PSP



<オープニング>


「PSP取りに行かんかなぁ〜ん?」
 白い長老補佐に、そんな声を掛けられた。

 ……よくよく聞いて判ったのは。
 PSPが、『プリン・ソルジャー・プチ』の略であるということだ。
「PSの小さい奴ですなぁ〜ん」
 曰く、プリン・ソルジャーというのは、デザートとしておなじみのあのプリンの形をしており、味もまたデザートなプリンに酷似しているという。
 だが、ソルジャーの名を冠する通り兵士の役割を持っており、弾力のある美味しい体躯は中々の強敵。
 ちなみに、植物である。
 きっと、最初は美味しい身体を食べて繁殖させて貰う為にこうなったのだろう。何を間違ったのか美味しくなりすぎて、反撃機能が備わったようではあるが……そんな細かい事は気にしない。
 ヒトノソリン的認識には、そこにあるのはちょっと強いけど美味しいおやつに他ならないのだ!

 さて、そんなPS。
 大きい奴は10m級で、本当に結構強いらしい。
 だが、PSは己より更に小さな部下PSを沢山従えている。
 小さいのは『ぷち』と呼ばれており、それこそがPSP、つまり『プリン・ソルジャー・ぷち』なのだ。
「大きいのを惹き付けてる間に、小さいのを沢山掴まえるのですなぁ〜ん」
 なお、大体一抱え程の抱き枕サイズが通常のPSP、それよりも小さい掌サイズのものをPSPP(プリン・ソルジャー・ぷちぷち)と呼ぶそうだが、PSPPはあんまりに小さすぎて食べ応えがないので、ヒトノソリン的には捕獲対象外らしい。

 PS達は、一本の太くて長い蔓から、枝分かれするように生えている。
 蔓は蛇がとぐろを巻くように螺旋状に生え、中央部には柔らかいPQ(プリン・クイーン)が居る。PS達はその周囲から放射線状に延びる蔓の先に付いており、そのPSが着いている蔓から更に枝分かれした細い蔓の先に、PSPが、さらにそこから枝分かれするもっと細い蔓の先にPSPPが……といった具合になっている。
「PSPは弱いから蔓からもぎ取ると動かなくなるなぁ〜ん」
「でもPSは強いから蔓から取ると逆に追いかけてくるなぁ〜ん」
「PSは粉々にしないと止まらないのなぁ〜ん。勿体ないなぁ〜ん……」
「だからPSPを取りますなぁ〜ん」
 放射線状に生えるPS達には――蔓から外れた場合を別として、それぞれ縄張りともいえる管轄圏があるらしく、それなりに纏まっていれば隣のPSがちょっかいをかけてくる事はないらしい。基準はPSの位置であり、PSPやPSPP達の行動範囲も親元のPSの縄張りに準じているそうだ。
「PSの攻撃は、主に体当たりなぁ〜ん。柔らかそうなのに、あたると遠くにぶっ飛んじゃうなぁ〜ん」
「カラメル噴射も怖いなぁ〜ん。あつあつで一度火傷すると治らくなっちゃうなぁ〜ん」
「PSPとPSPPは捨て身攻撃をしてくるなぁ〜ん。お口に入ったら……もぐもぐしてる間、技が使えなくなっちゃうなぁ〜ん」
 ……ここで食えるだけ食って、採らずに帰るのもありかも知れないが、そこはそれ。
 なお、蔓から外れる前のPSやPSPは結構硬いらしく、少々ぶん殴っても崩れないらしい。
 逆に取った後ぞんざいに扱うと崩れるので、それだけは注意した方がよさそうだ。

「ということなのですが、如何ですかなぁ〜ん?」
 PSP捕獲の準備をした5人のヒトノソリン達は、うねうねと白い尻尾を揺らしつつ冒険者に笑いかけるのだった。


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参加者
玄鱗屠竜道士・バジヤベル(a08014)
饗宴の思索者・アレクサンドラ(a08403)
空仰鵬程・ヴィカル(a27792)
籠鳥の幸福・リィア(a28697)
旋律の白・ショウ(a41422)
ガラクタ製作者・ルーン(a49313)
儚幻の対旋律・ゼナン(a54056)
在地願為連理枝・レミール(a64556)
突撃剛鉄斬剣娘・マミ(a67500)
安国寺の白いモビルスーツ・エルルー(a77992)


