宝地図屋グレッグ〜突撃カッコイイ遺跡〜



<オープニング>


 カッコイイダンジョンというものが存在するのだという。
 誰が何の目的の為に作ったものかは不明。
 だが、とにかくカッコイイ。
 カッコイイということ以外はほぼ不明だが、とりあえずカッコイイ。
 何がカッコイイのかは不明だが、とりあえずカッコイイ。
 カッコイイの定義も不明だが、カッコイイのは間違いない。
 カッコいい宝物が眠るという、その遺跡の近くに城壁の姫騎士・サクラコ(a32659)達は来ていた。
「カッコイイ遺跡にカッコイイオタカラを見つけ出しに行こうではありませんかっ!」
 サクラコの気合いたっぷりの激励に各々の返事を返す面々。
 実は「カッコイイ、遺跡」ではなくて「カッコイイ遺跡」というオチではないのか。
 そんな不安が超火炎合体スーパーファイヤー・セリア(a16819)の頭をよぎる。
 しかし、どちらにせよ「もうこの子はしょうがないなぁ」的な生暖かい……もといカッコイイ優しさでついてきたのだ。
 どんなオチでもある程度の覚悟は出来ている。
 だが何にせよ、何分古い遺跡だ。
 カッコイイ通路が崩れている事もあるだろうし……。
 カッコイイ天井にも、脆くなっている所があるかもしれない。
 命に危険をもたらす程のものなど存在しないが、カッコイイ罠の類があったりするかもしれない。
 それに、地図に書かれた情報によればカッコイイモンスターが2匹いるかもしれないとの事。
 通路は地図によれば3×3mの狭い空間。大部屋らしきものがない所を見ると……挟まれたら、実にカッコイイピンチに陥るかもしれない。
 カッコイイ遺跡のカッコイイ面々によるカッコイイ探索。
 そのカッコイイ結末がどうなるかは……今は、誰も知らない。


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参加者
夜明けの風ききながら・セリア(a16819)
大天使長・ホカゲ(a18714)
風薫る桜の精・ケラソス(a21325)
城壁の姫騎士・サクラコ(a32659)
白薔薇姫・フェア(a34636)
倖せ空色・ハーシェル(a52972)
銀翼鷹・ハルアキ(a54057)
不羈の剣・ドライザム(a67714)


