≪フローリア学園≫いざ行かん、ヒーローの舞台へ!



   


<オープニング>


 春である。早春である。冬の気配まだ残れど、心はもはや春息吹なのである。
 芽吹きはじめた草木見て、はじまりは・プルミエール(a90091)は思った。
「そういえば」
 考えていた以上に、ここになじんだ自分がいる。
 ここは麗しのフローリア学園、将来有望な冒険者を育成せんため設立された機関。
 彼女がこの学園にやってきて、ついに三度目の春が訪れたのだ。
 感慨深くなるプルミーだが、突如恐ろしい声が背後からしたので飛び上がってしまう!
「フゥハハハー!」
 恐るべきディープヴォイスで後方より、邪悪丸出し(!)な人影が迫ってくる。頭の両側にすごいツノ、両肩にもトゲ付ショルダーパット、露出度高い水着のような衣装、漆黒のマントなびかせ、顔にも黒い戦化粧(ウォー・ペイント)している。それは誰? 学園への侵略者? いいえ彼女は学園長、我は破滅を断つツルギなり・ルビナス(a57547)なのだ。
 ……もちろんこれは普段着ではない。
 学園長は走る。ひた走る。
 プルミーも追う。学園の教師生徒たまたまそこにいた人も含め、みんなで追う。走る!
 たっ、とルビナスは校庭の、お立ち台に飛び乗り振り返ってマントをはためかした。
 悪の幹部風扮装で壇上にあると、異様なくらい格好いいのだがそれはともかく。
「みなさん! 噂には聞いていたと思うけど、いよいよ戦災孤児たちへの慰問の日が決まったわ!」
 もちろんこの格好はその慰問に関係している。それにしてはものものしすぎる? いや、これにはちゃんと理由があるのだ。
「さあ、配役を決めて準備に入りましょう。勧善懲悪・王道ヒーローショーの!」
「いよいよですねっ!」
 白い翼の天使・イリア(a30653)が声を上げた。
 結集した面々も同じ気持ちらしい。大きな歓声が拡がってゆく。

 近年、さまざまな大戦によって、精神に傷を負ったり、戦災孤児になる子どもたちが多数発生している。傷つき、うちひしがれた子どもたちに勇気と希望を与えるため、そんな施設の一つに慰問を行う、という話が以前からあったのだ。本日その計画について、ついにその具体的な日時が決定したというわけである。
 慰問の出し物はずばり『ヒーローショー』、彼らが演じる劇となる。
 学園長ルビナスいわく
「正義とは人それぞれ。そもそも戦争とは正義と正義のぶつかり合いであって絶対悪という存在は滅多に存在しないといっていいわ。……でも、わたしたちが伝えたいのはそんなことじゃない。私たちのショーを通して、『大切なものを護ろうと思う心』を学んでほしいのよ」
 未来の冒険者になるかもしれない子どもたちに、と締めくくると、たちまち拍手が巻き起こった。
 イリアは言う。
「同盟諸国の冒険者として、子どもたちには未来を示してあげたいところですよね。責任重大です」
 しかしやりがいのある仕事であるのも事実、今から楽しみだ。
 物語のおおまかな展開はすでに決まっている。
 平和な児童施設に悪の組織があらわれ、子どもたちを人質に取るなどの悪事を行う。そこにヒーローが登場し、団結してこれを打ち破るのだ。その過程でなにがあるか、どうやって『大切なものを護ろうと思う心』というメッセージを伝えるか、それはいまから話し合って決めていきたい。
「私は」
 ばっ、と扮装を翻してルビナスは高笑いした。
「フゥハハハー! ご覧のように悪のボス希望だけど、もちろん最後は負けちゃうのよ。私を倒すヒーローたちになりたいのは誰? 悪者役ももう少しほしいところだし、人質になっちゃう人がいてもいいわね。できれば音楽担当や舞台演出担当もほしいわね。司会進行役もいたほうがいいかな?」
 でも、とルビナスは告げる。
「やっぱり一番大切なのはヒーローチーム! 格好良くて親しみやすくて、もちろん子どもたちのお手本にならなきゃいけない役割だから、その自覚をもって挑んでね。でも、この学園の人であれば、誰もがきっちりとその『役』を果たせると私は思ってます」
 どうする? どうする? と早くもプルミーたちは顔を見合わせはじめた。

 フローリア学園主催、子どもたちのためのヒーローショーがはじまる。興奮と感激、そして笑顔と勇気を、子どもたちのハートに咲かせよう!
 いざ行かん、ヒーローの舞台へ!