<リプレイ>

●じょん(音)
 饗宴の思索者・アレクサンドラ(a08403)は主張する。
「私はプリンが好きだ!」
 あの黄色い輝きこそ、製菓技術のもたらした黄金。
 そして、今日の相手がワイルドファイアの神秘が生み出した原生プリン、勇ましきプリンの勇士とあれば。
「その味、この身で! 確かめねばなるまい!」
「苦節うんヶ月……美味しそうなのに食べられないモンスターばかり相手して来ました……」
 凛と咲く金鳳花・レミール(a64556)が震えるのは、喜びか、苦い思い出か。
「植物……だよ?」
 言ったはいいが、ガラクタ製作者・ルーン(a49313)としても、プリンが植物なのは変な感じだ。
「え、モンスターじゃない? ……良いんです、食べられれば何だって!」
「沢山げっとしようなぁ〜ん……!」
 空仰鵬程・ヴィカル(a27792)もぷるぷるしている集団を前にやる気十分。
 一方で現物を前にした、玄鱗屠竜道士・バジヤベル(a08014)の額には思わず汗が。
 この炎天下でも腐らないとは恐るべし、旋律の白・ショウ(a41422)は手袋を装着し、芋煮会を彷彿とする巨大スプーンを準備し、PSPを見据える。
 そんな中、流転遊戯・リィア(a28697)は考える。植物ということは種や食物繊維があるのだろうか。
「あれがPS……」
 突撃剛鉄斬剣娘・マミ(a67500)は遠眼鏡で敵情視察。
「何だかもっと大きなサイズで2とか3とかありそうな気がしますっ」
 思わず謎の戦慄!
 一方、儚幻の対旋律・ゼナン(a54056)は。
「PSPと聞いて、何となくギア的な形態を想像したのだが……」
 プリンなのだな、と零すその脇で、タロスの紋章術士・エルルー(a77992)は神妙な面持ち。
「初期に市場に出回ったPSPをゲットしたタロスの皆さんの話では、そのあまりの美味しさに身体が傾いてスキルディスクが飛び出したとか」
「そんなに……!」
 レミール別の意味で戦慄。
「……やはり、徹夜で並ばないと手に入らないんでしょうか。転売屋に買い占められる前にゲットしておきたい所ですね」
 しかし、直接口に入ってくるのは難だ。エルルーは『お姉様』として敬愛するエルルの顔を模した仮面を装着。実際には防げるか判らないが……ショウも鎧進化で装備自体をゴーグルとマスク着きのものに変化。逆に、レミールはそのまま。
 つまり食う気満々だ!

●PS
「……と、いう方法だが、構わないか」
「判ったなぁ〜ん」
 ゼナンの説明に、力強く頷くヒトノソリン達。
 そうこうしているうちに、囮班の六人が群れるPS・PSP・PSPPの中へ突撃。ヴィカルは遠目に全体が見渡せるのを利用して、皆に豊作区域への道順を指示する。
「もうちょっと左回りなぁ〜ん、先に近付くと他のPSが動いちゃうなぁ〜ん!」
「強大な敵に立ち向かってこそ英雄だって聞きましたっ。我が疾走、飛ぶが如くですっ!」
 マミが早駆けで真っ先に目的地へ。PSの射程に入らないぎりぎりで旋回、目標を誘い出す!
「皆さん、今のうちですっ」
 釣られて動く一塊の蔓。盛り上がった先端でカラメルを煮え滾らせるPSに、数秒遅れで飛び込んできたレミールが闇色のマントを翻す。
「さあ、私に美味しく食べられてしまいなさいっ!」
 どむぅっ。
 ……と、とてもプリンとは思えない衝突音を伴い、デュエルアタックを受け止めるPS。
 だが、惜しくも怒りは発生せず、PSは近付いてくる囮班目掛けカラメル噴射!
「この芳醇な香り。これは素晴らしいカラメルだ!」
 アレクサンドラ燃えてる!
 ……PSを攻撃射程に入れればこっちも相手の射程に入るのは仕方ないが、何故か大変嬉しそうである。
 あと、華麗に回避してしまったレミールも羨ましそう。味見的な意味で。
「……熱々カラメルということはPSって熱いのかな?」
 気にはなったが、後でたっぷりゆっくり頂くことにして……ルーンは魔炎を鎮火するべく、古木で作られた杖に力を込める。ちなみにプリンは冷たい方が好きらしい。
 そんなPSに続くや続かぬや、PSPやPSPP達が一斉に様々な方向から皆を襲う!
 マスクをしっかり装着しつつ、バジヤベルが黒炎覚醒の炎を杖――薙刀形の切っ先へ。
「……なんか防げても勿体無い気分じゃが……まぁ後で堪能できる事を期待しよう……」
 うむむ、と唸る背で召喚獣の黒髪が明滅、炎は虹色に輝くニードルスピアとなってPS達へ降り注ぐ。
 だが、針の雨を潜り抜けたPSPとPSPPが、次々に皆の顔面目掛けて衝突。
 それでもレミールには通用しない。
「捨て身攻撃上等!」
 食う気満々。
 むしろ、技が使えない? 何ですかそれ。といった表情をしている!
「美味しければ私はそれで良いんですっ!」
「……味見できていいなぁとか、思ってないですよ?」
 力説しながらもぐもぐしているレミールをちらと見遣り、リィアは誰かに向けてささやかな弁明をしつつ、手にした白の術杖に力を注ぐ。
 途端に、杖の抱く宝玉から爽やかな風が溢れ出し、それは毒消しの風となって吹き抜けていった。
 ちなみにアレクサンドラも初回だけはもぐもぐ。それはもう残さず。おいしく。
 完食後、チャドルをマスク代わりに口に巻くと、濃紅色の術手袋ですかさず紋章を描き出す。
 明滅する召喚獣の髪。ピンクから虹色に変わった色彩は紋章へ伝播、飛び出した気高き銀狼も虹色に染め上げた。

