≪デウカリオン独立遊撃傭兵部隊≫出撃!武装盗賊団を撃退せよ!



<オープニング>


 鬼軍曹兼クマ軍曹・ライナー(a02455)率いるデウカリオン独立遊撃傭兵部隊。
 彼らが営むカフェ『蘇る大地亭』は移動カフェ。そう、彼らは定期的に場所を移動して過ごしているのだ。
 そんな定期移動中。ノソリンを借りて乗り継いで、次のノソリン中継地に向かっている最中の事だった。
「た、た、助けてくれぇぇ!!」
「む、何事じゃ?」
 街道の向こうから必死に逃げてくる男は冒険者らしい彼らの姿を認めると慌てて駆け寄ってきた。
「あ、貴方は確かライナーさん!?」
「おお、ノソリン中継所の御仁ではないか。久しぶりじゃのう。以前は世話になったの」
 前の定期移動の際に知り合い世話になった男であると思い出し、ライナーは挨拶するがどうも呑気に会話を楽しむ場合でもなさそうだ。
「大変なんだ! 中継所が盗賊に襲われて乗っ取られた!」
「なんじゃと!?」
 男の詳しい話を聞くところ。どうやら盗賊達はノソリンを借りに立ち寄っていた商人達の金品を狙って襲撃してきたらしい。
 盗賊というよりは強盗に近いやり方で金品を巻き上げると商人や中継所の住み込み従業員を縛り上げてそこを占拠し、我が物顔で振る舞っているらしい。
 しかも、楯突いた商人の一人は容赦なく盗賊の刀の錆に……。
「隙を見てどうにか逃げてきたんだ! 丁度良い所に来てくれた! 頼むよライナーさん、皆衰弱してきてるし、ノソリンも餌が貰えなくて餓えちまうよ!」
「うむ、御仁やあの中継地にはいつも世話になっておるしの。断る道理があろうかて」
 男の話によると敵は15人。それぞれ武器を有しているらしい。
 人質は商人だけでなくたまたま巻き込まれた人もいるので30人近くいるだろうとの事。また、女子供も含まれているらしい。
 中継所はちょっとした丘の上で周囲の見晴らしはとても良い。ノソリンがいる厩舎は少し離れた所にあるそうな。立て籠もってる建物の二階に人質は押し込められているとの事。従業員の住まいでもある為そこそこ広いらしい。一階は入り口ホールと奥の事務室及び厨房が一部屋づつ。厨房には勝手口もある。
 盗賊達は大体一階に詰めているようだが、それ以上の事は人質になっていた彼には知る由も無かった。
「頼む、あいつら皆殺しにしてやってくれ! 許せねぇんだよ!!」
「これまた物騒なお願い、さね?」
 キィルスはその言葉に肩落として首傾げるが、ライナーは思い当たる事があるのか一瞬目を落とすと隊員達に告げた。
「これより我が傭兵部隊はノソリン中継所に人質の救出及び盗賊の殲滅に向かう! 相手は一般人、だが武装して立て籠もっている! 良く考えて行動しろ!!」
 こうして、デウカリオンは出撃した!

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参加者
薔薇の狂戦士・ライナー(a02455)
双拳閃華・ディアナ(a03077)
浄火の紋章術師・グレイ(a04597)
黒劒・リエル(a05292)
魔楽師・マルス(a05368)
斬魔刀・ルネ(a06632)
NPC:紅き柘榴の翼剣・キィルス(a90077)



<リプレイ>

「最近このあたりを騒がせていたものどもか……少々調子に乗りすぎたようじゃな……」
 助けを求めに来た男を作戦非参加の隊員に任せ、鬼軍曹兼クマ軍曹・ライナー(a02455)を中心とした8人の精鋭部隊は件の中継所のある丘の麓までこっそり移動、小さな林の木陰にて待機する。
 双拳閃華・ディアナ(a03077)は建物を睨み付けながら腕をゴキゴキ鳴らし、威勢良く口を開く。
「バカはぶん殴って治すのが一番ってな。腕が鳴るぜ」
「うむ、手加減はできぬやもしれぬが、因果応報の意味、その身を持って理解してもらうとしよう……」
 冒険者が本気で一般人をぶん殴ったらその命の保証は出来ないだろう。だが、人質がいる事を考え、その命が掛かっている事を考慮すると手加減する余裕があるとも思えない。
 緑主体の迷彩色の服装に身を包んだ朝焼けの刺客・ルネ(a06632)は建物見つめ、そして空に昇る太陽を睨み付けて眉潜めた。
「しかし、真昼間から強行突入? 余程うまく事を運ばねぇと面白く無い事になるぜ……?」
「だが、今回は時間的にも人質の安全面でもあまり余裕がない。そのため、準備不足は否めんが昼間の強襲作戦となる。各員、人質の安全確保を最優先とし、奮起せよ!」
 ライナーは頷きながらも危惧を認め、その上で隊員達に命ずる。それに頷く者の中には本隊員では無い、浄火の紋章術師・グレイ(a04597)も含まれていた。
「たまたま居合わせたとはいえ、冒険者として捨て置けぬ事態です。ライナー軍曹、私も協力させていただきます」
 『蘇る大地亭』の客人として居合わせた彼の協力申し出は、術士の少ない部隊にとって有り難い物であった。
「さて……そろそろ行くか」
 先行予定のルネは誰に言うともなく呟いた。いよいよ作戦、開始だ。