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参加者
界廻る選定の志・エルス(a01321)
静かに蒼く燃ゆる・ホムラ(a20500)
闇夜を舞う影・ヒリュウ(a28973)
白い翼の天使・イリア(a30653)
絶対拒絶・トーラス(a51761)
手のひらの鼓動・アールコート(a57343)
夜と暗黒の世界の天使・ノゾミ(a57530)
我は破滅を断つツルギなり・ルビナス(a57547)
灰色の守護騎士・ヴィクス(a58552)
紅炎炎舞・エル(a69304)
星空渡る風の翅・レティリウス(a72807)

NPC:はじまりは・プルミエール(a90091)



<リプレイ>

 てるてる坊主、軒にたくさん並んでる。それは白い翼の天使・イリア(a30653)が下げたもの。
 その祈りが通じたか、昨日の雨模様が一転、今日は朝から好天候だ。
「急いで舞台を仕上げてしまわないと……」
 朝一番に到着したイリアは、さっそく準備を開始している。
 急がねばなるまい。だって今日を、楽しみにしているたくさんの子どもたちがいるのだから!

●開演
 児童施設の庭に、大きな野外ステージが組み上がっていた。イリアたちの急ピッチ作業は間に合ったらしい。その開幕を待つのは、たくさんの子どもたち、ぎっしり詰めて座っている。
「もうじき幕が上がる。立ち歩いてはいかんぞ」
 星空渡る風の翅・レティリウス(a72807)は臨時教諭に扮している。数日前から施設に入って、引率を手伝うという念の入りようだった。普段意図的に低く抑えている声も、心持ち高めに出すようにしている。彼の献身的な努力は実を結び、すっかり児童たちにも懐かれているようだ。
 幕が下りたままの舞台に、明るい声が響きわたる
「皆さん、お待ちかね〜!」
 夜と暗黒の世界の天使・ノゾミ(a57530)だ。彼女の登場をファンファーレが彩る。
「今日はフローリア学園による出し物を開催するわよ。みんな、良い子にしてたかな〜?」
 思わずノゾミも気圧された。子どもの数は百人近い。そのすべてから力強い返事が返ってきたのである! まるで大波だ。
「ありがとう! それでは楽しいショーの始まり始まりっ!」
 ノゾミの挙手にあわせて幕が、さっと上がってリズミカルな音楽が鳴り響いた。
 舞台裏にて楽隊を率いるは音楽監督、手のひらの鼓動・アールコート(a57343)だ。
(「思う存分はっちゃけてくださいね☆」)
 カスタネットのリズムでリードし、明るい雰囲気を盛り上げる。アールコートの腕は一流だ。
 幕が上がった舞台には、さぞや楽しげな光景が待っているかと思われた。
 だがしかし!?