●PSP
「……銀狼がプリンにがっついているかのようだな」
 思わず呟くゼナン。
 いや、それ以前に。
 菓子を『収穫』するというのも妙な気分だが、これがワイルドファイアというものか。
 そんな思いと共に、ショウもまた蠢くPSPの群れの中へ前進する。
「赤龍氣志團、参る」
 盾を前面に構え、同行のヒトノソリンが常に背面の庇える位置になるように気遣いつつ……早速向かってきたPSPの蔓へ刃を振るう。
 構えた途端、弾ける稲妻に向けて青いガスを吹き付ける召喚獣。強靭な拘束力を得た電刃衝は軽く蔓を切り裂き、早速PSPが一つ、目の前に!
 それを待っていたとばかりに。
 エルルーは蔓ごともげ落ちたPSPを、両手でキャッチ。
「これがPSP……」
 なんとなく感慨深げな印象なのは、スキルディスクも飛び出す美味さという噂のせいか。
 そんな具合に、PSが囮に気をとられている隙に素早く収穫に乗り出す収穫班五人。
 その時。
 ヴィカルの目が、真ん丸に見開かれる。
 視線の先、群れるPSPやPSPPの向こうに、明らかに桁違いな大きさのプリンが!
「あれがPQなぁ〜ん……!?」
 でかい。とにかくでかい。
 穴掘ったら中に住めるくらい。
 やはり、一味違ったりするのだろうか。ゼナンもそんな事をふと考える。
 じゅるり。
 ぐるるきゅぅ〜。
 ……腹の虫まで鳴かせちゃったヴィカルに、迫るPSP!
 ぐもっ。
 もぐもぐもぐ。
 ごっくん。
「……はっ。ついつい味わっちゃったけど、負けないなぁ〜ん!」
 言って振り上げる二振りの斧。ウェポン・オーバードライブで付加された外装を合わせれば、まるで巨大な枝切り鋏のようなシルエットになり……続けて襲ってくる別のPSPの蔓を、鎧砕き化した強力な断撃でブレイク!
「これならもぐもぐしてもばっちり殴れるのなぁ〜ん!!」
 そういえば、ダメージはないのだろうか。そんな事を思いつつ、漆黒の指先で紋章を描くゼナン。背面に繋がる召喚獣の黒髪が虹色へと変わり、普段は肘まで暗く沈む術手袋が眩く輝く。
 結んだ拳に虹色のエンブレムブロウを乗せて、殴りつけるはPSP!
「……綿の目一杯詰まったクッションのようだ」
 どむっ、という感触と共に弾かれ蔓からもげ落ちたのを、すかさず受け止めるヒトノソリン。
「採れたてなぁ〜ん♪」
「……普通のプリンでは自重崩壊するサイズだな」
 嬉しそうに抱え込んでいる姿に零すゼナン。抱えても型崩れしない位にはしっかりしているようだ。
 エルルーはヒトノソリンからPSPを受け取ると、慎重に騎首を巡らせる。
「どんどん運びますよ」
 言うや否や、青い鎧纏う召喚獣を繰り、風のように保管作業員として残った四人のヒトノソリンの元へと駆け抜ける。
 そんなエルルーの口元――装着したエルルお姉様の仮面が汚れているのは、さっきPSPに襲撃されたからだ。ちなみに、地味に味は貫通。基本的にマスク系は無効らしい。恐るべしPSP。

