全ての人に愛の手を〜茶葉石鹸を求めて〜



   


<オープニング>


 とある山間部の小さな村。
 名も無きその村は、茶畑と温泉のみが名物という、あまり奇抜な特徴は無い村だった。
 しかし、そんな村にも転機となるかもしれない時が訪れた。
 この村に光纏う白金の刃・プラチナ(a41265)達が訪れるのも、その辺りに理由があるのだった。

 ……事の始まりは、数日前に遡る。
「茶葉石鹸?」
 プラチナから話を聞いた天壌の劫火・アラストール(a26295)と真っ赤なお伽話・デスペラード(a27803)は、疑問符を浮かべた顔をする。
 此処はプラチナの家。小雨が豪雨に変わり濡れ鼠となった2人を招き入れた所だった。
 偶然近くに立ち寄ったらしいが……この豪雨に見舞われたのは2人にとっては不運だっただろう。
 物珍しげに部屋を見回すアラストールと色々無防備過ぎるデスペラード(プラチナ談)にタオルを渡すプラチナ。
 水も滴るイイ女な2人の中にあって武装したプラチナは少し浮いているように見えるが、武装しているのにはそれなりの理由がある。

 茶葉石鹸。それが、これからプラチナが向かう村の新たな名産になるはずだったものだ。
 茶葉を使った石鹸を作るには、当然茶葉が必要となるのだが……村の茶畑に最近、モンスターがうろついているのだという。
 そこでプラチナが退治に向かう事にしたのだが……。
「分かりました。そういう事でしたらご協力しましょう」
 2人の協力も取り付け、更に数人の協力も得る事が出来た。
 こうして村の平和を守るため、プラチナ達は山間部の村へと出発する。
 プラチナ自身がスコーンと忘れていた、とある約束がある事も知らずに。


マスターからのコメントを見る

参加者
風舞歌・リオル(a17014)
聖骸探索者・ルミリア(a18506)
葬姫・ツバキ(a20015)
気紛れな魔女・シラユキ(a24719)
聖剣の王・アラストール(a26295)
真っ赤なお伽話・デスペラード(a27803)
城壁の姫騎士・サクラコ(a32659)
光纏う白金の刃・プラチナ(a41265)


