ナビア探索行2 〜ここは地獄の4丁目、ナビア料理研究会〜



<オープニング>


 地獄第4層、腐敗の森ナビア。
 様々な危険な生物が生息し、また、多くのアンデッドが徘徊しているともいわれるこの不毛の地での探索は、それ相応の危険が伴う事を覚悟せねばならない。
 だが、そんな危険をも顧みず、ナビアでの探索行にあえて挑もうとする者たちの姿があった。
「皆さん、準備はよろしいですね?」
 そんなプーカの忍び・アグロス(a70988)の呼掛けに力強く頷く冒険者たち。ある者は料理に必要な調味料や調理器具を片手に。また、ある者は収穫物を入れる為であろう大きな籠を背負って。各々、思い思いの準備を整え、腐敗の森へと分け入ろうとしていたのは、この探索行を機に結成された『ナビア料理研究会(仮称)』の面々であった。
 そう、彼らが今回の探索行で捜し求めるモノとは、このナビアの地で入手する事が可能な『食材』。
 生物の存在が確認されている以上、この森の何処かには食用が可能な『食材』が存在している可能性も否定出来ない。そして、それらの『食材』の真贋を見定める術として、彼らが選んだ方法は極めてシンプル。各々が「これは!」と見定めた『食材』を確保して料理し、食べてみる事であった。
 無論、料理に使用する『食材』が本当に食材に適しているのかどうかは一切不明。当然、どのような味がするのかさえも分からない。更に、場合によっては人体に悪影響を及ぼすようなデンジャラスな料理を口にしてしまう事も十分に予想されていた。
 ある意味、無理・無茶・無謀とも思えるこの試み。しかし、飽くなき探究心と使命感(?)とに燃える挑戦者たちを止める事など、いったい誰に出来ようか!?
 原色バリバリな色使いが目に痛々しいキノコや不気味にうねうねと蠢く粘菌、おぞましいまでに巨大化したカビ(のようなもの?)、そして、そんな菌糸類が蔓延った異形の森の中を飛び回る巨大な羽虫など、およそ一筋縄では行きそうにもない『食材』候補たちを前に、冒険者たちの挑戦は始まろうとしていた。


マスターからのコメントを見る

参加者
蒼の閃剣・シュウ(a00014)
ランドー・ルシュド(a28710)
上天の風渡り・エアリエル(a30222)
若緑樹へ寄り添う紫眼竜・シェルディン(a49340)
農家の・ミーユ(a51708)
プーカの忍び・アグロス(a70988)
蒼氷を渡る風・フォーゲル(a77438)
風を射る・タージ(a77910)


<リプレイ>

●結成!? ナビア料理研究会(仮称)!
 このナビアの地で食べる事が出来るものを探す。そんな壮大(なのか?)な目標を掲げ、腐敗の森へと向かう勇者たちがいた。今回の探索の為だけに結成された有志による組織、その名も『ナビア料理研究会(仮称)』の一同である!
 彼等の意気込みと決意の程を聞いてみよう。
「ディアブロ以外の住人さんと出会った際に食べ物でコミュニケーションが出来るようにする為なのであります!」
「……美味い不味いはともかく、食せる物を見付ける事が今回の狙いだな」
「ナビアといえば菌類。菌類といえば茸という事で茸料理に挑戦です!」
「さーて、張り切ってお料理しましょうかー」
「突撃! ナビアの晩ごは……いえ、何でもありません」
「毒のあるものは記録しておこう」
「さぁ! 滅多にない機会だし気合入れて釣るぞー!!」
「まぁ、楽しく過ごせる事を願いましょうか」
 では、張り切ってどうぞ!

