴィーン(a68935)はといえば、自慢の肢体を丁寧に、丁寧に磨くように洗っている。
「ふふ、セシリアさんも、努力を怠らなければきっと大丈夫です。……あら、ランティさん。宜しければエステ体験などなさってみません?」
「エステですか。……その、ボクは……もーちょっと温泉に浸かっていたいかなーなんて、あははは……」
 目線を逸らしながら、ぶくぶくぶくぶく、と沈んでいく今日も一日・ランティ(a90391)。やましいことなんてありません。ええ、ありませんとも。ただもうちょっと効果にあやかりた――な、なんでもありませんよ? そんな感じで誰も聞いていないのに自滅していくのだった。
「……効能があれば良いのう?」
 ぼそっと耳元で止めの一撃を放つ怠惰と策謀の螺旋輪廻・ホノカ(a76547)。実は壊される前に看板を見ていたのだという。真っ赤になり沈没していく青髪を一瞥しながら、クククっ、と人の悪い笑みを浮かべるのであった。
「なぁ〜ん……気持ちいいなぁ〜ん♪」
 そんな風景を眺めているのか眺めていないのか、ぷかぷかとお湯に浮かぶ料剣理士・プレス(a76661)。尻尾までだる〜んと伸びており、かなりリラックスしているようだ。

「男には、やらねばならない時がある!」
「露天風呂恒例の覗きこそ漢の冒険とロマンだぜなぁん!」
「覗きこそ男の特権だ!」
 キャッキャッ、ウフフフ、と女湯から響いてくる嬌声――ただの楽しげな声であったのだが、そんな感じに聞こえたらしい――に居ても立っても居られない様子のクロードと白夜の鋼璧・キリア(a71164)。2人揃って腰にタオルを巻きつけ、しっかりと鎧聖降臨 で補強。
「いっきまっすなぁ〜ん♪ スリーサイズの計測なぁん。変態? 変態という名の紳――ブハァッ!?」
「あははは、団長頭に桶の破片刺さってるよ、オッカシー! って、もうばれギャー!」
 響き渡る2つの悲鳴。男女の温泉を隔てる壁は木の板があるのみで、勿論さっきの声も筒抜けである。男2名の主張をそれはもう一字一句逃すことなく耳にした女性陣は、全員桶やその他備品などなどを片手に臨戦態勢ばっちりである。
「こらああぁぁぁ! 覗くんじゃねえぇぇなぁぁぁぁぁん!!」
 アンダースローで力の限り桶を投げつけるプレス。ちなみに先ほどキリアに桶をぶつけたのもプレスであり、どうやらまったりとした入浴時間を邪魔されたのと、覗かれた怒りで豹変しているようである。
 寸分の狂いもなくクロードの顔に叩き込まれた桶に続いて、石鹸やらモップやらが続々とミッションを失敗した者達へとヒットしていく。……爆音すら聞こえるような気がするのは、多分幻聴である。多分。
「覗きは男の特権、見られることによって美しくなれるのは女の特権……とはよく言ったものよねえっ!?」
 掃除用具入れからでも取ってきたのか、セシリアのフルスイングした箒がついたて板の上部を破壊する。――勿論、その場所に居た2人も一緒に。
「おっ、おふぅっ!? そこ、だ……め、なぁん……」
「鳩尾は、む……り……」
 白目を剥き股間を押さえながら吹っ飛ぶキリアと、鳩尾を押さえ同じく吹っ飛ぶクロード。身長差とは時に残酷である。
 ざぶんっ! と大きな音を上げながらあがる2つの水柱。飛び散る飛沫を苦笑しながらかわしている騎士見習い・レオニス(a76820)だが、助けようとはしない。――仲間だと思われたら後が怖いから。
「おっとと……もう少しでお酒がダメになるところだったよ」
 抱き寄せていたお酒を解放し、再度月見酒としゃれ込む守護者・クリス(a73696)。出来うる限り水柱の元のほうは見ないようにしながら、旨そうに猪口を傾ける。
「綺麗な月だなあ……」

●2人っきりの時間
「アルくん、海……綺麗だね」
「ええ、それに空も澄んでて……星がよく見えます」
 旅館のとある一室、身を寄せ合いながら解放された窓から外の景色を眺める幽翠の暗殺職人・レフィ(a73524)とアルジェン。
「こうしていると、寒くないですね」
「うん……あったかくて、気持ち良い」
 緊張しながらレフィの肩を抱くアルジェンと、薄っすらと頬を染めながら体を預けるレフィ。穏やかな、穏やかな時間がただただ流れていく。
「この時間がずっと、続きますように……」
 2人を祝福するかのように、小さな流れ星が1つ夜空に消えた。

