マンモスファイヤー〜マシュマロの樹



<オープニング>


 神秘の森には、まだまだ知らない謎がある。
 新たな生命との出会いは今日も、胸を躍らせてくれるから。

「あのね、『マシュマロの樹』って知ってるかな?」
 踊る蒲公英・イーシア(a11866)が噂話を聴いてきたのは、良く晴れた冬の日のこと。それはマン森の奥深くにあるという、巨大な樹のお話。
「ふかふかもふもふぽよぽよの、白い花が咲くんだよう。花びらは羽布団みたいなんだって。その花の後になる実は、もちもちふわふわあまあまなの。きっとマシュマロみたいに美味しいんだよ」
 イーシアは、花びらの感触を楽しみながら実を食べたいのだ。そこで皆に、冒険を持ちかけた。
「でもね、この樹の近くには季節外れの向日葵が咲いててね……強力な酸を吐くからあまり刺激もできないんだよ。マシュマロの樹を枯らされないように、上手く倒す方法を考えなくちゃだよう」
 冒険者達は腕を組み、う〜んと唸り始める。そしてとっておきの作戦を引っ提げて、8人はワイルドファイア大陸へと出発したのだった。


マスターからのコメントを見る

参加者
ぽわふかのおふとん・ティフェル(a05986)
踊る蒲公英・イーシア(a11866)
詩歌いは残月の下謳う・ユリアス(a23855)
ひだまりの舞姫・レティシャ(a31140)
蒼穹に閃く刃・ジギィ(a34507)
貴方に捧げる狂死曲・セドリック(a35874)
空謳いの・シファ(a40333)
空游・ユーティス(a46504)


<リプレイ>

●ふわもこをめざして☆
 やって来ました、ワイルドファイア大陸。噂の樹に出会うために、そしてふわもこを堪能するために。8人の仲良し冒険者達は、マン森を歩きます。
「ましゅまろ、ましゅまろ♪ 大好きな人たちと一緒に遊びに来れてすごい嬉しいんだよう。水筒にお水も入れたし、チョコとクッキーと果物のジャムも持ってきたよっ」
 眩しい笑顔で、踊る蒲公英・イーシア(a11866)が唄い踊る。歩きながら、器用にくるくる回ってみたり。感じる喜びを、イーシアは全身で表現している。
「ふかふかともちもちのために〜っ」
(「可愛い可愛い弟子っこが大好きなもちふわあま、全力でげっとです〜お布団族としては花びらさんも気になりますしっ」)
 ぽわふかのおふとん・ティフェル(a05986)が、弟子に暖かい眼差しを向けた。両手を胸の前で握って、まったりした笑顔を浮かべている。
「マシュマロの樹か……イーシアが興味惹かれない訳ないよね」
 蒼穹に閃く刃・ジギィ(a34507)も、踊る妹を見てくすりと微笑んだ。嬉しさ満開のイーシアに、護るような眼差しを向けている。
「皆でお出かけ。楽しみですねぇ、久しぶりのワイルドファイアでの冒険ですかね。でも慣れることなく、ビックリだらけですよね……この大陸は」
 時が経ても変わらぬ景色に、詩歌いは残月の下謳う・ユリアス(a23855)がしみじみと語る。だが変わらぬ風景のなかにも、来るたびに新しい発見があるから面白い。
「目的は、マシュマロの樹を堪能することですね……おもにイーシアが!」
 巡らせていた視線を前に戻し、胸の前で拳を握る。ユリアスは、義妹の背を見て気合いを入れた。
「愛しい皆さんと楽しい冒険が出来る……嗚呼、おぢさんは何て幸せ者なんだろう」
 貴方に捧げる狂死曲・セドリック(a35874)が、胸に手を当てて瞼を伏せる。眼許にきらりと光るものが……周囲からは、ぱらぱらと拍手が起こった。
「マシュマロもふわもこも楽しみだけど、ボクもみんなと一緒のおでかけってことが何より楽しみなぁ〜ん♪ れっつごーなぁ〜ん♪」
 セドリックに賛同し、ひだまりの舞姫・レティシャ(a31140)も声を上げる。皆に囲まれて、ゆったり歩く白色ノソリン。その姿に、めろきゅん状態のイーシアだったり。
「ちょっぴり大変だけど、みんなとの楽しいお茶会の事を思えばなんのそのなぁ〜ん♪ 通るのが大変な場所も、みんなに手伝ってもらえばきっと大丈夫なぁ〜ん」
 レティシャは背に、皆の荷物を載せている。食材や調理道具など、重たい物を中心に。後のお楽しみのため、静かに慎重に歩を進めていく。ちなみに、軽い荷物を預かっているのはセドリックだ。
「あ、見えてきたよ〜」
 森が開けて、視界に巨木が飛び込んできた。空殻・ユーティス(a46504)が、バックパックをからい直す。ゆる〜い声音は、皆の視線を前方へと向けさせた。
「敵も、元気そうだね」
 額に手を当て、空謳いの・シファ(a40333)が首を突き出す。台詞には、ちょっと残念な色が滲んでいた。

