占い師マデリンの超絶・初夢占い



<オープニング>


 色々な事件や戦いがあった1年が終わり、今年もまた新しい年が始まった。今年もおそらくは抱えきれない程の事件と、越えられないのではないかと思う程の試練が待っているのだろう。冒険者の酒場には各地から助けを求める声が寄せられ、歴戦の勇者から新参の者まで、相談をしては各地に散っていく。

「今年も夢占いの時期が来たのですわ」
 エルフの霊査士・マデリン(a90181)は常日頃とは違う楽しげな様子で言った。テーブルの上には水晶の大きな球を置き、無駄に燭台まで準備している。ご存じない方もいるだろうが、マデリンは占いに凝っていた。誕生日占いから、好きな武器、手相、リンゴの皮の形、紅茶の飲み残しの形、宝石占い……ありとあらゆる占いが好きであったが、特に夢占いは飽きることなく好きであり続けていた。そこで2年前から冒険者達の初夢の内容を聞き、それが何を意味するのか読み解いていた。そしてとうとう今年もその時期がやってきたのだ。
「毎年わたくしの夢占いは好評で、人生の道しるべを得たようだと感謝されておりますのよ。ですから今年も気合いをいれて皆様の夢占いを致しますわ」
 本当に嬉しそうにマデリンは言う。直接的に誰かに何かをする……それがとても嬉しいのだろう。
「今年は報酬が欲しいなどとケチな事は言いませんわ。悩める子山羊さん達をわたくしがなんとかして差し上げます。安心して初夢を披露なさいませ」
 ちなみに悪夢であった場合でも、そこそこ良い夢であっても、後日マデリンからの開運の品が漏れることなく届けられる。冒険者の酒場の一角で、マデリンはワクワクしながら夢占いにやってくる者を待っていた。


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参加者
NPC:エルフの霊査士・マデリン(a90181)



<リプレイ>

●今年の吉凶
 さっさく最初の占い希望者が現れると、エルフの霊査士・マデリン(a90181)は大仰に腕を広げ降りそそぐ木漏れ日・スタイン(a04948)を出迎えた。
「現状に対して不安を感じていらっしゃるのかもしれませんわね。積極的に行動出来ないご自分への自責があるのかも……けれどこれから全く新しい世界へと環境が変わる可能性があります」
「なんだか心を見透かされてしまうみたいで恥ずかしいですね」
 スタインは差し入れの飴湯とクッキーを置いていった。

 次に部屋を訪れたのは樹霊・シフィル(a64372)であった。シフィルも手みやげにと菓子を持参でやってきた。
「吉凶どちらにもとれる夢ですわ。樹海と併せて考えますと、少し心配な夢ですわ。運気や健康状態の低迷を暗示して、何かを求めているのかもしれませんわ。えぇ、これはわたくしの開運の品が必要な夢ですわ」
「それで大丈夫なのでしょうか? なんだかかえって心配ですわ」
 自信満々のマデリンの様子にシフィルは小さくつぶやいた。

 青碧の百合姫・ユリカ(a47596)が今年も夢の内容を語る。
「今回の夢は、とても美しくなりたいと思った私の姿に出会ったような感じですわ」
 ユリカの話は今ひとつ理解しがたい。自分そっくりな美しい人を夢の中で見た、と解釈してマデリンは考える。
「そうですわね。夢で見たのは理想の自分、人にこう見られたいと願い自分かもしれませんわ。それとも、もう一人自分が必要となるような困った状況にいらっしゃいます?」

「面妖な夢を見た。読み解けるものならば是非教えて欲しい」
 ピースメーカー・ナサローク(a58851)は夢の内容をマデリンに話す。
「今、困難な状況にいらっしゃるのでしょうか? けれど、この先には状況が打開されて好転する兆しがあるようですわ」
「なるほど、全くの悪夢ではないということか」
「えぇ。今は運気も下降気味ですけれど、程なく困難は解消されると思いますわ」

「マデリンさんにお菓子持ってきたんです」
 嬉しそうに部屋へ入ってきた泡箱・キヤカ(a37593)は手にした菓子をマデリンへと渡した。
「沢山降る雪は幸運を嬉しい知らせや幸運を運んでくれるものですわ。きっとキヤカさんにも素敵な出来事が起こるのだろうと思います」
「よかった〜で、雪だるまになってしまうのはどうなんでしょう?」
「そうですわねぇ、少し停滞してしまうかもしれませんわ。お散歩とか身体を動かしてみるのも良いかもしれません」