<リプレイ>

「カッコイイ遺跡かぁ……カッコイイモンスターがいたり、カッコイイ罠があるかも……って、なんて不審な」
 そんな出発前の超火炎合体スーパーファイヤー・セリア(a16819)の言葉。
 それは当然の意見だ。だが、そんなものは遺跡を目の前にしたセリア達の前では吹き飛んでしまう。
「これが例の遺跡か。これはカッコイイ、誰が何といおうとカッコイイっ!」
 不羈の剣・ドライザム(a67714)の叫び声が遺跡の入口に響く。
「カッコイイ皆さんとカッコイイ遺跡の探検っ。どんなカッコイイことが待ってるでしょうか、なぁ〜ん」
 続く倖せ空色・ハーシェル(a52972)の言葉。
 彼等の目の前にある遺跡は、実にカッコイイ。
 装飾は実に凝った造りとなっており、やがて風化するであろう事すら見越したかのようなカッコイイ風化っぷり。
 ダメージ加工なる胡乱な言葉があるが、やがて受けるダメージを意図的に計算したかのような作り方を果たしてしているだろうか?
 そう、何かがあるからカッコイイのではなく、カッコイイから何かがある。
 そんな常識の転換を迫られるかのような遺跡だった。
 カッコよさに思わず立ちすくむ全員の前で、城壁の姫騎士・サクラコ(a32659)は朗々と宣言する。
 そのカッコよさの相乗効果に、風薫る桜の精・ケラソス(a21325)は思わず拳を握る。
「人はなぜカッコイイ物に憧れるのか……なぜカッコイイ物を欲するのか。その答えがここにある! この探索は人類史上始まってよりの謎を解き明かし身体の奥底より湧き上がるこの想いに決着を付けるべく行われるのだ!」
 それは、実にカッコイイ宣言だ。
 湧きたつ仲間達の歓声に答えるように、サクラコは腕を振り上げる。
 カッコイイ遺跡の前でのカッコイイ宣言。
 それは実にカッコイイと、言わざるを得ない。
「フッ、それでは行きましょうか」
 大天使長・ホカゲ(a18714)が格好良く優雅な笑顔とポーズ(自称)でキメながら遺跡の中へと進んでいく。
「……うん、頑張りましょう!」
 前後にツバの付いた帽子と茶色いインバネスコートと、まるでこれから事件を解決しにいく探偵にも思えるカッコイイ服装の銀翼鷹・ハルアキ(a54057)は、ホカゲとは印象の違う爽やかそうなカッコ良さだ。
「術士の浪漫、捜索です!」
 カッコイイ隊列の真ん中で、白薔薇姫・フェア(a34636)はそう叫ぶ。
 カッコイイしか情報の無かった遺跡。
 しかし、この遺跡を見たならば全ての情報は結局「カッコイイ」に集約されてしまう。
「……皆、待て! 分かれ道だ!」
 先頭のドライザムが、カッコ良く分かれ道を指さす。
 ここだ、と。フェアは直感で気付く。
 ここが自分が一番カッコイイ瞬間なのだ、と。
「我が命に従え水晶、汝が蒼に我が眼を宿せ……」
 召喚したクリスタルインセクトを先行させながらも、フェアの心は歓喜に揺れている。
 1度やってみたかった事を、この場を借りて出来た。
 今の自分は、今までの人生で一番カッコイイに違いない。
「フッ、落とし穴ですね」
 ホカゲが10フィートの棒で床をつつきながら、そう呟く。
 カッコイイ床にカッコ良く偽装されていたが、なるほど。ホカゲが10フィートの棒でカッコ良く突くと、カッコ良い落とし穴がカッコ良く現れる。
「落とし穴も……あると分かってれば可愛いものだよね」
 微妙に台詞がカッコ良くなってきたセリアが、無駄のないカッコイイ動きでカッコイイ落とし穴をカッコ良く飛び越える。
「さあ、皆も早く。大丈夫、私を信じて!」
 別に落とし穴だけ避ければ済む話なのだが、そんなカッコ悪い事をしようと思う者は今や居ない。
 ハーシェルが、ドライザムが……次々落とし穴をカッコよく飛び越えていく。
 そう、此処は飛び越えるべき場所なのだ。
 ところで、カッコ良く穴をつついたホカゲだが。彼はサクラコと共に最後尾にいる。
 グランスティードに2人乗りをして、さながら騎士とお姫様……なのだが。
「カッコイイのは良いんですが普段からちょっと浮いてる感があるんですよね……これがいわゆる天然ってやつなんでしょうか」
 そんな呟きを、ホカゲはカッコよく聞き流す。
 ちなみに「普段から」の部分がポイントである。
「待ってください、ここに石版が!」
「なんだって!?」
 ゴトリ、という音を立てて石版が立てかけられる音がする。
「あれ、何か違和感」
「気のせいです!」
 ハルアキの疑問をカッコよく跳ねのけると、ケラソスは石版を読み始める。
「汝の為したい様になすが良い……か。言われるまでもありませんわね」
 カッコ良く不敵な笑みを浮かべるケラソスと、石版をじっと見つめるフェア。
「……なんだかケラソスさんの字に似てますわ……」
「運命ですわね。でも、こんな言われるまでも無い事……こうしてしまいましょう」
 言い切るとケラソスはカッコよく石版を破壊する。証拠隠滅である。
 なんだか色々とアテられてきたか、普段とは少しばかりテンションの違う面々。
 そんな違和感も気づきはしない。
 いや、むしろカッコつける事に全力を尽くす事の何が悪いのかと考え始めている。
 と、その時。
「岩が……岩が転がってきましたなぁ〜ん!」
 カッコイイ通路をカッコイイ岩が転がってくる、カッコイイピンチ。