●ふわもこをまもって!
 太陽に向いて、まっすぐ咲く向日葵。パーティの誰よりも高いところに、黄色い花弁が輝いている。
「マシュマロの樹とボク達の邪魔になる向日葵さん、悪いけどさようならさせてもらうなぁ〜ん!」
 ノソリン変身を解除して、レティシャは叫んだ。足許に荷物を置くと、戦闘準備。他の仲間も、レティシャの傍へと荷を下ろす。
「謎向日葵を倒しませんとね……当然、最優先事項としてマシュマロの樹の安全が挙げられますが」
 言いつつ、ユリアスは黒炎覚醒を発動した。不思議な向日葵を、遠くからだがまじまじと観察する。
「うむ。後の花や実の堪能タイムの為にも頑張って樹を守って敵を倒さねば、ね!」
 チキンフォーメーションの効果を使い、仲間に指示を出すシファ。自軍に有利なよう陣をつくると、頭部からスーパースポットライトを放った。
 向日葵の花が、冒険者達を捉える。挨拶代わりにと吐き出した酸は、後衛のすぐ足先まで届いた。
「危ないなぁ〜でも、樹は無事みたいだね」
 戦場に、ファンファーレが鳴り響く。アスタ・ルエゴから、ユーティスは偉大なる衝撃を放った。
「こまめに回復っ。皆さんを守るのが私のお仕事ですからねっ」
 ぽわふかあたっかーを握り、願うように瞼を伏せる。ティフェルのヒーリングウェーブがじわじわと拡がり、酸によるダメージを回復させた。
「これ以上暴れさせませんよ」
 注目効果のうえに、マヒのバッドステータスを喰らった向日葵。ハイウィンド −Hi Wind−を高速で振り下ろし、ジギィはソニックウェーブを撃ち出した。
「マシュマロを独り占めなんて、ずるいんだよう!」
 ぴしっと向日葵を指して、打倒宣言で大地を蹴る。蒲公英を思い切り横薙ぎ、デュエルアタックを繰り出したイーシア。敵に怒りを与えることにより、酸での攻撃を封じることができた。
「蒲公英さんは大好きですが、悪い向日葵さんは成敗ですっ」
 同じ黄色でもまったく違う、2種類の花を思い浮かべる。眼前の向日葵を見据えたままで、ティフェルは護りの天使達を召喚した。
「ボクの役目は向日葵の動きを止めることなぁ〜ん!」
 最後衛で、レティシャがTinkle Bellを弾く。ハートクエイクナパームは、向日葵の花部分に直撃。
(「向日葵さんは可哀想だけれども、少しでも楽しく、苦しまずに倒してあげられたら良いな……と、おぢさんは思うんだ」)
「いざ『フールダンス♪』! さあ踊ろうじゃないか向日葵さん。おぢさんと情熱のダンスをッ!」
 爆発が収まったとき、セドリックは向日葵の隣にいた。心を込めて、リズムに乗る。
「うぅ〜見てると一緒に踊りたくなっちゃうんだよう」
 胸の前で両手をもじもじ……だけでなく、両足もじたじた。イーシアが、たたっと駆け寄って行く。
「駄目だよ〜イーシアさん」
 やんわりと、シファは注意を促した。陣形が乱れると、いろいろ都合が悪いから。一定踊って、満足したイーシア。可愛く謝りながら、元の場所に戻った。
「さあ、皆さんもご一緒に……じゃなかった。今のうちに攻撃を〜」
 踊り続けるセドリックが、仲間へと呼びかける。つい出た言葉を抑えて、苦笑を漏らした。
「今のうちに畳み掛けましょう!」
 素速く敵に近付き、スピードラッシュを繰り出すジギィ。銀のサーベルが、陽光に煌めく。
「賛成〜動けないうちにね」
 ジギィの台詞に、ユーティスは首を縦に振った。向日葵の根元まで踏み込んで、ブレードダンスをお見舞いする。
「ここがチャンスだよう!」
 片目を瞑り、狙いを定めて。長剣の先端から、イーシアはサンダークラッシュを撃ち出した。
「もう少しなぁ〜ん、頑張るなぁ〜ん!」
 レティシャの貫き通す矢が、敵を射抜く。最早、踊るのもつらそうなくらい向日葵は疲弊していた。
「さぁ、終わりにしような」
「お覚悟を!」
 影刃ロッド&スモールオーブを取り出し、至近距離で向日葵に向ける。セドリックが最期の一撃に選択したのは、偉大なる衝撃。鳴り響くファンファーレは、葬送曲となった。
 懐まで踏み入り、シャマイームを操るシファ。薔薇の剣戟は葬送花、向日葵の活動が停止した。
「皆さん大丈夫ですか? 怪我した人はちゃんと言うんですよ?」
 Asterをはめた両手を、胸の前で軽く組んで。ユリアスは、高らかな凱歌を唄い奏でる。
「樹は……大丈夫のようです」
 くるっと一回りしてみて、無事を確かめてほっと一息。ジギィは、感慨深い眼差しで樹を見上げる。
「可愛くて、私なんかよりずっと強くなりましたね。少し寂しく思いますけど……それよりも嬉しく思います〜」
 うるうるする眼許を押さえて、ティフェルがイーシアの頭を撫でた。弟子の成長を見ることができて、師匠は感動しているよう。素晴らしき師弟愛を、仲間も感じていた。