<リプレイ>

「ようこそいらっしゃいました、メイドさ……もとい冒険者様!」
「メイドさ……もとい冒険者様達が来てくださったからには、もう安心だ!」
 大歓声と大歓迎を受けた光纏う白金の刃・プラチナ(a41265)達は、思わず一歩下がる。
 幾ら生活に直結しているといっても、いささか歓迎のしすぎではないだろうか?
 やがて現れた村長は風舞歌・リオル(a17014)達を見ると、満足そうに頷く。
「モンスターが現れた時はどうなる事かと思いましたが……冒険者さ……もといメイドさまをお呼びできて光栄ですじゃ。これで村の名物話が1つ増える……ありがたやありがたや」
「なんで冒険者って言ってからメイドに言いなおすんだ……」
「はて、何の事やら。この老体にはサッパリですわい」
「すみません、冒険……もといメイド様。うちの長老、時々言い間違えちゃうんですよ」
「お前も今……」
 気紛れな魔女・シラユキ(a24719)と真っ赤なお伽話・デスペラード(a27803)のツッコミに、聞こえないフリをする長老と村人A。
 あさっての方向を向きながら天気の話をしている辺り、確信犯だ。
「それじゃ、ご案内しますねメイド様」
「……もう言いなおそうともしてませんわね」
 光の海に眠れるもの・ルミリア(a18506)のツッコミもあえなくスルーされ。
 案内する男の後ろにルミリア達と長老、続いて村人達がゾロゾロついてくる。
 安全な所で高見のメイド見物と洒落込むつもりなのだろう。
 今のところ、メイドっぽい装備のプラチナとシラユキ、サクラコに向いているようだが……。
 看護服のルミリアにも少々視線が向いているが、なんか別のアレな視線の気もする。
 長老のステップが少々不気味だが、あえてシラユキは見ないふりをする。
 そして、見ないふりをした先で。
「ぶっ!?」
 村人達が、スキップをしていた。
「そんなにメイドが好きなのかな……」
「か、かもしれません……」
 リオルの呟きに、城壁の姫騎士・サクラコ(a32659)は思わず冷や汗を流す。
 これは、色々な意味でごまかしが効くのだろうか?
 思わず仲間達を見ると、シラユキのメイドっ娘図鑑を覗いているデスペラードと天壌の劫火・アラストール(a26295)の姿。
「一体全体、具体的にどの様な事をすれば良いのですかっ!?」
「待て、なになに、メイドの仕事については何処に書いてあるんだ……」
 そこに、サクラコも加わって。
「えっと……私、お手伝いとかした事無いですよ〜」
「うーむ、しかし妾は一体いつの間にあの様な約束まで結んだのじゃったか」
 ルミリアやプラチナ、更には葬姫・ツバキ(a20015)まで加わって1つの図鑑を覗き見る。
 ……やがて、彼女達はそれぞれのメイド像を思い描き。
「……よし。完璧だ」
 茶畑を何やらゆっくりと移動中のメイド型モンスターの前に到着する。
 すでに村人達は高い所に移動しており、安全な所から高見の見物を始めている。
 私のメイド的成長、しかと見せ付けてくれる、とはこの時のデスぺラードの談。
 こうして、メイドモンスターVSメイド戦隊の戦いの幕が切って落とされる。
「それでは戦闘を開始いたしましょうか」
 誰よりも率先してメイドらしい言動のリオル(男)がそう告げると、冒険者達はそれぞれの場所に布陣する。
「武装侍女プラチナ参ります、どうぞお覚悟を」
 慇懃に一礼をするプラチナ。
「御奉仕……推奨!」
 何やら色々勘違いしてるっぽい名乗りをあげるアラストール。
「む!? 足元がスースーします! メイド服とはこの様な心もとない物なのですかっ!?」
 メイド服のスカートが心もとないかはさておいて、スカートを持ち上げるのは少し隙が多い。村人達からの角度だと、何も見えはしないが。
 そして、茶畑に響くハーモニカの音。
「ある時は傭兵、またある時は匿名少女……」
 茶畑を見下ろす小高い丘の上からハーモニカを吹きつつ現れるのはデスペラード。
「だが今だけは……」
 ばさりと脱ぎ捨てたマント。
 そして、サクラコの鎧聖降臨が発動する。
 その時にデスペラードの叫んだ言葉を、その場に居た誰もが永遠に忘れないだろう。
「めいどぷりずむぱわー・めいくあーっぷ!」
 着地のタイミングでミニスカメイド服に変化、そしてウインク。
「……流しのメイドだッ!」
 恐るべきインパクト。普段の彼女を知っているプラチナ達ですら、このギャップに口を開けて静止する。
 あれは本気で誰だろうと思いました、とは。彼女の戦友Aさんの言葉である。
「メイドプリズムパワー・メイクアップ!」
 続けてデスぺラードと同じようなミニスカメイド服とニーソックスの姿になるルミリアとサクラコ。
 ちなみにこの間、件のメイド型モンスターは彼女達の華麗なる変身をぼーっと見守っている。
「村長、あれってメイド様としてアリなんですか!?」
 村人Bの言葉を聞きつけたシラユキが、すかさずフォローを入れる。
「一言でメイドと言っても沢山種類があるんだ」
 やがて村長は、静かに宣言する。
「うむ……アリじゃ!」
 ちなみに、自前のメイド服のシラユキ以外は鎧聖降臨の効果によってミニスカメイド服とニーソックスという姿であるのだが。
 ……あえて、誰もつっこまない。
 リオル(19歳・男性)もミニスカメイド服に二ーソックスという事に。
 ちなみに、村長的にはアリらしいので安心である。
「メイドプロテクション!」
「メイド・オーバードライブ!」
 ルミリアが護りの天使達を、アラストールがウェポン・オーバードライブを発動する。
 何がどうメイドなのか不明だが、ひょっとしたらメイドとつけばいいと思っているのかもしれない。
 ちなみに村長的にはアリだそうだ。
 ちなみに、デスペラードもウェポン・オーバードライブを使用していたが……レクイエムの外装はフリルやリボンで彩られたファンシー仕様。
