≪飛天大王ガルベリオン≫驕れるものを倒せ



<オープニング>


 残りのドラゴンは二体、それにドラゴンが囲うドラグナーガールがそれぞれの場所に何体かづつ。
 紫猫の霊査士・アムネリア(a90272)は現状の三竦み状態を如何するか護衛士たちに問いかけ、彼等が出した答えは……ドラゴンたちを順番に倒すという選択だった。
「では、此方の班にはドラグナーガールを倒しに行って貰おう」
 アムネリアは藍色のドラゴン……ヒューブリルを倒しに行く班に説明を終えると、続いてヒューブリルが囲っているドラグナーガールに関する説明を始める。
「ドラグナーガールはヒューブリルよりも内側……森の中に屯しているようだ」
 地面に簡単な地図を書きながらアムネリアは説明する。道順としてはガルベリオンの中央から真っ直ぐ右前足に向かって進むとドラグナーガールが居る場所へ辿り着くようだ。
「今回相手にしてもらうドラグナーガールは五体。それぞれが三体づつ巨大ウサギ怪獣を護衛につけているようだ」
 ウサギと聞くと何となく可愛くて弱々しい感じがするのだが……、
「巨大ウサギ怪獣は、前歯で噛み付いてきたり、大きくジャンプして圧し掛かって相手の動きを封じたりする」
 発達した前歯はとんでもない凶器となり、巨大な自重を支えて飛び上がるジャンプ力は恐るべきものだ。決して油断は出来ないだろう。
「ドラグナーガールは此方からの奇襲があるとは夢にも思っていない……確実に先手を取れるだろう」
 つまり先手を取れるこの状況を如何やって上手く使うかが、完全なる勝利への鍵となるということだ。
 先手をとれるといっても何でもできると言う訳ではないが……確実に、そして絶対的に有利な方法を模索する必要があるだろう。
「くれぐれも気を抜かないように……それじゃ、頑張って」
 そういうとアムネリアは護衛士たちを見送った。


マスター:八幡 紹介ページ
 八幡です。
 舞台は昼間の森の中。
 
 ドラグナーガールを全て倒せば依頼成功となります。
 倒せなかった場合はどうなるか解りませんので、頑張ってください。
 
 詳しい情報はオープニングにありますのでご確認ください。
 
 それでは、皆様の参加をお待ちしております。

参加者
蒼氷の忍匠・パーク(a04979)
そよ風が草原をなでるように・カヅチ(a10536)
彷徨猟兵・ザルフィン(a12274)
空気は読まない・レジィ(a18041)
桜舞彩凛・イスズ(a27789)
輪廻の翼・フィード(a35267)
弓使い・ユリア(a41874)
空白の大空・マイシャ(a46800)
星槎の航路・ウサギ(a47579)
ノソ・リン(a50852)


<リプレイ>

 木々の合間から垣間見える空はとても青く。吹き抜ける風は澄んでいて、肺に入れると心地が良い。
 此処はガルベリオンの背の上、周りに居るもの全てが敵になる可能性があるとしても……今、この一瞬だけは平和そのものに見えた。

 一瞬そのような事を思った、銀花小花・リン(a50852)は足元に何かおかしなものが無いか? 罠などは無いか? と警戒しながら森の中を歩く。アムネリアから説明された通りの道を行けばまず間違いないとは思うが、警戒するに越した事は無い。
「ついに決戦スタート! こんな所でつまづいちゃいられないから、気合入れていかないとね!」
 そんなリンの様子を見ながら、蒼氷の忍匠・パーク(a04979)は自分に気合を入れなおすように両頬をぴしぴしとはたく。
「連戦は必至ですか。厳しいですが最善の手を取ればいいだけです」
 こんなところで躓けないとはつまり、確実な次を予見されているからに他ならない。そよ風が草原をなでるように・カヅチ(a10536)はパークの無表情に頷くとガルベリオンの左前足の方へ視線を向ける。
「次の為にも、全員無傷で戻らないといけませんね」
 カヅチと同じ方向に一瞬目を向け、紅染狂桜・イスズ(a27789)も頷いた。此処を余裕で乗り切って次のドラゴンとも万全の体勢で挑めるようにすれば良いのだ。その為には確実に、全力で叩き潰せば良い……と、ここまで考えてカヅチとイスズは顔を見合わせる……まぁ、つまりは何時も通り頑張ればよいのだ。何も難しい事ではない。
「ワイルドファイアを血に染めて面白おかしくなんて、お天道様が許しても俺が許さない」
 見つめ合ってるカヅチとイスズから視線を空のお天道様へ……今は真っ黒なお天道様が輝くそれへ向けると、真夏の蒼穹・フィード(a35267)は拳を握る。あのお天道様なら許すかもしれないが、結局フィードが許さないから問題ない。
「うんうん、ワイルドファイアの平和のためにも、やつらは一体も逃がさない心意気で!」
 確実に、逃がさず仕留めないと、と続けるフィードに、空に響く幻奏・レジィ(a18041)は大きく頷いた。
 前回のドラグナーガール戦では此方が逃げる羽目になってしまったが、今回は最初から全力で倒す気で行くのだ、そうそう失敗はしないだろう。むしろ、失敗は許されない。
「目指すは完勝! 頑張るぞ!」
「よし、がんばるぞー!」
 レジィと同じくフィードの言葉に頷いていたパークが右手を空へ突き上げると、それにあわせてレジィも右手を突き上げた。
「ええ、何としても無傷で完遂しましょう!」
 そんなレジィとパークと同じように、二振りの剣・マイシャ(a46800)は気合を込めて右手をグッと握り締める……怪獣を利用して戦う事も、命を弄ぶその願望も全部此処で終わりにしてくれようと、マイシャは強く思うのだった。