●ふわもこをあそぼう♪
 荷物を持って冒険者達は、マシュマロの樹の根元へ移動する。これから、お楽しみの始まりだ。
「重い物もどんと来……今何か腰から不吉な音したけど気にしないっ!」
 まずは竈を造るための石を運んで……グキッって、今グキッって音が。腰を押さえるセドリックだが、本人が気にするなと言うのならば仕方がない。きっと大丈夫だと、皆も思うことにした。
「じゃあ、竈はこの辺りに作るね〜」
 手分けして運んできた石を、ユーティスが組んでいく。完成したのは、小鍋1つ分の簡単な煮炊きができる竈だ。火打ち石を取り出したユーティスは、集めてきた薪をくべて火を熾した。
「マシュマロと言えばマシュマロココア。採れたてのマシュマロだと普段食べてるのよりもずっと美味しいんでしょうか」
 ユーティスから小鍋を受け取り、ジギィは火の前にしゃがむ。持参した水筒の水を注ぎ、沸騰とともにココアパウダーを投入。にこにこ笑顔で首を横振り、くるくるとココアをかき混ぜる。
「イーシア〜どうぞ〜」
「良いふわもちを見繕って、ユリ兄さんにパスだよう。ボクも一緒に落ちないように、気をつけ……きゃわー!?」
 ふわもこを採りに、樹へ登ったイーシア。下で合図を送るのは、義兄のユリアスだ。両手を挙げて促すが、何とイーシアまで落ちてきた! ぼふっと受け止めたマシュマロの実、さらにイーシア。
「うにゃ〜驚いたよう」
「こっちの台詞だよ〜ふぅ、無事で良かった」
 的確なキャッチとふわもこのおかげで、イーシアは無傷だった。あの高さから落ちたのだから、なかなかに奇跡的だ。ユリアスに礼を述べて、立ち上がるイーシア。まぁ下りる手間が省けたと考えれば、良かったのかも。実も花弁も一応、充分な量を確保していたし。
「マシュマロ♪ マシュマロ♪ らんらんら〜ん♪♪ みんなで楽しくお茶会なぁ〜ん♪」
 竈の傍ではレティシャ主導で、食事をするための場所の準備が進んでいる。地面にシートを敷き、食器を並べて。大きな円を描くようにして、セッティングもばっちり。
「マシュマロ大好きー」
 ココアが火から下ろされたら、今度はシファが竈の前へ。人数分以上のパンを軽く焦げ目が付くくらい焼いて、お皿の上に積み重ねていく。
(「調理は……私が手を出さない方がいいですね。アバウトな性格は料理には向きませんです」)
「♪あなたがたも〜この実を食べるのかな〜♪」
 誰よりも早くシートに着席、魅了の歌で鳥達と戯れるユリアス。自信のない調理には手を出さず、大人しくしていることにしたのだ。楽しい世間話の間に、次々と料理が並んでいく。
「よ〜っし、じゃあ頂きますだよう!」
 そのままココアに浮かべたり、あぶってパンに載せたり。皆が座ったところで、イーシアが手を合わせる。お待ちかねの、マシュマロの実食事会だ。
「おにーちゃん、あーんv」
(「あ、おにーちゃんの良いとろけ具合」)
「ふふっ、そうくると思った」
 程良くとろけたマシュマロに、チョコソースとジャムをトッピング。一口サイズにちぎったマシュマロは、イーシアからジギィへ。笑顔で口を開けるジギィの、その皿の上にチェックが入る。次の瞬間、ジギィのマシュマロパンが消えていた。
「シファさんのマシュマロパンも気になるよう、美味しい?」