●秘密結社ロベリア団の襲撃
 子どもたちは指さして声をあげている。なぜって舞台の上には、おどろおどろしい要塞が展開されていたからだ。暗い色づかいで、鎖で飾られている。邪悪丸出しの玉座もあった。
 これにあわせアールコートの楽団も、音楽を暗く転調させるのである。
「ステージが!?」
 目を丸くするノゾミに応える声は、ドスの効いた高笑い。ステージではなく劇場の後ろから。
「フゥハハハー!」
 皆一斉に振り向く、いつのまにか劇場背後にも高台が設置され、マントなびかせる、恐ろしげな人影がそこにあるではないか。
「この劇場は我々『ロベリア団』が占領した!」
 我は破滅を断つツルギなり・ルビナス(a57547)だ。かぶる兜から野太い角が、左右にグイとひろがって、両肩のトゲもあり威圧感満点! 尖ったバストの水着風衣装、恐ろしげなメイクも、子どもを怖がらすには十分すぎる。
「あなたたちは悪の秘密結社『ロベリア団』っ!?」
 ドギュゥゥゥン! しかし悪漢はルビナス一人ではなかった! その左右にも一体ずつ、不吉な男たちが控えているッ!
 左は、朝と夜の剣士・ヴィクス(a58552)、両腕を頭上で交差させて組み、足もやはりクロスして立つという奇妙なポーズだ。
「貴様等も我々の駒にしてやろう。悪の先兵にな」
 巨大剣を背負い、黒光りする鎧をまとっている。ゴゴゴゴゴゴ……ド迫力ッ!
 左は、絶対拒絶・トーラス(a51761)、やはり妙にイカスポーズであることは言うまでもないッ!
「泣こうが喚こうが助けは来んぞ〜」
 実は彼、開演前までは緊張でガチガチだっていたのだが、登場するなりノリノリである。本番に強いタイプと見た! ヴィクスに負けぬ不吉な装備のトーラスなのだ。
 演出は決まりすぎたようで、結構な数の子どもが本気で怖がっている! レティリウスは気丈に振るまった。
「大丈夫、手出しはさせないから」
 だが、
「ひゃーっはっは!」
 意外! 声の出所はステージの柱! 黒い影がひそんでいたのだ。
 影は、闇夜を舞う影・ヒリュウ(a28973)。真っ黒なタイツ姿だった。黒糸が蜘蛛の巣のように這い、胸に髑髏模様が白抜きされている。顔も覆面、逆三角に釣り上がった黒レンズの目、口の部分に鋭い牙の形が縫い付けられている。
「ついでだし子供たちを誘拐しちゃいましょう♪ やっておしまい!」
 ルビナスが指令を下すと、ヒリュウは粘り蜘蛛糸でスイングし、観客席から子どもを一人、さっとさらってステージに着地した。子どもはキャアキャア騒いでいるが、この演出を楽しんでいる様子だ。(ヒリュウが事前にこっそり見繕っておいた子だ)
 そして三悪人も、中央の花道を通ってステージに上がる。
「あっけないもんだな、ルビナス」
 だがステージ上、玉座に座ろうとしたルビナスを冷笑する男が袖より出た。
 緋のライン持つ黒いツナギだ。彼――界廻る選定の志・エルス(a01321)は冷笑して、
「こんなもんで満足なのか?」
「エルスか、我々の組織を抜けた裏切り者」
 トーラスが武器を抜き、
「満足とはどういう意味だ」
 返答次第では許さぬ、とヴィクスが吠える。
 その二人をルビナスは制し、ニヤリと笑った。
「わかってるわ、あなたの言いたいことは。『彼ら』と決着をつけろ、っていうのね」 

 ステージ下、ノゾミが告げる。
「彼らとは、正義のヒーロー『冒険者戦隊フローリアン』のことよ」
 彼女は両手を拡げ、呼びかけるのだ。
「さあ皆、『助けてフローリアン』って呼ぼう!」

●ヒーロー登場!
「助けてフローリアン!」
 会場を子どもたちのシャウトが満たした。舞台すらビリビリ震えるほどの大音声!
「ちょっと待ったぁ!」
 その声、紅炎炎舞・エル(a69304)!
「何者だ!」
 トーラスが問い返した。ヒリュウもあわせて、
「あそこだぞ!」
 元々旅芸人の軽業師だったヒリュウだ、舞台操縦はお手のもの、観客の視線が舞台中央に集まるように首を巡らす。
「正義の味方、颯爽と見参!」
 静かに蒼く燃ゆる・ホムラ(a20500)も鋭く呼ばわり、それと同時に要塞セットの中央扉を、バン! と派手に吹き飛ばす。白いスモークの演出は、イリアが煙を焚いたものに違いない。
 エル、ホムラ、そしてはじまりは・プルミエール(a90091)が飛びだしてくる。三人、デザインお揃い色違いのボディースーツ、やんやと大喝采が飛ぶ。
「ボクは、燃える炎『フローリアンレッド』!」
 とぅ、とエル、キックしてトーラスをどかしポーズを取る。
「プル、もとい、神秘の海『フローリアンブルー』! 私達が来たからにはもう安心よっ」
 少し台詞を噛んだがホムラ、すぐに人質を奪い返してクールなポーズだ。
「さあ逃げてください♪ ここは愛の力『フローリアンピンク』が引き受けます」
 人質を逃がしてプルミーが、「がお〜」と言いたげなポーズで決める。
 そして三戦士、声あわせて宣言するのだ。
「我ら三人、『冒険者戦隊フローリアン』! 平和を乱すものを成敗してくれるー!」
 再度、もくもくとスモークがあがる。音楽も派手に鳴り響く。
 そのころ引率教師のレティリウスは、
「フローリアンが来たからもう大丈夫だ」
 と子どもたちに言いきかせていた。だが果たして、そう上手くいくだろうか?
 歯ぎしりするヒリュウに、ヴィクスが言いきかせている。
「うろたえるな。最終的に、勝てばよかろうなのだッ!!」
 ルビナスは玉座についたまま、
「ふふふ……まずはお手並み拝見といこうかしら」
 と手を振った。