 しかしハーシェル達は慌てない。
 こんなカッコイイシチュエーションのカッコイイ切り抜け方も考えてきたのだ。
「フェアさん、こちらに……!」
 すかさずハルアキが、カッコイイ動きでフェアをグランスティードに載せる。
「凍らせて、砕くのだ! 私達なら出来る!」
「勿論ですなぁ〜ん!」
「ええ、わたし達ならできます!」
 だが、位置的にサクラコの攻撃は届かない。
「なんて事だ……この通路がもう少し広ければ!」
「やるしかないですなぁ〜ん!」
 そこで、そのままハーシェルの大岩斬とドライザムのソードラッシュが大岩を砕く。
 カッコよくドコーン、と砕けた大岩がカッコよく欠片となって散らばり、ハーシェルとドライザムはカッコ良く決めポーズを取る。
 キマった……と。言わずとも、そう確信していた。
「ううん、まだだよ!」
 セリアの叫び声で、気づく。飛散する岩の欠片と土煙の向こうに……カッコイイ何かが、存在している事を。
 それは、金の騎士にも似て。鎧の奥で光る赤い瞳が、モンスターである事を告げている。
「フッ……後ろからも来たようですね」
 ホカゲの言葉にサクラコが振り向くと、そこには銀の騎士型モンスターの姿。
 狭い通路でのモンスターに囲まれての遭遇。
 一見、絶対絶命に見えるこのピンチはしかし、絶好のチャンスだった。
「ここは任せて先に行け、なぁ〜んっ!」
「ここは私に任せて先に行けー!」
 ハーシェルとサクラコが同時に叫ぶ。
 そういうわけにもいかないが、チャンスを逃さない姿勢はカッコイイ。
「うむ? あれは……!」
「知っているのですかドライザム!」
「聞いた事がある……。格光余威門星亜(カッコウヨイモンスタア)、余りの凄さ素晴らしさと威風にくらくらするという強敵。【かっこよい】の語源は、奴であるとの説は言うまでもない」
 無幻書房刊、陸土の怪物……と良く分からない事を付け加えるドライザムと、納得したように頷くハルアキ。
 彼等の間には今きっと、暑苦しくもカッコイイ男の世界が見えているに違いない。
「翔剣士の格好良さといったら、やっぱ薔薇の剣戟での追撃でしょっ!」
 妙に男臭い濃い顔付きになっている2人をそのままに、セリアが金の騎士に向かって薔薇の剣戟を繰り出す。
 最小限の動きで、華麗に。それはまさに翔剣士の真骨頂。
 セリアの攻撃を正面から受けた金の騎士は、それでも悠然とそこに立っている。
「貴様の相手はこの私だー!」
 タクティカルムーブで要所に陣取るサクラコに、銀の騎士は剣を構えて迫る。
 2対8の構図。しかし狭い通路で挟まれ、人数の利を活かせぬ状態。
 それでも、最高にカッコよく戦えるように準備をしてきた。
 そう、サクラコ達は自覚している。
 今こそ、自分達は一番カッコイイ……と!
「私の見せ場のようですね……とうっ!」
 ホカゲが断罪の剣を構えて突進し、ケラソスがフルートで勇ましい歌を奏で始める。
 そう、これはただの遺跡探索ではない。
 サクラコの、セリアの、ホカゲの、ケラソスの、フェアの、ハーシェルの、ハルアキの……そして、ドライザムの。
 これは彼等の偉大なる叙事詩。
 最高にカッコよくて、最高に盛り上がって、最高の詩として伝えられる叙事詩。
「絶対零度の攻撃です!」
「城壁隊の誇りにかけて……負けるわけには、参りませんッ!」
「今こそ城壁はじっこの力、見せる時……!」
「見える、私にも見えるぞ!」
 カッコいいセリフと共に、次々打ち込まれていく攻撃は、2体のモンスターをカッコよく打ち倒し……色んな意味で一皮むけた、最高にカッコイイ勇者達が誕生したのだった。
「カッコイイオタカラ……それがどんなものでもいいんじゃないかなぁ」
「ええ、ここまでカッコ良く辿り着く事の出来た私達……それこそが真のカッコイイ宝物です」
 セリアとハルアキが、素敵な笑顔で自分達の姿を見る。
 彼等の目の前にあったのは、自分達の姿をカッコ良く綺麗に映す金属板。
 まさか、これが宝物なのだろうか。
「あ……ここ、動きますね」
 フェアが金属板の端を押すと、金属板は実にカッコイイ音を立てて回転する。
 その先にあったものは、感嘆。
 色取り取りのカッコイイ宝箱が整然と並んでいる。
「……ちょーカッコイイ……」
 宝箱を開けたフェアが、中から取り出した杖を眺めてそう呟く。
「カッコイイ下着……穿いてみません?」
「遠慮しとこっかな……」
 サクラコの勧めをセリアが断っている頃。
 何やらゴゴゴ……という音が聞こえてくる。
「やはり、遺跡のシメはあれだ……。急ぐぞ、脱出だっ」
 すぐさま音の正体を看破したドライザムが、仲間達に声をかける。
 カッコイイ脱出劇はカッコ良く成功し……崩れた入口を間一髪で突破する。
「カッコイイ冒険に乾杯、だな」
「ええ、カッコイイ冒険に」
「カッコイイお宝に」
「カッコイイ私達に」
 何やら、怪しげな乾杯の言葉が混ざったが……崩れた入口の前でサクラコ達は、水で……ではあるが、乾杯をかわす。
 カッコイイ遺跡でのカッコイイ冒険は……こうして、カッコ良く幕を閉じるのだった。


マスター:じぇい 紹介ページ
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