 丘のなだらかな上り坂。ルネは靴履かず裸足で行動を始める。彼の役目は斥候。先に二階の様子を確認するのが目的。
「上手く……行くかねぇ……」
 翔る緋紅の剣・キィルス(a90077)は心配そうにその様子を見つめる。見晴らしの良い丘の上。敵の盗賊達はさほど注意しなくとも目を向ければ近づく者は充分目立つ状況なのだ。
 慎重に中継所に近づくルネ。窓の位置に気を配り、常に目を離さずに進む。死角を選んで進むつもり……ではあったが、死角と言える程の死角は存在しなかった。
 見付かったら命取り。敵が常に外を見張っている訳でも無いのが救いか。
 ……建物の中の賊は油断していた。人質を押さえ、監禁し、金品を巻き上げて建物にあった食料や酒を我が物顔で食い荒らして下卑た笑い声上げて酔いしれていた。人質の数が多くて、一人欠けた事にすら気付いていなかった。助けを呼ばれて、しかも冒険者がすぐに来るなんて欠片も思っていなかっただろう。
 ふと、窓の向こうに人影が映った気がした。賊の一人は眉しかめて窓を開けて外を見る。
「……気のせいか」
「兄貴が映ったのを見間違えたんじゃねぇのか? ガハハハハ」
 ルネは窓の向こうの男がこっちに顔を向けそうな所で移動止めてハイドインシャドウを用いていた。静かに息を殺すルネ。一方、酒が入っていた男は注意力も散漫でそれ以上観察する事も無かった。
 アビリティの続く間にルネはゆっくりゆっくりと歩を進める。走っては術が解けてしまうが、あまり悠長に進んでも時間が切れる。建物の壁に背を付けた時点でハイドインシャドウは使いきってしまっていた。
 外の見張りはいない。窓の中から見えない位置に回ると、壁を伝って二階に登る。ミシ、と音が僅かに鳴ったが、中の男達の罵声で掻き消されてくれた。
 二階の窓にそっと近づいて中を覗く。ベッドが3つ。その隙間に身を寄せ合う様に人質達は全員縛られて床に座らされている。そして一人の男が階段に一番近いベッドに腰掛けて、階段のドアを開放して下の男達と談笑交わしている模様。
(「随分油断してくれてるぜ……これが俺等に有利に働けば良いけどな」)
 敵が油断しているからといえ、こちらまで油断は出来ない。
 ルネは本隊のいる方に向けて手を振った。到着を示す合図だ。
「無事に着いたみたいね」
 息殺して待っていた黒陽・リエル(a05292)はルネの様子を見て、血除けの外套を羽織った。
 全員がライナーの指示を仰ぐ為に彼に注目する。ライナーは大きく頷いてから全員に号令をかけた。
「突撃! 目標、ノソリン中継所! 迅速に行動せよ!!」