「ねぇねぇ、あれ美味しそうよ!」
「てか、メイさん食べ物ばっかり……あいたっ」
 失敬な! というように、ポカリとキズナのお尻を抓る普通の医術士・メイ(a75704)。いてて……と情けない声をあげるキズナ。その両手には色々なお土産の袋でいっぱいである。
「まったく、あたしがまるで食いしん坊みたいじゃない!」
「違ったんで――」
「…………」
「いっ、いえなんでもな、うわっ! ……て、あれ?」
「ほら、これ」
 突然前に突き出された腕で殴られるのかと思ったキズナであるが、目の前でピタリと拳を止めるメイ。そしてゆっくりと開かれたその手の中には、小さなイルカのアクセサリーが握られていた。
「ほらっ、このイルカいいでしょ♪」
 そっとキズナに握らせるメイ。キズナは気付いていなかったが、メイのスカートのポケットには、もう1匹のイルカが顔を覗かせていた。
 そして、騒がしい買い物は暫く続く――。

●寝る前のお楽しみ
「甘いっ、そこだっ!」
 レオニスの手から勢いよく枕が飛ぶ。普段は冷静さを心がけているレオニスであるが、枕投げというイベントを前に、本来の子供らしい無邪気さを前面に出し、生き生きと枕投げに興じている。
「子供は元気やなあ……ってギャー!」
「あ……わ、わるい……」
 アルベルトの投げた手元枕が手元が狂ったのか、ババ抜きで本気で勝ちを狙っていたキュアルの手元を直撃! 握られていたカードが散乱し、相手をしていたプーカの牙狩人・セイムリア(a76550)は、ラッキー♪ と呟きながらジロジロと手札を眺めている。大人気なく枕を引っ掴み、アルベルトを追い回すキュアル。
「しめしめ……これで勝ったも同然だよ!」
 ほくそ笑むセイムリア。しかし、彼はまだ気付いていない……純粋さゆえに顔にすぐ出てしまうことに。それが故に、多少相手のカードを知っていたからといって、有利に働くわけではないということを……。
 そうとも知らずに、フカフカの布団に包まれながら、今か今かとゲームの再開を待ちわびているセイムリアであった。

●新年書初め
 何だかんだで夜も明け、ぐっすり眠っていたものは元気に、夜中中もずっと騒いでいた者たちはぐったりと、新年の朝を迎えることとなった。
 どうせなら書初めでもやらない? との提案で、用意される筆と半紙。クリスが用意よく持参してきた一品である。そんなクリスの書いた文字は。
「『努力』……っと、無難にこんなものかな」
 なかなかに堅実的なクリスである。それを見よう見まねで、何人もが自分なりの文字を書き上げていく。
「でーきたっ!」
 元気よく書き上げた紙をかざすレフィ。そこには書いた主とは正反対のヨロヨロした字でこう記されていた。
『はーどぼいるど』
 なかなかの個性的なその書初めに、皆満面の笑みを浮かべる。あんまりにも満面過ぎて、何だか口の端をピクピクと引きつらせている者や、独創的だね、と棒読みで絶賛する者まで出る始末である。
「それでは次は私が……」
 さらさらっと達筆な文字でデルヴィーンが書いた文字は……。
「『緊縛一番』?」
「『緊褌一番』ですっ!」
 盛大に読み間違えるランティ。慌てたデルヴィーンが、顔を真っ赤にしながら訂正するのも仕方はないだろう。
「俺も……出来た、なぁ〜ん……」
 包帯でぐるぐる巻きになっているキリアが、上手く動かせない手で何とか書き初めを完成させる。書かれた文字は、

『四面楚歌』

「モップ怖いなぁん、桶怖いなぁん」
 頭を抱えぶるぶると震え始めるキリア。果てしなく自業自得であり、女性陣の目も未だ冷ややかである。
 そしてそんな彼を放っておいて、全員声を合わせて言うのだった。

「「「明けまして、おめでとうございます!」」」


マスター:原人 紹介ページ
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わからない
参加者:17人
作成日:2009/01/06
得票数:ほのぼの20 
冒険結果:成功!
重傷者:なぁ〜んですなぁ〜ん・キリア(a71164)  舞散夜桜・クロード(a75115) 
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
 
玄天卿・クリス(a73696)  2011年11月11日 02時  通報
はじめての旅団シナリオ。

大人数でわいわいやるのがとても楽しかったなあ。
……ちなみにこの直前にデスフォーナ的な変態と戦っていたり。
それもあってこの時間は本当に癒し、うん、癒しだったよホント。

シュヴァルツェ・キリア(a71164)  2010年06月26日 03時  通報
四苦八苦とお出掛けの企画を考えてみた分、自分も他の皆も楽しめたようで良かったなぁ〜ん♪
……でも『四面楚歌』なぁ〜ん♪