 今度は、シファの手許を覗き込むイーシア。状況が把握できていないのは、ジギィだけだったり。
「あまあまココアにチョコを入れるとまた美味しいんですよ〜」
 イーシアに頼んで、ココアにチョコソースを入れるティフェル。漂う香りが、また一段と甘くなる。
「他にも美味しいのあったらお味見させて貰いたいです〜」
 と、ティフェルはちょこちょこ移動していく。辿り着いた先では、レティシャが紅茶を沸かしていた。
「おいしくてほっぺが落ちそうなぁ〜ん♪ セドリックさん、お水ありがとうなぁ〜ん」
 押さえていないと落ちるのではないかと、何だか本気で心配になる。空いた小鍋で紅茶を作り、レティシャは皆に振る舞った。紅茶にも、マシュマロを浮かべてみたり。
「いえいえ、皆さんの楽しそうな笑顔が見れればおぢさんは幸せだ」
 水筒に入れておいた水1リットルは、すべて紅茶になった。マシュマロ紅茶を飲みながら、セドリックは仲間を見回した。お腹だけでなく、心も満たされていく。
 ごちそうさまの後は、マシュマロ布団でお休みタイム。食器を片付ける横で、ユーティスとイーシアがベッドメイクしていく。
「お師匠さま、こんな具合でどうかなぁ。合格?」
「弟子っこ、最高のお布団ですよ〜えいっ」
 完了すると、イーシアは真っ先にティフェルを呼んだ。布団の『ぽわふか具合』を、つついて確かめるティフェル。その素敵な反発力に、ちょっとうっとり。2人で一緒に、お布団へ飛び込んだ!
「ふわふわお布団幸せすぎますっ。レティちゃんも一緒に来るです〜」
「はいなぁ〜ん! ああ、とってもしあわせですなぁ〜ん……♪♪」
「ぬくぬくうとうと……だよう」
 ティフェルのお誘いに、倒れ込むレティシャ。イーシアとティフェルとの間に転がり、ふわもこを堪能する。頬をうずめているうちに、眠気に襲われて。
「これからもこうして温かい寝顔見ていきたいですね〜うや……私も眠くなって」
 イーシアとレティシャの寝顔を見ながら、幸せ笑顔のティフェル。そのティフェルも、同じくお昼寝に入るのだった。
「お布団族は花の上で寝ちゃいましたし、一緒にお昼寝をするのも悪くないでしょうかね」
「ふわもこ花びらも気持ち良すぎて、思わず微睡みたくなっちゃいそう……なんという至福の時〜」
 花弁に寝転んで、ジギィとシファも眼を瞑る。すぐに2人とも、穏やかな寝息を立て始めた。
「マシュマロみたいに、ほわほわで甘い時間が過ごせたな」
「えぇ。やっぱり、お出かけは楽しいですよね〜次はどこかな?」
 セドリックの感想に、満面の笑みで応えるユリアス。またこんな風に、楽しい時間を過ごしたい。
(「皆の弾けるような幸せが嬉しい……自分にとっては指を咥えて見上げるだけの遠い憧れを、身近に見せて貰えているだけでこんなに幸せな気持ちになれるから」)
 マシュマロ布団に腰掛けて、ユーティスは微笑む。暖かい春の陽射しのなかで、心に抱く幸せを噛み締めるのだった。


マスター:穿音春都 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:8人
作成日:2009/03/18
得票数:ほのぼの9 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。