 森の中を進む。
 リンとマイシャは足元や、近くの動物が自分たちのほうを伺ってないか? などを注意深く観察しながら進む。しかし、特に変わった様子は無く……アムネリアが言っていた確実に先手を取れるという言葉に嘘は無いようだ。
 そうして暫く進んでゆくと、森の奥から話し声が聞こえてくる。
 リンとマイシャは、その声に頷き合うと仲間たちへ注意を呼びかけるように手で合図を送る。一向は身を低くし、より一層慎重にその声の元へと歩みを進める……。
 声が徐々に大きくなり、話の内容が聞き取れるようになってきた。
「フォルジーグがやられたみたいよ」
 ウサギに背中を預け、完全に力の抜けた格好でドラグナーガールたちは雑談しているようだ。
「あんな間抜けな人たちに負けちゃうなんて」
「フォルジーグもそうとうまぬけよね」
 会話の内容から察するに、そこに居るドラグナーガールの中に、前回レジィたちに痛い目を見させたドラグナーガールが混じっているようだ……見た目が全く同じだから解らないけど。
「もしかしたら調子に乗って此処にも人が来るかも?」
「まさか、そんな物好きないでしょう」
 そう言うとドラグナーガールたちは笑いあう。目は全く笑っていないのが怖いのだが。その間抜けな人……つまりはマイシャたちが近くに来ているとも知らずにドラグナーガールたちは暢気なものだ、間抜け呼ばわりされたマイシャの表情は強張っているけれども。
「でも、あれ傑作だったわ。付させてるとも知らずに――」
(「今です!」)
 そしてドラグナーガールの一人がさも面白そうに、話し始めたときマイシャたちの頭の中に、弓使い・ユリア(a41874)の声が響いた。

 声を合図にパークたちは一斉に動き始める。まずはパークが粘着性の高い糸ををドラグナーガールたちへ投げ込み、その多くの自由を奪い。ドラグナーガールたちが事態を認識する前に、攻撃を開始する。
「な!? べとべとするぅ!」
 粘着性の高い糸に絡まれ動けなくなったドラグナーガールを無視し、呆然と立ちすくむドラグナーガールへ向けてカヅチは舞大通連と名付けた蛮刀を掲げると、そこから神の裁きを連想させる電撃を放つ。電撃はウサギ怪獣の合間をすり抜けてドラグナーガールへ直撃し、ドラグナーガールは短く叫びをあげてよろめく。
 よろめくドラグナーガールへイスズが桜の花を模った水晶が嵌め込まれた両手杖から獅子、山羊、蛇の頭部を持つ黒い炎を放つと、三匹の獣がドラグナーガールへ食らい付き……腹のそこに響くかのような音を上げて爆発した。
 そして、爆発の中心に向かってフィードが蒼穹の翼と名付けた鋼糸を高速に降り抜き、不可視の衝撃波を生み出すと、衝撃波は爆煙とドラグナーガールを切り裂いて……ドラグナーガールは左右に半分ずつ分かれて地面に倒れた。
「……人なの!?」
 ようやく事態を把握しかけたドラグナーガールたちに、彷徨猟兵・ザルフィン(a12274)は問答無用で神の裁きを思わせる電撃を叩き込む。
「どうもー、間抜けな人でーす」
 クリスタルスタッフを掲げたレジィがニコヤカな声で言いながら、頭上に巨大な火球を練り上げる……火球は見る間に巨大になりミレナリィドールと融合して七色に輝くとザルフィンの電撃を受けたドラグナーガールへ飛んでゆく。
「ウナギ……じゃなかった。ウサギたちのターンなのですっ!」
 火球がドラグナーガールへぶつかり爆発するのと同時に、星槎の航路・ウサギ(a47579)は小さめだが鮮やかな黄色の剣と、刃先に向かって橙色が濃くなる剣を交互に素早く振り抜いて不可視の衝撃波を生み出し、ドラグナーガールの体を切り裂いた。
 そして、そのドラグナーガールへリンが自分の両腕に収束させた気を野獣のような叫びと共に放ち、マイシャが自らの気を練って作り出した刃を投げつけると……そのドラグナーガールも糸の切れた人形のように、地面へ崩れ落ちた。