●PSPP
 PSPを保管するヒトノソリンの脇に、青い柱が立っている。
 その天誅に揺らめく青い炎が、一際眩く燃え上がる。
 輝きは幸運となって主へ注がれ、PSPPの甘味の呪縛から解き放つ!
「これは口の中に飛び込んできたから食べてしまっただけであって、決してつまみ食いとかじゃないのですよ? ……本当ですよ!」
 でも美味しかった。
 やはり誰かに向かって弁明するリィアの手の中、術杖の抱く蒼い宝珠が、一層に深く鮮やかな輝きを放つ。
 輝きはヒーリングウェーブとなり、蓄積した皆の疲労を消し飛ばす。
 途端に、回復を待っていたマミが、青い疾風と化してPSにブラストタックル!
「体当たりなら私だって負けませんっ!」
 真正面のぶつかり合いに、衝撃がマミの脳天を揺さぶる。
 一瞬くらっ、とした視界に、PSPとPSPPがわらわら。
 だが、そこに、一条の眩い光。
「食べられるなら私にしなさい!」
 ゴージャスオーラによって、何故か妙に気品ある光と化したスーパースポットライトが、PSPやPSPPの感覚を狂わせ、動きを止める。
 勿論、止まったものは収穫班がここぞとばかりに回収。
「こうやると、簡単に取れるなぁ〜ん」
「本当だな」
 ヒトノソリン監修の元、ゼナンが両手で抱えてもぎもぎ。根元は弱いのか、PSPは左右に捻りを加えて揺さぶると、嘘のようにぽろりと取れる。
 そんな様子に、ショウは収穫するなら今とばかり、持って来た巨大スプーンを満を持して取り出す。
 そして、匙部分を……差し込む!
「デュアル・スプーン・アタック! ……冗談だ」
 中々うまい具合に掬い上げられ、ぷるるーん、とスプーンの上で揺れるPSP。
 掬った後もぷるぷるしているのは、崩さないようにと気を使い過ぎて、ショウがぷるぷるしているからだ。
 ……これは神経が磨り減る。早くエルルーに渡して輸送して貰おう。
 一方、麻痺を逃れたPSPが、注目効果に惹かれてレミールの周囲に殺到する!
 その真上に、輝く光の雨が降った。
 振り返れば、宝石抱く長剣を掲げ紋章を描くエルルー。
「間に合いましたか」
 PSPを受け取って走り去る寸前に撃ち放つ、援護射撃のエンブレムシャワー。降りしきる光に、ぽろぽろ零れ落ちていくPSP。
 続け様、バジヤベルの軽快な歌声と共に、光が広がる。
「やれやれ、やっと解けたわい」
 PSP味の染み込んだマスクの口元を拭い、高らかな凱歌を歌い上げるバジヤベル。
 そんなPSP達の後ろから……再び濛々と立ち上る湯気!
「カラメル噴射です!」
 リィアの警告に、アレクサンドラが逆手で素早く盾を構える。その陰では止まることなく紋章が描かれ……虹色の銀狼が、噴射されたカラメルの間を縫って、PSに食らいつく。
 どうっ、と転げるPS。しかも、衝撃で蔓からもげ取れ、その勢いで銀狼を弾き飛ばすと、レミールの注目効果に寄せられて、ぼよんぼよんと急接近。
 瞬間、PSの周囲に虹の破片が舞い踊る。
「燃えてる人は後回しになっちゃうけど……」
 二人までならなんとか持ちこたえてくれるはず。
 握る杖の先に鎮座する梟の意匠。ルーンがその嘴の先で紋章を描けば、召喚獣の青い髪が虹色へと代わり、吹き荒れるのは緑の縛撃。
 木の葉は瞬く間にPSを虹色に染め上げた。
 その正面に、薔薇を散らせながら逆に踏み込むレミール。
 繰り出される薔薇の剣戟。
 護拳に羽ばたく鳳凰の意匠を抱く剣の切っ先が、鋭くPSを貫く……その感触に、レミールは後方の皆へ檄を飛ばした。
「かなり弱ってます!」
 ここで一気に畳み掛けよう!
 言わずもがな、マミ怒涛のブラストタックル!
「あれ、ひょっとしてPSの身体って……」
 体当たりしたらぐちょぐちょになるんじゃ……?
 時既に遅し、PSは衝撃で一部分がもげ、マミは見事にプリンまみれに!
「ううっ、何だか気持ち悪いです……」
 思わずしおれるその脇で、どうっと横倒しになるPS。
 そんなPSへ。
 アレクサンドラの指先には、虹色の巨大火球が。
 バジヤベルの薙刀の切っ先には、虹色の悪魔が浮かび上がった。
 間髪を入れず、エンブレムノヴァとデモニックフレイム、二つの虹色がPSへ迫る!
 ……衝突の瞬間。
 アレクサンドラは至極真剣な表情で言ったという。
「……焼きプリン!」