 舞台裏。
「……うっかり見入りそうでした……お仕事しないと!」
 イリアは大忙しだ。スタンバイさせていた土塊の下僕たちを、舞台にどんどん送り込む。
 アールコートも音楽演奏を楽団に任せ、この作業に加わった。
「さあ、出番ですよ〜☆」

 湧いて出るのは戦闘員たち、これが土塊の下僕であることはいうまでもない。
 だがこれはやられ役、数こそ多いものの、
「お前達の悪行もここまでっ!」
 と大立ち回りのエルにはかなわない。プルミーも、敵をキックでやっつける。
「てやー!」
 プルミーこと『フローリアンピンク』の衣装のみスカートだ、ひらりひらり見えるものがあるが、
「ピンクのこれはパンツじゃないから恥ずかしくないのよっ!」
 とホムラがアドリブでフォローを入れてくれていた。
 奮闘するヒーロー三人の姿に、エルスはつい拳を握りしめている。
「それでこそだ、フローリアン!」

●逆転につぐ逆転!
 下僕が一掃されたこのとき、ルビナスがすっくと立ち上がった。
「本気を出したほうが良さそうね」
 告げるやいなや、鎧進化を用いる。
 突然の変貌に、子どもたちは再び恐怖のどん底に落とされた! ルビナスだけではない、ロベリア団の悪漢たち、その鎧が禍々しく強化されたのである。鎧進化の効果によるものだ。これと同時に、さらに大量の下僕が出現したのである。
 たちまち形勢は逆転する。演奏に戻ったアールコートも音楽を暗転させた。
「俺様のこの姿を見るとは、運のない奴らだ!」
 と叫び躍りかかったヒリュウの蜘蛛糸が、ホムラを縛ってしまう。
 トーラスの一撃、エルを吹き飛ばす。
「これが我らの真の実力よ! ルビナス様に逆らおうなどと思わんことだ」
 そしてヴィクスは、
「弱いッ! 貴様等はそれでもヒーローか。無駄無駄ァ!!」
 とプルミーを組み敷いている。
「ほ〜ほほほ、見た、エルス?」
 あざけるようにルビナスは問う。
「正義の味方といえ、しょせんはこの程度なのよ」
 だがエルスは動じない。
「そうかな?」

 ここでノゾミが再度立ち、メッセージを客席に送る。
「さあ皆、フローリアンの皆を応援してあげて、その応援が彼らに力を与えてくれるわ!」
 このような演出ははじめて見るのだろう。子どもたちはすごい勢いでエキサイトしている。
「フローリアン! フローリアン!」
 筆を振りあげ、声あわせコールする。
「フローリアン! フローリアン!」
 トーラスはせせら笑う。
「声援がどうしたというのだ。死ぬがいい、フローリアンレッド!」
 彼が剣を振りあげ、打ち下ろそうとした瞬間、
「貴様、やはり裏切るか!」
 派手な音がして、剣は宙で止まる。
 身をもって剣を防いだ者……それはエルスだった。
「助けてくれたのか!」
 フローリアンレッドことエルが顔を上げるも、
「勘違いするな……俺は、お前が俺以外のヤツに負けるのが許せないだけだ」
 しかしその言葉は、彼なりの強がりに過ぎない。エルスが手で空をつかみ横に引くと、彼の姿はフローリアンの一員へと変化していたからだ。
「破壊女帝ルビナス、やはり俺は悪を好まない。この瞬間から、闇つく雷光『フローリアンブラック』と名乗らせてもらおう!」
「よし、二人で戦うぞ!」
 レッドとブラックのダブルキック! これにはさしものトーラスも、派手に吹き飛び気絶する。
 声援に応えるようにホムラも蜘蛛糸を引きちぎり、ヒリュウに反撃した。
「みんなの声があるかぎり決して負けない! 必殺、ブルーフラッシュ!」
 正体はただのホーリーライトだが視覚効果はすごい!
「この気迫……、ちぃ!」
 ヒリュウは大きく後退し客席に飛び込んだ。
「こうなればガキを盾にしてくれる!」
「やめろ!」
 と妨害に入ったレティリウスは投げ飛ばされてしまう。
 ステージに投げられ、セットに頭から突き込むレティリウス。子どもたちから悲鳴が上がった。
 しかし、悲鳴はたちまち歓声に変化したのである。
「我は……」
 瓦礫の山を押しのけて、再び姿を見せたレティリウスは、フローリアンのスーツに身を包んでいたのだ。
「我は、生命の息吹『フローリアングリーン』! 子どもたちに手を出すことは許さん!」
 跳躍し、逆襲の拳をヒリュウに見舞った! その姿勢のままポーズを取る。もちろん子どもたちは大喜びだ!
 かくて五人組となったフローリアン、たちまち下僕たちを粉砕し、ヴィクスも団結して打ち倒す。
 ルビナスはたじろいた。会場は今や「フローリアン」コール一色だ!
「私達が押されている!?」
 おのれ、とプルミーに飛びかかると激しいバトルを繰り広げる。
「皆の声援で元気百倍です!いきますよ〜!!」
 さっきまでのプルミーとはちがう。ルビナスと互角に渡り合って見せた。そこにレッド、ブラックが加わると形勢は一気にフローリアンに傾き、グリーンとブルーが参加すると圧倒的となる。
「声援ひとつでここまで変わるものなのっ!?」
 感極まって叫ぶルビナスに、
「もちろん!」
 エルは応えた。
「大切なものを護ろうと思う心、それを、みんなの声が呼び起こしてくれたんだよ!」