●水辺班、現状を報告せよ!
 腐敗の森と称され、危険に満ちた魔の領域ナビア。万が一の事態に備えて、ギガンティックガウンドへの退避が容易な場所での活動を行う事になったナビア料理研究会(仮称)の面々は、それぞれの目的地へ向かう者たちに分かれた班を編成して行動を開始していた。
 そして、活動開始から暫し時は流れ……。
「(フィ――――――ッシュッ!!!)」
 ガツンとした手応えとともに大きくしなる釣竿を手に体を起こしながら蒼の閃剣・シュウ(a00014)が控え目な(?)歓喜の声をあげる。その引き具合からすると、今度の獲物もなかなかの大物らしい。
「あらあら、私も頑張らないとー」
「……謎虫発見。次はこれを使ってみましょう」
 少し離れた水辺で既に納竿して貝探しを敢行していた農家の・ミーユ(a51708)がのんびりと気合(?)を入れ直している隣では、蒼氷を渡る風・フォーゲル(a77438)が撒き餌に使う水虫を探していたり。
「へえ、思っていたより生き物も多いみたいだね」
「案外、いい場所だったのかも知れません」
 そんな仲間たちの様子を伺いながらにっと笑う震角・ルシュド(a28710)に、キノコ(マーブル風味な色合い)を収穫していた手を少し休めてプーカの忍び・アグロス(a70988)が言葉を続ける。
 川や沼など、水辺近くでの活動を予定していた『水辺班』の一行が最終的に落ち着いた先は、ギガンティックガウンドからさほど離れていない場所に位置する沼地。当初は、以前に報告のあった澄んだ水が流れている川へと向かうプランもあったのだが、退避先などの関係から残念ながら今回は断念せざるを得ず。結局、色々と妥協する形で比較的広い水場になっているこの沼地周辺での活動となっていたのだ。
 その澱んだ沼の水を見て大いに落胆した一同であったが、蓋を開けてみれば。
「入れ食い、入れ食い♪ この調子でどんどん行こう!」
 釣り上げた奇怪な姿をした魚(?)を魚籠に入れて、そのまま釣りを続行するシュウに……。
「……この貝、食べれるかしらー?」
 小首を傾げながらそんな独り言を洩らすミーユの手には、ヤケに刺々しい感じの巻貝があり。
「ま、まさか、本当にいるとは……」
 謎の生物(少し大きめの虫っぽい何か)を捕まえたフォーゲルが青褪めた様子(どう見分けるのかはヒミツ☆)で何かをブツブツと呟いて。
「皆さん、概ね好調なようで何よりです」
 晴れ晴れとした様子で仲間たちの動向確認を終えるアグロス。まあ、ああ見えても(?)警戒を怠るような彼等ではなく、今の所、特に不穏な気配なども皆無。ただ、確保している食材(候補)に若干(以上?)の不安がある気もするが。
「さてと、僕もそろそろ本格的に始めようかな」
 仲間たちに向けていた視線を戻しながら、ルシュドは腕捲りをして愛用の武器を構え直す。どうやら『砂礫衝』を使っての漁を試行するつもりらしい。
 ともあれ、この調子であれば、水辺班各員による食材(候補)の収集活動に大きな問題が生じるような事はないだろう。
「粘菌発見、収穫! キノコ発見、確保!」
「うわ、またアンデッドだ。見分けつかないよ……」
「うおっ、この引き……主クラスの大物かっ!?」
「あらあら、楽しそう♪ また釣りもしてみようかしらー」
「ディアブロが食すとも聞いていますし、大丈夫……な筈!?」
 多分、きっと……。

●森班からの報告であります!
 一方、巨大化した菌類が蔓延る森の中での活動に向かっていた『森班』の面々とはいえば――。
「これは……止めておいて、こちらを収穫っと」
 リズミカルな調子でキノコを見分け、収穫しているのは流れ雲の旅人・エアリエル(a30222)。趣味を利して、手のひらサイズまでの食べられそうかつ新鮮そうなキノコを選り分けていたり。とはいえ、比較的マシなモノでも何処となく不気味な色カタチばかりで。
「まあ場所が場所なだけに、当たり外れが激しそうですけれど、ね」
 ……まあ、エアリエル本人も全てを見分け切れるとは思っていないらしく。と、その時。
「ちょっと、誰かこちらに来て戴けませんか?」
 少し離れた場所から聞こえる女性の声。森班の仲間の1人、若緑樹へ寄り添う紫眼竜・シェルディン(a49340)からの呼び掛けであった。いったい何事かと思いながら、シェルディンの元へと向かったエアリエルであったが。
「なっ……!?」
 シェルディンの足元には、半分土の中に埋まっている直径1mはありそうな薄紫色をした巨大な玉子型のナニカがどでんと鎮座しており。
「キノコもある程度は確保したから、あとは根菜類でもないかなって地面を掘っていたら、何故かこんなモノを掘り当てちゃいまして……」
「これって……キノコ……なのでしょうね」
 少し引き気味に経緯を話すシェルディンに、半ば呆然としながら答え返すエアリエル。これまで見てきたキノコの中でも、トップクラスに危険な気配が漂う代物である事は疑いようもない。しかも、掘っている時に傷でも付いたのか、じくじくと血のような赤い汁がその表面を流れ落ちているのもこの謎キノコの不気味さを更に強調していて。
「えっと、見なかった事にしていいかな?」
「何も見なかった事にしましょう!」
 彼女たちの間髪入れる隙間もない受け答えの後、謎の巨大卵型キノコは謎のまま、再び土中に葬られる事となったのである。合掌。
「あんなに怪しいキノコを。惜しい……」
 そんなキノコ収集班の2人のやりとりを遠目に見ながら弓で狩りをしていたストライダーの牙狩人・タージ(a77910)が不穏な呟きを洩らしていた事は抜群にヒミツ。などと、注意散漫な様子にも見えたタージであったが――。
「むっ!?」
 一瞬で弓を構えるとタージは上空目掛けて矢を放ち。直後、どすっという鈍い音が響く。自然体でいる事でタージは近付く獲物に警戒心を与えていなかったのだ。
「……よし」
 手応えは十分。更なる獲物を求め、タージの狩りは続くのであった。