 全力で中継所に向けて走り出したライナー達。なだらかな上り坂を低姿勢でダッシュする。
「……あ、兄貴! あいつぁ何ですかぃっ!?」
「くそったれがっ! 俺達を捕らえに来たって所か!? こっちにぁ人質だっているんだ、そうは行くか!」
「入り口を固めやがれ! バリケードだ! 一歩も入れるんじゃねぇぞ!」
 窓から彼らの接近はどうやっても丸見えであった。中の賊は急いで入り口に椅子やら机などを固める。酔いも覚める勢いで彼らは武器を手にし、敵の襲撃に備える。
「ライナー、ドア封鎖してるみたいさよっ?」
 真っ先に建物の入り口に辿り着いたキィルスは開かぬドアを確認してからライナーに向かって叫ぶ。やや遅れて到着したライナーは走る勢いそのままに大棍棒を振り回す!
「破るぞ、後に続けぇぇっっ!!」
 ドガァッッ!! 大地斬!! ドアの周囲ごと破壊された入り口は大人二人が余裕で通れる様な大きな穴と化す。続けて邪魔な家具をディアナが爆砕拳でぶち壊しながら進入経路を確保する!
「な、なんだこいつらは!?」
「ぶち破ってきやがった!?」
 蛮刀を、斧を、手にした賊は力尽くで突入しかけてきたライナー達を前に一瞬身をすくませる。その時、
 ドガァッッ!!
 上階からも同様の破壊音が響く。ルネの仕業である。ライナーの突入時の音を聞いて、彼もまた二階の壁を爆砕拳で穿ち、進入路を作り上げたのである。
 その音に一瞬で状況を理解した賊の数人は我に返り、手にした武器を振るい襲いかかってくる!
「どけどけ! 退かねえと怪我するぜ!」
 ディアナはその攻撃を易々と避けるとその腕を取って剛鬼投げを放つ! 床に叩き付けられ沈黙する男。
「二階への階段は!」
「あそこです!!」
 白ネコ戦闘楽師・マルス(a05368)は急いで周囲を見渡し、グレイが問いに答える様に階段を見つけそちらを指差す。
「くっ、人質を押さえようって寸法か!? そうはさせるか!!」
 賊は階段への道に立ち塞がり、数人は段を登り始める。
『そこをどけぇい!!』
 ライナーの一喝! 再び身をすくませて動けなくなる賊。今の叫びは紅蓮の咆吼!
「邪魔………っ!!」
 動けなくなった賊をどかす為、リエルは容赦なく敵に向かっていく。蛮刀で敵の武器を叩き落とし、シールドアタックで倒して道を空ける。
「階段下、戦域確保!」
「キィルス、グレイ、マルス! 二階は任せた!」
「イエス! ライナー鬼軍曹!」
 階段下に敵がいなくなった隙をグレイは見逃さず叫び、ライナーは手筈通り二階制圧を命じる。調子良く軽快にマルスが答える。
「行かせるか! 来やがったら人質の命はねぇぜ!?」
 階段を登りながら二人の賊は迫る三人を脅す様に言い、二階の部屋に通じるドアを開ける。
「――!? な、なんだコレはよぉっ!?」
 賊二人が二階の部屋に見た物は家具でもベッドでも人質達でも仲間でも無かった。
 それは溢れんばかりの霧。そう、先にルネは突入と同時にミストフィールドを展開させていたのだ。先に中にいた賊は前後不覚に陥り、人質にナイフを突きつける事すら出来なくなっていた。
「これじゃ人質取った意味、もう無いよね、盗賊さん?」
 わざとニッコリ笑って言葉をかけるマルス。目の前の賊は人質を手元に置いて脅す事を目的に二階に駆け登ったのだ。人質が手元に居ない以上、その行為は意味を成さない。
「く、くそぉっ!!」
 ヤケになった賊二人は自らミストフィールドの霧の中に飛び込んだ。極悪の視界。いくら狭い室内とはいえ、右も左も解らない状態下で人質を手元に持ってくる事はほぼ不可能だろう。
「しかし……この霧があるままでは私達の行動も阻害されてしまいます、ね」
 グレイは眉潜めた。このまま狙って撃ちこんでも良いが、万が一人質に当たらないとも限らず。ルネの意志でも消せぬミストフィールド。時間の経過を待つしかないか。

 一方、その間にも一階の制圧はどんどん進められていた。
「にゃはは、コレでも歌は得意でのぉ♪」
 愛想義心の朱蓮・ナリュキ(a02194)がライナーの陰に隠れながら眠りの歌で賊を眠らせ、その戦闘能力を封じていく。
『大人しく投降するか、それとも抵抗して無駄に命を散らすか、自分で決めろ!』
 紅蓮の咆吼を交えた叫びを上げながらライナーはホール・事務室・厨房の順に制圧を進める。
「安心しな、オレは優しいから殺しはしねえぜ。骨の1、2本くらいは知らねえけどな!」
 武器持って向かってくる賊の懐に回避しながら飛び込み、キツイ一撃をお見舞いしていくディアナ。アビリティは使わず、命に支障のない様に手加減加えながら倒していく。
「――!?」
 不意にディアナの背に走る痛み。先程倒した筈の賊が飛び込む様にナイフを刺したのだ。
「貴様、抵抗は無駄だ!!」
 咄嗟にライナーはその者にパワーブレイクを叩き込む。瞬時にその命断たれる賊。刺さったナイフを抜いてやりながらライナーは叱咤する。
「情けなどかけてやるから……!」
「それでも、オレは積極的に殺す気はねぇ。こんな奴らだって、もしかしたら家で帰り待ってる子供とかいるかもしんねえだろ? まあ、家族なんかいねえかも知んないけどさ……」
「………」
 森羅の息吹で傷を治すディアナの言葉を聞くライナー。
 その間にも、リエルは淡々と敵を倒していく。『仕事なら、遂行の為に手段は選ばない』……あくまで仕事と割り切っている彼女だから、私情を交えず一切手を抜かないのだ。
「残念ね、平和に暮らしてられなくて……」
 最後の一人を斬り終えた際、リエルは静かにこう呟いた。これは自分への言葉では無い。倒した相手に向けられた物なのか。彼女のみが知る、言葉。