「あ、あの……とりあえずケーキを……」
 部屋を訪れた氷剣探求者・ニール(a66528)は昨年の事もあってか山の様にケーキを持参してきていた。ひとしきり昨年の事で笑った後、本題である夢の内容へと移る。
「地下の夢はニールさんが秘めた過去の記憶……そこへと至るのは自分自身を知ろうとすること……かもしれませんわ。下る螺旋階段は物事の悪化も暗示しておりますけれど、出口がありますから、何か新しい展開へと変化していくのかもしれませんわ」

「……あー、なんと言いますか。失礼ながら普段は夢の内容なんてまったく気にも止めていないんですが、ちょっと今回は内容があまりにアレなんで……」
 不偏狂気・メルチェ(a75551)は少し言いにくそうにしながらも夢の内容を告げた。
「砂漠の夢は今メルチェさんが困難で困った状況にいることを暗示していますわね。踊る夢は恋愛運が良くなる兆し……恋しても実らない、愛しても愛されない方との辛い恋をなさっていらっしゃいます?」

 初めまして……と淑やかに一礼した女王様志望・メイ(a75704)は優雅な所作で席につくとすぐに夢の内容を話し始めた。
「それは……自立心の表れですわ。メイさんはとてもしっかりとしておいでなのですわね。誰にも頼らずに一人前の大人としてちゃんとしていたいなんて……」
「そ、そうじゃなくて、実現しそう?」
「え? 実現?」
 マデリンは目を丸くした。

 差し入れのクッキーを手渡した後、意を決した様に瑠璃色の魂抱く大地の守護者・ペルレ(a48825)は語り出した。
「待つだけでは駄目の様ですわ。そしてそれはペルレさんが一番わかっていらっしゃるのですわね。ですから夢となって表れたのですわ」
「え……そうなんですか?」
「でも、今が変化の時かもしれません。積極的に行動することが幸せへの道だとわたくしは思いますわ」

 次に部屋へと入って来たのは甲冑姿のヒトの重騎士だった。その人は冒険者らしい夢の内容をマデリンへと語る。
「そのドラゴンはきっとあなたご自身なのだろうと思いますわ。心の奥に他人から強く武く見られたいと思う思いがあるのかもしれませんわ。けれど誰から死んでしまったりする夢は決して悪夢ではありません。何かを得る……そんな兆しがあるかもしれませんのよ」

「どう思うかい?」
 夢の内容を語ると無影の医術師・レヴァン(a77489)はごく真面目な口調でマデリンに意見を求めた。
「少し精神的や肉体的に疲れがたまっているのかもしれませんわ。それで不安定なのかもしれません。向上心は素晴らしいと思うのですけれど、時々は自分をいたわって差し上げて欲しいのですわ」
「なるほど……何事もほどほどにと言う事か」
 レヴァンは淡い笑みを浮かべた。

 チョコレートケーキを持参してきたその人は『NT』と名乗った。初夢の内容を聞くとマデリンはゆっくりと首を傾げる。
「穏やかな生活を求めているのに、心も体も力を失い不規則で不摂生な状態となっていませんかしら? ただ願うだけでは未来をつかみ取ることは出来ませんわ。元気になってくださいませ。そうすればきっと事態は好転してゆくと思いますのよ」

 水天一碧・ロゼッタ(a39418)が持参してきたのは一口サイズのフルーツタルトだった。
「ロゼッタさんってその方をずっと大好きでいらっしゃるのね」
「あ、あったりまえ! じゃん」
 最後のほうは声が小さい。
「でも今のままではいけませんわ。何かが変わる……変わらなくてはいけないのだと思いますの。度胸と愛嬌で進んでいって欲しいのですわ」

 新年、体調の悪かったという悠久の鼓動・イザ(a76422)が見た夢は胸の苦しくなるような辛い夢だった。
「どうぞよしなに……マデリン様」
 語り終わったイザは丁寧にマデリンへと会釈をする。
「その方との別離を心配していらっしゃるのかしら。イザさんはその方を本当に大切に思っていらっしゃるのですわね。今、もしかしたらその方とうまくいっていないかもしれませんが、きっと事態は好転いたします」