●恐るべきナビア料理
 食材(候補)集めという厳しい戦いを終えたナビア料理研究会(仮称)の一同であったが、戦いはこれで終わりではなかった。料理、そして試食という、更なる困難な試練が会員たちを今か今かと手薬煉引いて待っていたのである!
 本来ならば、料理中の彼等の勇姿の総てをお見せしたい所ではあるが、諸般の事情によりその一部をダイジェスト版でお届けしよう。
「熱っ!? こら、スープの中でアンデッド化して跳ねるな!」
「あらあら、ずいぶんと活きの良いお魚ですわ。やっぱりお刺身が一番かしらー」
「活きが良いのかアンデッド化してるんだか……見分けがつかないどすえ?」
「この手の食材は佃煮や素揚げ、唐揚げなど火を通した方がいいですかね」
「焦げ目が付いて、材料がピクリとも動かなくなったら出来上がりです」
「火を通す事で、色や見た目の不気味さが更に……。ナビア産茸、侮れませんわね」
「料理は……任せた」
「……私、命は大切にする心算ですからね?」
 何といいますか、皆さんの苦闘の跡が垣間見えるかのようです。さてさて、一体どのような料理が完成しているのでしょうか? 続きまして、お待ちかねの試食タイムです!
「まずはナビア名物、魚の踊り焼き?」
 トップバッターはシュウの料理。自分で釣った奇怪な姿の魚をそのまま炙り焼にしたワイルドな1品です。何やら、まだ動いているなどという声も聞こえましたが気のせいでしょう。さあ、そのお味の程は……!?
「ごぶはあっ!!」
「ペロ……これは毒! ……ぐはっ」
「……お見苦しい場面があった事をお詫びします」
 ほんの一齧りで、シュウが轟沈。試しに一舐めしたルシュドも被害にあった模様です。フォーゲルはフォローありがとうございました。
 あと、救護に備えて待機中のタージとシェルディンのお二方、よろしくお願いします。
「早くも出番か……静謐の祈りだ」
「ま、この程度なら応急処置で構わないでしょう」
 まあ、痩せても枯れても冒険者。大事には至らないかと思われますが、これ以上の犠牲者を出す前に、こちらの試食は終了しましょう。2番手の品は、またまた魚料理のようですが……。
「お刺身ですー。ほら、こんなに新鮮ですよー?」
 ニコニコと微笑を絶やさないミーユの料理は、魚料理の定番的1品のお刺身。ただ、火を通してアレですから、生で食べちゃダメなような気がしない事もないですが、活きの良い(?)所をお醤油を付けてどうぞ♪
「みんな、味見頑張ってくださいね☆」
「うあ、口の中でヌルギュって……」
 イイ笑顔で試食を拒否したシェルディンや謎擬音を交えながら試食を後悔しきりなアグロスの様子からも、こちらの1品の破壊力も抜群みたいですね。
「それもまた冒険……かしら?」
 ミーユさん、それフォローになってません(汗)。き、気を取り直して次に行ってみましょう!
「ナビア風粘菌とキノコの炒め物と、キノコの柔らか煮です」
 こちらの料理はアグロスが腕を振るったもので、水辺で取れた新鮮な粘菌やキノコをふんだんに使った品々だとか。但し、それらを手当たり次第に採っていたとの未確認情報も。さて、その出来栄えは如何に?
「とってもカラフルですわー」
「げ、このデロ〜ンとしてるのが粘菌か?」
「見ただけで食欲が減退するねぇ……」
 やはり、大不評の嵐です。ここは無理に食べない方が……って、アグロス!?
「覚悟は十二分に出来ています。いざっ……グッフハアッ!!」
「き、救護班! 直ちに処置を!!」
 えー、残念ですが更なる犠牲者が発生しない内にお料理を撤収してください。さあ、気を取り直して続く料理は……。
「食材はよく吟味してから料理するものです。厳選茸のバターソテー、ご賞味ください」
 エアリエルの一皿も同じくキノコを使った料理ですが、情報によると素材選びの段階から色々と注意を払っていたとの事です。ここは期待が持てるかも?
「では、外見や色が妖しい物から慎重に試食…………」
 ……試食を始めたエアリエルの表情が急に険しくなりました。やはり、厳選したとはいえ、おいそれと食べれるものではないのでしょうか?