「クライマックスです!」
 イリアはスモークをガンガン焚き、
「行きますよ〜☆」
 アールコートはドラムを叩いて「ドドドドド……」と効果音を立てる。

「よし、合体技で決着をつけよう!」
 レティリウスが呼びかけると、五人は一団となって構えた。
「覚悟するのね」
 ホムラが慈悲の聖槍を呼び出す。構えて、
「これぞフローリアン必殺技」
 というエルスの言葉をノゾミが継いでくれた。
「皆、一緒に叫んでね! 必殺技の名前は『慈悲の聖槍キャノン』よ!」
「いきますよ〜!」
 プルミーが合図する。
 そして会場の全員が……子どもたちもフローリアンもノゾミも、裏方のアールコートもイリアも、倒れているロベリア団までもこっそりと……一斉に叫んだ!
「慈悲の聖槍キャノン!」
「発射ーっ!!」
 エルの一声とともに、光の槍が飛ぶ!
 実際にはホムラ一人が投じたものだが、動作をあわせ合体攻撃のように見せたのである!
「ば、バカな! コレが『何かを守ろうと思う心の力』だというのか!?」
 攻撃はルビナスを玉座ごと吹き飛ばした。すさまじい効果音が会場を満たす。
 その余韻、さめやらぬうち、がばと立ち上がったヴィクスは、いきなり!
「たったひとつだけ残った策があるぜ……」
 ぐい、と背を向けて、
「逃げるんだよぉ!」
 と宣言通りの行動に出る。
「覚えていろ!」
「これで勝ったと思うなよー!」
 トーラスもヒリュウも、そして、
「撤退だ〜!!」
 ルビナスも逃げ散ってしまう。
 大きな拍手が場を満たした。
 ステージは大成功だ。イリアも拍手をしていたがその拍子に、
「あっ!」
 ぱたん、と、背景が前倒しに倒れてしまい、子どもたちの前に姿をさらすことになってしまった。
 新たな演出かと思ったらしく、全員の視線が集中する。
「はわわっ☆ こうなったらイリアさん、なにかお言葉を!」
 慌ててアールコートが袖から告げた。
「え、ええと……!」
 真っ赤な顔をしながらイリアは、つっかえつっかえ告げた。
「これで終幕です。あ、ありがとうございました……っ!」

 満場の拍手を聞きながらルビナスは言う。
「私が伝えたかった事。この劇で伝わったかしら?」
「この劇の事は思い出に残っているわよ。大人になればきっと伝えたかったメッセージもわかってくれるわ」
 そう言って、ノゾミは笑顔を返した。


マスター:桂木京介 紹介ページ
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我は破滅を断つツルギなり・ルビナス(a57547)  2009年11月22日 04時  通報
ぶっちゃけると、私の元ネタから色々と拝借してる名前がちらほらとあります。