 心が折れそうな表情をしているが、そのプライドの気持ちのいい捨てっぷりに村人達は大歓声を送る。
「ふむ。貴女のその行動。メイドとしてはなんて品の無い……」
 だが、対して優雅にくるりと一回転しながら大挑発を繰り出すリオル(19歳男性・ミニスカメイド)も中々堂に入った振る舞いっぷりだ。
 女装には慣れてる(本人談)というのも、あながち冗談ではなさそうだが……。
 一方、シラユキは手に持ったお嬢様の帚をくるくると回しつつ優雅な動きでデモニックフレイムを放つ。
 デモニックフレイムはメイドさんっぽくないような気がするとの声が聞こえてくるが、シラユキは慌てない。
「一言でメイドと言っても沢山種類があるんだ」
 実に便利な言葉で逃げを図る。どうせ分からないだろうと思っている辺り、実に策士だが……それだけではない。
 シラユキに言わせれば、彼等は分かっていないのだ。
 メイドと言うのは、何もキャピキャピとした媚びた可愛さを振りまくものじゃない。
 柔らかな物腰で、落ち着きの有る大人な魅力を醸し出すものなのだと考えている。
 彼女の他とは一線を画した動きは、まさにそれを体現していたと言えよう。
 無論、ここまで黙って見ている程メイドモンスターもぼけっとしてはいない。
 素早い動きでハタキを振るうと、衝撃波がプラチナに向かって襲いかかる。
「残念ながら私には通じませんので悪しからず」
 プラチナムガードを構えたプラチナが、それを何とか耐えきる。
 見かけによらず実に重い攻撃だが、問題は無い。
 そして何より。
 自分達よりキャラの立っていないメイドモンスターに負けるわけにはいかない。
「メイドブリザード!」
「お逝きなさい! デストロイメイド!」
 サクラコの氷河衝とリオルのデストロイブレードがコンビネーションで炸裂する。
 ところでどうでもいい話だが、さすがにデストロイメイドというネーミングはどうだろう、とは村人Cの談である。
 そう、ツバキ達のメイドっぷりたるや相当なものである。
 例えば今、癒しの水滴をメイドっぽく演出する為に「紅茶をこぼす」というドジっ娘メイドな演出を取り入れたルミリア。
 癒しの水滴を1回使う為にここまで無駄な演出をする事は、目の前のメイドモンスターには不可能だ。
 そして、合体技すら導入している。メイドさんに合体技があるのかはさておいてだ。
「アラストール!」
「デスペラード!」
 2人は互いに名前を呼び合うと、互いに並び立つようにして布陣する。
 そう、それはアラストールとデスペラードの2人のメイドが力を合わせて放つメイド奥儀(村長談)。
「だぶる」
「メイド」
『サンダー!!』
 息もぴったりに放たれたサンダークラッシュ……もといダブルメイドサンダーは、メイドモンスターを撃ち貫く。
 よろめくメイドモンスターを見て、シラユキは好機を感じ取る。
「今なら……倒せるな」
「よし……皆さん、トドメです!」
 プラチナの声に従い、メイド達は次々と武器を構えなおす。
 そう、最大の合体技を放つ瞬間が近づいているのだ。
 それは3人以上のメイドが力を合わせて放つ究極奥義。
 コンビネーション攻撃でそれぞれのアビリティを解き放つ時、そこに彼女達の最大威力の攻撃が実現するのだ。その名も……。
『メイド・えくすくらめいしょん!』
 叩き込まれる攻撃に、メイドモンスターが耐えられるはずもなく。
 こうして、大した見せ場も無くメイドモンスターは倒れ……茶畑の平和は守られたのだった。
 ……そして、それからしばらくの後。茶葉石鹸を大満足の村人達から受け取ったプラチナ達は、温泉にやってきていた。
 温泉を楽しむ仲間達を見て、サクラコはなんと言うちびっ子軍団なのか、などと結構失礼かつ自虐的な事を考えて。
 シラユキの細身な身体に似合わぬ1点に視線が集中する。
 不公平だとか色々考えているサクラコの視線を感じて、何となくシラユキも恥ずかしくなってくる。
 年齢の差があるから仕方ないんじゃないかと思っても、視線はやはり恥ずかしいものだ。
「お背中お流ししましょうか」
 中々メイド口調のぬけないプラチナが、泡まみれのアラストールの背中を流す。
 ちなみにアラストールの視線は、シラユキの脂肪(アラストール談・主に胸部のアレの事)に釘付けだ。
「……そう言えば、何故にメイド?」
 何故かといえば、プラチナが約束してしまったからであるが。
「ああ……長い長い夢を見ていたようだ」
 やはりシラユキの某部分に視線を送っていたデスぺラードが、そんな事を呟く。
 勿論、現実だ。夢などでは断じてないし、彼女の活躍を村人達は忘れまい。
 だが……そう、今は、今だけは。
「……ふみ、これが茶葉石鹸ですか〜。いい香りですわね〜」
 ルミリアのように、茶葉石鹸をゆったりと楽しんで、全てを忘れるといい。
 1人で温泉に入っているリオル(元ミニスカメイド・男性)は、色々忘れる事もできず、楽しげな此方の声を聞いているだけなのだから……この瞬間は、彼女達は幸せだ。
 例え、この後村人達のメイド様歓迎パーティに巻き込まれて、新名物「メイド様冒険譚」を聞かされる事になったとしても。
 例え、この後。今日この日の事を思い出して悶絶したとしても。
 ……そう、今この瞬間だけは。
 プラチナ達は、全てを忘れて茶葉石鹸と温泉を楽しんでいた。
 ああ、メイドの記憶よ永遠に……とは、この後彼女達が聞かされる村長の言葉だが……それはまた、別の話である。


マスター:じぇい 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:8人
作成日:2009/01/18
得票数:コメディ14 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。