「いえ、食べれない事はないんです、けど……」
「……えぐみや苦味とかキツ過ぎ」
「そう? こっちのは普通に食べれるけど」
「ですね。当たり外れがあるのでしょうか?」
 皆さんの反応からすると、どうやら玉石混交な様子。流石はナビア産の食材、一筋縄では行きません。続きましては――。
「僕の料理の番だね。多分、毒は入っていない筈だよ」
 少し自信なさげに出されたルシュドの料理は、魚の天ぷらや虫肉のムニエル、アラや貝類の入ったカレースープがメイン。毒見に味見を繰り返しながらしっかりと素材の取捨と下拵えをしていたとの事で、中々の出来栄えのようです。
「ただ、味の保障はしかねるというか……」
 どうも、ナビア産の食材の持つ味が余りに特異だった為か、味付けに不安があるようです。まったく食べれないという事はないのでしょうが、さて……。
「その、何だ……個性的な味、ってヤツか?」
「いや、このざしゅっとした味が好きだって人もきっと……」
「な、なかなか……ですね」
「気遣いは無用です……土に還してあげよう」
 まさに料理人泣かせ。せっかく作った料理の後始末をするルシュドの背中が泣いてます。
「……さてと」
 おっと、ここまで動きの少なかったフォーゲルがついに動いた。何か大きなものを盛り付けた大皿を持ち出しましたが、次なるナビア料理は一体!?
「水虫の佃煮と……アレの幼虫の素揚げです。恐らく……」
 こ、これは、もしかして、水場で確保したと噂のナビア名物の巨大なアレ(?)の幼虫!?
「とうとう出たというか……」
「でも、一応試食はしてみないと何ともいえないんじゃ」
 佃煮の方はともかく、こちらの素揚げからはかなりデンジャラスな気配……といいますか、凄まじい異臭が漂って来てるような?
「これは、生臭ささや泥臭さとかが入り混じって……」
「……食べ物の臭いじゃないな」
「肉体を凌駕する魂よ、俺たちを守ってくれ……」
 ただいま入りました情報によればこちらの食材、上手く泥抜きが出来てなかった模様。この強烈な臭いだけで皆ほぼノックアウト状態か!? それでも試食されるという勇者は、果たして……。
「安心しろ、静謐のストックはまだある」
「高らかな凱歌の準備も万端です」
「毒消しの風も残ってます」
 救護に専念のタージを始めとした救護班の皆さん、とてもイイ笑顔ありがとうございます。
「……人生ツヨクイキタイデスヨネ」
 試食の方は倒れない程度に頑張ってくださいねー。おや、ところでシェルディンが手にしているのは鍋……って、もしかしてまだ料理が!?
「もちろん。私のキノコ鍋も食べてみてくださいね」
 宴はまだまだ始まったばかりとでもいうように、自作のナビア料理を披露するシェルディン。いや、彼女だけではなく――。
「コツは掴んだ。リベンジを要求する!」
「……そうですね。材料はまだまだありますし」
 次々と名乗りを上げる猛者たち。彼等の地獄……もとい試食はまだ続くようです。

●エピローグ?
 その後、料理と試食と回復とを繰り返し、一般の者であれば死者の山が築かれていてもおかしくない程の激闘を終えたナビア料理研究会(仮称)の一同が得た結論。それは――。
「デンジャラスな食材が多かったですね。健康的にも、味的にも……」
「とはいえ、ちゃんと吟味すれば使える食材が結構あった事は収穫だねぇ」
「但し、独特の臭いや味のものも多いようですから要注意ですわー」
「ね、粘菌には手を出さない方が……お腹の中で……めたぁって」
「コレが文化の違いですか……ナビア恐るべし」
「むう、ナビア産キノコの見極めは、奥が深いようです」
「毒物メモがこんなに……どうしよう?」
「……一応、レシピも作ってみたけど使えるかな?」
 以上!(未完?)


マスター:五十嵐ばさら 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:8人
作成日:2009/03/11
得票数:冒険活劇2  ほのぼの4  コメディ7 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。