●セットでお得
 余りの衝撃に、爆発したように砕けるPS。
 その無数の火の粉の中から立ち上った炎が、生前のPSを形作る。
 バジヤベルは早速、クローンPSに部下PSP達を大人しくさせるようにと指示を出す。
「名づけて『PSP・クローン・フラウド・ウェア』作戦じゃ」
 略称にはできないらしいぞ!
 割と駄目元での指示だったのだが……これがかなりの効果を発揮。
「……そわそわしてるなぁ〜ん?」
 姿勢を低く身構えていたヴィカルが、突然ふらふらし始めたPSP達を見回す。どうやら、クローンPSの命令に困っているようだ。
「今のうちですね」
 手近なPSPを一つ手早くもぎ取るエルルー。ゼナンも盾を背に回すと、エンブレムブロウを宿した手でPSPの付け根を叩き、軽快に収穫していく。落っこちたPSPはヒトノソリンとショウが、スプーンで掬ってぷるぷる輸送合戦。
 囮を終えた皆も収穫に加わり、クローンPSの管轄だった一角からは、PSP達がどんどん運び出されていった。

「一杯取れたなぁ〜ん」
「有り難うなぁ〜ん♪」
 文字通りに山盛りのプリンに、ヒトノソリン達は大はしゃぎ。そんな姿に、ヴィカルも思わず満面の笑み。
 一方、粉砕PSまみれで惨事のおやつ状態だったマミは、やっと鎧の掃除が終わり、ぐったりした様子。
「何だかとっても強敵でした……」
 でも、仕事の後の甘味は格別だ。
 ……いや、仕事中も散々食った気がしないでもないが。
「流石に一日に数十個単位は飽きるのぅ……」
「僕はたっぷり頂きますね」
 染み込んでくることはあったにせよ、ちゃんと食べるのはお預け状態だっただけに、ルーンは嬉しそうに微笑みながらPSPをぱくり。
 途端に、ほわーと緩む表情。
「このきめ細かさ……内側に行くほどとろけますね」
「PSPおいしいです」
「自重で潰れない弾力からは想像もつかんな」
「色で味も違うんですね」
 本物のプリンと食べ比べるのも面白いかも知れない。ほおばりながら、そんな事を考えるリィア。
 そんな中、アレクサンドラは迷っていた。
 PSもPSPもPSPPも欲しいが、そんな量は持ち帰れない。
 だが、彼は閃いた。
「……おお、そうだ!」
 PS・PSPを適当な大きさに切り取り、PSPPと一緒に箱に入れ、お得な詰め合わせにすれば!
「……これが本当のバリューパッ……」
「カラー……いえ、味は選べるのかしら」
 何故かよそ見をしつつ、そんな事を呟くエルルーであった。


マスター:BOSS 紹介ページ
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ガラクタ製作者・ルーン(a49313)  2011年11月22日 22時  通報
草なのにプリン。プリンなのに植物性。
矛盾してる気がしますが本当にプリンの感じがして美味しかったです。
卵とか乳の風味はどうやって……とかちょっと悩んだり。5秒位。