 二体のドラグナーガールに操られていたウサギ怪獣は我を取り戻すと、それこそ飛ぶように逃げ出していった。
 ペインヴァイパーの力を得たパークの糸は中々とけず、残りのドラグナーガールたちもその身を封じられたままだ。奇襲は完全に成功したといえる。
「やっちゃいなさい!」
 だが油断は禁物だ。ドラグナーガールが命令を下すと、ドラグナーガールの周りに居たウサギ怪獣たちが襲い掛かってくる……といってもウサギ怪獣たちもパークの糸に絡まれ、動ける怪獣は少ないのだが。
 前歯をカチカチと鳴らしながら迫り来るウサギ怪獣をカヅチは大型盾を使って正面から受け止める、前歯が大型盾に当たり金属同士を叩き付け合うような音と、腕が痺れるほどの衝撃を受けるが耐え切れないほどではない。
「……あ」
 しかし、暫く目の前に居たウサギ怪獣が不意に離れたかと思うと、カヅチの頭に影が落ちて……ズドン! と言う音ともにカヅチの上にウサギ怪獣が落ちてきた。
 危ないといおうとしていたフィードは時既に遅しと思い直し、正面のウサギ怪獣に集中する。この前歯は恐ろしく切れが良いらしく、少し掠っただけで裂傷を受けたのだ……まともに受けてはたまらないだろう。
 このウサギ怪獣、見た目と違って可也強い……だが、ウサギ怪獣をまともに相手にする必要は無いのだ。そこに転がっている、ドラグナーガールさえ倒してしまえば戦う必要すらない。
「前とは、違うんだ!」
 そう、マイシャが言うように、前とは違い距離も十分に詰めてあり、確実な先手を取った。最早勝利は確実なものに見えるが、それでも冒険者たちは手を抜くことなく攻撃を再開した。

 ウサギが放った不可視の衝撃波が逃げ出そうとしていたドラグナーガールの足を切り裂き、体勢を崩したそこへザルフィンのクロスブーメランが宙を舞ってドラグナーガールの頭蓋を叩き割る。
「お、お願い。助けて下さい……」
 花瓶を落としたかのような音を立てて、大地へ赤い花を咲かせた同胞をみて勝ち目も逃げ道も無いと悟ったのか、最後に一体だけ残ったドラグナーガールは地面に両膝を付いて縋る様な目で訴えかけてくる。
 それを見た、ユリアはイスズと目を見合わせ。
「そうですね」
「生まれ変わったら、お友達になりましょう」
 イスズは迷わず三つの首を持つ黒い炎を放ち、ユリアは短い矢を次々と放ってドラグナーガールを葬り去ったのだった。

 ザルフィンたちは、念のため死んだ振りをしているドラグナーガールが居ないかを確認する。
「支配して争わせて……」
 作業を黙々とこなしていたユリアがポツリと呟く……食べるためや生きるためでは無い、自らの娯楽のために生命を弄ぶその行為が許せないと……そんなものをワイルドファイアには持ち込ませないと、その決意を形にするように言葉を紡ぐ。
 そんなユリアの言葉にフィードが頷く。あの、最初にドラグナーガールたちが現われた時から許せなかったのだ、怪獣たちは奴らの玩具じゃない。ワイルドファイアは奴らの悪ふざけの舞台ではないのだと。そしてそんな奴らにお仕置きをするまで、自分は絶対に倒れないのだと、フィードは思う。
「死んだ振りしてる、ドラグナーガールは無いみたいなのですっ」
 ユリアたちがそんな事を考えている間にウサギが作業を終わらせたようだ。
「それでは、帰りましょう」
 そして、ウサギの言葉に頷いたイスズがそう言うと、一向は帰路へと付いたのだった。

 【END】


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参加者:10人
作成日:2009/01/30
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冒険結果:成功!
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