「初めましてマデリン。是非とも占ってくれ」
 黒い装甲を持つタロス、天穿つ黒の斬撃・アトラータ(a77405)は目をキラキラさせながら初夢の内容を語り始めた。
「困難な状態であなたはとても大切なモノを失うのではないか、失ってしまったのではないかと心配していらっしゃるのでしょうか? でもそれは杞憂ですわ。きっとあなたは多くの困難の末に大切なモノを手になさるでしょう。ですから……大丈夫ですわ」

「……何でまた拙者の顔を見ようとしないのでござるか」
 依頼人の顔を正視しない占者にしっぽふわふわ・イツキ(a33018)はとまどった様につぶやく。
「そんなことありませんのよ。充足した幸せな生活を望むのに、現実では必ずしもそうではないことがイツキさんにとって辛く、苦しいことなのですわね。そしてそれを表に出さずご自分でなんとかしようとしておいでですけれど、少し自虐が過ぎると思いますわ」

「やっぱあった方が冴えるンじゃないかい? マデリン先生」
 斜陽支えし鋼盾・ジェフリー(a60090)は持参したマロングラッセをマデリンへと渡す。その菓子を食べながら語ったジェフリーにマデリンは占いの結果を告げる。
「長く苦しんでいらっしゃるのかもしれませんが、それは決して悪い夢ではありませんのよ」
「あんなに鮮明でもかい?」
「えぇ、物事が好転する可能性を示唆する良い夢ですわ。何かを得る……そんな夢なのですわ」

 鈍色銀糸・カルア(a28603)の語る夢は大層『けったい』な夢であった。
「……解らん。俺の精神構造が、良く解らん……」
「なにか……不安定な部分が沢山おありなのですわね。立ち入って欲しくない事、秘密が沢山あって、そのことが心の負担となっているのですわ。もうちょっと……もう少しすると事態が好転するかもしれません。やる気と根性はみなぎっていらっしゃるみたいですから」
「……なんかそれも嫌な感じだな」
 カルアはぼそっとつぶやいた。

 暖かい菓子を持参したその人は不安そうに夢の内容を語った。
「誰かに愛されたい。けれどあなたは不安なのですわ。愛されること、愛すること、互いに愛し続けることを信じられない。強く願えば得られないときに大きな痛手となる」
「臆病だって事ですか?」
「そうかもしれません。今はそれでもいいと思いますの。いつか、そう思えた時になったら、もう1歩ご自分から前に進んでみたらいいと思いますわ」

「私には以前から気になる夢があったんです」
 月夜に咲く希望の花・エリザベート(a24594)はそう告げた。
「心の中に漠然とした不安があるのではないかと思いますわ。けれど、掴まってしまわないならばその夢は悪夢とは言えないところがありますの。為すべき事を為す事が出来る未来を示唆する夢かもしれませんのよ。あまり深刻に考えず……」

 銀の髪の少女にマデリンは話し始めた。
「ご自分、ご自分を取り巻く環境に不満を感じてはいらっしゃいませんか? 失敗を恐れる心は誰に胸の中にもありますわ。誰もあなたを責めませんし嫌いにはなりませんわ。あなたの理想はとても素晴らしく高いのかもしれませんけれど、現実のご自分にも優しくしてあげて下さいませ」

「ええと、お正月前後はちょうど風邪引いて寝込んでたんだ」
 だからこんな夢を見たのかもしれない……と、天藍閃耀・リオネル(a12301)は言う。
「今のリオネルさんが長い間とても大変で困難な状態にある事を示唆しています。今のご自分には不安や心配事があるのかもしれませんが、この状態はもう長くは続かないと思います。少しずつ運が開け、物事が好転する事でしょう」
「なんだかわからないけど、凄いなぁ……やっぱり占ってもらってよかったよ」

「占いは何でも好きだけど、初夢で占うっていうのは初めてです」
 凛鷲侯女・ハルジオン(a62548)はさっそく話し出した。
「あなたは勇敢で好奇心旺盛な……あなたの心は本当に冒険者らしい冒険者さんですわ。夢の中のあなたは理想の自分、こうでありたい自分の姿……求めるあなたらしさですわ。でも、大変な時はお休みして良いのです……それが夢の伝言ですわ」