 二階の入り口、階段の一番上にてマルスは眠りの歌を歌っていた。
 相手は一般人。多少ミストフィールドの霧で阻害されても通じるだろう、と判断。
 また、人質達も眠ればそれに越した事は無いだろう。この霧の中、何も解らず不安なのは何より人質達だろうから。
 数分……アビリティの効果が切れていく。ミストの霧が消えていき、部屋の内部が段々明確に見えてくる。
 それを認識した瞬間、グレイの指先は既に動いていた。彼独自の戦闘術式、それは戦闘を幾何学的に分析して紋章術を繰るジュツ=カタ。その強さの一つが『認識の速度』。
 紋章描画の初動と同時に、彼は晴れ行く室内の状況を把握していた。眠っていなかった賊の姿を見いだす。賊と人質とを瞬時に識別する!
 シュバァッッ!!
 霧が完全に晴れたと同時に紋章は完成していた。幾筋もの光がその指先の紋章より放たれ、賊が、仲間が気が付いた時には既に光は敵を正確に貫いていた。
「……は、早い、さね……?」
「賊が我々を認識するよりも遅いようでは、ジュツ=カタの使い手など名乗れません」
 驚くキィルスの言葉に、グレイは笑むもなく淡々と述べると、残りの眠りこけている賊をマルスやルネと共に縛り上げ、人質達の無事を確認するのであった。


 ミストフィールドにより、混乱した人質の中には側にあった家具に手足をぶつけて軽く打撲を起こしている者が居た様だが、後は特に目立った外傷もなかった。
 階下は惨状としか言いようがなかった。破られた壁にズタズタの家具、そして賊の死体と彼らの血。
 リエルは返り血まみれの外套を脱いでから人質のケアにあたった。グレイも女子供に一階の様子を見せぬ様に外に誘導した。
「再び営業を始めるにはしばし時間がかかりそうじゃのう……」
「無事に終わったら宴会、って思ってたけど、そんな気分にはなれないかな?」
 凄惨な建物を見回しながらライナーとマルスは呟いた。
「こ、こいつが私の仲間を手にかけたんですよ! お願いです、然るべき罰をこいつにも!」
 人質となっていた商人の男が縛られた賊の男を指差して叫ぶ。ナイフでも渡したら自分で仇討ちと称して刺しかねない雰囲気であった。
「気持ちは解るけど、さ。オレもこいつら許す気ねぇけど、殺したって誰も幸せになれないと思うぜ?」
 ディアナはそう言って気の立っている商人の男をなだめて移動させる。話術の得意なリエルに任せ、ライナーが展開する『蘇る大地亭』を手伝う。
「まずは落ち着かせないと、ね。ずっと何も食べてないだろうし、お腹が空いてたら人間機嫌が悪くなるものよ」
 リエルは軽食のサンドイッチを配りながらそう言った。賊は然るべき所に突き出される事になろう。そう話に交えながら。
「さぁて……オレも飯でも食うか」
「僕も〜。戦の後も腹が減るってね〜♪」
 マルスの言葉に逆だろう、とツッコミが入り、人質になっていた人達もどっと笑い声が漏れ、笑みが少しずつ戻り出す。
 その様子を見てやっと安心したライナーにナリュキがくっついて微笑みかけた。
「戦闘後のケアなのじゃ。ライナーを色んな意味で元気にするのじゃ。満遍なくしてあげるのじゃ〜。アフターケアものぉ☆」
「な、なんじゃなんじゃ!?」

 なぁ〜ん、なぁ〜ん、なぁ〜ん。
 しばらく振りの餌が貰えたノソリン達の鳴き声。
 デウカリオン独立遊撃傭兵部隊の活躍により、この丘の喉かなノソリン達の鳴き声は無事に取り戻されたのであった。


マスター:天宮朱那 紹介ページ
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参加者:6人
作成日:2004/07/12
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