「宜しくお願いします」
 受け取りきれない好意に溺れて・ローライン(a60213)は丁寧に挨拶をしてテーブルにつき、お土産のアップルパイを差し出す。
「誰かに束縛されたり干渉される日常からの脱却、責任を持って自分で考えて行動する事への憧れを感じますわ。あなたがたどる道は暗く長く、その道が正しいかどうかはわかりません。戻ることもこのまま進むのも正しい道ですわ……これでよろしいかしら?」
「はい、ありがとうございました」

 その人は『ルネ』と名乗った。そして不吉な夢なのではないかと不安に思っていた初夢をマデリンに伝える。
「今、ルネさんには不安に思うこと、心配な事があると思います。今はまだ心の平安は遠くて、けれどその不安も成長するために必要な事柄なのですわ。心と体が不安定でまだ着実な成果は得られないかもしれませんが……」
「悪夢や不吉な夢というわけではないのですか?」
「えぇ……ご安心くださいませ」
 マデリンは笑ってうなずいた。

「えっと、こんにちはマデリン」
 顔を隠した花深月・ユディール(a49229)は席に座ってからもうつむいたきり顔をあげない。
「心の準備や身の回りの整理が必要……なのでしょうか? ちょっと時間がかかったり、紆余曲折があるかもしれませんけれど、いずれユディールさんの周囲は新しい状況や状態に変化してゆくと思いますわ」
「なぁ、夢は願望の現れって本当かな」
「そういう場合もありますわ」

「昨年はありがとうございました。マデリンさんにも良い夢が訪れますように……」
 優しい懐かしき歌・サリエット(a51460)の言葉にマデリンは礼を言う。
「心の安寧、落ち着ける場所を探しておいでなのに、ずっと不安を感じていらっしゃるように感じられますわ。休みたい、安息を得たいと願っておいでなのに望む場所が手に入らない……」
「我ながら、なんだか切ない夢ですね」
 サリエットは苦笑しながらつぶやく。

「どうかよろしくお願いします」
 夢占いを体験してみたかった護りの蒼き風・アスティア(a24175)は微笑んだ。
「幸せで安定した揺るぎない生活……冒険者の身ではなかなか手に入れることの出来ない幸福をアスティアさんは心の奥で求めていらっしゃるのかしら? そんな幸せを望んでもよろしいのです」
「私が……結婚を?」
 本当に驚いた様子でアスティアは言った。
「夢を読み解くとそうなりますけれど、夢に従うこともありませんわ」

「とても本格的ですね」
 部屋に入るなり桜蒼灯の斎女・オウカ(a05357)はその内装にびっくりした。マデリンはオウカに席をすすめる。
「静かな孤独と不安を感じますわ。小さな不安は消えることなく降り積もり今は大きな心の揺れになっていますわ。もう少し、ご自分の心を廻りの方々に見せてしまってよろしいのではないかと思いますわ」
「そう……そうかもしれません。でも……」
 自分を変えるのは難しい。オウカは目を伏せる。

「お裾分けなのです」
 だから作れるわけではないと言いつつ月のラメント・レム(a35189)はアップルパイを持参してきた。
「仲間と呼べる方々と苦難に立ち向かう覚悟をしてしまいましたのね。その道を振り向かずに進めば……いつしか道はもっと大きく開けるのでしょう」
「良い夢、なのでしょうか?」
「悪い夢ではありませんわ。レムさんは心の中でもう決心してしま……ってなんだか前にも同じような事があった様な気がしますけど、きっとただの既視感でしょうね」

 最後の1人が入ってきた。真紅の風の自由戦士・ラムナ(a41962)だ。
「面白そうなんで来てみたぜ」
 ラムナは初夢の内容を語り出す。
「ラムナさんはとても大きな不安や心配事を抱えていらっしゃいますのね。それはラムナさんだけの試練ですから、誰も手を差し伸べることも、変わって背負うことも出来ません。けれど救いの手はいつもラムナさんのすぐ側にあるのです。やがて事態は変化して不安も迷いも消え去り、運気は好転することでしょう。ですから、どうかご安心下さいね」

 この日の占い結果を元に、開運の品は後日届けられる事となった。


マスター:蒼紅深 紹介ページ
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ガラクタ製作者・ルーン(a49313)  2011年11月22日 22時  通報
樹のドラゴンを夢見るなんて……
未来には羽ばたけているかどうかは分かりませんけど、
僕なりには頑張って生きて、前向きに頑張れましたよー。
きっと、何よりも幸福でした。